特許第6806240号(P6806240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806240
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】空調機管理システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20201221BHJP
   F24F 11/38 20180101ALI20201221BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20201221BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20201221BHJP
   F24F 120/10 20180101ALN20201221BHJP
【FI】
   F24F11/56
   F24F11/38
   F24F11/58
   F24F11/64
   F24F120:10
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-511136(P2019-511136)
(86)(22)【出願日】2018年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2018011202
(87)【国際公開番号】WO2018186174
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2019年10月3日
(31)【優先権主張番号】特願2017-76487(P2017-76487)
(32)【優先日】2017年4月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北出 幸生
(72)【発明者】
【氏名】川上 順祥
(72)【発明者】
【氏名】笠川 亜里奈
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 匡史
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−028387(JP,A)
【文献】 特開2006−350610(JP,A)
【文献】 特開2017−227417(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0292763(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104883379(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 − 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機(50)が設置されている地域に関する空調機設置地域情報を取得する第1取得部(12a)と、
前記空調機に対して、設置後の金属製部品の定期的な交換が必要な所定の地域に関するメンテナンス地域情報、および、前記第1取得部によって取得された前記空調機設置地域情報に基づいて、前記所定の地域に前記空調機が設置されているか否かを判定する判定部(22c)と、
金属製部品の定期的な交換に関する複数のメンテナンス情報から、少なくとも1つの前記メンテナンス情報を選択する選択部(22d)と、
を備える、空調機管理システム(100)。
【請求項2】
前記判定部による判定結果に基づいて、前記メンテナンス情報を提示する提示部(22e)をさらに備える、
請求項1に記載の空調機管理システム。
【請求項3】
前記選択部は、前記第1取得部によって取得された前記空調機設置地域情報に基づいて、複数の前記メンテナンス情報から、少なくとも1つの前記メンテナンス情報を選択し、
前記提示部は、前記判定部による判定結果に基づいて、前記選択部によって選択された前記メンテナンス情報を提示する、
請求項2に記載の空調機管理システム。
【請求項4】
前記選択部は、さらに、前記空調機の仕様に関する空調機仕様情報に基づいて、前記メンテナンス情報を選択する、
請求項3に記載の空調機管理システム。
【請求項5】
前記空調機の設置時間および運転時間の少なくとも一方を取得する第2取得部(12e)をさらに備え、
前記選択部は、さらに、前記第2取得部が取得した前記設置時間および前記運転時間の少なくとも一方に基づいて、前記メンテナンス情報を選択する、
請求項3または4に記載の空調機管理システム。
【請求項6】
前記空調機は、前記メンテナンス情報を報知する報知部(12d)を有し、
前記提示部は、前記メンテナンス情報を前記報知部に送る、
請求項2から5のいずれか1項に記載の空調機管理システム。
【請求項7】
前記空調機は、ネットワーク(60)を介して、空調機管理装置(20)に接続され、
前記空調機管理装置は、前記第1取得部および前記判定部の少なくとも1つを有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空調機管理システム。
【請求項8】
前記空調機は、前記第1取得部および前記判定部を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空調機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機のメンテナンスに利用される空調機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長期間の使用による経年劣化に見合った安全性の配慮を施すことを容易にする空調機が用いられている。例えば、特許文献1(特開2013−83437号公報)に開示されている空調機は、初回運転が開始された時からの経過時間を計測して、当該経過時間が所定の標準使用時間を超えたことを自動的に通知する。この空調機の利用者および管理者は、当該通知を受けて、空調機のメンテナンスを行う。空調機のメンテナンスとは、例えば、空調機の金属製部品の交換である。特に、屋外の冷媒配管および室外熱交換器等、外気に曝されている金属製部品は、空調機の長期間の使用により腐食して、冷媒漏洩の原因となりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、空調機が設置される地域によっては、外気に曝されている金属製部品の腐食が早く進行することがある。この場合、通常よりも高い頻度で金属製部品を交換する特別なメンテナンスが必要となる。そのような特別なメンテナンスが必要となる地域とは、例えば、海岸地帯、離島、温泉地および工場地帯である。海岸地帯および離島では、海水および潮風に含まれる塩分により、金属製部品が腐食しやすくなる。温泉地では、温泉の成分である硫化水素等の化学物質により、金属製部品が腐食しやすくなる。工場地帯では、工場から排出される煙に含まれる亜硫酸ガス等の化学物質により、金属製部品が腐食しやすくなる。そのため、これらの地域では、空調機の利用者および管理者は、外気に曝されている金属製部品の腐食による冷媒漏洩を予防するため、金属製部品の交換が必要となるタイミングを適切に把握しておくことが好ましい。
【0004】
本発明の目的は、所定のメンテナンスが必要な地域に設置されている空調機のメンテナンスを適切なタイミングで実施可能にする空調機管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空調機管理システムは、第1取得部と、判定部と、選択部とを備える。第1取得部は、空調機が設置されている地域に関する空調機設置地域情報を取得する。判定部は、空調機に対して、設置後の金属製部品の定期的な交換が必要な所定の地域に関するメンテナンス地域情報、および、第1取得部によって取得された空調機設置地域情報に基づいて、金属製部品の定期的な交換が必要な所定の地域に空調機が設置されているか否かを判定する。選択部は、金属製部品の定期的な交換に関する複数のメンテナンス情報から、少なくとも1つのメンテナンス情報を選択する。
【0006】
第1観点に係る空調機管理システムは、空調機の金属製部品の腐食が早く進行する地域等、空調機に対して、設置後の金属製部品の定期的な交換が必要な地域に空調機が設置されているか否かを判定することができる。そのため、例えば、空調機の管理者等は、空調機管理システムの判定結果に基づいて、金属製部品の交換のメンテナンスを適切なタイミングで実施できる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空調機管理システムは、第1観点に係る空調機管理システムであって、提示部をさらに備える。提示部は、判定部による判定結果に基づいて、メンテナンス情報を提示する。
【0008】
第2観点に係る空調機管理システムは、判定結果に基づいて、空調機のメンテナンスに関するメンテナンス情報を空調機の管理者等に提示する。この空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、提示されたメンテナンス情報に従って、空調機のメンテナンスを適切に実施できる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空調機管理システムは、第2観点に係る空調機管理システムであって、選択部は、第1取得部によって取得された空調機設置地域情報に基づいて、複数のメンテナンス情報から、少なくとも1つのメンテナンス情報を選択する。提示部は、判定部による判定結果に基づいて、選択部によって選択されたメンテナンス情報を提示する。
【0010】
