(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザー端末からの要求に応じて、通信ネットワークを介して特定の受給者に係る受給者情報を前記ユーザー端末で閲覧可能にすることで、前記受給者への医療サービス及び/又は介護サービスの提供を支援する際に、医療分野及び/又は介護分野における多職種の専門家間の連携を支援する多職種連携支援システムにおいて、前記多職種の専門家間の連携を支援する方法であって、
前記ユーザー端末を介して前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する個々のユーザーに対してユーザー識別情報を割り当てて記憶し、
前記ユーザーとしての個々の前記受給者に対して受給者識別情報を割り当てると共に、当該受給者識別情報を対応する前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶し、
前記ユーザーとしての個々の医療従事者又は介護従事者に対して事業従事者識別情報を割り当てると共に、当該事業従事者識別情報を対応する前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶し、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記受給者識別情報に関連させて固有のグループ識別情報を持つグループを生成すると共に、個々の前記グループに係る前記受給者識別情報に対応する前記受給者に係る前記受給者情報を表示するための情報表示領域を生成し、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とし、
個々の前記グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報のそれぞれに対して、メッセージ/データ識別情報を割り当てると共に、当該メッセージ/データ識別情報のそれぞれに対応する前記メッセージ型情報又は前記データ型情報を当該情報表示領域に投稿した前記ユーザーの前記ユーザー識別情報に関連付けて記憶し、
前記メッセージ型情報及び前記データ型情報を分別するための複数の情報カテゴリーのそれぞれに対して、カテゴリー識別情報を割り当てて記憶し、
前記ユーザー端末からの指示によって、個々の前記グループの前記情報表示領域に表示された複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報の中から第1ターゲット情報が指定されると、当該第1ターゲット情報が複数の前記情報カテゴリーのいずれに属するかを識別すると共に、識別によって判明した前記情報カテゴリーに対応する前記カテゴリー識別情報を当該第1ターゲット情報の前記メッセージ/データ識別情報に関連づけて記憶し、
前記第1ターゲット情報を、対応する前記カテゴリー識別情報に応じて区分して所定の経過情報表示エリアに経時的に表示するようにし、
個々の前記グループの前記経過情報表示エリアに経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、当該グループに係る前記受給者の経過情報として、前記ユーザー端末を介して、当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能であり、
前記ユーザー端末からの指示によって、個々の前記グループに係る前記受給者の前記経過情報の中から第2ターゲット情報が指定されると、当該第2ターゲット情報を前記ユーザー端末上で編集することが可能とされ、
前記第2ターゲット情報として指定された編集後又は未編集の前記メッセージ型情報及び/又は前記データ型情報は、所定のサマリー情報表示エリアに表示され、
個々の前記グループの前記サマリー情報表示エリアに表示される前記第2ターゲット情報としての前記メッセージ型情報及び/又は前記データ型情報は、当該グループに係る前記受給者のサマリー情報として、前記ユーザー端末を介して、当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能であることを特徴とする、医療・介護分野における多職種連携支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した特許文献1の医療・介護支援システムには、応えるべきニーズがさらにあることが判明した。それは、同システムが提供している医療・介護サービスの提供時に、個々のサービス受給者(患者又は要介護者)の医療情報及び介護情報に加えて、同受給者の健康情報や、ACP(Advanced Care Planning)(人生会議)情報を共有可能とし、さらに、それらの情報を目的、例えば、医師が講じた処置による患者の症状の改善状況を知る、治療方針に関する患者の思いや気持ちの時間的変化を知る等の目的に応じて、容易に加工して共有可能とする、というニーズである。このニーズは、近年、上述した個人別健康情報記録(PHR)の必要性と有用性が一般に周知されてきて、それに関連するサービスが発展してきていることや、医療・介護サービスは、医師等の専門家の考えではなく、もっと患者や要介護者本人の意思や感情に沿った形で行われるべきであるとの考え方が広まってきたことから、生まれたものと解される。
【0011】
このニーズに応えることができれば、個々の患者や要介護者の医療情報及び介護情報だけでなく、健康情報やACP(人生会議)情報をも共有できるだけでなく、医師や看護師が講じた処置とその理由や、その処置を受けた患者や要介護者の症状の変化、その処置を受けた患者・要介護者の感想、治療方針に関する患者や要介護者の思いや考えをも知ることができるため、上述した特許文献1の医療・介護支援システムのユーザーである医療・介護分野の多職種の専門家間でいっそう緊密且つ効率的な連携が可能となる。その結果、患者・要介護者とその関係者をも取り込んだ形で医療・介護分野においていわゆる「多職種連携(interprofessional collaboration)」が実現されることになるのである。そうなれば、患者や要介護者本人の意思や感情に沿った医療・介護サービスの実現も容易になる。
【0012】
医療・介護サービスに係わる専門家としては、医療従事者と介護従事者があり、具体的には、医師や看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー等の多職種の専門家がおり、しかも、各職種の専門領域がさらに細分化されている現状を考えると、上述した多職種連携を早期に実現する必要性は非常に高い。そして、このような多職種連携が実現されると、患者や要介護者自身の意思や感情に沿った形での医療・介護サービスの実現が容易になるため、同サービスに対する患者や要介護者の満足度がいっそう高まることが期待される。医療・介護分野での多職種連携は、以前から要望されていたにもかかわらず実現できなかった懸案事項であるから、それを実現する意義は非常に大きいと思われる。
【0013】
なお、上述した「ACP(人生会議)」とは、患者とその家族がその医療・介護を担当する医療従事者や介護従事者などと共に、患者の意思決定能力が低下する事態の発生を考慮して、あらかじめ、終末期を含む今後に採る医療・介護サービスについて話し合い、患者が意思決定できなくなったときに患者に代わって意思決定をする人を決めておくことを意味する。ACPには、患者のリビングウィル(Living Will)、すなわち、重病で患者自身が意思決定できなくなる事態を想定して、治療に関する患者の希望を前もって記載する書類を含めることが多い。
