(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓄電池の利用状況に応じた複数種類の用途のうちの判定対象の蓄電池の現用途と、前記現用途において前記判定対象の蓄電池が運転された状況が示す判定条件とに基づいて、前記複数種類の用途のうちの前記現用途以外の用途を、前記判定対象の蓄電池の新用途として選択する選択処理を実行する用途選択部を備え、
前記用途選択部は、
前記蓄電池の充電可能容量が許容容量を下回る場合に前記選択処理を実行し、蓄電池運転履歴記憶部又は蓄電池用途記憶部から取得した前記充電可能容量の推定パラメータの種類が少ない順に前記新用途を選択する
蓄電池用途選択装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る蓄電池用途判定システム1の一実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、蓄電池用途判定システム1の判定対象である蓄電装置ESDについて説明する。
図1は、本実施形態の蓄電池用途判定システム1の判定対象である蓄電装置ESDの構成の一例を示す図である。蓄電装置ESDは、蓄電池BCを備えており、電力の供給対象の装置に電力を供給する。また、蓄電装置ESDは、外部から供給される電力によって蓄電(充電)される。
蓄電装置ESDは、外部から電力が供給される場合に充電され、外部から電力が供給されない場合に放電する。例えば、蓄電装置ESDは、停電などにより外部からの電力供給が停止された場合に、電力を放電することにより、電力の供給対象の装置を稼働させ続けることができる。つまり、蓄電装置ESDは、長期停電、短期停電、瞬時停電などに対する電力のバックアップを行うことができる。
また、蓄電装置ESDは、外部からの電力供給に余裕がある場合に充電され、外部からの電力供給に余裕が無い場合に放電する。例えば、蓄電装置ESDは、電力需要の少ない夜間に電力が充電され、電力需要の多い昼間に電力を放電することにより、電力の消費の平準化を行うことができる。つまり、蓄電装置ESDは、電力のいわゆるピークカットや、いわゆるピークシフトを行うことができる。
【0012】
[蓄電装置ESDの種類]
蓄電装置ESDは、備える蓄電池BCの数や充電方式などに応じて、様々な用途に適用できる。この一例では、蓄電装置ESDには、蓄電装置ESD1と、蓄電装置ESD2と、蓄電装置ESD3とがある。
【0013】
[蓄電装置ESDの種類:その1(長時間停電対応用)]
蓄電装置ESD1は、互いに直列及び並列に接続された1000個から10000個程度の蓄電池BCを備える。
図1(A)に示す一例では、蓄電装置ESD1は、蓄電池BC1−1から蓄電池BC1−10000までの10000個の蓄電池BCを備える。また、この一例では、蓄電装置ESD1は、発電所等に備えられ、長期停電対応用途に用いられる。ここで、長期停電とは、数時間(例えば、10時間)程度の停電をいう。
【0014】
図2は、本実施形態の蓄電装置ESD1の出力特性の一例を示す図である。蓄電装置ESD1は、停電時において、発電所を制御するための補機電力P1−1と、発電所が供給するべき電力を補償する停電補償電力P1−2とを出力する。補機電力P1−1の波形の一例を電力波形W11に示す。停電補償電力P1−2の波形の一例を電力波形W12に示す。この一例では、蓄電装置ESD1は、停電が発生した場合に備え、補機電力P1−1と、停電補償電力P1−2とを10時間、出力し続けることができる。
【0015】
なお、ここでは蓄電装置ESD1が発電所に備えられる場合を一例にして説明するが、これに限られない。蓄電装置ESD1は、比較的大きな電力を比較的長時間出力し続ける用途に用いられる。蓄電装置ESD1は、例えば、工場や大規模商業施設などに設置されていてもよい。
【0016】
[蓄電装置ESDの種類:その2(短時間停電対応用)]
