(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタの少なくとも一方はさらに、接地電位に接続されるとともに前記第1の絶縁性部材又は前記第2の絶縁性部材により保持される外部端子を備え、
前記シールド部材は前記外部端子に導通している、請求項1から8のいずれか1つに記載の多極コネクタセット。
前記嵌合状態において、前記第1のコネクタの前記第1のシールド部材と前記第2のコネクタの前記第2の外部端子が接触する、又は、前記第2のコネクタの前記第2のシールド部材と前記第1のコネクタの前記第1の外部端子が接触する、請求項10に記載の多極コネクタセット。
前記第1のコネクタの前記第1の外部端子は、前記第1のコネクタの前記内部端子および前記第1のシールド部材の少なくとも一部を囲むように環状に形成されている、又は、前記第2のコネクタの前記第2の外部端子は、前記第2のコネクタの前記内部端子および前記第2のシールド部材の少なくとも一部を囲むように環状に形成されている、請求項10又は11に記載の多極コネクタセット。
前記第1のシールド部材は、前記第2のコネクタに向かい合う側とは反対側に凹部を有し、当該凹部には前記第1の絶縁性部材が充填されて前記第1のシールド部材に前記第1の絶縁性部材が引っ掛けられる、又は、前記第2のシールド部材は、前記第1のコネクタに向かい合う側とは反対側に凹部を有し、当該凹部には前記第2の絶縁性部材が充填されて前記第2のシールド部材に前記第2の絶縁性部材が引っ掛けられる、請求項10から12のいずれか1つに記載の多極コネクタセット。
前記第2の外部端子は凸部を有し、前記第1の外部端子は前記凸部を受ける凹部を有し、前記嵌合状態において、前記第1の外部端子と前記第2の外部端子が互いに嵌合するとともに、前記第2の外部端子の前記凸部と前記第1の外部端子の前記凹部が前記第1のコネクタと前記第2のコネクタが向かい合う方向とは交差する方向へ互いに係合する、請求項10から13のいずれか1つに記載の多極コネクタセット。
前記第1の絶縁性部材又は前記第2の絶縁性部材における基板実装面側の前記シールド部材が露出する周囲に溝を形成した、請求項1から14のいずれか1つに記載の多極コネクタセット。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、第1のコネクタと第2のコネクタを互いに嵌合して構成される多極コネクタセットであって、前記第1のコネクタは、複数列に配列した内部端子とこれらの内部端子を保持する絶縁性部材とを備え、前記第2のコネクタは、複数列に配列した内部端子とこれらの内部端子を保持する絶縁性部材とを備え、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタがそれぞれの前記内部端子同士が接触して互いに嵌合した状態において、前記内部端子の列間に配置される導電性のシールド部材をさらに設けた、多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、内部端子の列間における電磁波の干渉を抑制することができる。これにより、特に高周波用途におけるコネクタとしての性能を向上させることができる。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタの少なくとも一方はさらに、接地電位に接続されるとともに前記絶縁性部材により保持される外部端子を備え、前記シールド部材は前記外部端子に導通している、第1態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、コネクタ外部からの電磁波の干渉を抑制するとともに、内部端子の列間における電磁波の干渉を抑制することができる。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記シールド部材は、前記第1のコネクタの前記絶縁性部材によって保持される第1のシールド部材と、前記第2のコネクタの前記絶縁性部材によって保持される第2のシールド部材とを備える、第1態様又は第2態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、コネクタの取扱性を向上させることができる。
【0013】
本発明の第4態様によれば、前記第1のシールド部材と前記第2のシールド部材は、前記嵌合状態において互いに接触する、第3態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、内部端子の列間における電磁波の干渉をより抑制することができる。
【0014】
本発明の第5態様によれば、前記第1のシールド部材と前記第2のシールド部材が接触する箇所は、互いに嵌合する凹凸形状で構成され、少なくとも部分的に弾性変形可能な材料で形成されている、第4態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、シールド部材の接触性を向上させるとともに、嵌合保持力を向上させることができる。
