(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算処理手段は、前記複数の特定解析フレーム画像における、前記各共通座標画素の信号値の中から最大値、最小値もしくは最頻値を抽出する、当該共通座標画素の信号値における、選択した特定解析フレーム画像の数に対する最大値と最小値との差の割合、標準偏差、平均値もしくは積算値を算出する、又は前後する2枚の特定解析フレーム画像における各共通座標画素の信号値の差分を算出し、得られた各差分の中の最大値もしくは最小値を抽出することにより、前記一の演算信号値を導出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像処理装置。
前記定量値算出手段は、前記複数の領域内画素の信号値の中から最大値、最小値もしくは最頻値を抽出する、又は当該複数の領域内画素の信号値における、当該領域内画素の数に対する最大値と最小値との差の割合、標準偏差、平均値もしくは積算値を算出することにより、前記定量値を導出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0010】
<第1実施形態>
〔放射線画像撮影システムの構成〕
まず、本発明の第1実施形態に係る放射線画像撮影システム100の構成について説明する。
図1は本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の機能的構成を表すブロック図である。
【0011】
本実施形態の放射線画像撮影システム100は、放射線画像処理装置1や、医療用のモダリティー2等で構成されている。
また、放射線画像撮影システム100には、必要に応じて、図示しないコンソールやサーバー(例えば、医療用画像管理システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)を構成するもの)等が接続される。
放射線画像撮影システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
【0012】
モダリティー2は。放射線照射装置21と、放射線画像撮影装置22と、を備えている。
放射線照射装置21は、図示を省略するが、放射線を生成可能な回転陽極や回転陽極に電子ビームを照射するフィラメント等を有する放射線源や、設定された管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等に応じた線量の放射線を放射線源から照射させるジェネレーター等を備えている。
そして、ユーザーの操作に基づいて、放射線画像撮影装置22へ放射線を照射するようになっている。
【0013】
放射線画像撮影装置22は、図示を省略するが、放射線を受けることで線量に応じた電荷を蓄積する複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列された基板や、各放射線検出素子に蓄積された電荷を画像データとして読み出す読み出し回路、外部装置と通信したり画像データを送信したりするための通信部等を備えている。
そして、放射線画像撮影装置22は、放射線照射装置2から放射線の照射を受け、画像データを読み出すと、その画像データを、通信部を介して直ちに外部へ送信するようになっている。
【0014】
このような放射線照射装置2及び放射線画像撮影装置22を備えたモダリティー2は、放射線照射装置21による放射線の照射と、放射線画像撮影装置22による電荷の蓄積・画像データの読み出しと、を連続的に繰り返すことで、複数のフレーム画像からなる放射線動画の動画データを生成することが可能となっている。
なお、放射線照射装置21と放射線画像撮影装置22は、CTのように一体化されたものでもよい。
【0015】
〔放射線画像撮影システムの構成〕
次に、上記放射線画像撮影システム100を構成する放射線画像処理装置1の構成について説明する。
放射線画像処理装置1は、コンピューター又は専用の制御装置として構成されており、
図1に示したように、制御部11、通信部12、記憶部13、操作部14、表示部15、を備えて構成され、各部はバス16により接続されている。
【0016】
制御部11は、CPU、RAM等により構成される。制御部11のCPUは、操作部14の操作に応じて、記憶部13に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、後述する画像解析処理を始めとする各種処理を実行したり、表示部15の表示内容を制御したりする等、放射線画像処理装置1各部の動作を集中制御する。
【0017】
通信部12は、LANアダプタやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された放射線画像撮影装置22やコンソール、サーバー等をはじめとする各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0018】
記憶部13は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成される。記憶部13は、制御部11で各種処理(例えば、後述する画像解析処理や画像演算処理)を実行するためのプログラム(画像解析処理プログラムや画像演算処理プログラム等)や、プログラムにより処理の実行に必要なパラメータ、処理結果、あるいは、各種処理を施す前の元動画や静止画、各種処理を施した後の動画や静止画のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納されている。
【0019】
操作部14は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス等によりユーザーが操作可能に構成されており、キーボードに対するキー操作あるいはマウス操作により入力された指示信号を制御部11に出力する。
