特許第6805971号(P6805971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805971
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20201214BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20201214BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20201214BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G03G21/00 530
   G03G21/16 104
   G03G15/20 505
   H05K7/20 H
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-122603(P2017-122603)
(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-8072(P2019-8072A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】大隈 浩平
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−107638(JP,A)
【文献】 特開2016−061836(JP,A)
【文献】 特開2011−180341(JP,A)
【文献】 特開2018−173484(JP,A)
【文献】 特開2005−134100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
G03G 21/16
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成装置であって、
トナー像を形成して前記用紙に転写する画像形成部と、
前記画像形成部により転写された前記トナー像を前記用紙に定着する定着部と、
前記定着部の周辺に一方側の開口が設けられ、他方側の開口が前記画像形成装置の外部に至るダクトと、
前記ダクト内に設けられ、回転により前記定着部の周辺の空気を排気する排気ファンと、
前記ダクト内に設けられ、一方側の開口が前記排気ファンの排気方向下流側に設けられ、他方側の開口が前記画像形成装置の外部に至る第1の配管と、
回転の正逆を切り換えることにより、前記第1の配管に前記排気方向または前記排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能な第1のファンと、
前記第1の配管とは別途設けられており、一方側の開口が前記排気ファンの前記排気方向下流側に設けられ、他方側の開口が前記画像形成装置の外部に至る第2の配管と、
回転の正逆を切り換えることにより、前記第2の配管に前記排気方向または前記排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能な第2のファンと、
前記第2のファンを前記排気方向に空気を流すように制御し、前記第1のファンを前記排気方向とは反対の方向に空気を流すように制御し、所定のタイミングで前記第1のファンおよび前記第2のファンの回転の正逆を切り換えるように制御する制御部と、を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のファンおよび前記第2のファンの通風時間を検知する第1検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1検知部により検知される前記通風時間が所定の時間を超えれば、前記第1のファンおよび前記第2のファンの回転の正逆を切り換えるように制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の配管および前記第2の配管の内周面の温度を検知する第2検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2検知部により検知される前記温度が所定の温度を超えれば、前記第1のファンおよび前記第2のファンの回転の正逆を切り換えるように制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の配管および前記第2の配管は、隣接するように配置される、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の配管および前記第2の配管は接触するように配置され、前記第1の配管および前記第2の配管の一部に前記第1の配管および前記第2の配管を連通する開口部が形成され、前記開口部の開口状況を調整する弁が設けられる、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の配管および前記第2の配管の内周面の温度を検知する第2検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2検知部により検知される前記温度が所定の温度を超えれば、前記弁を開いて前記開口部の前記開口状況を調整するように制御する