特許第6806222号(P6806222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リコーイメージング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6806222-撮像装置 図000002
  • 特許6806222-撮像装置 図000003
  • 特許6806222-撮像装置 図000004
  • 特許6806222-撮像装置 図000005
  • 特許6806222-撮像装置 図000006
  • 特許6806222-撮像装置 図000007
  • 特許6806222-撮像装置 図000008
  • 特許6806222-撮像装置 図000009
  • 特許6806222-撮像装置 図000010
  • 特許6806222-撮像装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806222
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20201221BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20201221BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20201221BHJP
【FI】
   H04N5/232 930
   G03B17/18 Z
   G03B17/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-219289(P2019-219289)
(22)【出願日】2019年12月4日
(62)【分割の表示】特願2016-14784(P2016-14784)の分割
【原出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2020-43604(P2020-43604A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 喜貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 鉄兵
(72)【発明者】
【氏名】大橋 基範
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−060510(JP,A)
【文献】 特開2013−168824(JP,A)
【文献】 特開2004−032346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 17/02
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1操作部の操作に応じて画像を撮像する撮像装置であって、
前記画像を表示する表示部と、
撮像された画像を前記表示部に表示する画像表示手段と、
前記表示部の前記画像に重畳して情報表示を行う情報表示手段と、
前記第1操作部とは異なる第2操作部と、
前記第2操作部の操作開始から操作終了までの間、前記重畳された情報表示の少なくとも一部の情報一時的に非表示状態とする手段と、
非表示状態とする前記情報の設定を切り替える手段とを有する
ことを特徴とした撮像装置。
【請求項2】
第1操作部の操作に応じて画像を撮像する撮像装置であって、
前記画像を表示する表示部と、
記録素子に記録された画像を前記表示部に表示する画像表示手段と、
前記表示部に表示された前記記録素子に記録された画像に重畳して情報表示を行う情報表示手段と、
前記第1操作部とは異なる第2操作部を有し、
前記第2操作部の操作開始から操作終了までの間、前記重畳された情報表示の少なくとも一部を非表示状態とする
ことを特徴とした撮像装置。
【請求項3】
前記第2操作部の操作終了に応じて前記非表示状態とされた前記情報表示を元の表示状態に戻すことを特徴とした請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置が搭載されたことを特徴とするスマートフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ディスプレイを備える撮像装置における画像の表示切り替え機能に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラなどでは、タイトル、字幕、キャプションなどの文字列を映像効果として撮影動画に重畳可能としたものがある。このような映像効果は、ユーザの要求に応じて消去可能であることが望ましく、例えばユーザのボタン操作により同効果を消去する構成が既に知られている。また、ユーザの負担を軽減するために被写体の動きに応じて映像効果を消去する構成や、撮影条件変更時に同効果を消去する構成などが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−109850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルカメラにおいても、ライブビューや再生画像を表示中にカメラに設けられる各種機能に関わる情報を重畳して表示することがある。例えば、撮影時のライブビューには、一般的に撮影情報や、電子水準器、あるいは電子コンパス等を重畳して表示される。また再生時の再生画像には、露出情報や、詳細な設定値の情報、あるいはヒストグラムなどが重畳して表示される。
