特許第6805939号(P6805939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805939
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/06 20060101AFI20201214BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A01D57/06
   A01D67/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-71738(P2017-71738)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-171011(P2018-171011A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大器
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 鷹人
(72)【発明者】
【氏名】山本 次郎
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
(72)【発明者】
【氏名】中井 正司
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−134920(JP,A)
【文献】 特開2004−275033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/06
A01D 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈取って搬送する刈取前処理装置(3)に、穀稈を搬送する搬送装置(10)と穀稈の株元を切断する刈刃装置(20)を有する刈取装置(80)と、該刈取装置(80)により刈取られた穀稈を寄せ集めるオーガ(32)を有する刈取テーブル(30)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(40)を備え、 前記刈取装置(80)の後部を前記刈取テーブル(30)の前部に上下回動可能に支持し、前記搬送装置(10)に、第1搬送装置(10A)と、この第1搬送装置(10A)よりも右側に配置された第2搬送装置(10B)を有するコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)に備える各装置を駆動制御する制御装置(100)を備え、
前記搬送装置(10)の駆動開始時に、前記第1搬送装置(10A)よりも前記第2搬送装置(10B)が高速で駆動される構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記搬送装置(10)の駆動が開始されてから所定時間が経過すると、前記搬送装置(10)の駆動速度が、機体の走行速度に基づいて決定される基準速度に変速される請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記搬送装置(10)の駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間、前記オーガ(32)および前記フィーダハウス(40)の駆動速度が増速される請求項2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場に植生する穀稈の刈刃で切断する部位より上側の部分を後方に向かって搬送する搬送装置を有する刈取前処理装置を備えたコンバインが提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−54266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のコンバインにおいては、搬送装置の駆動開始時に、この搬送装置の後方に位置するオーガにおいて急に大量の穀稈が供給されて搬送が停滞し、詰まりが発生することがある。畔際から刈取りを開始したときに雑草等が紛れ込み、処理物の量が多くなる場合に、上記の傾向は特に顕著である。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、穀稈を円滑に搬送して、効率的な穀稈処理を実現するコンバインを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0007】
請求項1に係る発明は、穀稈を刈取って搬送する刈取前処理装置(3)に、穀稈を搬送する搬送装置(10)と穀稈の株元を切断する刈刃装置(20)を有する刈取装置(80)と、該刈取装置(80)により刈取られた穀稈を寄せ集めるオーガ(32)を有する刈取テーブル(30)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(40)を備え、 