(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0018】
第1実施形態
図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る電気化学デバイスとしての電気二重層キャパシタ(EDLC)2は、外装シート4を有する。外装シート4は、一枚のシートを折り返し周縁部4cで折り曲げて形成された表面シート4aおよび裏面シート4bを有している。なお、表面シート4aと裏面シート4bとは折り返さず、独立した上下のシートを貼り合わせて外装シート4を構成してもよい。
【0019】
本実施形態では、外装シート4は、X軸方向の長さL0がY軸方向の長さW0に比較して長い長方形状を有するが、これに限定されず、正方形でも、その他の多角形状、あるいは円形、楕円形、あるいはその他の形状でも良い。この実施形態では、外装シート4の表面シート4aと裏面シート4bとが重なる方向を厚み方向(Z軸方向)とし、それに相互に直交する方向をX軸およびY軸とする。
【0020】
図2Aに示すように、外装シート4の内部には、素子本体10が内蔵してある。素子本体10は、電気二重層キャパシタの素子を構成しており、本実施形態では、単一のキャパシタ素子が外装シート4の内部に収容してある。
【0021】
素子本体10では、電解質溶液が染み込んであるセパレータシート11を挟むように一対の第1内部電極16と第2内部電極26とが積層してある。第1内部電極16と第2内部電極26のうちの一方は、正極となり、他方は、負極となるが、構成は同じである。これらの第1内部電極16および第2内部電極26は、それぞれセパレータシート11の相互に反対面に接触するように積層される第1活性層12および第2活性層22を有する。また、第1内部電極16および第2内部電極26は、各活性層12,22にそれぞれ接触するように積層される第1集電体層14および第2集電体層24を有する。
【0022】
セパレータシート11は、内部電極16および26を電気的に絶縁すると共に、電解質溶液が浸透可能に構成してあり、たとえば電気絶縁性の多孔質シートで構成される。電気絶縁性の多孔質シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や、上記樹脂の混合物の延伸膜、あるいは、セルロース、ポリエステルおよびポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。セパレータシート11の厚さは、たとえば5〜50μm程度である。
【0023】
集電体層14,24としては、一般的に高い導電性を有する材料であれば特に限定されないが、低電気抵抗の金属材料が好ましく用いられ、たとえば、銅、アルミニウム、ニッケル等などのシートが用いられる。これらの集電体層14,24のそれぞれの厚みは、たとえば10〜100μm程度であるが、好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは15〜60μmである。集電体層14,24のY軸方向幅は、好ましくは2〜10mmであり、セパレータシート11のY軸方向幅よりも小さいことが好ましい。集電体層14,24は、セパレータシート11のY軸方向の中央に配置されることが好ましい。
【0024】
活性層12,22は、活物質およびバインダを含み、好ましくは導電助剤を含む。活性層12,22は、それぞれの集電体層14,24を構成するシートの表面に積層して形成される。
【0025】
活物質としては、種々の電子伝導性を有する多孔体が挙げられ、たとえば、活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料が挙げられる。バインダとしては、上記の活物質、好ましくは導電助剤を集電体層を構成するシートに固定することができれば特に限定されず、種々の結着剤を使用できる。バインダとしては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)と水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、グルテン等)との混合物等が挙げられる。
【0026】
導電助剤は、活性層12,22の電子伝導性を高めるために添加される材料である。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料および金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
【0027】
活性層12,22のそれぞれの厚さは、好ましくは、たとえば1〜100μm程度である。活性層12,22は、各集電体層14,24の表面に、セパレータシート11と同等以下の面積で、集電体層14,24の表面に形成されている。活性層12,22は、公知の方法で作製することができる。
【0028】
本実施形態において、「正極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、電解質溶液中のアニオンが吸着する電極であり、「負極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、電解質溶液中のカチオンが吸着する電極である。なお、電気二重層キャパシタに対して一度特定の正負の向きに電圧を印加して充電した後に再充電する際には、通常最初と同じ向きに充電を行い、逆向きに電圧を印加して充電することは少ない。
【0029】
外装シート4は、後述の電解質溶液を透過させない材料からなり、しかも、外装シート4の周縁部同士、あるいは