【0014】
上述した特許文献1の医療・介護支援システムでは、医療・介護サービスの受給者の医療情報や介護情報に加えて、健康情報やACP(人生会議)情報を含む各種情報を整理した形で一元的に保存・管理できるようになっていないだけでなく、それらの情報を目的に応じて加工して共有できるようになっていないため、上記ニーズに応えることができない。
【0015】
特許文献2の医療情報紐付システムでは、異なる場所に保存されている医療情報を紐付けすることで、同システムのユーザーがそれら医療情報を活用することは可能となるが、それに留まる。同様に、特許文献3の背景情報管理装置では、個人の背景情報を収集・管理することは可能であるが、それに留まる。また、特許文献1の医療・介護支援システムに特許文献2の医療情報紐付システム及び/又はあるいは特許文献3の背景情報管理装置を組み合わせても、上述したような多職種連携を実現することはできないから、上記ニーズには対応できない。
【0016】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、医療サービス及び/又は介護サービスをその受給者に提供する多職種の専門家(例えば医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー)が、個々の受給者(患者又は要介護者)の受給者情報、すなわち、個々の受給者に係わる医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、専門家間で又はこれら専門家と前記受給者本人及び/又はその関係者との間で交換されたメッセージ等の各種情報を、任意の端末から通信ネットワークを介して共有できると共に、前記受給者情報を目的(例えば、医師が講じた処置による患者の症状の改善状況を知る、治療方針に関する患者の思いや気持ちの時間的変化を知る等)に応じて容易に加工して共有できるようにすることで、前記多職種の専門家間及びこれら専門家と受給者本人及び/又はその関係者との間でいっそう緊密且つ円滑な連携(コミュニケーションを含む)が行えるよう支援する多職種連携支援方法と、その方法を実施する多職種連携支援システムを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、医療サービス及び/又は介護サービスの受給者、当該受給者の関係者、及び/又は、当該受給者を担当し且つ異なる場所にある施設に所属する多職種の専門家により提供され、且つ、所定の情報表示領域に表示された当該受給者の受給者情報をカテゴリー別に分類すると共に経時的に配列することで、前記受給者に対する医療サービス及び/または介護サービスの提供に活用できる有益な経過情報を整理した形で作成・共有することができる多職種連携支援方法及びシステムを提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、医療サービス及び/又は介護サービスの受給者が移動元施設から移動先施設に移動する際に、当該受給者の経過情報の中から移動先施設の専門家が知っておくべき情報を選別することで、当該受給者のサマリー情報を作成・共有することができ、もって当該受給者が施設間移動する際の情報伝達を容易化且つ効率化できる多職種連携支援方法及びシステムを提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、個々の受給者の受給者情報に対するユーザーのアクセス権を、当該受給者情報の内容やユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御することで、ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記受給者の受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供できる多職種連携支援方法及びシステムを提供することにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、多職種連携支援システムにおいて、ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い受給者の受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供できる、多職種連携支援システムにおけるアクセス権制御方法を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、多職種連携支援システムにおいて、高度のセキュリティを保持しながら、緊急時に受給者に対して執るべき処置をより的確なものにすることができ、しかも、受給者を担当する医療従事者又は介護従事者に対するリスクを低減することも可能となる、多職種連携支援システムにおける緊急時アクセス制御方法を提供することにある。
【0022】
ここに明記しない本発明のさらに他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
(1) 本発明の第1の観点によれば、医療・介護分野における多職種連携支援方法が提供される。この方法は、
ユーザー端末からの要求に応じて、通信ネットワークを介して特定の受給者に係る受給者情報を前記ユーザー端末で閲覧可能にすることで、前記受給者への医療サービス及び/又は介護サービスの提供を支援する際に、医療分野及び/又は介護分野における多職種の専門家間の連携を支援する多職種連携支援方法であって、
前記ユーザー端末を介して前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する個々のユーザーに対してユーザー識別情報を割り当てて記憶し、
前記ユーザーとしての前記受給者に対して受給者識別情報を割り当てると共に、当該受給者識別情報を対応する前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶し、
前記ユーザーとしての医療従事者又は介護従事者に対して事業従事者識別情報を割り当てると共に、当該事業従事者識別情報を前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶し、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記受給者識別情報に関連させて固有のグループ識別情報を持つグループを生成すると共に、個々の前記グループに係る前記受給者識別情報に対応する前記受給者に係る前記受給者情報を表示するための情報表示領域を生成し、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とし、
前記グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報のそれぞれに対して、メッセージ/データ識別情報を割り当てると共に、当該メッセージ/データ識別情報のそれぞれに対応する前記メッセージ型情報又は前記データ型情報を前記情報表示領域に投稿した前記ユーザーの前記ユーザー識別情報に関連付けて記憶し、