第3観点に係る空調機管理システムは、空調機が設置されている地域に応じて、複数のメンテナンス情報から、当該空調機に適しているメンテナンス情報を選択して、空調機の管理者等に提示する。この空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機が設置されている地域に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0011】
本発明の第4観点に係る空調機管理システムは、第3観点に係る空調機管理システムであって、選択部は、さらに、空調機の仕様に関する空調機仕様情報に基づいて、メンテナンス情報を選択する。
【0012】
第4観点に係る空調機管理システムは、空調機の仕様に応じて、複数のメンテナンス情報から、当該空調機に適しているメンテナンス情報を選択して、空調機の管理者等に提示する。空調機の仕様とは、例えば、熱交換器および冷媒配管の材質および寸法である。この空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機の仕様に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0013】
本発明の第5観点に係る空調機管理システムは、第3観点または第4観点に係る空調機管理システムであって、第2取得部をさらに備える。第2取得部は、空調機の設置時間および運転時間の少なくとも一方を取得する。選択部は、さらに、第2取得部が取得した設置時間および運転時間の少なくとも一方に基づいて、メンテナンス情報を選択する。
【0014】
第5観点に係る空調機管理システムは、空調機の設置時間および運転時間の少なくとも一方に応じて、複数のメンテナンス情報から、当該空調機に適しているメンテナンス情報を選択して、空調機の管理者等に提示する。空調機の設置時間とは、例えば、空調機が設置された時からの経過時間である。空調機の運転時間とは、例えば、空調機の運転積算時間である。この空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機の設置時間および運転時間の少なくとも一方に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0015】
本発明の第6観点に係る空調機管理システムは、第2乃至第5観点のいずれか1つに係る空調機管理システムであって、空調機は、メンテナンス情報を報知する報知部を有する。提示部は、メンテナンス情報を報知部に送る。
【0016】
第6観点に係る空調機管理システムは、空調機の利用者および管理者等に、空調機のメンテナンスに関する情報を自動的に通知することができる。
【0017】
本発明の第7観点に係る空調機管理システムは、第1乃至第6観点のいずれか1つに係る空調機管理システムであって、空調機は、ネットワークを介して、空調機管理装置に接続される。空調機管理装置は、第1取得部および判定部の少なくとも1つを有する。
【0018】
第7観点に係る空調機管理システムは、ネットワークを介して空調機を遠隔管理するための空調機管理装置を備える。この空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機管理装置を用いて、複数の空調機のメンテナンスを効率的に実施できる。
【0019】
本発明の第8観点に係る空調機管理システムは、第1乃至第6観点のいずれか1つに係る空調機管理システムであって、空調機は、第1取得部および判定部を有する。
【0020】
第8観点に係る空調機管理システムは、管理対象の空調機に組み込まれている。この空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機のコントローラ等を用いて、ネットワークを介することなく空調機のメンテナンスを実施できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点に係る空調機管理システムは、空調機に対して、設置後の金属製部品の定期的な交換が必要な地域に空調機が設置されているか否かを判定することができる。
【0022】
本発明の第2観点に係る空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、提示されたメンテナンス情報に従って、空調機のメンテナンスを適切に実施できる。
【0023】
本発明の第3観点に係る空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機が設置されている地域に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0024】
本発明の第4観点に係る空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機の仕様に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0025】
本発明の第5観点に係る空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機の設置時間および運転時間の少なくとも一方に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0026】
本発明の第6観点に係る空調機管理システムは、空調機の利用者および管理者等に、空調機のメンテナンスに関する情報を自動的に通知することができる。
【0027】
本発明の第7観点に係る空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機管理装置を用いて、複数の空調機のメンテナンスを効率的に実施できる。
【0028】
本発明の第8観点に係る空調機管理システムでは、空調機の管理者等は、空調機のコントローラ等を用いて、ネットワークを介することなく空調機のメンテナンスを実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態の空調機管理システム100の全体構成を示す図である。
図2】物件1aの詳細な構成を示す図である。
図3】室外機51および室内機52の詳細な構成を示すブロック図である。
図4】ローカルコントローラ10aの構成を示すブロック図である。
図5】遠隔コントローラ20の構成を示すブロック図である。
図6】メンテナンス地域情報データベース23aの一例である。
図7】メンテナンス情報データベース23bの一例である。
図8】空調機管理システム100の動作を表すフローチャートである。
図9】変形例Aの空調機仕様情報データベース23cの一例である。
図10】変形例Bのローカルコントローラ10aの構成を示すブロック図である。
図11】変形例Jの空調機仕様情報データベース123cの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態に係る空調機管理システム100について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
(1)全体構成
図1は、空調機管理システム100の全体構成を示す図である。空調機管理システム100は、複数の物件1a,1b,・・・内にそれぞれ設置されている複数の空調機50を管理するためのシステムである。
【0032】
物件1a,1b,・・・は、様々な地域に存在する。物件1a,1b,・・・内には、主に、ローカルコントローラ10a,10b,・・・と、空調システム40a,40b,・・・とが設置されている。各ローカルコントローラ10a,10b,・・・は、自身が設置されている物件1a,1b,・・・内の空調システム40a,40b,・・・を管理する。空調システム40a,40b,・・・は、複数の空調機50から構成されている(図2参照)。各物件1a,1b,・・・内のローカルコントローラ10a,10b,・・・は、インターネット等の通信ネットワーク60を介して、遠隔コントローラ20に接続されている。
【0033】
図2は、物件1aの詳細な構成を示す図である。その他の物件1b,・・・も、物件1aと同様の構成を有する。図2に示されるように、物件1aには、ローカルコントローラ10aと、複数の空調機50とが設置されている。ローカルコントローラ10aは、空調機専用通信線62によって、複数の空調機50に接続されている。
【0034】
空調機50は、主に、室外機51a,51b,51c,・・・(以下、まとめて「室外機51」と表記する。)と、室内機52a,52b,52c,52d,52e,52f,52g,52h,52i,・・・(以下、まとめて「室内機52」と表記する。)とから構成されている。ローカルコントローラ10aは、空調機専用通信線62によって、各室外機51に接続されている。各室外機51は、空調機専用通信線62によって、複数の室内機52に接続されている。
【0035】
(2)詳細構成
(2−1)空調機の構成
空調機50は、主に、室外機51と室内機52とを含む。図3は、室外機51および室内機52の詳細な構成を示すブロック図である。
【0036】
室外機51は、圧縮機、熱交換器、膨張機構およびファン等を備える。室外機51は、物件1aの屋外に設置されている。室内機52は、熱交換器およびファン等を備える。室内機52は、物件1a内の部屋に設置されている。室外機51および室内機52は、冷媒配管によって接続されることで、冷媒回路を構成する。室外機51および室内機52には、様々なセンサが取り付けられている。例えば、室内機52には、設置されている部屋の温度を検出する室温センサが取り付けられている。例えば、室外機51には、外気の温度を検出する外気温センサ、圧縮機の吐出管を流れる冷媒の温度である吐出温度を検出する吐出温センサ、圧縮機の吐出管を流れる冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧センサ、圧縮機の吸入管を流れる冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧センサ等が取り付けられている。