図4Aに示す密封用テープ40a(以下同様に、42aを含む場合あり)と熱シールにより一体化されるものであることが好ましい。この密封用テープ40aは、作業性から粘着テープなどのテープ状のものが好ましい。ただしテープに限らず塗布可能なシーラント樹脂であっても熱により溶融し接着可能なものであればどのような形態のものでも良い。
【0030】
また、外装シート4は、素子本体10を密封し、シート4の内部に、空気や水分が進入するのを防止するもので構成してある。具体的には、外装シート4は、単層シートでも良いが、
図2Aに示すように、金属シート4Aを、内側層4Bおよび外側層4Cとで挟むように積層してある多層シートであることが好ましい。
【0031】
金属シート4Aは、たとえばAl、ステンレス等で構成してあることが好ましく、内側層4Bは、電気絶縁材で構成してあり、電解質溶液とは反応しにくく熱シール可能なポリプロピレンなどと同様な材質で構成してあることが好ましい。また、外側層4Cは、特に制限されず、たとえばPET、PC、PES、PEN、PI、フッ素樹脂、PE、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などで構成してあることが好ましい。外装シート4の厚みは、好ましくは、5〜150μmである。
【0032】
本実施形態では、外装シート4の耐力は、JIS Z2241において、390〜1275N/mm
2 、好ましくは785〜980N/mm
2 である。また、外装シートの硬さは、ピッカース硬さ(Hv)(JIS 2244)において、230〜480、好ましくは280〜380である。このような観点からは、外装シート4の金属シート4Aは、JISで規定するステンレス鋼SUS304(BA)、SUS304(1/2H)、SUS304 H、SUS301 BA、SUS301(1/2H)、SUS301(3/4H)が好ましい。
【0033】
リード端子18,28は、集電体層14,24に対して電流の入出力端子の役割を果たす導電性部材であり、矩形板形状をなしている。本実施形態では、各リード端子18,28は、集電体層14,24をそれぞれ構成する導電性シートと一体化されたシートにより形成してあり、集電体層14,24と同じ厚みであっても良い。このような構成とすることにより、リード端子の厚みを薄くすることが容易になる。
【0034】
ただし、各リード端子18,28は、集電体層14,24とは別の導電性部材で形成し、各集電体層14,24と電気的に接続させても良い。その場合には、各リード端子18,28の厚みは、集電体層14,24の厚みと異ならせることも可能であり、たとえば10〜100μm程度、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは20〜60μmである。このような構成とすることにより、デバイスの薄型化を効果的に図ることができる。好ましくは、リード端子18,28は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。
【0035】
図2Aに示すように、各リード端子18,28は、素子本体10のX軸方向の相互に反対側からサポートタブ4f1,4f2に沿って引き出され、素子本体10の内部は、第1シール部40および第2シール部42によりシールされている。サポートタブ4f1,4f2は、シール部40,42に位置する外装シート4の周縁部の一部を外側に延長して形成してなる。換言すれば、外装シート4の先端部が、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりも外側に位置し、サポートタブ4f1,4f2を兼ねている。
【0036】
第1シール部40および第2シール部42は、後述する
図4Aおよび
図4Bに示す密封用テープ40a,42aと、
図2Aに示す外装シート4の内側層4Bとが、熱シール時の加熱により一体化されて形成される。すなわち、
図2Dに示すように、外装シート4の内周面に形成してある内側層(樹脂)4Bの一部が、密封用テープ40a,42aと共に、リード端子18,28のY軸方向の両側表面に密着して熱溶着部となり、第1シール部40および第2シール部42での密封性を向上させる。
【0037】
また、
図1Aに示すように、リード端子18,28が引き出されていない第3シール部44では、外装シート4の折り返し周縁部4cで折り曲げられて、熱シール時の加熱により、外装シート4の内側層4Bが融着して一体化される。同様にリード端子18,28が引き出されていない第4シール部46では、
図2Cに示すように、外装シート4の表面シート4aおよび裏面シート4bにおけるサイド周縁部4eの内側層4Bが、熱シール時の加熱により融着して一体化される。
【0038】
図1Aに示すように、第1シール部40のY軸方向の両端には、それぞれ第3シール部44および第4シール部46の一端が接続するように連続して形成してあり、これらの第3シール部44および第4シール部46の他端を接続するように、第2シール部42が連続して形成してある。そのため、外装シート4の内部は、外装シート4の外部に対して良好に密封される。
【0039】
外装シート4で挟まれ、シール部40,42,44および46により素子本体10を密封するための空間には、電解質溶液(図示せず)が充填され、その一部は、
図2Aに示す活性層12,22およびセパレータシート11の内部に含浸されている。
【0040】
電解質溶液としては、電解質を有機溶媒に溶解させたものが使用される。電解質としては、たとえば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA
+ BF
4 − )、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMA
+ BF