なお、操作部14は、表示部15の表示画面に備えられたタッチパネルで構成されていても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部11に出力する。
【0020】
表示部15は、LCDやCRT等のモニタにより構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画像や、操作部14からの入力指示、データ等を表示することが可能となっている。
【0021】
〔放射線画像処理装置の動作〕
次に、本実施形態に係る放射線画像処理装置1の動作について説明する。
図2,4は放射線画像処理装置1における画像処理の概念図であり、
図3,5は処理結果の表示例である。
なお、本実施形態に係る放射線画像処理装置1は、静止画像の処理や表示も可能であるが、ここでは、主に動画を処理・表示する場合について説明する。また、各図には、肺野領域の画像を例示したが、本実施形態に係る放射線画像処理装置1は、肺野以外の部位を撮影した動画についても処理・表示することが可能である。
【0022】
放射線画像処理装置1の制御部11は、操作部14を介してユーザーから処理を施す前の元の放射線動画を表示する旨の指示を受けると、複数のフレーム画像からなる放射線動画の元動画データ(ローデータ等)の取得(通信部12を介してモダリティー2、コンソールもしくはサーバーから受信、又は記憶部13から読み込み)を行い、準備した元動画データに基づく元動画又は
図2(a)に示したような元動画を構成する複数の元フレーム画像I
0の一覧(画像群))を表示部15に表示することが可能となっている。すなわち、制御部11は、本発明における画像取得手段をなす。なお、
図2(a)では、元フレーム画像を符号I
0で示したが、以下の説明では、元動画であるか元フレーム画像であるかにかかわらず、元動画データに基づいて表示部15に表示されるものをI
0で示すこととする。
【0023】
また、制御部11は、操作部14を介してユーザーから元動画データに動態解析を加える旨の指示を受けると、元動画データ(ローデータ等)の取得を行い、記憶部13に記憶されている画像解析処理プログラムとの協働により元動画データに各種解析処理(換気解析や血流解析等)を施し、その解析結果である解析動画データを生成することが可能となっている。
そして、制御部11は、生成した解析動画データに基づく解析結果動画又は
図2(b)に示したような解析結果動画を構成する複数の解析フレーム画像I
1の一覧)を、自動で又はユーザーからの指示に基づいて表示部15に表示することが可能となっている。すなわち、制御部11は、本発明における解析手段をなす。なお、
図2(b)では、解析フレーム画像を符号I
1で示したが、以下の説明では、解析結果動画であるか解析フレーム画像であるかにかかわらず、解析動画データに基づいて表示部15に表示されるものをI
1で示すこととする。
【0024】
また、制御部11は、操作部14を介してユーザーから解析動画データに演算処理を加える旨の指示を受けると、解析動画データの取得を行い、記憶部13に記憶されている画像演算処理プログラムとの協働により解析動画データに各種演算処理を施し、その演算結果である演算画像データを生成することが可能となっている。
なお、元動画データに演算処理を施して演算画像データを生成することも可能である。
【0025】
演算処理は、表示部15に表示された、解析結果動画を構成する複数の解析フレーム画像I
1の一覧の中から複数の解析フレーム画像I
1(解析結果動画を構成する全ての解析フレーム画像I
1であってもよいし、その一部であってもよい。)が選択されることにより開始される。以下、選択された解析結果フレーム画像I
1を特定解析フレーム画像I
1と称する。
本実施形態において、特定解析フレーム画像I
1の選択は、ユーザーが操作部14に対して行った操作に基づいて行われるようになっている。具体的には、例えば
図2(b)に示したように、表示部15に表示された解析結果動画を構成する解析フレーム画像I
1の一覧の中から、ユーザーが処理対象とする特定解析フレーム画像I
1を所定領域(例えば後述するサマリー表示領域)へドラッグ及びドロップしたり、解析フレーム画像I
1の端部に設けられたチェックボックスBにチェックCを入れたりすることで選択される。すなわち、制御部11は、本発明における選択手段をなす。
なお、選択する解析フレーム画像I
1は連続している必要は無く、間を飛ばして任意の解析フレーム画像I
1を選択することも可能である。
【0026】
演算処理では、選択された複数の特定解析フレーム画像I
1における共通する座標上にそれぞれ位置する各画素の信号値に基づいて一の演算信号値を導出する。そして、この処理を各座標((1,1)から(m、n)まで)について繰り返し行い、座標ごとに生成した複数の演算信号値を用いて演算結果画像I
2となる演算画像データを生成する。すなわち、制御部11は、本発明における演算処理手段をなす。以下、各特定解析フレーム画像I
1における共通する座標上にそれぞれ位置する各画素のことを共通座標画素と称する。
【0027】
演算信号値の導出の仕方としては、例えば、最大値(MIP)処理、最小値(MinP)処理、Pk−Pk値処理、標準偏差処理、最頻値処理、積算値処理、平均値処理、最大微分値処理、最小微分値処理等がある。制御部11は、自動で又はユーザーからの指示に基づいて、上記の処理の中から何れかを設定して演算信号値を導出する。
【0028】
最大値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の中から最大値を抽出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、解析結果の値(換気や血流)の最大値が分かるので、換気や血流の有無を一目で把握することができる。具体的には、無気肺や肺塞栓領域において、換気機能や血流機能がどこまで回復しているのかを把握しやすくなる。また、処理コストを低く抑えることができる。