【0037】
空調機50の利用者および管理者は、空調機50に付属するリモコン53を操作して、空調機50を制御することができる。リモコン53は、室内機52と近距離無線通信を行うことができる。
【0038】
室外機51および室内機52は、それぞれ、プリント基板51p,52pを有する。プリント基板51p,52pは、電子回路を構成する電子部品が固定され、かつ、電子部品同士が電気的に接続されるように配線されている基板である。電子部品は、例えば、集積回路、抵抗器、コンデンサおよびトランジスタである。プリント基板51p,52pは、それぞれ、通信部51a,52aと、制御部51b,52bと、記憶部51c,52cとを有する。
【0039】
通信部51a,52aは、空調機専用通信線62のためのインタフェースである。通信部51a,52aは、制御部51b,52bからの命令に従って、空調機専用通信線62に信号を送信し、または、空調機専用通信線62から信号を受信する。
【0040】
制御部51b,52bは、ローカルコントローラ10aを介して空調機50の管理者によって入力された制御命令、および、リモコン53を介して空調機50の利用者および管理者によって入力された制御命令に従って、室外機51および室内機52の動作を制御する。これにより、制御部51b,52bは、冷媒回路に含まれる圧縮機等の動作を制御する。
【0041】
制御部51b,52bは、室外機51または室内機52に関するデータを通信部51a,52aを介してローカルコントローラ10aに送信する。例えば、制御部51b,52bは、所定の間隔(例えば1分)で各種センサによって検出された値を、運転情報としてローカルコントローラ10aに送信する。また、制御部51b,52bは、リモコン53を介して制御命令が入力されると、入力された制御命令を通信部51a,52aを介して直ちにローカルコントローラ10aに送信する。
【0042】
記憶部51c,52cは、例えば、EEPROMである。記憶部51c,52cは、プリント基板51p,52pに固有のシリアル番号、製品機種コード、室外機51および室内機52の機番等を記憶する。
【0043】
(2−2)ローカルコントローラの構成
図4は、ローカルコントローラ10aの構成を示すブロック図である。他のローカルコントローラ10b,・・・も同様の構成を有する。
【0044】
ローカルコントローラ10aは、物件1a内の管理室等に設置されているコンピュータである。ローカルコントローラ10aは、同じ物件1a内に設置されている空調機50を管理するためのコンピュータである。ローカルコントローラ10aは、空調機50の異常を検出したり、空調機50の運転スケジュールの入力を受け付けたり、当該運転スケジュールに従って空調機50の運転を制御したりする。ローカルコントローラ10aは、インターネット等の広域の通信ネットワーク60に接続され、通信ネットワーク60を介して遠隔コントローラ20に接続されている。ローカルコントローラ10aは、物件1a内において、LAN等の空調機専用通信線62を介して各空調機50に接続されている。
【0045】
図4に示されるように、ローカルコントローラ10aは、主に、ネットワーク側通信部11aと、空調側通信部11bと、制御部12と、記憶部13と、出力部14と、入力部15とを備える。
【0046】
ネットワーク側通信部11aは、通信ネットワーク60のためのインタフェースである。ネットワーク側通信部11aは、通信ネットワーク60にローカルコントローラ10aを接続することを可能にする。
【0047】
空調側通信部11bは、空調機専用通信線62のためのインタフェースである。空調側通信部11bは、空調機専用通信線62にローカルコントローラ10aを接続することを可能にする。
【0048】
制御部12は、主に、CPUからなる。制御部12は、ローカルコントローラ10a用の制御プログラムである、設置地域情報取得部12a、メンテナンス判定指示部12b、メンテナンス情報取得部12cおよびメンテナンス情報報知部12dを実行する。これらのプログラムの動作については、後述する。
【0049】
記憶部13は、主に、RAM、HDDおよびSSD等の記憶装置からなる。記憶部13は、制御部12が実行するプログラムによって使用されるデータを記憶する。例えば、記憶部13は、設置地域情報13aおよびメンテナンス情報13bを記憶する。これらの情報については、後述する。
【0050】
出力部14および入力部15は、例えば、タッチパネル機能およびスピーカ機能付きディスプレイとして一体的に構成されている。ディスプレイ上には、空調機50に対する制御命令の入力を受け付けるボタン等が配置される入力画面が表示される。ディスプレイに表示されるボタンに、空調機50の管理者が触れることで、そのボタンに対応する処理がローカルコントローラ10a内で実行される。
【0051】
ローカルコントローラ10aには、GPS16が取り付けられている。GPS16は、GPS衛星からの信号を受信して、自身の現在位置の緯度および経度を取得する。GPS16は、室外機51および室内機52等、空調機50に取り付けられてもよい。
【0052】
(2−3)遠隔コントローラの構成
遠隔コントローラ20は、通信ネットワーク60を介して、物件1a,1b,・・・内のローカルコントローラ10a,10b,・・・に接続されている。遠隔コントローラ20は、実際には、クラウド上に構築されたサーバである。以下において、遠隔コントローラ20は、1台のサーバから構成されているとする。しかし、遠隔コントローラ20は、複数台のサーバから構成されているコンピュータ群であってもよい。
【0053】
図5は、遠隔コントローラ20の構成を示すブロック図である。遠隔コントローラ20は、主に、通信部21、制御部22および記憶部23を有する。
【0054】
通信部21は、通信ネットワーク60のためのインタフェースである。通信部21は、通信ネットワーク60に遠隔コントローラ20を接続することを可能にする。
【0055】
制御部22は、主にCPUからなる。制御部22は、遠隔コントローラ20用の制御プログラムである、情報受信部22aと、遠隔管理部22bと、メンテナンス要否判定部22cと、メンテナンス情報選択部22dと、メンテナンス情報送信部22eとを実行する。
【0056】
情報受信部22aは、ローカルコントローラ10a,10b,・・・から送信されてきた情報を、通信部21を介して受信し、記憶部23に記憶させる。情報受信部22aが受信する情報は、例えば、空調機情報、異常発報データおよび日報データである。空調機情報は、例えば、機番、機種コード、機種名および設置場所等、空調機50に関する情報である。異常発報データは、空調機50に発生した異常に関する情報をまとめたデータである。日報データは、空調機50の運転情報を日報としてまとめたデータである。
【0057】
遠隔管理部22bは、記憶部23に記憶されている異常発報データおよび日報データ等に基づいて、各空調機50を管理する。遠隔管理部22bは、例えば、空調機50の異常を検出した場合に、当該空調機50を特定し、当該空調機50にサービスマンを派遣するための処理を行う。例えば、遠隔管理部22bは、サービスマンへのeメールによる通報を行う。
【0058】
メンテナンス要否判定部22c、メンテナンス情報選択部22dおよびメンテナンス情報送信部22eの動作については、後述する。
【0059】
記憶部23は、主に、RAM、HDDおよびSSD等の記憶装置からなる。記憶部23は、空調機情報、異常発報データおよび日報データを記憶する。また、記憶部23は、次に説明するメンテナンス地域情報データベース23aおよびメンテナンス情報データベース23bを記憶する。
【0060】
図6は、メンテナンス地域情報データベース23aの一例である。メンテナンス地域情報データベース23aは、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域に関するデータベースである。ここで、メンテナンスとは、例えば、空調機50の金属製部品の定期的な交換作業である。この場合、定期的な交換対象となる金属製部品は、具体的には、屋外に設置される冷媒配管、および、室外機51の熱交換器等、外気に曝されている部品である。これらの部品は、外気に含まれる様々な物質に起因して、空調機50の長期間の使用により徐々に腐食することで、冷媒漏洩の原因となりやすい。また、特別なメンテナンスとは、空調機50が設置される地域によっては、メンテナンス時に交換対象となる金属製部品の腐食が進行しやすいため、通常よりも高い頻度で金属製部品を交換する必要があるメンテナンスである。空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域とは、例えば、海岸地帯、離島、温泉地および工場地帯である。海岸地帯および離島では、海水および潮風に含まれる塩分により、外気に曝されている金属製部品が腐食しやすい。温泉地では、温泉の成分である硫化水素等の化学物質により、外気に曝されている金属製部品が腐食しやすい。工場地帯では、工場から排出される煙に含まれる亜硫酸ガス等の化学物質により、外気に曝されている金属製部品が腐食しやすい。
【0061】
メンテナンス地域情報データベース23aは、メンテナンス地域情報101と、メンテナンス位置情報102とが関連付けられたデータベースである。メンテナンス地域情報101とは、特別なメンテナンスが必要な地域を表す情報である。具体的には、メンテナンス地域情報101は、特別なメンテナンスが必要な地域を特定可能な文字列であり、例えば、「WW海岸地帯」、「XX温泉地」、「YY島」および「ZZ工場地帯」である。メンテナンス位置情報102は、対応するメンテナンス地域情報101が存在する位置を表す情報である。メンテナンス位置情報102は、例えば、対応するメンテナンス地域情報101が表す地域の住所、郵便番号および地理的範囲である。地理的範囲とは、例えば、対応するメンテナンス地域情報101が表す地域の東西南北端点の緯度および経度である。本実施形態では、図6に示されるように、メンテナンス位置情報102として、対応するメンテナンス地域情報101が表す地域の郵便番号が格納されている。なお、メンテナンス地域情報101によっては、対応するメンテナンス位置情報102として格納される住所および郵便番号が、複数存在する場合もある。
