(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、可変容量型過給機Cの概略断面図である。以下では、
図1に示す矢印L方向を可変容量型過給機Cの左側として説明する。
図1に示す矢印R方向を可変容量型過給機Cの右側として説明する。
図1に示すように、可変容量型過給機Cは、過給機本体1を備えて構成される。過給機本体1は、ベアリングハウジング2、タービンハウジング4、および、コンプレッサハウジング6を備える。タービンハウジング4は、ベアリングハウジング2の左側に締結ボルト3によって連結される。コンプレッサハウジング6は、ベアリングハウジング2の右側に締結ボルト5によって連結される。
【0013】
ベアリングハウジング2には、収容孔2aが形成される。収容孔2aは、ベアリングハウジング2を可変容量型過給機Cの左右方向に貫通する。収容孔2aに収容されたラジアル軸受7(本実施形態では一例として、セミフローティング軸受を
図1に示す)によって、シャフト8が回転自在に軸支されている。シャフト8の左端部には、タービンインペラ9が取付(締結)されている。タービンインペラ9がタービンハウジング4内に回転自在に収容されている。シャフト8の右端部には、コンプレッサインペラ10が取付(締結)されている。コンプレッサインペラ10がコンプレッサハウジング6内に回転自在に収容されている。
【0014】
コンプレッサハウジング6には、吸気口11が形成されている。吸気口11は、可変容量型過給機Cの右側に開口する。吸気口11は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング6との対向面によって、空気を昇圧するディフューザ流路12が形成される。ディフューザ流路12は、シャフト8の径方向内側から外側に向けて環状に形成される。ディフューザ流路12は、径方向内側において、コンプレッサインペラ10を介して吸気口11に連通している。
【0015】
コンプレッサハウジング6には、コンプレッサスクロール流路13が設けられている。コンプレッサスクロール流路13は環状である。コンプレッサスクロール流路13は、例えば、ディフューザ流路12よりもシャフト8の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路13は、不図示のエンジンの吸気口と連通する。コンプレッサスクロール流路13は、ディフューザ流路12にも連通している。コンプレッサインペラ10が回転すると、吸気口11からコンプレッサハウジング6内に空気が吸気される。吸気口11から吸気された空気は、コンプレッサインペラ10の翼間を流通する過程において加速加圧される。加速加圧された空気は、ディフューザ流路12およびコンプレッサスクロール流路13で、昇圧(圧力回復)されてエンジンに導かれる。
【0016】
また、ベアリングハウジング2とタービンハウジング4との対向面間には、間隙14が形成される。間隙14は、後述するノズルベーン24が配置されて、排気ガスが流通する流路xが構成される部分である。間隙14は、シャフト8(タービンインペラ9)の径方向内側から外側に向けて、環状に形成されている。
【0017】
また、タービンハウジング4には、排気口16が形成されている。排気口16は、タービンインペラ9の正面に臨む。排気口16は、タービンインペラ9を介してタービンスクロール流路15に連通する。排気口16は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。
【0018】
タービンスクロール流路15は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、エンジンから排出される排気ガスが導かれる。タービンスクロール流路15は、流路xにも連通する。したがって、ガス流入口からタービンスクロール流路15に導かれた排気ガスは、流路xを流通する。流路xを流通した排気ガスは、タービンインペラ9を介して、排気口16に導かれる。すなわち、流路xは、タービンスクロール流路15からタービンインペラ9に向かう流路となっている。排気ガスは、流路xから排気口16までの流通過程において、タービンインペラ9を回転させる。タービンインペラ9の回転力は、シャフト8を介してコンプレッサインペラ10に伝達される。コンプレッサインペラ10の回転力によって、上記のとおりに、空気が昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
【0019】
タービンハウジング4に導かれる排気ガスの流量が変化すると、タービンインペラ9およびコンプレッサインペラ10の回転量が変化する。エンジンの運転状況によっては、所望の圧力に昇圧された空気を、エンジンの吸気口に十分に導くことができない場合がある。そこで、可変容量型過給機Cには、ノズル駆動機構20が設けられている。
【0020】
ノズル駆動機構20は、タービンハウジング4の流路xの流路幅(後述するノズルスロート幅)を変化させる。ノズル駆動機構20は、排気ガスの流量に応じて、タービンインペラ9に導かれる排気ガスの流速を変化させる。具体的に、ノズル駆動機構20は、エンジンの回転数が低く排気ガスの流量が少ない場合には、流路xのノズル開度を小さくする。こうして、タービンインペラ9に導かれる排気ガスの流速が向上する。少ない流量でもタービンインペラ9が回転可能となる。以下に、ノズル駆動機構20の構成について説明する。
【0021】
図2は、ノズル駆動機構20の分解斜視図である。
図2に示すように、ノズル駆動機構20は、プレート21を有する。プレート21には、プレート孔21aが形成される。プレート孔21aは、プレート21をシャフト8の軸方向(以下、軸方向と称す)に貫通する。プレート21は、例えば、シャフト8の軸方向に垂直な断面形状が円となる平板形状となっている。
【0022】
プレート21における外周面側には、プレートピン孔21bが設けられている。プレートピン孔21bは、プレート21を軸方向に貫通する。プレートピン孔21bは、プレート21の周方向に離隔して複数(
