(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜
図7を用い、実施形態に係る画像処理装置を説明する。画像処理装置として、複合機100を例に挙げて説明する。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
【0013】
(複合機100)
図1を用いて、実施形態に係る複合機100を説明する。
図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、複合機100は、制御部1、原稿読取装置2、記憶部3、操作パネル4、印刷部5(ジョブ実行部に相当)、通信部6(ジョブ実行部に相当)を含む。
【0015】
制御部1は、複合機100の動作を制御する。制御部1はジョブでの複合機100の動作を制御する。例えば、制御部1はコピージョブでの複合機100の動作を制御する。CPU10と画像処理部11を含む。画像処理部11は、原稿読取装置2が生成した画像データに画像処理を行う回路である。複合機100は記憶部3を含む。記憶部3はRAM30を含む。記憶部3は、ROM31、ストレージ32(HDD又はSSD)も含む。制御部1は、記憶部3のプログラムやデータに基づき、各部を制御する。原稿読取装置2は、原稿を読み取って読取画像データを生成する(詳細は後述)。
【0016】
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。制御部1は、メッセージや、設定用画面を表示パネル41に表示させる。制御部1は、操作用画像を表示パネル41に表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキーやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。例えば、操作パネル4はコピージョブの設定を受け付ける。制御部1は操作パネル4の出力に基づき、設定内容を認識する。
【0017】
印刷部5は用紙に白黒印刷(モノクロ印刷)する。印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dを含む。印刷ジョブのとき、制御部1は用紙を給紙部5aに供給させる。制御部1は用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。用紙搬送部5bは印刷済み用紙を機外に排出する。制御部1は画像データに基づくブラックのトナー像を画像形成部5cに形成させる。制御部1は搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部5cに行わせる。制御部1は転写されたトナー像の用紙への定着を定着部5dに行わせる。制御部1は、定着後の用紙の機外への排出を用紙搬送部5bに行わせる。
【0018】
通信部6は、通信用のハードウェア(通信回路)とソフトウェアを含む。通信部6はコンピューター200やFAX装置300と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。操作パネル4は宛先の設定を受け付ける。制御部1は、設定された宛先に向けて、原稿の読み取りに基づく画像データを通信部6に送信させる(送信ジョブ)。また、通信部6は、コンピューター200やFAX装置300からの印刷用データを受信する。制御部1は、受信した印刷用データに基づき印刷部5に印刷させる(プリントジョブ)。
【0019】
(原稿読取装置2)
次に、
図2、3を用いて、実施形態に係る原稿読取装置2の一例を説明する。
図2、
図3は、実施形態に係る原稿読取装置2の一例を示す図である。
【0020】
原稿読取装置2は、原稿搬送部7と画像読取部8を含む。
図2に示すように、原稿搬送部7は画像読取部8の上方に設けられる。原稿搬送部7は、画像読取部8に対し上下方向に開閉する。原稿搬送部7は原稿を上方から押さえるカバーとして機能する。表面が上向きになるように、使用者は原稿搬送部7に原稿をセットする。原稿搬送部7は、原稿トレイ71にセットされた原稿を1枚ずつ搬送する。原稿搬送部7は、送り読取用コンタクトガラス81(読み取り位置)に向けて原稿を搬送する。
【0021】