【0062】
図7は、メンテナンス情報データベース23bの一例である。メンテナンス情報データベース23bは、空調機50に対する特別なメンテナンスに関するデータベースである。メンテナンス情報データベース23bは、メンテナンス地域情報201と、メンテナンス情報202とが関連付けられたデータベースである。メンテナンス地域情報201は、メンテナンス地域情報データベース23aのメンテナンス地域情報101と同じデータである。メンテナンス情報202は、対応するメンテナンス地域情報201が表す地域に設置されている空調機50に対する特別なメンテナンスに関する情報である。具体的には、メンテナンス情報202は、例えば、空調機50の金属製部品の交換年数、および、空調機50の金属製部品の最適な材質である。図7では、メンテナンス情報202として、空調機50の金属製部品の交換年数が格納されている。例えば、メンテナンス情報202に格納されているデータが「5年」である場合、当該メンテナンス情報202に対応するメンテナンス地域情報201が表す地域に設置されている空調機50の金属製部品は、特別なメンテナンスによって5年ごとに交換される必要がある。この場合、金属製部品の交換年数は、5年である。特別なメンテナンスによって交換対象となる金属製部品は、上述したように、外気に曝されて腐食しやすい金属製部品である。なお、特別なメンテナンスが必要ではない地域に設置されている空調機50に関しては、外気に曝されている金属製部品は、10年ごとに交換される必要があるとする。図7に示されるメンテナンス情報202は、全て、特別なメンテナンスが必要である地域に設置されている空調機50に関するので、メンテナンス情報202には、10年よりも短い年数が格納されている。
【0063】
メンテナンス地域情報データベース23aおよびメンテナンス情報データベース23bは、空調機管理システム100が空調機50の管理を開始する前に、遠隔コントローラ20の記憶部23に既に記憶されている。すなわち、空調機50の管理者は、メンテナンス地域情報データベース23aおよびメンテナンス情報データベース23bを予め準備して、遠隔コントローラ20の記憶部23に記憶させておく。
【0064】
(3)動作
図8は、空調機管理システム100の動作を表すフローチャートである。次に、図8を参照しながら、空調機管理システム100が、特別なメンテナンスが必要な地域に設置されている空調機50の管理者に、空調機50のメンテナンスに関する情報を提示する処理について説明する。以下において、空調機50は、物件1aに設置され、ローカルコントローラ10aによって管理されるとする。
【0065】
最初に、ローカルコントローラ10aは、自身が管理する空調機50が設置されている地域に関する情報を取得する(ステップS1)。具体的には、ローカルコントローラ10aの設置地域情報取得部12aは、GPS16を用いて、空調機50が設置されている位置に関する空調機位置情報を取得する。空調機位置情報としては、例えば、経緯度データ、住所および郵便番号が用いられる。経緯度データは、GPS16が受信した経度および緯度に関するデータである。住所は、例えば、経緯度データと、地図データとから取得される。郵便番号は、例えば、経緯度データと、地図データと、郵便番号データベースとから取得される。地図データおよび郵便番号データベースは、空調機50の管理者によって入力されるか、インターネット等を介して制御部12が取得することにより、ローカルコントローラ10aの記憶部13に予め記憶されている。本実施形態では、空調機位置情報として、空調機50が設置されている物件1a,1b,・・・の郵便番号が用いられるとする。
【0066】
次に、ローカルコントローラ10aは、遠隔コントローラ20に対して、自身が管理する空調機50が特別なメンテナンスを必要とするか否かを問い合わせる(ステップS2)。具体的には、ローカルコントローラ10aのメンテナンス判定指示部12bは、空調機50が特別なメンテナンスを必要とするか否かを判定するように、遠隔コントローラ20に要求する。このとき、メンテナンス判定指示部12bは、設置地域情報取得部12aが取得した空調機位置情報を、遠隔コントローラ20に送信する。
【0067】
次に、遠隔コントローラ20は、ローカルコントローラ10aの要求に応じて、ローカルコントローラ10aから受信した空調機位置情報に対応する空調機50が、特別なメンテナンスを必要とするか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、遠隔コントローラ20のメンテナンス要否判定部22cは、記憶部23に記憶されているメンテナンス地域情報データベース23aと、受信した空調機位置情報とを照合する。メンテナンス要否判定部22cは、メンテナンス地域情報データベース23aに、受信した空調機位置情報である郵便番号が格納されているメンテナンス位置情報102を有するレコードが存在する場合、受信した空調機位置情報に対応する空調機50が特別なメンテナンスを必要とすると判定する。
【0068】
次に、遠隔コントローラ20は、ローカルコントローラ10aから受信した空調機位置情報に対応する空調機50が特別なメンテナンスを必要とすると判定した場合に、当該特別なメンテナンスに関する情報を取得する(ステップS4)。具体的には、遠隔コントローラ20のメンテナンス情報選択部22dは、メンテナンス地域情報データベース23aおよびメンテナンス情報データベース23bを参照して、受信した空調機位置情報に対応するメンテナンス情報202を取得する。例えば、図6に示されるメンテナンス地域情報データベース23aにおいて、受信した空調機位置情報に対応するメンテナンス地域情報101が「XX温泉地」であるとする。この場合、図7に示されるメンテナンス情報データベース23bにおいて、「XX温泉地」であるメンテナンス地域情報201に対応するメンテナンス情報202は「5年」である。そのため、メンテナンス情報選択部22dは、受信した空調機位置情報に対応する空調機50の特別なメンテナンスに関する情報として、「5年」という、特別なメンテナンスに関する情報を取得する。このように、メンテナンス情報選択部22dは、メンテナンス情報データベース23bに格納される複数のメンテナンス情報202から、ローカルコントローラ10aから受信した空調機位置情報に対応する空調機50のために、1つのメンテナンス情報202を選択する。
【0069】
次に、遠隔コントローラ20は、特別なメンテナンスに関する情報を、ローカルコントローラ10aに送信する(ステップS5)。具体的には、遠隔コントローラ20のメンテナンス情報送信部22eは、特別なメンテナンスに関する情報等を空調機50の管理者に提示する。より具体的には、メンテナンス情報送信部22eは、受信した空調機位置情報を送信したローカルコントローラ10aに、当該空調機位置情報に対応する空調機50が特別なメンテナンスを必要とすること、および、当該特別なメンテナンスに関する情報を送信する。先の例の場合、特別なメンテナンスに関する情報とは、メンテナンス情報202の内容である「5年」というデータである。
【0070】
次に、ローカルコントローラ10aは、特別なメンテナンスに関する情報を、遠隔コントローラ20から受信する(ステップS6)。具体的には、ローカルコントローラ10aのメンテナンス情報取得部12cは、自身が管理する空調機50が特別なメンテナンスを必要とすること、および、当該特別なメンテナンスに関する情報を受信する。先の例の場合、ローカルコントローラ10aは、自身が管理する空調機50の金属製部品であって、外気に曝されているために定期的な交換対象となる部品が、5年ごとに交換される必要があるという、特別なメンテナンスに関する情報を受信する。
【0071】
次に、ローカルコントローラ10aは、特別なメンテナンスに関する情報を、空調機50の管理者に通知する(ステップS7)。具体的には、ローカルコントローラ10aのメンテナンス情報報知部12dは、特別なメンテナンスが必要であること、および、特別なメンテナンスに関する情報を、遠隔コントローラ20のメンテナンス情報送信部22eから受信して、空調機50の管理者に報知する。先の例の場合、管理者は、自身が管理する空調機50の金属製部品であって、外気に曝されているために定期的な交換対象となる部品が、5年ごとに交換される必要があることが報知される。そのため、管理者は、報知された内容に基づいて、空調機50に対して特別なメンテナンスを行うことができる。メンテナンス情報報知部12dは、例えば、ローカルコントローラ10aの出力部14であるディスプレイに所定の情報を表示して、空調機50の管理者に、特別なメンテナンスに関する情報を通知してもよい。また、メンテナンス情報報知部12dは、例えば、室内機52のリモコン53の液晶表示部およびLED等に所定の情報を表示して、空調機50の利用者に、特別なメンテナンスに関する情報を通知してもよい。また、メンテナンス情報報知部12dは、特別なメンテナンスに関する情報を、空調機50の利用者および管理者の携帯端末にメール等で配信してもよい。この場合、メンテナンス情報報知部12dは、空調機50の利用者および管理者に合わせて、特別なメンテナンスに関する情報を配信してもよい。
【0072】