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の配管および前記第2の配管の少なくとも一方は、螺旋状の形状を有し、前記第1の配管および前記第2の配管は絡み合うように配置される、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の配管および前記第2の配管の少なくとも一方は、螺旋状の形状を有し、前記第1の配管および前記第2の配管は撚り合うように配置される、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、トナー像を用紙に定着させるために定着部が設けられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示の画像形成装置は、記録材上に画像を形成する画像形成部及び画像を記録材に定着する定着装置を有する。画像形成装置は、定着装置を覆い、定着装置により加熱された空気を通す第1ダクト、第1ダクトを覆い、外部から導入された冷却空気を通す第2ダクト並びに、第1ダクト及び第2ダクトを通過した空気を排出する排気ファンを有することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−014895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置を稼働する際に、種々の物質が画像形成装置の外部に排出されることが知られている。種々の物質としては、例えば、定着部の周辺から発生する揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:以下、VOCと略記する)、および粒径が100nm未満の超微小粒子(Ultrafine Particle:以下、UFPと略記する)などが挙げられる。定着部により加熱された空気が、VOCおよびUFPを含んだ状態でダクト内を流れ、画像形成装置の外部に排出される。
【0006】
定着部の周辺から発生するVOCおよびUFPを画像形成装置外に排出されることを抑制するために、VOCおよびUFPを画像形成装置内で捕捉することが好ましい。VOCおよびUFPを画像形成装置内で捕捉するためには、排出する空気を冷却して、ダクトの壁面に付着させることにより捕捉することが考えられる。ここで、冷却の効果を十分に得ることが出来なければ、VOCおよびUFPの効率的な捕捉が出来ない。なお、特許文献1に開示の技術では対応困難である。
【0007】
この発明の目的は、VOCおよびUFPを効率良く捕捉し、ダクト内を効率良く冷却することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の局面において、画像形成装置は、用紙に画像を形成する。画像形成装置は、画像形成部と、定着部と、ダクトと、排気ファンと、第1の配管と、第1のファンと、第2の配管と、第2のファンと、制御部と、を備える。画像形成部は、トナー像を形成して用紙に転写する。定着部は、画像形成部により転写されたトナー像を用紙に定着する。ダクトは、定着部の周辺に一方側の開口が設けられ、他方側の開口が画像形成装置の外部に至る。排気ファンは、ダクト内に設けられ、回転により定着部の周辺の空気を排気する。第1の配管は、ダクト内に設けられ、一方側の開口が排気ファンの排気方向下流側に設けられ、他方側の開口が画像形成装置の外部に至る。第1のファンは、回転の正逆を切り換えることにより、第1の配管に排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。第2の配管は、第1の配管とは別途設けられており、一方側の開口が排気ファンの排気方向下流側に設けられ、他方側の開口が画像形成装置の外部に至る。第2のファンは、回転の正逆を切り換えることにより、第2の配管に排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。制御部は、第2のファンを排気方向に空気を流すように制御し、第1のファンを排気方向とは反対の方向に空気を流すように制御し、所定のタイミングで第1のファンおよび第2のファンの回転の正逆を切り換えるように制御する。
【0009】
この発明の他の局面において、ダクトは、筒状の形状を有し、一方側の開口付近の空気を排気する。ダクトは、第1の配管と、第1のファンと、第2の配管と、第2のファンと、制御部と、を備える。第1の配管は、一方側の開口がダクト内に設けられ、他方側の開口がダクトの外部に至る。第1のファンは、回転の正逆を切り換えることにより、第1の配管にダクトの排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。第2の配管は、第1の配管とは別途設けられており、一方側の開口がダクト内に設けられ、他方側の開口がダクトの外部に至る。第2のファンは、回転の正逆を切り換えることにより、第2の配管に排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。制御部は、第2のファンを排気方向に空気を流すように制御し、第1のファンを排気方向とは反対の方向に空気を流すように制御し、所定のタイミングで第1のファンおよび第2のファンの回転の正逆を切り換えるように制御する。
【発明の効果】
【0010】