図2の一例では3つ)設けられている。プレートピン孔21bには、それぞれ、ピン22が挿通されている。
【0023】
ノズルリング23は、プレート21に対してコンプレッサインペラ10側(
図1中、右側)に位置する。ノズルリング23は、本体23bを有する。本体23bは環状である。本体23bには、リング孔23aが形成される。リング孔23aは、本体23bを軸方向に貫通する。本体23bのうち、プレート21と反対側には、円筒部23cが形成されている。円筒部23cは、本体23bからプレート21から離隔する側に突出する。
【0024】
本体23bの外周面23dには、突出部23eが設けられる。突出部23eは、本体23bの周方向に延在する。突出部23eは、本体23b(円筒部23c)より径方向外側に突出する。本体23bのうち、プレート21のプレートピン孔21bとの対向部には、リングピン孔23fが形成される。リングピン孔23fは、本体23bを軸方向に貫通する。本体23bには、円筒部23c側に座繰り溝23gが形成される。リングピン孔23fは、座繰り溝23gに開口している。リングピン孔23fには、ピン22が挿通される。
【0025】
ピン22において、両端部22a、22bの間に大径部22cが形成される。大径部22cの外径は、両端部22a、22bの外径よりも大きい。ピン22の端部22aが、プレートピン孔21bに挿通される。プレート21におけるノズルリング23との対向面に、大径部22cが当接する。こうして、ピン22のプレートピン孔21bへの挿通位置が定まる。同様に、ピン22の端部22bが、リングピン孔23fに挿通される。ノズルリング23におけるプレート21との対向面に、大径部22cが当接する。こうして、ピン22のリングピン孔23fへの挿通位置が定まる。ここで、ピン22の両端部22a、22bのさらに外側の端部には、大径部22d、22eが示されている。これは一例として、プレート21またはノズルリング23にピン22を、かしめによって組み付けた場合のかしめ後の形状が示されている。プレート21のプレートピン孔21b、または、ノズルリング23のリングピン孔23fに挿通する前のピン22の形状は、例えば、ピン22の両端部22a、22bと同径のピン部が最端部まで延伸して形成される。
【0026】
このように、ピン22によって、プレート21とノズルリング23との対向間隔が規定される。上記の流路xは、プレート21とノズルリング23が対向する隙間によって形成される。すなわち、ピン22(大径部22c)によって流路xの軸方向の長さが規定される。
【0027】
ノズルリング23の円筒部23cには、軸方向の(プレート21と反対側の)端面23hに、ガイド穴23iが開口している。ガイド穴23iは、円筒部23cの周方向に離隔して複数(
図2の一例では3つ)設けられている。また、ノズルリング23には、軸孔23jが形成される。軸孔23jは、本体23bおよび円筒部23cを軸方向に貫通する。軸孔23jは、本体23bの周方向に離隔して複数(
図2の一例では11個)設けられている。
【0028】
ノズルベーン24は、プレート21とノズルリング23との隙間(すなわち、流路x)に位置している。つまり、プレート21は、ノズルリング23に対し、ノズルベーン24側に対向する。ノズルベーン24は、軸孔23jと同様、本体23bの周方向(タービンインペラ9の回転方向)に離隔して複数(
図2の一例では11個)設けられる。
【0029】
ノズルベーン24には、軸部24aが設けられる。軸部24aは、ノズルリング23側に突出する。軸部24aは、軸孔23jに挿通されて軸支される(片軸持ち)。なお、ここでは、軸部24aがノズルリング23によって軸支される場合について説明した。しかし、軸部24aをプレート21側にも延在させ、プレート21に、軸部24aを軸支する孔を形成してもよい。
【0030】
駆動リング25は、本体部25bを有する。本体部25bは環状である。本体部25bには、駆動孔25aが形成される。駆動孔25aは、本体部25bを軸方向に貫通する。駆動孔25aの内径は、ノズルリング23の円筒部23cの外径よりも僅かに大径である。駆動リング25の駆動孔25aに、円筒部23cが嵌合(挿通)される。こうして、駆動リング25が、円筒部23cの外周面23dで回転自在に支持される。
【0031】
ガイドピン26は、頭部26aと、小径部26bとを有する。小径部26bは、頭部26aより外径が小さい。小径部26bが、ガイド穴23iに、例えば圧入されて保持される。
【0032】
図3は、ガイドピン26による駆動リング25の移動の規制構造を説明するための説明図である。
図3では、ノズル駆動機構20のうち、ノズルリング23、駆動リング25、ガイドピン26を抽出して示す。
【0033】
図3に示すように、駆動リング25の駆動孔25aの内部(内周側)には、ノズルリング23の円筒部23cが配置される。ガイド穴23i(
図2参照)は、駆動リング25の径方向内側に位置している。ガイドピン26の小径部26b(
図2参照)は、ガイド穴23iに圧入されている。ガイドピン26の頭部26aは、駆動リング25の駆動孔25aより僅かに径方向外側まで延在している。頭部26aの一部が、駆動リング25に軸方向に対向(当接)することで、駆動リング25の軸方向の移動が規制される。
【0034】
また、駆動孔25aの内周面には、内周溝25cが形成されている。内周溝25cは、径方向外側に窪んでいる。内周溝25cは、周方向に離隔してガイドピン26と同数設けられる。例えば、ノズルリング23と駆動リング25を相対回転させ、一つの内周溝25cの回転位相をガイドピン26の頭部26aに一致させる。このとき、他の内周溝25cも、それぞれ他のガイドピン26と回転位相が一致する。内周溝25cは、頭部26aよりも径方向外側に大きく窪んでいる。言い換えると、ガイドピン26の頭部26aは、内周溝25cの内側を軸方向に通過することができる。そのため、ガイドピン26と内周溝25cとの回転位相を一致させた状態で、駆動リング25のノズルリング23に対する着脱が可能となる。