なお、遠隔コントローラ20は、ローカルコントローラ10aから受信した空調機位置情報に対応する空調機50が、特別なメンテナンスを必要としないと判定した場合に、判定結果をローカルコントローラ10aに送信する(ステップS8)。これにより、空調機50の管理者は、特別なメンテナンスを必要とせずに、空調機50を管理することができる。
【0073】
図8に示される一連の処理、すなわち、特別なメンテナンスの要否を判定して報知する処理は、所定のタイミングで実行される。例えば、物件1aに空調機50が設置された時刻である設置時刻から、所定の時間が経過した時に、図8に示される処理が実行されてもよい。また、設置時刻から、図8に示される処理が常時実行されてもよい。また、設置時刻から、図8に示される処理が定期的に実行されてもよい。また、空調機50の管理者等の要求に応じて、図8に示される処理が実行されてもよい。この場合、空調機50の管理者等は、例えば、ローカルコントローラ10aを操作して、遠隔コントローラ20に、特別なメンテナンスの要否を判定するよう要求する。なお、図8に示される処理が実行されるタイミングの基準として、設置時刻の代わりに、物件1aに設置された空調機50に初めて電源が投入された時刻が用いられてもよい。
【0074】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の空調機管理システム100は、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域に関する情報と、空調機50が設置されている地域に関する情報とに基づいて、特別なメンテナンスが必要な地域に空調機50が設置されているか否かを判定する。具体的には、遠隔コントローラ20は、ローカルコントローラ10aから受信した空調機位置情報と、メンテナンス地域情報データベース23aとを照合して、空調機位置情報に対応する空調機50が、特別なメンテナンスが必要な地域に設置されているか否かを判定し、判定結果をローカルコントローラ10aに送信する。
【0075】
そのため、空調機50の外気に曝されている金属製部品の経年劣化が進行しやすい、特別なメンテナンスが必要な地域に空調機50が設置されている場合でも、空調機50の管理者は、遠隔コントローラ20の判定結果に基づいて、空調機50の金属製部品の交換等のメンテナンスを適切なタイミングで実施できる。従って、この空調機管理システム100は、特別なメンテナンスが必要な地域に設置されている空調機50のメンテナンスを適切なタイミングで実施可能にする。
【0076】
(4−2)
本実施形態の空調機管理システム100は、空調機50に対する特別なメンテナンスに関する情報を記憶する。具体的には、遠隔コントローラ20は、空調機50に対する特別なメンテナンスに関する情報が格納されるメンテナンス情報データベース23bを記憶している。
【0077】
そのため、遠隔コントローラ20は、特別なメンテナンスが必要な地域に空調機50が設置されていると判定した場合に、判定結果と共に、当該特別なメンテナンスに関する情報をローカルコントローラ10aに送信することができる。これにより、ローカルコントローラ10aを用いて空調機50を管理する管理者は、空調機50に必要な特別なメンテナンスに関する情報が報知される。従って、この空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、報知されたメンテナンス情報に従って、空調機50のメンテナンスを適切に実施できる。
【0078】
(4−3)
本実施形態の空調機管理システム100は、特別なメンテナンスが必要な地域に空調機50が設置されていると判定された場合に、空調機50が設置されている地域に応じて、複数のメンテナンス情報から、当該空調機50に適しているメンテナンス情報を選択する。具体的には、遠隔コントローラ20は、メンテナンス情報データベース23bに格納される複数のメンテナンス情報202から、ローカルコントローラ10aから受信した空調機位置情報に基づいて1つのメンテナンス情報202を選択して、選択したメンテナンス情報202の内容をローカルコントローラ10aに送信する。
【0079】
そのため、遠隔コントローラ20は、空調機50の設置されている地域に応じて環境が異なる場合でも、当該環境に応じた特別なメンテナンスに関する情報をローカルコントローラ10aに送信することができる。
【0080】
例えば、空調機50が設置されている複数の物件1a,1b,・・・が海岸地帯にある場合、物件1a,1b,・・・が海に近いほど、空調機50の金属製部品が塩分によって腐食しやすい。この場合、海からの距離に応じて複数の地域(特別なメンテナンスが必要な地域)を設定して、海からの距離がより短い地域において、空調機50の金属製部品の交換年数がより短くなるように、メンテナンス地域情報データベース23aおよびメンテナンス情報データベース23bが設定される。そのため、遠隔コントローラ20は、メンテナンス情報データベース23bに格納される複数のメンテナンス情報202から、海からの距離に応じて適切なメンテナンス情報202を選択して、空調機50の管理者に通知できる。
【0081】
従って、この空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、空調機50が設置されている地域に応じた特別なメンテナンスを実施できる。
【0082】
(4−4)
本実施形態の空調機管理システム100では、空調機50は、通信ネットワーク60を介して、遠隔コントローラ20に接続される。遠隔コントローラ20は、空調機50を遠隔管理するためのクラウド上のサーバである。図1に示されるように、遠隔コントローラ20は、複数の物件1a,1b,・・・のそれぞれに設置される空調システム40a,40b,・・・を、ローカルコントローラ10aを介して遠隔管理することができる。
【0083】
従って、この空調機管理システム100は、複数の空調機50の管理を効率的に実施できる。例えば、空調機管理システム100は、各空調機50の管理者に、各空調機50が設置されている地域に応じた特別なメンテナンスに関する情報を報知することができる。
【0084】
(5)変形例
本発明の実施形態に対する適用可能な変形例について説明する。
【0085】
(5−1)変形例A
実施形態の空調機管理システム100では、遠隔コントローラ20の記憶部23は、図7に示されるようなメンテナンス情報データベース23bを記憶する。遠隔コントローラ20のメンテナンス情報選択部22dは、メンテナンス情報データベース23bに格納されている複数のメンテナンス情報202から、空調機50が設置されている地域に基づいて、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報を含むメンテナンス情報202を選択する。図7では、メンテナンス情報202として、空調機50の金属製部品の交換年数が格納されている。
【0086】
しかし、空調機管理システム100では、遠隔コントローラ20の記憶部23は、メンテナンス情報データベース23bと共に、空調機50の仕様に関する空調機仕様情報が格納されている空調機仕様情報データベース23cを記憶してもよい。この場合、メンテナンス情報選択部22dは、空調機50が設置されている地域に加えて、空調機仕様情報データベース23cに格納されている空調機仕様情報に基づいて、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報を取得する。
【0087】
図9は、空調機仕様情報データベース23cの一例である。空調機仕様情報データベース23cは、空調機仕様情報301とメンテナンス補正情報302とが関連付けられたデータベースである。空調機仕様情報301は、例えば、室外機51の熱交換器、および、屋外の冷媒配管の仕様に関する情報である。具体的には、空調機仕様情報301は、室外機51の熱交換器の場合、熱交換器の設置場所、材質、寸法および外気露出面積等であり、屋外の冷媒配管の場合、冷媒配管の材質、寸法および外気露出面積等である。図9では、空調機50の仕様の例として、空調機仕様情報301には、屋外の冷媒配管の材質、および、室外機51の設置場所が格納されている。メンテナンス補正情報302は、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報の補正に関する。図9では、メンテナンス補正情報302には、メンテナンス情報データベース23bに格納されているメンテナンス情報202である、空調機50の金属製部品の交換年数を基準とする、交換年数の補正値が格納される。
【0088】
ここで、交換年数の補正値の例について、図7および図9に基づいて説明する。例えば、「XX温泉地」にある物件1aに空調機50が設置されている場合、当該空調機50の外気に曝されている金属製部品は、図7に示されるように、5年ごとに交換される必要がある。この場合、交換年数の基準値は、5年である。すなわち、交換年数の基準値は、メンテナンス情報データベース23bのメンテナンス情報202に格納されている値である。このように、交換年数の基準値は、空調機50が設置されている地域のみに基づいている。この場合、図9に示されるように、外気に曝されている金属製部品である、屋外の冷媒配管の材質が銅である場合、メンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値はゼロ年である。そのため、屋外の冷媒配管の材質という仕様に基づき、「XX温泉地」に設置される空調機50の銅製の冷媒配管の交換年数は、基準値と同じ5年となる。しかし、屋外の冷媒配管の材質が鉄である場合、当該冷媒配管は、銅製の配管と比べて腐食しにくい。図9では、屋外の冷媒配管の材質が鉄である場合、メンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値はプラス1年である。そのため、屋外の冷媒配管の材質という仕様に基づき、「XX温泉地」に設置される空調機50の鉄製の冷媒配管の交換年数は、基準値の5年より1年長い6年となる。また、屋外の冷媒配管の材質がステンレスである場合、当該冷媒配管は、銅製および鉄製の配管と比べて腐食しにくい。図9では、屋外の冷媒配管の材質がステンレスである場合、メンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値はプラス3年である。そのため、屋外の冷媒配管の材質という仕様に基づき、「XX温泉地」に設置される空調機50のステンレス製の冷媒配管の交換年数は、基準値の5年より3年長い8年となる。このようにして、メンテナンス情報選択部22dは、図7に示されるメンテナンス情報202に格納されている交換年数の基準値、および、図9に示されるメンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値を選択して、空調機50の金属製部品の交換年数を取得する。