前記メッセージ型情報及び前記データ型情報を分別するための複数の情報カテゴリーのそれぞれに対して、カテゴリー識別情報を割り当てて記憶し、
前記ユーザー端末からの指示によって、前記情報表示領域に表示された複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から第1ターゲット情報が指定されると、当該第1ターゲット情報が複数の前記情報カテゴリーのいずれに属するかを識別すると共に、識別によって判明した前記カテゴリーに対応する前記カテゴリー識別情報を当該第1ターゲット情報の前記メッセージ/データ識別情報に関連づけて記憶し、
前記第1ターゲット情報を、対応する前記カテゴリー識別情報に応じて区分して所定の経過情報表示エリアに経時的に表示するようにし、
前記経過情報表示エリアに経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループに係る前記受給者の経過情報として、前記ユーザー端末を介して、前記グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第1の観点による多職種連携支援方法では、前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する前記ユーザーとしての前記受給者が持つ前記受給者識別情報に関連させて、固有のグループ識別情報を持つグループを生成するため、前記グループは、前記受給者毎に生成される。前記受給者の前記受給者情報、すなわち、前記受給者(ユーザー)に係る医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、前記専門家間で又は前記専門家と受給者本人及び/又はその関係者との間で交換されたメッセージ等の各種情報は、前記グループ毎に生成される前記情報表示領域に表示され、前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を、前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能である。このため、前記受給者に医療サービス及び/又は介護サービスを提供する多職種の専門家を、必要に応じて前記グループ・メンバーとして所属させることで、前記受給者への医療及び/又は介護に携わる多職種の専門家が、前記グループの前記受給者情報を共有しながら、これら多職種の専門家間で連携することが可能である。また、必要に応じて、前記受給者本人とその関係者を前記グループ・メンバーとして所属させることで、前記情報表示領域を介して前記受給者本人及び/又はその関係者の希望や意向や感情等を前記多職種の専門家に伝えやすくなり、また、前記多職種の専門家の意向や指示や助言等を前記受給者本人及び/又はその家族関係者に伝えやすくなる。
【0025】
他方、前記グループの前記情報表示領域には、前記受給者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報が表示されるが、それらの情報に割り当てられたメッセージ/データ識別情報は、それらの情報を前記情報表示領域に投稿した前記ユーザーの前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶される。また、前記ユーザー端末からの指示によって、それらの情報の中から前記第1ターゲット情報が指定されると、前記第1ターゲット情報が前記情報カテゴリーのいずれに属するかが識別されると共に、識別によって判明した前記カテゴリーに対応する前記カテゴリー識別情報が前記第1ターゲット情報の前記メッセージ/データ識別情報に関連づけて記憶される。さらに、前記第1ターゲット情報は、該当する前記カテゴリー識別情報に応じて区分されて前記経過情報表示エリアに経時的に表示される。
【0026】
そして、前記経過情報表示エリアに経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループに係る前記受給者の経過情報として、前記ユーザー端末を介して、グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能となっている。
【0027】
したがって、医療サービス及び/又は介護サービスを前記受給者に提供する多職種の専門家(例えば医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー)は、前記グループの前記グループ・メンバーになれば、前記受給者の受給者情報、すなわち、個々の受給者に係わる医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、メッセージ等の各種情報に加え、前記グループに係る前記受給者の経過情報をも、前記ユーザー端末から通信ネットワークを介して共有することができる。よって、前記多職種の専門家間及びこれら専門家と前記受給者本人及び/又はその関係者との間でいっそう緊密且つ円滑な連携(コミュニケーションを含む)が行えるよう支援することができる。
【0028】
また、前記グループの前記情報表示領域に表示される、前記受給者情報としての複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から前記第1ターゲット情報を指定するだけで、前記第1ターゲット情報は該当する前記カテゴリー識別情報に応じて区分されて前記経過情報表示エリアに経時的に表示されるので、前記受給者情報を目的(例えば、医師が講じた処置による患者の症状の改善状況を知る、治療方針に関する患者の思いや気持ちの時間的変化を知る等)に応じて容易に加工して共有することができる。これも、前記多職種の専門家間のいっそう緊密且つ円滑な連携の実現に寄与するものである。
【0029】
さらに、前記グループの前記情報表示領域に表示される、前記受給者情報としての複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から前記第1ターゲット情報を指定するだけで、医療サービス及び/又は介護サービスの前記受給者、前記受給者の関係者、及び/又は、前記受給者を担当し且つ異なる場所にある施設に所属する多職種の専門家により提供され、且つ、前記情報表示領域に表示された前記受給者の前記受給者情報をカテゴリー別に分類すると共に経時的に配列することが可能である。よって、前記受給者に対する医療サービス及び/または介護サービスの提供に活用できる有益な経過情報を整理した形で作成・共有することができる。
【0030】
(2) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法の好ましい例では、前記ユーザー端末からの指示によって、前記グループに係る前記受給者の前記経過情報の中から第2ターゲット情報が指定されると、前記第2ターゲット情報を前記ユーザー端末上で編集することが可能とされ、
前記第2ターゲット情報として指定された編集後又は未編集の前記メッセージ型情報及び/又は前記データ型情報は、所定のサマリー情報表示エリアに表示され、
前記サマリー情報表示エリアに表示される前記第2ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループに係る前記受給者のサマリー情報として、前記ユーザー端末を介して、前記グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とされる。