4 − )等の4級アンモニウム塩など、アンモニウム塩、アミン塩、或いはアミジン塩などを用いるのが好ましい。なお、これらの電解質は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
また、有機溶媒としては、公知の溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリルなどが好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
【0042】
各リード端子18,28の先端は、
図2Aに示すように、それぞれ第1シール部40および第2シール部42を通り、第1シール部40および第2シール部42の外部に引き出される。第1シール部40および第2シール部42は、各リード端子18,28が外部に引き出される部分であり、第3シール部44および第4シール部46に比較して、特に密封性が要求される。
【0043】
リード端子18,28が引き出されるシール部40,42の位置で、リード端子18,28の表面から表面側の金属シート4Aまでのシール部40,42の第1厚みをZ1とし、リード端子18,28の裏面から裏面側の金属シート4Aまでのシール部40,42の第2厚みをZ2とし、リード端子18,28の厚みをZ3とした場合に、以下の式が成り立つ。すなわち、Z1+Z2が60μm以下、好ましくは15〜60μmであり、(Z1+Z2)/Z3が0.5以上で6.0以下である。
【0044】
第1厚みZ1と第2厚みZ2とは、本実施形態では、略同一であるが、必ずしも同一である必要はない。たとえば第1厚みZ1は、
図3に示す密封用テープ40aと内側層4Bに対応する厚みで構成され、第2厚みZ2は、
図3に示す内側層4Bに対応する厚みで構成され、その逆でもよい。
【0045】
本実施形態では、
図2Bに示すように、リード端子18,28の表面は、特定の凹凸180,280が形成されるように、エッチングしてある。そのため、リード端子18,28の表面は粗面化され、多数の微細な凹凸180,280が、リード端子18,28の表面に形成される。凹凸180,280の高さ(深さ)は、好ましくは0.5〜45μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。また、凹凸180,280の形状は、ランダム形状となっている。
【0046】
凹凸180,280は、リード端子18,28の長手方向に沿って、リード端子18,28の両面に、表面全体にわたって形成されている。
【0047】
本実施形態では、凹凸180,280は、リード端子18,28の表面に、化学的にエッチングを行うことにより形成される。エッチング処理は、リード端子18,28を構成する金属箔を、酸(フッ化水素酸)やアルカリ(水酸化ナトリウム)などの溶液(エッチング液)中に、所定時間浸漬させることにより行うことができる。
【0048】
エッチング条件としては、たとえば、エッチング液の種類や濃度、量、温度、あるいはエッチング時間等を挙げることができる。これらのパラメータを制御することにより、あるいはリード端子18,28を構成する材料や厚さ、強度、純度等を適宜変更することにより、リード端子18,28の表面の凹凸180,280の度合い(後述する分光反射率の大きさ)を制御することができる。たとえば、エッチング時間を長くするほど、リード端子18,28の表面の凹凸180,280の度合いを大きくすることができる。
【0049】
リード端子18,28に対するエッチングは、リード端子18,28の機械的強度が低下しない範囲で行われることが好ましい。さらに、凹凸180,280の度合い(後述する分光反射率の大きさ)は、カレンダーロール等によって加圧処理することによっても制御することが可能である。たとえば、カレンダーロールにより加圧処理を行う場合、カレンダーロール条件として、圧力や温度等を挙げることができる。カレンダーロールの圧力を大きくするほど、あるいは温度を高くするほど、リード端子18,28の表面の凹凸180,280の度合いを小さくすることができる。
【0050】
なお、リード端子18,28の表面に、電気化学エッチングを行ってもよい。この場合、電流密度を制御することにより、リード端子18,28の表面の凹凸180,280の度合い(後述する分光反射率の大きさ)を制御することができる。また、化学エッチングと同様の作用が得られるのであれば、リード端子18,28に、その他の粗面化処理(たとえば、物理的手法によるエッチング)を施すことにより、凹凸180,280を形成してもよい。ただし、リード端子18,28に凹凸180,280を容易に形成する観点では、化学エッチングが最も好ましい。
【0051】
このように、リード端子18,28の表面に凹凸180,280を形成すると、凹凸180,280を形成する前後で、リード端子18,28の表面状態が変化し、リード端子18,28の表面の光沢や艶、表面粗さ、あるいは分光反射率が変化する。本実施形態おけるリード端子18,28の表面の分光反射率は、特定の凹凸180,280が形成されていないリード端子の表面の分光反射率よりも低い。
【0052】
本実施形態では、分光測色計を用いて、測定波長360nm〜740nmの範囲内で測定したときのリード端子18,28の表面の分光反射率は、SCI方式で、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下、特に好ましくは35%〜60%である。
【0053】
リード端子18,28の表面の分光反射率が上記範囲内にある場合、リード端子18,28の表面には、特定の凹凸(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)180,280が形成されていると考えられる。
【0054】
