(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805865
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】単相インバータの出力側接続構造
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20201214BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20201214BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/48 S
H02M7/493
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-24593(P2017-24593)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-133864(P2018-133864A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】内田 誉人
【審査官】
東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−84483(JP,A)
【文献】
特開2011−211784(JP,A)
【文献】
特開昭63−299779(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/090627(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42− 7/98
H01L 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続されるn個(nは2以上の自然数)の第1の単相インバータユニットと、並列接続されるn個の第2の単相インバータユニットと、を含み、これらが「2行×n列」のマトリクス状に配置されているともに、各単相インバータユニットは、マトリクスの列方向に並んで位置するu出力端子とv出力端子とを備える複数の単相インバータユニットと、
マトリクスの列方向に互いに隣り合う第1の単相インバータユニットのu出力端子もしくはv出力端子と第2の単相インバータユニットのv出力端子もしくはu出力端子とを直列に接続するように、マトリクスの列方向に沿って両出力端子に亘る長さを有し、かつマトリクスの行方向に並んだn個の各出力端子を互いに接続するように、マトリクスの行方向に沿ってn個の出力端子に亘る幅を有する板状の第1導体と、
n個の第1の単相インバータユニットの他方の出力端子を互いに接続するように、マトリクスの行方向に沿って第1導体と等しい幅を有し、かつ絶縁板を介して第1導体の上に重ねられるとともに、マトリクスの列方向の中間部まで延び、先端部が装置出力端子の一方を構成する板状の第2導体と、
n個の第2の単相インバータユニットの他方の出力端子を互いに接続するように、マトリクスの行方向に沿って第1導体と等しい幅を有し、かつ絶縁板を介して第1導体の上に重ねられるとともに、マトリクスの列方向の中間部まで延び、先端部が装置出力端子の他方を構成する板状の第3導体と、
を備えてなる単相インバータの出力側接続構造。
【請求項2】
n個の第1の単相インバータユニットは、架台の上段に並んで配置され、n個の第2の単相インバータユニットは、架台の下段に並んで配置され、
各単相インバータユニットは、前面にu出力端子およびv出力端子を備えるとともに、u出力端子がv出力端子に対し相対的に上方に位置しており、
第1導体は、上段に位置する第1の単相インバータユニットのn個のv出力端子と下段に位置する第2の単相インバータユニットのn個のu出力端子とに接続されている、
請求項1に記載の単相インバータの出力側接続構造。
【請求項3】
第1導体は、矩形の板状をなす中央の平面部と、この平面部の両端からそれぞれ断面L字状をなすように折れ曲がって第1の単相インバータユニットおよび第2の単相インバータユニットのそれぞれn個の出力端子に接続される折曲部と、を有し、
第2導体は、上記第1導体の平面部のほぼ半分の大きさを有する矩形の板状をなす平面部と、この平面部の一端から断面L字状をなすように折れ曲がって第1の単相インバータユニットのn個の出力端子に接続される折曲部と、を有し、