画像読取部8は原稿搬送部7が搬送する原稿を読み取る。画像読取部8は、原稿を読み取って読取画像データを生成、出力する。生成された画像データは、記憶部3のRAM30に記憶される。原稿の読み取りを伴うジョブは、例えば、コピージョブある。コピージョブは、読み取りで得られた画像データに基づき印刷部5に印刷させるジョブである。操作パネル4はコピージョブの実行指示を受け付ける。例えば、スタートキーの操作が実行指示として受け付けられる。
【0022】
原稿搬送部7は、原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ71、ピックアップローラー72、原稿搬送路73、複数の搬送ローラー対74、排出ローラー対75、排出トレイ76を含む。原稿トレイ71には、原稿セットセンサーS1が設けられる。
【0023】
図3に示すように、原稿搬送制御部70が原稿搬送部7内に設けられる。原稿搬送制御部70はCPUやメモリーを含む基板である。原稿セットセンサーS1の出力は制御部1や原稿搬送制御部70に入力される。原稿セットセンサーS1の出力に基づき、制御部1や原稿搬送制御部70は、原稿トレイ71上の用紙の有無を認識する。
【0024】
原稿を読み取るジョブ(コピージョブ)を開始するとき、制御部1は原稿が原稿トレイ71にセットされているか否かを確認する。原稿があるとき、制御部1は原稿搬送指示を原稿搬送制御部70に出す。この指示を受けたとき、原稿搬送制御部70は原稿搬送モーターM1を駆動させる。原稿搬送モーターM1により、ピックアップローラー72や搬送ローラー対74が回転する。そして原稿は読み取り位置に向けて搬送される。原稿は、送り読取用コンタクトガラス81の上側(一方側)を通過する。送り読取用コンタクトガラス81は、画像読取部8の上面に設けられる。通過の際、画像読取部8(読取ユニット9)が原稿を読み取る(送り読み取り)。
【0025】
次に、画像読取部8を説明する。画像読取部8の上面右側に、載置読取用コンタクトガラス82が配される。載置読取用コンタクトガラス82には、書籍のような原稿がセットされる。原稿搬送部7に原稿がセットされていないとき、画像読取部8は、載置読取用コンタクトガラス82にセットされた原稿を読み取る(テーブル読み取り)。
【0026】
図3に示すように、画像読取部8は読取制御部80を含む。読取制御部80は画像読取部8の動作を制御する。読取制御部80は、CPU、メモリー、その他の回路を含む基板である。読取制御部80は、制御部1からの指示、信号に基づき、原稿の読み取りを行う。
図2に示すように、画像読取部8は、読取ユニット9、ワイヤー83、巻取ドラム84を含む。
【0027】
読取ユニット9は、CIS方式のスキャンユニットである。読取ユニット9はCCD型のスキャンユニットでもよい。ワイヤー83は読取ユニット9と巻取ドラム84に接続される。巻取ドラム84は、正逆回転する巻取モーター85(
図3参照)により回転する。テーブル読み取りのとき、読取制御部80は、巻取ドラム84を回転させる。これにより、読取ユニット9は水平方向(副走査方向、
図2の左右方向)に移動する。送り読み取りのとき、読取制御部80は、送り読取用コンタクトガラス81の下方に読取ユニット9を配置する。
【0028】
(原稿読み取り)
次に、
図3、
図4を用いて、実施形態に係る複合機100での原稿読み取りの一例を説明する。
図4は、実施形態に係る複合機100での原稿読み取りの一例を説明するための図である。
【0029】
読取ユニット9はランプ9aとイメージセンサー9bを含む。ランプ9aは原稿の裏面に光を照射する。イメージセンサー9bは主走査方向に並ぶ複数の受光素子(画素)を含む。各受光素子は受光した原稿の反射光の光量に応じたアナログ電気信号を出力する。
【0030】
画像読取部8は画像データ生成部90を含む。画像データ生成部90は、イメージセンサー9bの出力に基づき、画像データを生成する。画像データ生成部90は、AFE回路91(アナログフロントエンド)、A/D変換回路92、補正回路93、形式変換回路94を含む。
【0031】
