特許第6805949号(P6805949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805949
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】乗物用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   B60N2/08
【請求項の数】1
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2017-85249(P2017-85249)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-184025(P2018-184025A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直希
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−247594(JP,A)
【文献】 特開2008−081061(JP,A)
【文献】 特開2005−029104(JP,A)
【文献】 特開平11−321393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06 − 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートポジションをロック機構の解除操作により調節可能なスライドレールと、前記シートポジションの変更前の位置を機械的な係合により記憶可能なメモリ部材を有して該メモリ部材との当たりにより前記シートポジションを前記変更前の記憶位置に復帰させるよう動作するメモリ機構と、を有する乗物用スライドレール装置であって、
前記ロック機構をロック状態から外すと共に前記メモリ部材を位置記憶状態から外してスライド方向に引き連れるように操作する解除操作機構と、
前記メモリ部材を位置記憶させた状態に残しつつ前記ロック機構をロック状態から外すように操作するメモリ操作機構と、を有し、
前記メモリ機構が、
前記シートポジションが前記変更前の記憶位置にある状態では前記メモリ部材にスライド方向の一方側から押し当てられた初期姿勢の状態に保持されるが前記メモリ操作機構の動作により前記シートポジションが前記メモリ部材を位置記憶させた状態に残してスライド方向の一方側に離されることにより付勢によりスライド方向の他方側に動かされる形に傾けられた他方側傾き姿勢に切り換えられて前記シートポジションが前記変更前の記憶位置に戻される動きにより前記メモリ部材に当たって前記初期姿勢の状態へと押し動かされて前記メモリ操作機構による前記ロック機構の解除状態を解放してロック状態に復帰させるトリガリンクと、
該トリガリンクが前記初期姿勢とされた状態から前記メモリ操作機構の動作により前記シートポジションが位置記憶状態にある前記メモリ部材に対してスライド方向の他方側へと押し動かされる動作に対して前記トリガリンクを前記メモリ部材との当たりによってスライド方向の一方側に動かされる形に押し傾けた一方側傾き姿勢としながら前記メモリ部材をスライド方向の他方側に越えた領域へと移動させられるようにする過負荷回避機構と、
該過負荷回避機構により前記トリガリンクが前記メモリ部材をスライド方向の他方側に越えた領域に移された状態から前記シートポジションが位置記憶状態にある前記メモリ部材に対してスライド方向の一方側へと戻される動きに対して前記トリガリンクを前記メモリ部材との当たりによって中折れ状に屈曲回転させながら前記メモリ部材をスライド方向の一方側に越えた領域へと復帰させられるようにする逃がし機構と、を有する乗物用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用スライドレール装置に関する。詳しくは、シートポジションをロック機構の解除操作により調節可能なスライドレールと、シートポジションの変更前の位置を機械的な係合により記憶可能なメモリ部材を有してメモリ部材との当たりによりシートポジションを変更前の記憶位置に復帰させるよう動作するメモリ機構と、を有する乗物用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用シートをフロアに対してスライド可能な状態に連結する機構として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。すなわち、シートポジションをロック機構の解除操作により調節可能なスライドレールと、シートポジションの変更前の位置を機械的な係合により記憶して変更前の記憶位置に復帰させられるようにするメモリ機構と、を備えるものである。上記ロック機構は、その初期状態ではシートポジションをロックした状態に保持されており、解除レバーの操作によってシートポジションを調節可能となる解除状態に切り換えられるようになっている。メモリ機構は、上述した解除レバーとは別に設けられた乗降レバーによって操作されるようになっている。
【0003】
具体的には、上述したメモリ機構は、上述した乗降レバーの操作によって、上述したロック機構の解除操作を行うと共に、その解除操作を行ったスライド位置にメモリ部材を係合させた状態に残して、メモリ部材との当たりを検知するトリガをメモリ部材から引き離す態様でシートポジションを変更できる状態へと切り換えられるようになっている。そして、上述したメモリ機構は、上述したシートポジションの変更後にシートポジションを変更前の記憶位置へと戻すことにより、上述したトリガが上述した記憶位置に残されたメモリ部材に当てられて、ロック機構をロック状態に復帰させるように押し動かされるようになっている。上述したメモリ機構は、通常時、解除レバーの操作が行われてシートポジションが変更される時には、メモリ部材が解除レバーによって位置記憶状態から外されるように操作されて、シートポジションの変更移動に伴って記憶位置を変化させるように引き連れられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−125917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、乗降レバーの操作後にシートポジションをメモリ部材から引き離す方向とは反対方向に動かす力が掛けられると、記憶位置に固定されたメモリ部材とトリガとの間に過剰な負荷が掛けられるおそれがある。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シートポジションの変更前の位置を記憶するメモリ部材と同メモリ部材との当たりを検知するトリガとの間に過負荷が入力されることを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の乗物用スライドレール装置は次の手段をとる。
【0007】
第1の発明は、シートポジションをロック機構の解除操作により調節可能なスライドレールと、シートポジションの変更前の位置を機械的な係合により記憶可能なメモリ部材を有してメモリ部材との当たりによりシートポジションを変更前の記憶位置に復帰させるよう動作するメモリ機構と、を有する乗物用スライドレール装置である。この乗物用スライドレール装置は、ロック機構をロック状態から外すと共にメモリ部材を位置記憶状態から外してスライド方向に引き連れるように操作する解除操作機構と、メモリ部材を位置記憶させた状態に残しつつロック機構をロック状態から外すように操作するメモリ操作機構と、を有する。
【0008】
メモリ機構は、シートポジションが変更前の記憶位置にある状態ではメモリ部材にスライド方向の一方側から押し当てられた初期姿勢の状態に保持されるがメモリ操作機構の動作によりシートポジションがメモリ部材を位置記憶させた状態に残してスライド方向の一方側に離されることにより付勢によりスライド方向の他方側に動かされる形に傾けられた他方側傾き姿勢に切り換えられてシートポジションが変更前の記憶位置に戻される動きによりメモリ部材に当たって初期姿勢の状態へと押し動かされてメモリ操作機構によるロック機構の解除状態を解放してロック状態に復帰させるトリガリンクと、トリガリンクが初期姿勢とされた状態からメモリ操作機構の動作によりシートポジションが位置記憶状態にあるメモリ部材に対してスライド方向の他方側へと押し動かされる動作に対してトリガリンクをメモリ部材との当たりによってスライド方向の一方側に動かされる形に押し傾けた一方側傾き姿勢としながらメモリ部材をスライド方向の他方側に越えた領域へと移動させられるようにする過負荷回避機構と、過負荷回避機構によりトリガリンクがメモリ部材をスライド方向の他方側に越えた領域に移された状態からシートポジションが位置記憶状態にあるメモリ部材に対してスライド方向の一方側へと戻される動きに対してトリガリンクをメモリ部材との当たりによって中折れ状に屈曲回転させながらメモリ部材をスライド方向の一方側に越えた領域へと復帰させられるようにする逃がし機構と、を有する。
【0009】
この第1の発明によれば、シートポジションが変更前の記憶位置にある状態、すなわち、トリガリンクが位置記憶状態にあるメモリ部材に対してスライド方向の一方側から押し当てられた初期姿勢にある状態から、メモリ操作機構の動作によりトリガリンクがメモリ部材にスライド方向の一方側から押し込まれるように操作されても、過負荷回避機構により、トリガリンクがメモリ部材との当たりを逃がす形で一方側傾き姿勢となりながらメモリ部材をスライド方向の他方側に越えた領域へと移動することができる。また、上記トリガリンクがメモリ部材をスライド方向の他方側に越えた領域にある状態から一方側へと戻されるように操作される時には、逃がし機構により、トリガリンクがメモリ部材との当たりを逃がす形で中折れ状に屈曲回転しながらメモリ部材をスライド方向の一方側に越えた領域へと復帰することができる。このような構成により、トリガリンクのメモリ部材との当たりによる位置検知機能を損なうことなく、メモリ部材とトリガリンクとの間に過負荷が入力されることを適切に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の乗物用スライドレール装置の乗降レバーの操作による動作概要を表した側面図である。
図2】ループハンドルの操作によるシートポジションの調節動作を表した側面図である。
図3】乗降レバーの操作が戻されることでシートポジションがロックされた状態を表した側面図である。
図4】乗物用スライドレール装置の全体構成を表した斜視図である。
図5】左側のレール構造の分解斜視図である。
図6】左側のレール構造の内部を可視化して表した斜視図である。
図7図6を反対側から見た斜視図である。
図8】左側のレール構造から操作機構を外した状態として表した分解斜視図である。
図9図8を反対側から見た分解斜視図である。
図10】メモリピースをメモリレールから外した状態として表した分解斜視図である。
図11】操作機構の分解斜視図である。
図12図11を反対側から見た分解斜視図である。
図13】乗物用スライドレール装置の初期状態を表した模式図である。
図14】ループハンドルの操作により動かされる操作系統の初期状態を強調して表した模式図である。
図15図14からループハンドルが操作されてスライドロックが解除された状態を表した模式図である。
図16図15から更にループハンドルが限界位置まで操作された状態を表した模式図である。
図17図14のループハンドルの操作状態のままシートポジションを後方移動させた状態を表した模式図である。
図18図17の移動位置でループハンドルの操作が戻されてスライドロックされた状態を表した模式図である。
図19】乗降レバーの操作により動かされる操作系統の初期状態を強調して表した模式図である。
図20図19から乗降レバーが操作されてメモリピースを残す形でスライドロックが解除された状態を表した模式図である。
図21図20の乗降レバーの操作状態のままメモリピースを残してシートポジションを後方移動させた状態を表した模式図である。
図22図21の移動位置で乗降レバーの操作が戻されてスライドロックされた状態を表した模式図である。
図23図22の移動位置で乗降レバーが再操作されてスライドロックが解除された状態を表した模式図である。
図24図23の乗降レバーの操作状態のままシートポジションを前方移動させてトリガリンクがメモリピースに当たって押し回された状態を表した模式図である。
図25図24の動作によりシートポジションが変更前の記憶位置にスライドロックされた状態を表した模式図である。
図26図20の乗降レバーの操作状態のままシートポジションを前方移動させてトリガリンクがメモリピース上に乗り上がった状態を表した模式図である。
図27図26からシートポジションの更なる前方移動によりトリガリンクがメモリピースを前側に乗り越えた状態を表した模式図である。
図28図27の移動位置からシートポジションを後方移動させてトリガリンクがメモリピース上に中折れした形で乗り上がった状態を表した模式図である。
図29図28からシートポジションの更なる後方移動によりトリガリンクがメモリピースを後側に押し傾けて後側に抜けた状態を表した模式図である。
図30図22の移動位置でループハンドルが操作されてスライドロックが解除された状態を表した模式図である。
図31図30のループハンドルの操作状態のままシートポジションを前方移動させて連れ回しリンクがメモリピースに押し当てられた状態を表した模式図である。
図32図31からシートポジションの更なる前方移動により連れ回しリンクがメモリピースを底付きさせる位置まで押し傾けた状態を表した模式図である。