蓄電装置ESD2は、互いに直列及び並列に接続された10個から100個程度の蓄電池BCを備える。
図1(B)に示す一例では、蓄電装置ESD2は、蓄電池BC2−1から蓄電池BC2−50までの50個の蓄電池BCを備える。この一例では、蓄電装置ESD2は、変電所等に備えられ、短期停電対応用途に用いられる。ここで、短期停電とは、数十分(例えば、60分)程度の停電をいう。
【0017】
図3は、本実施形態の蓄電装置ESD2の出力特性の一例を示す図である。蓄電装置ESD2は、停電時において、変電所を制御するための補機電力P2−1と、変電所が供給するべき電力を補償する停電補償電力P2−2とを出力する。また、蓄電装置ESDは、停電時において、変電所内の遮断器や断路器等の機器を動作させるための動力用電力P2−3を出力する。補機電力P2−1の波形の一例を電力波形W21に示す。停電補償電力P2−2の波形の一例を電力波形W22に示す。動力用電力P2−3の波形の一例を電力波形W23に示す。この一例では、蓄電装置ESD2は、短期停電が発生した場合に備え、補機電力P2−1と、停電補償電力P2−2とを60分間、出力し続けることができる。また、蓄電装置ESD2は、動力用電力P2−3を遮断器や断路器等の機器の動作に伴って出力する。
【0018】
なお、ここでは蓄電装置ESD2が変電所に備えられる場合を一例にして説明するが、これに限られない。蓄電装置ESD2は、蓄電装置ESD1に比較して小さな電力を比較的短時間出力し続ける用途に用いられる。蓄電装置ESD2は、例えば、オフィスビルやコンビニエンスストア等の商業施設などに設置されていてもよい。
【0019】
[蓄電装置ESDの種類:その3(短時間停電及び瞬時停電対応用)]
蓄電装置ESD3は、数個程度の蓄電池BCを備える。
図1(C)に示す一例では、蓄電装置ESD3は、蓄電池BC3−1の1個の蓄電池BCを備える。この一例では、蓄電装置ESD3は、オフィスビルの机上などに備えられ、パーソナルコンピュータをバックアップする瞬時停電対応用途に用いられる。ここで、短時間停電とは、1〜10分程度の停電をいう。また、瞬時停電とは数ミリ秒から数秒程度の停電をいう。
【0020】
図4は、本実施形態の蓄電装置ESD3の出力特性の一例を示す図である。蓄電装置ESD3は、停電時において、パーソナルコンピュータを動作させるための動作電力P3−1を出力する。動作電力P3−1の波形の一例を電力波形W31に示す。この一例では、蓄電装置ESD3は、短時間停電及び瞬時停電が発生した場合に備え、動作電力P3−1を10分間、出力し続けることができる。
【0021】
なお、ここでは蓄電装置ESD3がパーソナルコンピュータ用の電力バックアップ装置である場合を一例にして説明するが、これに限られない。
【0022】
これまで説明した蓄電装置ESD1、蓄電装置ESD2及び蓄電装置ESD3は、いわゆるフロート充電方式、又はいわゆるトリクル充電方式によって充電される。したがって、これら蓄電装置ESD1〜3の充電率は、停電が発生していない場合には、充電可能容量の100%程度に維持される。蓄電装置ESD1〜3は、停電が発生しなければ、充電率に変動がほとんどなく、充放電深度が浅い。
【0023】
[蓄電装置ESDの種類:その4(ピークカット用)]
なお、蓄電装置ESDは、ピークカット(又はピークシフト)用途に利用することもできる。
図5は、本実施形態の蓄電装置ESDによるピークカット動作波形の一例を示す図である。蓄電装置ESDは、消費電力P4−1がしきい値ThP1を下回っている場合、外部から供給される電力によって充電される。
図5に示す一例では、蓄電装置ESDは、充電電力P4−2及び充電電力P4−3によって充電される。この充電により、蓄電装置ESDの充電率は、上昇する。また、蓄電装置ESDは、消費電力P4−1がしきい値ThP2を上回っている場合、消費電力P4−1を賄うために放電する。この一例では、蓄電装置ESDは、放電電力P4−4及び放電電力P4−5を放電する。この放電により、蓄電装置ESDの充電率は、低下する。
