特許第6805855号(P6805855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6805855-ドア開度固定装置 図000002
  • 特許6805855-ドア開度固定装置 図000003
  • 特許6805855-ドア開度固定装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805855
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ドア開度固定装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/22 20060101AFI20201214BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   E05C17/22 A
   B60J5/04 K
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-17594(P2017-17594)
(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公開番号】特開2018-123609(P2018-123609A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 宏和
(72)【発明者】
【氏名】金澤 佳宏
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−152780(JP,A)
【文献】 特開2016−223126(JP,A)
【文献】 特開2011−117164(JP,A)
【文献】 特開2016−49858(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0267444(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2004−0087635(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 17/00 −17/64
E05F 15/655
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストッパ部を有し、車両のボデーに回動自在に連結されるチェックリンクと、
車両のドアに固定されて前記チェックリンクが挿通され、前記ドアの開作動に伴い前記ストッパ部が当接することで前記ドアを全開開度で規制するドアチェックと、
前記ドアの開作動に伴う前記ストッパ部の移動軌跡を開放する離脱位置及び該移動軌跡を遮る係合位置の間を移動可能に前記ドアに設けられ、前記係合位置にあるときに前記ドアの開作動に伴い前記ストッパ部が当接することで前記ドアを半開開度で規制する開度調整用部材と、
前記チェックリンクに設けられる被掛止部と、
前記ドアが前記半開開度で規制される状態で前記ドアの閉作動を規制するように前記被掛止部を掛止する掛止位置及び前記被掛止部の掛止を解放する非掛止位置の間を回動可能に前記ドアに設けられた掛止部材と、
前記掛止部材に連係され、該掛止部材を前記掛止位置及び前記非掛止位置の間で回動させる操作部材と、を備えた、ドア開度固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドア開度固定装置において、
前記ストッパ部は、前記被掛止部として兼用された、ドア開度固定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドア開度固定装置において、
前記掛止部材を前記掛止位置から前記非掛止位置に向かって回動するように付勢する付勢部材を備えた、ドア開度固定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のドア開度固定装置において、
前記ドアの内張りをなすドアトリムを備え、
前記ドアは、車両の前方に配置された回動中心の周りに前記ボデーに開閉自在に支持されており、