図33図32からシートポジションの更なる前方移動により連れ回しリンクがメモリピースの押込部上に復帰した状態を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
《●スライドレール装置Mの概略構成について》
始めに、実施例1のスライドレール装置M(乗物用スライドレール装置)が適用されたシート1の構成について、図1図33を用いて説明する。本実施例のシート1は、図1に示すように、右ハンドル車の運転席として構成されている。上記シート1は、着座乗員の背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭凭れ部となるヘッドレスト4と、を備えている。
【0013】
上述したシートクッション3は、車両のフロアF上に、上述したスライドレール装置Mを構成する左右一対のスライドレール10を間に介して連結された状態とされている。また、シートバック2は、上述したシートクッション3の後端部に、図示しないリクライナを間に介して連結された状態とされている。また、ヘッドレスト4は、シートバック2の上部に装着されて設けられている。
【0014】
なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」という場合には、シート1の横幅方向(左右方向)を指すものとし、「車幅方向」という場合には、車両の横幅方向(左右方向)を指すものとする。したがって、「車幅方向の内側」という場合には、シート1の左側、すなわち図示しない助手席のある側を指し、「車幅方向の外側」という場合には、シート1の右側、すなわち図示しない乗降ドアのある側を指している。
【0015】
上述したシート1は、その初期状態では、上述した各スライドレール10のスライドが付勢によりロックされた状態として、フロアF上における前後方向の位置(以下、「シートポジション」)が固定された状態に保持されている。上述した各スライドレール10は、図2に示すように、シートクッション3の前下部に設けられたループハンドル5が使用者によって引き上げられる操作により、それらのスライドロックされていた状態が一斉に解除されて、シートポジションを前後方向に調節することのできる状態へと切り換えられるようになっている。そして、各スライドレール10は、シートポジションの調節後にループハンドル5の操作を戻すことにより、再びその位置でスライドがロックされた状態へと戻されるようになっている。
【0016】
また、上述した各スライドレール10は、図1に示すように、シートクッション3の車幅方向の外側(右側)の側部に設けられた乗降レバー6が使用者によって引き上げられる操作によっても、それらのスライドロックされていた状態が一斉に解除されるようになっている(丸付き数字1)。しかし、その際には、各スライドレール10は、乗降レバー6の操作状態を維持したままシートポジションを後側へと引き下げていっても、後述するスライドレール装置Mに備えられた操作機構30の働きによって、シートバック2が概ね車両のBピラーBPと前後方向の位置が重なる状態となるリヤモースト付近の乗降サポート位置までしか下げられないようになっている(丸付き数字2)。
【0017】
詳しくは、上述した各スライドレール10は、シートポジションが上述したリヤモースト付近の乗降サポート位置まで下げられることにより、上述した乗降レバー6の操作状態を維持したままであっても、その位置でスライドロックされた状態へと切り換えられるようになっている。したがって、乗降レバー6を操作した状態のままシートポジションを後側へと引き下げていき、その動きが止められることにより、そのことでもってシートポジションがリヤモースト付近の乗降サポート位置に達して広い乗降スペースが確保された状態となったことを使用者に認識させることができる。
【0018】
また、上述した各スライドレール10は、上記のようにシートポジションがリヤモースト付近の乗降サポート位置まで下げられた状態から、再び、使用者によって乗降レバー6が引き上げられることにより、再びそれらのスライドロックされていた状態が一斉に解除されるようになっている(丸付き数字3)。そして、各スライドレール10は、上述した乗降レバー6の操作状態を維持したままシートポジションを前側へと移動させていくことにより、後述するスライドレール装置Mに備えられた操作機構30の働きによって、シートポジションが後側に下げられる前の位置、すなわち乗降レバー6が最初に操作されて後側に下げられる時の位置に達したところでそれらのスライドがロックされた状態へと戻されるようになっている(丸付き数字4)。
【0019】
すなわち、スライドレール装置Mは、乗降レバー6が操作されてシートポジションが変更される時には、その乗降レバー6が操作された時のシートポジションの変更前の位置を記憶させておくことができるようになっており、シートポジションを変更した後にその位置へ向かって戻していくことにより、シートポジションが上記記憶位置に達したところでそのスライドをロックさせた状態へと切り換えてシートポジションを変更前の記憶位置へと簡便に復帰させられるようになっている。したがって、上述したリヤモースト付近の乗降サポート位置にてシート1に人が座った後に、その者が乗降レバー6を再度操作してシートポジションを前側へ向かって移動させていくことにより、シートポジションを乗降レバー6の操作によって後側に下げる前の記憶位置へと一気に戻して、その位置にロックさせた状態へと復帰させることができる。
【0020】
また、上述した各スライドレール10は、図3に示すように、上述した乗降レバー6の操作が図1で前述した変更前の記憶位置とリヤモースト付近の乗降サポート位置との間の途中位置で解かれた場合には、その解かれた各位置でスライドロックされた状態に切り換えられるようになっている。そして、各スライドレール10は、上記のスライドロックされた各位置で再び乗降レバー6の操作が行われることにより、再びシートポジションを図1で前述した変更前の記憶位置と乗降サポート位置との間で自由に調節することができる状態へと切り換えられるようになっている。そして、各スライドレール10は、上述した乗降レバー6の操作状態を維持したまま、シートポジションを図1で前述した変更前の記憶位置へと移動させることにより、同位置にてスライドロックされた状態へと戻されるようになっている。
【0021】
《▲スライドレール10の具体的な構成について》
以下、上述したスライドレール装置Mを構成する各スライドレール10、メモリ機構20、及び操作機構30の各々の具体的な構成について詳しく説明していく。先ず、図4図5を参照しながら、各スライドレール10の構成について説明する。すなわち、各スライドレール10は、フロアF上に取り付けられたロアレール11と、ロアレール11に対して前後方向にスライド可能な状態に組み付けられると共にシートクッション3の下部に取り付けられたアッパレール12と、これら両レール11,12間のスライドをロックするロックバネ13と、を有して構成されている。なお、各スライドレール10の基本構造は、互いに左右で略共通の構成とされているため、これらの詳細な構成については、図5に示す車幅方向の内側(左側)に配設されたスライドレール10の構成によって代表して説明することとする。ここで、上述したロックバネ13が本発明の「ロック機構」に相当する。
【0022】
上述したロアレール11は、図5に示すように、車両の前後方向に長尺状に延びる1枚の鋼等の板材が短手方向に略U字状の形に折り曲げられて形成されている。上述したロアレール11は、その前後側の各端部が、それぞれ不図示のボルト等の締結構造によりフロアF上に一体的に締結されて固定された状態とされている。上述したロアレール11は、その横断面形状が前後方向に略一様となるレール形状に形成されている。
【0023】
具体的には、上述したロアレール11は、フロアF上に上側に面を向けてセットされる底面部11Aと、底面部11Aの左右両側部から上側に延びると共に互いの内向する側に逆U字状に曲げ返されて延びる形状とされた左右一対のロア側ひれ部11Bと、を有する横断面形状に形成されている。上述したロアレール11は、上述した底面部11Aの前後側の各端部箇所が、それぞれ、フロアF上に上側から面当接した状態にセットされて、上側から差し込まれる不図示のボルト等の締結構造によってフロアF上に一体的に締結された状態とされている。
【0024】
上述したロアレール11の左右のロア側ひれ部11Bには、それらの逆U字状に曲げ返された先の各縁部箇所に、後述するロックバネ13の対応する各ロック部13Cをそれぞれ下側から入り込ませて係合させることのできるロック溝11Cが形成されている。これらロック溝11Cは、それぞれ、各ロア側ひれ部11Bの内側に折り返されて垂下した先の各縁部箇所に沿って、下側に開口した形となって前後方向に等間隔に複数並んで形成された状態とされている。これらロア側ひれ部11Bに形成された各ロック溝11Cは、互いに左右対称な位置に並んで形成されている。
【0025】
アッパレール12は、上述したロアレール11と同様に、車両の前後方向に長尺状に延びる1枚の鋼等の板材が短手方向に略Ω字状の形に折り曲げられて形成されている。上述したアッパレール12は、上述したロアレール11の長手方向のどちらか一方側の開口端部からロアレール11内に差し込まれることにより、ロアレール11に対して長手方向にスライド可能な状態に組み付けられるようになっている。具体的には、アッパレール12は、その横断面形状が、上述したシートクッション3の下部に上側に面を向けた状態となって取り付けられる天板部12Aと、天板部12Aの左右両側部から下側に延びると共に互いに相反する外側に向かってU字状に曲げ返されて延びる形状とされた左右一対のアッパ側ひれ部12Bと、を有する横断面形状に形成されている。上述したアッパレール12の天板部12Aには、後述するメモリ機構20や操作機構30の構成部品を高さ方向に通すための貫通孔12Aaが開口した形となって形成されている。
【0026】
上述したアッパレール12は、上述したロアレール11に対して、その左右のアッパ側ひれ部12BのU字状に曲げ返された先の各縁部形状がロアレール11の左右のロア側ひれ部11Bの逆U字状に曲げ返された各部内にそれぞれ掛かり合うように長手方向に差し込まれて組み付けられている。このように組み付けられていることにより、アッパレール12は、ロアレール11に対して、上述した左右のアッパ側ひれ部12Bとロア側ひれ部11Bとの掛かり合いによって、ロアレール11に対して高さ方向とシート幅方向とにそれぞれ外れ止めされた状態に組み付けられた状態とされている。詳しくは、上述したアッパレール12は、上述したロアレール11との間に組み付けられた不図示の樹脂シュー及び鋼球(転動体)を介して、ロアレール11に対して高さ方向とシート幅方向とにそれぞれガタ抑えされつつも前後方向にはスムーズにスライドすることができるように組み付けられた状態とされている。
【0027】
ロックバネ13は、1本の鋼等の線材が前後方向に長尺状に延びる平面視略U字状の形に折り曲げられて形成されている。上述したロックバネ13は、その後端部13Bが、平面視略U字状に前側へと折り返される折り返し部として形成されている。そして、上記ロックバネ13は、上記折り返された後端部13Bから左右一対で前側へと延びる各線部の中間部分に、それぞれ、シート幅方向の外側に向かって波打ち状に張り出す形に折り曲げられたロック部13Cが形成された構成とされている。また、上述したロックバネ13の各線部の前端部13Aは、それぞれ、シート幅方向の外側に向かって張り出す形に折り曲げられた形状とされている。
【0028】
上述したロックバネ13は、上述した各線部の前端部13Aのシート幅方向の外側に折り曲げられた先の各部分が、それぞれ、上述したアッパレール12の各アッパ側ひれ部12Bの前側領域の立壁部分に形成された各通し孔12Ba内に内側から弾性的に押し窄められながら差し込まれて回転可能にピン連結された状態としてセットされている。また、上述したロックバネ13は、上述した後端部13Bの両角側の折り返し部分が、それぞれ、上述したアッパレール12の各アッパ側ひれ部12Bの後側領域の立壁部分から内側に切り起こされて形成された各引掛片12Bbに上側から引掛けられて回転可能にピン連結された状態としてセットされている。
【0029】
また、上述したロックバネ13は、その上述した左右のロック部13Cが、それぞれ、上述したアッパレール12の左右のアッパ側ひれ部12Bの前後方向の中央領域の立壁部分に形成されたシート幅方向に貫通する各通し溝12C内にそれぞれ内側から弾性的に押し窄められながら通された状態として組み付けられている。上述した各通し溝12Cは、それぞれ、これらに通されたロックバネ13の各ロック部13Cを、それぞれ、上側に向かって個々に細長く通すことのできる櫛状のスリットを有した形状とされている。
【0030】
上記ロックバネ13は、上述したようにその前端部13Aと後端部13Bとがそれぞれアッパレール12に対して高さ方向に回転可能にピン連結された両端支持構造とされていることにより、その自由状態では、それ自体のバネ付勢力による復元作用によって、上述した各ロック部13Cを、アッパレール12の各通し溝12C内の櫛状に細長く延びる各スリット内に下側から通された状態として前後側から支えられた状態に保持されるようになっている。
【0031】
上述したロックバネ13は、上述したアッパレール12のロアレール11に対する前後方向のスライド位置が、各側のアッパ側ひれ部12Bに形成された通し溝12Cの各スリットと各側のロア側ひれ部11Bに形成された各ロック溝11Cとが互いに車幅方向に並ぶ形に位置合わせされることにより、これら通し溝12Cの各スリットと各ロック溝11Cとに跨ってバネ付勢力により下側から通されるようになっている。