このような画像形成装置によれば、ダクト内に第1の配管と第2の配管とが設けられる。第1の配管を利用して、外気が吸気されると、排気ファンにより排気される定着部の周辺の空気は、ダクト内の排気方向下流側において、吸気された外気により冷却される。そうすると、定着部の周辺の空気は、ある程度冷却されることとなる。空気が冷却されることで、定着部の周辺の空気に含まれるVOCおよびUFPは、ダクトや第2の配管の壁面に付着し、捕捉される。定着部の周辺の空気は、ダクト内の排気方向下流側において、ある程度冷却されるものの完全には冷却されていない。このため、第2の配管を利用して、定着部の周辺の空気を長時間排気すると、第2の配管が過剰に熱くなってしまう場合がある。従って、所定のタイミングで第2のファンの回転の正逆を切り換えて、第2の配管に外気を吸気することで、第2の配管は冷却され、過剰に熱くなることを防止することができる。また、同様のタイミングで第1のファンの回転の正逆を切り換えて、第1の配管に定着部周辺の空気を排気すると、空気に含まれるVOCおよびUFPは第1の配管の壁面に付着し、捕捉される。従って、VOCおよびUFPを効率良く捕捉し、ダクト内を効率的に冷却することができる。
【0011】
このようなダクトによれば、画像形成装置に取り付けられた場合には、VOCおよびUFPを効率良く捕捉し、ダクト内を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置を複合機に適用した場合の複合機の構成を示すブロック図である。
図2】ダクトを示す模式図である。
図3】第1の配管および第2の配管を排気方向に垂直な方向に切断した時の断面を示す断面模式図である。
図4】所定の時間を超えれば第1のファンおよび第2のファンの動作を切り替える場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】第1のファンおよび第2のファンの動作を切り替えた状態を示す模式図である。
図6】第1の配管および第2の配管の第1の変形例を示す模式図である。
図7】第1の配管および第2の配管の第2の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置を複合機に適合した場合の複合機の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1を参照して、複合機11は、複合機制御部12と、操作部13と、画像形成部15と、給紙カセット18と、用紙搬送部20と、定着部22と、ネットワークインターフェース部23と、ハードディスク32と、ダクト40と、を備える。
【0015】
複合機制御部12は、複合機11全体の制御を行う。複合機制御部12は、CPU等から構成されており、一時的にデータを記憶する記憶部としての主記憶メモリ31を含む。操作部13は、表示部としての表示画面21を含む。表示画面21は、情報を表示する。表示画面21は、液晶のタッチパネル機能を有しており、ユーザーの指での押圧等により、表示画面21からも画像形成条件等を入力させると共に、機能の選択等を行うことができる。記憶部としてのハードディスク32は、画像形成に関するデータを記憶する。用紙搬送部20は、複数の搬送ローラ33を含み、給紙カセット18にセットされた用紙を画像形成部15へ搬送する。画像形成部15は、給紙カセット18から搬送されてきた用紙に画像を形成する。
【0016】
画像形成部15は、感光体を含む感光体ユニットと、現像器としての現像ユニットとを備える。感光体上に形成された静電潜像に現像ユニットからトナーを供給することで、感光体上にトナー像を形成する。感光体上に形成されたトナー像は、用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、用紙搬送部20により定着部22に搬送される。定着部22は、定着ベルト22aと、定着ロール22bとを含む。定着ベルト22aは、シート状の形状を有し、円筒状に加工したものである。定着ベルト22aは、金属や合成樹脂等からなる基材層と、シリコーンゴム等からなる弾性層と、及び合成樹脂等からなるコーティング層とを備える積層構造を有する。定着ロール22bは、円筒状の形状を有する。定着ロール22bは、金属製の円筒体又は円柱体の外周面を合成樹脂等からなる層で覆ったものである。トナー像が転写された用紙は、定着ベルト22aおよび定着ロール22bの間を通過して熱圧着される。用紙のトナー像が転写された面と定着ベルト22aとが当接して、トナー像は用紙に熱圧着される。そして、トナー像は用紙に定着する。そして、トナー像が定着された用紙は、排出トレイ(図示せず)に排出される。
【0017】
複合機11は、ネットワークインターフェース部23を通じて、ネットワーク24に接続されたコンピュータ25a、25bから送信された画像データを用いて、画像形成部15において画像を形成して用紙に印刷することにより、プリンターとして作動する。
【0018】