【0035】
例えば、駆動リング25をノズルリング23に組み付ける前に、ガイドピン26をガイド穴23iに圧入する。このとき、駆動リング25の内周溝25cをガイドピン26の頭部26aに対向させる。こうして、駆動リング25は、ノズルリング23に組み付け可能となる。ノズルリング23にピン22などを組み付ける前に、ガイド穴23iにガイドピン26を圧入することができる。その結果、ガイドピン26の圧入によるピン22などの変形が回避される。圧入荷重の管理が不要となる。具体的に、ガイドピン26が、ガイド穴23iの底面に当接するまで圧入するなど、圧入荷重を管理する場合に比べて、作業性を向上することが可能となる。
【0036】
また、駆動リング25の本体部25bには、例えば複数の第1突起部25e、第2突起部25f、および、一つの第3突起部25g、第4突起部25hが設けられる。第1突起部25e、第2突起部25f、第3突起部25g、第4突起部25hは、外周面25dから径方向外側に突出する。第1突起部25e、第2突起部25f、第3突起部25g、第4突起部25hは、ノズルリング23と反対側(後述するリンク板27側)に軸方向に突出する。
【0037】
一対の第1突起部25eと第2突起部25fは、本体部25bの周方向に、例えば等間隔に複数組(ノズルベーン24と同数であって、
図3の一例では11組)設けられる。各組における第1突起部25eと第2突起部25fとの離隔間隔は、例えば対応する後述のノズルベーン24の先端部27dの幅よりわずかに大きい。また、例えば、各組における第1突起部25eと第2突起部25fとの離隔間隔は、大凡等しくてもよい。また、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの隣り合う組の離隔間隔は、各組における第1突起部25eと第2突起部25fとの離隔間隔より大きくてもよい。
【0038】
第3突起部25g、第4突起部25hは、本体部25bに1つずつ設けられる。第3突起部25g、第4突起部25hは、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの組と、隣り合う一対の第1突起部25e、第2突起部25fの組との間に配される。
【0039】
図2に示すように、軸部24aは、軸孔23jよりも軸長が長い。軸部24aの先端部24bが軸孔23jからノズルベーン24と反対側に突出する。軸部24aのうち、ノズルリング23の軸孔23jから突出した先端部24bは、駆動リング25の駆動孔25aに挿通され、リンク板27に挿通される。
【0040】
リンク板27は、軸部24aのうち、ノズルリング23に対してノズルベーン24と反対側に、ノズルベーン24と同数設けられる。リンク板27は、取付部27bを有する。取付部27bには、板孔27aが形成される。板孔27aには、軸部24aの先端部24bが挿通される。軸部24aは、板孔27aに挿通されて取付部27bに取り付けられている。軸部24aの回転に伴いリンク板27も回転する。
【0041】
取付部27bには、延在部27cが形成される。延在部27cは、ノズルリング23の径方向外側に延在する。延在部27cのうち、取付部27bと反対側の先端部27dは、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの間に配される。すなわち、リンク板27の先端部27dは、第1突起部25e、第2突起部25fに対して、本体部25bの周方向に対向する。換言すれば、第1突起部25e、第2突起部25fは、リンク板27を挟んで、駆動リング25の本体部25bの周方向に離隔して対向する。ここで、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの距離は、先端部27dの幅よりも、わずかに大きく設定される。言い換えると、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの間に先端部27dが配された状態で、一対の第1突起部25e、第2突起部25fと先端部27dとの間には、隙間が形成される。
【0042】
図4は、ノズル駆動機構20の組み付け後の斜視図である。上記のように、プレートピン孔21b(
図2参照)、リングピン孔23fに、ピン22が挿通される。そして、ピン22の両端がかしめられて、プレート21、ピン22、および、ノズルリング23が組み付けられる。駆動リング25の駆動孔25a(内周面)とノズルリング23の円筒部23c(外周面)とが径方向に対向する。駆動リング25は、ノズルリング23によって回転自在に保持される。ガイドピン26によって、駆動リング25の軸方向の移動が規制される。すなわち、ガイドピン26は、駆動リング25の軸方向の抜け止めとなり得る。ノズルベーン24は、プレート21とノズルリング23の隙間(流路x)に配される。軸部24aは、ノズルリング23の軸孔23jに軸支される。軸部24aの先端部24bにリンク板27が取り付けられる。
【0043】
ここで、駆動リング25の第3突起部25g、第4突起部25hの間には、駆動リンク板(不図示)が配される。駆動リンク板は、リンク板27と大凡同じ外形の板状部材である。駆動リンク板は、リンク板27と同様、先端部が第3突起部25g、第4突起部25hの間に配される。駆動シャフトは、駆動リンク板の基端部に挿通される。駆動リンク板の基端部は、先端部よりも駆動リング25の径方向内側に位置する。駆動リンク板は、駆動シャフトを介し、不図示のアクチュエータの動力を受けて回転する。そして、駆動リンク板の先端部が第3突起部25g、第4突起部25hに当接し押圧する。すなわち、第3突起部25g、第4突起部25hを備える駆動リング25に、周方向の力が伝達される。こうして、アクチュエータの動力が、駆動リング25(第3突起部25g、第4突起部25h)に伝達される。その結果、駆動リング25は、ノズルリング23の円筒部23cに支持されて回転(摺動)する。
【0044】