【0032】
その結果、上述したロックバネ13の各ロック部13Cを介して、アッパレール12のロアレール11に対する前後方向のスライドがロックされた状態となって保持される。なお、上述したアッパレール12のロアレール11に対するスライドがロックされた状態は、図13図14図18図19図22図25の各図において、ロックバネ13のロック部13Cがロアレール11の各ロック溝11C内に下側から入り込んだ状態として表されている。
【0033】
上述したロックバネ13は、上述したループハンドル5(図14図18参照)が操作されたり乗降レバー6(図19図25)が操作されたりすることによって、そのロック部13Cが下側に押し撓まされてロアレール11のロック溝11Cから下側に外し出されるようになっている。上記操作により、ロックバネ13を介したアッパレール12のスライドロック状態が解除されて、アッパレール12をロアレール11に対して前後方向にスライドさせられる状態となる。その後、ロックバネ13は、上記操作されたループハンドル5或いは乗降レバー6の操作が解かれることにより、再び図13に示すようにバネ付勢力によってロアレール11のロック溝11C内に入り込んでスライドをロックした状態へと戻されるようになっている。
【0034】
その際、アッパレール12のスライド位置が、ロックバネ13のロック部13Cの復元しようとする先の位置にロアレール11のロック溝11Cがない状態、すなわち各ロック溝11C間の棚面が位置する状態の時には、ロック部13Cは、上記棚面と当たる位置までしか戻されず、スライドロック状態とはならない。しかし、上記スライド位置からアッパレール12のスライド位置を前後どちらかの側にずらすことにより、上記ロック部13Cがロアレール11のロック溝11Cと位置合わせされて、ロック溝11C内に入り込んだ状態(スライドロック状態)へと切り換えられるようになっている。
【0035】
以上が、図4に示した各スライドレール10の具体的な構成とされている。なお、各スライドレール10のうち、車幅方向の内側(左側)に配置されたものには、更に、後述するメモリ機構20及び操作機構30が組み付けられている。上記構成により、車幅方向の内側のスライドレール10は、上述した乗降レバー6が操作されることによって、上述した操作機構30を介してロックバネ13のロックの解除操作が行われるようになっている。
【0036】
一方、車幅方向の外側(右側)に配置されたスライドレール10には、そのアッパレール12上に、後述する操作機構30のロッド35を介して上述した乗降レバー6の操作力の伝達を受けられる状態に組み付けられた不図示の解除アームが設けられている。上記構成により、車幅方向の外側のスライドレール10も、上述した乗降レバー6が操作されることによって、上述した不図示の解除アームを介してロックバネ13のロックの解除操作が同期して行われるようになっている。
【0037】
また、上述した車幅方向の外側(右側)に配置されたスライドレール10には、更に、アッパレール12とロアレール11との間に引張バネ14が掛着されている。上記構成により、両スライドレール10には、常に、上述した引張バネ14により発揮されるバネ付勢力によって、アッパレール12がロアレール11に対して前側に動かされる方向の力が掛けられた状態とされている。上記構成により、各スライドレール10は、それらのスライドロックされた状態が解除されることにより、それらのアッパレール12をロアレール11に対して軽い力で前側へとスライドさせることができるようになっている。
【0038】
また、車幅方向の内側(左側)に配置されたスライドレール10には、同スライドレール10を前述した乗降レバー6の操作によってロック解除した状態で後側へとスライドさせた際に、シートポジションを図1で前述したリヤモースト付近の乗降サポート位置にて係止させることのできるストッパブラケット15が取り付けられている。上述したストッパブラケット15は、図5に示すように、略L字状の形に折り曲げられた鋼等の板材により形成されており、その底板部分と立板部分とがロアレール11の底面部11Aと左側のロア側ひれ部11Bの外側面部とに当てられるように、ロアレール11に外付けされた状態とされている。
【0039】
上述したストッパブラケット15は、上述した車幅方向の内側のスライドレール10がスライドのロック状態を解除されて後側へとスライドしてくることにより、その立板部分の上縁部に車幅方向の外側へと庇状に張り出す形に形成された係止面部15Aが後述するメモリ機構20のトリガリンク22Aに後側から当てられて、同トリガリンク22Aを前側へと押し回すことにより、乗降レバー6の操作に伴うスライドレール10のスライドロックの解除状態をキャンセルしてスライドレール10をその位置でスライドロックさせるようになっている。
【0040】
《▲メモリ機構20の具体的な構成について》
次に、メモリ機構20の具体的な構成について説明する。メモリ機構20は、図5図7に示すように、大きく分けて、スライドレール10におけるロアレール11側に組み付けられたメモリ体21と、アッパレール12側に組み付けられた検知動作体22と、によって構成されている。
【0041】
前者のメモリ体21は、図19図22に示すように、前述した乗降レバー6の操作によってシートポジションを後側へ下げる際に、ロアレール11上の定位置に残ってシートポジションの変更前の位置を記憶する部材として機能するものとなっている。後者の検知動作体22は、前述した乗降レバー6の操作によってシートポジションを後側へ下げた後、再び、図23図25に示すように、乗降レバー6の操作によってシートポジションをメモリ体21の残された記憶位置へと戻す際に、メモリ体21に後側から押し当てられて回転して、シートポジションをその位置でロックさせるように作動するものとなっている。
【0042】
《■メモリ体21の具体的な構成について》
続いて、図5図10を参照しながら、上述したメモリ体21の具体的な構成について説明する。メモリ体21は、前後方向に長尺状に延びるメモリレール21Aと、メモリレール21Aに対して前後方向に摺動可能に組み付けられたメモリピース21Bと、メモリピース21Bを常時、メモリレール21Aと係合させる上方向にバネ付勢する板バネ21Cと、を有する構成とされている。ここで、メモリピース21Bが本発明の「メモリ部材」に相当する。
【0043】
《メモリレール21Aの構成について》
上述したメモリレール21Aは、図5図7及び図10に示すように、前後方向に長尺状に延びる1枚の鋼等の板材が短手方向に略U字状の形に折り曲げられると共に、更にその折り曲げられた先の各上縁部位が互いの内向する側に庇状に折り曲げられた形状とされている。上記構成により、メモリレール21Aは、その天板部分のシート幅方向の中央箇所に、前後方向に真っ直ぐ筋状に延びる形に開口するスリット形状のガイド孔21Aaが形成された構成とされている。上述したメモリレール21Aは、その前後側の各端部箇所が上述したロアレール11の底面部11A上にビス締結されて一体的に固定されて設けられている。
【0044】
上述したメモリレール21Aは、図10に示すように、その前後どちらかの開口端部からメモリピース21Bをレール内に差し込むことにより、同メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbをガイド孔21Aaから上側に通した状態として、メモリピース21Bを上下両側と左右両側とからそれぞれ囲い込んだ形に組み付けるようになっている。上記組み付けにより、メモリレール21Aは、そのガイド孔21Aaによってメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを左右両側からガイドした状態として、同ガイド孔21Aaに沿ってメモリピース21Bを前後方向に摺動させられるようにガイドした状態として支持するようになっている。
【0045】
上述したメモリレール21Aのガイド孔21Aaの形成された天板部分の左右両サイドの縁部には、高さ方向に略矩形状の形に貫通する係合孔21Abが前後方向に等間隔に複数並んだ形となって形成されている。これら係合孔21Abは、上述したメモリレール21A内に組み付けられたメモリピース21Bの前端側の左右両サイド部に上側に突出する形となって形成された各係合爪21Ba2をそれぞれ下側から嵌合させることにより、上記メモリピース21Bのメモリレール21Aに対する前後方向のスライドをロックした状態として保持するものとなっている。上述したメモリピース21Bのメモリレール21Aに対する前後方向のスライドがロックされるピッチは、前述したスライドレール10の前後方向のスライドがロックされるピッチと同じとなるように設定されている。
【0046】
《メモリピース21Bの構成について》
メモリピース21Bは、前後方向に長尺な略平板形状を持つ座面部21Baと、座面部21Baの後部中央箇所から隆起状に盛り上がる形となって後側に延出する被乗上げ部21Bbと、座面部21Baと被乗上げ部21Bbとの底面形状によって形作られた底付き時の姿勢を保持する姿勢保持部21Bcと、を有する構成とされている。上述した座面部21Baは、その被乗上げ部21Bbの前側に位置する段差状に落ち込んだ面部分が、図6図7に示される後述する操作機構30の連れ回し部材38の脚片38Dが上側から押し込まれる押込部21Ba1として形成されている。
【0047】
また、図10に示すように、上述した座面部21Baの前端側の左右両サイド部には、それぞれ、上側に折り曲げられた形となって突出する立板状の係合爪21Ba2が形成されている。これら係合爪21Ba2は、前述したメモリレール21Aのガイド孔21Aaから左右両側に離れた箇所に形成された各係合孔21Abに対して、それぞれ下側から嵌め込まれることにより、メモリピース21Bのメモリレール21Aに対する前後方向のスライドをロックするロック部として機能するものとなっている。
【0048】
被乗上げ部21Bbは、上述した座面部21Baよりも上側に突出した位置に後側に向かってアーム状に延出する形状を持つ構成とされている。上述した被乗上げ部21Bbは、図6図7及び図13に示すように、その前面部分に後述する操作機構30の連れ回し部材38の脚片38Dが添えられると共に、後面部分に後述するメモリ機構20のトリガリンク22Aの脚側リンク22Abが添えられた状態として設けられるようになっている。上記構成により、被乗上げ部21Bbは、図13に示す初期状態では、上述した連れ回し部材38の脚片38Dとトリガリンク22Aの脚側リンク22Abとによって前後側から挟み込まれた状態として保持されるようになっている。上述した被乗上げ部21Bbは、その座面部21Baを後側に越えて延び出す部分の上面領域が、下側に凹曲面状に湾曲した湾曲面21Bb1として形成されている。
【0049】
姿勢保持部21Bcは、図13に示すように、上述した被乗上げ部21Bbの後下側の角面から成る支点21Bc1と、上述した座面部21Baの押込部21Ba1の直下面から突出するシート幅方向に筋状に延びる支点21Bc2と、によって構成されている。上述した姿勢保持部21Bcは、図32に示すように、上述した被乗上げ部21Bbが後述する操作機構30の連れ回し部材38によって下側に押し込まれることがあった場合に、上述した両支点21Bc1,21Bc2をメモリレール21Aの底面上に底付きさせることにより、メモリピース21Bの姿勢を各係合爪21Ba2がメモリレール21Aの各係合孔21Abから外れない前上がり状の後傾姿勢に保持するための保持部として機能するものとなっている。
【0050】
《板バネ21Cの構成について》
板バネ21Cは、図10及び図13に示すように、側面視が略切頭山形状となる形に折り曲げられて、その天板部分が上述した座面部21Baの押込部21Ba1と被乗上げ部21Bbの一部とに跨る底面領域に一体的に当てられた状態に組み付けられた構成とされている。上記板バネ21Cは、上述したメモリピース21Bがメモリレール21A内に組み付けられた状態では、その座面部21Baから前斜め下側へと延出する前脚21Caと後斜め下側へと延出する後脚21Cbとがそれぞれメモリレール21Aの底面上に弾性的に押し付けられた状態としてセットされるようになっている。上記構成により、板バネ21Cは、そのバネ付勢力によって常時、座面部21Baを上側へ向かって弾性的に押し上げる力を作用させて、メモリピース21Bの各係合爪21Ba2をメモリレール21Aの各係合孔21Ab内に弾性的に嵌め込ませてその状態に保持するようになっている。
【0051】
《メモリ体21の動作について》
上述したメモリ体21は、図13に示すように、上述したシートポジションがメモリピース21Bのある変更前の記憶位置に置かれた初期状態では、上述したメモリピース21Bの各係合爪21Ba2がメモリレール21Aの各係合孔21Ab内に嵌り込んだ状態として、メモリピース21Bの前後方向の位置が固定された状態に保持されるようになっている。そして、上記メモリ体21は、図14図18に示すように、上述した初期状態からループハンドル5が操作されてシートポジションが調節される時には、上述したメモリピース21Bがメモリレール21Aとの係合状態から外されてシートポジションの移動方向に引き連れられる形で移動操作されるようになっている。
【0052】
具体的には、上述したメモリ体21は、上述したループハンドル5が図14に示す初期状態から図15図16に示す形に引き上げ操作されることにより、上述したメモリピース21Bが後述する操作機構30の連れ回し部材38によって板バネ21Cのバネ付勢力に抗して下側へと押し込まれる。それにより、メモリピース21Bの各係合爪21Ba2がメモリレール21Aの各係合孔21Abから下側に外されて、メモリピース21Bがメモリレール21Aに対して前後方向に移動することのできる解除状態へと切り換えられる。