前記操作部材は、前記ドアトリムの後端の上部に配置された、ドア開度固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開度固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア開度固定装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このドア開度固定装置は、ドアトリムのドア内側肘掛けと兼用又は別途内蔵したレバーが揺動可能に、且つ、バネにより復帰可能な状態で設けられている。そして、レバーを手で揺動させると、これに繋がる連結棒がドアチェック機構に付加したブレーキ装置を作動させてドアの開閉を抑止する。すなわち、ドアチェック機構のチェックリンク(スライドプレート)にブレーキパッドを取り付けて、レバーの揺動に伴い棒又は板でスライドプレートに押さえつけることでチェックリンクの動き、即ちドアの開度を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−152780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、レバーを揺動させてブレーキパッドをスライドプレートに押さえつけることでドアの開度を固定するため、レバーを揺動させる操作の入力によってドアの開度を固定する力が決定される。このため、レバーを揺動させる操作の入力が小さいと、ドアの開度を固定する力が不十分で該ドアが動く可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、ドアの開度を固定すべく操作するときの入力にドアの開度を固定する力が影響されることを抑制できるドア開度固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するドア開度固定装置は、ストッパ部を有し、車両のボデーに回動自在に連結されるチェックリンクと、車両のドアに固定されて前記チェックリンクが挿通され、前記ドアの開作動に伴い前記ストッパ部が当接することで前記ドアを全開開度で規制するドアチェックと、前記ドアの開作動に伴う前記ストッパ部の移動軌跡を開放する離脱位置及び該移動軌跡を遮る係合位置の間を移動可能に前記ドアに設けられ、前記係合位置にあるときに前記ドアの開作動に伴い前記ストッパ部が当接することで前記ドアを半開開度で規制する開度調整用部材と、前記チェックリンクに設けられる被掛止部と、前記ドアが前記半開開度で規制される状態で前記ドアの閉作動を規制するように前記被掛止部を掛止する掛止位置及び前記被掛止部の掛止を解放する非掛止位置の間を回動可能に前記ドアに設けられた掛止部材と、前記掛止部材に連係され、該掛止部材を前記掛止位置及び前記非掛止位置の間で回動させる操作部材と、を備える。
【0007】
この構成によれば、前記ドアが前記半開開度で規制される状態で、前記操作部材を操作して前記掛止部材を前記掛止位置へと回動させると、該掛止部材が前記被掛止部を掛止することで前記ドアの閉作動が規制される。これにより、前記ドアが前記半開開度で開作動及び閉作動が共に規制されて固定される。この場合、前記ドアの開度を固定すべく前記操作部材を操作するときの入力は、前記掛止部材を前記掛止位置に回動させることができれば十分である。一方、前記ドアの開度を固定する力は、前記掛止部材が前記被掛止部を掛止する係合力によって決定される。従って、前記ドアの開度を固定すべく前記操作部材を操作するときの入力に前記ドアの開度を固定する力が影響されることを抑制できる。
【0008】
上記ドア開度固定装置について、前記ストッパ部は、前記被掛止部として兼用されることが好ましい。
この構成によれば、前記ストッパ部が前記被掛止部として兼用されることで、部品点数を削減できる。
【0009】
上記ドア開度固定装置について、<請求項の引用なし>することが好ましい。
この構成によれば、前記掛止部材を前記掛止位置へと回動させるべく前記操作部材を操作するときの入力を解放すれば、前記掛止部材は、前記付勢部材に付勢されて前記非掛止位置に向かって回動する。このため、例えば降車後、前記操作部材を操作するときの入力を解放することで、前記ドアの開度が固定されたまま前記ドアが閉められることを自ずと解消できる。
【0010】
上記ドア開度固定装置について、前記ドアの内張りをなすドアトリムを備え、前記ドアは、車両の前方に配置された回動中心の周りに前記ボデーに開閉自在に支持されており、前記操作部材は、前記ドアトリムの後端の上部に配置されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、前記操作部材が前記ドアトリムの後端の上部に配置されることで、例えば降車時、ユーザがシートから立ち上がる際に前記操作部材に力を入れやすくできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ドアの開度を固定すべく操作するときの入力にドアの開度を固定する力が影響されることを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ドア開度固定装置の一実施形態についてその構造を示す斜視図。
図2】(a)、(b)は、同実施形態のドア開度固定装置についてその構造及び動作を示す側面図。