前記刈取装置(80)の後部を前記刈取テーブル(30)の前部に上下回動可能に支持し、前記搬送装置(10)に、第1搬送装置(10A)と、この第1搬送装置(10A)よりも右側に配置された第2搬送装置(10B)を有するコンバインにおいて、前記刈取前処理装置(3)に備える各装置を駆動制御する制御装置(100)を備え、前記搬送装置(10)の駆動開始時に、前記第1搬送装置(10A)よりも前記第2搬送装置(10B)が高速で駆動される構成としたことを特徴とするコンバインである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記搬送装置(10)の駆動が開始されてから所定時間が経過すると、前記搬送装置(10)の駆動速度が、機体の走行速度に基づいて決定される基準速度に変速される請求項1に記載のコンバインである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記搬送装置(10)の駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間、前記オーガ(32)および前記フィーダハウス(40)の駆動速度が増速される請求項2に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、搬送装置(10)の駆動開始時に、前記第1搬送装置(10A)よりも前記第2搬送装置(10B)が高速で駆動されるので、第1搬送装置(10A)と第2搬送装置(10B)とで、オーガ(32)やフィーダハウス(40)への穀稈の供給開始タイミングを異ならせることができ、急激な穀稈供給による詰まりを防止することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、搬送装置(10)の駆動が開始されてから所定時間が経過すると、搬送装置(10)の駆動速度が、機体の走行速度に基づいて決定される基準速度に変速されるので、走行速度に応じて穀稈を適切な速度で搬送することができ、搬送姿勢を安定させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、搬送装置(10)の駆動が開始されてから所定時間が経過するまでの間、オーガ(32)およびフィーダハウス(40)の駆動速度が増速されるので、穀稈の詰まりをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】汎用コンバインの平面図である。
図2】刈取前処理装置の左側に配置された搬送装置の左側面図である。
図3】刈取前処理装置の右側に配置された搬送装置の左側面図である。
図4】刈取前処理装置の平面図である。
図5】制御装置の要部の制御ブロック図である。
図6】制御装置による自動高さ制御のフローチャートである。
図7】制御装置による駆動開始制御のフローチャートである。
図8】制御装置による駆動終了制御のフローチャートである。
図9】制御装置による駆動速度制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から視て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として方向を示しながら説明する。
【0015】
図1に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が配置され、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が配置され、刈取前処理装置3の後左側に収穫された穀稈の脱穀・選別処理を行なう脱穀装置4が配置されている。
【0016】
刈取前処理装置3の後右側に操縦者が搭乗する操縦部5が配置され、操縦部5の後側に脱穀装置4で選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク6が配置され、グレンタンク6の下部には、グレンタンク6に貯留された穀粒を外部に排出する排出筒7の下部が連通されている。
【0017】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置10と、搬送装置10の下側に搬送される穀稈の株元を切断する刈刃装置20と、搬送装置10の後側に搬送された穀稈をオーガフレーム31の送込口の前側に寄せ集めるオーガ32を備えるオーガ装置(刈取テーブル)30と、オーガ装置30の後側に送込口の前側に寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス40から構成されている。なお、以下の説明において、搬送装置10と刈刃装置20を総称して刈取装置80と称することがある。
【0018】
図2〜4には、圃場の2畦上に植えられた穀稈をオーガ装置30に搬送する左側に配置された第1搬送装置10Aと右側に配置された第2搬送装置10Bを備える搬送装置10が示されている。第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bの構成は実質的に同一であり、重複した説明を避けるために第1搬送装置10Aについてのみ説明して、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0019】
第1搬送装置10Aは、左側に配置される左側搬送装置15と、右側に配置される右側搬送装置16から構成されている。また、左側搬送装置15は、上側に配置される左上側搬送装置11と、下側に配置される左下側搬送装置12から構成され、右側搬送装置16は、上側に配置される右上側搬送装置13と、下側に配置される右下側搬送装置14から構成されている。
【0020】
左上側搬送装置11は、ケース11Aの下側には、上下方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する支持フレーム11Bが設けられている。ケース11Aと支持フレーム11Bの後部には、駆動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸11Cが設けられ、ケース11Aと支持フレーム11Bの前部には、従動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸11Dが設けられている。また、駆動用プーリと従動用プーリには、穀稈を搬送する搬送ラグが所定の間隔で装着されたベルト11Eが巻回られている。