本実施形態では、上述した凹凸180,280は、リード端子18,28に加えて、リード端子18,28に連続して一体に成形してある集電体層14,24の表面にも形成してある。集電体層14,24の表面に形成してある凹凸180,280は、リード端子18,28の表面に形成してある凹凸180,280と同様の特徴を有している。
【0055】
本実施形態のEDLC2では、リード端子18,28の表面の分光反射率が特定の範囲になっている。そのため、リード端子18,28の表面積が大きくなり、ACFまたはACPに含まれる樹脂とリード端子18,28との接着面積が大きくなる。その結果、アンカー効果により、回路基板とリード端子18,28との間の密着性が高められ、回路基板とリード端子18,28とが樹脂を介して強固に接続される。これにより、回路基板とリード端子18,28との接続強度が向上し、接続信頼性を向上させることができる。
【0056】
また、リード端子18,28の表面積が大きくなることにより、ACFまたはACPに含まれる導電性粒子とリード端子18,28との接触面積が大きくなる。その結果、回路基板とリード端子18,28との接続抵抗が減少し、接続信頼性を向上させることができる。
【0057】
また、リード端子18,28の表面は、化学的にエッチングしてある。このような構成とすることにより、物理的手法により、リード端子18,28の表面に凹凸180,280を形成する場合に比べて、接続信頼性を向上させることができる特定の凹凸180,280を形成することが可能となる。
【0058】
また、内部電極16,26の集電体層14,24は、リード端子18,28に連続して一体に成形してある。このような構成とすることにより、リード端子18,28の厚みを薄くすることが容易になる。
【0059】
また、集電体層14,24の表面にもリード端子18,28の表面と同様な表面(SCI方式で分光反射率が70%以下)が形成されている。この場合、集電体層14,24の表面積が大きくなり、集電体層14,24に積層される活性層12,22との接触面積が大きくなる。その結果、アンカー効果により、活性層12,22と集電体層14,24との間の密着性が高められ、活性層12,22と集電体層14,24との接続強度を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態のEDLC2では、素子本体10の第1リード端子18と第2リード端子28とが、EDLC2の長手(X軸方向)方向に沿って反対側に引き出されている。このため、EDLC2のY軸方向幅を小さくすることができると共に、第1シール部40および第2シール部42の厚みを必要最小限にすることができ、EDLC2全体の厚みも小さくすることができる。このため、EDLC2の小型化および薄型化を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態のEDLC2では、たとえば第1リード端子18を正極とし、第2リード端子28を負極とし、電解質溶液で浸漬された素子本体10に接続してある。EDLCでは、単一の素子での耐電圧が最大で約2.85V程度と決まっており、用途に合わせて耐電圧を向上させるために、素子を直列に接続してもよい。本実施形態のEDLC2は、きわめて薄く、しかも十分な耐電圧を有することから、ICカードなどの薄型電子部品に内蔵するための電池として好適に用いることができる。
【0062】
また本実施形態では、リード端子18,28の厚みZ3が60μm以下、好ましくは40μm以下である。厚みZ3を薄くすることで、デバイスの寿命を長くすることができる。ただし、リード端子の強度を維持するためには、リード端子の厚みZ3は、好ましくは20μm以上である。
【0063】
図2Cに示すように、リード端子が引き出されないシール部46(シール部44も同様)の位置で、表面側の金属シート4Aから裏面側の金属シート4Aまでのシール部46の厚みZ4が、好ましくは50μm以下である。このように構成することで、リード端子が引き出されないシール部46からの電解液の拡散も抑制することが可能になり、EDLC2の寿命をさらに向上させることができる。なお、シール部の厚みは、シール性能を向上させる観点からは、好ましくは10μm以上である。
【0064】
本実施形態では、
図2Bに示すように、裏面シート4bの先端部4d3,4d4が、リード端子18,28の引出方向(X軸方向)に沿ってリード端子18,28の先端部よりも外側に位置し、サポートタブ4f1,4f2を兼ねている。表面シート4aの先端部は、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりも内側に位置する。サポートタブ4f1,4f2が具備されることで、その上に配置されるリード端子18,28を有効に保護することができる。
【0065】
次に、
図3〜
図4Bを用いて、内部電極16,26の集電体層14,24が、リード端子18,28に連続して一体に成形してあるEDLC2の製造方法の一例について説明する。
【0066】
図3および
図4Aに示すように、まず、素子本体10を製造する。素子本体10を製造するために、一方の集電体層14およびリード端子18を構成する金属箔と、他方の集電体層24およびリード端子28を構成する金属箔とを準備し、これらをエッチング液中に所定時間浸漬させ、化学エッチングを施す。そして、化学エッチングを施した金属箔の集電体層14,24に対応する位置で、活性層12,22を積層して電極16,26を作製する。金属箔のうち、集電体層14,24が形成されていない部分がリード端子18,28となる
【0067】
次に、一方の電極16とリード端子18との境界部分に、テープ40aを貼り付ける。また、他方の電極26とリード端子28との境界部分に、テープ42aを貼り付ける。そして、電極16と電極26との間にセパレータ11を配置する。