上記のように、リンク板27の先端部27dは、駆動リング25の一対の第1突起部25e、第2突起部25fの間に配されている。そのため、駆動リング25が回転すると、先端部27dが、第1突起部25eまたは第2突起部25fに当接する。先端部27dが回転方向に押圧される。そして、リンク板27が、軸部24aの軸心周りに回転(揺動)する。その結果、リンク板27に取り付けられた軸部24aが回転する。こうして、複数のノズルベーン24が一体となって、軸部24aとともに回転する。流路xの流路幅が変化する。
【0045】
図5(a)は、
図1の破線部分を抽出して示す。
図5(b)は、
図1の一点鎖線部分を抽出して示す。
図5(a)に示すように、ノズルリング23の本体23bの少なくとも一部は、タービンハウジング4の内部に位置している。タービンハウジング4には、突出壁部4aが設けられる。突出壁部4aは、シャフト8の径方向内側に突出する。ノズルリング23の本体23bには、突出部23eより、
図5(a)中、左側(ノズルベーン24側)に、外周面23dが設けられている。外周面23dは、突出部23eより小径である。突出壁部4aと、外周面23dとの間には、間隙Saが形成される。
【0046】
突出部23eは、突出壁部4aに対して、リンク板27側(ベアリングハウジング2側)から当接している。壁部4bは、タービンハウジング4のうち、突出部23eの径方向外側に位置する部位である。壁部4bと、突出部23eの外周面との間には、間隙Sbが形成される。
【0047】
また、ノズルリング23のリング孔23aの内周面には、軸孔突起23kが形成される。軸孔突起23kは、径方向内側に突出する。軸孔突起23kは、リング孔23aの内周面のうち、
図5(a)中、左側(ノズルベーン24側)に位置する。軸孔突起23kは、タービンインペラ9のうち、羽根9aが立設されるインペラ本体9bに対し、径方向外側に位置する。軸孔突起23kとインペラ本体9bとの間に間隙Scが設けられる。
【0048】
壁部2bは、ベアリングハウジング2のうち、インペラ本体9bの背面9c側に位置する部位である。壁部2bには、環状突起2cが形成される。環状突起2cは、背面9c側に突出する。環状突起2cには、ハウジング孔2dが開口している。ハウジング孔2dには、シャフト8が挿通される。
【0049】
皿バネ28は、環状部材である。皿バネ28には挿通孔28aが形成される。挿通孔28aには、環状突起2c(シャフト8)が挿通される。皿バネ28は、タービンインペラ9の背面9cとベアリングハウジング2の壁部2bとの間に配される。
【0050】
皿バネ28のうち、径方向外側の外側接触部28bは、ノズルリング23の軸孔突起23kに、リンク板27側から接触する。また、皿バネ28のうち、外側接触部28bよりも径方向内側の内側接触部28cは、ベアリングハウジング2の壁部2bにタービンインペラ9側から接触する。皿バネ28は、内側接触部28cによってベアリングハウジング2に支持される。例えば、皿バネ28の内側接触部28cは、環状突起2cの外周部に嵌め合っている。
【0051】
そして、皿バネ28は、外側接触部28bからノズルリング23に対して弾性力を作用させる。ノズルリング23を、
図5(a)中、左側(リンク板27からノズルベーン24に向かう方向)に押圧する。
【0052】
また、外側接触部28bが軸孔突起23kに押圧される。内側接触部28cが壁部2bに押圧される。こうして、皿バネ28は、両接触部分をシールする。皿バネ28は、排気ガスの熱のラジアル軸受7側への伝熱を抑制する遮熱機能も担う。
【0053】
皿バネ28によって、ノズルリング23の突出部23eがタービンハウジング4の突出壁部4aに押圧される。こうして、ノズルリング23は、ベアリングハウジング2およびタービンハウジング4の内部で位置決め(保持)される。
【0054】
また、流路x側は、排気ガスにより高圧となる。リンク板27側の圧力が低すぎると、ノズルベーン24に対して、
図5(a)中、左側から作用する圧力と、軸部24aに対して右側から作用する圧力との差が大きくなる。ノズルベーン24が、右側(リンク板27側)に押圧されてしまう。その結果、ノズルベーン24とプレート21との隙間が大きくなる。ノズルベーン24の機能が損なわれてしまうおそれがある。
【0055】
図5(a)に示すように、ノズルリング23の突出部23eと、タービンハウジング4の突出壁部4aとが当接する箇所では、間隙Sa、Sbが連通していない。すなわち、上記の圧力差があっても、排気ガスが流通しない。そこで、ノズルリング23には、
図5(b)に示すように、座繰り溝23gが形成されている。
【0056】
図6は、座繰り溝23gを説明するための説明図である。
図6には、ノズル駆動機構20のうち、プレート21、ピン22、ノズルリング23が抽出して示される。
図6に示すように、ノズルリング23の座繰り溝23gは、本体23bのうち、円筒部23c側に形成される。座繰り溝23gには、リングピン孔23fが開口している。リングピン孔23fには、ピン22が挿通される。座繰り溝23gによって、突出部23eの一部が切り欠かれる。
【0057】
そのため、
図5(b)に示すように、両間隙Sa、Sbが連通する。流路xからリンク板27側に排気ガスが流入する。その結果、流路x側とリンク板27側の圧力差が縮小する。ノズルベーン24のリンク板27側への押圧力が抑制される。
【0058】
また、座繰り溝23gが形成されることで、ノズルリング23の本体23bのうち、リングピン孔23fが貫通する部位の肉厚が、プレート21の肉厚と大凡等しくなる。こうして、ピン22のうち、大径部22cより小径な両端部22a、22bの軸長を等しくしている。そのため、ピン22の両端部22a、22bの向きを逆向きに入れ替えても、ピン22をプレート21、ノズルリング23へ挿通可能となる。作業効率が向上する。
【0059】
図7(a)は、駆動リング25の正面図である。
図7(b)は、駆動リング25の斜視図である。
図7(a)、