【0024】
ここで説明した蓄電装置ESDは、いわゆるサイクル充電方式によって充電される。つまり、この蓄電装置ESDの充電率は、電力の充放電に伴って上昇又は低下する。すなわち、この蓄電装置ESDの充放電深度は、上述したフロート充電方式又はトリクル充電方式による蓄電装置ESDに比べて、深い。
【0025】
[蓄電池BCの充電可能容量の変化要因]
蓄電装置ESDが備える蓄電池BCの充電可能な電力容量、すなわち充電可能容量は、蓄電池BCの運転状況に応じて変動する。この蓄電池BCの充電可能容量の変動の幅は、様々な要因によって変化する。ここで、充電可能容量の変化には、充電可能容量が増加する場合と、充電可能容量が減少する場合、すなわち劣化する場合とがある。
【0026】
蓄電池BCは、当該蓄電池BCが運転されている運転時間の差によって、充電可能容量の変動幅が相違することがある。例えば、長時間運転されている蓄電池BCは、短時間運転されている蓄電池BCよりも劣化の度合いが大きい。
また、蓄電池BCは、当該蓄電池BCが運転されている環境の温度の差によって、充電可能容量の変化幅が相違することがある。例えば、高温環境において運転されている蓄電池BCは、低温環境において運転されている蓄電池BCよりも劣化の度合いが大きい。
また、蓄電池BCは、当該蓄電池BCの充放電サイクル数の差によって、充電可能容量の変化幅が相違することがある。例えば、充放電サイクル数が多い蓄電池BCは、充放電サイクル数が少ない蓄電池BCよりも劣化の度合いが大きい。
したがって、初期充電可能容量が互いに同一の蓄電池BCであっても、それぞれの運転状況が互いに異なれば、蓄電池BCの運転後において、蓄電池BCの充電可能容量が相違する場合がある。
【0027】
蓄電池BCの再利用にあたっては、蓄電池BCの残性能を把握することが求められる。この蓄電池BCの残性能は、例えば、蓄電池BCの充電可能容量を推定することにより求めることができる。蓄電池BCの充電可能容量の推定を行う場合には、蓄電池BCが運転されている状況を正確に把握することが好ましい。
ここで、初期充電可能容量が互いに同一の蓄電池BCが、同一の運転状況によって運転された場合には、これら蓄電池BCの充電可能容量は、互いに同じように変動するといえる。蓄電装置ESDは、上述したように複数の蓄電池BCを備えている。1つの蓄電装置ESDに備えられている複数の蓄電池BCは、同一の運転状況において運転される。つまり、これら複数の蓄電池BCの充電可能容量は、互いに同じように変動する。
したがって、蓄電池BCの再利用にあたって、蓄電装置ESDの残性能を把握する場合に、蓄電装置ESDの残性能を把握すれば、この蓄電装置ESDが備える多数の蓄電池BCの残性能を同時に把握することができる。また、蓄電装置ESDの残性能を把握できた場合に、この蓄電装置ESDが備える蓄電池BCを、小分けにして再利用することにより、残性能の揃った蓄電池BCを再利用することができる。
【0028】
次に、この蓄電池BCを再利用する場合の用途を、蓄電池BCの運転履歴に基づいて選択する蓄電池用途判定システム1の構成について説明する。
【0029】
[蓄電池用途判定システム1の構成]
図6は、本実施形態の蓄電池用途判定システム1の構成の一例を示す図である。蓄電池用途判定システム1は、蓄電池用途選択装置10と、蓄電池情報取得装置20と、蓄電池運転履歴記憶部30と、蓄電池用途記憶部40と、表示装置50とを備える。
【0030】
蓄電池情報取得装置20は、蓄電装置ESDが備える蓄電池BCの情報を取得する。ここで、蓄電池BCの情報とは、例えば、蓄電池BCを識別するための蓄電池IDである。この蓄電池IDには、蓄電池BCの製造番号を示すバーコードなどが含まれる場合がある。この場合、蓄電池情報取得装置20は、バーコードリーダーを備えており、蓄電池BCの外装に記載されている蓄電池IDのバーコードを読み取る。