【0029】
最小値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の中から最小値を抽出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、解析結果の値(換気や血流)の最小値が分かるので、換気機能や血流機能がどこまで低下しているのかを把握しやすくなる。また、処理コストを低く抑えることができる。
【0030】
最頻値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の中から最頻値を抽出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、解析結果の値(換気や血流)の最頻値が分かるので、特異的なノイズまたはアーチファクトの影響を低減させた上で、換気や血流の有無を一目で把握できるようになる。例えば複数呼吸分、複数心拍分の解析結果に対して最頻値処理を実施することで、呼吸や心拍のばらつき影響を低減させることができる。
【0031】
Pk−Pk値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の中から最大値と最小値を抽出してその差分または比を算出し、特定解析フレーム画像の数に対する最大値と最小値との差の割合を算出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、解析結果の値(換気や血流)の変動量が分かるので、換気や血流の有無を一目で把握できるようになる。例えば、無気肺や肺塞栓領域の把握を行いやすくなる(信号の変動に強い、ロバストな結果を出すことができる)。
【0032】
標準偏差処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の標準偏差を算出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、解析結果の値(換気や血流)の変動量が(複雑な計算アルゴリズム不要で)分かるので、換気や血流の有無を一目で把握できるようになる。例えば、無気肺や肺塞栓領域の把握を行いやすくなる。また、処理コストを低く抑えることができる。
【0033】
積算値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の積算値を算出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、解析結果の値(換気や血流)のある一定時間分の積算結果が分かるので、ノイズまたはアーチファクトの影響を低減させることができ、換気や血流の有無の把握が行いやすくなる。また、複数呼吸分、複数心拍分の解析結果を積算することで、呼吸や心拍のばらつき影響を低減させることができる。また、ある一定時間の間に計測した値を積算した値、または画像を最終結果として出力する他モダリティー(例えばシンチグラフィ)と、類似した物理量を導出できる為、積算値処理を行うことで上記のような他モダリティーの情報と比較が行いやすくなる。その結果、診断の精度が向上する。更に、画素値は線量と関係が有る場合がある為、総照射線量(総被曝量)の推定が行いやすくなる為、被検者の被ばく管理などに有用である。
【0034】
平均値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1における、各共通座標画素の信号値の平均値を算出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、ノイズまたはアーチファクトの影響を低減させた上で、換気や血流の有無を一目で把握できるようになる。例えば複数呼吸分、複数心拍分の解析結果に対して平均値処理を実施することで、呼吸や心拍のばらつき影響を低減させることができる。
【0035】
最大微分値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1の前後する2枚のフレーム画像における各共通座標画素の信号値の差分(または比)を算出し、得られた各差分(または各比)の中の最大値を抽出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、手軽に時間変化速度の最大値あるいは、時間変化加速度の最大値を把握することができる。例えば呼気時のフレームを特定解析フレームとするとこで、息の吐きやすさを評価し易くなるため、閉塞性疾患や拘束性疾患など、動きや加速度に変化が生じる疾患領域を検出しやすくなる。
【0036】
最小微分値処理は、複数の特定解析フレーム画像I
1の前後する2枚のフレーム画像における各共通座標画素の信号値の差分または比を算出し、得られた各差分または各比の中の最小値を抽出して演算信号値とする処理である。この処理により得られた解析画像からは、手軽に時間変化速度の最小値あるいは、時間変化加速度の最小値を把握することができる。例えば呼気時のフレームを特定解析フレームとするとこで、息の吐きやすさを評価し易くなるため、閉塞性疾患や拘束性疾患など、動きや加速度に変化が生じる疾患領域を検出しやすくなる。
【0037】
なお、制御部11は、一度に異なる複数種類の解析結果動画に演算処理を加える旨の指示を受ける(サマリー表示領域15Aにドラッグ及びドロップされる)と、解析結果動画ごとに演算処理を行うことが可能となっている。
【0038】
また、制御部11は、上記演算処理を施すことで生成した演算画像データに基づく演算結果画像I
2を、自動で又はユーザーからの指示に基づいて表示部15に表示することが可能となっている。すなわち、制御部11は、本発明における画像表示手段をなす。
【0039】
また、本実施形態の放射線画像処理装置1は、表示部15の表示領域の少なくとも一部にサマリー表示領域15Aを形成することが可能となっている。サマリー表示領域15Aは、主に、上述した演算結果画像I
