(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記従来の蓄電素子では、外部からの振動や衝撃などにより、容器内で電極体が揺れ動いて損傷してしまう虞があるという問題がある。つまり、上記従来の蓄電素子は、集電体が、一端側で電極端子に接続され他端側で電極体に接続されて、電極体を支持する構成であるため、外部からの振動や衝撃などによって、電極体が容器内で揺れ動いて損傷してしまう虞がある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、容器内で電極体を強固に支持することができる蓄電素子を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、容器と、電極端子と、電極体と、前記電極端子及び前記電極体を接続する集電体とを備える蓄電素子であって、前記集電体を前記容器に固定する固定部を備え、前記集電体は、前記電極体との接続部分である第一接続部と、前記電極端子との接続部分である第二接続部と、前記固定部との接続部分である第三接続部とを有し、前記第一接続部は、前記第二接続部と前記第三接続部との間に配置される。
【0012】
これによれば、蓄電素子において、集電体は、電極体との接続部分である第一接続部と、電極端子との接続部分である第二接続部と、集電体を容器に固定する固定部との接続部分である第三接続部とを有しており、第一接続部は、第二接続部と第三接続部との間に配置されている。つまり、集電体は、電極体との接続部分が、電極端子との接続部分と、固定部との接続部分との間に配置されるように構成されている。これにより、電極体は、容器内で集電体によって、電極端子と固定部との間で支持されるため、容器内で電極体を強固に支持することができる。
【0013】
また、前記第一接続部、前記第二接続部及び前記第三接続部は、前記電極体の同じ側に配置されることにしてもよい。
【0014】
これによれば、第一接続部、第二接続部及び第三接続部は、電極体の同じ側に配置されており、電極体を同じ側から支持することができるため、電極体を、電極端子と固定部との間でさらに強固に支持することができる。
【0015】
また、前記固定部は、前記容器及び前記集電体の少なくとも一方を貫通し、前記集電体を前記容器に固定する絶縁性の部材であることにしてもよい。
【0016】
これによれば、固定部は、容器及び集電体の少なくとも一方を貫通し、集電体を容器に固定する絶縁性の部材であるため、絶縁性の固定部によって、容器と集電体との固定、及び、容器と集電体との絶縁の2つの機能を担うことができる。
【0017】
また、前記容器と前記電極端子と前記固定部とは、前記容器と前記電極端子との間に配置される絶縁部材とともに一体化されていることにしてもよい。
【0018】
これによれば、容器と電極端子と固定部とを、容器と電極端子との間に配置される絶縁部材とともに一体化することで、容器と電極端子とを絶縁しつつ、電極端子と固定部とを容易に容器に固定することができる。
【0019】
また、前記集電体は、前記第三接続部において、前記固定部が挿入される貫通孔を有しており、前記貫通孔は、前記固定部の先端に近いほど大きいことにしてもよい。
【0020】
これによれば、集電体において、固定部が挿入される貫通孔は、固定部の先端に近いほど大きい形状を有しているため、熱かしめなどによって貫通孔内で固定部の先端側を広げることで、集電体が固定部から抜けるのを抑制することができる。
【0021】
また、前記蓄電素子は、複数の前記電極体と、前記複数の電極体のそれぞれに接続される前記集電体とを備えており、それぞれの前記集電体は、前記貫通孔をそれぞれ有しており、前記貫通孔は、前記固定部の先端に近い集電体が有する貫通孔ほど大きいことにしてもよい。
【0022】
これによれば、蓄電素子において、複数の集電体が有する貫通孔のうちの固定部の先端に近い貫通孔ほど大きい形状を有しているため、熱かしめなどによって複数の貫通孔内で固定部の先端側を広げることで、複数の集電体が固定部から抜けるのを抑制することができる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。
【0024】
なお、以下の説明及び図面中において、集電体、電極端子もしくはサイドスペーサの並び方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、または、容器の厚さ方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の上下方向(設置状態での重力の作用する方向)、蓄電素子の電極体の巻回軸方向、または、容器の短側面の長手方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられ、Z軸方向は上下方向となることには限定されないが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
【0025】
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の容器100内方に配置されている構成要素を示す斜視図である。具体的には、同図は、蓄電素子10から容器本体111及びサイドスペーサ510、520を分離した状態での構成を示す斜視図である。また、
図3は、本発明の実施の形態に係る容器100の蓋体110の周りの構成を示す断面図である。具体的には、同図は、
図2に示された構成をIII−III線を含むXZ平面に平行な平面で切断した場合の断面を示す図である。なお、
図3では、電極体400は切断せず(断面にはせず)に、かつ上部のみを示している。
【0027】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用電源や、電子機器用電源、電力貯蔵用電源などに適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもかまわない。また、本実施の形態では、矩形箱状(角型)の蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状は、限定されず、円柱形状や長円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。
【0028】