第3導体は、上記第1導体の平面部のほぼ半分の大きさを有する矩形の板状をなす平面部と、この平面部の一端から断面L字状をなすように折れ曲がって第2の単相インバータユニットのn個の出力端子に接続される折曲部と、を有する、
請求項1または2に記載の単相インバータの出力側接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波電源装置において複数の単相インバータユニットの交流出力側を並列もしくは直並列に接続して回路構成する場合の導体を用いた出力側接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波電源装置においては、複数の単相インバータユニットの交流出力側を並列もしくは直並列に接続して回路構成する場合がある。特許文献1には、それぞれが2つのスイッチング回路を含む一対のIGBTモジュールの交流出力を、板状の導体によって並列に接続した構成が開示されている。2つのIGBTモジュールの出力端子を互いに並列に接続する板状の導体は、出力配線を兼ねており、入力側の2つの板状導体の上に絶縁板を挟んで積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−105382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の単相インバータユニットの交流出力側を例えば並列に接続する場合、接続される単相インバータユニットの個数に応じて導体の長さが長くなり、回路のインダクタンスが大きく、ひいてはインピーダンスが高くなり易い。また、交流出力側の導体には高周波の交流電流が流れるため、外部への漏れ磁束が大きく、周囲部品の誘導加熱による発熱等の問題が生じる。
【0005】
この発明の目的は、複数の単相インバータユニットを接続する交流出力側の導体の低インピーダンス化と、外部への漏れ磁束の低減と、を図ることにある。
【0006】
なお、特許文献1では、交流出力端子となる導体が入力側の2つの板状導体に重ねられているが、これによる低インピーダンス化や漏れ磁束の低減といった作用は得られない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の単相インバータユニットのu出力端子およびv出力端子を板状の導体によって並列もしくは直並列に接続するに際して、高周波電流が互いに逆方向に流れるように2つの板状導体を広く重ね合わせて構成する。これにより、2つの導体間で自己インダクタンスを打ち消し合う作用が大きく得られ、低インピーダンス化が図れる。また、2つの導体を常に逆方向に電流が流れるので、漏れ磁束が低減する。
【0008】
すなわち、この発明に係る単相インバータの出力側接続構造は、
並列接続されるn個の第1の単相インバータユニットと、並列接続されるn個の第2の単相インバータユニットと、を含み、これらが「2行×n列」のマトリクス状に配置されているともに、各単相インバータユニットは、マトリクスの列方向に並んで位置するu出力端子とv出力端子とを備える複数の単相インバータユニットと、
マトリクスの列方向に互いに隣り合う第1の単相インバータユニットのu出力端子もしくはv出力端子と第2の単相インバータユニットのv出力端子もしくはu出力端子とを直列に接続するように、マトリクスの列方向に沿って両出力端子に亘る長さを有し、かつマトリクスの行方向に並んだn個の各出力端子を互いに接続するように、マトリクスの行方向に沿ってn個の出力端子に亘る幅を有する板状の第1導体と、
n個の第1の単相インバータユニットの他方の出力端子を互いに接続するように、マトリクスの行方向に沿って第1導体と等しい幅を有し、かつ絶縁板を介して第1導体の上に重ねられるとともに、マトリクスの列方向の中間部まで延び、先端部が装置出力端子の一方を構成する板状の第2導体と、
n個の第2の単相インバータユニットの他方の出力端子を互いに接続するように、マトリクスの行方向に沿って第1導体と等しい幅を有し、かつ絶縁板を介して第1導体の上に重ねられるとともに、マトリクスの列方向の中間部まで延び、先端部が装置出力端子の他方を構成する板状の第3導体と、
を備えて構成される。なお、nは2以上の任意の自然数である。
【0009】