2を表示するための領域である。
サマリー表示領域15Aは、常時表示されるものであってもよいし、必要に応じて表示・非表示が切り替えられるものであってもよい。また、サマリー表示領域15Aは、表示部15の一部に表示されるものであっても、全体に表示されるものであってもよい。
なお、表示部15とは異なる他の表示装置を備え、そこによりサマリー表示領域15Aを表示するようにすることも可能である。
【0040】
サマリー表示領域15Aにおいては、演算結果画像I
2等を様々な表示態様で表示することが可能となっている。本実施形態においては、単独表示態様、並列表示態様、重畳表示態様、切替表示態様の4種類の表示態様がある。
また、演算結果画像I
2を、サマリー表示領域15Aだけではなく、表示部15に表示するようにしてもよい。
【0041】
単独表示態様は、例えば
図2(c),(d)又は(e)に示したように、一のサマリー表示領域15Aに一の演算結果画像I
2を表示する態様である。
なお、単独表示態様のサマリー表示領域15Aを、同時に複数表示するようにしてもよい。
【0042】
重畳表示態様は、
図2(f)や
図4(c)に示したように、演算結果画像I
2を、元動画I
0や、元フレーム画像I
0、解析結果動画I
1、解析フレーム画像I
1、他の演算結果画像I
2に重畳させて表示する表示態様である。因みに、
図2(f)は、演算結果画像I
2を元動画又は元フレーム画像I
0に重畳した例、
図4(c)は異なる解析処理を施した二種類の解析画像データにそれぞれ同じ演算処理(MIP処理)を施して得られた二枚の演算結果画像I
2同士を重畳した例である。
なお、3種類以上の画像を重畳表示することも可能である。
以下、重畳表示態様で表示された画像を重畳画像I
3と称することがある。
【0043】
並列表示態様は、
図3や
図4(b),(d)に示したように、演算結果画像I
2を、元動画I
0や、元フレーム画像I
0、解析結果動画I
1、解析フレーム画像I
1、他の演算結果画像I
2、重畳画像I
3と並べて表示する表示態様である。因みに、
図3は特定解析フレーム画像I
1の選択枚数だけを変えて同一の演算処理(MIP処理)を施した複数の演算結果画像I
2を並べた例、
図4(b)は異なる解析処理を施した二種類の解析動画データにそれぞれ同じ演算処理(MIP処理)を施して得られた二枚の演算結果画像I
2を並べた例、
図4(d)は、異なる複数の演算結果画像I
2、これらの重畳画像I
3及び元動画又は元フレーム画像I
0を並べた例である。
また、上述したように、異なる複数種類の演算処理を行った場合には、各演算結果を並列表示することが可能である。
【0044】
切替表示態様は、
図5に示したように、演算結果画像I
2、元動画I
0、元フレーム画像I
0、解析結果動画I
1、解析フレーム画像I
1、他の演算結果画像I
2及び重畳画像I
3の中から一の画像を所定時間表示した後、当該画像と入れ替えで当該画像とは異なる画像を表示する表示態様である。因みに、
図5はある演算結果画像I
2、他の演算結果画像I
2、これらの重畳画像I
3、元動画又は元フレーム画像I
0の順で変更した場合の例である。
【0045】
なお、並列表示態様と切り替え表示態様を組み合わせることも可能である。すなわち、一のサマリー表示領域15Aに複数の画像を切り替えながら表示することも可能である。
また、上記表示態様の説明では、サマリー表示領域15Aに表示される画像には、演算結果画像I
2が必ず含まれるものとしたが、含まない形で表示することも可能である。すなわち、元動画又は元フレーム画像I
0と解析結果動画又は解析フレーム画像I
1を重畳表示、並列表示、切替表示することも可能である。
【0046】
上述したように、本実施形態に係る放射線画像処理装置1は、複数の元フレーム画像からなる元動画(放射線動画)の動画データを取得する画像取得手段と、画像取得手段が取得した動画データに所定の解析処理を加え、複数の解析フレーム画像からなる解析結果動画を生成する解析手段と、解析手段が生成した解析結果動画を構成する複数の解析フレーム画像の中から複数の特定解析フレーム画像を選択する選択手段と、選択手段によって選択された複数の特定解析フレーム画像における、共通する座標上にそれぞれ位置する各共通座標画素の信号値に基づいて一の演算信号値を導出する演算処理手段と、前記演算処理手段が座標ごとに生成した複数の演算信号値を用いて前記表示部に演算結果画像を表示する画像表示手段と、を備えたものとなっている。
【0047】
サマリー表示領域15Aにおいて、上述したような動画又は静止画像の表示を行うことにより、ユーザーにとって関心の高い演算結果画像I
2を直感的に得ることができる。その結果、ユーザー自身が診断に適切な表示方法を容易に探ることができ、読影精度が向上する。
また、表示部15に表示される動画のどこを注力して読影するべきかユーザーが理解し易くなり、効率的に読影できるようになるとともに、読影洩れを防止することができる。その結果、診断の精度を向上させることができる。
また、任意のフレーム画像を選択可能としているので、アーチファクト(ノイズ)が混入していると推定されるフレーム画像を容易に取り除くことができ、解析結果の精度が向上する。
すなわち、動画から、ポイントとなる情報だけを容易に読影することができ、ユーザーの負担が低減する。
【0048】
また、
図3に示したように、フレーム画像の選択枚数だけを変えて同一の演算処理(MIP処理)を施した複数の演算結果画像I
2を並列表示すれば、演算処理の妥当性、すなわち、選択フレームの範囲を広くしすぎたのか、もう少し広げられそうか等をユーザーに直感的にすばやく把握させることができる。
また、