【0053】
したがって、上記の解除状態から、図17に示すように、ループハンドル5の操作状態を維持したままシートポジションが後側へと下げられることにより、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに連れ回し部材38から前側からの押圧力が掛けられて、メモリピース21Bがシートポジションの移動位置に対応した位置へと押し動かされる。また、上述したメモリピース21Bは、上述したループハンドル5の操作状態を維持したままシートポジションが前側へと動かされた際には、上述した被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられているトリガリンク22Aから後側からの押圧力を受けて、シートポジションの移動位置に対応した位置へと押し動かされるようになっている。
【0054】
そして、上述したメモリ体21は、図18に示すように、上述した移動位置でループハンドル5の操作が戻されることにより、上述した連れ回し部材38によるメモリピース21Bの上側からの押し込み状態が解除されて、メモリピース21Bが上述した板バネ21Cのバネ付勢力により各係合爪21Ba2をその移動位置にあるメモリレール21Aの対応する各係合孔21Ab内に嵌め込ませた係合状態となる。上記係合により、メモリピース21Bのメモリレール21Aに対する前後方向の位置が固定された状態に戻される。
【0055】
一方、上述したメモリ体21は、図19図25に示すように、上述した初期状態から乗降レバー6が操作されてシートポジションが調節される時には、上述したメモリピース21Bがメモリレール21Aとの係合状態から外されることなく、シートポジションの移動を逃がす形で定位置に残されるようになっている。具体的には、上述したメモリ体21は、上述した乗降レバー6が図19に示す初期状態から図20に示す形に操作されることにより、上述した連れ回し部材38がメモリピース21Bを下側に押し込むのではなく上側に引き上げられる形に操作されて、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置へと引き上げられるようになっている。
【0056】
したがって、上記の操作状態から、図21に示すように、乗降レバー6の操作状態を維持したままシートポジションが後側へと下げられても、メモリピース21Bはシートポジションの移動には追従することなく定位置に残される。したがって、上述したメモリ体21は、図22に示すように、上述したシートポジションの移動位置で乗降レバー6の操作が戻されても、メモリピース21Bがシートポジションの変更前の位置に取り残された状態として保持されるようになっている。
【0057】
上述したメモリ体21は、図23に示すように、上述したシートポジションが後側に変更された位置で乗降レバー6が再び操作されても、メモリピース21Bが上述したシートポジションの変更前の位置に取り残された状態として保持される。そして、上述したメモリ体21は、上記の操作状態から、図24に示すように、乗降レバー6の操作状態を維持したままシートポジションが前側へと戻されることにより、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後述する検知動作体22のトリガリンク22Aが後側から押し当てられて、シートポジションの前側へ戻される移動に伴いトリガリンク22Aを押し回すように操作する。
【0058】
上記操作により、メモリ体21は、図25に示すように、上述した検知動作体22の操作を介して乗降レバー6の操作状態がキャンセルされる動きを通じて、上述した連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを前側に乗り越えた位置で被乗上げ部21Bbの前面部分に落とし込まれて添えられた初期状態と同じ状態へと戻される。
【0059】
一方、上述したメモリ体21は、上述した乗降レバー6の操作によってシートポジションが図22にて前述したメモリピース21Bを残して後方移動した状態から、図30に示すようにループハンドル5が操作されてその操作状態のままシートポジションが前側へと戻されることがあると、図31に示すように、ループハンドル5の操作によって押し下げられた操作状態とされている上述した連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられて、メモリピース21Bが板バネ21Cのバネ付勢力に抗して後下がり状の形に押し傾けられる。
【0060】
上記後傾により、メモリピース21Bは、その被乗上げ部21Bb上に連れ回し部材38を乗り上げさせる形で、連れ回し部材38の前進移動を受け入れる状態となる。そして、上記メモリピース21Bは、上述したシートポジションの前進移動の進行に伴う連れ回し部材38の被乗上げ部21Bb上への乗り上がりにより、被乗上げ部21Bbの後端が押し下げられて、その底側の姿勢保持部21Bcを形成する後側の支点21Bc1が先ずメモリレール21Aの底面上に底付きする形に傾けられる。
【0061】
そして、上述したメモリピース21Bは、上述したシートポジションの前進移動に伴う連れ回し部材38の被乗上げ部21Bb上での前進移動の進行により、図32に示すように、最大で、中央側の支点21Bc2もメモリレール21Aの底面上に底付きする位置まで沈み込まされるようになっている。しかし、上述したメモリピース21Bは、上記のように沈み込まされても、上述した姿勢保持部21Bcの両支点21Bc1,21Bc2の底付きにより、その前端側の各係合爪21Ba2をメモリレール21Aの各係合孔21Ab内に入り込ませた姿勢状態を維持することができるようになっている。
【0062】
上述したメモリ体21は、図33に示すように、上述したメモリピース21Bの後傾による連れ回し部材38の乗り上がり移動によって、連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを前側に乗り越えた位置まで移動することにより、メモリピース21Bが板バネ21Cのバネ付勢力によって上側に持ち上げられて、その相対的な動きにより連れ回し部材38を被乗上げ部21Bbの前面部分に落とし込ませた状態へと復帰させるようになっている。
【0063】
詳しくは、上述したメモリピース21Bは、上述した復帰移動に伴って、押し下げ操作状態とされている連れ回し部材38により全体が後傾姿勢を戻しつつ真っ直ぐな姿勢で下側に押し込まれた操作状態となって、図15で示した状態と同じ、連れ回し部材38によってメモリレール21Aとの係合状態から外されるように操作された状態へと復帰されるようになっている。
【0064】
《■検知動作体22の具体的な構成について》
次に、検知動作体22の具体的な構成について説明する。検知動作体22は、図6図9及び図13に示すように、上述したスライドレール10のアッパレール12上に組み付けられた後述する操作機構30のベースブラケット31に組み付けられて設けられている。具体的には、上述した検知動作体22は、上述したベースブラケット31の後部側領域に回転可能にピン連結されたトリガリンク22Aと、ベースブラケット31の上部側領域に回転可能にピン連結されたキャンセルリンク22Bと、トリガリンク22Aの回転をキャンセルリンク22Bへと伝達して操作する操作リンク22Cと、を有する構成とされている。
【0065】
《トリガリンク22Aの構成について》
上述したトリガリンク22Aは、高さ方向に長尺な形を持つリンク形状とされており、その高さ方向の中間箇所が、上述したベースブラケット31に対して、シート幅方向に軸を向ける軸ピン22Aaにより回転可能にピン連結された状態として設けられている。上述したトリガリンク22Aは、詳しくは、上述した軸ピン22Aaとの連結箇所から下側へと延出する脚側リンク22Abと、軸ピン22Aaとの連結箇所から上前側へと湾曲する形で延出する頭側リンク22Acと、の2本のリンクから成る構成とされている。
【0066】
上述した脚側リンク22Abは、常時は上述した頭側リンク22Acとの間に掛着された不図示のバネの付勢力により、軸ピン22Aaを中心に図13の紙面向かって反時計回り方向に回転付勢された状態とされている。上記付勢により、脚側リンク22Abは、常時は、頭側リンク22Acに突出して形成された係止片22Ac1に突き当てられる回転位置にて、頭側リンク22Acに対する回転姿勢が係止された状態として保持されるようになっている。
【0067】
頭側リンク22Acは、常時は上述したベースブラケット31との間に掛着された不図示のバネの付勢力により、軸ピン22Aaを中心に図13の紙面向かって時計回り方向に回転付勢された状態とされている。上記付勢により、頭側リンク22Acは、常時は、同頭側リンク22Acと回転方向に一体的とされた上述した脚側リンク22Abの下端部分が、上述したメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられて係止される回転位置にてベースブラケット31に対する回転姿勢が係止された状態として保持されるようになっている。
【0068】
上記構成のトリガリンク22Aは、その頭側リンク22Acの上端と後述する操作リンク22Cの後端とを回転可能にピン連結する軸ピン22Caが、ベースブラケット31に形成された円弧形状に延びる長孔31C内に通された構成とされていることにより、上述した軸ピン22Caが長孔31C内を通ることができる範囲内においてベースブラケット31に対する回転が行える構成とされている。上述した長孔31Cは、上述したトリガリンク22Aの回転中心となる軸ピン22Aaを中心に描かれる円弧形状に湾曲した形に形成されている。
【0069】
《キャンセルリンク22Bの構成について》
キャンセルリンク22Bは、上述したトリガリンク22Aよりも前側となるベースブラケット31の上部側領域において、上端部がシート幅方向に軸を向ける軸ピン22Baにより回転可能にピン連結された状態として設けられている。上述したキャンセルリンク22Bは、その軸ピン22Baとの連結箇所から前下側へと延出した先の箇所に、更に蹴カム22Bbがシート幅方向に軸を向ける軸ピン22Bb1により回転可能にピン連結された構成とされている。
【0070】
上述した蹴カム22Bbは、常時は上述したキャンセルリンク22Bとの間に掛着された不図示のバネの付勢力により、軸ピン22Bb1を中心に図13の紙面向かって反時計回り方向に回転付勢された状態とされている。上記付勢により、蹴カム22Bbは、常時は、その外周部からシート幅方向に突出して形成された係止片22Bb2がキャンセルリンク22Bに突出して形成された係止突片22Bcに突き当てられる回転位置にて、キャンセルリンク22Bに対する回転姿勢が係止された状態として保持されるようになっている。
【0071】
上述した蹴カム22Bbは、上述したキャンセルリンク22Bに対する回転姿勢が係止された状態において、キャンセルリンク22Bから更に前下側へと形状を延出させるように突出する蹴突片22Bb3を有した構成とされている。上記蹴カム22Bbは、図21に示すように、上述したキャンセルリンク22Bが軸ピン22Baを中心に図示反時計回り方向に回転操作される際に、その移動軌跡上に後述する操作機構30の係脱カム33の被蹴ピン33Cが位置する時には、この被蹴ピン33Cとの干渉をかわすように軸ピン22Bb1を中心にキャンセルリンク22Bに対して図示時計回り方向に回転して、上記キャンセルリンク22Bの回転移動を逃がせるように機能するようになっている。
【0072】
しかし、上記蹴カム22Bbは、図24に示すように、上述したキャンセルリンク22Bが上記回転移動した位置から、軸ピン22Baを中心に図示時計回り方向に戻されるように回転操作される際には、その移動軌跡上に位置する後述する操作機構30の係脱カム33の被蹴ピン33Cを、キャンセルリンク22Bとの一体的な回転により押し蹴って、係脱カム33を操作カム34との係合状態から外すように機能するようになっている。
【0073】
上記構成のキャンセルリンク22Bは、そのリンク長方向の中間部と後述する操作リンク22Cの前端とを回転可能にピン連結する軸ピン22Cbが、ベースブラケット31に形成された円弧形状に延びる長孔31D内に通された構成とされていることにより、上述した軸ピン22Cbが長孔31D内を通ることができる範囲内においてベースブラケット31に対する回転が行える構成とされている。上述した長孔31Dは、上述したキャンセルリンク22Bの回転中心となる軸ピン22Ba中心に描かれる円弧形状に湾曲した形に形成されている。
【0074】
《操作リンク22Cの構成について》
操作リンク22Cは、図13に示すように、前後方向に長尺な形を持つリンク形状とされている。上記操作リンク22Cは、その後端が上述したトリガリンク22Aの頭側リンク22Acの上端に対してシート幅方向に軸を向ける軸ピン22Caにより回転可能にピン連結された状態とされている。また、上記操作リンク22Cは、その前端が上述したキャンセルリンク22Bのリンク長方向の中間部に対してシート幅方向に軸を向ける軸ピン22Cbにより回転可能にピン連結された状態とされている。
【0075】
上記構成により、操作リンク22Cは、上述したトリガリンク22Aとキャンセルリンク22Bとを動力伝達可能な状態に連結して、トリガリンク22Aの回転姿勢が初期状態に係止されている時にはキャンセルリンク22Bの回転姿勢も初期状態に係止させておくようになっている。そして、上記操作リンク22Cは、図21に示すように、上述したトリガリンク22Aがシートポジションの後退移動によってメモリピース21Bとの当接状態から離れて軸ピン22Aaを中心に図示時計回り方向に回転移動することにより、その回転移動量をキャンセルリンク22Bへと伝えて、キャンセルリンク22Bを軸ピン22Baを中心に図示反時計回り方向へと回転操作するようになっている。