図3】(a)、(b)は、同実施形態のドア開度固定装置についてその構造及び動作を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ドア開度固定装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、ドアが閉状態にあると見なしてその方向を車両の各方向(前後方向、幅方向)と一致させて説明する。
【0015】
図1に示すように、車両のボデー1の側部には、乗降用の開口2が形成されるとともに、該開口2の前方の縁部2aには、車両の高さ方向に並設された一対のドアヒンジ3によりドア4が回動自在に連結されている。ドア4は、ドアヒンジ3の周りに一方向及び他方向に回動することで開閉作動する。
【0016】
縁部2aには、両ドアヒンジ3の間に挟まれる中間部において、例えば金属棒からなる略長尺状のチェックリンク11の基端部がドア4の開閉方向に合わせて車両の高さ方向に延びる軸線の周りに回動自在に連結されている。一方、ドア4には、チェックリンク11のドア4内に進入する先端部がその長手方向に移動可能に挿通されるドアチェック16が締結されている。チェックリンク11及びドアチェック16は、ドアチェック機構10を構成する。
【0017】
図2(a)、(b)に示すように、チェックリンク11は、ドア4の開閉作動に応じて、その基端部を中心に揺動しつつドアチェック16(ドア4)に対しその長手方向に相対移動する。例えばドア4の開作動時には、チェックリンク11はドアチェック16を通ってドア4内から引っ込む。反対に、ドア4の閉作動時には、チェックリンク11はドアチェック16を通ってドア4内に進入する。つまり、チェックリンク11のドアチェック16に対する相対位置は、ドア4の開閉位置(開度)に一義的に対応している。具体的には、ドアチェック16からドア4内に突出するチェックリンク11の長さが長いほど開度が小さく、反対に当該長さが短いほど開度が大きくなる。
【0018】
なお、チェックリンク11には、長手方向に間隔をおいて上下一対の谷部11aが複数形成されており、ドアチェック16には、いずれかの一対の谷部11aを挟み込むことでチェックリンク11の長手方向の移動を軽微に規制する一対のローラ(図示略)が内蔵されている。従って、ドアチェック16によりチェックリンク11の長手方向の移動が軽微に規制される状態では、ドア4が対応する開閉位置(開度)で軽微に保持される。
【0019】
また、チェックリンク11の先端部には、該チェックリンク11よりも車両の幅方向及び高さ方向に拡幅された板状の被掛止部としてのストッパ部12が固着されている。このストッパ部12は、ドア4の開作動に伴いチェックリンク11がドアチェック16を通ってドア4内から引っ込もうとするときに、ドアチェック16に当接することでそれ以上のドア4の開作動を規制する。このときのドア4の開度が全開開度に相当する。換言すれば、ドアチェック16は、ドア4の開作動に伴いストッパ部12が当接することでドア4を全開開度で規制する。
【0020】
ドアチェック16の上端部には、例えば金属板からなる開度調整用部材17が車両の幅方向に延びる軸線O1の周りに回動自在に連結されている。この開度調整用部材17は、チェックリンク11を車両の幅方向に挟む一対の略L字状の側壁17aと、両側壁17aの上縁同士を車両の幅方向に接続する蓋壁17bとを一体的に有する。また、開度調整用部材17には、その上端から上方に延出する略アーム状の連結片17cが突設されている。そして、両側壁17aのドアチェック16に対向する先端面は、軸線O1の周りの図示時計回りの回動に伴いドアチェック16に密着するように当接する第1当接部18を形成する。
【0021】
第1当接部18がドアチェック16に当接する状態にあるとき、開度調整用部材17は、蓋壁17bがチェックリンク11よりも上方に位置することで該チェックリンク11と干渉することはない。このとき、開度調整用部材17(両側壁17a及び蓋壁17b)のドアチェック16から離間する先端面は、チェックリンク11の移動方向でストッパ部12に対向する第2当接部19を形成する。従って、ストッパ部12は、ドア4の開作動に伴いチェックリンク11がドアチェック16を通ってドア4内から引っ込もうとするときに、第2当接部19に当接することでそれ以上のドア4の開作動を規制する。つまり、開度調整用部材17は、ドア4の開作動に伴いストッパ部12が第2当接部19に当接することでドア4を所定の半開開度で規制する。
【0022】
なお、第1当接部18がドアチェック16に当接してドア4の開作動に伴うストッパ部12の移動軌跡を第2当接部19が遮るときの開度調整用部材17の回動位置を「係合位置」という。一方、ドア4の開作動に伴うストッパ部12の移動軌跡を第2当接部19が開放するときの開度調整用部材17の所定の回動位置を「離脱位置」という。
【0023】