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300と、電極体400と、サイドスペーサ510及び520と、正極集電体600と、負極集電体800と、中間部材700及び900とを備えている。ここで、電極体400と、サイドスペーサ510及び520と、正極集電体600と、負極集電体800とは、容器100内方に収容され、正極端子200と、負極端子300と、中間部材700及び900とは、それぞれ一部が容器100内方に収容されている。
【0029】
なお、上記の構成要素の他、容器100内の圧力が上昇したときに当該圧力を開放するためのガス排出弁、または、電極体400等を包み込む絶縁シートなどが配置されていてもよい。また、容器100には電解液を注入するための注液孔が形成され、容器100の内方には、当該電解液(非水電解質)なども封入されているが、図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0030】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体400やサイドスペーサ510、520等を内部に収容後、蓋体110と容器本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び容器本体111の材質は特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0031】
電極体400は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。具体的には、電極体400は、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成されている。これにより、電極体400は、正極板の突出部が積層されて形成されたタブ部410と、負極板の突出部が積層されて形成されたタブ部420とを有する。この電極体400の構成の詳細な説明については、後述する。なお、本実施の形態では、電極体400の断面形状として長円形状を図示しているが、楕円形状、円形状、多角形状などでもよい。また、電極体400は巻回型に限らず、複数枚の平板状極板を積層したスタック型や、極板を蛇腹状に折り畳んだ形状などであってもよい。
【0032】
正極端子200は、正極集電体600を介して、電極体400の正極板に電気的に接続される電極端子であり、負極端子300は、負極集電体800を介して、電極体400の負極板に電気的に接続される電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
【0033】
また、正極端子200及び負極端子300は、電極体400の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。具体的には、正極端子200及び負極端子300は、中間部材700及び900とともに蓋体110と一体化(一体形成)されることにより、蓋体110に固定されている。つまり、蓋体110と正極端子200とが、蓋体110と正極端子200との間に配置される中間部材700とともに一体化(一体形成)されている。また、同様に、蓋体110と負極端子300とが、蓋体110と負極端子300との間に配置される中間部材900とともに一体化(一体形成)されている。この正極端子200及び負極端子300の構成の詳細な説明については、後述する。
【0034】
正極集電体600は、蓋体110と電極体400との間に配置され、正極端子200と電極体400の正極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。また、負極集電体800は、蓋体110と電極体400との間に配置され、負極端子300と電極体400の負極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。つまり、正極集電体600及び負極集電体800は、電極体400の同じ側(上方)に配置されている。
【0035】
具体的には、正極集電体600は、電極体400との接続部分である第一接続部610と、正極端子200との接続部分である第二接続部620と、後述の中間部材700の固定部760との接続部分である第三接続部630とを有している。つまり、正極集電体600は、一端部が正極端子200、他端部が蓋体110に接続された中間部材700、中央部が電極体400のタブ部410に、それぞれ固定的に接続(接合)されている。また、同様に、負極集電体800は、電極体400との接続部分である第一接続部810と、負極端子300との接続部分である第二接続部820と、中間部材900の固定部960との接続部分である第三接続部830とを有している。つまり、負極集電体800は、一端部が負極端子300、他端部が蓋体110に接続された中間部材900、中央部が電極体400のタブ部420に、それぞれ固定的に接続(接合)されている。
【0036】
このような構成により、電極体400が、正極集電体600及び負極集電体800によって蓋体110から吊り下げられた状態で保持(支持)され、振動や衝撃などによる揺れが抑制される。なお、正極集電体600の材質は限定されないが、例えば、後述の電極体400の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で形成されている。また、負極集電体800についても、材質は限定されないが、例えば、後述の電極体400の負極基材層と同様、銅または銅合金などの金属で形成されている。この正極集電体600及び負極集電体800の構成の詳細な説明については、後述する。
【0037】
中間部材700は、少なくともその一部が、蓋体110と正極端子200及び正極集電体600との間に配置されて、蓋体110と正極端子200及び正極集電体600とを絶縁する樹脂等の絶縁性の部材である。また、中間部材900は、少なくともその一部が、蓋体110と負極端子300及び負極集電体800との間に配置されて、蓋体110と負極端子300及び負極集電体800とを絶縁する樹脂等の絶縁性の部材である。中間部材700は、蓋体110及び正極端子200と一体化され、中間部材900は、蓋体110及び負極端子300と一体化されており、容器100の気密性を保つ機能も有している。
【0038】