図4に示したように、異なる種類の複数の動画(フレーム画像の一覧)からそれぞれ選択したフレーム画像に対して演算処理した結果を並列表示したり、複数の動画からそれぞれ選択したフレーム画像に対して演算処理した結果を重畳表示したりすることで、診断に有用な「V/Q(換気血流比)画像」をユーザーの手で容易に作成することが可能となる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る放射線画像処理装置について説明する。
図6〜9は本実施形態に係る放射線画像処理装置が行う画像選択の概念図である。なお、
図6には、肺野領域の画像を例示したが、本実施形態に係る放射線画像処理装置1は、肺野以外にも、心臓領域、肺動脈、大動脈又は肺気管支等、所定周期で同じ動作を繰り返す部位の動画であれば扱うことが可能である。
【0050】
第1実施形態では、演算処理を施す対象となる特定解析フレーム画像I
1をユーザーが選択するようにしていたが、本実施形態に係る放射線画像処理装置1Aは、予め設定された選択パターンに基づいて特定解析フレーム画像I
1を自動的に選択するようになっている。
このため、本実施形態に係る放射線画像処理装置1Aは、実行する制御(記憶部13Aの記憶内容)が第1実施形態と異なっている。なお、記憶部13Aの記憶内容を除く他の構成は第1実施形態と同様である。
【0051】
すなわち、放射線画像処理装置1Aは、記憶部13Aに、自動選択の範囲を規定する選択パターンを複数格納しており、ユーザーが操作部14に対して行った操作に基づいて、予め用意された複数の選択パターンの中から何れかの選択パターンを設定する。そして、ユーザーが特に注意して読影したい関心領域(例えば
図6(a)で符号Rで示したような領域)を選択すると、設定した選択パターンに基づいて前記特定解析フレーム画像を自動的に選択するようになっている。
【0052】
本実施形態に係る放射線画像処理装置1Aにおいて設定可能な選択パターンには、大きく分けて(1)極大値(極小値)−極大値(極小値)、(2)極大値(極小値)−極小値(極大値)、(3)極大値(極小値)とその前後所定範囲、の3つがある。
なお、このうちのいずれかのパターンのみが予め設定されている(ユーザーによる設定はできない)ようにしてもよいし、このうちの2パターンの中からユーザーが設定できるものとしてもよい。更に、ここで例示した以外のパターンを含むようにしてもよい。
【0053】
選択パターン(1)が選択されると、放射線画像処理装置1は、少なくとも肺野、心臓領域、肺動脈、大動脈、あるいは肺気管支の一部が含まれる関心領域R(Region Of Interest;ROI)内の複数の画素信号値の平均値の時間方向の変化を数値化する(
図6(b)に示したようにグラフ化する)。そして、
図6(b),(c)に示したように、ある極大値(極小値)から、当該極大値(極小値)と隣り合う極大値(極小値)までの間のフレーム画像(一周期分の動作を表す動画;選択範囲r
1)、又はある極大値(極小値)から、当該極大値と隣り合わない極大値(極小値)までの間の解析フレーム画像(複数周期分の動作を表す動画;選択範囲r
2)を特定解析フレーム画像として自動選択する。
なお、r
1とr
2のどちらの選択範囲とするかは、ユーザーが選択パターンを設定する際に併せて設定するよう構成してもよいし、制御部11が自動的に判断するよう構成してもよい。
【0054】
診断対象が
図6(a)に示したような肺野である場合、この選択範囲r
1,r
2は、吸気位から再度吸気位となるまでの動きを表すことになる。一方、診断対象が心臓である場合には、心収縮期から再度心収縮期となるまでの動きを表すことになる。
肺機能を把握する上では、肺の一呼吸分の動作や心臓の一心拍分の動作等、少なくとも一周期分の情報を読影することが重要である。このため、ここで挙げたような解析フレーム画像の選択パターンを設定することで、呼吸周期や心拍周期に関係する肺機能(例えば、肺への空気の出入り量(1回換気量)、肺野内への血液の出入り量(心拍出量、1回拍出量))を正確に把握することができる。
特に、複数周期に亘る選択範囲r
2を設定することで、呼吸や心拍のバラつきを低減することが可能である。
【0055】
選択パターン(2)が選択されると、放射線画像処理装置1は、関心領域R内の平均値の時間方向の変化を数値化(グラフ化)する。そして、
図7(a)に示したように、ある極大値から、当該極大値の後(グラフでは右側)に隣り合う極小値までの間の解析フレーム画像(選択範囲r
3)、又は
図7(b)に示したように、ある極小値から、当該極小値の後(グラフでは右側)に隣り合う極大値までの間の解析フレーム画像(選択範囲r
4)を特定解析フレーム画像として自動選択する。
なお、
図7に示したように、一のグラフに対して選択範囲r
3又はr
4を複数周期分設定することが可能である。
なお、r
3とr
4のどちらの選択範囲とするかは、ユーザーが解析フレーム画像の選択パターンを設定する際に併せて設定できるようにしてもよいし、制御部11が自動的に判断するようにしてもよい。
【0056】
診断対象が肺野である場合には、選択範囲r
3は呼気中、選択範囲は吸気中の動きを表すことになる。一方、診断対象が心臓である場合には、選択範囲r
3又はr
4は心臓収縮中又は心臓膨張中の動きを表すことになる。
複数の呼気中(吸気中)あるいは心臓膨張中(心臓収縮中)の解析フレーム画像の結果に対して演算処理を加えることによって、呼吸や心拍のバラつきなどのノイズ影響を低減させることができ、血液が肺野に広がっていく心収縮中の様子、心臓に血液が戻っていく心膨張中の様子、吸気で肺が広がっていく様子、呼気で肺が縮んでいく様子等を精度よく把握することができる。
また、例えば閉塞性疾患患者の息の吐きにくさの評価、拘束性疾患や肥満の方の息の吸い難さの評価、心臓の動き方が不連続になる不整脈などの評価にも有用である。
【0057】
選択パターン(3)が選択されると、放射線画像処理装置1は、関心領域R内内の平均値の時間方向の変化を数値化(グラフ化)する。そして、
図8(a)に示したように、ある極大値となる時間tから所定時間t
1だけ前に撮影された解析フレーム画像から、当該極大値となる時間から所定時間t