図7(b)に示すように、駆動リング25の本体部25bには、複数の切り欠き部25jが形成される。切り欠き部25jは、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの間に位置する。すなわち、一対の第1突起部25e、第2突起部25fの間には、間隙Sdが形成される。間隙Sdは、本体部25bを軸方向に貫通する。
【0060】
第3突起部25gは、本体部25bの周方向に第2突起部25fと連続して形成される。また、本開示では、第3突起部25gは、第2突起部25fと比べ径方向内側まで延伸している。すなわち、第2突起部25fと、第2突起部25fと連続する第3突起部25gとの間には、段差面25fgを備える。段差面25fgは、径方向に延在する。同様に、第4突起部25hは、本体部25bの周方向に第1突起部25eと連続して形成される。また、本開示では、第4突起部25hは、第1突起部25eと比べ径方向内側まで延伸している。すなわち、第1突起部25eと、第1突起部25eと連続する第4突起部25hとの間には、段差面25ehを備える。段差面25ehは、径方向に延在する。ここでは、第3突起部25gと第2突起部25fが連続して形成され、第4突起部25hと第1突起部25eが連続して形成される場合について説明した。ただし、第3突起部25gと第2突起部25fとの間に切り欠きが設けられてもよい。また、第4突起部25hと第1突起部25eとの間に切り欠きが設けられてもよい。
【0061】
また、切り欠き部25jは、第3突起部25g、第4突起部25hの間にも設けられる。第3突起部25g、第4突起部25hの間に、間隙Sdが形成される。間隙Sdは、本体部25bを軸方向に貫通する。
【0062】
図8は、駆動リング25の一部拡大図である。
図8に示すように、第1突起部25eの基端部25e
1は、駆動リング25の外周面25dから径方向外側に突出する。また、第1突起部25eの先端部25e
2は、駆動リング25の本体部25bのうち、
図8中、上側(リンク板27側)の端面25kより、
図8中、上側に位置する。先端部25e
2の先端面25e
3は、本体部25bの径方向内側に臨んでいる。先端面25e
3は、外周面25d(後述する第2外周面25d
2)よりも、本体部25bの径方向内側に位置する。
【0063】
また、第1突起部25eには、屈曲部25e
4が設けられる。屈曲部25e
4は、基端部25e
1と先端部25e
2の間に位置する。屈曲部25e
4は、基端部25e
1から、
図8中、上側(駆動リング25の本体部25bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側、駆動リング25の肉厚方向のベアリングハウジング2側、ノズルリング23から離隔する側)に屈曲する。屈曲部25e
4は、先端部25e
2まで、本体部25bの径方向内側に向かって屈曲する。
【0064】
基端部25e
1と先端部25e
2は、軸方向に離隔している。基端部25e
1と先端部25e
2との間に間隙Seが形成される。駆動リング25の本体部25bの外周には、基端部25e
1が設けられている。基端部25e
1は、径方向に突出する。先端部25e
2は、基端部25e
1と軸方向に折り重なる。基端部25e
1と先端部25e
2を屈曲部25e
4がつないでいる。
【0065】
同様に、第2突起部25fの基端部25f
1は、駆動リング25の外周面25dから径方向外側に突出する。第2突起部25fの先端部25f
2は、駆動リング25の本体部25bの端面25kより、
図8中、上側に位置する。先端部25f
2の先端面25f
3は、本体部25bの径方向内側に臨んでいる。
【0066】
また、第2突起部25fには、屈曲部25f
4が設けられる。屈曲部25f
4は、基端部25f
1と先端部25f
2の間に位置する。屈曲部25f
4は、基端部25f
1から、
図8中、上側(駆動リング25の本体部25bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側)に屈曲する。屈曲部25f
4は、先端部25f
2まで、本体部25bの径方向内側に向かって屈曲する。
【0067】
基端部25f
1と先端部25f
2は、軸方向に離隔している。すなわち、基端部25f
1と先端部25f
2との間に間隙Sfが形成される。
【0068】
また、駆動リング25の外周面25dのうち、一対の第1突起部25eと第2突起部25fの間に位置する部位を、第1外周面25d
1とする。また、駆動リング25の外周面25dのうち、一対の第1突起部25eと第2突起部25fの周方向外側に位置する部位を、第2外周面25d
2とする。第1外周面25d
1は、第2外周面25d
2よりも、本体部25bの径方向内側に位置している。すなわち、切り欠き部25jは、第2外周面25d
2よりも、本体部25bの径方向内側まで延在している。
【0069】
第1接続部25mは、第1突起部25eの基端部25e
1および第2突起部25fの基端部25f
1と、第1外周面25d
1とを接続する部位である。第1接続部25mは、曲面形状となっている。第1外周面25d
1を含み軸方向に直交する断面において、第1接続部25mは、第1外周面25d
1より本体部25bから離隔する側(径方向外側)に曲率中心が位置する。第1外周面25d
1を含み軸方向に直交する断面において、第1接続部25mは、第1外周面25d
1から径方向外側に立ち上がっている。
【0070】
第2接続部25nは、第1突起部25eの基端部25e
1および第2突起部25fの基端部25f
1と、第2外周面25d
2とを接続する部位である。第2接続部25nは、曲面形状となっている。第2外周面25d
2を含み軸方向に直交する断面において、第2接続部25nは、第2外周面25d
2より本体部25bから離隔する側(径方向外側)に曲率中心が位置する。第2外周面25d
2を含み軸方向に直交する断面において、第2接続部25nは、第2外周面25d
2から径方向外側に立ち上がっている。
【0071】
また、
図7(a)および
図7(b)に示すように、第3突起部25g、第4突起部25hは、第1突起部25e、第2突起部25fと同構成の形状となっている。すなわち、第3突起部25gには、第1突起部25e、第2突起部25fと同様に、基端部25g