【0068】
各リード端子18,28には、前述した第1シール部40および第2シール部42となるX軸方向位置に、それぞれ密封用テープ40aおよび42aが、各端子18,28の片側表面または両側に接着してある。テープ40aおよび42aのY軸方向の幅は、リード端子18,28のY軸方向幅よりも長い。
【0069】
次に、素子本体10の全体を覆うように、外装シート4を折り返し周縁部4cで折り曲げて、シート4の表面シート4aおよび裏面シート4bで素子本体10を覆う。なお、外装シート4は、Y軸方向に予め長く形成してある。外装シート4の表面シート4aにおけるX軸方向の幅は、表面シート4aのX軸方向の先端部4d1,4d2がそれぞれテープ40a,42aのX軸方向の内側に位置するように調整されている。なお、表面シート4aと裏面シート4bとは折り返さず、独立した上下のシートを貼り合わせて外装シート4を構成してもよい。
【0070】
次に、
図4Bに示すように、第1シール部40と第2シール部42とを形成するために、テープ40a,42aを表面シート4aと裏面シート4bとで挟み込む位置で、これらのシート4a,4bのZ軸方向の外側から熱融着治具で加熱加圧する。その際に、密封用テープ40a,42aは、加圧および加熱により流動する接着用樹脂として、外装シート4の内側層4Bと密着して一体化され、固化後にシール部40および42となる。テープ40a,42aの融着時に、テープ40a,42aを構成する樹脂がはみだし、表面シート4aのX軸方向の先端部4d1,4d2に位置する金属シート4Aの露出面を覆うことが好ましい。ショート不良などを防止するためである。
【0071】
なお、その前後に、外装シート4の折り返し周縁部4cを加圧加熱し、第3シール部44を形成する。次に、第4シール部46が形成されていない外装シート4の開口端52から電解質溶液を注入し、その後に、最後の第4シール部46を、第3シール部44を形成するための治具と同様な治具を用いて熱シールにより形成する。その後に、第4シール部46の外側の切断線54に沿って外装シート4を切断し、余分な外装シート4’を除去することで、本実施形態のEDLC2が得られる。
【0072】
本実施形態では、第1シール部40は、第1リード端子18に貼着してある密封用テープ40aが、外装シート4の内側層4Bと熱シール(加熱圧着)されて形成される。また、同様に、第2シール部42は、第2リード端子28に貼着してある密封用テープ42aが、外装シート4の内側層4Bと熱シール(加熱圧着)されて形成される。
【0073】
本実施形態では、たとえばEDLC2の最大厚みを1mm以下、好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下にすることができる。
【0074】
第2実施形態
図1Bに示すように、本実施形態のEDLC2aは、
図1Aに示すサポートタブ4f1および4f2を有さない以外は、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0075】
なお、本実施形態では、表面シート4aと裏面シート4bとは、X軸方向の長さが略同一であり、同じ一枚の外装シート4を折り曲げて成形してもよいし、別々のシートで構成してもよい。
【0076】
本実施形態でも、リード部18,28の表面に、特定の凹凸180,280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。そのため、第1実施形態と同様の作用効果が得られ、EDLC2aの接続信頼性を向上させることができる。
【0077】
第3実施形態
図2Eに示すように、本実施形態のEDLC2bは、絶縁台座シート60を有する以外は、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0078】
図2Eに示すように、好ましくは、絶縁台座シート60は、リード端子18,28とサポートタブ4f1,4f2との間に介在してある。絶縁台座シート60は、単一層で構成されてもよいが、二層または三層以上の多層で構成されていてもよい。いずれにしても、絶縁台座シート60としては、プラスチックフィルム、合成紙などの絶縁材料であれば特に問わないが、印加される熱および負荷がかかる圧力によっても所定の厚みが維持され、結果として絶縁が保たれる材料であれば良い。
【0079】
絶縁台座シート60を工業的に製造するには、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などが安価で扱いやすいが、耐熱性があることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリル(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレートなどで構成してもよい。また、PEやPPでも、延伸された延伸ポリエチレン(OPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)は製造時に縦横方向に延伸されて結晶配向が優れ、シール材として使用されるCPP(押し出したもの、キャスティングPP)より、耐熱性が向上するため好ましい。また、絶縁台座シート60としては、ポリウレタンやエポキシ樹脂のような熱硬化性の樹脂でも構わない。あるいは、これらの複合材料からなるフィルムでもよい。
【0080】
本実施形態では、絶縁台座シート60としては、たとえば三層構造の樹脂フィルムで構成されることが好ましく、積層方向の中心部に耐熱性に優れたPETなどの高融点樹脂が配置され、その表面と裏面にPPなどの低融点樹脂が積層されていることが好ましい。PETなどの高融点樹脂は、ACF(異方性導電性フィルム)接続またはACP(異方性導電性ペースト)接続の際にも溶融せず、厚みを保持し、PPは、溶融して裏面シート4bの内側層4Bまたはリード端子18または28の裏面に熱融着する。
