特許第6805955号(P6805955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805955
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20201214BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H02G3/04 050
   B60R16/02 623T
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-89429(P2017-89429)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-191378(P2018-191378A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下道 勝
(72)【発明者】
【氏名】栗原 圭佑
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−330005(JP,A)
【文献】 特開2009−50100(JP,A)
【文献】 特開2014−82880(JP,A)
【文献】 特開平8−251754(JP,A)
【文献】 特開2000−350329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と前記底板の一方の縁から立ち上がっている第1側板と前記底板の他方の縁から立ち上がっている第2側板とを備え、前記底板及び前記第1側板及び前記第2側板によりワイヤハーネスの幹線を収容するための収容通路が区画されているワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記第1側板には、前記幹線から分岐した枝線を前記収容通路から外部に引き出すための切欠部が設けられており、
前記切欠部に対向する前記底板の縁には、前記枝線を保持する板状の枝線保持片が連結されており、
前記枝線保持片は、前記底板に連結される端部である基端側を回動中心として、前記収容通路に対して外側に開いた位置と、前記切欠部を閉じる方向へ起こし上げた位置とに回動され、
前記第1側板における前記収容通路側の面である通路形成面からは、突出部が突出しているワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記第1側板には、前記幹線を前記通路形成面に押し付ける幹線固定部が設けられており、
前記突出部は、前記幹線固定部と前記切欠部との間に位置しているワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記突出部は、前記第1側板の延設方向における前記切欠部とは反対側に、前記切欠部側に向かうほど前記通路形成面から遠ざかるように傾斜する傾斜面を備えているワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
当該ワイヤハーネス用プロテクタは樹脂成形物であり、
前記突出部は、前記第1側板の立ち上がり方向に延びているとともに中空形状になっているワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記切欠部は、前記第1側板の延設方向において、前記第1側板の中央よりも一方側に位置しており、
前記突出部は、前記第1側板における前記一方側の端部と前記切欠部との間に位置しているワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記突出部は、前記通路形成面における、前記第1側板の立ち上がり方向の全域に亘って形成されているワイヤハーネス用プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤハーネス用プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているワイヤハーネス用プロテクタのプロテクタ本体は、底板と底板の縁から立ち上がる一対の側板とを備えている。これら底板と一対の側板とによりワイヤハーネスの幹線が収容される収容通路が区画されている。また、プロテクタ本体の側板の一部には切欠部が設けられている。この切欠部を通じて、幹線から分岐した枝線が収容通路の外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−150832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているようなワイヤハーネス用プロテクタにおいて、収容通路から切欠部を介して外部に引き出されている枝線を、プロテクタ本体の底板に対して立ち上がるように折り曲げることがある。