2だけ後に撮影された解析フレーム画像まで(t−t
1〜t+t
2:選択範囲r
5)、又は
図8(b)に示したように、ある極小値となる時間tから所定時間t
1だけ前に撮影された解析フレーム画像から、当該極小値となる時間から所定時間t
2だけ後に撮影された解析フレーム画像まで(t−t
1〜t+t
2:選択範囲r
6)を特定解析フレーム画像として自動選択する。所定時間t
1,t
2は一周期(呼吸周期、心拍周期)の1/4以下とするのが好ましく、より好ましくは1/8以下とする。
【0058】
なお、
図8には、所定時間t
1とt
2が同じ長さである場合を例示したが、t
1とt
2は異なっていてもよい。
また、時間ではなく、極大からの解析フレーム画像数で範囲を規定するようにしてもよい。
更に、
図8に示したように、一のグラフに対して選択範囲r
5又はr
6を複数周期分設定することが可能である。
呼吸周期(心拍周期)は患者ごとに、スパイロメトリやモストグラフ、心電図等で計測した値を用いても良いし、各国、身長や性別、年齢などで定められた平均的な値を用いても良い。
【0059】
診断対象が肺野である場合には、極大及びその周辺は吸気位辺り、極小及びその周辺は呼気位辺りの動きを表すことになる。一方、診断対象が心臓である場合には、心臓収縮期辺り又は心臓膨張期辺りの動きを表すことになる。
複数の呼気位(吸気位)又は心臓膨張期(心臓収縮期)付近の解析フレーム画像の結果に対して演算処理を加えることによって、血液が肺野に広がり切った心収縮期の様子、心臓に血液が戻り切った心膨張期の様子、呼吸により肺が広がりきった様子、肺が縮み切った様子等を精度よく把握することができる。
【0060】
心臓から肺に血が広がる速度は速い為、肺野内のどこに血液が流れて行ったかを把握するのは通常の解析結果(動画)を見ているだけでは容易ではない。一方、全ての解析フレーム画像に対して演算処理を加えるとアーチファクトも多く付加されるデメリットがある。このため、血液が肺野に広がり切る前後の解析フレーム画像に対して演算処理を加えることで、アーチファクトの少ない肺血流分布画像を得ることが可能となる。つまり、選択パターン(3)によって得られた特定解析フレーム画像は、肺血流に関する疾患の把握に有用である。例えば、肺塞栓など局所的な肺血流機能欠損領域の把握や、心機能が低下する心不全や心肥大の評価に有用である。一方で、(3)によって得られた特定解析フレーム画像は同様な理由でアーチファクトの少ない換気機能画像となる為、局所的な肺換気機能欠損領域の把握や、横隔膜がどこまで広がっているか等、肺の広がり方の評価にも有用である。
【0061】
なお、特定解析フレーム画像を複数周期分選択する場合には、サマリー表示領域15Aに各選択範囲の演算結果画像を並列表示するようにしてもよい。
こうすることで、どの呼吸(どの心拍)が最も正常/異常かを判断し易くなる。
【0062】
なお、選択パターン(3)においては、所定時間t
1,t
2のいずれか一方を0としてもよい。すなわち、
図9(a)に示したように、ある極大値となる時間tから所定時間t
2だけ後に撮影された解析フレーム画像まで(極大〜t+t
2:選択範囲r
7)、ある極小値となる時間tから所定時間t
2だけ後に撮影された解析フレーム画像まで(極小〜t+t
2:選択範囲r
8)、ある極大値となる時間tから所定時間t
1だけ前に撮影された解析フレーム画像から当該極大まで(t−t
1〜極大:選択範囲r
9)、又はある極小値となる時間tから所定時間t
1だけ前に撮影された解析フレーム画像から当該極小まで(t−t
1〜極小:選択範囲r
10)を特定解析フレーム画像として自動選択するようにしてもよい。
【0063】
なお、本実施形態では、関心領域R内の画素信号値の平均値の時間方向の変化を数値化(グラフ化)し、そこから特定解析フレーム画像を選択するようにしたが、他の統計値(最大値、最小値、最頻値、積算値、標準偏差等)を用いて特定解析フレーム画像を選択するようにしてもよい。
【0064】
また、横隔膜移動量の時間変化や、肺野面積の時間変化、肋間距離の変化量の時間変化、肺野領域の水平方向の広がりの時間変化、心臓面積の時間変化、大動脈弓の位置の時間変化等の形態情報の時間方向変化を元に、特定解析フレーム画像を選択するようにしても良い。
撮影対象が、例えば肺野や心臓領域にて脂肪や筋肉などが不均一に分布している体型の患者(肥満の方や女性等に多い)であったり、撮影中に体が上下左右に大きく動いてしまう(体動が大きい)患者であったりする場合、画素値を用いた時間変化情報が正確に呼吸状態や心拍状態を反映していない場合がある。しかし、形態情報の時間方向の変化を用いることで、このような患者に対しても特定解析フレーム画像を精度よく選択することができるようになる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る放射線画像処理装置1Bについて説明する。
図10は放射線画像処理装置1Bにおける画像処理の概念図であり、
図11,12は処理結果の表示例である。
なお、
図10には、肺野領域の画像を例示したが、本実施形態に係る放射線画像処理装置1Bは、肺野以外の部位を撮影した動画についても処理・表示することが可能である。
【0066】
第1,第2実施形態では、サマリー表示領域15Aに表示する内容を画像のみとしたが、本実施形態に係る放射線画像処理装置1Bは、所定の定量値をサマリー表示領域15Aに表示するようになっている。
このため、本実施形態に係る放射線画像処理装置1Bは、実行する制御(記憶部13Bの記憶内容)が第1,第2実施形態と異なっている。なお、記憶部13Bの記憶内容を除く他の構成は第1,第2実施形態と同様である。
【0067】