AFE回路91は、イメージセンサー9bの各画素(受光素子)が出力するアナログ画像信号を処理する。例えば、AFE回路91はアナログ画像信号を増幅する。また、AFE回路91は、アナログ画像信号を補正する。A/D変換回路92はAFE回路91が処理したアナログ画像信号をディジタル値に変換する。例えば、A/D変換回路92は、ディジタルデータに変換する。これにより、読取画像データが生成される。補正回路93は、読み取りに起因する濃度の歪みを補正する。例えば、補正回路93はシェーディング補正を行う。
【0032】
読取ユニット9は、カラーの読み取りとモノクロでの読み取りに対応している。イメージセンサー9bが、R(赤)、G(緑)、B(青)の3本のラインセンサーを含んでもよい。この場合、例えば、ランプ9aは白色の光源を含む。カラーでの読み取りのとき、読取制御部80はランプ9aを点灯させる。R、G、Bの各ラインセンサーは原稿を読み取る。各ラインセンサーは、アナログ画像信号を出力する。画像データ生成部90は、各色のアナログ画像信号を処理する。画像データ生成部90は、RGB形式のカラー読取画像データCiを生成する。例えば、画像データ生成部90は、R成分=8ビット、G成分=8ビット、B成分=8ビットのカラー読取画像データCiを生成する。
【0033】
また、モノクロ読み取りのとき、読取制御部80はランプ9aを点灯させる。モノクロ読み取りのとき、読取制御部80は、各ラインセンサーのうち、1本のラインセンサーのアナログ画像信号を用いる(例えば、緑のラインセンサー)。読取制御部80は、1色分のアナログ画像信号を画像データ生成部90に処理させる。画像データ生成部90は、グレースケール形式のモノクロ読取画像データMiを生成する。例えば、画像データ生成部90は、1画素8ビットの輝度信号を含む画像データを生成する。なお、イメージセンサー9bにモノクロ(白黒)読取用のラインセンサーを含めてもよい。この場合、読取制御部80は、1本の白黒読取用のラインセンサーのアナログ画像信号を画像データ生成部90に処理させる。
【0034】
また、読取ユニット9は、ラインセンサーの本数を1本とし、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色分のランプ9aを含んでもよい。この場合、カラーでの読み取りのとき、読取制御部80は1ラインの読み取り中、点灯させるランプ9aを順番に切り替える。Rのランプ点灯時に蓄えられた電荷に基づき、イメージセンサー9b(ラインセンサー)は、Rのアナログ画像信号を出力する。Gのランプ点灯時に蓄えられた電荷に基づき、イメージセンサー9b(ラインセンサー)は、Gのアナログ画像信号を出力する。Bのランプ点灯時に蓄えられた電荷に基づき、イメージセンサー9b(ラインセンサー)は、Bのアナログ画像信号を出力する。画像データ生成部90は各色のアナログ画像信号を処理する。画像データ生成部90は、RGB形式のカラー読取画像データCiを生成する。例えば、画像データ生成部90は、R成分=8ビット、G成分=8ビット、B成分=8ビットのカラー読取画像データCiを生成する。
【0035】
モノクロ読み取りのとき、読取制御部80はランプ9aを1色又は全色点灯させる。モノクロ読み取りのとき、点灯するランプ9aの色を切り替える必要はない。読取制御部80は、1本のラインセンサーのアナログ画像信号を用いる。読取制御部80は、1色分のアナログ画像信号を画像データ生成部90に処理させる。そして、画像データ生成部90は、グレースケール形式のモノクロ読取画像データMiを生成する。例えば、画像データ生成部90は、1画素8ビットの輝度信号を含む画像データを生成する。
【0036】
このように、カラー読み取りのとき、画像読取部8はカラー読取画像データCiを生成する。また、モノクロ読み取りのとき、画像読取部8はモノクロ読取画像データMiを生成する。画像データ生成部90は、生成したカラー読取画像データCi、モノクロ読取画像データMiをRAM30に記憶させる。記憶部3は画像読取部8が出力した読取画像データを記憶する。
【0037】
なお、カラー読み取りのとき、画像データ生成部90(形式変換回路94)は、RGB形式のカラー読取画像データCiをCMY形式のカラー読取画像データCiに変換する。画像読取部8は、CMY形式のカラー読取画像データCiをRAM30に記憶させる。なお、画像データ生成部90は、RGB形式のカラー読取画像データCiをRAM30に書き込んでもよい。この場合、画像処理部11(制御部1)は、RAM30に書き込まれたカラー読取画像データCiの形式を、RGB形式からCMY形式に変換する。