なお、蓄電池情報取得装置20は、バーコードリーダーに代えて又は加えて、キーボードなどの入力デバイスを備えていてもよい。この場合には、蓄電池情報取得装置20は、キーボードに入力された蓄電池IDを取得してもよい。
【0031】
蓄電池運転履歴記憶部30には、蓄電池BCの運転履歴を示す蓄電池運転履歴情報OHが記憶されている。この蓄電池運転履歴情報OHの一例について、
図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態の蓄電池運転履歴記憶部30に記憶されている蓄電池運転履歴情報OHの一例を示す図である。蓄電池運転履歴記憶部30には、蓄電池IDと、蓄電池BCの現用途と、現用途での蓄電池BCの運転時間と、蓄電池BCの総運転時間と、蓄電池BCの運転環境温度と、蓄電池BCの充放電サイクル数と、蓄電池BCの出力電圧変化量とが互いに関連付けられて、蓄電池運転履歴情報OHとして記憶されている。
【0032】
ここで、蓄電池BCの現用途とは、蓄電池BCの現在の用途である。この蓄電池BCの用途は、蓄電池用途記憶部40に蓄電池用途情報UAとして記憶されている。ここで蓄電池用途情報UAの一例について、
図8を参照して説明する。
【0033】
図8は、蓄電池用途記憶部40に記憶されている蓄電池用途情報UAの一例を示す図である。この一例において、蓄電池BCの用途には、長期停電バックアップ用と、ピークカット用と、短期停電バックアップ用と、瞬時停電補償用とがある。また、蓄電池用途記憶部40には、蓄電池BCの用途と、蓄電池BCの直列接続数と、蓄電池BCの出力継続時間と、蓄電池BCの充放電深度と、蓄電池BCの許容容量とが互いに関連付けられて、蓄電池用途情報UAとして記憶されている。
【0034】
ここで、蓄電池BCの許容容量とは、当該用途における蓄電池BCの充電可能容量の下限しきい値である。具体的には、蓄電池用途情報UAにおいて、用途「長期停電バックアップ用」には、許容容量「80%」が対応付けられている。この許容容量80%とは、蓄電池BCの初期出荷状態における充電可能容量を100%とした場合の、「長期停電バックアップ用」についての充電可能容量の下限値である。つまり、長期停電バックアップ用の許容容量80%とは、蓄電池BCの充電可能容量が初期出荷状態の80%にまで低下すると、この蓄電池BCを長期停電バックアップ用としては利用できないことを示す。これと同様に、ピークカット用の許容容量70%とは、蓄電池BCの充電可能容量が初期出荷状態の70%にまで低下すると、この蓄電池BCをピークカット用としては利用できないことを示す。短期停電バックアップ用の許容容量60%とは、蓄電池BCの充電可能容量が初期出荷状態の60%にまで低下すると、この蓄電池BCを短期停電バックアップ用としては利用できないことを示す。瞬時停電補償用の許容容量50%とは、蓄電池BCの充電可能容量が初期出荷状態の50%にまで低下すると、この蓄電池BCを瞬時停電補償用としては利用できないことを示す。
【0035】
図6に戻り、蓄電池用途選択装置10は、蓄電池運転履歴取得部101と、現用途抽出部102と、運転状況抽出部103と、用途選択部104と、用途情報出力部105とを備える。
蓄電池運転履歴取得部101は、蓄電池情報取得装置20が取得した蓄電池IDに基づいて、蓄電池運転履歴記憶部30を検索する。この一例では、蓄電池情報取得装置20は、蓄電池ID「B001」を取得する。この場合、蓄電池運転履歴取得部101は、蓄電池ID「B001」を検索キーとして、蓄電池運転履歴情報OHを検索し、蓄電池ID「B001」に関連づけられている蓄電池運転履歴情報OHの各情報を取得する。
【0036】