【0015】
本発明の第6態様によれば、前記第1のシールド部材は、前記内部端子の列が延びる方向に沿って対向するように2つ設けられており、前記第2のシールド部材は、前記2つの第1のシールド部材を保持する一体的な部材である、第5態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、コネクタ同士を抜けにくくすることができる。
【0016】
本発明の第7態様によれば、前記第1のコネクタは、接地電位に接続されるとともに前記第1の絶縁性部材により保持される第1の外部端子を備え、前記第2のコネクタは、接地電位に接続されるとともに前記第2の絶縁性部材により保持される第2の外部端子を備え、前記シールド部材は、前記第1の絶縁性部材によって保持されるとともに前記第1のコネクタの前記内部端子の列間に配置される第1のシールド部材と、前記第2の絶縁性部材によって保持されるとともに前記第2のコネクタの前記内部端子の列間に配置される第2のシールド部材とを備える、第1態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、第1のコネクタと第2のコネクタのそれぞれに外部端子とシールド部材を設けることで、設計の自由度が向上する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、前記嵌合状態において、前記第1のコネクタの前記第1のシールド部材と前記第2のコネクタの前記第2の外部端子が接触する、又は、前記第2のコネクタの前記第2のシールド部材と前記第1のコネクタの前記第1の外部端子が接触する、第7態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、内部端子の列間における電磁波の干渉をさらに抑制することができる。
【0018】
本発明の第9態様によれば、前記第1のコネクタの前記第1の外部端子は、前記第1のコネクタの前記内部端子および前記第1のシールド部材の少なくとも一部を囲むように環状に形成されている、又は、前記第2のコネクタの前記第2の外部端子は、前記第2のコネクタの前記内部端子および前記第2のシールド部材の少なくとも一部を囲むように環状に形成されている、第7態様又は第8態様に記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、外部端子を環状に形成することで、外部からのノイズ又は放射ノイズに対するシールド効果を向上させることができる。
【0019】
本発明の第10態様によれば、前記第1のシールド部材は、前記第2のコネクタに向かい合う側とは反対側に凹部を有し、当該凹部には前記第1の絶縁性部材が充填されて前記第1のシールド部材に前記第1の絶縁性部材が引っ掛けられる、又は、前記第2のシールド部材は、前記第1のコネクタに向かい合う側とは反対側に凹部を有し、当該凹部には前記第2の絶縁性部材が充填されて前記第2のシールド部材に前記第2の絶縁性部材が引っ掛けられる、第7態様から第9態様のいずれか1つに記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、シールド部材の脱落を防止することができる。
【0020】
本発明の第11態様によれば、前記第2の外部端子は凸部を有し、前記第1の外部端子は前記凸部を受ける凹部を有し、前記嵌合状態において、前記第1の外部端子と前記第2の外部端子が互いに嵌合するとともに、前記第2の外部端子の前記凸部と前記第1の外部端子の前記凹部が前記第1のコネクタと前記第2のコネクタが向かい合う方向とは交差する方向へ互いに係合する、第7態様から第10態様のいずれか1つに記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、コネクタ同士を抜けにくくすることができる。
【0021】
本発明の第12態様によれば、前記第1の絶縁性部材又は前記第2の絶縁性部材における基板実装面側の前記シールド部材が露出する周囲に溝を形成した、第1態様から第11態様のいずれか1つに記載の多極コネクタセットを提供する。このような構成によれば、第1のコネクタ又は第2のコネクタを回路基板にはんだにより接続する際に、内部端子とシールド部材とがはんだにより接続されることを防止することができ、また、はんだがコネクタ内部に入り込むことを抑制できる。
【0022】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
<全体構成>
図1A、1Bは、実施の形態1における多極コネクタセットの第1のコネクタ2の概略構成を示す斜視図である。
図2A、2Bは、実施の形態1における同コネクタセットの第2のコネクタ4の概略構成を示す斜視図である。
図3は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ4の嵌合関係を表す斜視図である。なお、
図1A、2Aが分解斜視図、