しかしながら、収容通路内における幹線と、プロテクタ本体の側板との位置関係によっては、折り曲げられた枝線が幹線に干渉して枝線を所定の位置にまで折り曲げることができなかったり、枝線に過度な負担がかかったりすることがある。したがって、ワイヤハーネス用プロテクタにおいては、枝線を折り曲げた場合に当該枝線が幹線に干渉しないような構造が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのワイヤハーネス用プロテクタは、底板と底板の一方の縁から立ち上がっている第1側板と底板の他方の縁から立ち上がっている第2側板とを備え、底板及び第1側板及び第2側板によりワイヤハーネスの幹線を収容するための収容通路が区画されている。第1側板には、幹線から分岐した枝線を収容通路から外部に引き出すための切欠部が設けられており、第1側板における収容通路側の面である通路形成面からは、突出部が突出している。
【0006】
この構成においては、収容通路に収容される幹線を、突出部によって第1側板の通路形成面から離れた位置に配置できる。そのため、切欠部が設けられている第1側板の通路形成面と幹線との間に相応のスペースを確保できる。したがって、第1側板の切欠部から引き出されている枝線を、底板に対して立ち上がるように折り曲げたとしても、枝線が幹線と干渉しにくい。その結果、枝線を無理なく折り曲げることができるとともに折り曲げた枝線に過度な負担がかかったりすることもない。
【0007】
ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、突出部は、第1側板の延設方向における切欠部とは反対側に、切欠部側に向かうほど通路形成面から遠ざかるように傾斜する傾斜面を備えていることが好ましい。
【0008】
ワイヤハーネス用プロテクタの収容通路から外部へと引き出された幹線は、他の部材に接続される。そのため、幹線は、第1側板の延設方向において切欠部とは反対側、すなわち幹線の出入り口側ほど移動が拘束されている蓋然性が高い。そして、このような幹線に突出部を当接させると、突出部における切欠部とは反対側の箇所で突出部と幹線とが強く当接することになる。
【0009】
上記の構成においては、突出部における切欠部とは反対側に傾斜面が設けられているため、幹線と突出部とを面で当接させることができる。したがって、突出部における切欠部とは反対側の箇所が幹線と強く当接したとしても、幹線が傷付くことは抑制できる。
【0010】
ワイヤハーネス用プロテクタは、樹脂成形物であり、突出部が、第1側板の立ち上がり方向に延びているとともに中空形状になっていることが好ましい。
この構成においては、突出部を中空形状とすることで、突出部の第1側板からの突出量に比して突出部の肉厚を薄くできる。こうして突出部の肉厚を薄くすることで、ワイヤハーネス用プロテクタの製造時に、突出部にひけが発生することを抑制できる。
【0011】
ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、切欠部は、第1側板の延設方向において、第1側板の中央よりも一方側に位置しており、突出部は、第1側板における前記一方側の端部と切欠部との間に位置していることが好ましい。
【0012】
上述したように、ワイヤハーネス用プロテクタの収容通路に収容されている幹線は、収容通路の出入口側ほど移動が拘束されている蓋然性が高い。その一方で、収容通路内において出入口側から離れた位置においては、幹線が比較的に移動しやすく、第1側板の通路形成面から離れた位置に移動できる余地がある。
【0013】
上述の構成においては、切欠部が第1側板における一方側に寄せて配置されている。そのため、第1側板の切欠部よりも一方側において幹線が移動しにくい。このような箇所に突出部を設けて、第1側板の通路形成面と幹線との間の離間距離を確保することは、特に有効である。
【0014】
ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、突出部は、通路形成面における、第1側板の立ち上がり方向の全域に亘って形成されていることが好ましい。
この構成によれば、突出部が幹線と接触可能となる高さの範囲が、第1側板の高さ全体となる。そのため、収容される幹線の径や形状に拘らず、確実に突出部を幹線に当接させて、第1側板の通路形成面と幹線との間のスペースを確保できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワイヤハーネス用プロテクタの収容通路から外部へと延びる枝線を折り曲げた場合に当該枝線が幹線に干渉しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ワイヤハーネス用プロテクタの分解斜視図。
図2】枝線保持片を閉じた状態におけるプロテクタ本体の斜視図。
図3図2の3−3線矢視方向の断面図。
図4】幹線及び枝線を収容した状態のプロテクタ本体の上面図。