【0005】
一方、構図を確認する際などには、重畳されている情報を非表示とする要求もある。このような場合、ユーザはスイッチ操作により重畳されている情報を非表示とするが、再度所望の情報を重畳させるには、最低でも複数回のスイッチ操作を行う必要がある。構図の確認などは、撮影直前に一時的に行うことが多く、次の撮影を行う際にはユーザ所望の情報を重畳した情報表示を行うことが一般的である。しかし、従来の構成では、情報表示を一時的に消去し、その後再度所望の情報表示を行うには繁雑な操作が必要であった。
【0006】
本発明は、使いやすい撮像装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、撮像指示操作部材の操作に応じて画像を撮像する撮像装置であって、画像を表示する表示部と、撮像光学系によって撮像された画像を表示部に表示する画像表示手段と、表示部の画像に重畳して情報表示を行う情報表示手段と、撮像指示操作部材とは異なる操作部材とを有し、操作部材の操作開始に応じて重畳する情報表示状態を第1の表示状態とし、操作部材の操作終了に応じて重畳する情報表示状態を第1の表示状態とは異なる第2の表示状態とすることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の撮像装置は、撮像指示操作部材の操作に応じて画像を撮像する撮像装置であって、画像を表示する表示部と、記録素子に記録された画像を表示部に表示する画像表示手段と、表示部に表示された記録素子に記録された画像に重畳して情報表示を行う情報表示手段と、撮像指示操作部材とは異なる操作部材を有し、操作部材の操作開始に応じて重畳する情報表示状態を第1の表示状態とし、操作部材の操作終了に応じて重畳する情報表示状態を第1の表示状態とは異なる第2の表示状態とすることを特徴としている。
【0009】
重畳する情報表示状態を第1の表示状態と第2の表示状態との間で変更する変更処理は、例えば記録素子に記録された画像に対して画像処理を施そうとして該画像を表示部に表示した状態において実行され、重畳する情報表示には、画像処理に関する情報を含む。
【0010】
第1の表示状態と第2の表示状態の少なくとも一方の表示状態において表示される項目および/または形態を変更することができることが好ましい。
【0011】
操作部材の操作開始に応じて、例えば撮像光学系の開口を第1の開口状態とし、操作部材の操作終了に応じて該開口を第1の開口状態とは異なる第2の開口状態とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使いやすい撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラの背面図である。
図2図1のデジタルカメラの頂面図である。
図3】ライブビュー画面に何等かの情報が重畳される様子を示す図である。
図4】再生画面に何等かの情報が重畳される様子を示す図である。
図5】従来のカメラにおけるライブビュー画面の情報表示の切り替えの様子を示す図である。
図6】従来のカメラにおける再生画面の情報表示の切り替えの様子を示す図である。
図7】本実施形態のライブビュー画面における情報表示の切り替えの様子を示す図である。
図8】本実施形態のライブビュー画面における情報表示の切り替えの様子を示す図である。
図9】画像編集機能の画像選択画面において、選択候補とする画像を確認するために一時的に情報表示を停止し、選択候補画像を拡大表示する場合を例示する図である。
図10】一時的に非表示とする情報の設定をユーザが任意に切り替えるためのメニュー表示を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の撮像装置の一実施形態であるデジタルカメラの背面図および頂面図である。
【0015】
本実施形態の撮像装置は、例えばレンズ(光学系)交換式のデジタルカメラ100である。デジタルカメラ100の背面略中央左寄りには、液晶画面(表示部)101が配置され、液晶画面101の右側には、情報表示切替ボタン102、再生ボタン103、ディスプレイボタン105が配置される。液晶画面101の上方略中央には、光学ファインダ106が配置され、左側には、ライブビューボタン104が配置される。
【0016】