図1B、2Bが組立斜視図である。
【0024】
本実施の形態1における多極コネクタセットは、
図1Bに示す第1のコネクタ2と、
図2Bに示す第2のコネクタ4とを、
図3に示すように互いに嵌合させることで構成される。
図3に示すように嵌合させた後の多極コネクタセット1を第2のコネクタ4の裏面側から見た斜視図を
図4に示す。
【0025】
第1のコネクタ2および第2のコネクタ4は、それぞれ別の回路基板(図示せず)に接続されている。これらの回路基板が、第1のコネクタ2および第2のコネクタ4による多極コネクタセット1を介して電気的に接続される。
【0026】
以下、第1のコネクタ2、第2のコネクタ4について順に説明する。
【0027】
<第1のコネクタ2>
図1A、1Bに示すように、第1のコネクタ2は、複数の内部端子(第1の内部端子)6と、絶縁性部材(第1の絶縁性部材)8と、外部端子(第1の外部端子)10と、シールド部材(第1のシールド部材)12とを備える。
【0028】
内部端子6はそれぞれ、信号電位又は接地電位に接続される導体である。内部端子6は、導電性を有する棒状の部材を折り曲げて構成されている。内部端子6は、絶縁性部材8の溝に嵌められて保持される。内部端子6は、
図4に示す第1のコネクタ2と第2のコネクタ4の嵌合状態において、後述する第2のコネクタ4の内部端子14に接触する。内部端子6と内部端子14が接触することにより、第1のコネクタ2と第2のコネクタ4が互いに電気的に接続される。
【0029】
内部端子6は、複数列配置され、一列につき複数個並べられている。
図1A、1Bに示す例では、内部端子6は2列配置され、一列につき6個並べられる。内部端子6の一列が並ぶ方向をD方向とする。
【0030】
絶縁性部材8は、前述した内部端子6と、後述する外部端子10およびシールド部材12を一体的に保持する絶縁性の部材である。絶縁性部材8としては例えば樹脂が用いられる。
【0031】
本実施の形態1では、内部端子6、外部端子10およびシールド部材12を絶縁性部材8にインサート成形することにより、第1のコネクタ2が製造される。
【0032】
外部端子10は、接地電位に接続される導体である。外部端子10は接地電位に接続されてアース電位を保つことで、第1のコネクタ2の外部からの電波を遮蔽して、第1のコネクタ2内を電気的遮蔽空間とする。外部端子10は特に、内部端子6がコネクタ外部から電波の干渉を受けないようにするための部材である。外部端子10は、内部端子6の周囲を囲むように絶縁性部材8の周囲の溝に嵌められて保持される。
【0033】
シールド部材12は、内部端子6の列間における電磁波の干渉を抑制するための導電性の部材である。
図1Bに示すように、シールド部材12は内部端子6の列間に配置されるとともに、絶縁性部材8の溝に嵌められて保持される。
【0034】
シールド部材12は、外部端子10と直接的には接触していないものの、第1のコネクタ2が接続される回路基板(図示せず)上において外部端子10と導通して接続している。当該接続により、シールド部材12は外部端子10とともに一体的なアース電位を保つ。アース電位を持つシールド部材12によって電磁波のシールドが構築され、内部端子6の列間における電磁波の干渉が抑制される。
【0035】
本実施の形態1では、内部端子6の一列が並ぶ方向Dに長い板状の部材としてシールド部材12が構成されている。
【0036】
第1のコネクタ2において上述した外部端子10およびシールド部材12を設けることで、外部端子10により外部からの干渉を抑制しながら、シールド部材12によって内部端子6の列間における干渉を抑制している。
【0037】
上述した内部端子6、外部端子10およびシールド部材12の材料としては、本実施の形態1ではリン青銅が用いられている。リン青銅は導電性を有し、かつ、弾性変形な材料である。
【0038】
図3に示すように、第1のコネクタ2の絶縁性部材8の裏面側には、溝13が設けられている。溝13は、D方向に延びる2本の溝として設けられている。溝13は、絶縁性部材8の裏面において内部端子6の先端部とシールド部材12が露出する部分の間に設けられている。溝13を設けることで、第1のコネクタ2を回路基板にはんだにより接続する際に、内部端子6およびシールド部材12がはんだにより接続されることを防止することができ、また、はんだがコネクタ内部に入り込むことを抑制できる。すなわち、溝13は、絶縁性部材8における基板実装面側のシールド部材12が露出する周囲に形成された「はんだ防止溝」である。
【0039】
<第2のコネクタ4>
図2A、2Bに示すように、第2のコネクタ4は、複数の内部端子(第2の内部端子)14と、絶縁性部材(第2の絶縁性部材)16と、外部端子(第2の外部端子)18と、シールド部材(第2のシールド部材)20とを備える。第2のコネクタ4の各構成は、第1のコネクタ2の各構成と類似するものであるため、適宜説明を省略する。
【0040】