【0031】
この例では、前記受給者が移動元施設から移動先施設に移動する際に、前記受給者の前記経過情報の中から移動先施設の専門家が知っておくべき情報を選別することで、前記受給者の前記サマリー情報を作成して前記グループ・メンバーの間で共有することができ、したがって、前記受給者が施設間移動する際の情報伝達を容易化且つ効率化することができる、という利点がある。
【0032】
(3) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法の他の好ましい例では、個々の前記ユーザーに対して設定された、前記グループの前記受給者の前記受給者情報に対するアクセス権が、前記ユーザーが所定の認証アルゴリズムを用いてソーシャル認証を受けていることを条件として設定され、
前記認証アルゴリズムは、
(a)少なくとも1つの前記グループを介して、n人の医療・介護従事者とつながっていること(ただし、nは1以上の整数)、
(b)m個の前記グループのグループ・メンバーである(ただし、mは1以上の整数)、
(c)自身の顔写真とプロフィールが掲載されていること、
(d)ユーザー登録からxヶ月以上経過しており、且つ、1ヶ月にy回以上の書き込みがある(ただし、x及びyはいずれも1以上の整数)こと、
(e)使用する端末が、所定レベル以上のセキュリティ条件を満たしていること、
という5条件の少なくとも2つを包含するように選択される。
【0033】
この例では、前記受給者の前記受給者情報に対する前記ユーザーのアクセス権を、前記受給者情報の内容や前記ユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御することで、前記ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記受給者の前記受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供することができる、という利点がある。
【0034】
(4) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、前記認証アルゴリズムが、管理者の設定により、前記5条件を所定のAND論理及び/又はOR論理で組み合わせることで所望のセキュリティ・レベルに調整可能とされる。
【0035】
この例では、前記医療サービス及び/又は介護サービスが提供される地域や組織の要請に応じて、高い柔軟性をもってセキュリティ・レベルの調整が可能である、という利点がある。
【0036】
(5) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、前記ユーザー端末からの指示に応じて、前記グループの前記情報表示領域に、固有のテンプレート機能が割り当てられた複数のスタンプが表示されるようにし、
前記スタンプをクリックすることで、割り当てられているテンプレート(頻繁に利用する定型のフォーマット)が前記情報表示領域に表示され、前記テンプレート上で応答をすると、その応答と前記テンプレートに規定されているメッセージの双方が前記情報表示領域に表示されるようにする。
【0037】
この例では、前記テンプレートに応じて、前記情報表示領域に表示される情報の内容と様式が統一される、という利点がある。
【0038】
(6) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、所定の契機の到来に応じて動作するBOTにより、前記グループの前記情報表示領域に所定のテンプレートが表示されるようにし、
前記テンプレートから応答をすると、その応答と前記テンプレートに規定されているメッセージの双方が前記情報表示領域に表示されるようにする。
【0039】
この例では、前記テンプレートに応じて、前記情報表示領域に表示される情報の内容と様式が統一される、という利点がある。
【0040】
(7) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、前記情報カテゴリーとして、少なくとも医療、介護、健康及びACPのカテゴリーが設定され、
前記受給者の前記グループの前記情報表示領域に表示された前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報を前記第1ターゲット情報として指定する際に、前記第1ターゲット情報がメッセージ型情報であるかデータ型情報であるかの判別が行われ、その後、複数の前記情報カテゴリーのいずれに属するかの識別が行われる。
【0041】
(8) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、前記グループの前記経過情報表示エリアに経時的に表示された、前記グループに係る前記受給者の経過情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、投稿した前記ユーザー及び/又は該当する前記カテゴリーで検索可能とされる。
【0042】
(9) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、前記受給者の前記グループの前記情報表示領域には、前記受給者情報に加えて、前記グループに対応する施設トレース情報が表示可能とされる。
【0043】
(10) 本発明の第1の観点による多職種連携支援方法のさらに他の好ましい例では、緊急時に所定の条件を満たすことを条件として、所定の限定された時間に限り、1又は複数の前記グループに前記グループ・メンバーとして所属する医療従事者又は介護従事者が、自己が前記グループ・メンバーとして所属しない1又は複数の前記グループに係る前記受給者の前記受給者情報、前記経過情報及び前記サマリー情報の少なくとも1つにアクセスするのを可能とする緊急時アクセス機能が設けられ、
前記所定の条件を、(a)緊急時に任意の前記受給者が搬送された事業関連施設が、当該受給者に係る1又は複数の前記グループの前記グループ・メンバーである前記医療従事者又は前記介護従事者が所属する事業関連施設と連携関係にあること、(b)搬送された前記事業関連施設において搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者が、前記ユーザー識別情報を有していること、(c)アクセス可能時間が、搬送された前記受給者に対する緊急の医療サービス及び/又は介護サービスの提供に必要と見積もられた時間に限定されていること、及び、(d)アクセス後に可能となる操作が閲覧に限定されること、という4条件に設定され、
前記4条件(a)〜(d)のすべてが満たされない場合は、前記アクセスが拒絶されるように設定される。
【0044】
この例では、高度のセキュリティを保持しながら、緊急時に搬送された前記受給者に対して緊急時に執るべき処置をより的確なものにすることができ、しかも、搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者に対するリスクを低減することも可能となる、という利点がある。
【0045】
(11) 本発明の第2の観点によれば、医療・介護分野における多職種連携支援システムが提供される。このシステムは、