また、ドアチェック16には、軸線O1の下方で、例えば金属板からなる掛止部材20が車両の幅方向に延びる軸線O2の周りに回動自在に連結されている。この掛止部材20は、軸線O2を中心とする図示右斜め上方に延びるアーム部21を有するとともに、該アーム部21の先端から図示時計回りに向かう方向に突出する略鉤爪状の掛止部22を有する。この掛止部22は、軸線O2の周りの回動に伴い、開度調整用部材17の第2当接部19に当接するストッパ部12の後端面12aに当接可能となっている。掛止部22がストッパ部12の後端面12aに当接するとき、ストッパ部12の後方への移動、即ち半開開度で規制されるドア4の閉作動が規制される。つまり、掛止部材20は、図示2点鎖線で描いたように、ドア4が半開開度で規制される状態でドア4の閉作動を規制するようにストッパ部12を掛止する掛止位置と、図示実線で描いたように、ストッパ部12の掛止を解放する非掛止位置の間を回動可能となっている。
【0024】
なお、掛止部材20は、軸線O2の周りに巻回された付勢部材としての復帰スプリング23により、非掛止位置に向かって回動するように付勢されている。
図1に示すように、ドア4には、その内張りをなすドアトリム5が取り付けられている。そして、ドアトリム5の後端の上部Pには、下方に向かって凹む略長方形のアシストグリップ5aが形成されるとともに、該アシストグリップ5aに対応して操作部材としての切替レバー31が支持されている。
【0025】
すなわち、図3(a)、(b)に示すように、ドア4は、ドア外板を構成するドアアウタパネル4a及びドア内板を構成するドアインナパネル4bが結合されてなる袋状の構造体であって、上向きの開口からドアウインドガラスDWが出没可能になっている。そして、ドアトリム5は、ドアインナパネル4bにその車内側から取り付けられている。
【0026】
切替レバー31は、アシストグリップ5aの車両の幅方向における内側の上端で前後方向(紙面に直交する方向)に延びる軸線O3の周りに回動自在に支持されている。そして、切替レバー31は、軸線O3の周りに巻回された復帰スプリング32により、ドアトリム5の面上に沿うように車両の幅方向における外側に向かって延びる初期位置に保持されている。つまり、切替レバー31は、復帰スプリング32の付勢力により、未使用時にはアシストグリップ5aを覆い隠すようにその開口端を閉塞する初期位置に保持されている。そして、ユーザがその手指Hをアシストグリップ5aに掛けると、切替レバー31が復帰スプリング32の付勢力に抗して初期位置から図示時計回りに回動するようになっている。
【0027】
図1に示すように、切替レバー31は、操作ケーブル33を介して掛止部材20に連結されている。切替レバー31は、復帰スプリング32の付勢力に抗して初期位置から回動すると、操作ケーブル33を介して掛止部材20を引っ張ることで、該掛止部材20を掛止位置に向かって回動させる。従って、例えば降車時、ユーザは、その手指Hをアシストグリップ5aに掛けてアシストグリップとして使用すると、切替レバー31が初期位置から回動することで、前述のように半開開度で規制されるドア4の閉作動を規制可能である。
【0028】
一方、切替レバー31が復帰スプリング32に付勢されて初期位置に復帰すると、掛止部材20は、復帰スプリング23に付勢されて非掛止位置に向かって回動する。つまり、切替レバー31は、初期位置に復帰することで掛止部材20を非掛止位置に向かって回動させる。
【0029】
また、ドア4には、開度選択レバー6が回動自在に支持されている。この開度選択レバー6は、ドアトリム5に形成された略円弧状の長孔5bから車内側に露出する開度選択ノブ6aを有する。この開度選択ノブ6aは、開度選択レバー6の軸心周りの回動に伴い、長孔5bに沿って図示左斜め下方に移動自在となっている。そして、開度選択レバー6は、例えば金属棒からなるロッド7を介して開度調整用部材17の連結片17cに連結されている。開度選択レバー6は、開度選択ノブ6aが長孔5bに沿って図示左斜め下方に移動するように回動することで、ロッド7を介して開度調整用部材17を引き下げて離脱位置から係合位置へと回動させる。反対に、開度選択レバー6は、開度選択ノブ6aが長孔5bに沿って図示右斜め上方に移動するように回動することで、ロッド7を介して開度調整用部材17を押し上げて係合位置から離脱位置へと回動させる。つまり、ユーザは、開度選択レバー6を操作することで、ドア4の開作動時における半開開度での規制を選択可能である。
【0030】
次に、本実施形態の作用とともに、その効果について説明する。
(1)本実施形態では、ドア4が半開開度で規制される状態で、切替レバー31を操作して掛止部材20を掛止位置へと回動させると、該掛止部材20がストッパ部12を掛止することでドア4の閉作動が規制される。これにより、ドア4が半開開度で開作動及び閉作動が共に規制されて固定される。この場合、ドア4の開度を固定すべく切替レバー31を操作するときの入力は、掛止部材20を掛止位置に回動させることができれば十分である。一方、ドア4の開度を固定する力は、掛止部材20がストッパ部12を掛止する係合力によって決定される。従って、ドア4の開度を固定すべく切替レバー31を操作するときの入力にドア4の開度を固定する力が影響されることを抑制できる。