【0038】
(ハイライト原稿読み取りモード)
次に、
図5、
図6を用いて、実施形態に係るハイライト原稿読み取りモードの一例を説明する。
図5は、実施形態に係るハイライト原稿D0の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係る複合機100でのハイライト原稿設定画面44の一例を示す図である。
【0039】
複合機100はハイライト原稿読み取りモードを備える。ハイライト原稿D0は、蛍光色のハイライト領域R1を含む原稿である。ハイライト領域R1は、蛍光ペン(蛍光マーカー)で使用者が原稿に線を引いた部分である。蛍光ペンでマーキングされた部分は目立つ。例えば、蛍光ペンを用いて、重要部分や記憶すべき部分に線が引かれる。例えば、テスト対策や勉強のため、テキストで出題されそうな部分に蛍光ペンで線を引くことがある。また、仕事で用いる書類のうち、注意すべき点に蛍光ペンで線をひくことがある。
【0040】
従来、蛍光ペンで書き込みがなされた原稿を読み取り、モノクロ読取画像データMiを生成した場合、蛍光ペンでのマーキング部分がモノクロ読取画像データMiに反映されないことがある。特に、黄色の蛍光ペンでマーキングした部分が消えやすい。
【0041】
蛍光ペンのインク又は顔料には蛍光物質が含まれる。読み取りのとき、光が原稿に照射される。蛍光物質は光を吸収する。吸収した光(光のエネルギー)により、蛍光物質は励起する。蛍光物質が基底状態に戻るとき、余分なエネルギーを光(電磁波)として放出する。蛍光物質を読み取ったラインセンサーの受光素子は、蛍光物質が放出する光を受光する。受光素子が蓄積する電荷は、放出光分多くなる。その結果、画像データのうち、蛍光ペンで書き込みがなされた部分の画素の画素値は明るく(白く、薄く)なる。
【0042】
従来、モノクロ出力のとき、モノクロでの読取が行われている。例えば、コピージョブでは、モノクロで読み取られた画像データに基づき、モノクロ印刷(白黒印刷)が行われる。モノクロ出力された印刷物や画像データでは、蛍光ペンで書き込みがなされた部分が消えていることがあった。そこで、複合機100はハイライト原稿読み取りモードを有する。ハイライト原稿読み取りモードは、蛍光ペンの書き込み部分がわかるモノクロ出力物を得るためのモードである。
【0043】
操作パネル4は、ハイライト原稿読み取りモードを用いるか否かの選択を受け付ける。言い換えると、操作パネル4は、ハイライト原稿読み取りモードのON/OFFを受け付ける。この選択は、ハイライト原稿設定画面44で行うことができる。所定の操作が操作パネル4になされたとき、制御部1はハイライト原稿設定画面44を表示パネル41に表示させる。
【0044】
ハイライト原稿設定画面44は、ONボタンB1とOFFボタンB2が設けられる。ONボタンB1はハイライト原稿読み取りモードを用いるときに操作される。OFFボタンB2は、ハイライト原稿読み取りモードを用いないときに操作される。制御部1は、ハイライト原稿読み取りモードのON/OFFの設定を記憶部3に記憶させる。
【0045】
(原稿読み取りを伴うジョブの処理の流れ)
次に、
図6、
図7を用いて、実施形態に係る複合機100での原稿読み取りを伴うジョブの処理の流れの一例を説明する。
図7は、実施形態に係る複合機100での原稿読み取りを伴うジョブの処理の流れの一例を示す図である。
【0046】
以下の説明では、コピージョブを行うときの流れの一例を説明する。
図7のスタートは、操作パネル4がコピージョブの実行指示を受け付けた時点である。なお、印刷部5は、カラー印刷に対応していない。印刷部5は白黒印刷のみ行える。
【0047】
まず、制御部1は、ハイライト原稿読み取りモードが選択されているか否かを確認する(ステップ♯1)。言い換えると、制御部1は、ハイライト原稿設定画面44でONボタンB1が操作されているか否かを確認する。
【0048】