具体的には、中間部材700は、正極端子200の一部を露出させた状態で正極端子200を保持している。同様に、中間部材900は、負極端子300の一部を露出させた状態で負極端子300を保持している。そして、中間部材700は、例えばインサート成形によって、蓋体110及び正極端子200とともに一体成形されている。同様に、中間部材900は、例えばインサート成形によって、蓋体110及び負極端子300とともに一体成形されている。このため、中間部材700及び中間部材900は、インサート成形可能な樹脂から形成された樹脂部材である。
【0039】
なお、中間部材700及び900に使用される樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フェノール樹脂などが挙げられる。また、樹脂部材は、一種類の樹脂材料からなるものだけでなく、複数の樹脂材料を組み合わせたもの、樹脂材料とエラストマー材料とを組み合わせたもの、樹脂材料に粒子状または繊維状の無機材料を添加したものから形成されていてもよい。また、中間部材700及び900は、蓋体110よりも剛性が低い部材で形成されているのが好ましい。なお、中間部材700は、蓋体110と正極端子200及び正極集電体600とを絶縁する必要がない、あるいは他の部材によって絶縁されている場合には、絶縁性を有していなくともかまわない。例えば、容器100と正極端子200及び正極集電体600とを導通させる(つまり、容器100を正極電位に落とす)ような場合には、中間部材700は、絶縁性を有していなくともかまわない。中間部材900についても、同様である。この中間部材700及び900の構成の詳細な説明については、後述する。
【0040】
サイドスペーサ510及び520は、電極体400のX軸方向の両側方に配置されるスペーサであり、電極体400を容器100等から絶縁し、かつ、電極体400の位置を規制する役割を果たしている。具体的には、サイドスペーサ510は、電極体400のX軸方向マイナス側の側面と上面の端部と下面の端部とを覆う部材であり、サイドスペーサ520は、電極体400のX軸方向プラス側の側面と上面の端部と下面の端部とを覆う部材である。サイドスペーサ510及び520は、例えば、ポリカーボネート(PC)、PP、PEまたはPPS等の絶縁性を有する材料によって形成されている。
【0041】
次に、蓄電素子10が有する各部の詳細について、説明する。まず、電極体400の構成について、詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る電極体400の構成を示す斜視図である。なお、同図では、電極体400の巻回状態を一部展開して図示している。
【0042】
同図に示すように、電極体400は、正極板430及び負極板440と、セパレータ450a及び450bとが交互に積層されかつ巻回されることで形成されている。つまり、電極体400は、正極板430と、セパレータ450aと、負極板440と、セパレータ450bとがこの順に積層され、かつ、断面が長円形状になるように巻回されることで形成されている。
【0043】
正極板430は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0044】
負極板440は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0045】
セパレータ450a及び450bは、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、蓄電素子10に用いられるセパレータ450a及び450bの素材としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0046】
ここで、正極板430は、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部431を有している。負極板440も同様に、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部441を有している。これら、複数の突出部431及び複数の突出部441は、活物質層が形成されず(活物質が塗工されず)基材層が露出した部分(活物質層非形成部)である。なお、巻回軸とは、正極板430及び負極板440等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸であり、本実施の形態では、電極体400の中心を通るZ軸方向に平行な直線である。
【0047】
そして、複数の突出部431と複数の突出部441とは、巻回軸方向の同一側の端(同図では、Z軸方向プラス側の端)に配置され、正極板430及び負極板440が積層されることにより、電極体400の所定の位置で積層される。具体的には、複数の突出部431は、正極板430が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において周方向の所定の位置で積層される。また、複数の突出部441は、負極板440が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において、複数の突出部431が積層される位置とは異なる周方向の所定の位置で積層される。
【0048】
その結果、電極体400には、複数の突出部431が積層されることで形成されたタブ部410と、複数の突出部441が積層されることで形成されたタブ部420とが形成される。タブ部410は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、正極集電体600の第一接続部610と接合される。また、タブ部420は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、負極集電体800の第一接続部810と接合される。なお、タブ部410と第一接続部610との接合、及び、タブ部420と第一接続部810との接合は、例えば、レーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接等の溶接接合や、かしめ等の機械的接合など、どのような手法によって行われてもよい。金属粉(コンタミ)の発生を抑制する観点から機械的接合が好ましい。なお、タブ部(410、420)は、電極体400において、電気の導入及び導出を行う部分であり、「リード(部)」、「集電部」等の他の名称が付される場合もある。