【0021】
左下側搬送装置12は、ケース12Aの下側には、上下方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する支持フレーム12Bが設けられている。ケース12Aの後部とには、駆動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸12Cが設けられ、ケース12Aと支持フレーム12Bの前部には、従動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸12Dが設けられている。また、支持フレーム12Bの後部は、連結部材60を介してエンジンの回転を伝動する縦伝動ケース52の前部に固定され、駆動用プーリと従動用プーリには、穀稈を搬送する搬送ラグが所定の間隔で装着されたベルト12Eが巻回られている。なお、縦伝動ケース52の下部は、横伝動ケース53の軸心回りに回動自在に支持されている。
【0022】
回転軸11Cの下部と回転軸12Cの上部は、中空状に形成された連結軸50を介して連結され、回転軸12Cの下部は、中空状に形成された連結軸51を介してエンジンの回転を伝動する縦伝動ケース52に内装された縦伝動軸に連結されている。これにより、複雑な構成によることなくエンジンの回転を回転軸11Cと回転軸12Cに簡易に伝動することができる。また、左下側搬送装置12の回転軸12Dは、左上側搬送装置11の回転軸11Dよりも前側に配置されている。これにより、圃場に倒伏した穀稈を効率よく起立させてオーガ装置30に搬送することができる。
【0023】
支持フレーム11Bの左面の前部と支持フレーム12Bの左面の前部は、上下方向に延在する連結部材54によって連結されている。これにより、支持フレーム11Bと支持フレーム12Bの前部を連結部材54で連結し、支持フレーム11Bと支持フレーム12Bの後部を連結軸50を介して回転軸11Cと回転軸12Cで連結して支持フレーム11Bと支持フレーム12Bの変形を防止することができる。また、連結部材54の上部には、前後方向に延在する支持部材55の後部が固定され、支持部材55の前部には、圃場の穀稈を第1搬送装置10Aの内側と外側に分離する分草体56が支持されている。これにより、分草体56の前端部を2畦の左側の畦に左側に位置させて左側の畦に植えられた穀稈を効率よく第1搬送装置10A内に引込むことができる。
【0024】
支持フレーム12Bの下面の前部には、後下側に向かって延在した後に緩やかに後上側に向かって延在する前側支持部材61が設けられ、前側支持部材61には、刈刃装置20の回転刃21を支持する回転軸22が設けられている。また、回転刃21の前部は、回転軸12Dの略下側に設けられ、回転刃21は、支持フレーム12Bよりも緩やかに後上がり傾斜して設けられている。これにより、第1搬送装置10Aによって搬送される穀稈の下部を効率よく切断し、第1搬送装置10Aにより搬送される穀稈の搬送通路の障害物になるのを防止することができる。
【0025】
ケース12Aの左面の前後方向の中間部には、後下側に向かって延在する第1後側支持部材62が設けられ、第1後側支持部材62の下部には、後側に向かって延在した後に上側に向かって延在して連結部材60に固定される第2後側支持部材63が設けられている。第2後側支持部材63の上面には、刈刃装置20のモータ等の駆動部23が固定され、駆動部23の後部は、ケース11Aの左面の前後方向の中間部から後下側に向かって延在する第3後側支持部材64の下部にも固定されている。これにより、刈刃装置20の駆動部23を支持フレーム12Bの左面に近接して設けることができ、支持フレーム12Bの下側に突出する駆動部23の部位を小さくすることができる。
【0026】
回転軸22の上部に支持されたスプロケットと駆動部23から下側に向かって延在する出力軸24の下部に支持されたスプロケットには、チェン25が巻回られている。
【0027】
第1後側支持部材62の右面の下部に形成された左右方向に延在する支軸65には、第1搬送装置10Aの2畦の左側の畦からの高さを測定するヘッド高さセンサ(高さセンサ)70が装着されている。ヘッド高さセンサ70は、接地体71と、接地体71の回転角度を測定する測定部72から構成されている。また、ヘッド高さセンサ70の測定値に応じて第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bの間に配置された昇降シリンダ(第1昇降シリンダ)74を駆動して第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bを上下方向に移動させる。これにより、左下側搬送装置12等の前後方向の中間部位の畦からの高さを短時間で測定して左下側搬送装置12等の下部の前部に設けた回転刃21の畦への突っ込みを防止することができる。
【0028】
板状に形成された接地体71は、測定部72に回転自在に支持された前部から後下部に向かって延在する傾斜部71Aと、傾斜部71Aの後部から圃場に向かって突部を有する略円弧状に形成された湾曲部71Bと、湾曲部71Bの後部から後上側に向かって延在する傾斜部71Cから形成されている。接地体71の左右方向の幅は、左上側搬送装置11のケース11Aの前後方向の中間部の左右方向の幅の半分の寸法に形成され、平面視で接地体71は、刈刃装置20の駆動部23の右側に配置されている。これにより、回転刃21の回転によって後上側に向かって跳ね上げられる圃場の土、小石等が傾斜部71Aに衝突させて、土、小石等の後側への飛散を防止することができる。また、湾曲部71Bの曲率半径は、左上側搬送装置11のケース11Aの前後方向の中間部の左右方向の幅の半分の寸法に形成されている。これにより、湾曲部71Bが圃場の表面をスムーズに移動することができる。