ハイライト原稿読み取りモードが選択されていないとき(ステップ♯1のNo)、制御部1は、原稿をモノクロ(白黒)で読み取らせる(ステップ♯2)。画像読取部8(画像データ生成部90)は、モノクロ読取画像データMiを生成、出力する(ステップ♯3)。モノクロ読取画像データMiは、グレースケールの画像データである。さらに、画像処理部11(制御部1)は、モノクロ読取画像データMiを画像処理して、2値のモノクロ出力用画像データを生成する(ステップ♯4)。
【0049】
画像処理部11(制御部1)は、操作パネル4の設定に応じて、モノクロ読取画像データMiの画像処理を行う。例えば、操作パネル4の設定に応じて、画像処理部11は、濃度変換、拡大、縮小等の画像処理を行う。コピージョブのとき、画像処理部11は、画像処理がなされたモノクロ読取画像データMiを2値の画像データに変換する。画素にトナーをのせる、のせない、の2値的な選択により、トナー像を形成するためである。画像処理部11は2値の画像データをモノクロ出力用画像データとして生成する。2値の画像データを生成するとき、例えば、画像処理部11は中間調処理を行う。中間調処理は、2値(白と黒)の画素だけを用い、画素の数や黒画素の密度を制御して、階調を描画するための処理である。
【0050】
制御部1は、モノクロ出力用画像データに基づき、ジョブを実行する(ステップ♯5)。コピージョブのとき、制御部1は、2値のモノクロ出力用画像データに基づき、印刷部5にトナー像を形成させる。
【0051】
ハイライト原稿読み取りモードが選択されているとき(ステップ♯1のYes)、制御部1は、原稿をカラーで読み取らせる(ステップ♯6)。画像読取部8(画像データ生成部90)は、カラー読取画像データCiを生成、出力する(ステップ♯7)。カラー読取画像データCiは、例えば、R、G、Bの画像データである(各色成分8ビット、計24ビット)。さらに、画像データ生成部90はカラー読取画像データCiをCMY形式とする(ステップ♯8)。ステップ♯8では、所定の変換式に基づき、画像データ生成部90は、カラー読取画像データCiをRGB形式からCMY形式に変換する。
【0052】
続いて、カラー読取画像データCiに基づき、画像処理部11(制御部1)は、ハイライト画素と、ハイライト画素の色を認識する(ステップ♯9)。ハイライト画素は、蛍光ペンで描かれた部分を読み取った画素である。ハイライト画素とその色の認識手法の一例を説明する。例えば、記憶部3は認識用データD1を記憶する(
図1参照)。認識用データD1は、ハイライト画素を認識するためのデータである。蛍光ペンの色には、例えば、黄色がある。認識用データD1では、黄色の蛍光ペンで塗られた画素(黄色のハイライト画素)と扱う画素値の範囲(黄色画素値範囲)が定義される。実際の読み取り結果に基づき、黄色画素値範囲の範囲を定めることができる。例えば、黄色の蛍光ペンで塗られた領域を含む原稿を画像読取部8が読み取る。画像処理部11は、読み取りで得られたCMYのカラー読取画像データCiのうち、黄色の蛍光ペンで塗られた領域に含まれる画素の画素値の範囲を認識する。画像処理部11は、認識した画素値の範囲を黄色画素値範囲として記憶部3に記憶させる。黄色のハイライト画素と扱う画素値の範囲が認識用データD1として定義される。
【0053】
認識用データD1を参照し、画像処理部11(制御部1)は、カラー読取画像データCiのうち、黄色のハイライト画素を認識する。カラー読取画像データCiのうち画像処理部11は、黄色画素値範囲内の画素値を有する画素を黄色のハイライト画素と認識する。
【0054】
なお、蛍光ペンは黄色だけではない。例えば、黄、桃、赤、青、緑、橙、紫といった蛍光ペンが流通している。黄色以外の色についても、記憶部3は、ハイライト画素と扱う画素値の範囲を認識用データD1として記憶してもよい。例えば、記憶部3は、桃色画素値範囲、赤色画素値範囲、青色画素値範囲、緑色画素値範囲、橙色画素値範囲、紫色画素値範囲を記憶してもよい。カラー読取画像データCiのうち、画像処理部11は、黄色以外の色のハイライト画素を認識してもよい。
【0055】
次に、画像処理部11(制御部1)は、ハイライト画素に基づき、ハイライト領域R1とその位置を認識する(ステップ♯10)。例えば、画像処理部11は、同じ色のハイライト画素のかたまりをハイライト領域R1として検出する。画像処理部11は、予め定められた距離よりも短い距離内にある同じ色のハイライト画素をつないで、ハイライト領域R1の輪郭を定める。予め定められた距離は、例えば、文章の行間未満とすることができる。そして、画像処理部11は、ハイライト領域R1の位置(カラー読取画像データCi内の座標)を認識する。例えば、カラー読取画像データCi、ハイライト領域R1の輪郭の横軸上と縦軸上の座標を認識する。