ユーザー端末からの要求に応じて、通信ネットワークを介して特定の受給者に係る受給者情報を前記ユーザー端末で閲覧可能にすることで、前記受給者への医療サービス及び/又は介護サービスの提供を支援する際に、医療分野及び/又は介護分野における多職種の専門家間の連携を支援する多職種連携支援システムであって、
前記ユーザー端末を介して前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する個々のユーザーに対してユーザー識別情報(例えばユーザーID)を割り当てて記憶する手段(例えば医療・介護支援システム30のユーザー管理部310)と、
前記ユーザーとしての前記受給者に対して受給者識別情報(例えば患者ID)を割り当てると共に、当該受給者識別情報を対応する前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶する手段(例えば医療・介護支援システム30のユーザー管理部310)と、
前記ユーザーとしての医療従事者又は介護従事者に対して事業従事者識別情報(例えば医療・介護従事者ID)を割り当てると共に、当該事業従事者識別情報を前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶する手段(例えば医療・介護支援システム30のユーザー管理部310)と、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記受給者識別情報に関連させて固有のグループ識別情報(例えばグループID)を持つグループを生成すると共に、個々の前記グループに係る前記受給者識別情報に対応する前記受給者に係る前記受給者情報を表示するための情報表示領域(例えばタイムライン)を生成する手段(例えば医療・介護支援システム30のグループ管理部320)と、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とする手段(例えば医療・介護支援システム30のグループ管理部320)と、
前記グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報のそれぞれに対して、メッセージ/データ識別情報(例えばメッセージ/データID)を割り当てると共に、当該メッセージ/データ識別情報のそれぞれに対応する前記メッセージ型情報又は前記データ型情報を前記情報表示領域に投稿した前記ユーザーの前記ユーザー識別情報に関連付けて記憶する手段(例えば経過情報作成部110の情報取込部111及び情報記憶部113)と、
前記メッセージ型情報及び前記データ型情報を分別するための複数の情報カテゴリーのそれぞれに対して、カテゴリー識別情報(例えばカテゴリーID)を割り当てて記憶する手段(例えば経過情報作成部110の情報カテゴリー管理部115)と、
前記ユーザー端末からの指示によって、前記情報表示領域に表示された複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から第1ターゲット情報が指定されると、当該第1ターゲット情報が複数の前記情報カテゴリーのいずれに属するかを識別すると共に、識別によって判明した前記カテゴリーに対応する前記カテゴリー識別情報を当該第1ターゲット情報の前記メッセージ/データ識別情報に関連づけて記憶する手段(例えば経過情報作成部110の情報カテゴリー識別部112及び情報記憶部113)と、
前記第1ターゲット情報を、対応する前記カテゴリー識別情報に応じて区分して所定の経過情報表示エリアに経時的に表示する手段(例えば医療・介護支援システム30のグループ管理部320)とを備えており、
前記経過情報表示エリアに経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループに係る前記受給者の経過情報として、前記ユーザー端末を介して、前記グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能であることを特徴とするものである。
【0046】
本発明の第2の観点による多職種連携支援システムでは、前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する前記ユーザーとしての前記受給者が持つ前記受給者識別情報に関連させて、固有のグループ識別情報を持つグループを生成するため、前記グループは、前記受給者毎に生成される。前記受給者の前記受給者情報、すなわち、前記受給者(ユーザー)に係る医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、前記専門家間で又は前記専門家と受給者本人及び/又はその関係者との間で交換されたメッセージ等の各種情報は、前記グループ毎に生成される前記情報表示領域に表示され、前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を、前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能である。このため、前記受給者に医療サービス及び/又は介護サービスを提供する多職種の専門家を、必要に応じて前記グループ・メンバーとして所属させることで、前記受給者への医療及び/又は介護に携わる多職種の専門家が、前記グループの前記受給者情報を共有しながら、これら多職種の専門家間で連携することが可能である。また、必要に応じて、前記受給者本人とその関係者を前記グループ・メンバーとして所属させることで、前記情報表示領域を介して前記受給者本人及び/又はその関係者の希望や意向や感情等を前記多職種の専門家に伝えやすくなり、また、前記多職種の専門家の意向や指示や助言等を前記受給者本人及び/又はその関係者に伝えやすくなる。
【0047】
他方、前記グループの前記情報表示領域には、前記受給者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報が表示されるが、それらの情報に割り当てられたメッセージ/データ識別情報は、それらの情報を前記情報表示領域に投稿した前記ユーザーの前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶される。また、前記ユーザー端末からの指示によって、それらの情報の中から前記第1ターゲット情報が指定されると、前記第1ターゲット情報が前記情報カテゴリーのいずれに属するかが識別されると共に、識別によって判明した前記カテゴリーに対応する前記カテゴリー識別情報が前記第1ターゲット情報の前記メッセージ/データ識別情報に関連づけて記憶される。さらに、前記第1ターゲット情報は、該当する前記カテゴリー識別情報に応じて区分されて前記経過情報表示エリアに経時的に表示される。
【0048】
そして、前記経過情報表示エリアに経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループに係る前記受給者の経過情報として、前記ユーザー端末を介して、前記グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能となっている。
【0049】