内部端子14は、前述した第1のコネクタ2の内部端子6に接触する導体であり、絶縁性部材16に保持されている。内部端子14は内部端子6と同様に、棒状の部材を折り曲げて構成される。
【0041】
内部端子14のそれぞれは、第1のコネクタ2の内部端子6のそれぞれに対応して設けられている。より具体的には、内部端子14も、一列につき6個が2列並べて配置されている。内部端子14のそれぞれが内部端子6のそれぞれと一対一対応で接触する。
【0042】
絶縁性部材16は、前述した絶縁性部材8と同様に、内部端子14、外部端子18およびシールド部材20を一体的に保持する絶縁性の部材であり、本実施の形態1では樹脂が用いられる。
【0043】
外部端子18は、前述した外部端子10と同様に、内部端子14がコネクタ外部から干渉を受けないようにするために接地電位に接続される導体であって、内部端子14の周囲を囲むように配置される。
【0044】
シールド部材20は、前述したシールド部材12と同様に、内部端子14の列間における電磁波の干渉を抑制するための導電性の部材である。シールド部材20は、内部端子14の列が延びる方向Eに長い板状の部材として構成されるとともに、第2のコネクタ4が接続される回路基板(図示せず)上で外部端子18に導通している。
【0045】
上述した第2のコネクタ4においては、第1のコネクタ2と同様に、外部端子18およびシールド部材20を設けることで、外部端子18により外部からの干渉を抑制しながら、シールド部材20によって内部端子14の列間における干渉を抑制することができる。
【0046】
<多極コネクタセット1>
上述した第1のコネクタ2と第2のコネクタ4を嵌合させて構成した多極コネクタセット1について説明する。
【0047】
<内部端子6、14の接続状態>
第1のコネクタ2の内部端子6と第2のコネクタ4の内部端子14を接触させて嵌合させた状態を
図5に示す。
図5は、
図4における多極コネクタセット1のA−A断面図である。説明の簡略化のために、
図5では内部端子6、14以外の部材の図示を省略している。
【0048】
図5に示すように、第1のコネクタ2の内部端子6は、第2のコネクタ4の内部端子14側に向かって突出した凸形状6aを先端部に有する。これに対して、第2のコネクタ4の内部端子14は、内部端子6の凸形状6aに対応して凹んだ凹形状14aを先端部に有する。
【0049】
図5に示す嵌合状態では、内部端子14の凹形状14aに対して内部端子6の凸形状6aが挿入されて接触している。前述したように、内部端子6、14ともに弾性変形可能な材料(実施の形態1ではリン青銅)で形成されているため、凸形状6aが凹形状14aに挿入されると、凹形状14aが外側に広げられる。弾性材料で形成された凹形状14aは元の形状に戻ろうとするため、凸形状6aを内側に締付ける方向に付勢する。このような付勢力によって、内部端子6と内部端子14を強固に嵌合させることができる。
【0050】
<シールド部材12、20の関係>
次に、シールド部材12とシールド部材20の関係を
図6に示す。
図6は、
図4における多極コネクタセット1のB−B断面図である。説明の簡略化のために、
図6ではシールド部材12、20以外の部材の図示を省略している。
【0051】
図6に示すように、シールド部材12とシールド部材20は、互いに間隔を空けて配置されている。シールド部材12とシールド部材20は、略平行に延びるように配置されている。このように間隔を空けた場合であっても、シールド部材12とシールド部材20が近接することにより電磁的なシールドを構築することができる。これにより、シールド部材12とシールド部材20の間の空間を介した電磁的結合を遮断することができ、内部端子6、14の列間における電磁波の干渉を抑制することができる。
【0052】
多極コネクタセット1において特に内部端子6、14に高周波信号を流す場合には、内部端子6、14の列間において電磁波の干渉が生じやすくなる。これに対して、本実施の形態1では、内部端子6、14の列間に導電性のシールド部材12、20を設けることで電磁波のシールドを構成しており、内部端子6、14の列間の電磁波の干渉を抑制することができる。このように、特に高周波用途において多極コネクタセット1の信号伝送性能を向上させることができ、コネクタとしての性能を向上させることができる。
【0053】
さらに本実施の形態1では、内部端子6、14の列間の電磁波の干渉を抑制するための部材として、2つのシールド部材12、20を設けている。このような構成によれば、シールド部材を一体的な1つの部材として構成した場合に比べて、個々のシールド部材12、20の寸法を小さくすることができる。このため、コネクタにおいてシールド部材が最も高さ寸法が大きいものになることなどを防止することができ、コネクタの取扱性を向上させることができる。
【0054】