【0049】
次に、正極端子200、負極端子300、正極集電体600、負極集電体800、及び、中間部材700、900の具体的な構成について、詳細に説明する。なお、正極端子200、正極集電体600及び中間部材700と、負極端子300、負極集電体800及び中間部材900とは、同様の構成を有しているため、以下では、正極端子200、正極集電体600及び中間部材700の構成について説明し、負極端子300、負極集電体800及び中間部材900の構成の説明は、省略または簡略化する。
【0050】
図5は、本発明の実施の形態に係る正極端子200、正極集電体600及び中間部材700の構成を示す断面斜視図である。具体的には、同図は、
図3に示された正極端子200、正極集電体600及び中間部材700の構成を拡大して示す斜視図である。なお、
図5では、
図3と同様に、電極体400は切断せず(断面にはせず)に示している。また、
図6は、本発明の実施の形態に係る正極集電体600の構成を示す斜視図である。また、
図7は、本発明の実施の形態に係る中間部材700の構成を示す斜視図である。
【0051】
まず、正極集電体600の構成について、詳細に説明する。
図5及び
図6に示すように、正極集電体600は、第一接続部610と、第二接続部620と、第三接続部630と、第一繋ぎ部640と、第二繋ぎ部650とを有している。ここで、正極集電体600は、電極体400の上方(Z軸方向プラス側)に配置されている。つまり、第一接続部610、第二接続部620、第三接続部630、第一繋ぎ部640及び第二繋ぎ部650は、電極体400の同じ側(上方)に配置されている。
【0052】
第一接続部610は、電極体400との接続部分であり、正極集電体600の中央部分に配置される、XZ平面に平行かつX軸方向に延設された矩形状かつ平板状の部位である。具体的には、第一接続部610は、第二接続部620と第三接続部630との間に配置され、電極体400のタブ部410に接続(固定)されている。
【0053】
第二接続部620は、正極端子200との接続部分であり、正極集電体600のX軸方向マイナス側の端部に配置される、XY平面に平行な平板状の部位である。ここで、第二接続部620には、円形状の貫通孔である開口部620aが形成されている。第二接続部620は、この開口部620aに正極端子200が挿入されて、正極端子200の先端部がかしめられることで、正極端子200に接続(固定)される。なお、開口部620aは、円形状には限定されず、例えば、楕円形状、長円形状、多角形状などであってもかまわない。また、開口部620aは、貫通孔には限定されず、半円形状や矩形状に切り欠いた切り欠きなどであってもよい。
【0054】
第三接続部630は、後述する中間部材700の固定部760との接続部分であり、正極集電体600のX軸方向プラス側の端部に配置される、XY平面に平行な平板状の部位である。ここで、第三接続部630には、円形状の貫通孔である開口部630aが形成されている。第三接続部630には、この開口部630aに固定部760が挿入されて、固定部760の先端部が熱によってかしめられることで、固定部760に接続(固定)される。なお、開口部630aは、円形状には限定されず、例えば、楕円形状、長円形状、多角形状などであってもかまわない。また、開口部630aは、貫通孔には限定されず、半円形状や矩形状に切り欠いた切り欠きなどであってもよい。
【0055】
第一繋ぎ部640は、第一接続部610と第二接続部620とを繋ぐ部位であり、平板状の部位が捻れた形状を有している。これにより、第一接続部610と第二接続部620とが直交する位置に配置される。また、第二繋ぎ部650は、第一接続部610と第三接続部630とを繋ぐ部位であり、平板状の部位が捻れた形状を有している。これにより、第一接続部610と第三接続部630とが直交する位置に配置される。
【0056】
なお、第一接続部610は、XZ平面に平行な部位には限定されず、例えば、XY平面に平行な部位であってもかまわない。例えば、電極体400のタブ部410を折り曲げて第一接続部610と接続する場合には、第一接続部610をXY平面に平行に配置することができる。この場合、第一繋ぎ部640及び第二繋ぎ部650は、捻れた形状ではなく、平板状の部位となる。
【0057】
次に、正極端子200の構成について、詳細に説明する。
図5に示すように、正極端子200は、端子本体部210と、第一軸部220と、第二軸部230と、かしめ部240とを備えている。なお、正極端子200は、一体物である。つまり、正極端子200は、端子本体部210と第一軸部220と第二軸部230とかしめ部240とが一体化されて形成された、連続した1つの部材である。
【0058】
端子本体部210は、正極端子200の上部に配置される、正極端子200の本体を構成する平板状の部位であり、バスバーなどの外部の導電部材と接続される。具体的には、端子本体部210は、蓋体110の上方かつ中間部材700の内方に配置されており、バスバーと溶接によって接合される。つまり、端子本体部210は、上面が中間部材700から露出しており、当該上面にバスバーが溶接される。なお、端子本体部210とバスバーとの接続形態については、特に限定されない。例えば、端子本体部210は、ボルト部を有しており、当該ボルト部がナットと締結されることによって、端子本体部210とバスバーとが接続されることにしてもよい。
【0059】
第一軸部220は、正極端子200の中央部に配置される、蓋体110を貫通する円柱状の部位である。具体的には、第一軸部220は、端子本体部210と第二軸部230との間に、端子本体部210と第二軸部230とに接続されて配置されている。また、第一軸部220は、蓋体110に形成された円形状の貫通孔である開口部110a(
図8参照)に挿入され、かつ、周囲を中間部材700に囲まれて配置されている。なお、第一軸部220の形状は円柱状には限定されず、例えば、楕円柱状、長円柱状、多角柱状などであってもかまわない。この場合、蓋体110の開口部110aは、第一軸部220の外形状に対応した形状であるのが好ましい。また、開口部110aは、貫通孔には限定されず、半円形状や矩形状に切り欠いた切り欠きなどであってもよい。
【0060】