図2は、ダクト40を示す模式図である。なお、図2において、X方向を示す矢印の向きは、用紙の搬送方向と同一の向きである。ダクト40は、複合機11の本体装置内に設けられる。図2を参照して、ダクト40は、定着部22の周辺に配置される。このようにすることで、定着部22の周辺の空気を複合機11の外部に排気することができる。ダクト40は、中空の筒状の形状を有する。ダクト40の一方の端部は、定着部22の周辺に配置される。ダクト40の他方の端部は、複合機11の外部に至るように配置される。ダクト40は、定着ベルト22aから見て、定着ロール22bとは反対側に配置される。ダクト40は、定着部22の上方に配置される。ダクト40の一方の端部の開口40aは、定着部22の周辺に設けられる。ダクト40の一方の端部の開口40aは、定着ベルト22aの上方に設けられる。ダクト40の他方の端部の開口40bは、複合機11の外部に至るように形成される。ダクト40は、L字状に折り曲げられた形状を有する。
【0019】
図2を参照して、ダクト40は、排気ファン43を含む。排気ファン43は、ダクト40内に配置される。排気ファン43は、ダクト40の一方の端部の開口40aと、ダクト40の他方の端部の開口40bとの間に配置される。排気ファン43は、定着部22の周辺の空気を排気するように回転する。排気ファン43は、所定の回転数で回転して、空気を吸引して排出する。排気ファン43は、定着部22の周辺の空気を、Y方向を示す矢印の向きに吸引して、Y方向を示す矢印の向きに排出する。排気ファン43の排気方向は、図2において、Y方向を示す矢印の向きである。排気ファン43が吸引して排出した空気は、排気方向上流側40cから排気方向下流側40dに向って流れることとなる。ダクト40は、排気ファン43の排気方向の一部でL字状に折り曲げられた形状を有する。
【0020】
ダクト40は、第1の配管41と、第1のファン46と、第2の配管42と、第2のファン47と、を含む。第1の配管41および第2の配管42は、中空の筒状の形状を有する。第1の配管41の長手方向の一方の端部は、排気ファン43の排気方向下流側40dに配置される。第1の配管41の長手方向の他方の端部は、複合機11の外部に至るように配置される。第1の配管41の一方の端部の開口41aは、排気ファン43の排気方向下流側40dに形成される。第1の配管41の他方の端部の開口41bは、複合機11の外部に至るように形成される。第1の配管41は、ダクト40の内周面に接触するように配置される。第1のファン46は、回転の正逆を切り換えることにより、第1の配管41に排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。第1のファン46は、所定の回転数で回転する。図2においては、排気ファン43の排気方向とは、X方向を示す矢印の向きである。第1のファン46は、ファン46aと、ファン46bとを含む。ファン46a、46bは、同一の回転数により回転してもよいし、異なる回転数により回転してもよい。ファン46aは、第1の配管41の一方の端部に配置される。ファン46aは、第1の配管41の開口41aを覆うように配置される。ファン46bは、第1の配管41の他方の端部に配置される。ファン46bは、第1の配管41の開口41bを覆うように配置される。なお、ファン46a,46bは、VOCおよびUFPを吸着するフィルタを含むようにしてもよい。
【0021】
第2の配管42の長手方向の一方の端部は、排気ファン43の排気方向下流側40dに配置される。第2の配管42の長手方向の他方の端部は、複合機11の外部に至るように配置される。第2の配管42の一方の端部の開口42aは、排気ファン43の排気方向下流側40dに形成される。第2の配管42の他方の端部の開口42bは、複合機11の外部に至るように形成される。第2の配管42は、ダクト40の内周面に接触するように配置される。第2の配管42は、第1の配管41に隣接するように配置される。第2の配管42は、第1の配管41に接触するように配置される。本実施の形態においては、第2の配管42および第1の配管41の長手方向の一方の端部から他方の端部まで接触するように接続される。このようにすることで、第1の配管41において外気を吸気するように空気が流れ、第2の配管42において定着部22の周辺の空気を排気するように空気が流れる場合に、第2の配管42において空気を冷却し、第2の配管42の壁面にVOCおよびUFPを付着させて捕捉することができる。
【0022】
第2のファン47は、回転の正逆を切り換えることにより、第2の配管42に排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。第2のファン47は、所定の回転数で回転する。第2のファン47は、ファン47aと、ファン47bとを含む。ファン47a、47bは、同一の回転数により回転してもよいし、異なる回転数により回転してもよい。ファン47aは、第2の配管42の一方の端部に配置される。ファン47aは、第2の配管42の開口42aを覆うように配置される。ファン47bは、第2の配管42の他方の端部に配置される。ファン47bは、第2の配管42の開口42bを覆うように配置される。なお、ファン47a,47bは、VOCおよびUFPを吸着するフィルタを含むようにしてもよい。
【0023】
図2を参照して、第1の配管41に排気方向とは反対の方向に空気が流れ、外気が吸気される場合において、排気ファン43により排気される定着部22の周辺の空気は、ダクト40内の排気方向下流側40dにおいて、外気と混ざり合う。このため、定着部22の周辺の空気は、ダクト40内の排気方向下流側40dにおいて、吸気された外気により冷却される。定着部22の周辺の空気に含まれるVOCおよびUFPは、空気が冷却されることで、ダクト40内の壁面に付着し、捕捉される。