上述したように、本実施の形態1における多極コネクタセット1は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ4を互いに嵌合して構成されるコネクタセットである。第1のコネクタ2は、複数列に配列した内部端子6と、これらの内部端子6を保持する絶縁性部材8とを備える。第2のコネクタ4は、複数列に配列した内部端子14と、これらの内部端子14を保持する絶縁性部材16とを備える。第1のコネクタ2と第2のコネクタ4がそれぞれの内部端子6、14同士が接触して互いに嵌合した状態において、内部端子6、14の列間に配置される導電性のシールド部材12、20が設けられている。
【0055】
このような構成によれば、シールド部材12、20を設けることで、内部端子6、14の列間における電磁波の干渉を抑制することができる。また、これにより、コネクタ2、4の信号伝送性能を向上させることができるため、特に高周波用途における多極コネクタセット1の性能を向上させることができる。
【0056】
さらに本実施の形態1の多極コネクタセット1によれば、第1のコネクタ2および第2のコネクタ4はさらに外部端子10、18を備える。外部端子10、18は、接地電位に接続されるとともに絶縁性部材8、16により保持され、シールド部材12、20は外部端子10、18に導通している。
【0057】
このような構成によれば、接地電位に接続される外部端子10、18を設けることで、内部端子6、14をコネクタ外部から電気的に遮蔽することができる。さらに、外部端子10、18にシールド部材12、20を導通させることで、シールド部材12、20が外部端子10、18とともに電気的に一体的なアース電位を保つことができ、内部端子6、14の列間の電磁波の干渉をより抑制することができる。
【0058】
また前述したように、本実施の形態1の多極コネクタセット1では、内部端子6、14の列間の干渉を抑制するためのシールド部材として、シールド部材12(第1のシールド部材)と、シールド部材20(第2のシールド部材)が設けられている。このように、2つのシールド部材12、20を設けることで、一体的な1つのシールド部材として設ける場合に比べて、それぞれのコネクタ2、4の取扱性を向上させることができる。
【0059】
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2の多極コネクタセットについて説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0060】
図7は、実施の形態2の多極コネクタセット30の概略構成を示す斜視図である。
図8は、同多極コネクタセット30の一部切欠き断面図であり、
図9は、
図8における多極コネクタセット30のC−C断面図である。説明の簡略化のために、
図9ではシールド部材36、38a、38b以外の部材の図示を省略している。
【0061】
図8、
図9に示すように、実施の形態2の多極コネクタセット30においては、シールド部材36とシールド部材38a、38bが互いに接触し、かつ、シールド部材38a、38bが2つの部品に分かれている点が、実施の形態1と異なる。
【0062】
図7、8に示すように、多極コネクタセット30は、第1のコネクタ32と、第2のコネクタ34とを備え、第1のコネクタ32にはシールド部材36が設けられ(
図8)、第2のコネクタ34にはシールド部材38a、38bが設けられている。
【0063】
第1のコネクタ32および第2のコネクタ34におけるシールド部材36、38a、38b以外の構成については、実施の形態1と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0064】
図8に示すように、第1のコネクタ32のシールド部材36は、1枚の板状のシールド板として設けられる。シールド部材36には、2つのシールド部材38a、38bを嵌め込むための突起として2つの凸形状36a、36bが形成されている。シールド部材36は、2つのシールド部材38a、38bを一体的に支持するようにして絶縁性部材40に保持されている。
【0065】
第2のコネクタ34のシールド部材38a、38bは、前述したシールド部材36のように板状ではなく、棒状の部材を折り曲げて構成した同形状の部材である。シールド部材38a、38bは、D方向に沿って互いに対向するように配置され、絶縁性部材42に保持されている。シールド部材38a、38bのそれぞれの先端部には、前述したシールド部材36の凸形状36a、36bに嵌合する凹形状38c、38dが形成されている。
【0066】
本実施の形態2では、シールド部材38a、38bとして、内部端子14と同じ形状・材質の部材が用いられている(
図2A参照)。
【0067】
シールド部材36、38a、38bの材料としては、実施の形態1と同様に、導電性を有して弾性変形可能なリン青銅が用いられる。
【0068】
図8、
図9に示す接触状態では、シールド部材38a、38bの凹形状38c、38dに対して、シールド部材36の凸形状36a、36bが挿入された状態で嵌合する。凹形状38c、38dおよび凸形状36a、36bはともに弾性変形可能な部材で形成されているため、凹形状38c、38dに凸形状36a、36bが挿入されると、凹形状38c、38dが外側に広げられる。