第二軸部230は、正極端子200の下部に配置される、正極集電体600の第二接続部620を貫通する円柱状の部位である。具体的には、第二軸部230は、第一軸部220よりも小径の円柱状の部位であり、第一軸部220とかしめ部240との間に、第一軸部220とかしめ部240とに接続されて配置されている。また、第二軸部230は、第二接続部620の開口部620aに挿入されて配置されている。なお、第二軸部230の形状は円柱状には限定されず、例えば、楕円柱状、長円柱状、多角柱状などであってもかまわない。この場合、第二接続部620の開口部620aは、第二軸部230の外形状に対応した形状であるのが好ましい。
【0061】
かしめ部240は、正極端子200の下端部に配置される円盤状の部位であり、正極集電体600の第二接続部620の下方に配置される。具体的には、かしめ部240は、正極端子200の下端部(第二軸部230の下端部)がかしめられることで塑性変形されて形成された部位である。つまり、正極端子200は、蓋体110、中間部材700及び正極集電体600を貫通し、先端部がかしめられることにより、正極集電体600の第二接続部620を正極端子200及び蓋体110に対して固定している。なお、かしめ部240は、中実の軸部がかしめられて形成されたものでもよいし、中空の軸部がかしめられて形成されたものでもよい。
【0062】
なお、正極端子200の材質は限定されないが、例えば、電極体400の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で形成されている。また、負極端子300についても、材質は限定されないが、例えば、電極体400の負極基材層と同様、銅または銅合金などの金属で形成されている。なお、正極端子200または負極端子300は、複数の部材から構成されていてもかまわない。特に、負極端子300については、バスバーとの溶接のし易さやコスト低減等の観点から、端子本体部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されるのが好ましい。このため、負極端子300については、端子本体部はアルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、それ以外の部分(第一軸部、第二軸部及びかしめ部)は、銅または銅合金などで形成されるのが好ましい。
【0063】
次に、中間部材700の構成について、詳細に説明する。中間部材700は、少なくとも一部が蓋体110と正極端子200及び正極集電体600との間に配置される封止部材(ガスケット)の機能を有し、蓋体110及び正極端子200とともに一体化されている。
図5及び
図7に示すように、中間部材700は、第一中間部710と、第二中間部720と、第三中間部730と、第四中間部740と、第五中間部750と、固定部760とを備えている。ここで、中間部材700は、樹脂部材からなる一体物である。つまり、中間部材700は、第一中間部710と第二中間部720と第三中間部730と第四中間部740と第五中間部750と固定部760とが一体化されて形成された、連続した1つの部材である。
【0064】
第一中間部710は、正極端子200の端子本体部210を周囲から包むように、端子本体部210の外周に配置される環状の部位である。つまり、第一中間部710は、端子本体部210の全周を囲む壁であり、当該全周に密着して配置されている。この第一中間部710によって、端子本体部210の周囲における他の部材との絶縁性を確保し、かつ、端子本体部210が第一軸部220まわりに回転するのを抑制することができている。
【0065】
第二中間部720は、第一中間部710の下方、かつ、蓋体110と端子本体部210との間に配置される長円形状かつ平板状の部位である。具体的には、第二中間部720は、蓋体110の上面と端子本体部210の下面とに密着して配置されている。これにより、第二中間部720は、蓋体110と端子本体部210とを絶縁し、かつ、蓋体110と端子本体部210との間の隙間を埋めて漏れを防止(つまり、気密性や液密性を向上。以下同様)することができている。
【0066】
また、蓋体110の上面の第二中間部720が配置される位置には、長円形状の凸部110b(
図8参照)が形成されている。そして、第二中間部720は、この凸部110bと嵌合する長円形状の凹部を有している。この凹部により、第二中間部720が第一軸部220まわりに回転するのを抑制し、これによって第一中間部710及び端子本体部210が第一軸部220まわりに回転するのを抑制することができている。なお、凸部110b及び当該凹部の形状は、長円形状には限定されず、円形状、楕円形状、多角形状などどのような形状でもかまわない。
【0067】
第三中間部730は、第二中間部720の下方、かつ、正極端子200の第一軸部220を周囲から囲うように、第一軸部220の外周に配置される円筒状の部位である。具体的には、第三中間部730は、蓋体110の開口部110a内に、開口部110aの内面と第一軸部220の外面とに密着して配置されている。これにより、第三中間部730は、蓋体110と第一軸部220とを絶縁し、かつ、蓋体110と第一軸部220との間の隙間を埋めて漏れを防止することができている。
【0068】
第四中間部740は、第三中間部730の下方、かつ、蓋体110と正極集電体600の第二接続部620との間に配置されるとともに、第一軸部220を周囲から囲うように、第一軸部220の外周に配置される略長円形状かつ平板状の部位である。具体的には、第四中間部740は、蓋体110の下面と第二接続部620の上面と第一軸部220の外面とに密着して配置されている。これにより、第四中間部740は、蓋体110と第一軸部220及び第二接続部620とを絶縁し、かつ、蓋体110と第一軸部220及び第二接続部620との間の隙間を埋めて漏れを防止することができている。なお、蓋体110の凸部110bに上方から嵌合する第二中間部720の凹部と同様に、第四中間部740には、凸部110bに下方から嵌合する長円形状の凸部が形成されている。
【0069】
第五中間部750は、第四中間部740からX軸方向プラス側に延びる平板状の部位であり、蓋体110と正極集電体600の第一接続部610との間に配置される。具体的には、第五中間部750は、蓋体110の下面に密着して配置されている。これにより、第五中間部750は、蓋体110と第一接続部610とを絶縁することができている。
【0070】