図2の頂面図に示されるように、デジタルカメラ100の右手用のグリップ200(図2左側)の頂面には、電源/プレビューレバー201とシャッタボタン(撮像指示操作部材)202が配置され、その後方には副液晶画面203が配置される。また頂面の略中央にはホットシュー204が配置され、更に右端にはモードダイヤル205が配置される。
【0017】
液晶画面101では、撮影レンズを通したライブビューの表示や、メモリ(記録素子)に記録した静止画や動画を読み出し、再生画像として表示することができる。また、画像撮影時や画像再生時には、画像情報や各種機能の設定値などの情報をライブビューや再生画像に重畳して表示することが可能である。
【0018】
情報表示切替ボタン102は、画像撮影時および画像再生時に、ライブビューや再生画像に重畳して表示する情報を切り替えるための操作部材である。再生ボタン103は、撮影モードと再生モードの切り替えに用いられる。ライブビューボタン104は、光学ファインダ106を覗いて撮影を行う光学ファインダ撮影モードと、液晶画面101に表示されるライブビュー画面を見ながら撮影を行うライブビュー撮影モードの間の撮影モードの切り替えを行う。ディスプレイボタン105は、後述するように、一時的に情報表示を非表示にするための操作部材である。また、電源/プレビューレバー201は、デジタルカメラ100の主電源のオン/オフを行う他、オフからオンに操作した先にプレビュー用のポジションを備え、同ポジションまでレバーを操作することでプレビュー動作を起動することができる。
【0019】
図3は、ライブビュー画面に何等かの情報が重畳される様子を示す図である。図3(a)は、撮影情報をライブビュー画面に重畳した状態を示し、図3(b)はライブビュー画面に電子水準器を重畳した状態を示す。また図3(c)は基本的には情報を表示しないが、オートフォーカス時(シャッタボタン202の半押し操作時)に使用する測距枠をライブビュー画面に重畳した状態を示す。なお、図3(a)において重畳されている撮影情報は、P:露出モード情報(プログラムモード)、電池マーク:電池残量情報、HDR ON:ダイナミックレンズ拡大処理情報(ON)、□:測距情報(測距枠、測距結果)、F2.8 1/4000:絞り値・シャッター速度値情報、である。
【0020】
図4は、再生画面に何等かの情報が重畳される様子を示す図である。図4(a)は、撮影時の露出設定など基本的な情報のみを再生画面に重畳する状態を示し、図4(b)は、より詳細な設定値等を表示するために、再生画像を縮小して画面の一部(図4(b)では左上)に表示し、詳細情報を縮小画像の周辺に表示したものである。図4(c)は、再生画面にヒストグラムを重畳した状態を示し、図4(d)は、再生画面に情報を重畳しない状態を示す。
【0021】
ユーザは、図3図4の各々の画面表示において、情報表示を切り替えることがあるが、従来のカメラでは、例えばトグル操作を繰り返すことにより画面表示を切り替えていた。例えば図3(a)〜(c)のライブビュー画面における情報表示の切り替えの場合は、図5のようになる。すなわち、左端の「ライブビュー(情報表示あり)」から右端の「ライブビュー(情報表示なし)」に切り替えるには、電子水準器が表示された中央の「ライブビュー(電子水準器)」の表示を経由する必要があり、この場合、情報表示切替ボタン(INFOボタン)102を2回押下する必要がある。そして、撮影時の構図を確定した後に、再度左端の「ライブビュー(情報表示あり)」の画面に戻るには、再度情報表示切替ボタン(INFOボタン)102を操作する必要がある。
【0022】
これは、再生画面においても同様であり、図6に示されるように、左端の「再生画面(情報表示あり)」の状態から右端の「再生画面(情報表示なし)」の状態にするには情報表示切替ボタン(INFOボタン)102を3回押下する必要があり、再度右端の「再生画面(情報表示あり)」に戻るには、再度情報表示切替ボタン(INFOボタン)102を操作する必要がある。図5、6に示されるように、従来のカメラでは、一時的に情報表示を消去し、画像を確認し、その後元の状態に戻すにはボタン操作を何度も繰り返さなければならなかった。
【0023】
本実施形態では、図7図8のように構成にすることで、上記問題に対応している。すなわち、図7のライブビュー画面の場合には、情報表示切替ボタン(INFOボタン)102による画面の切り替えに関しては図5と同様としつつも、これに加えて、操作部材であるディスプレイボタン(DISPボタン)105が押下された場合、ディスプレイボタン(DISPボタン)105の押下が保持されている間、一時的に全て(または所定の)情報表示の重畳を停止し、例えばライブビューのみを液晶画面101に表示する。そしてディスプレイボタン(DISPボタン)105の押下が解除されると、ディスプレイボタン(DISPボタン)105が押下される前の画面表示に戻る。
【0024】
なお、ディスプレイボタン(DISPボタン)105の操作開始に応じて撮像光学系の開口を第1の開口状態とし、ディスプレイボタン(DISPボタン)105の操作終了に応じて該開口を第1の開口状態とは異なる第2の開口状態とする構成とすることもできる。このように構成することで、ライブビュー時の光学プレビュー時にライブビュー画面上の情報表示を一時的に非表示とすることができるので、被写界深度を全画角に対して確認できる。