この構成では、n個の第1の単相インバータユニットおよび第2の単相インバータユニットがそれぞれ互いに並列に接続された上で、両者が直列に接続された回路構成となる。例えば、第1の単相インバータユニットのu出力端子と第2の単相インバータユニットのv出力端子とを第1導体が直列に接続する。この第1導体は、同時に、n個の第1の単相インバータユニットのu出力端子同士を並列に接続し、n個の第2の単相インバータユニットのv出力端子を並列に接続する。第2導体は、n個の第1の単相インバータユニットのv出力端子同士を並列に接続した上で、端部がv相の装置出力端子となる。第3導体は、n個の第2の単相インバータユニットのu出力端子同士を並列に接続した上で、端部がu相の装置出力端子となる。
【0010】
従って、絶縁板を介して互いに重なり合っている第1導体と第2導体とでは、互いに逆方向に高周波電流が流れることとなり、同様に、第1導体と第3導体とでは、互いに逆方向に高周波電流が流れる。これにより、インダクタンスが低減し、漏れ磁束が抑制される。
【0011】
好ましい一つの態様では、n個の第1の単相インバータユニットは、架台の上段に並んで配置され、n個の第2の単相インバータユニットは、架台の下段に並んで配置され、
各単相インバータユニットは、前面にu出力端子およびv出力端子を備えるとともに、u出力端子がv出力端子に対し相対的に上方に位置しており、
第1導体は、上段に位置する第1の単相インバータユニットのn個のv出力端子と下段に位置する第2の単相インバータユニットのn個のu出力端子とに接続されている。
【0012】
このように上下2段に単相インバータユニットを配置することで、省スペースとなる。
【0013】
より具体的な一つの態様では、
第1導体は、矩形の板状をなす中央の平面部と、この平面部の両端からそれぞれ断面L字状をなすように折れ曲がって第1の単相インバータユニットおよび第2の単相インバータユニットのそれぞれn個の出力端子に接続される折曲部と、を有し、
第2導体は、上記第1導体の平面部のほぼ半分の大きさを有する矩形の板状をなす平面部と、この平面部の一端から断面L字状をなすように折れ曲がって第1の単相インバータユニットのn個の出力端子に接続される折曲部と、を有し、
第3導体は、上記第1導体の平面部のほぼ半分の大きさを有する矩形の板状をなす平面部と、この平面部の一端から断面L字状をなすように折れ曲がって第2の単相インバータユニットのn個の出力端子に接続される折曲部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、単相インバータの交流出力側の2つの板状導体が、それぞれ逆方向に高周波電流が流れるように組み合わされるとともに広く接するように重ね合わされているので、自己インダクタンスを打ち消し合う作用が大きく得られ、低インピーダンス化が図れる。また、漏れ磁束が低減し、周囲部品の誘導加熱による発熱等が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
この発明に係る出力側接続構造を備えた第1実施例のインバータ装置全体の正面図。
【
図2】同じく第1実施例のインバータ装置全体の側面図。
【
図4】第1実施例のインバータ装置の回路構成を示す回路図。
【
図5】一つの単相インバータユニットの回路構成を示す回路図
。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1および
図2は、
この発明の出力側接続構造を備えた第1実施例のインバータ装置全体を示す正面図および側面図である。この第1実施例のインバータ装置は、計6個の単相インバータユニット1(1A〜1F)を備えており、上下2段の支持台2U,2Lを有する架台2の中で、上段の支持台2Uに3個の単相インバータユニット1A〜1Cが並べて配置され、下段の支持台2Lに残りの3個の単相インバータユニット1D〜1Fが並べて配置されている。単相インバータユニット1Aと単相インバータユニット1Dは上下に整列して位置し、単相インバータユニット1Bと単相インバータユニット1Eは上下に整列して位置し、単相インバータユニット1Cと単相インバータユニット1Fは上下に整列して位置している。つまり、
図1のように正面から見たときに、「2行×3列」のマトリクス状に配置されている。なお、この例では、
図1の左右方向がマトリクスの「行方向」、上下方向がマトリクスの「列方向」に相当する。
【0018】