【0076】
また、上記操作リンク22Cは、図24に示すように、上述したトリガリンク22Aが上記シートポジションの後退位置からの前進移動によってメモリピース21Bに再び後側から押し当てられて軸ピン22Aaを中心に図示反時計回り方向に回転することにより、その回転移動量をキャンセルリンク22Bへと伝えて、キャンセルリンク22Bを軸ピン22Baを中心に図示時計回り方向へと回転操作するようになっている。
【0077】
《検知動作体22の動作について》
上述した検知動作体22は、図13に示すように、上述したシートポジションがメモリピース21Bのある変更前の記憶位置に置かれた初期状態では、上述したトリガリンク22Aの脚側リンク22Abが上述した不図示のバネ付勢力によりメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbの後面部分に後側から押し当てられた状態として、その軸ピン22Aaを中心とした頭側リンク22Acと脚側リンク22Abとの一体的な図示時計回り方向の回転移動が途中位置で止められた状態として保持されるようになっている。
【0078】
上述した検知動作体22は、図14図18に示すように、上述したループハンドル5が操作されても何ら操作されることがなく、ループハンドル5の操作前と操作後とで状態が変わらないようになっている。しかし、上述した検知動作体22は、図19図25に示すように、上述した初期状態から乗降レバー6が操作されてシートポジションが調節される時には、メモリピース21Bを残したシートポジションの移動に伴って、メモリピース21Bから離された状態やメモリピース21Bに押し当てられた状態を検知する形で動かされるようになっている。
【0079】
具体的には、上述した検知動作体22は、上述した乗降レバー6が図19に示す初期状態から図20に示す形に操作されても、特段、操作されないようになっている。しかし、上述した検知動作体22は、図21に示すように、上述した乗降レバー6の操作によってシートポジションがメモリピース21Bを残して後側に動かされることにより、上述したトリガリンク22Aの脚側リンク22Abが、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbの後面部分との当接状態から外されて、不図示のバネ付勢力により、頭側リンク22Acと脚側リンク22Abとが一体的となって軸ピン22Aaを中心に脚側リンク22Abを前側へ蹴り出す形に図示時計回り方向に回される。
【0080】
上述したトリガリンク22Aの軸ピン22Aaを中心とした図示時計回り方向のバネ付勢力による回転移動は、上述した頭側リンク22Acの上端に連結された軸ピン22Caがその通されている長孔31Cの後端に当たって止められることで係止されるようになっている。そして、上記トリガリンク22Aの回転移動により、同トリガリンク22Aに繋がれた操作リンク22Cを介してキャンセルリンク22Bが軸ピン22Baを中心に図示反時計回り方向に引き込まれる形に回転操作される。
【0081】
その際、キャンセルリンク22Bは、上述した乗降レバー6の操作に伴ってその移動軌跡上の位置に張り出した状態とされている後述する操作機構30の係脱カム33の被蹴ピン33Cに対して、蹴カム22Bbの蹴突片22Bb3が上側から押し当てられるように回転操作される。しかし、上述したキャンセルリンク22Bは、上記回転方向から蹴カム22Bbの蹴突片22Bb3が係脱カム33の被蹴ピン33Cに押し当てられる時には、蹴カム22Bbがキャンセルリンク22Bに対して軸ピン22Bb1を中心に不図示のバネ付勢力に抗して図示時計回り方向に回転して、被蹴ピン33Cとの当たりを逃がしながら被蹴ピン33Cを抜ける位置まで回転することができるようになっている。
【0082】
そして、上述したキャンセルリンク22Bは、上述した被蹴ピン33Cを抜ける位置まで回転したところで、上述した蹴カム22Bbが不図示のバネ付勢力によってキャンセルリンク22Bの係止突片22Bcに当てられた元の姿勢状態へと戻されるようになっている。上述した検知動作体22は、図22に示すように、上述したシートポジションを後方移動させた後、その位置で乗降レバー6の操作が戻されても、特段、操作されないようになっている。また、上述した検知動作体22は、図23に示すように、上述したシートポジションが後側に変更された位置で乗降レバー6が再び操作されても、特段、操作されないようになっている。
【0083】
しかし、上述した検知動作体22は、図24に示すように、上記乗降レバー6の操作状態を維持したままシートポジションが前側へと戻されることにより、上述したトリガリンク22Aの脚側リンク22Abがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられて、シートポジションの前側へ戻される移動に伴い軸ピン22Aaを中心に図示反時計回り方向へと押し回されるように操作される。
【0084】
上記操作により、検知動作体22は、上述したトリガリンク22Aの回転が操作リンク22Cを介してキャンセルリンク22Bに伝えられ、キャンセルリンク22Bが軸ピン22Baを中心に図示時計回り方向に押される形で回転する。この回転により、キャンセルリンク22Bは、その移動軌跡上の位置に張り出している上述した係脱カム33の被蹴ピン33Cに、蹴カム22Bbの蹴突片22Bb3が下側から押し当てられる。
【0085】
その際には、キャンセルリンク22Bは、上述した蹴カム22Bbが被蹴ピン33Cに下側から押し当てられても、蹴カム22Bbがキャンセルリンク22Bに対して軸ピン22Bb1を中心に図示反時計回り方向には回転することなくキャンセルリンク22Bと一体的な状態を維持するようになっている。したがって、キャンセルリンク22Bの回転移動の進行に伴い、蹴カム22Bbの蹴突片22Bb3が被蹴ピン33Cを押し蹴って、係脱カム33を後述する操作カム34との係合状態から外すように操作するようになっている。
【0086】
上記操作により、検知動作体22は、上述した乗降レバー6の操作状態によって維持されていた後述する操作機構30によるスライドレール10のスライドロックの解除状態をキャンセルして、図25に示すように、ロックバネ13をロックさせてスライドレール10をスライドロックさせた状態へと復帰させる。上記動作により、検知動作体22は、上述したトリガリンク22Aの脚側リンク22Abがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられた初期状態と同じ状態へと戻される。
【0087】
上述した検知動作体22は、上記のようにトリガリンク22Aがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられることでロックバネ13をロック復帰させるように動作するが、図1で前述したようにシートポジションをリヤモースト付近の乗降サポート位置まで後退させることによっても、図24で上述したトリガリンク22Aの頭側リンク22Acが図5で前述したストッパブラケット15の庇状に張り出す係止面部15Aに前側から当てられて、同じようにロックバネ13をロック復帰させるよう動作するようになっている。
【0088】
上記のように構成された検知動作体22は、更に、上述した乗降レバー6の操作によってシートポジションが図20に示すメモリピース21Bのある変更前の記憶位置に置かれた状態から、後側にではなく図26に示すように前側に動かされた場合に、上述したメモリピース21Bに後側から押し当てられているトリガリンク22Aに過負荷を掛けることなく、その動きを逃がすことができる過負荷回避機構22Mを備えている。
【0089】
具体的には、上述した過負荷回避機構22Mは、上述したトリガリンク22Aがメモリピース21Bに後側から押し当てられた初期状態の位置(図20参照)から、図26に示すように、メモリピース21Bに後側から押し当てられることで軸ピン22Aaを中心に図示反時計回り方向に押し回される力の入力を受けた際に、トリガリンク22Aとその回転を受けて回転するキャンセルリンク22Bとを、それぞれ、不図示のバネ付勢力に抗して上記入力を受けた回転方向に逃がせるようにする機構により構成されている。
【0090】
上述したトリガリンク22Aとキャンセルリンク22Bとの各逃がし回転は、上述したトリガリンク22Aの頭側リンク22Acの上端に連結された軸ピン22Caがその通されている長孔31Cの前端に至るまでの間で上記トリガリンク22Aの初期位置からの回転を逃がせるようになっていると共に、上述したキャンセルリンク22Bのリンク長方向の中間部に連結された軸ピン22Cbがその通されている長孔31Dの上端に至るまでの間で上記キャンセルリンク22Bの初期位置からの回転を逃がせるようになっている。
【0091】
上述した過負荷回避機構22Mにより、検知動作体22は、上述したシートポジションの初期位置からの前進移動に伴って、トリガリンク22Aがメモリピース21Bの上に前傾姿勢となりながら乗り上がる形でメモリピース21B上を前側に乗り越える位置まで摺動していく。そして、上記検知動作体22は、図27に示すように、トリガリンク22Aがメモリピース21Bを前側に乗り越えたところで、トリガリンク22Aの回転姿勢が、不図示のバネ付勢力により、メモリピース21Bに対する後側からの当たりが外された図21に示す状態と同じ、脚側リンク22Abを前側へ蹴り出す形に戻されるようになっている。
【0092】
また、上述した検知動作体22は、更に、上記図27に示すトリガリンク22Aがメモリピース21Bを前側に越えた状態位置から、図28に示すようにシートポジションがトリガリンク22Aをメモリピース21Bの後側に戻すように後側に動かされた場合にも、上述したメモリピース21Bに前側から押し当てられるトリガリンク22Aに過負荷を掛けることなく、その動きを逃がすことができる逃がし機構22Nを備えている。
【0093】
具体的には、上述した逃がし機構22Nは、上述したトリガリンク22Aがメモリピース21Bに前側から押し当てられることで軸ピン22Aaを中心に図示時計回り方向に押し回される力の入力を受けた際に、トリガリンク22Aの脚側リンク22Abを頭側リンク22Acを残す形で不図示のバネ付勢力に抗して単独で上記入力を受けた回転方向に逃がせるようにする機構により構成されている。
【0094】
すなわち、上述したトリガリンク22Aは、上述した脚側リンク22Abが頭側リンク22Acに対して軸ピン22Aaを中心とした図示反時計回り方向の回転に対しては頭側リンク22Acの係止片22Ac1との突き当たりにより頭側リンク22Acと一体的となって回転する関係とされているが、逆方向の回転に対しては脚側リンク22Abが頭側リンク22Acとの間に掛着された不図示のバネ付勢力に抗して頭側リンク22Acを残して回転することができるようになっている。
【0095】
したがって、上記構成から成る逃がし機構22Nにより、検知動作体22は、上述したシートポジションの後退移動に伴って、トリガリンク22Aの脚側リンク22Abがメモリピース21Bの上に頭側リンク22Acに対して中折れ状に屈曲する形に折れ曲がりながら乗り上がる形となってメモリピース21B上を後側へと摺動していく。そして、上記検知動作体22は、図29に示すように、上述したトリガリンク22Aの脚側リンク22Abがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bb上に乗り上がった状態となったところで、上述したメモリピース21Bがその上側から押し込まれる力の作用によって板バネ21Cのバネ付勢力に抗して図31で前述した時と同じように後傾状に押し傾けられた状態となる。
【0096】
そして、図29に示すように、上記メモリピース21Bが後傾状に押し傾けられる動きによって、上述したトリガリンク22Aの脚側リンク22Abが、シートポジションを前側に動かす前の図20に対応する状態位置まで戻す移動量で、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbの湾曲面21Bb1上を摺動しながら軸ピン22Aaまわりの図示反時計回り方向の回転により被乗上げ部21Bbを後側に越える位置まで回転して、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられた初期状態と同じ状態へと戻される。
【0097】
《▲操作機構30の具体的な構成について》
次に、操作機構30の具体的な構成について説明する。操作機構30は、図5図9及び図13に示すように、上述した車幅方向の内側(左側)に配置されたスライドレール10のアッパレール12上に組み付けられた基台となるベースブラケット31に組み付けられて設けられている。
【0098】
上述した操作機構30は、図14図18に示すように上述したループハンドル5の操作によってスライドレール10のロックバネ13をロック状態から外すと共に、メモリピース21Bをメモリレール21Aに対する係合状態から外してスライド方向に引き連れられる状態に切り換える解除操作機構30Aと、図19図25に示すように上述した乗降レバー6の操作によって上述したメモリピース21Bをメモリレール21Aに係合させた状態に残しつつスライドレール10のロックバネ13をロック状態から外すように操作するメモリ操作機構30Bと、を有する。
【0099】