【0089】
交換年数の補正値の他の例として、「ZZ工場地帯」にある物件1aに空調機50が設置されている場合、当該空調機50の外気に曝されている金属製部品である、室外機51の熱交換器は、図7に示されるように、6年ごとに交換される必要がある。この場合、室外機51の熱交換器の交換年数の基準値は、6年である。この場合、図9に示されるように、空調機50の室外機51の設置場所が物件1aの地上である場合、メンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値は0年である。そのため、室外機51の設置場所という仕様に基づき、「ZZ工場地帯」に設置される空調機50の、地上に設置される室外機51の熱交換器の交換年数は、基準値と同じ6年となる。しかし、室外機51の設置場所が物件1aの屋上である場合、設置場所が地上である場合と比べて、当該室外機51の熱交換器は、工場から排出される煙に含まれる化学物質に曝されやすいので劣化しやすい。図9では、室外機51の設置場所が物件1aの屋上である場合、メンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値はマイナス1年である。そのため、室外機51の設置場所という仕様に基づき、「ZZ工場地帯」に設置される空調機50の、屋上に設置される室外機51の熱交換器の交換年数は、基準値の6年より1年短い5年となる。また、室外機51の設置場所が半地下である場合、設置場所が地上である場合と比べて、当該室外機51の熱交換器は、工場から排出される煙に含まれる化学物質に曝されにくいので劣化しにくい。図9では、室外機51の設置場所が物件1aの半地下である場合、メンテナンス補正情報302に格納されている交換年数の補正値はプラス2年である。そのため、室外機51の設置場所という仕様に基づき、「ZZ工場地帯」に設置される空調機50の、半地下に設置される室外機51の熱交換器の交換年数は、基準値の6年より2年長い8年となる。
【0090】
本変形例では、ローカルコントローラ10aは、自身が管理する空調機50の仕様に関する情報を、遠隔コントローラ20に送信する機能を有する。遠隔コントローラ20は、ローカルコントローラ10aから受信した空調機50の設置場所および仕様に関する情報に基づいて、メンテナンス情報データベース23bおよび空調機仕様情報データベース23cを参照して、空調機50の金属製部品の交換年数を取得することができる。従って、この空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、空調機50の仕様に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0091】
(5−2)変形例B
実施形態の空調機管理システム100では、遠隔コントローラ20の記憶部23は、図7に示されるようなメンテナンス情報データベース23bを記憶する。遠隔コントローラ20のメンテナンス情報選択部22dは、メンテナンス情報データベース23bに格納されている複数のメンテナンス情報202から、空調機50が設置されている地域に基づいて、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報を含むメンテナンス情報202を選択する。
【0092】
しかし、空調機管理システム100では、メンテナンス情報選択部22dは、さらに、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方に基づいて、複数のメンテナンス情報202から、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報を含むメンテナンス情報202を選択してもよい。
【0093】
図10は、本変形例のローカルコントローラ10aの構成を示すブロック図である。このローカルコントローラ10aには、タイマー17が取り付けられている。制御部12は、設置運転時間取得部12eをさらに実行する。設置運転時間取得部12eは、タイマー17を用いて、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方を取得する。空調機50の設置時間とは、例えば、空調機50が設置された時からの経過時間である。空調機50の設置時間は、空調機50が通電していない時間を含む。空調機50の運転時間とは、例えば、空調機50の運転積算時間、または、サーモオフ運転時間を含む通電積算時間である。
【0094】
なお、空調機50の設置時間としては、空調機50が設置された時からの経過日数、経過月数および経過年数のいずれが用いられてもよい。同様に、空調機50の運転時間としては、空調機50の運転日数、運転月数および運転年数のいずれが用いられてもよい。
【0095】
本変形例では、メンテナンス情報選択部22dは、設置運転時間取得部12eが取得した設置時間および運転時間の少なくとも一方、および、空調機50の金属製部品の交換年数に基づいて、空調機50の金属製部品の交換が必要になるまでの時間を取得する。図7において、例えば、「XX温泉地」にある物件1aに空調機50が設置されている場合、空調機50の金属製部品は、5年ごとに交換される必要がある。この場合において、設置運転時間取得部12eは、「XX温泉地」にある物件1aに空調機50が設置された時から現在までの経過時間、すなわち、空調機50の設置時間が2年であることを取得したとする。この場合、メンテナンス情報選択部22dは、空調機50の金属製部品の交換年数である5年と、現在の空調機50の設置時間である2年とに基づいて、空調機50の金属製部品は、あと3年で交換される必要があると判断する。その結果、メンテナンス情報選択部22dは、空調機50の金属製部品の交換時期まであと3年であるという特別なメンテナンスに関する情報を選択し、当該情報をローカルコントローラ10aに送信する。
【0096】
先の例では、メンテナンス情報選択部22dは、空調機50の設置時間を用いて、特別なメンテナンスに関する情報を選択する。しかし、メンテナンス情報選択部22dは、空調機50の設置時間の代わりに、例えば、空調機50の運転時間、または、空調機50の設置時間と運転時間との平均値を用いて、特別なメンテナンスに関する情報を選択してもよい。また、タイマー17は、空調機50または遠隔コントローラ20に取り付けられてもよい。
【0097】
本変形例では、ローカルコントローラ10aは、設置運転時間取得部12eが取得した空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方を、遠隔コントローラ20に送信する機能を有する。遠隔コントローラ20は、ローカルコントローラ10aから受信した空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方に基づいて、空調機50の金属製部品の交換の最適なタイミングを取得して、当該タイミングをローカルコントローラ10aに送信して、空調機50の管理者に報知することができる。
【0098】
また、本変形例では、例えば、ある一つの物件1a内に設置されている複数の空調機50の設置時間が互いに異なる場合であっても、遠隔コントローラ20は、各空調機50の設置時間を個別に管理することで、各空調機50の金属製部品の交換の最適なタイミングを、各空調機50の管理者に報知することができる。
【0099】
以上より、この空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0100】
なお、本変形例は、変形例Aに適用されてもよい。すなわち、遠隔コントローラ20は、さらに、ローカルコントローラ10aから受信した空調機50の設置場所および仕様に関する情報に基づいて、メンテナンス情報データベース23bおよび空調機仕様情報データベース23cを参照して、空調機50の金属製部品の交換年数を取得してもよい。
【0101】
(5−3)変形例C
実施形態の空調機管理システム100では、空調機50は、クラウド上のサーバである遠隔コントローラ20によって、ローカルコントローラ10aを介して遠隔管理される。しかし、空調機50は、ローカルコントローラ10aのみによって管理されてもよい。
【0102】
この場合、ローカルコントローラ10aは、遠隔コントローラ20の機能を有する。例えば、ローカルコントローラ10aの制御部12は、実施形態のメンテナンス要否判定部22cおよびメンテナンス情報選択部22dに相当するプログラムを実行し、記憶部13は、メンテナンス地域情報データベース23aおよびメンテナンス情報データベース23bに相当するデータベースを記憶する。
【0103】