したがって、医療サービス及び/又は介護サービスを前記受給者に提供する多職種の専門家(例えば医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー)は、前記グループの前記グループ・メンバーになれば、前記受給者の前記受給者情報、すなわち、個々の受給者に係わる医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、メッセージ等の各種情報に加え、前記グループに係る前記受給者の経過情報をも、前記ユーザー端末から通信ネットワークを介して共有することができる。よって、前記多職種の専門家間及びこれら専門家と前記受給者本人及び/又はその関係者との間でいっそう緊密且つ円滑な連携(コミュニケーションを含む)が行えるよう支援することができる。
【0050】
また、前記グループの前記情報表示領域に表示される、前記受給者情報としての複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から前記第1ターゲット情報を指定するだけで、前記第1ターゲット情報は該当する前記カテゴリー識別情報に応じて区分されて前記経過情報表示エリアに経時的に表示されるので、前記受給者情報を目的(例えば、医師が講じた処置による患者の症状の改善状況を知る、治療方針に関する患者の思いや気持ちの時間的変化を知る等)に応じて容易に加工して共有することができる。これも、前記多職種の専門家間のいっそう緊密且つ円滑な連携の実現に寄与するものである。
【0051】
さらに、前記グループの前記情報表示領域に表示される、前記受給者情報としての複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から前記第1ターゲット情報を指定するだけで、医療サービス及び/又は介護サービスの前記受給者、前記受給者の関係者、及び/又は、前記受給者を担当し且つ異なる場所にある施設に所属する多職種の専門家により提供され、且つ、前記情報表示領域に表示された前記受給者の前記受給者情報をカテゴリー別に分類すると共に経時的に配列することが可能である。よって、前記受給者に対する医療サービス及び/または介護サービスの提供に活用できる有益な経過情報を整理した形で作成・共有することができる。
【0052】
(12) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムの好ましい例では、前記ユーザー端末からの指示によって、前記グループに係る前記受給者の前記経過情報の中から第2ターゲット情報が指定されると、前記第2ターゲット情報を前記ユーザー端末上で編集することが可能とされ、
前記第2ターゲット情報として指定された編集後又は未編集の前記メッセージ型情報及び/又は前記データ型情報は、所定のサマリー情報表示エリアに表示され、
前記サマリー情報表示エリアに表示される前記第2ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループに係る前記受給者のサマリー情報として、前記ユーザー端末を介して、前記グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とされる。
【0053】
この例では、前記受給者が移動元施設から移動先施設に移動する際に、前記受給者の前記経過情報の中から移動先施設の専門家が知っておくべき情報を選別することで、前記受給者の前記サマリー情報を作成して前記グループ・メンバーの間で共有することができ、したがって、前記受給者が施設間移動する際の情報伝達を容易化且つ効率化することができる、という利点がある。
【0054】
(13) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムの他の好ましい例では、個々の前記ユーザーに対して設定された、前記グループの前記受給者の前記受給者情報に対するアクセス権が、前記ユーザーが所定の認証アルゴリズムを用いてソーシャル認証を受けていることを条件として設定され、
前記認証アルゴリズムは、
(a)少なくとも1つの前記グループを介して、n人の医療・介護従事者とつながっていること(ただし、nは1以上の整数)、
(b)m個の前記グループのグループ・メンバーである(ただし、mは1以上の整数)、
(c)自身の顔写真とプロフィールが掲載されていること、
(d)ユーザー登録からxヶ月以上経過しており、且つ、1ヶ月にy回以上の書き込みがある(ただし、x及びyはいずれも1以上の整数)こと、
(e)使用する端末が、所定レベル以上のセキュリティ条件を満たしていること、
という5条件の少なくとも2つを包含するように選択される。
【0055】
この例では、前記受給者の前記受給者情報に対する前記ユーザーのアクセス権を、前記受給者情報の内容や前記ユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御することで、前記ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記受給者の前記受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供することができる、という利点がある。
【0056】
(14) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、前記認証アルゴリズムが、管理者の設定により、前記5条件を所定のAND論理及び/又はOR論理で組み合わせることで所望のセキュリティ・レベルに調整可能とされる。
【0057】
この例では、前記医療サービス及び/又は介護サービスが提供される地域や組織の要請に応じて、高い柔軟性をもってセキュリティ・レベルの調整が可能である、という利点がある。
【0058】
(15) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、前記ユーザー端末からの指示に応じて、前記グループの前記情報表示領域に、固有のテンプレート機能が割り当てられた複数のスタンプが表示されるようにし、
前記スタンプをクリックすることで、割り当てられているテンプレート(頻繁に利用する定型のフォーマット)が前記情報表示領域に表示され、前記テンプレート上で応答をすると、その応答と前記テンプレートに規定されているメッセージの双方が前記情報表示領域に表示されるようにする。
【0059】
この例では、前記テンプレートに応じて、前記情報表示領域に表示される情報の内容と様式が統一される、という利点がある。
【0060】
(16) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、所定の契機の到来に応じて動作するBOTにより、前記グループの前記情報表示領域に所定のテンプレートが表示されるようにし、
前記テンプレートから応答をすると、その応答と前記テンプレートに規定されているメッセージの双方が前記情報表示領域に表示されるようにする。
【0061】
この例では、前記テンプレートに応じて、前記情報表示領域に表示される情報の内容と様式が統一される、という利点がある。
【0062】
(17) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、前記情報カテゴリーとして、少なくとも医療、介護、健康及びACPのカテゴリーが設定され、
前記受給者の前記グループの前記情報表示領域に表示された前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報を前記第1ターゲット情報として指定する際に、前記第1ターゲット情報がメッセージ型情報であるかデータ型情報であるかの判別が行われ、その後、複数の前記情報カテゴリーのいずれに属するかの識別が行われる。