【0024】
図3は、第1の配管41および第2の配管42を排気方向に垂直な方向に切断した時の断面を示す断面模式図である。図3を参照して、第1の配管41は、排気方向とは反対の方向から平面的に見て、矩形状の形状を有する。同様に、第2の配管42は、排気方向から平面的に見て、矩形状の形状を有する。図3において、第1の配管41は、第2の配管42に対してY方向の上部に接触するように配置される。なお、第1の配管41および第2の配管42は、同軸状に配置されるようにしてもよい。第2の配管42を覆うように、第1の配管41は配置されるようにしてもよい。
【0025】
次に、複合機11に備えられる複合機制御部12の構成について説明する。図1を参照して、複合機制御部12は、制御部121と、第1検知部122と、第2検知部123と、を備える。制御部121は、第2のファン47を排気方向に空気を流すように制御し、第1のファン46を排気方向とは反対の方向に空気を流すように制御し、所定のタイミングで第1のファン46および第2のファン47の回転の正逆を切り換えるように制御する。第1検知部122は、第1のファン46および第2のファン47の通風時間を検知する。第2検知部123は、第1の配管41および第2の配管42の内周面の温度を検知する。これらの構成については、後に詳述する。
【0026】
次に、第1のファン46および第2のファン47の通風時間を検知し、所定の時間を超えれば第1のファン46および第2のファン47の動作を切り替える場合について説明する。図4は、第1のファン46および第2のファン47の通風時間を検知し、所定の時間を超えれば第1のファン46および第2のファン47の動作を切り替える場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0027】
図4を参照して、まず、用紙に転写されたトナー像を定着部22により用紙に定着する(図4において、ステップS11、以下、「ステップ」を省略する)。次に、制御部121により、第1のファン46および第2のファン47の回転を作動する。第2のファン47を排気方向に空気を流すように回転させる。また、第1のファン46を排気方向とは反対の方向に空気を流すように回転させる(S12)。
【0028】
図2を参照して、第2のファン47を排気方向に空気を流すように回転させて、第2の配管42において定着部22の周辺の空気を排気するように空気を流す。第1のファン46を排気方向とは反対の方向に空気を流すように回転させて、第1の配管41において外気を吸気するように空気を流す。
【0029】
次に、第1検知部122により、第1のファン46および第2のファン47の通風時間が検知される(S13)。検知された通風時間は、主記憶メモリに一時的に記憶される。通風時間が所定の時間を超えれば(S13においてYES)、第1のファン46および第2のファン47の回転の正逆を切り換える(S14)。ここで、所定の時間としては、例えば、2分〜5分程度の時間である。
【0030】
図5は、第1のファン46および第2のファン47の動作を切り替えた状態を示す模式図である。図5を参照して、第1のファン46を排気方向に空気を流すように回転させて、第1の配管41において定着部22の周辺の空気を排気するように空気を流す。第2のファン47を排気方向とは反対の方向に空気を流すように回転させて、第2の配管42において外気を吸気するように空気を流す。
【0031】
次に、主記憶メモリ31に一時的に記憶される通風時間をゼロにリセットする(S15)。そして、定着部22による用紙への定着が終了したか否かが判断される(S16)。定着部22による用紙への定着が終了すれば(S16においてYES)、制御部121により、第1のファン46および第2のファン47の回転を停止する。
【0032】
ここで、このような複合機11によれば、ダクト40内に第1の配管41と第2の配管42とが設けられる。第1の配管41を利用して、外気が吸気されると、排気ファン43により排気される定着部22の周辺の空気は、ダクト40内の排気方向下流側40dにおいて、吸気された外気により冷却される。そうすると、定着部22の周辺の空気は、ある程度冷却されることとなる。空気が冷却されることで、定着部22の周辺の空気に含まれるVOCおよびUFPは、ダクト40や第2の配管42の壁面に付着し、捕捉される。定着部22の周辺の空気は、ダクト40内の排気方向下流側40dにおいて、ある程度冷却されるものの完全には冷却されていない。このため、第2の配管42を利用して、定着部22の周辺の空気を長時間排気すると、第2の配管42が過剰に熱くなってしまう場合がある。従って、所定のタイミングで第2のファン47の回転の正逆を切り換えて、第2の配管42に外気を吸気することで、第2の配管42は冷却され、過剰に熱くなることを防止することができる。また、同様のタイミングで第1のファン46の回転の正逆を切り換えて、第1の配管41に定着部22周辺の空気を排気すると、空気に含まれるVOCおよびUFPは第1の配管41の壁面に付着し、捕捉される。従って、VOCおよびUFPを効率良く捕捉し、ダクト40内を効率的に冷却することができる。
【0033】
なお、S13において、第1のファン46および第2のファン47の通風時間が所定の時間を超えなければ(S13においてNO)、繰り返し第1のファン46および第2のファン47の通風時間が検知される。