現用途抽出部102は、蓄電池運転履歴取得部101が取得する蓄電池運転履歴情報OHから、現用途を抽出する。この一例では、現用途抽出部102は、蓄電池ID「B001」に関連づけられている現用途「長期停電バックアップ」を取得する。
【0037】
運転状況抽出部103は、蓄電池運転履歴取得部101が取得するOHから、蓄電池BCの運転状況を示す情報を取得する。この一例では、運転状況抽出部103は、蓄電池ID「B001」に関連づけられている現用途での運転時間「1000」と、総運転時間「1000」と、運転環境温度「30」と、充放電サイクル数「0(フロート)」と、出力電圧変化量「−10%」とを、運転状況を示す情報として抽出する。
【0038】
用途選択部104は、現用途抽出部102が抽出する蓄電池BCの現用途と、運転状況抽出部103が抽出する蓄電池BCの運転状況を示す情報と、蓄電池用途記憶部40に記憶されている蓄電池用途情報UAとに基づいて、蓄電池BCの新用途を選択する。この用途選択部104が行う蓄電池BCの新用途を選択する手順の具体例について説明する。
【0039】
この具体例では、用途選択部104は、現用途「長期停電バックアップ」を、蓄電池BCの現用途として取得する。用途選択部104は、取得した現用途「長期停電バックアップ」を検索キーにして、蓄電池用途記憶部40の蓄電池用途情報UAを検索する。用途選択部104は、充放電深度「10%(フロート)」と、許容容量「80%」とを、蓄電池用途情報UAの検索の結果として取得する。
【0040】
この充放電深度「10%(フロート)」とは、現用途が「長期停電バックアップ」の場合には、蓄電池BCはフロート充電方式によって充電されており、充放電深度が高々10%であることを示す。蓄電池BCがフロート充電方式によって充電される場合には、電池BCの充電可能容量の変化の主要因は、運転時間及び運転環境温度である。
【0041】
用途選択部104は、現用途での運転時間「1000」と、運転環境温度「30」とを、運転状況を示す情報として取得する。用途選択部104は、取得した運転時間及び運転環境温度に基づいて、蓄電池BCの充電可能容量の変化の程度を推定する。この用途選択部104による蓄電池BCの充電可能容量の変化の程度の推定には、既知の手法が用いられる。
【0042】
用途選択部104は、推定の結果得られる蓄電池BCの充電可能容量と、蓄電池用途情報UAが示す許容容量「80%」とを比較する。用途選択部104は、推定した充電可能容量が、許容容量を上回る場合には、用途の変更が必要でないと判定する。つまり、この場合、用途選択部104は、現用途「長期停電バックアップ」を新用途として選択する。
また、用途選択部104は、推定した充電可能容量が、許容容量を下回る場合には、用途の変更が必要であると判定する。ここで、用途選択部104は、推定した充電可能容量が、例えば、初期出荷状態の充電可能容量の75%である場合を一例にして説明する。この場合、用途選択部104は、蓄電池用途情報UAにおいて許容容量が75%以下である用途を検索する。この場合、
図8に示す一例では、用途選択部104は、用途「ピークカット」、用途「短期停電バックアップ」、用途「瞬時停電補償」を検索結果として取得する。用途選択部104は、検索結果として取得された用途を新用途として選択する。ここでは、用途選択部104は、検索の結果得られた用途のうち、許容容量が高い用途を新用途として選択する。具体的には、用途選択部104は、用途「短期停電バックアップ」を新用途として選択する。
【0043】
用途情報出力部105は、用途選択部104が選択した新用途を示す情報を、表示装置50に出力する。表示装置50は、用途情報出力部105が出力する新用途を示す情報を表示する。また、用途情報出力部105は、用途選択部104が選択した新用途を示す情報に基づいて、蓄電池運転履歴記憶部30の蓄電池運転履歴情報OHを更新する。具体的には、用途情報出力部105は、蓄電池運転履歴情報OHの蓄電池ID「B001」について、現用途「長期停電バックアップ」を現用途「短期停電バックアップ」に更新する。