本変形例の空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、ローカルコントローラ10aのみを用いて、外部のネットワークを介することなくローカルな環境で、空調機50のメンテナンスを実施できる。この場合、空調機50の管理者は、スマートフォンおよびタブレット等の携帯端末用の専用アプリケーションを用いて、空調機50のメンテナンスを実施してもよい。この専用アプリケーションは、携帯端末とローカルコントローラ10aとの間の近距離無線通信等によって、ローカルコントローラ10aの機能を携帯端末上で実行するためのソフトウェアである。また、空調機50の利用者および管理者は、室内機52を操作するためのリモコン53を用いて、空調機50のメンテナンスを実施してもよい。
【0104】
この空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、クラウド上の遠隔コントローラ20等に通信ネットワーク60を介して安定的に接続できない地域に設置されている空調機50を管理することができる。
【0105】
なお、本変形例では、空調機50自身のコントローラに相当するプリント基板51p,52pが、遠隔コントローラ20の機能を有してもよい。
【0106】
(5−4)変形例D
実施形態の空調機管理システム100では、ローカルコントローラ10aは、設置地域情報取得部12aを有する。設置地域情報取得部12aは、ローカルコントローラ10aに取り付けられているGPS16を用いて、空調機50が設置されている位置に関する空調機位置情報を取得する。遠隔コントローラ20のメンテナンス要否判定部22cは、設置地域情報取得部12aが取得した空調機位置情報に基づいて、空調機50に特別なメンテナンスが必要か否かを判定する。しかし、ローカルコントローラ10aは、他の方法で、空調機50が設置されている位置に関する空調機位置情報を取得してもよい。
【0107】
例えば、遠隔コントローラ20の記憶部23は、空調機50が設置されている物件1a,1b,・・・に関する位置情報を、予め記憶していてもよい。物件1a,1b,・・・に関する位置情報とは、物件1a,1b,・・・の住所および郵便番号等である。この場合、遠隔コントローラ20は、記憶部23に予め記憶されている物件1a,1b,・・・に関する位置情報に基づいて、当該物件1a,1b,・・・内において空調機50が設置されている位置に関する空調機位置情報を取得できる。
【0108】
また、例えば、ローカルコントローラ10aは、自身に搭載された通信機器を用いて、空調機50が設置されている位置に関する空調機位置情報を取得してもよい。ここで、通信機器とは、例えば、Wi−Fi(登録商標)およびBluetooth(登録商標)等の電波を利用して自身の位置を推定できる機器、および、携帯電話の基地局の電波を利用して自身の位置を推定できる機器である。ローカルコントローラ10aは、通信機器が推定した自身の位置に関する情報を、空調機位置情報として遠隔コントローラ20に送信することができる。
【0109】
また、例えば、ローカルコントローラ10aは、室内機52を操作するためのリモコン53に空調機位置情報を記憶させてもよい。この場合、空調機50の利用者および管理者が持っているスマートフォン等の携帯機器と、リモコン53との間の近距離無線通信によって、空調機50の利用者および管理者は、自身の携帯機器に搭載されているGPSにより取得した位置情報を、リモコン53に送信する。ローカルコントローラ10aは、リモコン53が受信した携帯機器の位置情報を、空調機位置情報として遠隔コントローラ20に送信することができる。
【0110】
(5−5)変形例E
実施形態の空調機管理システム100では、遠隔コントローラ20のメンテナンス情報送信部22eは、ローカルコントローラ10aに、対応する空調機50が特別なメンテナンスを必要とすること、および、当該特別なメンテナンスに関する情報を送信する。
【0111】
しかし、遠隔コントローラ20は、さらに、メンテナンス情報送信部22eが送信した情報を履歴として記憶してもよい。すなわち、遠隔コントローラ20は、空調機50の特別なメンテナンスに関する情報を含む、空調機50の過去のメンテナンス履歴を記録してもよい。この場合、メンテナンス情報送信部22eは、メンテナンス情報の送信先である空調機50に、特別なメンテナンスの要否および内容と共に、過去のメンテナンス履歴を送信することができる。そのため、空調機50の管理者は、空調機50の過去のメンテナンス履歴に基づいて、より信頼度の高い空調機50の管理を行うことができる。
【0112】
(5−6)変形例F
実施形態の空調機管理システム100では、遠隔コントローラ20の記憶部23は、メンテナンス情報データベース23bを記憶する。メンテナンス情報データベース23bは、メンテナンス情報202を格納する。メンテナンス情報202は、例えば、空調機50の金属製部品の交換年数である。メンテナンス情報データベース23bの内容は、通常、空調機管理システム100が稼動する前に、空調機50の管理者によって予め入力されている。
【0113】
しかし、空調機50の管理者は、空調機管理システム100が稼動した後においても、必要に応じて、メンテナンス情報データベース23bを変更してもよい。例えば、空調機50の管理者は、空調機50の金属製部品の交換年数を、空調機50が設置される環境に応じて設定し直してもよい。例えば、空調機50が海岸地帯に設置されている場合、海からの距離および潮風の強さ等に応じて、空調機50の金属製部品の交換年数が適宜に更新されてもよい。これにより、空調機50が設置される環境を現地でしか確認できないような場合、および、空調機50が設置される環境が変化しやすい場合でも、空調機50の管理者は、必要に応じてメンテナンス情報データベース23bを更新できるので、空調機50が設置されている地域に応じた適切なメンテナンスを実施できる。
【0114】
(5−7)変形例G
実施形態の空調機管理システム100では、遠隔コントローラ20の記憶部23は、メンテナンス地域情報データベース23aを記憶する。メンテナンス地域情報データベース23aは、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域に関するデータベースである。
【0115】
しかし、メンテナンス地域情報データベース23aは、空調機50に対して所定のメンテナンスが必要な地域に関するデータベースであれば、任意のものであってもよい。例えば、メンテナンス地域情報データベース23aは、空調機50に対して非特別なメンテナンスが必要な地域に関するデータベースであってもよい。非特別なメンテナンスが必要な地域とは、空調機50に対して特別なメンテナンスが不要な地域である。非特別なメンテナンスが必要な地域は、例えば、海岸地帯、離島、温泉地および工場地帯のいずれでもない地域である。
【0116】
本変形例では、メンテナンス地域情報データベース23aは、例えば、空調機50に対して非特別なメンテナンスが必要な地域、すなわち、空調機50に対して特別なメンテナンスが不要な地域を記憶する。すなわち、メンテナンス地域情報データベース23aには、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域以外の地域に関するデータが格納されている。そして、遠隔コントローラ20のメンテナンス要否判定部22cは、このメンテナンス地域情報データベース23aに基づいて、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域に空調機50が設置されているか否かを判定する。具体的には、メンテナンス要否判定部22cは、ある一つの物件1aのローカルコントローラ10aから受信した空調機50の位置に関する空調機位置情報が、メンテナンス地域情報データベース23aに格納されていない場合に、当該空調機50は特別なメンテナンスが必要な地域に設置されていると判定する。
【0117】
また、本変形例では、遠隔コントローラ20の記憶部23は、複数のメンテナンス地域情報データベース23aを記憶してもよい。例えば、記憶部23は、メンテナンスの内容、および、メンテナンスにかかる費用に応じて、メンテナンスを複数の種類に分類し、メンテナンスの種類ごとにメンテナンス地域情報データベース23を記憶してもよい。これにより、空調機50の管理者は、空調機50に必要なメンテナンスの種類に応じて、空調機50の適切なメンテナンスを実施することができる。
【0118】
(5−8)変形例H
実施形態の空調機管理システム100では、ローカルコントローラ10aは、特別なメンテナンスに関する情報を空調機50の管理者に自動的に報知する。従って、この空調機管理システム100では、空調機50の管理者は、ローカルコントローラ10aから報知されたメンテナンス情報に従って、空調機50のメンテナンスを適切に実施することができる。
【0119】
しかし、ローカルコントローラ10aは、メンテナンスに関する情報を空調機50の管理者に報知せず、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域に空調機50が設置されているか否かの判定結果のみを、空調機50の管理者に通知してもよい。この場合でも、空調機50の管理者は、ローカルコントローラ10aから通知された判定結果に基づいて、空調機50のサポートマニュアル等を参照しながら、空調機50のメンテナンスを実施することができる。
【0120】
(5−9)変形例I
実施形態の空調機管理システム100では、メンテナンス情報データベース23bは、メンテナンス地域情報201と、メンテナンス情報202とが関連付けられたデータベースである。メンテナンス情報202は、対応するメンテナンス地域情報201が表す地域に設置されている空調機50に対する特別なメンテナンスに関する情報である。
【0121】