【0081】
絶縁台座シート60は、熱融着または接着などにより、裏面シート4bのX軸方向の先端部に形成してあるサポートタブ4f1,4f2の内側層4Bに接合されて一体化される。絶縁台座シート60の表面(リード端子18または28の裏面)から裏面シート4bの金属シート4Aまでの厚みZ6は、前述したシール部40または42の第2厚みZ2と同等、または、それよりも大きいことが好ましい。その後の工程でのACF(異方性導電性フィルム)接続またはACP(異方性導電性ペースト)接続を容易にするためと、リード端子への負荷を軽減するためなどの理由による。
【0082】
なお、
図2Eに示す絶縁台座シート60は、外装シート4の内部に素子本体10を密封する前に、外装シート4の所定位置に接合しておいてもよいし、密封後に、リード端子18,28とサポートタブ4f1,4f2との間に具備してもよい。
【0083】
本実施形態でも、リード部18,28の表面に、特定の凹凸180,280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。そのため、第1実施形態と同様の作用効果が得られ、EDLC2bの接続信頼性を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、絶縁台座シート60がリード端子18,28とサポートタブ4f1,4f2との間に具備されることで、リード端子18,28と外部接続端子(図示せず)とをACF(異方性導電性フィルム)接続またはACP(異方性導電性ペースト)接続する際に、外装シート4の金属シート4Aとリード端子18,28との短絡不良などを効果的に防止することができる。
【0085】
また、リード端子18,28にACFまたはACPを配置し、加熱・加圧して、リード端子18,28を回路基板のパッド(図示略)に接続するときに、リード端子18,28にかかる負荷を低減し、リード端子18,28の破損を防止することができる。
【0086】
第4実施形態
図5および
図6に示すように、本実施形態のEDLC2cでは、外装シート4の内部に、Y軸方向に並んで2つの素子本体10a,10bが内蔵してある。その他は、第1実施形態と同様なので、図面では共通する部材には共通する符号を付し、以下の説明では、共通する部分の説明は一部省略し、相違する部分について詳細に説明する。
【0087】
本実施形態では、外装シート4が、表面シート4a1と裏面シート4b1とから成り、
図1Aに示す外装シート4に比較して、Y軸方向に略2倍の大きさを有する。外装シート4の内部には、
図6に示すように、2つの素子本体10a,10bが内蔵してあり、それぞれの素子本体10a,10bは、それぞれ第1実施形態の素子本体10と同様な構造を有している。
【0088】
本実施形態では、各素子本体10a,10bの第2リード端子28,28は、別々に形成してあるが、各素子本体10a,10bの各第1リード端子18aは、連結部18bに一体成形してあり、相互に連続している。すなわち、各素子本体10a,10bは、
図5に示すように、第1リード端子18aおよび連結部18bを介して、直列に接続してある。なお、図示する例では、連結部18bを介して一対の第1リード端子18a,18aが直列に接続してあるが、連結部18bを具備させることなく、一対の第1リード端子18a,18aが、そのまま別々にサポートタブ4f1の上に引き出されていてもよい。
【0089】
外装シート4のY軸方向の中央部には、第3シール部44aがX軸方向に沿って形成してあり、素子本体10a,10b間で、電解質溶液の流通が遮断されるようになっている。素子本体10aが収容される空間は、外装シート4に連続して形成される第1シール部40、第2シール部42、第3シール部44aおよび第4シール部46aにより密封され、電解質溶液が貯留される。同様に、素子本体10bが収容される空間は、外装シート4に連続して形成される第1シール部40、第2シール部42、第3シール部44aおよび第4シール部46bにより密封され、電解質溶液が貯留される。
【0090】
本実施形態では、一対の第1リード端子18a,18aの表面には、特定の凹凸180,180(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。同様に、連結部18bの表面には、特定の凹凸180(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。また、第2リード端子28の表面には、特定の凹凸280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。そのため、本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られ、EDLC2cの接続信頼性を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態では、X軸方向の同じ側に引き出されるリード端子相互を、接続片などで直列または並列に接続することで、電池の耐電圧を高めたり、容量を増やすことが可能である。また、本実施形態においても、
図1Aに示すようなサポートタブ4f1および4f2を具備させているため、リード端子28,18aおよび連結部18bの折れ曲りなどを有効に防止することができる。
【0092】
第5実施形態