図8、
図9に示す嵌合状態では、外側に広げられた凹形状38c、38dから凸形状36a、36bを内側に締付ける付勢力が働いた状態となる。これにより、シールド部材36とシールド部材38a、38bをより強固に嵌合させることができる。
【0069】
上述したように、本実施の形態2の多極コネクタセット30によれば、シールド部材36とシールド部材38a、38bは嵌合状態において互いに接触する。このような構成によれば、実施の形態1のようにシールド部材12、20が接触しない場合に比べて、内部端子6、14の列間の電磁波の干渉を抑制する効果を向上させることができ、シールド性を向上させることができる。これにより、多極コネクタセット30の信号伝送性能を向上させることができ、多極コネクタセット30の性能を向上させることができる。
【0070】
さらに本実施の形態2の多極コネクタセット30によれば、シールド部材36とシールド部材38a、38bが接触する箇所は、互いに嵌合する凹凸形状で構成されるとともに、弾性変形可能な材料で形成されている。このような構成によれば、シールド部材36とシールド部材38a、38bの接触性を向上させるとともに、嵌合保持力も向上させることができる。
【0071】
さらに本実施の形態2の多極コネクタセット30によれば、シールド部材38a、38bは、内部端子6、14の列が延びる方向Dに沿って対向するように2つ設けられている。またシールド部材36は、2つのシールド部材38a、38bを保持する一体的な部材である。このような構成によれば、シールド部材36とシールド部材38a、38bの接触箇所が2箇所に分散されるため、一方の接触箇所が抜けようとしても、もう一方の接触箇所は抜けにくいという構造とすることができ、第1のコネクタ32と第2のコネクタ34がより抜けにくくなる。さらに、シールド部材38a、38bを一体的な板状の部材として形成することで、電磁波の遮蔽効果を向上させることができる。
【0072】
なお、シールド部材を板状で構成する方が、棒状で構成する場合よりも電磁波のシールド性が高く、内部端子6、14の列間の電磁波の干渉をより抑制することができる。一方、シールド部材を棒状で構成する方が、板状で構成する場合よりも弾性変形しやすい形状とすることができる。実施の形態2のように、一方のシールド部材36を「板状」に形成し、もう一方のシールド部材38a、38bを「棒状」に形成することで、電磁波の干渉を抑制する効果と、互いの接触性を高める効果を両立して奏することができる。
【0073】
(実施の形態3)
本発明に係る実施の形態3の多極コネクタセットについて、
図10−16を用いて説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態1、2と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態1、2と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態1、2と重複する記載は省略する。
【0074】
図10−12を用いて、多極コネクタセット50の概略構成について説明する。
図10は、実施の形態3の多極コネクタセット50のコネクタ同士の嵌合前の状態を示す斜視図である。
図11は、
図10のD−D断面で切断した多極コネクタセット50の斜視図である。
図12は、多極コネクタセット50のコネクタ同士の嵌合後の状態を示す平面図である。
【0075】
実施の形態3の多極コネクタセット50は、外部端子の形状などが、実施の形態1、2の多極コネクタセット1、30と主に異なる。
【0076】
図10−
図12に示すように、多極コネクタセット50は、第1のコネクタ52と、第2のコネクタ54とを備える。
【0077】
第1のコネクタ52は、第1の内部端子55と、第1の絶縁性部材56と、第1の外部端子58と、第1のシールド部材60とを備える。第2のコネクタ54は、第2の内部端子62と、第2の絶縁性部材64と、第2の外部端子66と、第2のシールド部材68とを備える。
【0078】
第1のコネクタ52の分解図を
図13に示す。
図13は、
図10とは逆側から見た第1のコネクタ52の分解斜視図である。
図13に示すように、第1の外部端子58は対向する位置に2箇所設けられている。第1の外部端子58の外側面には、複数の凹部58Aが設けられている。凹部58Aは、後述する第2のコネクタ54の第2の外部端子66の凸部66A(
図14)と嵌合する部分である。凹部58Aは、第1のコネクタ52と第2のコネクタ54が向かい合う方向(矢印D1)とは交差する方向(矢印D2)に凹んでいる。本実施の形態では、凹部58Aは4隅に設けられている(
図13では2箇所のみ図示)。
【0079】
次に、第2のコネクタ54の分解図を
図14に示す。
図14は、
図10と同じ側から見た第2のコネクタ54の分解斜視図である。