実施形態では、メンテナンス情報202は、空調機50の金属製部品の交換年数である。例えば、メンテナンス情報202に格納されているデータが「5年」である場合、当該メンテナンス情報202に対応するメンテナンス地域情報201が表す地域に設置されている空調機50の金属製部品は、特別なメンテナンスによって5年ごとに交換される必要がある。
【0122】
しかし、メンテナンス情報202は、空調機50の金属製部品の交換年数でなくてもよい。例えば、メンテナンス情報202は、空調機50の金属製部品の最適な材質に関する情報であってもよい。この場合、遠隔コントローラ20は、特別なメンテナンスに関する情報として、空調機50の金属製部品の最適な材質に関する情報を、ローカルコントローラ10aを介して空調機50の管理者に報知する。管理者は、報知された情報に基づいて、例えば、空調機50の金属製部品の一種である、屋外の鉄製の冷媒配管を、ステンレス製の冷媒配管に交換する。
【0123】
(5−10)変形例J
変形例Gでは、メンテナンス地域情報データベース23aは、例えば、空調機50に対して非特別なメンテナンスが必要な地域、すなわち、空調機50に対して特別なメンテナンスが不要な地域を記憶する。この場合、遠隔コントローラ20の記憶部23は、メンテナンス情報データベース23bを記憶せず、空調機50の仕様に関する空調機仕様情報が格納されている空調機仕様情報データベース23cのみを記憶してもよい。この場合、空調機仕様情報には、空調機50が設置されている地域に関する情報が含まれている。そして、メンテナンス情報選択部22dは、空調機仕様情報データベース23cに格納されている空調機仕様情報に基づいて、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報を取得する。
【0124】
図11は、本変形例で用いられる、空調機仕様情報データベース123cの一例である。空調機仕様情報データベース123cは、空調機仕様情報401とメンテナンス補正情報402とが関連付けられたデータベースである。図11では、変形例Aに関する図9と同様に、空調機仕様情報401として、屋外の冷媒配管の材質、および、室外機51の設置場所が記載されている。また、図11では、空調機仕様情報401として、さらに、空調機50が設置されている地域である「設置地域」が記載されている。「設置地域」は、例えば、空調機50に対して特別なメンテナンスが必要な地域ごとに存在する。メンテナンス補正情報402は、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報の補正に関する。図11では、変形例Aに関する図9と同様に、メンテナンス補正情報402には、空調機50の金属製部品の交換年数の基準値を基準とする、交換年数の補正値が格納される。本変形例では、交換年数の基準値は、空調機50に対して非特別なメンテナンスが必要な地域に設置されている空調機50の金属製部品の交換年数である。交換年数の基準値は、予め所定の値が設定されて、記憶部23に記憶されている。以下、交換年数の基準値は、10年であるとする。
【0125】
次に、空調機50が設置されている地域に基づく交換年数の補正値について例を挙げて説明する。一例として、図11において、「WW海岸地帯」にある物件1aに空調機50が設置されている場合、設置地域に関して、メンテナンス補正情報402に格納されている交換年数の補正値はマイナス3年である。そのため、空調機50が設置されている地域という仕様に基づき、「WW海岸地帯」に設置される空調機50の金属製部品の交換年数は、基準値の10年より3年短い7年となる。また、図11において、「YY島」にある物件1aに空調機50が設置されている場合、メンテナンス補正情報402に格納されている交換年数の補正値はマイナス6年である。そのため、空調機50が設置されている地域という仕様に基づき、「YY島」に設置される空調機50の金属製部品の交換年数は、基準値の10年より6年短い4年となる。このようにして、メンテナンス情報選択部22dは、記憶部23に記憶されている交換年数の基準値、および、図11に示されるメンテナンス補正情報402に格納されている交換年数の補正値に基づいて、空調機50の金属製部品の交換年数を取得する。
【0126】
なお、変形例Aおよび本変形例において、メンテナンス情報選択部22dは、空調機仕様情報データベース23cに格納されている複数種類の空調機仕様情報に基づいて、空調機50に適した特別なメンテナンスに関する情報を取得してもよい。例えば、図11において、「WW海岸地帯」にある物件1aに空調機50が設置されている場合、設置地域に関して、メンテナンス補正情報402に格納されている交換年数の補正値はマイナス3年である。また、図11において、空調機50の室外機51の設置場所が物件1aの半地下である場合、室外機51の設置場所に関して、メンテナンス補正情報402に格納されている交換年数の補正値はプラス2年である。この場合、空調機50が設置されている地域という仕様、および、空調機50の室外機51の設置場所という仕様に基づき、「WW海岸地帯」に設置される空調機50であって、室外機51が物件1aの半地下に設置される空調機50の金属製部品の交換年数は、基準値の10年からマイナス3年してプラス2年した9年となる。
【0127】
(5−11)変形例K
変形例Bでは、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方を取得するためのタイマー17が、ローカルコントローラ10a等に取り付けられている。メンテナンス情報選択部22dは、タイマー17が取得した空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方を用いて、特別なメンテナンスに関する情報を選択する。
【0128】
しかし、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方は、タイマー17以外の方法で取得されてもよく、例えば、空調機50、ローカルコントローラ10aまたは遠隔コントローラ20の内部制御によって取得されてもよい。具体的には、空調機50の室外機51の制御部51b、空調機50の室内機52の制御部52b、ローカルコントローラ10aの制御部12、または、遠隔コントローラ20の制御部22が、所定のプログラムを実行して、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方を計算によって取得してもよい。
【0129】
また、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方は、クラウド上のコンピュータによって取得されてもよい。具体的には、空調機50、ローカルコントローラ10aまたは遠隔コントローラ20は、空調機50が設置された時刻に関する情報(空調機50が設置された年月日等)を記録しておき、必要に応じてクラウド上のコンピュータに送信してもよい。例えば、ローカルコントローラ10の制御部12bは、空調機50が設置された時刻に関する情報を記憶部13に記録しておき、必要に応じてクラウド上のコンピュータに送信してもよい。この場合、当該クラウド上のコンピュータは、現在の時刻に関する情報と、空調機50が設置された時刻に関する情報とに基づいて空調機50の設置時間を取得して、ローカルコントローラ10a等に送信することができる。
【0130】
また、空調機50、ローカルコントローラ10aまたは遠隔コントローラ20は、空調機50の運転開始時刻および運転終了時刻に関する情報を記録しておき、必要に応じてクラウド上のコンピュータに送信してもよい。例えば、ローカルコントローラ10の制御部12bは、空調機50の運転開始時刻および運転終了時刻に関する情報を記憶部13に記録しておき、必要に応じてクラウド上のコンピュータに送信してもよい。この場合、当該クラウド上のコンピュータは、空調機50の運転開始時刻および運転終了時刻に関する情報に基づいて空調機50の運転時間を取得して、ローカルコントローラ10a等に送信することができる。
【0131】
なお、空調機50が設置された時刻に関する情報、および、空調機50の運転開始時刻および運転終了時刻に関する情報を、クラウド上のコンピュータのデータベース等に記録しておいてもよい。この場合、当該クラウド上のコンピュータは、例えば、遠隔コントローラ20から日報データを受信して記憶しておき、必要に応じて、日報データに基づいて空調機50の運転時間を取得し、または、日報データおよび現在時刻に関する情報に基づいて空調機50の設置時間を取得することができる。この場合、空調機50、ローカルコントローラ10aまたは遠隔コントローラ20は、当該クラウド上のコンピュータから必要な情報を受信して、空調機50の設置時間および運転時間の少なくとも一方を取得する。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の空調機管理システムは、所定のメンテナンスが必要な地域に設置されている空調機のメンテナンスを適切なタイミングで実施可能にする。
【符号の説明】
【0133】
12a 設置地域情報取得部(第1取得部)
12d メンテナンス情報報知部(報知部)
12e 設置運転時間取得部(第2取得部)
20 遠隔コントローラ(空調機管理装置)
22c メンテナンス要否判定部(判定部)
22d メンテナンス情報選択部(選択部)
22e メンテナンス情報送信部(提示部)
23a メンテナンス地域情報データベース(第1記憶部)
23b メンテナンス情報データベース(第2記憶部)
23c 空調機仕様情報データベース(第3記憶部)
50 空調機
60 通信ネットワーク(ネットワーク)
100 空調機管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】
【特許文献1】特開2013−83437号公報
図1
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