具体的には、操作機構30は、図6図7図11及び図13に示すように、上述した基台となるベースブラケット31と、ベースブラケット31の前下部側領域に回転可能にピン連結された解除アーム32と、解除アーム32の長さ方向の中間部に回転可能にピン連結された係脱カム33と、ベースブラケット31の前下部側領域に解除アーム32と同軸回りに回転可能にピン連結された操作カム34と、同操作カム34と同軸回りに一体的となって回転することができる状態に連結されたロッド35と、ベースブラケット31の前部側領域に回転可能にピン連結された引き上げ操作リンク36と、引き上げ操作リンク36の後端に吊り下げられる形にピン連結された受圧部材37と、受圧部材37と不図示のバネを介して弾性的に連結された状態としてベースブラケット31に対して高さ方向にのみ移動可能となるようにガイドされた状態として設けられた連れ回し部材38と、を有する構成とされている。
【0100】
《ベースブラケット31の構成について》
上述したベースブラケット31は、図8図9に示すように、複数枚の鋼等の板材が組み合わされて構成され、底板部と立板部とを持つ略L字板状の形に折り曲げられた形状とされている。上述したベースブラケット31は、その底板部が上述したアッパレール12の天板部12A上にボルト締結されて一体的に固定された状態とされている。
【0101】
《解除アーム32の構成について》
解除アーム32は、図8図9図11及び図13に示すように、高さ方向に長尺な形を持つアーム形状とされており、その下端部が、後述するロッド35の左側の端部をベースブラケット31に回転可能にピン連結するシート幅方向に軸を向ける操作軸35Aに軸方向に通されて、同操作軸35Aに対して回転可能にピン連結された状態として設けられている。上記解除アーム32は、常時は上述したベースブラケット31との間に掛着された不図示のバネの付勢力により、上記操作軸35Aを中心に図13の図示反時計回り方向に回転付勢された状態とされている。上記付勢により、解除アーム32は、常時は、ベースブラケット31の前側の縁部にシート幅方向に突出した形となって形成された係止片31Aに突き当てられる回転位置にて、ベースブラケット31に対する回転姿勢が係止された状態として保持されるようになっている。
【0102】
上述した解除アーム32には、その上端に、乗降レバー6からの操作力の伝達を行うケーブル32Aの先端が接続されている。上述したケーブル32Aは、管状のアウタケーブルの内部に線状のインナケーブルが通された2重のケーブル構造とされ、アウタケーブルの先端がベースブラケット31の後部側領域に一体的に掛け止められて固定され、そこから繰り出されたインナケーブルの先端が上記解除アーム32の上端に接続された状態とされている。
【0103】
上記構成の解除アーム32は、図14図18に示すように、上述したループハンドル5が操作されても何ら操作されることがなく、ループハンドル5の操作前と操作後とで状態が変わらないようになっている。しかし、上述した解除アーム32は、図19に示すように、その上端にケーブル32Aを介して接続された乗降レバー6が操作されることにより、図20に示すように、上述したケーブル32Aを介してその操作力の伝達を受けて、操作軸35Aを中心に図示時計回り方向に回転操作されるようになっている。
【0104】
上述した解除アーム32は、乗降レバー6が操作されている間は、常に、上述したケーブル32Aを介してその操作力の伝達を受け続けて、図21に示すように、上記回転操作された位置状態に保持され続けるようになっている。そして、上記解除アーム32は、図22に示すように、上述した乗降レバー6の操作が戻されることにより、上述したケーブル32Aによる牽引操作状態が解かれて、不図示のバネ付勢力により上述した係止片31Aに突き当てられる初期状態へと戻されるようになっている。
【0105】
《係脱カム33の構成について》
係脱カム33は、図13に示すように、上述した解除アーム32の長さ方向の中間部に、シート幅方向に軸を向ける軸ピン33Aにより回転可能にピン連結された状態とされている。上述した係脱カム33は、常時は上述した解除アーム32との間に掛着された不図示のバネ付勢力により、解除アーム32に対して軸ピン33Aを中心に図示時計回り方向に回転付勢された状態とされている。上記付勢により、係脱カム33は、常時は、その軸ピン33Aから後下側へと突出した形となって形成された押突片33Bを、後述する操作カム34の円弧状に湾曲した外周面上に押し当てた状態として保持されるようになっている。
【0106】
上記構成の係脱カム33は、図20に示すように、上述した解除アーム32が乗降レバー6の操作によって操作軸35Aを中心に図示時計回り方向に回転操作されることにより、押突片33Bを操作カム34の外周面上に押し付けた状態のまま軸ピン33Aを介して解除アーム32と一体的となって回転するように操作される。そして、上記回転により、係脱カム33は、その押突片33Bを操作カム34の外周面上に突出して形成された被押圧部34Aに押し当てて、操作カム34を操作軸35Aを中心に図示時計回り方向へと押し回すようになっている。
【0107】
また、上述した係脱カム33は、上記の回転に伴って、その回転中心である軸ピン33Aが、後述する引き上げ操作リンク36の下面に押し当てられて、引き上げ操作リンク36をその回転中心である前側の軸ピン36Aを中心に図示反時計回り方向へと引き上げるように操作するようになっている。上述した係脱カム33は、上述した乗降レバー6が操作されている間は、常に、上記回転操作された位置に保持されて、上述した操作カム34や引き上げ操作リンク36を押し回した状態位置に保持するようになっている。
【0108】
しかし、上述した係脱カム33は、上記回転操作された状態から、図24に示すように、シートポジションが乗降レバー6の操作によりメモリピース21Bから後退した変更後の位置から戻される動きにより、前述した検知動作体22のキャンセルリンク22Bが下側から押し上げられるように操作されて、同キャンセルリンク22Bの先端に取り付けられた蹴カム22Bbの蹴突片22Bb3により、その軸ピン33Aを間に挟む押突片33Bとは反対側の位置からシート幅方向に突出する形となって設けられた被蹴ピン33Cが上向きに押し蹴られて、軸ピン33Aを中心に解除アーム32に対して図示反時計回り方向に押し回されるように回転操作される。
【0109】
上記回転操作により、係脱カム33は、その回転中心となる軸ピン33Aによる引き上げ操作リンク36の引き上げ状態を維持したまま、その下端側の押突片33Bを操作カム34の被押圧部34Aとの突き当て状態から外すように操作されて、操作カム34との係合状態から外される。その結果、係脱カム33は、操作カム34の押し回し状態を開放して、図25に示すように操作カム34を不図示のバネ付勢力により操作軸35Aを中心に押し回される前の初期位置へと戻すようになっている。
【0110】
上述した係脱カム33の被蹴ピン33Cは、上述した解除アーム32に貫通形成された円弧形状に延びる長孔32B内に通されて、同長孔32Bを通った先の箇所がキャンセルリンク22Bの蹴カム22Bbの蹴突片22Bb3により下側から押し蹴られるようにシート幅方向に延出した構成とされている。上述した長孔32Bは、上述した係脱カム33の回転中心となる軸ピン33Aを中心に描かれる円弧形状に湾曲した形に形成されている。
【0111】
《操作カム34の構成について》
操作カム34は、図8図9図11及び図13に示すように、後述するロッド35の左側の端部をベースブラケット31に回転可能にピン連結するシート幅方向に軸を向ける操作軸35Aに軸方向に通されて、同操作軸35Aに一体的に連結された状態とされている。上記操作カム34は、常時は上述したベースブラケット31との間に掛着された不図示のバネの付勢力により、上記操作軸35Aと一体的となって操作軸35Aを中心に図13の図示反時計回り方向に回転付勢された状態とされている。
【0112】
上記付勢により、操作カム34は、常時は、その外周面上に突出して形成された被押圧部34Aが、上述した係脱カム33の押突片33Bとの間に回転方向の僅かな隙間を空けた回転位置状態に係止された状態として保持されるようになっている。上記状態では、操作カム34は、その被押圧部34Aより図示時計回り方向側に位置する外周面上から突出して形成された操作突片34Bを、ループハンドル5の上面上から僅かに浮かせた状態として保持されるようになっている。
【0113】
上記構成の操作カム34は、図20に示すように、上述した解除アーム32が乗降レバー6の操作によって操作軸35Aを中心に図示時計回り方向に回転操作されることにより、同解除アーム32によって押し動かされた係脱カム33の押突片33Bが被押圧部34Aに押し当てられて、操作軸35Aと一体的となって操作軸35Aを中心に図示時計回り方向に押し回される。上記回転により、操作カム34は、その操作突片34Bをループハンドル5の上面に上側から押し当てて、ループハンドル5を押し下げるように操作するようになっている。
【0114】
それにより、操作カム34は、ループハンドル5を図15に示すようにそれ自体を操作した時と同じように操作して、ループハンドル5を介してロックバネ13を押し下げてロック状態から外すようになっている。上記操作カム34は、図21に示すように、乗降レバー6が操作されている間は、上述した係脱カム33を介して解除アーム32からの操作力の伝達を受けてループハンドル5を押し下げた操作状態のまま保持されるようになっている。
【0115】
しかし、上記操作カム34は、乗降レバー6の操作が図22に示すように戻されることによって、初期位置の状態へと戻されるようになっている。また、上述した操作カム34は、図24に示すように、乗降レバー6の操作によってシートポジションを後退させた位置からメモリピース21Bの置かれた位置へと戻すことで上述した検知動作体22の作動によって上述した係脱カム33が操作カム34との係合状態から外されるように押し蹴られることによっても、不図示のバネ付勢力により初期位置の状態へと戻されるようになっている。
【0116】
《ロッド35の構成について》
ロッド35は、図4に示すように、その左側の端部が、上述したベースブラケット31の前下部側領域に回転可能にピン連結されたシート幅方向に軸を向ける操作軸35Aに一体的に連結されていると共に、右側の端部が、同側のアッパレール12上に取り付けられた支持ブラケット16に回転可能にピン連結されたシート幅方向に軸方向を向ける操作軸35Bに一体的に連結された状態とされている。上記構成により、ロッド35は、左側の操作軸35Aと右側の操作軸35Bとにそれぞれ一体的に連結された状態として、左側の操作軸35Aに一体的に連結された図20に示す操作カム34が回転操作される動きを右側の操作軸35Bにも伝達することができる構成とされている。
【0117】
上述した図4に示す右側の操作軸35Bには、その左側の操作軸35Aとの一体的な回転操作が行われることにより、同側のループハンドル5の上面に押し当てられてループハンドル5を押し下げる不図示のアーム部材が一体的に連結されている。上記構成により、図20にて前述した乗降レバー6の操作が行われて左側の操作軸35Aが回転操作されることにより、併せて図4に示した右側の操作軸35Bも一斉に回転操作されて、各側のスライドレール10に取り付けられたループハンドル5が一斉に押し下げられるように操作されるようになっている。それにより、各側のスライドレール10のロックバネ13が一斉に押し下げられるように操作されて、各側のスライドレール10のスライドロック状態が一斉に解除されるようになっている。また、右側の操作軸35Bは、左側の操作軸35Aの回転操作が戻されるのに併せて、一斉に戻されるようにもなっている。
【0118】
《引き上げ操作リンク36の構成について》
引き上げ操作リンク36は、図8図9図11及び図13に示すように、前後方向に長尺な形を持つアーム形状とされており、その前端部が、シート幅方向に軸を向ける軸ピン36Aによりベースブラケット31の前部側領域に回転可能にピン連結された状態として設けられている。上記引き上げ操作リンク36は、その後端部にシート幅方向に貫通する形に形成された前後方向に延びる長孔36B内に後述する連れ回し部材38の上端部に連結されたシート幅方向に突出する軸ピン38Bが通された状態とされており、同連れ回し部材38が後述する受圧部材37を介してベースブラケット31に対して弾性的に支持される力の作用によって、常時は図13に示す初期位置の状態に保持されるようになっている。
【0119】
上述した引き上げ操作リンク36は、図15に示すように、上述したループハンドル5が操作されて後述する連れ回し部材38が押し下げられる形に操作される時には、同連れ回し部材38の移動を許容するように、その長孔36B内で軸ピン38Bを後側にスライドさせながら僅かに下側へと押し回されるようになっている。しかし、上記引き上げ操作リンク36は、図20に示すように、上述した乗降レバー6が操作されて解除アーム32が操作軸35Aを中心に図示時計回り方向に回転操作されることにより、同解除アーム32に連結された係脱カム33の回転中心である軸ピン33Aによりその下面が下側から押圧されて、軸ピン36Aを中心に図示反時計回り方向に回転操作されるようになっている。
【0120】
上記回転により、引き上げ操作リンク36は、その後端側の長孔36B内に通された軸ピン38Bを引き上げるように操作して、連れ回し部材38を不図示のバネ付勢力に抗して上側へと引き上げて、連れ回し部材38の下端側の脚片38Dをメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置まで引き上げるようになっている。上述した引き上げ操作リンク36の下面には、その途中領域に円弧形状に湾曲した逃がし面36Cが形成されている。上記逃がし面36Cは、上述した引き上げ操作リンク36が連れ回し部材38をメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置まで引き上げた操作状態となった時に、係脱カム33の回転中心である軸ピン33Aが当てられる領域に形成されている。
