(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806326
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】危険予知通報システム
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20201221BHJP
E01F 15/14 20060101ALI20201221BHJP
E01F 15/12 20060101ALI20201221BHJP
E01F 9/688 20160101ALI20201221BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
E01F15/14
E01F15/12
E01F9/688
G08G1/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-208691(P2016-208691)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-71073(P2018-71073A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】316016519
【氏名又は名称】株式会社オリエンテック
(73)【特許権者】
【識別番号】310009672
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・メンテナンス東名株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】田口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】幸園 尚登
【審査官】
彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−015683(JP,U)
【文献】
特開2014−235485(JP,A)
【文献】
特開昭62−289713(JP,A)
【文献】
特開2015−158439(JP,A)
【文献】
特開2010−065402(JP,A)
【文献】
特開2010−065403(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3172677(JP,U)
【文献】
特開2015−170141(JP,A)
【文献】
特開2014−084601(JP,A)
【文献】
特開2003−253630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/02
E01F 15/12
E01F 15/14
G08G 1/16
E01F 9/688
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の接近を監視する接近監視部と、前記接近監視部に無線通信回線を介して接続された通報部とを備えた危険予知通報システムにおいて、
前記接近監視部は、距離設定機能で検知距離範囲を設定する測距反射式光電センサと、前記測距反射式光電センサで検知され出力されたセンサ信号をそのまま警報信号として前記通報部に送信する送信部とを含み、
前記通報部は、警報機器と、前記警報信号を受信する受信部と、前記警報信号に基づいて前記警報機器を作動させる警報出力部とを含み、
前記接近監視部及び通報部はいずれも可搬性であることを特徴とする危険予知通報システム。
【請求項2】
請求項1に記載した危険予知通報システムにおいて、
接近監視部は直置き用ボックスに収容されており、前記ボックスの側面にセンサ窓が設けられていることを特徴とする危険予知通報システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した危険予知通報システムにおいて、
接近監視部は複数設けられ、通報部は前記複数の接近監視部からの警報信号を受信するよう構成されていることを特徴とする危険予知通報システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載した危険予知通報システムにおいて、
警報機器はサイレン音を出力する機器であることを特徴とする危険予知通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は危険予知通報システムに係り、特に高速道路等の本線路上で作業する者に対して、車両が衝突すると予知されたとき、その危険をいち早く通報する危険予知通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本線路上で作業する者には、第三者車両が衝突する危険が常に付きまとっており、悲惨な事故は後を絶たない。
而して、特許文献1でも提案されているように、車両どうしの衝突については、衝突回避制御装置が実用化されており、その精度も年々上がってきているが、作業者への車両の衝突を回避するためには、昔からのラバーコーン、フェンス、バリケード、標示板、看板等を設置して、車両の運転者の視覚に頼って注意を促すような消極的なやり方が現在でも主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−242887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者側にも注意を促すように監視専門の者を配置したとしても、相手が走行して接近してくる車両であるため、車両の存在をいち早く認識することは難しい。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、人の五感に頼らずに、本線路上で作業する者に対して、車両が衝突すると予知されたとき、その危険をいち早く通報し、重大事故の発生を未然に防ぐことを可能とする、新規且つ有用な危険予知通報システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、車両の接近を監視する接近監視部と、前記接近監視部に無線通信回線を介して接続された通報部とを備えた危険予知通報システムにおいて、前記接近監視部は、
距離設定機能で検知距離範囲を設定する測距反射式光電センサと、前記測距反射式光電センサで検知され出力されたセンサ信号をそのまま警報信号として前記通報部に送信する送信部とを含み、前記通報部は、警報機器と、前記警報信号を受信する受信部と、前記警報信号に基づいて前記警報機器を作動させる警報出力部とを含み、前記接近監視部及び通報部はいずれも可搬性であることを特徴とする危険予知通報システムである。
【0008】
請求項
2の発明は、請求項
1に記載した危険予知通報システムにおいて、接近監視部は直置き用ボックスに収容されており、前記ボックスの側面にセンサ窓が設けられていることを特徴とする危険予知通報システムである。
【0009】
請求項
3の発明は、請求項1
または請求項2に記載した危険予知通報システムにおいて、接近監視部は複数設けられ、通報部は前記複数の接近監視部からの警報信号を受信するよう構成されていることを特徴とする危険予知通報システムである。