【0029】
右上側搬送装置13は、ケース13Aの下側には、上下方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する支持フレーム13Bが設けられている。ケース13Aと支持フレーム13Bの後部には、駆動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸13Cが設けられ、ケース13Aと支持フレーム13Bの前部には、従動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸13Dが設けられている。また、駆動用プーリと従動用プーリには、穀稈を搬送する搬送ラグが所定の間隔で装着されたベルト13Eが巻回られている。
【0030】
右下側搬送装置14は、ケース14Aの下側には、上下方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する支持フレーム14Bが設けられている。ケース14Aの後部とには、駆動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸14Cが設けられ、ケース14Aと支持フレーム14Bの前部には、従動用プーリを支持する上下方向に延在する回転軸14Dが設けられている。また、支持フレーム14Bの後部は、連結部材60を介してエンジンの回転を伝動する縦伝動ケース52の前部に固定され、駆動用プーリと従動用プーリには、穀稈を搬送する搬送ラグが所定の間隔で装着されたベルト14Eが巻回られている。
【0031】
回転軸11Cの下部と回転軸14Cの上部は、中空状に形成された連結軸50を介して連結され、回転軸14Cの下部は、中空状に形成された連結軸51を介してエンジンの回転を伝動する縦伝動ケース52に内装された縦伝動軸に連結されている。これにより、複雑な構成によることなくエンジンの回転を回転軸13Cと回転軸14Cに簡易に伝動することができる。また、右下側搬送装置14の回転軸14Dは、右上側搬送装置13の回転軸13Dよりも前側に配置されている。これにより、圃場に倒伏した穀稈を効率よく起立させてオーガ装置30に搬送することができる。
【0032】
支持フレーム13Bの右面の前部と支持フレーム14Bの右面の前部は、上下方向に延在する連結部材54によって連結されている。これにより、支持フレーム13Bと支持フレーム14Bの前部を連結部材54で連結し、支持フレーム13Bと支持フレーム14Bの後部を連結軸50を介して回転軸13Cと回転軸14Cで連結して支持フレーム13Bと支持フレーム14Bの変形を防止することができる。また、連結部材54の上部には、前後方向に延在する支持部材55の後部が固定され、支持部材55の前部には、圃場の穀稈を第1搬送装置10Aの内側と外側に分離する分草体56が支持されている。これにより、分草体56の前端部を2畦の左側の畦に右側に位置させて左側の畦に植えられた穀稈を効率よく第1搬送装置10A内に引込むことができる。
【0033】
第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12の支持フレーム12Bと右下側搬送装置14の支持フレーム14Bの後部は、左右方向に延在する連結部材75で連結されている。同様に、第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12の支持フレーム12Bと右下側搬送装置14の支持フレーム14Bの後部は、左右方向に延在する連結部材75で連結されている。
【0034】
第1搬送装置10Aの右下側搬送装置14の支持フレーム14Bの中間部と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12の支持フレーム12Bの中間部は、左右方向に延在する連結部材76で連結されている。
【0035】
平面視で第1搬送装置10Aの右側搬送装置16と第2搬送装置10Bの左側搬送装置15の間には、第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70の測定値に応じて伸縮する昇降シリンダ74が設けられている。
【0036】
昇降シリンダ74の後部は、横伝動ケース53をオーガ装置30に固定する支持部材58に支持された左右方向に延在する支軸59に装着され、昇降シリンダ74の前部は、連結部材76に装着されている。これにより、第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70の測定値に応じて、昇降シリンダ74を駆動して第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bを迅速に上下方向に移動させて、第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12に設けた回転刃21と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12に設けた回転刃21の畦への突っ込みを防止することができる。また、第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70の測定値が異なる場合には、機体フレーム1の左右方向を上下方向に移動させるローリングシリンダを駆動させて機体フレーム1の左右方向を水平になるようにローリングさせる。