【0063】
(18) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、前記グループの前記経過情報表示エリアに経時的に表示された、前記グループに係る前記受給者の経過情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、投稿した前記ユーザー及び/又は該当する前記カテゴリーで検索可能とされる。
【0064】
(19) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、前記受給者の前記グループの前記情報表示領域には、前記受給者情報に加えて、前記グループに対応する施設トレース情報が表示可能とされる。
【0065】
(20) 本発明の第2の観点による多職種連携支援システムのさらに他の好ましい例では、緊急時に所定の条件を満たすことを条件として、所定の限定された時間に限り、1又は複数の前記グループに前記グループ・メンバーとして所属する医療従事者又は介護従事者が、自己が前記グループ・メンバーとして所属しない1又は複数の前記グループに係る前記受給者の前記受給者情報、前記経過情報及び前記サマリー情報の少なくとも1つにアクセスするのを可能とする緊急時アクセス機能が設けられ、
前記所定の条件が、(a)緊急時に任意の前記受給者が搬送された事業関連施設が、当該受給者に係る1又は複数の前記グループの前記グループ・メンバーである前記医療従事者又は前記介護従事者が所属する事業関連施設と連携関係にあること、(b)搬送された前記事業関連施設において搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者が、前記ユーザー識別情報を有しており、且つ、当該受給者に係る前記グループ以外の1又は複数の前記グループに前記グループ・メンバーとして所属していること、(c)アクセス可能時間が、搬送された前記受給者に対する緊急の医療サービス及び/又は介護サービスの提供に必要と見積もられた時間に限定されていること、及び、(d)アクセス後に可能となる操作が閲覧に限定されること、という4条件に設定され、
前記所定の条件(a)〜(d)のすべてが満たされない場合は、前記アクセスが拒絶されるように設定される。
【0066】
この例では、高度のセキュリティを保持しながら、緊急時に搬送された前記受給者に対して緊急時に執るべき処置をより的確なものにすることができ、しかも、搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者に対するリスクを低減することも可能となる、という利点がある。
【0067】
(21) 本発明の第3の観点によれば、多職種連携支援システムにおけるアクセス権制御方法が提供される。この方法は、
ユーザー端末からの要求に応じて、通信ネットワークを介して特定の受給者に係る受給者情報を前記ユーザー端末で閲覧可能にすることで、前記受給者への医療サービス及び/又は介護サービスの提供を支援する際に、医療分野及び/又は介護分野における多職種の専門家間の連携を支援する多職種連携支援システムにおいて、ユーザーのアクセス権を制御する方法であって、
前記多職種連携支援システムは、
前記ユーザー端末を介して前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する個々のユーザーに対してユーザー識別情報を割り当てて記憶する手段と、
前記ユーザーとしての前記受給者に対して受給者識別情報を割り当てると共に、当該受給者識別情報を対応する前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶する手段と、
前記ユーザーとしての医療従事者又は介護従事者に対して事業従事者識別情報を割り当てると共に、当該事業従事者識別情報を前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶する手段と、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記受給者識別情報に関連させて固有のグループ識別情報を持つグループを生成すると共に、個々の前記グループに係る前記受給者識別情報に対応する前記受給者に係る前記受給者情報を表示するための情報表示領域を生成する手段と、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とする手段とを備えており、
前記アクセス権制御方法は、
個々の前記ユーザーに対して設定された、前記グループの前記受給者の前記受給者情報に対するアクセス権を、前記ユーザーが所定の認証アルゴリズムを用いてソーシャル認証を受けていることを条件として設定し、
前記認証アルゴリズムを、
(a)少なくとも1つの前記グループを介して、n人の医療・介護従事者とつながっていること(ただし、nは1以上の整数)、
(b)m個の前記グループのグループ・メンバーである(ただし、mは1以上の整数)、
(c)自身の顔写真とプロフィールが掲載されていること、
(d)ユーザー登録からxヶ月以上経過しており、且つ、1ヶ月にy回以上の書き込みがある(ただし、x及びyはいずれも1以上の整数)こと、及び、
(e)使用する端末が、所定レベル以上のセキュリティ条件を満たしていること、
という5条件の少なくとも2つを包含するように設定することを特徴とするものである。
【0068】
本発明の第3の観点による多職種連携支援システムにおけるアクセス権制御方法では、前記多職種連携支援システムにおいて、前記受給者の前記受給者情報に対する前記ユーザーのアクセス権を、前記受給者情報の内容や前記ユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御することで、ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記受給者の前記受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供することができる。
【0069】
(22) 本発明の第4の観点によれば、多職種連携支援システムにおける緊急時アクセス制御方法が提供される。この方法は、
ユーザー端末からの要求に応じて、通信ネットワークを介して特定の受給者に係る受給者情報を前記ユーザー端末で閲覧可能にすることで、前記受給者への医療サービス及び/又は介護サービスの提供を支援する際に、医療分野及び/又は介護分野における多職種の専門家間の連携を支援する多職種連携支援システムにおいて、ユーザーの緊急時アクセスを制御する方法であって、
前記多職種連携支援システムは、
前記ユーザー端末を介して前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する個々のユーザーに対してユーザー識別情報を割り当てて記憶する手段と、
前記ユーザーとしての前記受給者に対して受給者識別情報を割り当てると共に、当該受給者識別情報を対応する前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶する手段と、