1、先端部25g
2、先端面25g
3、屈曲部25g
4が設けられる。第4突起部25hには、第1突起部25e、第2突起部25fと同様に、基端部25h
1、先端部25h
2、先端面25h
3、屈曲部25h
4が設けられる。
【0072】
ただし、第3突起部25gの先端面25g
3および第4突起部25hの先端面25h
3は、第1突起部25e、第2突起部25fの先端面25e
3、25f
3よりも、径方向内側に位置する。
【0073】
また、第3接続部25pは、第3突起部25gの基端部25g
1および第4突起部25hの基端部25h
1と、第2外周面25d
2とを接続する部位である。第3接続部25pは、曲面形状となっている。
【0074】
図9(a)は、比較例の駆動リングAの第1突起部Aa、第2突起部Abを本体部Acの径方向外側から見た図である。
図9(b)は、本実施形態の駆動リング25の第1突起部25e、第2突起部25fを本体部25bの径方向外側から見た図である。
【0075】
図9(a)に示すように、比較例の駆動リングAには、第1突起部Aaと第2突起部Abとの間に切り欠き部25jが設けられていない。例えば、第1突起部Aaがリンク板Bの先端部Baを押圧する場合、第1突起部Aaと端面Adとの境界部(図中、破線の丸で示す)に、応力集中が生じてしまう。同様に、第2突起部Abがリンク板Bの先端部Baを押圧する場合、第2突起部Abと端面Adとの境界部に、応力集中が生じてしまう。
【0076】
図9(b)に示すように、本実施形態の駆動リング25は、切り欠き部25jが形成されている。そのため、第1突起部25eや第2突起部25fが、リンク板27の先端部27dを押圧する場合に、応力集中を緩和することが可能となる。
【0077】
また、第3突起部25g、第4突起部25hの間にも、第1突起部25e、第2突起部25fと同様、切り欠き部25jが設けられている。そのため、第3突起部25g、第4突起部25hが駆動リンク板から押圧されたときの応力集中を、緩和することが可能となる。
【0078】
図10(a)は、第1変形例の駆動リング125の正面図である。
図10(b)は、第1変形例の駆動リング125の斜視図である。
図10(a)、
図10(b)に示すように、駆動リング125の本体部125bには、上述した実施形態と同様、複数の切り欠き部125jが形成される。切り欠き部125jは、一対の第1突起部125e、第2突起部125fの間に位置する。すなわち、一対の第1突起部125e、第2突起部125fの間には、間隙Sdが形成される。間隙Sdは、本体部125bを軸方向に貫通する。
【0079】
第3突起部125gは、本体部125bの周方向に第2突起部125fから離隔して形成される。同様に、第4突起部125hは、本体部125bの周方向に第1突起部125eから離隔して形成される。第3突起部125g、第4突起部125hは、第1突起部125e、第2突起部125fよりも、本体部125bの径方向内側まで延在している。また、第3突起部125gと第4突起部125hとの間には、第1突起部125e、第2突起部125fと同様に、切り欠き部125jが設けられている。すなわち、第3突起部125g、第4突起部125hの間には、一対の第1突起部125e、第2突起部125fの間と同様、間隙Sdが形成される。間隙Sdは、本体部125bを軸方向に貫通する。
【0080】
また、本体部125bにはスリット部125qが形成される。スリット部125qは、一対の第1突起部125e、第2突起部125fの径方向内側に位置する。スリット部125qは、本体部125bを軸方向に貫通する。また、同様に、スリット部125qは、本体部125bのうち、第3突起部125g、第4突起部125hの径方向内側に形成される。これらのスリット部125qは、切り欠き部125jにつながって(開口して)形成される。例えば、間隙Sdは、切り欠き部125jおよびスリット部125qで形成される空間であってもよい。ここで、切り欠き部125jの内壁面とスリット部125qの内壁面の境界部には、例えば段差などが形成されてもよい。切り欠き部125jの内壁面とスリット部125qの内壁面の境界部は、連続した平面であってもよい。
【0081】
図11は、第1変形例の駆動リング125の一部拡大図である。
図11に示すように、第1突起部125eの基端部125e
1は、本体部125bから屈曲する。第1突起部125eの先端部125e
2は、端面125kより、
図11中、上側(駆動リング125の本体部125bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側、駆動リング125の肉厚方向のベアリングハウジング2側、ノズルリング23から離隔する側)に突出している。同様に、第2突起部125fの基端部125f
1は、本体部125bから屈曲する。第2突起部125fの先端部125f
2は、端面125kより、
図11中、上側に突出している。
【0082】
第1突起部125eと本体部125bとの接続部分は、端面125k側、切り欠き部125j側共に、曲面形状となっている。同様に、第2突起部125fと本体部125bとの接続部分は、端面125k側、切り欠き部125j側共に、曲面形状となっている。また、スリット部125qのうち、本体部125bの周方向の端部125q
1は、曲面形状となっている。スリット部125qの端部125q
1の曲率中心は、端部125q
1よりも駆動リング125から離隔する側に位置する。
【0083】
ここで、端部125q
1は、以下に言い換えることができる。すなわち、
図10(a)において、本体部125bの径方向の中心位置と、スリット部125qの周方向の中心位置とを結ぶ結線(基準線)と、本体部125bの径方向の中心位置と、スリット部125qの周方向の任意の位置とを結ぶ結線がなす角の値を、角度値とする。例えば、角度値は、基準線から、
図10(a)中、時計回り方向が正、反時計回り方向が負の値で示されるものとする。このとき、端部125q