図5図4の5−5線矢視方向の断面図。
図6】突出部を備えていないプロテクタ本体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ワイヤハーネス用プロテクタの一実施形態について、図1図5を参照して説明する。
図1に示すように、ワイヤハーネス用プロテクタ10は、プロテクタ本体30と、そのプロテクタ本体30を上側から覆う蓋体20とを備えている。なお、プロテクタ本体30と蓋体20は共に樹脂成形物である。
【0018】
図1図3に示すように、プロテクタ本体30は、板状の底板42を備えている。底板42は、平面視すると略L字状に延びている。底板42におけるL字の外側の縁からは、板状の第1側板44が上側に向かって立ち上がっている。第1側板44は、底板42におけるL字の外側の縁の略全域に亘って延設されている。底板42におけるL字の内側の縁からは、板状の第2側板46が上側に向かって立ち上がっている。第2側板46は、底板42におけるL字の内側の縁の全域に亘って延設されている。第2側板46における底板42からの立ち上がり長さは、第1側板44における底板42からの立ち上がり長さと同じになっている。プロテクタ本体30においては、底板42、第1側板44、及び第2側板46によって、上側に開放する収容通路40が区画されている。また、プロテクタ本体30においては、底板42のL字の両端においても収容通路40が開放されており、この両端の開口48が収容通路40に収容される幹線100を外部に引き出すための幹線引出口になっている。
【0019】
図1図3に示すように、第1側板44には、当該第1側板44の上端から下側に向かって切欠部45が切り欠かれている。切欠部45は略四角形状になっており、その下端は底板42にまで至っている。すなわち、切欠部45は、第1側板44を上下方向全体に亘って四角形状に切り欠いたような形状になっている。切欠部45は、L字状の第1側板44の延設方向において、第1側板44の中央よりも一方の端部側(開口48側)に位置している。以下、上記一方側の開口48を切欠側開口48aと称する。
【0020】
図1図3に示すように、底板42のL字の外側の縁のうち、切欠部45の下端部に対応する位置には、薄肉部47を介して枝線保持片60が連結されている。枝線保持片60は、全体としては四角形板状になっている。底板42のL字の外側の縁に沿う方向における枝線保持片60の寸法(この実施形態では短手方向の寸法)は、底板42のL字の外側の縁に沿う方向における切欠部45の寸法と略同じになっている。また、枝線保持片60の底板42からの延出長さ(この実施形態では長手方向の長さ)は、第1側板44の立ち上がり寸法よりも長くなっている。薄肉部47は、底板42及び枝線保持片60よりも厚みが小さくなっていて曲げ強度が弱くなっている。すなわち、薄肉部47は、枝線保持片60を底板42のL字の外側の縁に対して回動させるためのヒンジとして機能する。
【0021】
図1図5に示すように、枝線保持片60は、その長手方向の一方側と他方側とで厚みの異なる板状に形成されている。枝線保持片60における、底板42に連結されている側である基端側の部分は、厚みの小さい薄板部62となっている。枝線保持片60における、基端側とは反対側である先端側の部分は、厚みの大きい厚板部64となっている。薄板部62と厚板部64は、これらの裏側の面(枝線保持片60を収容通路40に対して外側に開いた状態では下側の面)において面一となっており、表側の面において高さが異なっている。なお、薄板部62と厚板部64の表側の面は、切欠部45を閉じる位置まで枝線保持片60を起こし上げた状態では、収容通路40側を向く面である。
【0022】
図1に示すように、薄板部62の表側の面には、当該薄板部62の厚み方向に凹んだ溝である浅溝部62aが2列形成されている。これらの浅溝部62aは、枝線保持片60の短手方向に並んでおり、薄板部62の全長に亘って続いている。
【0023】
厚板部64の表側の面には、当該厚板部64の厚み方向にU字状に凹んだ溝である深溝部64aが2列形成されている。これらの深溝部64aは、薄板部62のそれぞれの浅溝部62aと同一直線上に形成され、厚板部64の全長に亘って続いている。深溝部64aは、浅溝部62aよりも深い溝となっている。
【0024】
図1に示すように、プロテクタ本体30には、切欠側開口48aにおける第1側板44の側の下角部から第1側板44の延設方向に突出した幹線固定部50が設けられている。幹線固定部50は、上記下角部に丸みを持たせた湾曲形状になっていて、第1側板44の下部から底板42における第1側板44側の一部に亘って延びている。幹線固定部50の湾曲の外面50aにおける上端には、外側へ張り出したバンド取付部52が形成されている。バンド取付部52には、上下方向に貫通孔52aが貫通されている。
【0025】