固定部760は、第四中間部740とで第五中間部750を挟む位置に、第五中間部750に接続されて配置された部位である。つまり、固定部760は、独立した部材ではなく、中間部材700の一部である。蓋体110と正極端子200と固定部760とは、蓋体110と正極端子200との間に配置される絶縁部材とともに一体化されている。また、固定部760は、正極集電体600の第三接続部630を蓋体110に固定する部位である。つまり、固定部760は、蓋体110及び第三接続部630を貫通し、第三接続部630を蓋体110に固定する絶縁性の部材である。このように、正極端子200、正極集電体600及び固定部760(中間部材700)は、容器100の同じ面(蓋体110)に配置されている。ここで、固定部760は、固定部端部761と、固定部軸部762と、熱かしめ部763とを有している。
【0071】
固定部端部761は、固定部760の上端部であり、蓋体110の上方に配置される円盤状の部位である。つまり、固定部端部761は、蓋体110の上面に密着して配置されており、蓋体110に形成された円形状の貫通孔である開口部110c(
図8参照)からの漏れを防止するとともに、固定部760が蓋体110から下方へ抜けるのを防止することができている。なお、開口部110cは、円形状には限定されず、例えば、楕円形状、長円形状、多角形状などであってもかまわない。また、開口部110cは、貫通孔には限定されず、半円形状や矩形状に切り欠いた切り欠きなどであってもよい。
【0072】
固定部軸部762は、蓋体110の開口部110cと、正極集電体600の第三接続部630の開口部630aとに挿入されて配置された、略円柱状の部位である。ここで、固定部軸部762は、中央位置に環状の突出部分である鍔部762aを有しており、鍔部762aが蓋体110と第三接続部630との間に配置される。鍔部762aは、固定部760と第五中間部750とを接続している部位であり、第五中間部750と繋がって形成されている。これにより、蓋体110と第三接続部630とを絶縁することができている。また、固定部760は、蓋体110に密着して配置されており、開口部110cの隙間を埋めて漏れを防止することができている。なお、蓋体110の開口部110c及び第三接続部630の開口部630aが円形状以外の形状の場合には、固定部軸部762の外形状は、開口部110c及び開口部630aの形状に対応した形状となる。
【0073】
熱かしめ部763は、固定部760の下端部に配置される円盤状の部位であり、正極集電体600の第三接続部630の下方に配置される。具体的には、熱かしめ部763は、固定部760の下端部(固定部軸部762の下端部)が熱によってかしめられる(熱溶着される)ことで塑性変形されて形成された部位である。つまり、固定部760は、先端部がかしめられることにより、第三接続部630に密着され、第三接続部630を蓋体110に対して固定している。
【0074】
次に、
図8〜
図10を用いて、蓄電素子10の製造方法について説明する。なお、以下では、蓄電素子10の製造方法のうち、正極集電体600及び負極集電体800を、正極端子200及び負極端子300と容器100の蓋体110とに取り付ける工程を中心に説明する。
【0075】
図8は、本発明の実施の形態に係る正極端子201及び負極端子301を蓋体110に配置する工程を示す斜視図である。また、
図9は、本発明の実施の形態に係る正極集電体600及び負極集電体800を、正極端子200及び負極端子300と容器100の蓋体110とに取り付ける工程を示す断面図である。また、
図10は、本発明の実施の形態に係る正極集電体600及び負極集電体800を電極体400に接続する工程を示す断面図である。
【0076】
まず、
図8に示すように、正極端子201及び負極端子301を、蓋体110に対して配置する。ここで、正極端子201は、上述の正極端子200に変形される前(かしめられる前)の状態を示す部材であり、正極端子200と比べて、かしめ部240を有しておらず、第二軸部230の先端が延びた形状を有している。なお、正極端子201は端子本体部210及び第一軸部220も有しているが、正極端子200が有する構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。負極端子301についても、同様である。
【0077】
そして、
図9の(a)に示すように、正極端子201は、第一軸部220及び第二軸部230が蓋体110の開口部110aに挿入されて、蓋体110の所定位置に配置される。なお、
図9の(a)〜
図9の(d)は、正極側について示しているが、負極側についても同様である。
【0078】
そして、
図9の(b)に示すように、正極端子201及び蓋体110の周りに、中間部材700aが形成される。具体的には、正極端子201及び蓋体110の上下両方向から金型が配置されて、当該金型と正極端子201と蓋体110との間の隙間に樹脂が注入され、中間部材700aが形成される。つまり、インサート成形によって、第一中間部710と第二中間部720と第三中間部730と第四中間部740と第五中間部750と固定部760aとからなる中間部材700aが形成される。なお、固定部760aは、上述の固定部760に変形される前(かしめられる前)の状態を示す部材であり、固定部760と比べて、熱かしめ部763を有しておらず、固定部軸部762の先端が延びた形状を有している。このようにして、蓋体110と正極端子201とが、蓋体110と正極端子201との間に配置される中間部材700aとともに一体化される。
【0079】
次に、
図9の(c)に示すように、正極端子201及び蓋体110の下方に、正極集電体600が配置される。具体的には、第二接続部620の開口部620aに、正極端子201の第二軸部230が挿入され、かつ、第三接続部630の開口部630aに、固定部760aの固定部軸部762が挿入される。
【0080】
そして、
図9の(d)に示すように、正極端子200及び蓋体110に対して正極集電体600が固定される。具体的には、正極端子201の第二軸部230の先端部がかしめられることで、かしめ部240が形成されて、正極端子200に第二接続部620が固定される。また、固定部760aの固定部軸部762の先端部がかしめられる(熱かしめされる)ことで、熱かしめ部763が形成されて、固定部760に第三接続部630が固定される。なお、正極端子200に第二接続部620を固定する工程と、固定部760に第三接続部630を固定する工程とは、どちらが先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0081】