放射線画像処理装置1Bの制御部11は、複数の演算信号値を算出した後、演算結果画像の関心領域R内に位置することになる複数の画素の信号値に基づいて定量値Qを導出するようになっている。すなわち、制御部11は、本発明における定量値算出手段をなす。なお、関心領域Rは、本発明における特定領域である。以下、関心領域R内に位置することになる画素を領域内画素と称する。なお、関心領域Rは複数設定されていても良く、その場合は、各々の関心領域Rに対応した定量値Qを各々個別に導出しても良いし、複数設定された各々の関心領域Rをまとめて一つとみなして、一つの定量値Qを導出しても良い。
定量値Qの導出の仕方としては、例えば、最大値処理、最小値処理、Pk−Pk値処理、標準偏差処理、平均値処理、最頻値処理、積算値処理等がある。
【0068】
最大(小)値処理は、演算結果画像の関心領域R内に位置することになる複数の領域内画素の各信号値の中から最大(小)値を抽出して定量値Qとする処理である。この処理により得られた定量値Qを用いれば、経過観察(換気、血流の悪化・良化等)や、左右肺機能の比較等を行うことができる。特に、低い計算コストで、肺換気機能や肺血流機能、心機能に関する特徴量の最大(小)値を把握できるので、例えば、治療前後などの経過観察(肺活量の変化や血圧の変化を見る)に有用である。
【0069】
最頻値処理は、複数の領域内画素の各信号値の中から最頻値を抽出して定量値Qとする処理である。この処理により得られた定量値Qを用いれば、経過観察や左右肺機能の比較等を行うことができる。特に、演算結果画像上に特異的に発生する画欠等のアーチファクトの影響を低減できる為、関心領域R内の肺換気機能や肺血流機能、心機能を精度よく把握することができる。
【0070】
Pk−Pk値処理は、複数の領域内画素の各信号値の中から最大値と最小値を抽出してその差分を算出し、当該領域内画素の数に対する最大値と最小値との差の割合を算出して定量値Qとする処理である。この処理により得られた定量値Qを用いれば、経過観察や左右肺機能の比較等を行うことができる。特に、肺換気機能や肺血流機能、心機能に関する特徴量の変化量を把握できるので、関心領域R内における上記各機能の特徴量のバラつき(局所的に肺換気機能や肺血流機能が異常を示す疾患)を把握しやすくなる。
【0071】
標準偏差処理は、複数の領域内画素の各信号値の標準偏差を算出して定量値Qとする処理である。この処理により得られた定量値Qを用いれば、経過観察や左右肺機能の比較等を行うことができる。特に、低い計算コストで、肺換気機能や肺血流機能、心機能に関する特徴量の変化量を把握できるので、関心領域R内の上記各機能のバラつきを把握しやすくなる。
【0072】
平均値処理は、複数の領域内画素の各信号値の平均値を算出して定量値Qとする処理である。この処理により得られた定量値Qを用いれば、経過観察や左右肺機能比較等を行うことができる。特に、低い計算コストで、関心領域R内の肺換気機能や肺血流機能、心機能を把握することができる。
【0073】
積算値処理は、複数の領域内画素の各信号値の積算値を算出して定量値Qとする処理である。この処理により得られた定量値Qを用いれば、経過観察や左右肺機能比較等を行うことができる。特に、関心領域Rの取り方にわずかな変化があっても算出される定量値Qに変化が少ない為、測定誤差が生じにくくなる。また、関心領域R内のトータルでの肺機能、心機能を把握しやすくなる。
【0074】
なお、定量値Qは、関心領域R内の領域内画素の信号値に基づいて導出するのではなく、演算結果画像の全画素のうち、信号値が所定閾値以上、所定閾値以下又は所定範囲内にある画素の個数(面積)としてもよい。
このようにすれば、例えば、肺全体(全体肺面積)に対して、正常又は異常な肺領域が全体の何割あるか等の情報を容易に把握でき、肺の局所的な機能分布(どこに肺機能の低下、欠損があるか)を評価しやすくなる。
【0075】
本実施形態において、関心領域Rとして設定できるのは、全画像領域、肺野内、心臓領域内、肺動脈内、大動脈内、肺気管支内である。
全画像領域を関心領域Rとした定量値Qを用いれば、計算コストをかけずに、手軽に大局的な肺換気機能、肺血流機能、心機能を把握することができる。
肺野内を関心領域Rとした定量値Qを用いれば、肺換気機能(呼吸に伴う濃度の変化、横隔膜の動き、肋骨の動き、鎖骨の動き、肩甲骨の動きなど)、肺血流機能(心拍に伴う濃度の変化、血管の動き)を把握することができる。
【0076】
心臓領域内を関心領域Rとした定量値Qを用いれば、心機能(心壁の移動量(移動速度、加速度)、心拍に伴う濃度の変化量(濃度変化速度、濃度変化加速度))を把握することができる。
肺動脈内を関心領域Rとした定量値Qを用いれば、肺血流機能、心機能を把握することができる。
大動脈内を関心領域Rとした定量値Qを用いれば、体循環の血流機能(心拍に伴う濃度の変化、血管の動き)、心機能を把握することができる。
肺気管支内を関心領域Rとした定量値Qを用いれば、肺換気機能の把握、気道の肥厚の程度、気道収縮の程度、無気肺/胸水/腫瘤、のう胞/肺気腫の有無などを把握することができる。
【0077】
なお、定量値Qの表示は、
図10(a)に示したように単独で行ってもよいし、
図10(b),(c)に示したように、画像と併せて行うようにしてもよい。
画像I
2,I
3と併せて表示する場合には、
図10(b)に示したように並列表示する他、切替表示、重畳表示することも可能である。
また、
図10(c)に示したように、画像I
2,I
3と関心領域Rを重畳表示し、更にその中に定量値Qを表示するようにしてもよい。このようにすれば、左右の肺機能を直感的に把握することが可能となる。
【0078】
また、制御部11は、種類の異なる複数のフレーム画像群からそれぞれフレーム画像を選択(サマリー表示領域15Aにドラッグ及びドロップ等)した場合は、各動画についての演算結果画像I
2を生成するだけでなく、各動画についての定量値Qも算出する。
このとき、換気解析動画(解析結果動画)について算出した定量値Qと、血流解析動画(解析結果動画)について算出した定量値Qを用いた特徴量(比や差分など)を算出し、
図11に示したようにV/Q比(換気血流比)を示すV/Q画像Vを表示するようにしても良い。