【0056】
次に、画像処理部11(制御部1)は、認識したハイライト領域R1の位置にハイライト強調処理を行ってモノクロ出力用画像データを生成する(ステップ♯11)。モノクロ出力物(複写物)にハイライト領域R1が描画されるように、画像処理部11はハイライト強調処理を行う。
【0057】
コピージョブのとき、画像処理部11(制御部1)は、カラー読取画像データCiをグレースケールの画像データに変換する。つまり、制御部1は中間画像データを生成する。画像処理部11(制御部1)は、操作パネル4の設定に応じて、中間画像データの画像処理を行う。操作パネル4の設定に応じて、例えば、画像処理部11は、濃度変換、拡大、縮小等の画像処理を行う。続いて、画像処理部11は、画像処理後の中間画像データ(グレースケールの画像データ)を変換し、2値の画像データをモノクロ出力用画像データとして生成する。
【0058】
画像処理部11(制御部1)は、CMY形式のカラー読取画像データCi、グレースケールの画像データ、又は、2値のモノクロ出力用画像データの何れか1つにハイライト強調処理を行う。ハイライト強調処理は、モノクロ出力物にハイライト領域R1が描画されるように、ハイライト領域R1を強調する処理である。ハイライト強調処理は、認識した蛍光色のうち、特定の色のみに対して行ってもよい。例えば、画像処理部11は、消えやすい黄色のハイライト領域R1に対してのみ、ハイライト強調処理を行ってもよい。
【0059】
ハイライト強調処理として、例えば、画像処理部11は、CMY形式のカラー読取画像データCi、中間画像データ、2値のモノクロ出力用画像データの何れかに、ハイライト領域R1を示すパターン画像(網点画像)をハイライト領域R1に貼りつける処理を行ってもよい。例えば、画像処理部11は、黄色のハイライト領域R1に、パターン画像を貼りつける。パターン画像は、高濃度画素(黒)と低濃度画素(白)を含む。カラー読取画像データCi、中間画像データにパターン画像を貼りつけた場合、2値化のとき、画像処理部11は、高濃度画素を黒画素に変換する。また、2値化のとき、画像処理部11は低濃度画素を白画素に変換する。これにより、2値のモノクロ出力用画像データのうち、ハイライト領域R1の位置に、ハイライト領域R1を模擬的に示すパターン(網点)が描かれる。2値のモノクロ出力用画像データに基づく印刷物において、ハイライト領域R1を示す画像がハーフトーン画像(網点画像)で描画される。
【0060】
操作パネル4は、どの色のハイライト領域R1に、どのようなパターン画像を付すかの選択を受け付けてもよい。
図6に示すように、ハイライト原稿設定画面44は、色選択欄L1と複数のラジオボタンRB1、RB2、RB3、RB4、RB5、RB6を含む。色選択欄L1は、ハイライト強調処理を行う色(蛍光色)を選択するためのボタンである。ラジオボタンRB1〜RB6は、所望のパターン画像を選択するためのボタンである。色とパターン画像が設定されたとき、画像処理部11は、選択された色のハイライト領域R1に、選択されたパターン画像をのせる。
【0061】
また、例えば、画像処理部11は、CMY形式のカラー読取画像データCiや中間画像データのうち、ハイライト領域R1の各画素の濃度を濃くする処理をハイライト強調処理として行ってもよい。これにより、2値のモノクロ出力用画像データに変換するとき、黒画素がハイライト領域R1に含まれやすくなる。2値のモノクロ出力用画像データへの変換するときに、画像処理部11は、蛍光色が付された部分であることを示すハーフトーン画像をハイライト領域R1の位置に描画する。
【0062】
制御部1は、モノクロ出力用画像データに基づき、ジョブを実行する(ステップ♯12)。コピージョブのとき、制御部1は、2値のモノクロ出力用画像データに基づき、印刷部5にトナー像を形成させる。
【0063】