【0037】
オーガ装置30は、搬送装置10によって搬送されてきた穀稈をオーガフレーム31の後壁に開口された引継口の前側に寄集めてフィーダハウス40に引継ぐ装置であり、機体の左右方向の幅と略同一幅に形成されている。
【0038】
オーガフレーム31の底壁の前部には、オーガフレーム31の圃場からの高さを測定するオーガ高さセンサ(第2高さセンサ)35が装着されている。また、オーガフレーム31の左壁と右壁には、オーガ32が架設され、オーガ32の外周部には、搬送螺旋33が形成され、オーガ32の外周部におけるオーガフレーム31の引継口に対向する部位には、オーガ32の外周部に出没自在なフィンガ34が設けられている。これにより、搬送装置10によって搬送されてきた穀稈を引継口の前側に寄集めてフィーダハウス40に効率よく引継ぐことができる。
【0039】
フィーダハウス40は、オーガ装置30によって引継がれた穀稈を脱穀装置4に搬送する装置であり、オーガフレーム31の後壁と脱穀装置4の間に設けている。また、フィーダハウス40の下部には、オーガフレーム31に設けられたセンサ35の測定値に応じてフィーダハウス40の昇降を行う昇降シリンダ(第2昇降シリンダ)41が装着されている。これにより、刈取前処理装置3のオーガフレーム31を圃場から所定の高さに維持して、搬送装置10の分草体56等の圃場への突っ込みを防止することができる。
【0040】
<オーガ装置および刈取装置の昇降制御>
オーガ装置30を昇降させる昇降シリンダ41と刈取装置80を昇降させる昇降シリンダ74は、制御装置100により制御される。図5に示すように、制御装置100の入力側には、ヘッド高さセンサ70と、オーガ高さセンサ35と、フィーダハウス40及びオーガ装置30の機体に対する高さを検出する対機体高さセンサ101と、昇降シリンダ74内の圧力を検出する圧力センサ102や搬送装置10の駆動負荷を検出する負荷センサ104などが接続されている。また、制御装置100の出力側には、昇降シリンダ41と、昇降シリンダ74と、各種の情報を操縦者に報知する報知器103と、刈刃装置20を駆動する刈刃装置駆動部105と、搬送装置10を駆動する搬送装置駆動部106と、オーガ32を駆動するオーガ駆動部107と、フィーダハウス40を駆動するフィーダハウス駆動部108などが接続されている。
【0041】
図6に示すように、制御装置100は、オーガ装置30の下降操作が検出されるか、又は、対機体高さセンサ101によりオーガ装置30が下降したことが検出されると(ステップS1)、刈取装置80を所定姿勢に設定する(ステップS2)。
【0042】
この所定姿勢とは、オーガ装置30及び刈取装置80が収穫作業を行う高さまで降下したときに、オーガ装置30の底部が刈取装置80の下端部よりもわずかに高くなるような刈取装置80のオーガ装置30に対する姿勢であり、例えば、刈取装置80の分草体56の下端部が地面に設置した状態で、オーガフレーム31の底壁が地面から50mm離れた高さである。すなわち、制御装置100は、ステップS2において、上述の所定姿勢となるように昇降シリンダ74を作動させて、刈取装置80を昇降させる。
【0043】
そして、このように刈取装置80の姿勢を調節しながらオーガ装置30が下降し、対機体高さセンサ101がオーガ装置30の高さが所定未満になったことを検出すると(ステップS3)、制御装置100は、ヘッド高さセンサ70とオーガ高さセンサ35の検出値に基づく自動高さ制御を開始する(ステップS4)。すなわち、制御装置100は、ヘッド高さセンサ70とオーガ高さセンサ35のそれぞれで検出される高さが、それぞれのセンサについて予め設定された目標値に近づくように、昇降シリンダ41と昇降シリンダ74を制御する。
【0044】
自動高さ制御が実行されているときに、オーガ高さセンサ35が地面を検出しない状態になると、つまり、オーガ装置30がオーガ高さセンサ35による地面の検出範囲を超えて地面から上方へ離れ(ステップS5)、かつ、ヘッド高さセンサ70が地面を検出している状態である場合(ステップS6)、制御装置100は、刈取装置80を所定量または所定時間上昇させたのち、オーガ装置30の高さがオーガ高さセンサ35の検出範囲に入るように、オーガ装置30を下降させる(ステップS9)。
【0045】
また、オーガ高さセンサ35とヘッド高さセンサ70の双方が地面を検出しない状態になり(ステップS5,S6)、かつ、対機体高さが所定未満である場合(ステップS7)、オーガ装置30の高さがオーガ高さセンサ35の検出範囲に入るように、オーガ装置30を下降させる(ステップS10)。
【0046】
また、ステップS7において、対機体高さが所定以上である場合、制御装置100は、自動高さ制御を終了する(ステップS8)。
【0047】
なお、自動高さ制御が実行されているときに、昇降シリンダ74の圧力センサ102により検出される圧力が所定の範囲を超えて変動する場合、刈取装置80の目標高さを高い側へ変更するように制御することができる。
【0048】
また、圧力センサ102により、予め設定された正常圧力範囲を超える圧力が検出された場合、操縦者への報知を行ったり、自動高さ制御を中断したり、刈取装置80またはオーガ装置30を上昇させることもできる。
【0049】
上述した制御装置100の構成により、オーガ装置30を収穫作業を行う高さまで降下させるにあたり、自動的に刈取装置80が所定姿勢に設定されるので、刈取装置80が土中に突入し、畝を荒らしたり、作物を損傷させたり、刈取装置80が破損することを防止できる。