1は、角度値が最大(極大)となる位置、および、角度値が最小(極小)となる位置となる。
【0084】
また、端部125q
1は、
図10(a)に示すように、駆動リング125を正面に見たときに、中心角が90度の円弧形状となっている。ただし、端部125q
1の円弧形状の中心角は、90度以上であってもよいし、90度未満であってもよい。また、端部125q
1には、例えば、円弧形状の内壁面から径方向内側に延在する直線形状の内壁面が設けられてもよい。この場合、直線形状の内壁面と、第1突起部125e、第2突起部125fとの径方向の間にも、第2の円弧形状の内壁面が形成されてもよい。第2の円弧形状の内壁面の曲率中心は、第2の円弧形状の内壁面よりも、スリット部125qの周方向の中心側に位置する。このように、端部125q
1のうち、少なくとも、第1突起部125e、第2突起部125fとの接続部分の内壁面が、駆動リング125を正面に見たときに円弧形状となっていれば、応力集中を緩和できる。
【0085】
また、詳細な図示は省略するが、第3突起部125g、第4突起部125hも、第1突起部125e、第2突起部125fと同様の形状となっている。すなわち、第3突起部125gの基端部は、本体部125bから屈曲する。第3突起部125gの先端部は、端面125kより駆動リング125の本体部125bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側(駆動リング125の肉厚方向のベアリングハウジング2側、ノズルリング23から離隔する側)に突出している。同様に、第4突起部125hの基端部が本体部125bから屈曲する。第4突起部125hの先端部は、端面125kより駆動リング125の本体部125bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側(駆動リング125の肉厚方向のベアリングハウジング2側、ノズルリング23から離隔する側)に突出している(
図10(b)参照)。
【0086】
第1変形例においても、上述した実施形態と同様、本体部125bに切り欠き部125jが形成されている。そのため、第1突起部125eや第2突起部125fがリンク板27の先端部27dを押圧する場合に、応力集中を緩和することが可能となる。同様に、第3突起部125g、第4突起部125hも、駆動リンク板から押圧されたときの応力集中を緩和することが可能となる。
【0087】
図12(a)は、第2変形例の駆動リング225の正面図である。
図12(b)は、第2変形例の駆動リングの斜視図である。
図12(a)、
図12(b)に示すように、駆動リング225の本体部225bには、上述した実施形態および第1変形例と同様、複数の切り欠き部225jが形成される。切り欠き部225jは、一対の第1突起部225e、第2突起部225fの間に位置する。すなわち、一対の第1突起部225e、第2突起部225fの間には、間隙Sdが形成される。間隙Sdは、本体部225bを軸方向に貫通する。
【0088】
第3突起部225gは、本体部225bの周方向に第2突起部225fから離隔して形成される。同様に、第4突起部225hは、本体部225bの周方向に第1突起部225eから離隔して形成される。第3突起部225g、第4突起部225hは、第1突起部225e、第2突起部225fよりも、本体部225bの径方向内側まで延在している。また、第3突起部225g、第4突起部225hの間に、第1突起部225e、第2突起部225fと同様に、切り欠き部225jが設けられている。
【0089】
また、本体部225bには、曲面部225qが形成される。曲面部225qは、切り欠き部225jのうち、本体部225bの径方向内側の内壁面に位置する。また、曲面部225qの曲率中心は、曲面部225qより本体部225bの径方向外側に位置する。
【0090】
図13(a)は、第2変形例の切り欠き部225jが形成される前の駆動リング225の一部拡大図である。
図13(b)は、第2変形例の切り欠き部225jが形成された駆動リング225の一部拡大図である。
図13(a)に示すように、切り欠き部225jが形成される前は、第1突起部225eと第2突起部225fの間に本体部225bが延在している。第3突起部225g、第4突起部225hの間に本体部225bが延在している。言い換えると、本体部225bは環状に形成され、本体部225bを基部とし、周方向に離隔して、複数の第1突起部225eと第2突起部225f、第3突起部225g、第4突起部225hが、軸方向に立設している。例えば、このような形状の本体部225bに対し、切削などの機械加工を行うことで、切り欠き部225jおよび曲面部225qが形成される。
【0091】
第2変形例においても、上述した実施形態および第1変形例と同様、本体部225bに切り欠き部225jが形成されている。そのため、第1突起部225eや第2突起部225fがリンク板27の先端部27dを押圧する場合に、応力集中を緩和することが可能となる。同様に、第3突起部225g、第4突起部225hも、駆動リンク板から押圧されたときの応力集中を緩和することが可能となる。また、第2変形例では、切り欠き部225jの内壁面に曲面部225qが形成されている。そのため、応力集中がさらに緩和される。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0093】
上述した実施形態のように、第1突起部25eと第2突起部25fは、駆動リング25の外周面25dから径方向外側に突出する場合について説明した。第1突起部25eと第2突起部25fは、駆動リング25の本体部25bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側(駆動リング25の肉厚方向のベアリングハウジング2側、ノズルリング23から離隔する側)に屈曲する場合について説明した。この場合、本体部25bの軸方向の板厚に拘わらず、間隙Se、Sfによって、駆動リング25の本体部25bの中心軸方向(シャフト8の軸方向)のリンク板27側(駆動リング25の肉厚方向のベアリングハウジング2側、ノズルリング23から離隔する側)への第1突起部25eと第2突起部25fの突出高さを設計できる。例えば、第1突起部25eと第2突起部25fの突出高さを、本体部25bの軸方向の板厚よりも大きく確保できる。すなわち、板厚に関わらず、第1突起部25eと第2突起部25fにおけるリンク板27との当接面積を大きく確保することができる。そのため、第1突起部25eと第2突起部25fのリンク板27から受ける荷重に対する強度を向上することができる。