【0121】
上記逃がし面36Cは、上述した引き上げ操作リンク36が連れ回し部材38をメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置まで引き上げた操作状態となった時に、係脱カム33の回転中心である軸ピン33Aを中心に描かれる円弧形状に湾曲した形となるように形成されている。このような構成とされていることにより、引き上げ操作リンク36は、連れ回し部材38をメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置まで引き上げてからは、解除アーム32の回転移動が更に進行してもそれ以上引き上げられる形に操作されないようになっており、連れ回し部材38を必要以上に引き上げ過ぎないように、過剰な操作移動量を逃がすことができるようになっている。
【0122】
《受圧部材37の構成について》
受圧部材37は、図8図9図11及び図13に示すように、高さ方向に長尺な形を持つ板形状に形成されており、上述したベースブラケット31に対して高さ方向に真っ直ぐスライドすることができる状態にガイドされた状態として設けられている。具体的には、上述した受圧部材37は、その高さ方向の中間部に形成された高さ方向に真っ直ぐ延びる長孔37A内に、ベースブラケット31に固定されたシート幅方向に延びる軸支ピン31Eが通された状態とされている。また、上述した受圧部材37は、その後側の側面に、ベースブラケット31からシート幅方向に張り出す形に折り曲げられたガイド片31Bが当てられた状態とされている。
【0123】
上記構成により、受圧部材37は、上述した軸支ピン31Eとガイド片31Bとによるガイドを受けて、これらに沿ってベースブラケット31に対して高さ方向に真っ直ぐスライドすることができる形に支えられた状態とされている。上述した受圧部材37は、常時は、上述したベースブラケット31との間に掛着された不図示のバネ付勢力によって、ベースブラケット31に対して真っ直ぐ上側へと持ち上げられる方向に移動付勢された状態とされている。
【0124】
上記付勢により、受圧部材37は、常時は、図13に示すように、その長孔37Aの下端が上述した軸支ピン31Eに当たって係止される初期位置の状態に保持されるようになっている。上述した受圧部材37には、その前下側の角部から前下側へ向かってフック状の形に張り出す受圧片37Cが形成されている。上述した受圧片37Cは、図14に示すように、上述した受圧部材37から上述したループハンドル5の後端部の直下領域へと潜り込む形に張り出して、ループハンドル5が操作される前の初期状態では、ループハンドル5との間に高さ方向の僅かな隙間を空けた状態とされるようになっている。
【0125】
上述した受圧部材37は、図15に示すように、上述したループハンドル5が操作されてその後端部が押し下げられるように操作されることにより、同後端部により受圧片37Cが上側から押圧されて、上述した不図示のバネ付勢力に抗して下側へと押し込まれる形に操作されるようになっている。上記操作により、受圧部材37は、同受圧部材37と不図示のバネを介して弾性的に連結された後述する連れ回し部材38を下側へと押し下げて、連れ回し部材38を介して前述したメモリピース21Bを下側へ押し込むように操作するようになっている。
【0126】
また、上述した受圧部材37は、上述したループハンドル5の操作によって連れ回し部材38を押し下げるように操作してメモリピース21Bが底付きして連れ回し部材38がそれ以上押し下げられない操作状態(図15の位置状態)となったところから、更にループハンドル5が限界位置まで操作される時には、図16に示すように、そのループハンドル5によって押し下げられた過剰な操作移動量を、連れ回し部材38との間に介在する上述した不図示のバネの撓みによって逃がすことができるようになっている。
【0127】
上述した受圧部材37は、図17に示すように、上述したループハンドル5が操作されている間は、同ループハンドル5により押し下げられて連れ回し部材38を介してメモリピース21Bを押し下げた操作状態のまま保持されるようになっている。そして、上述した受圧部材37は、図18に示すように、上述したループハンドル5の操作が戻されることによって、初期位置の状態へと戻されるようになっている。
【0128】
《連れ回し部材38の構成について》
連れ回し部材38は、図8図9図11及び図13に示すように、高さ方向に長尺な形を持つ板形状に形成されており、上述した受圧部材37とシート幅方向(板厚方向)に重ね合わされる形に組み付けられて、受圧部材37と同様に、ベースブラケット31に対して高さ方向に真っ直ぐスライドすることができる状態にガイドされた状態として設けられている。具体的には、上述した連れ回し部材38は、その高さ方向の中間部に形成された高さ方向に真っ直ぐ延びる長孔38A内に、上述したベースブラケット31に固定されたシート幅方向に延びる軸支ピン31Eが受圧部材37の長孔37Aと共に通された状態とされている。
【0129】
また、上述した連れ回し部材38は、その後側の側部に、上述したベースブラケット31からシート幅方向に張り出す形に折り曲げられたガイド片31Bが受圧部材37と共に当てられた状態とされている。上記構成により、連れ回し部材38は、上述した軸支ピン31Eとガイド片31Bとによるガイドを受けて、これらに沿って受圧部材37と共にベースブラケット31に対して高さ方向に真っ直ぐスライドすることができる形に支えられた状態とされている。
【0130】
上述した連れ回し部材38は、常時は、上述した受圧部材37との間に掛着された不図示の引張バネの付勢力によって、受圧部材37に対して押し下げられる方向に移動付勢された状態とされている。上記付勢により、連れ回し部材38は、常時は、図13に示すように、その上端部から後側へと張り出す係止突起38Cが、受圧部材37の上端後部からシート幅方向に折り曲げられて張り出す係止片37Bに上側から当たって係止される初期位置の状態に保持されるようになっている。
【0131】
上記初期位置の状態では、連れ回し部材38は、その下端側の脚片38Dを前述したメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbの上面よりも低い位置に落とし込んだ状態として、シートポジションがメモリピース21Bのある変更前の記憶位置に置かれた初期状態では、その下端側の脚片38Dをメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbの前面部分に添える形に落とし込んだ状態として保持されるようになっている。
【0132】
上述した連れ回し部材38は、上述したループハンドル5が図14に示す初期状態から図15に示すように操作されることにより、上述した受圧部材37を介して下側に押し込まれるように操作される。これにより、連れ回し部材38は、その下端側の脚片38Dによってメモリピース21Bの押込部21Ba1に上側から押し込み力を掛けて、メモリピース21Bを押し下げるようになっている。上述した連れ回し部材38は、上記押し下げられた操作状態から、更にループハンドル5が限界位置まで操作されても、図16に示すように、ループハンドル5によって押し下げられた受圧部材37が連れ回し部材38との間で上述した不図示の引張バネを引き伸ばしながら過剰な操作移動量を逃がす形に動かされるようになっていることにより、過剰な負荷を受けないようになっている。
【0133】
上述した連れ回し部材38は、図17に示すように、上述したループハンドル5が操作されている間は、上述した受圧部材37から受ける押圧力によりメモリピース21Bを押し下げた操作状態のまま保持されるようになっている。そして、上述した連れ回し部材38は、図18に示すように、上述したループハンドル5の操作が戻されることによって、初期位置の状態へと戻されるようになっている。
【0134】
また、上述した連れ回し部材38は、図19に示すように、その上端部が、前述した引き上げ操作リンク36の後端部に連結されて、引き上げ操作リンク36が図20に示すように乗降レバー6の操作によって引き上げられることで、その下端側の脚片38Dの底面がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbの上面を上側に越えた状態となる位置まで引き上げられるようになっている。具体的には、上述した連れ回し部材38は、その上端部に連結されたシート幅方向に延びる軸ピン38Bが、引き上げ操作リンク36の後端部に形成された前後方向に延びる長孔36B内に通された状態とされている。
【0135】
上記構成により、連れ回し部材38は、乗降レバー6の操作によって引き上げ操作リンク36が係脱カム33の軸ピン33Aにより押し上げられる形に操作されることにより、上述したループハンドル5の押し下げ操作を介して受圧部材37が押し下げられる一方で、同受圧部材37との間に掛着された不図示の引張バネの付勢力に抗して引き上げ操作リンク36により引き上げられる形で操作されるようになっている。
【0136】
上述した連れ回し部材38は、上述した乗降レバー6が操作されている間は、上述した引き上げ操作リンク36が引き上げられた操作状態に保持されることから、上述した脚片38Dがメモリピース21Bから引き上げられた操作状態に保持されるようになっている。したがって、上記乗降レバー6の操作状態のまま、シートポジションを後退移動させることにより、図21に示すように、連れ回し部材38は、メモリピース21Bをその移動方向に引き連れることなく、メモリピース21Bをメモリレール21Aに係合させたままの状態に残して、メモリピース21Bを後側に乗り越えて移動していくようになっている。
【0137】
そして、上述した連れ回し部材38は、図22に示すように、上述した乗降レバー6の操作が戻されることにより、上述した引き上げ操作リンク36による引き上げ操作状態が解かれて、初期位置の状態へと落とし込まれるようになっている。また、上述した連れ回し部材38は、図23に示すように、上記シートポジションを移動させた位置から再び乗降レバー6の操作が行われることにより、再び、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置へと引き上げられた状態に操作されるようになっている。したがって、上記乗降レバー6の操作状態のまま、シートポジションを後退移動させる前のメモリピース21Bの置かれた記憶位置へと戻すことにより、図24に示すように、連れ回し部材38は、メモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを前側に乗り越えた位置へと戻されるようになっている。
【0138】
上述した連れ回し部材38の下端側の脚片38Dは、その前下側の角面が斜めに面取りされた傾斜面38Daとなっている。上記構成により、連れ回し部材38の脚片38Dは、図31に示すように、シートポジションがメモリピース21Bの残された記憶位置より後退した位置からループハンドル5の操作によって押し下げられた操作状態でメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられても、傾斜面38Daの当たりによって被乗上げ部21Bbとの後側からの当たりを斜めに逃がして被乗上げ部21Bb上を適切に乗り越えて被乗上げ部21Bbを前側に越える位置まで戻されるようになっている。
【0139】
《●全体の動作説明》
以上のように構成されたスライドレール装置Mは、図1で前述した乗降レバー6の操作や図2で前述したループハンドル5の操作が行われることによって、次のようにシートポジションの調節を行える状態に動かされるようになっている。なお、以下の説明では、シートポジションが図13に示すようにメモリピース21Bのある変更前の記憶位置に置かれた状態を初期状態として説明することとする。
【0140】
《●ループハンドル5の操作時の各部の動き》
先ず、図14図18を用いて、上記初期状態からループハンドル5が操作された時の各部の動きについて説明する。すなわち、図14に示す初期状態からループハンドル5の引き上げ操作が行われると、図15に示すように、ループハンドル5の後端部によってロックバネ13が押し下げられてロック状態から外されると共に、受圧部材37も押し下げられて連れ回し部材38を介してメモリピース21Bが押し下げられてメモリレール21Aに対する係合状態から外される。なお、ループハンドル5は最大で図16に示す限界位置まで操作可能であるが、この位置まで操作されても、前述したように受圧部材37や連れ回し部材38には過剰な操作に伴う過負荷は掛からないようになっている。
【0141】
次に、上記ループハンドル5を操作した状態のまま、図17に示すようにシートポジションを後退移動させることにより、連れ回し部材38の脚片38Dがメモリピース21Bを押し下げた操作状態のまま被乗上げ部21Bbを後側に押圧して、メモリピース21Bが連れ回し部材38により引き連れられる形でシートポジションの移動位置へと動かされていく。なお、シートポジションを前進移動させる時には、トリガリンク22Aの脚側リンク22Abがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを前側に押圧することで、メモリピース21Bがシートポジションの移動位置へと動かされていくようになっている。
【0142】