図1図3に示すように、第1側板44における収容通路40側の面である通路形成面44aからは、第2側板46の側へ向かって突出部70が突出している。突出部70は、第1側板44の通路形成面44aのうち、切欠側開口48aと切欠部45との間の箇所から突出している。この実施形態では、特に、突出部70は、切欠部45の縁に沿う箇所に位置している。
【0026】
突出部70は、第1側板44の通路形成面44aとの間に空隙がある中空形状になっている。換言すると、突出部70は、第1側板44の一部とともに第1側板44の上下方向に立設された筒状をなしている。突出部70は、上端が開放されている。また、突出部70は、第1側板44の上下方向の全域に亘って形成されている。突出部70の肉厚は、全域に亘って略一定になっている。
【0027】
図1に示すように、突出部70における収容通路40側の面である外周面70aは、第1側板44の延設方向において切欠側開口48aの側から切欠部45の側に向けて順に傾斜面72、平行面74、直交面76となっている。傾斜面72は、通路形成面44aから連続し第1側板44の延設方向において切欠部45の側へ向かうほど通路形成面44aから遠ざかるように傾斜している。平行面74は、傾斜面72における切欠部45の側の端部から第1側板44の延設方向に切欠部45の側へ続いている。平行面74は、通路形成面44aから第2側板46の側に離れた位置で、通路形成面44aと平行に配置されている。直交面76は、平行面74における切欠部45の側の端部から第1側板44の側へ続いており、第1側板44における切欠部45の縁に繋がっている。直交面76は、通路形成面44aに対して垂直になっている。これらの形状により、突出部70は、第1側板44の一部とともに略台形筒状をなしている。なお、突出部70は、底板42、第1側板44、及び第2側板46と一体成形されたものである。
【0028】
上記のように構成されたプロテクタ本体30の上側には、板状の蓋体20が取り付けられる。蓋体20は、平面視すると、プロテクタ本体30における底板42と略同一の略L字状になっている。また、蓋体20におけるL字の外側の縁からは内側へと向かって四角形状の切欠部22が切り欠かれている。切欠部22は、蓋体20をプロテクタ本体30に取り付けたときに、プロテクタ本体30における切欠部45に対応する箇所に位置している。すなわち、蓋体20をプロテクタ本体30に取り付けた状態において、切欠部45を閉じる位置まで枝線保持片60を起こし上げても、同枝線保持片60が蓋体20に干渉しないようになっている。
【0029】
次に、プロテクタ本体30への幹線100と枝線110の収容手順について説明する。まず、図4に示すように、枝線保持片60を、収容通路40に対して外側へ開いた状態とする。この後、幹線100を第1側板44及び第2側板46の延設方向に沿って延びた状態として収容通路40に収容する。また、切欠部45を通じて枝線110を収容通路40の外部に引き出すとともに、枝線110を枝線保持片60の浅溝部62a及び深溝部64aの上に配置する。
【0030】
この後、幹線固定部50のバンド取付部52の貫通孔52aに締結バンド120を挿通するとともに、幹線固定部50の外面50aと幹線100の外周面とに締結バンド120を巻きつける。この後、図5の矢印Y1で示すように、薄肉部47を回動中心として切欠部45を閉じる方向へ枝線保持片60を起こし上げる。これにより、枝線110がプロテクタ本体30の底板42に対して立ち上がった状態となるように折り曲げられる。
【0031】
次に、本実施形態の効果を説明する。
(1)幹線固定部50は、切欠側開口48aにおける第1側板44の側の下角部から突出している。したがって、上記収容手順において、幹線固定部50と幹線100とに締結バンド120を巻きつけると、幹線100は、底板42の上面と、第1側板44の通路形成面44aに押し付けられた状態に拘束される。
【0032】
ここで、仮に、プロテクタ本体30が、通路形成面44aに突出部70を備えていないものとする。この場合、図6に示すように、幹線固定部50に巻きつけた締結バンド120により幹線100を固定すると、幹線100は通路形成面44aと接触した位置に維持されたまま、第1側板44の延設方向に延びた状態となる。そのため、図6に示すように、幹線100と切欠部45との間にはスペースが生じないか仮に生じてもごく僅かである。したがって、枝線保持片60を矢印Y2で示すように切欠部45を閉じる方向へ起こし上げたとき、枝線110は、図6の二点鎖線で示すように、切欠部45を通じて収容通路40の外側に張り出した位置で、上側へ向けて折れ曲がる。図6の二点鎖線で示す位置からさらに枝線保持片60を起こし上げて枝線110を立ち上げた状態とするためには、切欠部45を通じて収容通路40の外側に張り出している枝線110を、収容通路40内に無理やり押し込みながら枝線110を立ち上げることになるため、枝線110には大きな負担がかかる。
【0033】