このようにして、実施形態に係る画像処理装置(複合機100)は、画像読取部8、記憶部3、操作パネル4、画像処理部11、ジョブ実行部(印刷部5、通信部6)を含む。画像読取部8は、原稿をモノクロ又はカラーで読み取って読取画像データを出力する。記憶部3は、画像読取部8が出力した読取画像データを記憶する。操作パネル4は、ハイライト原稿D0を読み取るハイライト原稿読み取りモードを用いるか否かの選択を受け付ける。画像処理部11は、読取画像データを処理してモノクロ出力用画像データを生成する。ジョブ実行部は、モノクロ出力用画像データに基づきモノクロ出力物を出力する。ハイライト原稿D0は、蛍光色のハイライト領域R1を含む原稿である。ハイライト原稿読み取りモードが選択されているとき、画像読取部8は、カラーで原稿を読み取る。画像読取部8は、カラーの読取画像データであるカラー読取画像データCiを出力する。画像処理部11は、カラー読取画像データCiに基づき、ハイライト領域R1を認識する。モノクロ出力物にハイライト領域R1が描画されるように、画像処理部11は、認識したハイライト領域R1にハイライト強調処理を行ってモノクロ出力用画像データを生成する。
【0064】
この構成により、画像データのうち、原稿で蛍光色が付された領域(ハイライト領域R1)にハイライト強調処理を行ったモノクロ出力用画像データが生成される。従って、原稿のハイライト領域R1が消えていないジョブ結果(モノクロ出力物)を得ることができる。カラー読取画像データCiに基づき、ハイライト領域R1の位置が正確に認識される。原稿と同様の位置にハイライト強調処理を行う。モノクロ出力物ではハイライト領域R1が消えない。モノクロ出力物は、蛍光ペンの色付け部分を示す画像を含む。
【0065】
また、ハイライト原稿読み取りモードが選択されていないとき、画像読取部8は、モノクロで原稿を読み取る。画像読取部8は、モノクロの読取画像データであるモノクロ読取画像データMiを出力する。画像処理部11は、モノクロ読取画像データMiを画像処理して、モノクロ出力用画像データを生成する。ハイライト原稿読み取りモードが設定されていないとき、モノクロ読取画像データMiの生成と、画像処理が行われる。ハイライト原稿読み取りモードが設定されていないとき、画像データのサイズを抑えることができる。ハイライト原稿読み取りモードが設定されていないとき、高速に画像データを処理し、高速にジョブを実行することができる。
【0066】
モノクロ出力用画像データとして2値画像データを生成するとき、画像処理部11は、カラー読取画像データCiを変換してグレースケールの画像データである中間画像データを生成する。画像処理部11は、中間画像データの2値化処理を行って2値画像データを生成する。カラー読取画像データCi、中間画像データ、又は、2値画像データの何れかにハイライト強調処理を行う。カラー読取画像データCi、中間画像データ、又は、2値画像データの何れか1つを加工するだけで、ハイライト領域R1が消えていないモノクロ出力物を得ることができる。
【0067】
また、画像読取部8は、カラー読取画像データCiとして、CMY形式の画像データを出力する。画像読取部8は、CMY形式のカラー読取画像データCiに基づきハイライト領域R1認識する。モノクロ(白黒2値)で出力する場合、CMY形式の画像データに基づき、ハイライト領域R1とハイライト領域R1の位置を正確に認識することができる。モノクロ(白黒2値)で出力する場合、ハイライト領域R1を認識するためだけに、カラー(CMY形式)の画像データを生成することができる。
【0068】
また、ハイライト強調処理は、モノクロ出力物において、ハイライト領域R1の位置に、網点が描画されるようにハイライト領域R1の画素を変更する処理である。原稿で蛍光ペンによりマークされた部分が、中間調(網点)で描画されたモノクロ出力物を得ることができる。
【0069】
また、操作パネル4は、ハイライト強調処理を行う色の選択を受け付ける。画像処理部11は、カラー読取画像データCiに基づき、ハイライト領域R1の色を認識する。画像処理部11は、ハイライト強調処理を行うと選択された色のハイライト領域R1にハイライト強調処理を行う。特定の色のハイライト領域R1に対してのみ、ハイライト強調処理を行うことができる。
【0070】