【0010】
請求項
4の発明は、請求項1から請求項
3のいずれかに記載した危険予知通報システムにおいて、警報機器はサイレン音を出力する機器であることを特徴とする危険予知通報システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の危険予知通報システムを利用すれば、人の五感に頼らずに、本線路上で作業する者に対して、車両が衝突すると予知されたとき、その危険をいち早く通報することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る危険予知通報システムの全体の構成図である。
【
図2】
図1のシステムにおける接近監視部の外観図である。
【
図3】
図1のシステムにおける送受信ユニットの外観図である。
【
図4】
図1のシステムにおける通報部の外観図である。
【
図6】
図1のシステムの利用状態のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る危険予知通報システム1を図面にしたがって説明する。
この危険予知管理システム1は、
図1に示すような全体構成になっており、車両の接近を監視する接近監視部3と、接近監視部3に無線通信回線を介して接続された通報部25とで構成されている。接近監視部3は複数配置されている。
【0014】
図2に示すように、接近監視部3の外観は開閉可能な筐体5になっている。この筐体5は角型をしており、サイズは150mm×200mm×200mmとコンパクトなものとなっている。蓋が開閉自在で、施錠によりロックされる。底面の四隅には短い脚部7が取付けられており、地面に安定的に直置きできる。蓋には持ち手9が取付けられており、手で掴んで持ち運びできる。側面の一つには丸い貫通孔が設けられており、この貫通孔が車両検知用のセンサ窓11になっている。
【0015】
この筐体5に非接触式の測距反射式光電センサ13が収められている。投光素子が赤外LED(変調式)で、受光素子が二分割フォトダイオードで構成されている。この受光素子を利用して距離設定しており、予め設定した領域で高精度に検知可能となっている。
検知距離範囲は、この場合には0.2〜1.0m(±10%)に設定されている。筐体5の内部では投光・受光素子が垂直仕様でセットされて、センサ窓11に臨んでいる。
本システム1では、この測距反射式光電センサ13の投光素子と受光素子とによるセンシング機能で、車両検知センサ15を実現して、第三者車両を検知する。
【0016】
また、測距反射式光電センサ13自体は常時監視を前提としているが、測距反射式光電センサ13の距離設定機能を利用することで、走行中の膨大な第三者車両のうちから、本線規制内に接近または侵入しつつある危険な第三者車両を効率的にしかも信頼性高く検知することが可能となっている。
本システム1では、この測距反射式光電センサ13の距離設定機能で、警報生成部17(
図5)を実現して、出力されたセンサ信号(デジタル)をそのまま警報信号として利用している。
【0017】
本システム1では、無線通信は、426MHzの特定小電力無線局の標準規格に従っている。
図3に示す送信ユニット19、受信ユニット21は、CPUやリードアンテナを備え、この標準規格に準拠している。通信距離は使用条件によっても変わるが500〜800m程度が想定されており、これに対応できる仕様になっている。
複数の送信ユニット19、19、……を使用するが、送信ユニット19、19、……には各別に送信IDが割り当てられている。また、受信ユニット21には、上記した複数の送信ユニット19、19、……の送信IDが登録されて、関連付けられている。
接近監視部3の筐体5には、送信ユニット19が収容されており、その送信機能で送信部23(
図5)を実現して、警報生成部17で生成した警報信号を電波として送信する。
【0018】
図4に示すように、通報部25の外観は開閉可能な筐体27になっている。この筐体27は角型をしており、サイズは400mm×200mm×200mmとコンパクトなものとなっている。正面扉が開閉自在で、施錠によりロックされるようになっている。この筐体27も地面に直置きできる。また、上部には持ち手29が取付けられており、手で掴んで持ち運びできる。
【0019】
警報機器としてサイレン音の出力機器が利用されており、この外付けのスピーカ31が筐体27の天面に載せられ固定されている。筐体27内には、アンプの他、制御部や記憶部も収められており、これらで警報出力部33(
図5)を実現して、警報信号が入力されると、作動信号を出力して、スピーカ31から任意の時間だけ任意の音量、例えば110デジベル程度のサイレン音を吹き鳴らすようになっている。
【0020】
筐体27には、上記した受信ユニット21が収容されており、その受信機能で受信部35(
図5)を実現している。警報信号の電波を受信すると、警報信号に戻した上で警報出力部33に提供して警報機器を作動させる。
【0021】
上記したように、本システム1では、制御部が記憶部内に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理部が動作するようになっており、機能ブロック図で示すと
図5になる。
【0022】
図1は、本システム1の利用例を示している。
高速道路上で、規制材のラバーコーンR、R、……を20m間隔で配置し、その間に、接近監視部3、3、……を1つずつ設置する。本線走行方向に対して横断する方向をセンシング方向としており、各接近監視部3のセンサ窓11の向きを揃える。通報部25は作業個所の手前に設置する。いずれも、持ち手9、29を持って容易に運ぶことができるので、設置も撤去も容易となっている。
図6が、トラックMが走行車線上を走行しているときのイメージ図である。視認の便宜のために、ラバーコーンRや接近監視部3は大きく描かれている。トラックMが接近監視部3側に寄って、検知距離範囲に入ると、通報部25のスピーカ31からサイレン音を吹き鳴らして、作業者にいち早く通報する。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、通報はサイレン音だけでなく、ブザー音なども考えられる。また、通報部25を増設し、接近監視部3の近傍にも設置すれば、危険運転をしつつあるドライバーにも通報することができる。
また、接近監視部3に水準器を配置し、その傾き検出機能を利用して、接近監視部3の水平設置の精度を高めることもできる。
更に、回転式の警告灯を併用し、聴覚だけでなく視覚にも訴えるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0024】
1…危険予知通報システム 3…接近監視部 5…筐体 7…脚部
9…持ち手 11…センサ窓 13…測距反射式光電センサ
15…車両検知センサ 17…警報生成部 19…送信ユニット
21…受信ユニット 23…送信部 25…通報部 27…筐体
29…持ち手 31…スピーカ 33…警報出力部 35…受信部
R…ラバーコーン M…トラック