図14に示すように、第2の外部端子66は、前述した第1の外部端子58とは異なり、一体的な1つの環状の部材として設けられている。
図10のように第2のコネクタ54が組み立てられた後の状態では、第2の外部端子66は第2の内部端子62および第2のシールド部材68の少なくとも一部を囲む位置に配置される。第2の外部端子66をこのような環状に形成することで、環状ではない途切れた形状である場合に比べて、外部からのノイズ又は放射ノイズに対するシールド効果を向上させることができる。
【0080】
図14に示すように、第2の外部端子66の内側面には、複数の凸部66Aが設けられている。凸部66Aは、前述した第1のコネクタ52の第1の外部端子58の凹部58A(
図13)と嵌合する部分である。凸部66Aは、第1のコネクタ52と第2のコネクタ54が向かい合う方向(矢印D1)とは交差する方向(矢印D2)に突出している。本実施の形態では、凸部66Aは4隅に設けられており(
図14では2箇所のみ図示)、凹部58Aに対応する位置に配置される。
【0081】
凸部66Aと凹部58Aは、
図12などに示す嵌合状態において、第1のコネクタ52と第2のコネクタ54が向かい合う方向とは交差する方向(矢印D2)に互いに係合して嵌合する。このような関係により、第1のコネクタ52と第2のコネクタ54を互いに抜けにくくすることができる。より具体的には、第1のコネクタ52と第2のコネクタ54のこじり抜去力を向上させることができ、嵌合状態をより精度良く維持することができる。
【0082】
次に、第2のコネクタ54の第2のシールド部材68の断面図を
図15に示す。
【0083】
図15に示すように、第2のシールド部材68には凹部68Aが設けられている。凹部68Aは、第1のコネクタ52に向かい合う側(矢印D3)とは反対側(矢印D4)に設けられた第2のシールド部材68の凹部である。本実施の形態では、対称な形状を有する2つの凹部68Aが設けられている。
【0084】
凹部68Aには、絶縁性部材64が充填されている。凹部68Aは、充填された絶縁性部材64を第2のシールド部材68に引っ掛ける形状を有している。これにより、第2のシールド部材68が脱落することを防止している。具体的には、
図15の拡大図に示すように、凹部68Aを構成する第2のシールド部材68の内側面68Bは、それぞれの凹部68Aが広がる方向に向かって凹んでいる(矢印D5)。このような形状の内側面68Bを形成することにより、第2のシールド部材68に絶縁性部材64を引っ掛けて、第2のシールド部材68の脱落を防止することができる。
【0085】
上述した第2のシールド部材68は、
図12などに示す嵌合状態において、第1のコネクタ52の第1の外部端子58に接触する。具体的には、
図16に示すように、第1の外部端子58は、第2のシールド部材68が延びる方向(矢印D6)とは交差する方向(矢印D7)において第2のシールド部材68を横断する長さを有している。これにより、嵌合状態において、第2のシールド部材68は第1の外部端子58に接触する。このように、第2のシールド部材68を第1の外部端子58に接触させることで、内部端子の列間における電磁波の干渉をさらに抑制することができる。
【0086】
上述した実施の形態3の多極コネクタセット50においては、実施の形態1、2と同様に、第1のコネクタ52は第1の外部端子58と第1のシールド部材60とを備え、第2のコネクタ54は第2の外部端子66と第2のシールド部材68とを備える。このように、第1のコネクタ52と第2のコネクタ54のそれぞれに外部端子58、66とシールド部材60、68を設けることで、外部端子が1つのみ、あるいはシールド部材が1つのみ設けられる場合と比べて、設計の自由度を向上させることができる。
【0087】
以上、上述の実施の形態1−3を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態1−3に限定されない。例えば、上記実施の形態1、2では、第1のコネクタ2および第2のコネクタ4が外部端子10、18を備える場合について説明したが、このような場合に限らない。外部端子10、18が設けられない場合であっても、シールド部材によって内部端子6、14の列間の干渉を抑制する効果を発揮することができる。なお、外部端子10、18を設けた方が、コネクタ外部からの内部端子6、14への電波の干渉を低減できるため、多極コネクタセット1、30の機能を向上させることができる。
【0088】
また、上記実施の形態1では、シールド部材12、20が2つの部材に分かれている場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、一方のコネクタのみに板状のシールド部材が1つ設けられ、他方側のコネクタの溝に嵌合するような構造であってもよい。このような場合であっても、当該シールド部材によって内部端子6、14の列間の電磁波の干渉を抑制することができる。なお、シールド部材を2つ以上の部材に分けた場合の方が、個々のシールド部材の寸法を小さくすることができ、コネクタの取扱性を向上させることができる。