これに対して、通路形成面44aに突出部70を備えた上記実施形態のワイヤハーネス用プロテクタ10では、以下に説明するとおり、幹線100と切欠部45との間には枝線110の折り曲げスペースKを確保できるため、枝線110に負担をかけることなく枝線保持片60を起こし上げることができる。
【0034】
具体的には、図4に示すように、幹線固定部50と幹線100とに締結バンド120を巻きつけると、幹線100は次のような延び状態で固定される。幹線100は、切欠側開口48aと突出部70との間では、通路形成面44aに当接している。幹線100は、突出部70の傾斜面72と対応する位置では、同傾斜面72と当接することによって、徐々に通路形成面44aから離れた位置に案内される。そして、幹線100は、突出部70を挟んで切欠側開口48aとは反対側では、通路形成面44aから離れた位置を維持したまま、第1側板44の延設方向に延びている。したがって、切欠部45と幹線100との間には、枝線110を上方へ折り曲げるための折り曲げスペースKが確保される。このため、図5の矢印Y1で示すように、切欠部45を閉じる方向へ枝線保持片60を起こし上げたとき、枝線110を無理なく上側へ折り曲げることができる。そして、折り曲げた枝線110に過度な負担をかけることなく、切欠部45を閉じる位置まで枝線保持片60を起こし上げることができる。
【0035】
(2)幹線100は、突出部70に対して切欠部45とは反対側となる切欠側開口48aの側で拘束されている。したがって、幹線100は、突出部70における切欠側開口48aの側で突出部70に対して強く当接される。上記実施形態の突出部70では、幹線100が強く当接される側である切欠側開口48aの側の端部が傾斜面72となっている。そのため、幹線100と突出部70とを面で当接させることができる。したがって、幹線100が突出部70の傾斜面72に強く当接したとしても、幹線100が傷付くことは抑制される。
【0036】
(3)突出部70は中空形状となっている。そのため、突出部70の通路形成面44aからの突出量に比して突出部70の肉厚を薄くできる。こうして突出部70の肉厚を薄くすることで、製造時において突出部70にひけが発生することを抑制できる。また、上記実施形態のように突出部70を第1側板44と一体的に形成した場合、突出部70の肉厚が大きいと、第1側板44にひけが生じることがある。第1側板44にひけが生じると、外観を損なうだけでなく、第1側板44を他の部品に取り付ける際の取り付け精度の低下にもつながりかねない。このような第1側板44のひけを抑制するという観点からも、突出部70を中空形状とすることは好適である。
【0037】
(4)幹線固定部50と幹線100とに締結バンド120を巻きつけて幹線100の移動を拘束した場合、その拘束力は幹線固定部50からの距離が近いほど維持されやすい。その一方で、同拘束力は、幹線固定部50から離れるほど弱まる。したがって、幹線100は、幹線固定部50からの距離が遠いほど移動する余地がある。
【0038】
上記実施形態において、切欠部45は、第1側板44におけるその延設方向の両端のうち、幹線固定部50が設けられている側の端部(切欠側開口48a)に寄せて配置されている。そのため、切欠部45が例えば第1側板44の延設方向の中央に対して切欠側開口48aとは反対側に寄せて配置されている場合に比べて、切欠部45に至る位置まで幹線100に対する拘束力が維持されやすく、幹線100は通路形成面44aから離れた位置に移動しにくい。こうした上記実施形態のような場合において、幹線固定部50が設けられている側の端部(切欠側開口48a)と切欠部45との間に突出部70を設けることで、効果的に幹線100を通路形成面44aから離れた位置に配置できる。
【0039】
(5)突出部70は、通路形成面44aにおける上下方向の全域に亘って形成されている。そのため、突出部70が幹線100と接触可能となる高さの範囲が、第1側板44の高さ全体となる。そのため、収容通路40に収容される幹線100の径や形状に拘らず、確実に突出部70を幹線100に当接させて、通路形成面44aと幹線100との間のスペースを確保できる。
【0040】
なお、上述の実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態における突出部70は、幹線100を通路形成面44aから離れた位置に配置できる形状であれば、適宜変更可能である。なお、突出部70の形状は、例えば円弧状等、幹線100と角で接触することが抑制できる形状であることが好ましい。
【0041】
・上記実施形態では、突出部70の上端が開放されていた。しかし、突出部70は、その上端を閉じて、内部のみを中空としてもよい。
・上記実施形態では、突出部70が中空とされていたが、突出部70は中実形状であってもよい。特に、突出部70は、例えばその成形時においてひけが生じない程度の突出量である場合には、中実形状にしても問題は生じない。