【0050】
また、オーガ高さセンサ35が地面を検出しない状態となると、刈取装置80を上昇させた後にオーガ装置30を降下させるので、オーガ装置30の下降に伴いヘッド高さセンサ70で検出される高さが低くなり、その検出信号に基づいて刈取装置80を上昇させる場合と比べて、刈取装置80の土中への突込みを抑制でき、圃場や作物の損傷、刈取装置80の破損を抑制することができる。
【0051】
また、オーガ高さセンサ35とヘッド高さセンサ70の双方が地面を検出しない状態になると、オーガ装置30を下降させるので、刈取装置80の下降が遅れて収穫物の取りこぼし等(所謂ヘッドロス)が発生しにくくなる。
【0052】
<刈取装置の駆動制御>
刈取装置80やオーガ装置30は、これらの設置状態や昇降状態に基づいて、駆動開始および駆動停止が制御され、また、駆動速度が制御される。
【0053】
図7に示すように、刈取装置80が下降して、ヘッド高さセンサ70が地面を検出すると、(ステップS11)すなわち、接地体71が外力を受けていない状態から、地面との接触により接地体71が上向きに回転したことを検出すると、制御装置100は、搬送装置10とフィーダハウス40の駆動を開始する(ステップS12)。
【0054】
制御装置100は、接地した時点からの時間を計測する。そして、その計測時間が設定時間に達するか、刈取装置80の下降が停止した場合(ステップS13)、刈刃装置20とオーガ32の駆動を開始する(ステップS14)。なお、ステップS12およびS14においては、それぞれの装置を同時ではなくタイミングをずらして駆動開始することもできる。
【0055】
なお、ステップS11においては、接地体71が地面と刈取装置80の高さ方向での距離が設定値以下となったことを条件とすることもできる。
【0056】
また、刈取前処理装置3の各装置は、作物の種類などに基づく設定と、機体の走行速度により決定されるそれぞれの基準速度で駆動される。図9に示すように、刈取前処理装置3の駆動開始時には、まず搬送装置10の駆動開始時には(ステップS31)、右側の第2搬送装置10Bを左側の第1搬送装置10Aよりも高速で駆動する(ステップS32)。すなわち、複数の搬送機構を有する搬送装置10において、最も左側のものを基準速度で駆動し、右側のものほど高速で駆動する。そして、オーガ32の駆動が開始されると(ステップS33)、オーガ32とフィーダハウス40を、その基準速度よりも高速で駆動する(ステップS34)。
【0057】
そして、搬送装置10の駆動開始から所定時間が経過すると(ステップS35)、刈取前処理装置3の各装置をそれぞれの基準速度で駆動する(ステップS36)。なお、各装置の増速時に、搬送装置10の負荷センサ104による負荷が設定範囲よりも大きい場合、減速させることもできる。
【0058】
また、図8に示すように、刈取装置80が所定以上上昇し、かつ、刈取装置80の駆動負荷が所定以下になると(ステップS21)、制御装置100は、刈刃装置20の駆動を停止する(ステップS22)。そして、このように刈刃装置20の駆動が停止してから所定時間が経過すると、搬送装置10の駆動を停止し(ステップS23)、次いで、オーガ32とフィーダハウス40の駆動を停止する(ステップS24)。
【0059】
<他の刈取前処理装置>
図1に示すように、他の刈取前処理装置3には、オーガ装置30の前部の左側に第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bを備える左側に配置された搬送装置10と、オーガ装置30の前部の右側に第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bを備える右側に配置された搬送装置10が配置されている。
【0060】
左側に配置された搬送装置10の第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bは、第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70の測定値に応じて昇降シリンダ74が駆動して上下方向に移動する。また、右側に配置された搬送装置10の第1搬送装置10Aと第2搬送装置10Bは、第1搬送装置10Aの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70と第2搬送装置10Bの左下側搬送装置12に設けられたヘッド高さセンサ70の測定値に応じて昇降シリンダ74が駆動して上下方向に移動する。これにより、左側に配置された搬送装置10と右側に配置された搬送装置10は独立して昇降させることにより圃場の穀稈の収穫ロスを軽減することができる。
【0061】
オーガフレーム31の左壁と右壁には、オーガ32が架設されている。オーガ32における第1搬送装置10Aの左側搬送装置15と右側搬送装置16の間に対応する部位と、第2搬送装置10Bの左側搬送装置15と右側搬送装置16の間に対応する部位には、オーガ32の外周部に出没自在なフィンガ34が設けられている。これにより、搬送装置10によって搬送されてきた穀稈をオーガ装置30に効率よく搬送することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 搬送装置
20 刈刃装置
30 オーガ装置(刈取テーブル)
32 オーガ
40 フィーダハウス
70 ヘッド高さセンサ(高さセンサ)
80 刈取装置
100 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9