【0044】
[蓄電池用途選択装置10の動作]
次に、
図9を参照して蓄電池用途選択装置10の動作の一例について説明する。
図9は、本実施形態の蓄電池用途選択装置10の動作の一例を示す図である。
【0045】
(ステップS10)蓄電池運転履歴取得部101は、蓄電池情報取得装置20から蓄電池情報を取得する。具体的には、蓄電池運転履歴取得部101は、蓄電池IDを取得する。(ステップS20)蓄電池運転履歴取得部101は、ステップS10において取得した蓄電池IDに基づいて、蓄電池運転履歴記憶部30を検索し、蓄電池運転履歴情報OHを取得する。
(ステップS30)現用途抽出部102は、ステップS20において取得された蓄電池運転履歴情報OHから、蓄電池BCの現用途を示す情報を取得する(現用途取得ステップ)。(ステップS40)運転状況抽出部103は、ステップS20において取得された蓄電池運転履歴情報OHから、蓄電池BCの運転状況を示す情報を取得する。ここで、蓄電池BCの運転状況を示す情報は、用途選択部104において、新用途の判定条件として用いられる。つまり、運転状況抽出部103は、蓄電池BCの運転状況を示す情報を判定条件として取得する(判定条件取得ステップ)。
【0046】
(ステップS50)用途選択部104は、蓄電池用途記憶部40の蓄電池用途情報UAと、ステップS40において取得された判定条件とに基づいて、蓄電池BCの新用途を選択する(用途選択ステップ)。
(ステップS60)用途情報出力部105は、ステップS50において選択された蓄電池BCの新用途を示す情報を、表示装置50及び蓄電池運転履歴記憶部30に出力する。
【0047】
[用途選択部104による新用途選択の詳細]
次に
図10を参照して用途選択部104による蓄電池BCの用途選択の詳細について説明する。
図10は、本実施形態の用途選択部104による用途選択の例を示す図である。同図に蓄電池BCの充電可能容量と運転時間との関係を示す充電可能容量波形W4を示す。蓄電池BCの充電可能容量は、時刻t0の初期出荷状態から運転時間の経過に従って増加する場合がある。蓄電池BCの充電可能容量は、時刻t1において初期出荷状態の80%まで低下する。
図8を参照して説明したように、「長期停電バックアップ」の許容容量は、80%である。つまり、
図10に示す時刻t0から時刻t1の間は、蓄電池BCを「長期停電バックアップ」に利用することができる。
【0048】
時刻t1において、用途選択部104は、蓄電池BCが「長期停電バックアップ」に利用することができないと判定する。この場合、用途選択部104は、この蓄電池BCを、許容容量が「長期停電バックアップ」よりも低い値に設定されている「ピークカット」、「短期停電バックアップ」又は「瞬時停電補償」のいずれかの用途に再利用すると判定する。
【0049】
ここで、「長期停電バックアップ」は、「ピークカット」、「短期停電バックアップ」又は「瞬時停電補償」に比べ、求められる出力継続時間が長い。用途選択部104は、現用途が、求められる出力継続時間が長い用途である場合に、出力継続時間が短い用途を新用途として選択する。つまり、用途選択部104は、出力継続時間の長い方から短い方へ順に新用途を選択する。ここで、出力継続時間が短い用途は、出力継続時間が長い用途に比べて、求められる蓄電池BCの残性能が比較的低い。このように構成することにより蓄電池用途選択装置10は、蓄電池BCの残性能が徐々に低下したとしても、蓄電池BCの再利用の用途の選択肢の幅を広げることができる。
【0050】