また、操作パネル4は、色ごとに、ハイライト領域R1に付す網点のパターン画像の選択を受け付ける。画像処理部11は、認識したハイライト領域R1の色に基づき、選択されたパターン画像をハイライト領域R1に付す処理をハイライト強調処理として行う。所望の色のハイライト領域R1に、所望のパターン画像を付すことができる。
【0071】
ジョブ実行部は、印刷部5である。印刷部5は、
モノクロ出力用画像データに基づいて印刷を行う。原稿のハイライト領域R1が消えていない複写物を得ることができる。
【0072】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の範囲はこれに限定されるものではなく、開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0073】
複合機100では、原稿を読み取るジョブは、コピージョブや送信ジョブがある。送信ジョブは、読み取りに基づく画像データを通信部6から送信するジョブである。上記の実施形態では、コピージョブを行うときのハイライト原稿読み取りモードの処理の流れを説明した。
図7のフローチャートは、送信ジョブに適用してもよい。
【0074】
操作パネル4は、コピージョブや送信ジョブの実行指示を受け付ける。例えば、スタートキーの操作が実行指示として受け付けられる。また、操作パネル4は、送信ジョブで送信するファイルの色形式を選択することができる。操作パネル4は、2値画像データのファイルを送信する選択を受け付ける。また、操作パネル4は、グレースケールのファイルを送信する選択を受け付ける。
【0075】
ジョブ実行部としての通信部6は、モノクロ出力用画像データ(ファイル)を送信するジョブを実行する。モノクロ出力物は、2値の画像データのファイル又はグレースケールの画像データのファイルとなる。
【0076】
モノクロ出力されたファイルでも、蛍光ペンで書き込みがなされた部分が消えることがある。そこで、
図7のフローチャートを送信ジョブに適用してもよい。この場合、
図7のスタートは、操作パネル4がグレースケール又は白黒2値の画像データの送信ジョブの実行指示を受け付けた時点である。
【0077】
ハイライト原稿読み取りモードが設定されていないとき(ステップ♯1のNo)、制御部1は、原稿をモノクロ(白黒)で読み取らせる(ステップ♯2)。画像読取部8(画像データ生成部90)は、モノクロ読取画像データMiを生成、出力する(ステップ♯3)。モノクロ読取画像データMiは、グレースケールの画像データである。画像処理部11(制御部1)は、モノクロ読取画像データMiを画像処理して、グレースケール又は2値のモノクロ出力用画像データ(送信ファイル)を生成する(ステップ♯4)。そして、制御部1は、設定された宛先に向けて、生成したファイル(モノクロ出力用画像データ)を通信部6に送信させる。
【0078】
ハイライト原稿読み取りモードが選択されているとき(ステップ♯1のYes)、制御部1は、原稿をカラーで読み取らせる(ステップ♯6)。画像読取部8(画像データ生成部90)は、カラー読取画像データCiを生成、出力する(ステップ♯7)。画像データ生成部90はカラー読取画像データCiをCMY形式とする(ステップ♯8)。
【0079】
2値の画像データの送信ジョブのとき、画像処理部11(制御部1)は、カラー読取画像データCiをグレースケールの画像データ(中間画像データ)に変換する。更に、制御部1は、中間画像データを変換し、2値の画像データのファイルをモノクロ出力用画像データとして生成する。グレースケールの画像データの送信ジョブのとき、画像処理部11(制御部1)は、カラー読取画像データCiをグレースケールの画像データに変換する。制御部1は、グレースケールの画像データのファイルをモノクロ出力用画像データとして生成する。
【0080】
コピージョブと同様に、画像処理部11(制御部1)は、CMY形式のカラー読取画像データCi、グレースケールの画像データ、又は、2値のモノクロ出力用画像データの何れか1つにハイライト強調処理を行う(ステップ♯11)。また、コピージョブと同様に、画像処理部11(制御部1)は、消えやすい黄色のハイライト領域R1に対してのみ、ハイライト強調処理を行ってもよい。そして、送信ジョブのとき、制御部1は、設定された宛先に向けて、2値又はグレースケールのファイル(モノクロ出力用画像データ)を通信部6に送信させる。