図4は、第1実施例のインバータ装置の回路構成を示している。3個の単相インバータユニット1A〜1Cは、請求項1の「第1の単相インバータユニット」に相当するもので、各々の入力端子P,Nが直流電源P1,N1に並列に接続されている。これら3個の単相インバータユニット1A〜1Cのu出力端子は、互いに並列に接続された上で、装置全体のu相出力(U)として、外部の整合トランス3の入力側に接続されている。また3個の単相インバータユニット1A〜1Cのv出力端子は、互いに並列に接続されている。これら3個の単相インバータユニット1A〜1Cは、制御回路4AによってPWM制御される。
【0019】
残りの3個の単相インバータユニット1D〜1Fは、請求項1の「第2の単相インバータユニット」に相当するもので、各々の入力端子P,Nが直流電源P2,N2に並列に接続されている。これら3個の単相インバータユニット1D〜1Fのu出力端子は、互いに並列に接続されている。また3個の単相インバータユニット1D〜1Fのv出力端子は、互いに並列に接続された上で、装置全体のv相出力(V)として、整合トランス3の入力側に接続されている。これら3個の単相インバータユニット1D〜1Fは、制御回路4BによってPWM制御される。
【0020】
そして、前者の並列接続された3個の単相インバータユニット1A〜1Cのv出力端子が、同じく並列接続された3個の単相インバータユニット1D〜1Fのu出力端子に接続されている。従って、6個の単相インバータユニット1D〜1Fは、3並列2直列の回路構成となっている。
【0021】
個々の単相インバータユニット1(1A〜1F)は、特に限定されるものではないが、例えば、
図5に示すように、2つのIGBTモジュール11,12と平滑コンデンサ13とを備えて構成されている。IGBTモジュール11は、上アームおよび下アームとなる2つのスイッチング回路S1,S2を含み、その中間接続点からu出力端子が引き出されている。同様に、IGBTモジュール12は、2つのスイッチング回路S3,S4を含み、その中間接続点からv出力端子が引き出されている。
【0022】
図1および
図2に示すように、各々の単相インバータユニット1(1D〜1F)は、直方体形状の筐体を有し、その前面の中央部にu出力端子21とv出力端子22とが上下に隣接して設けられている。具体的には、u出力端子21が上方に位置し、v出力端子22が下方に位置している。これらの出力端子21,22は、L字形に折れ曲がった板状導体からなり、u出力端子21は上方へ向かって折曲し、v出力端子22は下方へ向かって折曲している。筐体の背面の中央部には、
図2に示すように、P入力端子23とN入力端子24がやはり上下に隣接して設けられている。これらP入力端子23およびN入力端子24は、同様にL字形に折れ曲がった形状をなし、直流電源(P1,N1もしくはP2,N2)からの配線となる入力側導体25,26,27,28に接続される。
【0023】
架台2の上段2Uに配置された3個の単相インバータユニット1A〜1Cのv出力端子22と下段2Lに配置された3個の単相インバータユニット1D〜1Fのu出力端子21は、幅広の板状導体からなる第1導体31によって互いに接続されている。また、上段2Uに配置された3個の単相インバータユニット1A〜1Cのu出力端子21は、同じく幅広の板状導体からなる第2導体32によって互いに並列に接続されている。下段2Lに配置された3個の単相インバータユニット1D〜1Fのv出力端子22は、同じく幅広の板状導体からなる第3導体33によって互いに並列に接続されている。
【0024】
なお、理解を容易にするために、
図4の回路図の各配線に、対応する導体等の参照符号を付した。また、
図4の回路図において仮想線Mで囲む範囲が、
図1および
図2に示したインバータ装置の構成に相当する。
【0025】
第1導体31は、1枚の金属板から形成したもので、
図3の分解斜視図にも示すように、矩形の板状をなす中央の平面部41と、この平面部41の上端から断面L字状をなすように直角に折れ曲がって上方の単相インバータユニット1A〜1Cのv出力端子22に接続される折曲部42と、平面部41の下端から断面L字形をなすように直角に折れ曲がって下方の単相インバータユニット1D〜1Fのu出力端子21に接続される折曲部43と、を備えている。なお、折曲部42,43の先端は、さらに下方および上方へ向けて折れ曲げられており、L字状をなすv出力端子22およびu出力端子21の先端部にそれぞれ図示せぬボルト,ナットを介して固定・接続されている。この第1導体31は、3個の単相インバータユニット1A〜1Cのv出力端子22および3個の単相インバータユニット1D〜1Fのu出力端子21を包含し得るだけの幅(