図7Aに示すように、本実施形態のEDLC2dでは、それぞれのリード端子18,28が引き出される位置で、外装シート4の表面シート4aの先端部4d1,4d2が、リード端子18,28の引出方向であるX軸に沿ってリード端子18,28から離れる方向に外側に開いている。それ以外は、本実施形態のEDLC2dは、第1実施形態のEDLC2と同様である。図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0093】
図7Aに示すように、本実施形態では、表面シート4aの先端部4d1,4d2において、金属シート4Aの先端が露出していたとしても、リード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの先端隙間距離Z5を、大きくすることが可能になる。そのため、リード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの間でのショート不良を効果的に防止することができる。なお、表面シート4aの先端部4d1,4d2は、リード端子18,28の引出方向に沿ってリード端子18,28の先端部よりもX軸方向の内側に位置する。このため、リード端子18,28を外部回路と接続する作業も容易である。
【0094】
すなわち本実施形態では、シール部40,42に対応する位置でのリード端子18,28と金属シート4Aとの間の最小隙間距離Z0(第1実施形態のZ1またはZ2に対応する)に比較して、シール部40よりもX軸方向外側に飛び出しているリード端子18,28と金属シート4Aの露出先端4Aaとの先端隙間距離Z5が大きい。このように構成することで、ショート不良を効果的に防止することができる。
【0095】
また本実施形態では、リード端子18,28に対する外装シート4の先端部4d1,4d2の開き角度θが、好ましくは5度以上で70度以下、さらに好ましくは5〜60度である。このように構成することで、ショート不良をさらに効果的に防止することができると共に、クラックが抑制され、EDLC2dの繰り返し曲げ耐性が向上する。
【0096】
本実施形態でも、リード部18,28に、特定の凹凸180,280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。そのため、第1実施形態と同様の作用効果が得られ、EDLC2dの接続信頼性を向上させることができる。なお、
図7Bに示すように、EDLC2dに絶縁台座シート60を具備してもよい。
【0097】
第6実施形態
上述した実施形態のEDLCでは、素子本体10の第1リード端子18と第2リード端子28とが、EDLC2,2a〜2dの長手(X軸方向)方向に沿って反対側に引き出されているが、
図8に示すように、本実施形態のEDLC2eでは、X軸方向の一方のみに全ての第1〜第3リード端子18,28,38が引き出されている。なお、第3リード端子38は、
図8では単一の端子として描かれているが、実際には2枚の端子が積層して引き出されている。また、第3リード端子38を構成する2枚の端子は、Y軸方向に位置ずれして配置されていてもよい。
【0098】
本実施形態のEDLC2eの外装シート4には、一枚のシート4を第2シール部42で折り曲げて表面シート4a2および裏面シート4b2が形成してある。本実施形態では、リード端子18,28,38がX軸方向の外側に引き出される外装シート4の周縁部を密封する部分を第1シール部40とする。また、リード端子18,28,38がX軸方向の外側に引き出される外装シート4の周縁部と反対側のシート折り返し部分が第2シール部42となる。さらに、Y軸方向の相互に反対側に位置する外装シート4の両サイド周縁部を密封している部分を第3シール部44および第4シール部46とする。
【0099】
本実施形態では、第1シール部40を形成するための単一または複数の密封用テープ40aを、前述した実施形態と同様にして、外装シート4の内面に対して部分的に熱融着してから、第1シール部40が形成してある。本実施形態のその他の構成および作用効果は、第1〜第4実施形態と同様なので、図面では共通する部材には共通する符号を付し、共通する部分の説明は省略する。
【0100】
本実施形態でも、リード部18,28,38に、特定の凹凸180,280,380(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してある。そのため、第1実施形態と同様の作用効果が得られ、EDLC2eの接続信頼性を向上させることができる。
【0101】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0102】
上記実施形態において、各リード端子18,28を集電体層14,24とは別の導電性部材で形成した場合、各リード端子18,28にのみ、特定の凹凸180,280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)を形成してもよい。
【0103】
上記実施形態において、特定の凹凸180,280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)は、リード端子18,28の上面あるいは下面のいずれか一方にのみ形成してあってもよい。また、リード端子18,28の上面と下面とで、凹凸180,280の度合いあるいは分光反射率が異なっていてもよい。たとえば、ACFまたはACPが配置され、回路基板のパッド(図示略)が接続されるリード端子18,28の上面のみ、その分光反射率が、SCI方式で、70%以下であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、リード端子18およびリード端子28の双方に特定の凹凸180,280(分光反射率が特定の範囲にある凹凸)が形成してあったが、いずれか一方のリード端子のみ、分光反射率が、SCI方式で、70%以下であってもよい。また、リード端子18とリード端子28とで、凹凸180,280の度合いあるいは分光反射率が異なっていてもよい。