【0034】
なお、S13において、第2検知部123により、第1の配管41および第2の配管42の内周面の温度を検知するようにしてもよい。第1の配管41および第2の配管42の内周面の温度が、所定の温度を超えれば(S13においてYES)、第1のファン46および第2のファン47の動作を切り替えるようにしてもよい(S14)。
【0035】
図6は、第1の配管41および第2の配管42の第1の変形例を示す模式図である。図6を参照して、第1の配管51と、第2の配管52とは接触するように配置される。第1の配管51および第2の配管52の一部に、第1の配管51および第2の配管52を連通する開口部Sが形成される。開口部Sを覆うようにして、弁48が配置される。弁48は、板状の形状を有する。弁48は、回転軸49を含む。弁48は、回転軸49により回転するように構成される。弁48が回転することにより、開口部Sの開口状況が調整される。第1の配管51では外気を吸気するように空気が流れ、第2の配管52では定着部22の周辺の空気を排気するように空気が流れる場合において、弁48が回転し開口部Sが開くと、第2の配管52に流れる空気が第1の配管51に流れ込むようになる。第1の配管51に流れ込んだ空気は、外気により冷却される。従って、第2の配管52に流れる空気をより効率的に冷却することができる。その結果、VOCおよびUFPをより効率良く捕捉することができる。
【0036】
なお、S13において、第2検知部123により、第1の配管および第2の配管の内周面の温度を検知して、第1の配管41および第2の配管42の内周面の温度が、所定の温度を超えれば(S13においてYES)、制御部121により弁48を開いて、開口部Sの開口状況を調整するようにしてもよい。また、第1の配管41および第2の配管42の内周面の温度に基づいて、弁48が回転して、開口部Sの開口状況を調整するようにしてもよい。
【0037】
図7は、第1の配管41および第2の配管42の第2の変形例を示す模式図である。図7を参照して、第1の配管61および第2の配管62は、螺旋状の形状を有する。なお、第1の配管61および第2の配管62の少なくとも一方が、螺旋状の形状を有するようにしてもよい。第1の配管61および第2の配管62は、絡み合うように配置される。第1の配管61および第2の配管62は、撚り合うように配置される。第1の配管61および第2の配管62は、二重螺旋形状を有する。このようにすることで、第1の配管61または第2の配管62を効率良く冷却することができる。
【0038】
なお、ダクト40と、ダクト40内に設けられる排気ファン43、第1の配管41、第2の配管42、第1のファン46および第2のファン47とは、複合機11から着脱可能である。また、ダクト40は、複合機11の複合機制御部12により制御することとしたが、これに限らず、ダクト40が制御部を備え、これにより制御するようにしてもよい。この場合、以下のように構成するようにしてもよい。ダクトは、筒状の形状を有し、一方側の開口付近の空気を排気する。ダクトは、第1の配管と、第1のファンと、第2の配管と、第2のファンと、制御部と、を備える。第1の配管は、一方側の開口がダクト内に設けられ、他方側の開口がダクトの外部に至る。第1のファンは、回転の正逆を切り換えることにより、第1の配管にダクトの排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。第2の配管は、第1の配管とは別途設けられており、一方側の開口がダクト内に設けられ、他方側の開口がダクトの外部に至る。第2のファンは、回転の正逆を切り換えることにより、第2の配管に排気方向または排気方向とは反対の方向に空気を流すことが可能である。制御部は、第2のファンを排気方向に空気を流すように制御し、第1のファンを排気方向とは反対の方向に空気を流すように制御し、所定のタイミングで第1のファンおよび第2のファンの回転の正逆を切り換えるように制御する。
【0039】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明に係る画像形成装置は、VOCおよびUFPを効率良く除去し、ダクト内を効率的に冷却することが要求される場合に、特に有効に利用される。
【符号の説明】
【0041】
11 複合機、12 複合機制御部、121 制御部、122 第1検知部、123 第2検知部、13 操作部、15 画像形成部、18 給紙カセット、20 用紙搬送部、21 表示画面、22 定着部、22a 定着ベルト、22b 定着ロール、23 ネットワークインターフェース部、24 ネットワーク、25a,25b コンピュータ、31 主記憶メモリ、32 ハードディスク、33 搬送ローラ、40 ダクト、40a,40b 開口、40c 排気方向上流側、40d 排気方向下流側、41 第1の配管、41a,41b 開口、42 第2の配管、42a,42b 開口、43 排気ファン、46 第1のファン、46a,46b ファン、47 第2のファン、47a,47b ファン、48 弁、49 回転軸、51 第1の配管、52 第2の配管、61 第1の配管、62 第2の配管、S 開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7