【0031】
(2)本実施形態では、ストッパ部12が掛止部材20により掛止される被掛止部として兼用されることで、部品点数及びコストを削減できる。
(3)本実施形態では、掛止部材20を掛止位置へと回動させるべく切替レバー31を操作するときの入力を解放すれば、掛止部材20は、復帰スプリング23に付勢されて非掛止位置に向かって回動する。このため、例えば降車後、切替レバー31を操作するときの入力を解放することで、ドア4の開度が固定されたままドア4が閉められることを自ずと解消できる。あるいは、ドア4の開度の固定を解除するための別の操作が不要であるため、操作性をより向上できる。
【0032】
(4)本実施形態では、切替レバー31がドア4の後端の上部Pに配置されて相対的に高い位置にあることで、例えば降車時、ユーザがシートから立ち上がる際に切替レバー31に力を入れやすくできる。
【0033】
(5)本実施形態では、切替レバー31は、ドアトリム5に形成されたアシストグリップ5aに配置されている。従って、ユーザは、切替レバー31を操作する際に自ずとアシストグリップ5aに触れることになり、該アシストグリップ5aを円滑に掴んで降車できる。
【0034】
(6)本実施形態では、半開開度で開作動及び閉作動を共に規制するようにドア4を固定できることで、ユーザはドア4に掴まりながら該ドア4に体を支持させることで、円滑に降車できる。
【0035】
(7)本実施形態では、ドア4の固定のためにドアチェック機構10自体に変更を加えるわけではないことで、例えばドア4の開閉作動における通常の操作フィーリングに及ぼす影響を抑制できる。
【0036】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態においては、開度調整用部材17を作動させる開度選択レバー6と、掛止部材20を作動させる切替レバー31とを独立で設けたが、開度調整用部材17及び掛止部材20を連動で作動させる単独の操作部材を採用してもよい。この場合、例えば開度調整用部材17の係合位置への移動が完了した後に、掛止部材20の掛止位置への移動が開始されるようにそれらの作動にタイミング差が設定されることが好ましい。
【0037】
・前記実施形態において、開度調整用部材17により規制されるドア4の半開開度は複数あってもよい。そして、掛止部材20は、当該複数の半開開度の各々で規制されるドア4の閉作動を規制するものであってもよい。
【0038】
・前記実施形態において、切替レバー31の配置は、ユーザがシートから立ち上がる際に力を入れることができるのであれば任意に変更してもよい。例えば切替レバー31は、ドアトリム5の肘掛けに配置してもよい。
【0039】
・前記実施形態において、復帰スプリング23を省略して、例えば切替レバー31を初期位置に復帰させる操作力を利用して、掛止部材20を掛止位置から非掛止位置へと回動させるようにしてもよい。
【0040】
・前記実施形態において、ドア4の閉作動を規制すべく掛止部材20により掛止される被掛止部は、ストッパ部12とは別に設けてもよい。
・前記実施形態においては、掛止部材20及び切替レバー31を操作ケーブル33を介して連結したが、例えばロッドを介して連結してもよい。
【0041】
・前記実施形態においては、開度調整用部材17及び開度選択レバー6をロッド7を介して連結したが、例えばケーブルを介して連結してもよい。この場合、開度調整用部材17を係合位置から離脱位置へと回動させる適宜の復帰スプリングを設ければよい。
【0042】
・前記実施形態において、開度調整用部材17は、離脱位置及び係合位置の間を直線運動で移動するものであってもよい。
・前記実施形態において、切替レバー31は、ドアチェック16以外のドア4の適宜箇所に設けられていてもよい。
【0043】
・前記実施形態において、車両の後方に配置された回動中心の周りにボデー1に開閉自在に支持されるドアであってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0044】
(イ)上記ドア開度固定装置において、
前記操作部材は、前記ドアトリムに形成されたアシストグリップに配置された、ドア開度固定装置。
【0045】
この構成によれば、ユーザは、前記操作部材を操作する際に自ずと前記アシストグリップに触れることになり、該アシストグリップを円滑に掴んで降車できる。
【符号の説明】
【0046】
P…上部、1…ボデー、4…ドア、5…ドアトリム、5a…アシストグリップ、11…チェックリンク、12…ストッパ部(被掛止部)、16…ドアチェック、17…開度調整用部材、20…掛止部材、23…復帰スプリング(付勢部材)、31…切替レバー(操作部材)。
図1
図2
図3