【0105】
また、上記実施形態において、凹凸180,280は、リード端子18,28の表面に局所的に形成してあってもよい。たとえば、ACFまたはACPが配置され、回路基板のパッド(図示略)が接続されるリード端子18,28のX軸方向端部を中心に、凹凸180,280が形成してあってもよい。
【0106】
また、
図4Aなどに示す密封用テープ40a,42aは、単一層の樹脂テープに限らず多層構造の樹脂テープであってもよい。たとえば積層方向の中心部に高融点樹脂(たとえばPP)層があり、その両面に低融点樹脂(たとえばPP)層がある三層積層構造のテープを用いてもよい。このような構成のテープ40a,42aを用いることにより、シール部40,42でのシール性がさらに向上すると共に、リード端子18,28にバリが生じていたとしても、そのバリが高融点樹脂層により突抜が防止される。したがって、シール部40,42での短絡不良を防止できると共に、熱圧着時でのリード端子の破断などを有効に防止することができる。
【0107】
さらに、本発明が適用されるラミネート型の電気化学デバイスとしては、EDLCに限らず、リチウム電池やリチウム電池キャパシタなどにも適用することができる。また、電気化学デバイスの具体的な形状や構造は、図示する例に限定されない。
【実施例】
【0108】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0109】
実施例1
図1Aに示すように、内部電極16,26の集電体層14,24が、リード端子18,28に連続して一体に成形してあるEDLC2の試料を製造した。リード端子18,28(集電体層14,24)としては、アルミニウム箔を用いた。このアルミニウム箔を酸性のエッチング液中に浸漬して表面に化学エッチングを施し、表面に凹凸180,280が形成されたリード端子18,28を形成した。分光測色計(コニカミノルタ製 SECTROPHOTOMETER CM−5)を用いて、測定波長360〜740nmで、リード端子18,28の表面の分光反射率を測定したところ、リード端子18,28の表面の分光反射率は、SCI方式で、
図9の実施例1に示す値となった。なお、
図9では、実施例1〜12を「実1」〜「実12」として記載してある。
【0110】
製造したEDLC2の試料のリード端子18,28と回路基板との間に、ACF材(日立化成社製 MF−331)を配置し、150℃の温度で3MPaの圧力をかけて、10秒間熱加圧して、リード端子18,28を回路基板に接続した。
【0111】
同じ試料を100個作製し、85℃−85%RH環境下に1000時間保管し、リード端子18,28と回路基板との接続抵抗を測定し、予め測定しておいた接続抵抗の初期値からの変化率を算出した。また、回路基板に対するリード端子18,28の接着力を測定し、予め測定しておいた接着力の初期値からの変化率を算出した。実施例1の100個の試料について、接続抵抗の変化率の平均と接着力の変化率の平均とを求めた。結果を表1に示す。なお、表1には、分光測色計の測定波長が400nmおよび500nmで分光反射率を測定したときの結果を代表して示している。
【0112】
実施例2〜5,11
実施例1とはエッチング条件を変えた(エッチング時間を短くした)以外は、実施例1と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例1と同様な評価を行った。リード端子18,28の表面の分光反射率は、SCI方式で、
図9の実施例2〜5,11に示す値となった。結果を表1に示す。
【0113】
実施例6,7,9,10,12
実施例2〜5,11のエッチング処理されたアルミニウム箔に、カレンダーロールを用いて、室温で所定の圧力(100〜1500kg/cm)を加えた以外は、実施例2〜5,11と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例2〜5,11と同様な評価を行った。リード端子18,28の表面の分光反射率は、SCI方式で、
図9の実施例6,7,9,10,12に示す値となった。結果を表1に示す。
【0114】
実施例8
実施例7とはカレンダーロールの圧力(実施例7より低い圧力)と温度(室温より高い温度)を変えた以外は、実施例7と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例7と同様な評価を行った。リード端子18,28の表面の分光反射率は、SCI方式で、
図9の実施例8に示す値となった。結果を表1に示す。
【0115】
比較例1
アルミニウム箔の表面に化学エッチングを施さなかった以外は、実施例1と同様にして、EDLC2の試料を製造し、実施例1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。なお、リード端子18,28の表面の分光反射率は、
図9の比較例1に示す値となった。
【表1】
【0116】
評価
表1に示すように、リード端子18,28の表面の分光反射率が、SCI方式で、測定波長が400nmで67%以下、測定波長が500nmで69%以下、好ましくは測定波長が400nmで59%以下、測定波長が500nmで60%以下、特に好ましくは測定波長が400nmで37%以上59%以下、測定波長が500nmで38%以上60%以下である場合に、接続抵抗および接着力の変化率が良好となり、接続信頼性が向上することが確認できた。また、リード端子18,28の表面の分光反射率が、SCI方式で、測定波長が400nmで39%以上53%以下、測定波長が500nmで40%以上56%以下である場合には、接続抵抗の初期値が低く、接続信頼性が特に向上することが確認できた。