図1の左右方向の寸法)を有するとともに、上下に離れたv出力端子22とu出力端子21を包含し得るだけの長さ(
図1の上下方向の寸法)を有している。
【0026】
第2導体32は、やはり1枚の金属板から形成したもので、第1導体31の平面部41と同じ幅でかつほぼ半分の長さを有する矩形の板状をなす平面部44と、この平面部44の上端から断面L字状をなすように直角に折れ曲がって3個の単相インバータユニット1A〜1Cのu出力端子21に接続される折曲部45と、平面部44の下端から断面L字形をなすように反対側へ向けて直角に折れ曲がった折曲部46と、を有する。折曲部45の先端は、さらに上方へ向けて折り曲げられており、L字状をなすu出力端子21の先端部にそれぞれ図示せぬボルト,ナットを介して固定・接続されている。また、折曲部46の先端は、さらに上方へ向けて折り曲げられており、u相装置出力端子46aを構成している。
【0027】
第3導体33は、第2導体32と実質的に上下対称な構成のものであり、第1導体31の平面部41と同じ幅でかつほぼ半分の長さを有する矩形の板状をなす平面部47と、この平面部47の下端から断面L字状をなすように直角に折れ曲がって3個の単相インバータユニット1D〜1Fのv出力端子22に接続される折曲部48と、平面部44の上端から断面L字形をなすように反対側へ向けて直角に折れ曲がった折曲部49と、を有する。折曲部48の先端は、さらに下方へ向けて折り曲げられており、L字状をなすv出力端子22の先端部にそれぞれ図示せぬボルト,ナットを介して固定・接続されている。また、折曲部49の先端は、さらに下方へ向けて折り曲げられており、v相装置出力端子49aを構成している。
【0028】
図2に示すように、第2導体32および第3導体33は、第1導体31の表面上に絶縁板50を介して重ねられている。なお、第2導体32(あるいは第3導体33)と絶縁板50と第1導体31は、隙間なく接していてもよく、あるいは、極僅かな隙間が存在していてもよい。
【0029】
このような第1実施例のインバータ装置にあっては、6個の単相インバータユニット1A〜1Fを「2×3」の形で上下に配列したので、例えば6個の単相インバータユニット1A〜1Fを一列に配置する場合に比較して、装置の設置面積が小さくなって全体として省スペースとなり、かつ回路ループが短くなる。回路ループが短くなることで、回路の低インダクタンス化ひいては低インピーダンス化が図れる。
【0030】
そして、第1導体31と第2導体32および第3導体33とでは、高周波電流が逆方向に流れるので、自己インダクタンスを打ち消しあう作用が得られるとともに、漏れ磁束が低減する。特に、上記構成では、各導体31〜33が幅広であるとともに、互いに重なり合う面積(特に逆方向に高周波電流が流れる部分での重なり合う面積)が大きい。従って、各導体間で自己インダクタンスを打ち消しあう効果が大きくなる。また、表皮効果により各導体31〜33の表皮近くでより大きな電流が流れるが、広く重なり合った2つの導体で表皮近くを逆方向に高周波電流が流れることから、上記の作用・効果がより大きく得られる。漏れ磁束の低減により、周囲部品への影響が抑制され、例えば遮蔽板が不要となる。
【0031】
また、幅広な各々の導体31〜33は断面積が大きく確保されるため、表皮効果によって実質的な通電断面積の減少があっても、十分な通電断面積を確保でき、導体31〜33における発熱が抑制される。従って、例えば上記のインバータ装置では、導体31〜33を液冷せずに風冷化することができる。
【0032】
なお、上記実施例では、上下2段にそれぞれ3個ずつの単相インバータユニット1A〜1C,1D〜1Fを配置して「2行×3列」のマトリクス状のレイアウトを実現しているが、例えば、
図1のレイアウトを90°回転した形として「2行×3列」のマトリクス状の配置とすることも可能である。つまり、n個の単相インバータユニットを横方向に並べてもよく、縦方向に並べてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1(1A〜1F)…単相インバータユニット
2…架台
3…整合トランス
11,12…IGBTモジュール
13…平滑コンデンサ
21…u出力端子
22…v出力端子
23…P入力端子
24…N入力端子
31…第1導体
32…第2導体
33…第3導体
41…平面部
42,43…折曲部
44…平面部
45,46…折曲部
46a…u相装置出力端子
47…平面部
48,49…折曲部
49a…v相装置出力端子
50…絶縁
板