【0025】
図8の再生画像を表示する画面の場合には、情報表示切替ボタン(INFOボタン)102による画面の切り替えに関しては図6と同様としつつ、これに加えて、ディスプレイボタン(DISPボタン)105が押下された場合、ディスプレイボタン(DISPボタン)105の押下が保持されている間、一時的に全て(または所定の)情報表示の重畳を停止し、例えば再生画像のみを液晶画面101に表示する。そしてディスプレイボタン(DISPボタン)105の押下が解除されると、ディスプレイボタン(DISPボタン)105が押下される前の画面表示に戻る。
【0026】
また、画像上に情報表示が重畳されるケースとしては、再生画像の編集機能なども考えられる。図9の左側は、メモリ(記録素子)に記録されたRAW画像を展開する(画像処理する)際に設定する各種パラメータの選択画面である。図9左側の画面例では各種パラメータを示す3行7列(但し、右寄り最下段は2アイコン分のスペースで「JPEG保存」)のアイコンが配置されている。そして選択中パラメータとして左最上段のアイコン(「画像サイズ」)が選択され、その設定値は「L」(ラージ)が選択されている状態を示している。これらアイコン等の情報は、RAW展開しようとしている画像に重畳して表示されている。このような表示状態において、RAW展開しようとしている画像を再確認するために一時的に情報表示を停止(消去)し、当該画像のみを表示する場合を図9の右側に例示している。本実施形態では、特定の操作部材(ここではディスプレイボタン(DISPボタン)105の操作により一時的に情報表示を切り替える。すなわちディスプレイボタン(DISPボタン)105の操作(例えば押下)開始と同時に情報表示を非表示とし(図9の右側参照)、ディスプレイボタン(DISPボタン)105の操作(例えば押下)終了と同時に情報表示の重畳を再開する。つまり、ディスプレイボタン(DISPボタン)105の操作中のみ情報表示を消去し、画像のみを見易く表示するのである。なお、RAW展開(画像処理)するための各種パラメータとしては、例えばホワイトバランス、増減感、収差補正、記録形式、アスペクト比、画像サイズ(JPEG記録サイズ)、画像のリサイジング、トリミング、回転、フィルタ処理などが挙げられる。このように、対象となる画像を何度も確認しつつ、各種パラメータを設定するような場合に、本実施形態のユーザインタフェースが特に有効である。
【0027】
また例えば図10のようなメニューを用意し、一時的に非表示とする情報の設定をユーザが任意に切り替えることが出来る構成とすることもできる。例えばライブビュー表示の際、構図調整の場合には、ユーザはディスプレイボタン105を操作した情報非表示画面においてもグリッド線は残したい場合もあるが、グリッド線を消去して撮影画像に集中したい場合もある。したがって、ユーザが用途や好みに応じて一時的に非表示とする情報をカスタマイズできることが望まれる。そのため図10のメニュー画面では、グリッド線、測距枠、露出設定など、情報非表示画面において消去される情報を選択することができる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、特定のボタン操作が開始された時点から、ライブビュー、または、再生画像に重畳した情報表示を非表示とし、そのボタン操作が解除された時点で重畳されていた情報表示に復帰することができる。すなわち、単一のボタン操作が開始された時点から解除されるまでの間のみ情報を非表示とすることができる。これにより、極めて簡単な操作で、一時的に不要な情報を非表示として画面に表示された画像の視認性を高めることができるとともに、画像確認後は、ユーザは簡単な操作で情報表示を素早く元に戻すことができる。このように単一の操作部材の操作のみによって、画像に重畳された情報の表示/非表示が変更できるユーザインタフェースは、いわば「かゆい所に手が届くユーザインタフェ−ス」であり、「答え」を聞けば発明は容易に思えるかも知れないが、実際の開発においては、ユーザの思考を妨げることがないようはユーザインタフェースとして何がベストなのか、何度も試行錯誤し、実際に操作フィーリングを確かめつつ進めることで初めてユーザにとって最適な解に到達できるものである。
【0029】
なお、本実施形態ではレンズ交換式のデジタルカメラを例に説明を行なったが、本発明はコンパクトカメラや、カメラ付き携帯、スマートホンなどにも利用できる。
【符号の説明】
【0030】
100 デジタルカメラ
101 液晶画面(表示部)
102 情報表示切替ボタン
103 再生ボタン
104 ライブビューボタン
105 ディスプレイボタン(操作部材)
202 シャッタボタン(撮像指示操作部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10