そして、
図10の(a)及び(b)に示すように、正極集電体600及び負極集電体800が、電極体400に固定される。具体的には、正極集電体600の第一接続部610と負極集電体800の第一接続部810とが、電極体400のタブ部410とタブ部420とに接合される。このようにして、正極集電体600は、第二接続部620及び第三接続部630において正極端子200及び蓋体110(に接続された固定部760)に固定された状態で、第一接続部610において電極体400を支持する。また、負極集電体800は、第二接続部820及び第三接続部830において負極端子300及び蓋体110(に接続された固定部960)に固定された状態で、第一接続部810において電極体400を支持する。
【0082】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、正極集電体600は、第一接続部610と第二接続部620と第三接続部630とを有しており、第一接続部610は、第二接続部620と第三接続部630との間に配置されている。つまり、正極集電体600は、電極体400との接続部分が、正極端子200との接続部分と、固定部760との接続部分との間に配置されるように構成されている。これにより、電極体400は、容器100内で正極集電体600によって、正極端子200と固定部760との間で支持されるため、容器100内で電極体400を強固に支持することができる。
【0083】
また、第一接続部610、第二接続部620及び第三接続部630は、電極体400の同じ側に配置されており、電極体400を同じ側から支持することができるため、電極体400を、正極端子200と固定部760との間でさらに強固に支持することができる。
【0084】
また、固定部760は、容器100及び正極集電体600を貫通し、正極集電体600を容器100に固定する絶縁性の部材であるため、絶縁性の固定部760によって、容器100と正極集電体600との固定、及び、容器100と正極集電体600との絶縁の2つの機能を担うことができる。
【0085】
また、容器100と正極端子200と固定部760とを、容器100と正極端子200との間に配置される絶縁部材とともに一体化することで、容器100と正極端子200とを絶縁しつつ、正極端子200と固定部760とを容易に容器100に固定することができる。
【0086】
なお、負極側についても、正極側と同様の構成を有するため、同様の効果を奏することができる。
【0087】
(変形例)
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。上記実施の形態では、蓄電素子10は、1組の電極体400及び集電体(正極集電体600及び負極集電体800)しか備えていないこととした。しかし、本変形例では、蓄電素子は、複数組の電極体及び集電体を備えている。なお、以下では正極側の構成について説明するが、負極側についても、正極側と同様の構成を有する。
【0088】
図11は、本発明の実施の形態の変形例に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。なお、同図では、説明の便宜のため、本変形例に係る蓄電素子の正極集電体601〜603と電極体401〜403とを示し、他の部材については省略して図示している。また、
図12は、本発明の実施の形態の変形例に係る正極集電体601〜603の第三接続部631〜633と中間部材700の固定部770とを示す断面図である。具体的には、同図は、
図11に示された正極集電体601〜603を固定部770に固定する工程を示す断面図である。
【0089】
まず、
図11に示すように、本変形例に係る蓄電素子は、複数の電極体401〜403と、当該複数の電極体401〜403のそれぞれに接続される正極集電体601〜603とを備えている。そして、電極体401はタブ部411を有し、電極体402はタブ部412を有し、電極体403はタブ部413を有している。なお、電極体401〜403は、上記実施の形態における電極体400と同様の構成を有している。
【0090】
また、正極集電体601は、第一接続部611と第二接続部621と第三接続部631とを有し、正極集電体602は、第一接続部612と第二接続部622と第三接続部632とを有し、正極集電体603は、第一接続部613と第二接続部623と第三接続部633とを有している。そして、第一接続部611はタブ部411に接続され、第一接続部612はタブ部412に接続され、第一接続部613はタブ部413に接続されている。
【0091】
また、
図12に示すように、正極集電体601〜603は、第三接続部631〜633において、固定部770と接続される。具体的には、同図の(a)に示すように、正極集電体601〜603は、第三接続部631〜633において、円形状の貫通孔である開口部631a〜633aを有している。この開口部631a〜633aに、固定部770aの固定部軸部771aが挿入される。そして、同図の(b)に示すように、固定部軸部771aの先端部が熱によってかしめられて、固定部軸部771aが固定部軸部771及び熱かしめ部772に変形(塑性変形)する。これにより、固定部770が形成されて、正極集電体601〜603の第三接続部631〜633が固定部770に固定される。
【0092】
ここで、開口部631aは、固定部770の先端に配置される熱かしめ部772に近いほど大きいテーパ形状(円錐台形状)を有している。開口部632a及び633aについても同様に、熱かしめ部772に近いほど大きいテーパ形状(円錐台形状)を有している。また、開口部631a〜633aは、熱かしめ部772に近い正極集電体が有する開口部ほど大きく形成されている。つまり、開口部631aよりも開口部632aの方が大きく形成され、開口部632aよりも開口部633aの方が大きく形成されている。これにより、円柱形状の固定部軸部771aは、熱かしめの際に、開口部631a〜633a内で広がって、熱かしめ部772に近いほど径の大きな円錐台形状の固定部軸部771に変形される。
【0093】