【0094】
また、第2外周面25d
2は、第1突起部25e、第2突起部25fよりも、本体部25bの径方向内側に位置する。そのため、第2外周面25d
2が第1突起部25e、第2突起部25fと同じ径方向位置まで延在する場合に比べ、軽量化することが可能となる。また、第1変形例、第2変形例においても、上述した実施形態と同様、第2外周面125d
2、225d
2を、第1突起部125e、225e、第2突起部125f、225fより径方向内側となるように切り欠いてもよい。
【0095】
また、上述した実施形態の第1突起部25eと第2突起部25fは、例えば、ヘム加工(ヘミング)によって容易に形成できる。コスト低減を図ることが可能となる。この場合、間隙Se、Sfを大きくすると、第1突起部25e、第2突起部25fのうち、リンク板27との当接面の変形を抑制することが可能となる。
【0096】
また、上述した実施形態では、駆動リング25の第1外周面25d
1は、第2外周面25d
2よりも径方向内側に位置する場合について説明した。この場合、第1接続部25mの曲率半径を大きく確保し、応力集中の緩和を図ることができる。ただし、第1外周面25d
1は、第2外周面25d
2と径方向の位置が等しくてもよいし、第2外周面25d
2より径方向外側に位置してもよい。また、第1接続部25mは、必須の構成ではない。基端部25e
1と第1外周面25d
1が直接接続されてもよい。ただし、第1接続部25mを設けることで、基端部25e
1の第1外周面25d
1側の応力集中を緩和することが可能となる。
【0097】
また、第2外周面25d
2は、
図7(a)、
図7(b)、
図8に示すよりも、径方向内側に位置してもよい。この場合、第2接続部25nの曲率半径を大きく確保し、応力集中の緩和を図ることができる。ただし、第2接続部25nは必須の構成ではない。基端部25e
1と第2外周面25d
2が直接接続されてもよい。ただし、第2接続部25nを設けることで、基端部25e
1の第2外周面25d
2側の応力集中を緩和することが可能となる。
【0098】
また、上述した第1変形例では、スリット部125qが設けられる場合について説明した。例えば、第1突起部125e、第2突起部125fをプレス加工で形成する場合、スリット部125qによって加工時の応力集中を緩和することが可能となる。また、プレス加工とすることで、駆動リング125のコスト低減を図ることができる。ただし、駆動リング125は、プレス加工に限らず、例えば、鍛造によって成型してもよい。この場合、スリット部125qは不要となる。また、プレス加工や鍛造の場合、第1突起部125e、第2突起部125fのうち、リンク板27との当接面を高い面精度で形成できる。
【0099】
また、上述した第2変形例では、切り欠き部225jの内壁面に曲面部225qが設けられる場合について説明した。ただし、曲面部225qは必須の構成ではない。
【0100】
また、上述した実施形態では、第3突起部25gの先端面25g
3は、第1突起部25e、第2突起部25fの先端面25e
3、25f
3よりも、径方向内側に位置する場合について説明した。同様に、第4突起部25hの先端面25h
3は、第1突起部25e、第2突起部25fの先端面25e
3、25f
3よりも、径方向内側に位置する場合について説明した。また、上述した第1変形例では、第3突起部125gは、第1突起部125e、第2突起部125fよりも本体部125bの径方向内側まで延在している場合について説明した。同様に、第4突起部125hは、第1突起部125e、第2突起部125fよりも本体部125bの径方向内側まで延在している場合について説明した。また、上述した第2変形例では、第3突起部225gは、第1突起部225e、第2突起部225fよりも本体部225bの径方向内側まで延在している場合について説明した。同様に、第4突起部225hは、第1突起部225e、第2突起部225fよりも本体部225bの径方向内側まで延在している場合について説明した。この場合、例えば、駆動リンク板の可動域が大きくとも、第3突起部25g、125g、225gおよび第4突起部25h、125h、225hと駆動リンク板との係合を外れ難くすることができる。
【0101】
ただし、第3突起部25gの先端面25g
3は、第1突起部25e、第2突起部25fの先端面25e
3、25f
3と径方向の位置が同じか、径方向外側に位置してもよい。同様に、第4突起部25hの先端面25h
3は、第1突起部25e、第2突起部25fの先端面25e
3、25f
3と径方向の位置が同じか、径方向外側に位置してもよい。また、第3突起部125gは、第1突起部125e、第2突起部125fと、径方向に同じ位置まで延在してもよい。また、第1突起部125e、第2突起部125fが、第3突起部125gよりも径方向内側まで延在してもよい。同様に、第4突起部125hは、第1突起部125e、第2突起部125fと、径方向に同じ位置まで延在してもよい。また、第1突起部125e、第2突起部125fが、第4突起部125hよりも径方向内側まで延在してもよい。また、第3突起部225gは、第1突起部225e、第2突起部225fと、径方向に同じ位置まで延在してもよい。また、第1突起部225e、第2突起部225fが、第3突起部225gよりも径方向内側まで延在してもよい。同様に、第4突起部225hは、第1突起部225e、第2突起部225fと、径方向に同じ位置まで延在してもよい。また、第1突起部225e、第2突起部225fが、第4突起部225hよりも径方向内側まで延在してもよい。