【0042】
・上記実施形態における突出部70は、必ずしも第1側板44の高さ方向の全域に亘って形成されている必要はなく、第1側板44の高さ方向の一部にのみ形成されていてもよい。例えば、収容通路40に収容される幹線100の径が予めわかっている場合、少なくとも収容通路40に収容された状態の幹線100の中心軸線と一致する高さ位置に突出部70を形成しておけば、突出部70は幹線100に当接して幹線100を通路形成面44aから離れた位置に配置できる。このように、第1側板44の高さ方向における突出部70の形成位置は、当該突出部70が幹線と当接して同幹線100を通路形成面44aから離して配置できるのであれば、幹線100の径や形状等に応じて適宜変更できる。
【0043】
・突出部70と切欠部45との位置関係は、上記実施形態のものに限らない。例えば、突出部70は、第1側板44の延設方向において、切欠部45に対して切欠側開口48aとは反対側に配置してもよい。突出部70を切欠部45に対して切欠側開口48aとは反対側に配置する場合、突出部70は、通路形成面44aのうち、第1側板44の延設方向に関して切欠部45と同一直線上となる箇所に形成することが好ましい。こうした箇所に突出部70を配置することによって、切欠部45と幹線100との間に枝線110の折り曲げスペースKを確保しやすくなる。
【0044】
・また、突出部70は、1つのみに限らず、複数設けてもよい。例えば、第1側板44の延設方向において、切欠部45を挟んで両側に1つずつ設けてもよい。
・突出部70は、底板42、第1側板44、及び第2側板46と一体成形するのではなく、これらとは別に突出部70それ単品で成形し、後で第1側板44に取り付けてもよい。
【0045】
・幹線100から分岐する枝線110の一部が、プロテクタ本体30の収容通路40内を延びていてもよい。すなわち、枝線110が、プロテクタ本体30の切欠部45から離れた箇所で幹線100から分岐しており、その分岐箇所から切欠部45までが収容通路40に収容されていてもよい。なお、この場合、収容通路40を延びる枝線110に当接しないような位置に突出部70を設けることが好ましい。
【0046】
・上記実施形態では、切欠部45が、第1側板44における、切欠側開口48aとなっている端部の側に寄せて配置されていた。しかし、切欠部45は、第1側板44における、切欠側開口48aとなっている端部とは反対側の端部に寄せて配置してもよい。また、第1側板44の延設方向における中央に切欠部45を配置してもよい。
【0047】
・切欠部45は、第1側板44の上端から切り欠かれており、かつ、枝線110を収容通路40から引き出すことができれば、その形状を上記実施形態に示したものから適宜変更可能である。例えば、切欠部45は、第1側板44の下端にまで至っていなくてもよい。切欠部45の形状に合わせて、同切欠部45を開閉できるように、枝線保持片60の形状を変更すればよい。
【0048】
・枝線保持片60は、枝線110を保持できれば、その形状を上記実施形態に示したものから適宜変更可能である。
・枝線保持片60を回動可能とする構成は薄肉部47に限らない。例えば、枝線保持片60は、回転軸によって軸支することによって、切欠部45の下端部に対応する位置に連結してもよい。さらに、枝線保持片60を省略して、枝線110を直接折り曲げるようにしてもよい。
【0049】
・底板42、第1側板44、及び第2側板46は、幹線100を収容するための収容通路40を区画でき、かつ、上記実施形態と同様に機能するように突出部70を設置できれば、これらの形状を上記実施形態に示したものから適宜変更可能である。
【0050】
・幹線固定部50は、同幹線固定部50と幹線100とに締結バンド120を巻きつけることで幹線100を通路形成面44aに押し付けた状態に拘束できれば、その形状を上記実施形態に示したものから適宜変更可能である。
【0051】
・また、幹線固定部50及び締結バンド120を省略してもよい。なお、このように締結バンド120を省略した場合でも、収容通路40から切欠側開口48aを介して外部に引き出されている幹線100は、他の部材等に接続されて固定されている。そのため、締結バンド120によって固定されていなくても、幹線100は、切欠側開口48a側ほど移動が拘束されている蓋然性が高い。
【0052】
・上記実施形態において、蓋体20は必須ではない。収容通路40内に収容された幹線100がはみ出したりしにくいのであれば、蓋体20を省略しても差し支えない。
【符号の説明】
【0053】
10…ワイヤハーネス用プロテクタ、40…収容通路、42…底板、44…第1側板、44a…通路形成面、45…切欠部、46…第2側板、48a…切欠側開口、70…突出部、72…傾斜面、100…幹線、110…枝線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6