なお、第二接続部621、第二接続部622及び第二接続部623は、上記実施の形態と同様に、正極端子200に接続される。また、その他の構成についても、上記実施の形態と同様の構成を有している。ただし、本変形例においては、上記実施の形態と異なり、電極体401〜403と正極集電体601〜603とを接続した後に、正極集電体601〜603を正極端子200及び固定部770に接続するのが好ましい。
【0094】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例に係る蓄電素子によれば、正極集電体601〜603において、開口部631a〜633aは、それぞれ、固定部770の先端に近いほど大きい形状を有している。このため、熱かしめなどによって開口部631a〜633a内で固定部770の先端側を広げることで、正極集電体601〜603のそれぞれが固定部770から抜けるのを抑制することができる。
【0095】
また、複数の正極集電体601〜603が有する開口部631a〜633aは、固定部770の先端に近い開口部ほど大きい形状を有している。このため、熱かしめなどによって複数の開口部631a〜633a内で固定部770の先端側を広げることで、複数の正極集電体601〜603が固定部770から抜けるのを抑制することができる。
【0096】
なお、開口部631a〜633aは、径の変化が一様なテーパ形状(円錐台形状)ではなく、径の変化が一様ではない面を有していてもよい。また、開口部631a〜633aは、ストレート形状(円柱状)の開口部であり、固定部770の先端に近い開口部ほど径が大きく形成されていてもよい。これによっても、複数の正極集電体601〜603が固定部770から抜けるのを抑制することができる。
【0097】
また、上記実施の形態のように蓄電素子が1つの電極体及び1つの正極集電体しか備えていない場合においても、上記変形例のように、当該正極集電体の第三接続部には、固定部の先端に近いほど大きい形状を有する開口部が形成されていてもよい。これによっても、1つの正極集電体が固定部から抜けるのを抑制することができる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0099】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、正極端子、正極集電体、負極端子及び負極集電体は、容器100の蓋体110に取り付けられることとした。しかし、正極端子、正極集電体、負極端子及び負極集電体のうちの少なくとも1つが、容器100の蓋体110以外の壁部(容器本体111のいずれかの壁部)に取り付けられている構成でもかまわない。
【0100】
また、上記実施の形態及びその変形例では、インサート成形によって、蓋体110と正極端子200とが中間部材700とともに一体化されていることとした。また、中間部材700は、インサート成形可能な樹脂から形成された樹脂部材であることとした。しかし、樹脂を塗装するなど、インサート成形以外の手法で一体化されていてもよいし、一体化されていなくてもかまわない。また、中間部材700が樹脂以外の部材であってもかまわない。負極側についても、同様である。
【0101】
また、上記実施の形態及びその変形例では、正極端子200は、先端部がかしめられることにより、正極集電体を正極端子200及び蓋体110に対して固定することとした。しかし、正極集電体を正極端子200及び蓋体110に固定する手法は、かしめでなくともよく、例えば、レーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接等の溶接接合や、ボルト部とナット部との締結によるものなどでもかまわない。負極側についても、同様である。
【0102】
また、上記実施の形態及びその変形例では、中間部材700の固定部は、熱かしめによって正極集電体を蓋体110に固定することとした。しかし、正極集電体を蓋体110に固定する手法は、熱かしめでなくともよく、例えば、固定部を正極集電体に溶接したり、固定部にボルト部を形成してナット部と締結する手法などでもかまわない。負極側についても、同様である。
【0103】
また、上記実施の形態及びその変形例では、中間部材700の固定部は、蓋体110及び正極集電体の双方を貫通していることとした。しかし、固定部は、蓋体110及び正極集電体の双方を貫通していなくともよく、蓋体110及び正極集電体の少なくとも一方を貫通して正極集電体を蓋体110に固定する構成であればよい。例えば、固定部は、蓋体110を貫通するとともに、正極集電体を挟んで保持するような構成が考えられる。さらに、当該構成に加え、固定部は、端部が蓋体110に埋め込まれることで、蓋体110を貫通しない構成も考えられる。このため、固定部は、蓋体110及び正極集電体の双方ともに貫通することなく、正極集電体を蓋体110に固定する構成でもかまわない。負極側についても、同様である。
【0104】
また、上記実施の形態及びその変形例では、固定部は、蓋体110と正極端子200との間に配置される絶縁部材(中間部材700)の一部であることとした。しかし、固定部は、当該絶縁部材(中間部材700)とは独立した部材であってもかまわない。負極側についても、同様である。
【0105】
また、上記実施の形態及びその変形例では、中間部材700及び900がそれぞれ異なる固定部を有することで、正極集電体の第三接続部及び負極集電体の第三接続部を固定することとした。しかし、1つの固定部しか設けられておらず、当該1つの固定部を共用して、正極集電体の第三接続部及び負極集電体の第三接続部を固定する構成でもよい。
【0106】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電極体がタブ部を有し、当該タブ部が正極集電体の第一接続部に接続されることとした。しかし、電極体はタブ部を有しておらず、端部に活物質層非形成部が配置されていることにしてもよい。この場合、正極集電体の第一接続部が、電極体に向けて延びる形状を有することで、電極体の当該端部に接続(接合)することができる。
【0107】
また、上記実施の形態及びその変形例では、正極側及び負極側ともに、上記の構成を有していることとした。しかし、正極側及び負極側の少なくとも一方が上記の構成を有していればよい。
【0108】
また、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子が備える集電体(正極集電体、負極集電体)、または、中間部材700、900の固定部としても実現することができる。