【0089】
また、上記実施の形態1では、第1のコネクタ2の絶縁性部材8における基板実装面側のシールド部材12が露出する周囲に溝13を形成する場合について説明したが、このような場合に限らない。第2のコネクタ4の絶縁性部材16における基板実装面側のシールド部材20が露出する周囲に同様の溝を形成してもよい。このような場合であっても、第2のコネクタ4を回路基板にはんだにより接続する際に、内部端子14とシールド部材20とがはんだにより接続されることを防止することができ、また、はんだがコネクタ内部に入り込むことを抑制できる。
【0090】
また、上記実施の形態1、2では、内部端子6、14のそれぞれが2列配置される場合について説明したが、このような場合に限らず、3列以上配置してもよい。内部端子の列の増加に応じて、シールド部材を複数列に配置してもよい。
【0091】
また、上記実施の形態1、2では、内部端子6、14、外部端子10、18およびシールド部材12、20が全て同じ材質(リン青銅)で形成される場合について説明したが、このような場合に限らず、導電性の異なる材料で形成してもよい。また上記実施の形態1、2では、材料としてリン青銅を用いる場合について説明したが、このような場合に限らず、導電性の材料であれば任意の材料を用いてもよい。例えば、リン青銅の代わりにコルソン合金を用いてもよく、この場合、特に内部端子6、14の導電性を向上させることができる。また表面に金メッキなどを施してもよい。
【0092】
また、上記実施の形態2では、シールド部材36、38a、38bの全てを弾性変形可能な材料(リン青銅)で形成することにより、シールド部材36と、シールド部材38a、38bを嵌合させる場合について説明したが、このような場合に限らない。シールド部材36と、シールド部材38a、38bの少なくとも一方を弾性変形可能な材料で形成してもよい。また、リン青銅以外にも弾性変形可能な材料であれば任意の材料を用いてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態2では、第2のコネクタ34におけるシールド部材38a、38bとして内部端子14と同じ形状・材質のものを用いる場合について説明したが、このような場合に限らない。対向するシールド部材36と接触して嵌合可能なものであれば、内部端子14と異なる任意の形状であってもよい。
【0094】
また、上記実施の形態3では、第2のコネクタ54の第2のシールド部材68と第1のコネクタ52の第1の外部端子58が接触する場合について説明したが、このような場合に限らない。第1のコネクタ52の第1のシールド部材60と、第2のコネクタ54の第2の外部端子66を接触させてもよい。このような場合であっても、第1のシールド部材60による内部端子の列間における電磁波の干渉をさらに抑制することができる。
【0095】
また、上記実施の形態3では、第2のコネクタ54の第2の外部端子66が環状に形成される場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、第1のコネクタ52の第1の外部端子58が、第1のコネクタ52の第1の内部端子55および第1のシールド部材60の少なくとも一部を囲むように環状に形成されてもよい。このような場合であっても、外部からのノイズ又は放射ノイズに対するシールド効果を向上させることができる。
【0096】
また、上記実施の形態3では、第2のシールド部材68が凹部68Aを有し、凹部68Aに第2の絶縁性部材64が充填されて、第2のシールド部材68に第2の絶縁性部材64を引っ掛ける場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、第1のコネクタ52の第1のシールド部材60が、第2のコネクタ54に向かい合う側とは反対側に凹部を有し、当該凹部に第1の絶縁性部材56が充填されて、第1のシールド部材60に第1の絶縁性部材56を引っ掛けるようにしてもよい。このような場合であっても、第1のシールド部材60の脱落を防止することができる。
【0097】
また、上記実施の形態3では、第2の外部端子66が凸部66Aを有し、第1の外部端子58が凹部58Aを有し、嵌合状態において、凸部66Aと凹部58Aが互いに係合する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、第1の外部端子58が凸部を有し、第2の外部端子66が当該凸部を受ける凹部を有し、これらの凸部と凹部が嵌合状態において互いに係合するようにしてもよい。このような場合であっても、コネクタ同士を抜けにくくすることができる。
【0098】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0099】
なお、上記様々な実施の形態および変形例のうちの任意の実施の形態あるいは変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。