そして、上記シートポジションを任意の位置に移動させたところで図18に示すようにループハンドル5の操作を戻すことにより、ロックバネ13がロック状態に復帰すると共に受圧部材37及び連れ回し部材38も初期位置へと引き上げられて、メモリピース21Bがその位置でメモリレール21Aに係合した状態、すなわちシートポジションの変えられた位置で初期状態と同じ状態に戻される。
【0143】
《●乗降レバー6の操作時の各部の動き》
次に、図19図25を用いて、上記初期状態から乗降レバー6が操作された時の各部の動きについて説明する。すなわち、図19に示す初期状態から乗降レバー6の操作が行われると、図20に示すように、解除アーム32の操作によって操作カム34を介してループハンドル5の後端部が押し下げられる形に操作され、同ループハンドル5の後端部によってロックバネ13が押し下げられてロック状態から外されると共に、受圧部材37も押し下げられる。しかし、上記動作の一方で、解除アーム32に連結された係脱カム33の回転中心である軸ピン33Aにより引き上げ操作リンク36が引き上げられて、連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置へと引き上げられるように操作される。したがって、上記乗降レバー6が操作されてもメモリピース21Bがメモリレール21Aと係合した状態のまま保持される。
【0144】
次に、上記乗降レバー6を操作した状態のまま、図21に示すようにシートポジションを後退移動させることにより、上述したメモリピース21Bを初期位置に取り残したまま連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを後側へと乗り越える。そして、上記移動により、トリガリンク22Aがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられていた状態から離されて、不図示のバネ付勢力により脚側リンク22Abが前側に蹴り出される姿勢に切り換えられる。
【0145】
そして、上記シートポジションを任意の位置に移動させたところで図22に示すように乗降レバー6の操作を戻すことにより、ロックバネ13がロック状態に復帰すると共に受圧部材37及び連れ回し部材38も初期位置へと戻された状態となる。次に、上記移動位置から図23に示すように再び乗降レバー6の操作を行うと、先ほどの操作時と同じように、解除アーム32の操作によってループハンドル5の後端部が押し下げられて、ロックバネ13がロック状態から外されると共に、連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbよりも高い位置へと引き上げられた状態となる。
【0146】
次に、上記の操作状態のまま、図24に示すように、シートポジションを後退させた位置からメモリピース21Bの置かれた位置へと戻すことで、上述した連れ回し部材38がメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbを前側に乗り越えると共に、トリガリンク22Aがメモリピース21Bの被乗上げ部21Bbに後側から押し当てられて、それによりキャンセルリンク22Bが先端側の蹴カム22Bbにより係脱カム33を操作カム34との係合状態から外すように蹴り操作する。
【0147】
上記蹴り操作により、図25に示すように、乗降レバー6が操作状態に維持されたままであっても、操作カム34が不図示のバネ付勢力により初期位置へ向けて戻されていき、同操作カム34により押し動かされていたループハンドル5の操作状態が戻されてロックバネ13がロック状態に復帰する。上記動作により、乗降レバー6を操作した状態のままシートポジションを変更前の記憶位置に向けて移動させていくだけの簡単な操作によって、乗降レバー6が操作状態のままであっても、シートポジションがメモリピース21Bの残された記憶位置に達したところでスライドロックされた状態に戻されて、変更前の記憶位置に戻された状態となる。したがって、その後に乗降レバー6の操作を戻すことにより、解除レバーが初期位置の状態に戻されて、スライドレール装置Mが初期状態と同じ状態に戻される。
【0148】
なお、上記図21に示した乗降レバー6の操作後にシートポジションを後方移動させた際、シートポジションをそのままリヤモースト付近の乗降サポート位置まで後退させることにより、上述したトリガリンク22Aの頭側リンク22Acが図5で前述したストッパブラケット15の係止面部15Aに前側から押し当てられて、トリガリンク22Aが図24図25で示した状態と同じように動作して、シートポジションをその位置でスライドロックさせるように作動するようになっている。上記作動により、シートポジションをリヤモースト付近の乗降サポート位置まで一気に後退させてロックさせることが簡便に行えるようになり、乗降スペースを広く空けて乗降動作を適切にサポートすることができるようになる。
【0149】
《●まとめ》
以上をまとめると、本実施例のスライドレール装置Mは次のような構成とされている。すなわち、シートポジションをロック機構(ロックバネ13)の解除操作により調節可能なスライドレール(スライドレール10)と、シートポジションの変更前の位置を機械的な係合により記憶可能なメモリ部材(メモリピース21B)を有してメモリ部材(メモリピース21B)との当たりによりシートポジションを変更前の記憶位置に復帰させるよう動作するメモリ機構(メモリ機構20)と、を有する乗物用スライドレール装置(スライドレール装置M)である。この乗物用スライドレール装置(スライドレール装置M)は、ロック機構(ロックバネ13)をロック状態から外すと共にメモリ部材(メモリピース21B)を位置記憶状態から外してスライド方向に引き連れるように操作する解除操作機構(解除操作機構30A)と、メモリ部材(メモリピース21B)を位置記憶させた状態に残しつつロック機構(ロックバネ13)をロック状態から外すように操作するメモリ操作機構(メモリ操作機構30B)と、を有する。
【0150】
メモリ機構(メモリ機構20)は、シートポジションが変更前の記憶位置にある状態ではメモリ部材(メモリピース21B)にスライド方向の一方側(後側)から押し当てられた初期姿勢の状態(図19の状態)に保持されるがメモリ操作機構(メモリ操作機構30B)の動作によりシートポジションがメモリ部材(メモリピース21B)を位置記憶させた状態に残してスライド方向の一方側(後側)に離されることにより付勢によりスライド方向の他方側(前側)に動かされる形に傾けられた他方側傾き姿勢(図21の姿勢)に切り換えられてシートポジションが変更前の記憶位置に戻される動きによりメモリ部材(メモリピース21B)に当たって初期姿勢の状態(図24の状態)へと押し動かされてメモリ操作機構(メモリ操作機構30B)によるロック機構(ロックバネ13)の解除状態を解放してロック状態に復帰させるトリガリンク(トリガリンク22A)と、トリガリンク(トリガリンク22A)が初期姿勢とされた状態(図19の状態)からメモリ操作機構(メモリ操作機構30B)の動作によりシートポジションが位置記憶状態にあるメモリ部材(メモリピース21B)に対してスライド方向の他方側(前側)へと押し動かされる動作に対してトリガリンク(トリガリンク22A)をメモリ部材(メモリピース21B)との当たりによってスライド方向の一方側(後側)に動かされる形に押し傾けた一方側傾き姿勢(図26の姿勢)としながらメモリ部材(メモリピース21B)をスライド方向の他方側(前側)に越えた領域へと移動させられるようにする過負荷回避機構(過負荷回避機構22M)と、過負荷回避機構(過負荷回避機構22M)によりトリガリンク(トリガリンク22A)がメモリ部材(メモリピース21B)をスライド方向の他方側(前側)に越えた領域に移された状態からシートポジションが位置記憶状態にあるメモリ部材(メモリピース21B)に対してスライド方向の一方側(後側)へと戻される動きに対してトリガリンク(トリガリンク22A)をメモリ部材(メモリピース21B)との当たりによって中折れ状に屈曲回転させながらメモリ部材(メモリピース21B)をスライド方向の一方側(後側)に越えた領域へと復帰させられるようにする逃がし機構(逃がし機構22N)と、を有する。
【0151】
このような構成とされていることにより、シートポジションが変更前の記憶位置にある状態、すなわち、トリガリンク(トリガリンク22A)が位置記憶状態にあるメモリ部材(メモリピース21B)に対してスライド方向の一方側(後側)から押し当てられた初期姿勢にある状態(図19の状態)から、メモリ操作機構(メモリ操作機構30B)の動作によりトリガリンク(トリガリンク22A)がメモリ部材(メモリピース21B)にスライド方向の一方側(後側)から押し込まれるように操作されても、過負荷回避機構(過負荷回避機構22M)により、トリガリンク(トリガリンク22A)がメモリ部材(メモリピース21B)との当たりを逃がす形で一方側傾き姿勢(図26の姿勢)となりながらメモリ部材(メモリピース21B)をスライド方向の他方側(前側)に越えた領域へと移動することができる。また、上記トリガリンク(トリガリンク22A)がメモリ部材(メモリピース21B)をスライド方向の他方側(前側)に越えた領域にある状態から一方側(後側)へと戻されるように操作される時には、逃がし機構(逃がし機構22N)により、トリガリンク(トリガリンク22A)がメモリ部材(メモリピース21B)との当たりを逃がす形で中折れ状に屈曲回転しながらメモリ部材(メモリピース21B)をスライド方向の一方側(後側)に越えた領域へと復帰することができる。このような構成により、トリガリンク(トリガリンク22A)のメモリ部材(メモリピース21B)との当たりによる位置検知機能を損なうことなく、メモリ部材(メモリピース21B)とトリガリンク(トリガリンク22A)との間に過負荷が入力されることを適切に回避することができる。
【0152】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の乗物用スライドレール装置の構成は、自動車の運転席以外のシートの他、鉄道等の自動車以外の車両に適用されるシートや、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。また、スライドレールは、シートポジションを車幅方向に変化させるものであってもよい。また、スライドレールは、特開2010−274738号公報等の文献に開示されているような、シートバックを乗物の側壁等の乗物本体に対して背凭れ角度の調節を行える状態に連結する用途で使われるものであってもよい。
【0153】
また、スライドレールのロック機構は、上記実施例で示したようなアッパレール(可動側レール)に取り付けられたバネ自体が付勢によりロアレール(固定側レール)のロック溝内に入り込んでロックするタイプの構成に限らない。例えば、特開2014−189218号公報等の文献に開示されているような、アッパレールに取り付けられたロック爪が、バネ付勢力によりロアレールのロック溝内に入り込んでロックするタイプの構成であってもよい。
【0154】
また、メモリ機構は、シートポジションの変更前の位置を記憶して同記憶位置からシートポジションを後退させる方向に移動させる用途に限らず、シートポジションを上記記憶位置から前進させる用途に供されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0155】
1 シート
2 シートバック
3 シートクッション
4 ヘッドレスト
5 ループハンドル
6 乗降レバー
10 スライドレール
11 ロアレール
11A 底面部
11B ロア側ひれ部
11C ロック溝
12 アッパレール
12A 天板部
12Aa 貫通孔
12B アッパ側ひれ部
12Ba 通し孔
12Bb 引掛片
12C 通し溝
13 ロックバネ(ロック機構)
13A 前端部
13B 後端部
13C ロック部
14 引張バネ
15 ストッパブラケット
15A 係止面部
16 支持ブラケット
20 メモリ機構
21 メモリ体
21A メモリレール
21Aa ガイド孔
21Ab 係合孔
21B メモリピース(メモリ部材)
21Ba 座面部
21Ba1 押込部
21Ba2 係合爪
21Bb 被乗上げ部
21Bb1 湾曲面
21Bc 姿勢保持部
21Bc1 支点
21Bc2 支点
21C 板バネ
21Ca 前脚
21Cb 後脚
22 検知動作体
22A トリガリンク
22Aa 軸ピン
22Ab 脚側リンク
22Ac 頭側リンク
22Ac1 係止片
22B キャンセルリンク
22Ba 軸ピン
22Bb 蹴カム
22Bb1 軸ピン
22Bb2 係止片
22Bb3 蹴突片
22Bc 係止突片
22C 操作リンク
22Ca 軸ピン
22Cb 軸ピン
22M 過負荷回避機構
22N 逃がし機構
30 操作機構
30A 解除操作機構
30B メモリ操作機構
31 ベースブラケット
31A 係止片
31B ガイド片
31C 長孔
31D 長孔
31E 軸支ピン
32 解除アーム
32A ケーブル
32B 長孔
33 係脱カム
33A 軸ピン
33B 押突片
33C 被蹴ピン
34 操作カム
34A 被押圧部
34B 操作突片
35 ロッド
35A 操作軸
35B 操作軸
36 引き上げ操作リンク
36A 軸ピン
36B 長孔
36C 逃がし面
37 受圧部材
37A 長孔
37B 係止片
37C 受圧片
38 連れ回し部材
38A 長孔
38B 軸ピン
38C 係止突起
38D 脚片
38Da 傾斜面
F フロア
BP Bピラー
M 乗物用スライドレール装置(スライドレール装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33