また、「長期停電バックアップ」に用いられる蓄電装置ESDは、蓄電池BCの直列接続数が、「ピークカット」、「短期停電バックアップ」又は「瞬時停電補償」に用いられる蓄電装置ESDに比べて多い。用途選択部104は、現用途が、蓄電池BCの直列接続数が多い蓄電装置ESDを用いている場合に、直列接続数が少ない蓄電装置ESDを用いる用途を新用途として選択する。つまり、用途選択部104は、蓄電池BCの直列接続数の多い方から少ない方へ順に新用途を選択する。ここで、蓄電池BCの直列接続数の多い蓄電装置ESDを用いている場合、残性能の揃った蓄電池BCを多く用意することができる。つまり、蓄電池用途選択装置10は、残性能の揃った蓄電池BCを、再利用のためのBCとして用意することができる。したがって、蓄電池用途選択装置10によれば、蓄電池BCの再利用の用途の選択肢の幅を広げることができる。
【0051】
また、ここで、用途選択部104は、この蓄電池BCを、「ピークカット」又は「短期停電バックアップ」のいずれかを、新用途として選択する。
上述したように、蓄電池BCが「ピークカット」に利用される場合、この蓄電池BCに対してはサイクル充電方式によって充電される。また、蓄電池BCが「短期停電バックアップ」に利用される場合、この蓄電池BCに対してはフロート充電方式によって充電される。ここで、サイクル充電方式によって充電される蓄電池BCは、充電可能容量が、運転時間、環境温度に加え、充放電サイクル数や、充放電深度によって変化する。つまり、サイクル充電方式によって充電される蓄電池BCは、フロート充電方式によって充電される蓄電池BCに比べ、充電可能容量の推定が難しい。充電可能容量の推定が難しい場合、充電可能容量について十分な余裕度を見込むことが求められる場合がある。この場合には、本来再利用可能な蓄電池BCであっても、充電可能容量の余裕度がなく再利用できないと判定される頻度が上昇してしまう。
【0052】
そこで、用途選択部104は、蓄電池BCの新用途に複数の選択肢がある場合には、現用途に比べて充放電深度の比較的大きい用途を、新用途として選択する。つまり、用途選択部104は、充放電深度の比較的小さい用途から、比較的大きい用途へ順に新用途を選択する。
換言すれば、用途選択部104は、蓄電池BCの新用途に複数の選択肢がある場合には、充電可能容量の推定が容易な用途を、新用途として選択する。具体的には、用途選択部104は、「ピークカット」又は「短期停電バックアップ」のいずれかを選択可能である場合には、充電可能容量の推定パラメータがより少ない「短期停電バックアップ」を、新用途として選択する。
【0053】
時刻t2において、用途選択部104は、蓄電池BCの充電可能容量が「ピークカット」又は「短期停電バックアップ」のいずれかを選択可能であると判定する。ここで、用途選択部104は、現用途の「短期停電バックアップ」をそのまま新用途として選択してもよいし、「ピークカット」を新用途として選択してもよい。ここで、用途選択部104は、充電可能容量の推定パラメータがより少ない「短期停電バックアップ」を時刻t1において選択したことにより、時刻t2において、充電可能容量の推定をより容易に行うことが可能になる。つまり、用途選択部104は、充電可能容量の推定パラメータが少ない順に新用途を選択する。このように構成することにより、蓄電池用途選択装置10は、蓄電池BCの再利用の用途の選択肢の幅を広げることができる。
【0054】
時刻t3において、用途選択部104は、蓄電池BCが「ピークカット」又は「短期停電バックアップ」のいずれにも利用することができないと判定する。この場合、用途選択部104は、許容容量の最も少ない用途「瞬時停電補償」を、蓄電池BCの新用途として選択する。つまり、用途選択部104は、充電可能容量について、許容容量の大きい順に新用途を選択する。このように構成することにより、蓄電池用途選択装置10は、蓄電池BCの再利用の用途の選択肢の幅を広げることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0056】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。