このようにすれば、ユーザーが正常異常の判断を行いやすくなるだけでなく、経時的な比較が可能となる。
【0079】
また、
図12(a)に示したように、左右の肺ごとに定量値Qを算出し、さらに各定量値Qの左右肺比率を算出して定量値Qとともに表示するようにしても良い。こうすることで、左右肺の肺機能の不均等がわかり易くなり、正常と異常の把握が行いやすくなる。
また、心臓領域を診断対象とする場合には、
図12(b)に示したように、心室、心房、右心系、左心系ごとに定量値Q及び比率を算出し、表示するようにしてもよい。こうすることで、心機能の不均衡がわかり易くなり、正常と異常の把握が行いやすくなる。
【0080】
また、本実施形態において算出した定量値Qについては、演算結果画像I
2を保存する際、画像のヘッダーに保存するようにしても良い。このようにすれば、演算結果画像I
2を再度読み込む際、演算結果画像I
2のファイル名一覧でヘッダー情報の有無を見ることにより、必要な場合のみ定量値Qを表示させることができる。
また、画像とは別データ(テキストやCSVファイルなど)として保存しても良い。そうすることで、定量値Qのみを再度見直すことが容易になるし、不要に画像を毎回開く手間が減り、経過観察等の作業効率が向上する。
【0081】
(変形例1)
なお、上記実施形態においては、サマリー表示領域15Aに選択した複数の解析フレーム画像に基づく演算結果画像や定量値Qを表示するようにしたが、
図13に示したように、単に選択(サマリー表示領域15Aにドラッグ及びドロップ)した複数のフレーム画像のみを表示するようにしてもよい。
なお、本変形例においても、上記実施形態と同様、選択するフレーム画像は必ずしも連続のフレーム画像である必要はない。また、サマリー表示領域15Aへの表示は、フレーム画像の選択後自動的に行ってもよいし、ユーザーの操作(例えばOKボタンをクリックする等)に基づいて行うようにしてもよい。
【0082】
また、異なる複数種類のフレーム画像の一覧からそれぞれフレーム画像を選択した場合は、
図14(a)に示したように重畳画像I
3の表示(ここでは、元フレーム画像と解析フレーム画像の重畳表示)の他、
図14(b)に示した並列表示(ここでは、解析フレーム画像I
2、元フレーム画像I
0及び重畳画像I
3の並列表示)、
図14(c)に示した切替表示(ここでは、解析フレーム画像I
2、元フレーム画像I
0及び重畳画像I
3の切替表示)を行う。
なお、異なる複数種類の動画の中からそれぞれフレーム画像を選択する際、それぞれのフレーム画像数は同一であっても異なっていても良い。
【0083】
本変形例のようにすれば、ユーザーにとって関心の高いフレーム画像のみがサマリー表示領域15Aに表示される為、ユーザーは読影に注力しやすくなり、読影精度が向上する。
特に、1呼吸分など呼吸周期の整数倍に相当するフレーム画像のみをサマリー表示領域15Aに表示することで、呼吸が正しく行われているかを評価しやすくなる。
また、1心拍分など、心拍周期の整数倍に相当するフレーム画像のみをサマリー表示領域15Aに表示することで、心臓が正常に動いているかを評価しやすくなる。
また、吸気始めあるいは、呼気始めに相当するフレーム画像のみをサマリー表示領域15Aに表示することで、呼吸器疾患症例に対しての、息の吸い難さや息の吐きにくさを評価しやすくなる。
また、心膨張あるいは心収縮に相当するフレーム画像のみをサマリー表示領域15Aに表示することで、心疾患症例に対しての、血液の拍入のし易さ、血液の拍出のし易さ、不整脈の有無や心肥大の有無を評価しやすくなる。
また、肺機能が正常あるいは異常と判断したフレーム画像群をサマリー表示領域15Aに表示させたうえで、表示部15に元々表示されているフレーム画像の一覧と比較することで、表示部15に元々表示されているフレーム画像群が総じて正常なのか異常なのかを判断しやすくなる。すなわち、画像表示部に元々表示されているフレーム画像群の読影効率が向上する。
【0084】
なお、
図15(a)に示したように、換気解析結果と、血流解析結果をサマリー表示領域15Aに重畳表示することで、容易に換気機能と血流機能を比較する画像(V/Q画像)と同等の画像を得ることができる。
このようにすれば、ユーザーが選択したフレーム画像のみを用いて換気機能と血流機能の比較が行える為、例えばアーチファクトの影響をあまり受けていないV/Q画像を得ることができ、診断精度が向上する。
また、
図15(b)に示したように、換気解析結果と、血流解析結果、これらの重畳画像及び元画像の並列表示や、切替表示も可能である。
【0085】
(変形例2)
また、上記実施形態では、表示部15に表示されたフレーム画像の一覧の中から、サマリー表示領域15Aに解析結果動画等を表示するためのフレーム画像を選択するようにしていたが、
図16に示したように、表示部15において動画を再生し、動画から必要な画像を直接ドラックしサマリー表示領域15Aにドロップするようにしても良い。
【0086】
また、
図17に示したように、各フレーム画像にチェックボックスBを設け、チェックCを入れたフレーム画像がサマリー表示領域15Aに表示されるようにしても良い。このようにすれば、サマリー表示領域15Aに表示されたフレーム画像又は動画を見ながら、チェックCを入れるフレーム画像を選べるため、ユーザーが選択したフレーム画像が妥当かどうか(診断にふさわしいフレーム画像かどうか)判断を素早く行うことが可能となる。
【0087】
(変形例3)
また、
図18に示したように、選択されサマリー表示領域15Aに表示されるフレーム画像については、選択されていないフレーム画像や動画とは異なるルックアップテーブル(Lookup table;LUT)を適用した画像I
Lを表示してもよい。具体的には、濃度、コントラスト、カラーマップの変更し表示する。
このようにすれば、ユーザーが関心の高い画像が、ユーザーの関心の高い色づけでサマリー表示領域15Aに表示される為、ユーザーは読影に注力しやすくなり、読影精度が向上する。