前記ユーザーとしての医療従事者又は介護従事者に対して事業従事者識別情報を割り当てると共に、当該事業従事者識別情報を前記ユーザー識別情報に関連づけて記憶する手段と、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記受給者識別情報に関連させて固有のグループ識別情報を持つグループを生成すると共に、個々の前記グループに係る前記受給者識別情報に対応する前記受給者に係る前記受給者情報を表示するための情報表示領域を生成する手段と、
前記ユーザー端末からの指示に応じて、個々の前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、当該グループの前記情報表示領域に表示される前記受給者情報を前記ユーザー端末を介して当該グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とする手段とを備えており、
前記緊急時アクセス制御方法は、
緊急時に所定の条件を満たすことを条件として、所定の限定された時間に限り、1又は複数の前記グループに前記グループ・メンバーとして所属する医療従事者又は介護従事者が、自己が前記グループ・メンバーとして所属しない1又は複数の前記グループに係る前記受給者の前記受給者情報、前記経過情報及び前記サマリー情報の少なくとも1つにアクセスするのを可能とする緊急時アクセス機能を設け、
前記所定の条件を、(a)緊急時に任意の前記受給者が搬送された事業関連施設が、当該受給者に係る1又は複数の前記グループの前記グループ・メンバーである前記医療従事者又は前記介護従事者が所属する事業関連施設と連携関係にあること、(b)搬送された前記事業関連施設において搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者が、前記ユーザー識別情報を有しており、且つ、当該受給者に係る前記グループ以外の1又は複数の前記グループに前記グループ・メンバーとして所属していること、(c)アクセス可能時間が、搬送された前記受給者に対する緊急の医療サービス及び/又は介護サービスの提供に必要と見積もられた時間に限定されていること、及び、(d)アクセス後に可能となる操作が閲覧に限定されること、という4条件に設定し、
前記所定の条件(a)〜(d)のすべてが満たされない場合は、前記アクセスが拒絶されるように設定することを特徴とするものである。
【0070】
本発明の第4の観点による多職種連携支援システムにおける緊急時アクセス制御方法では、前記多職種連携支援システムにおいて、高度のセキュリティを保持しながら、緊急時に搬送された前記受給者に対して緊急時に執るべき処置をより的確なものにすることができ、しかも、搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者に対するリスクを低減することも可能となる。
【発明の効果】
【0071】
本発明の第1の観点による医療・介護分野における多職種連携支援方法と第2の観点による医療・介護分野における多職種連携支援システムによれば、(a)医療サービス及び/又は介護サービスをその受給者に提供する多職種の専門家(例えば医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー)が、個々の受給者の受給者情報、すなわち、個々の受給者に係わる医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報等の各種情報を、任意の端末から通信ネットワークを介して共有できると共に、前記受給者情報を目的(例えば、医師が講じた処置による患者の症状の改善状況を知る、治療方針に関する患者の思いや気持ちの時間的変化を知る等)に応じて容易に加工して共有できるようにすることができ、したがって、前記多職種の専門家間でいっそう緊密且つ円滑な連携が行えるよう支援することができる。また、(b)医療サービス及び/又は介護サービスの受給者、当該受給者の関係者、及び/又は、当該受給者を担当し且つ異なる場所にある施設に所属する多職種の専門家により提供され、且つ、所定の情報表示領域に表示された当該受給者の受給者情報をカテゴリー別に分類すると共に経時的に配列することができ、したがって、前記受給者に対する医療サービス及び/または介護サービスの提供に活用できる有益な経過情報を整理した形で作成・共有することができる。
【0072】
前記グループに係る前記受給者のサマリー情報を作成して、前記ユーザー端末を介して、前記グループの前記グループ・メンバーの間で共有可能とした場合には、上述した効果(a)及び(b)に加えて、(c)医療サービス及び/又は介護サービスの受給者が移動元施設から移動先施設に移動する際に、当該受給者の経過情報の中から移動先施設の専門家が知っておくべき情報を選別することで、当該受給者のサマリー情報を作成・共有することができ、したがって、当該受給者が施設間移動する際の情報伝達を容易化且つ効率化できる、という効果が得られる。
【0073】
前記グループの前記受給者の前記受給者情報に対するアクセス権が、前記ユーザーが所定の認証アルゴリズムを用いてソーシャル認証を受けていることを条件として設定されている場合は、上述した効果(a)及び(b)に加えて、(d)個々の受給者の受給者情報に対するユーザーのアクセス権を、当該受給者情報の内容やユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御することで、ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記受給者の受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供できる、という効果が得られる。
【0074】
本発明の第3の観点による多職種連携支援システムにおけるアクセス権制御方法では、多職種連携支援システムにおいて、ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記受給者の前記受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供することができる、という効果が得られる。
【0075】
本発明の第4の観点による多職種連携支援システムにおける緊急時アクセス制御方法では、多職種連携支援システムにおいて、高度のセキュリティを保持しながら、緊急時に受給者に対して執るべき処置をより的確なものにすることができ、しかも、受給者を担当する医療従事者又は介護従事者に対するリスクを低減することも可能となる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0078】
(医療・介護支援サービスの利用形態)
本発明の一実施形態に係る多職種連携支援システム100が組み込まれている医療・介護支援システム30が提供する医療・介護支援サービスを利用する際の全体構成を、
図1に示す。
【0079】
以下の説明では、個々の患者を区別する場合は「患者P1」、「患者P2」などと表記し、個々の患者を区別しない場合は「患者P」と表記する。同様に、個々の医療従事者を区別する場合は「医療従事者M1」、「医療従事者M2」などと表記し、区別しない場合は「医療従事者M」と表記する。個々の介護従事者を区別する場合は「介護従事者C1」、「介護従事者C2」などと表記し、区別しない場合は「介護従事者C」と表記する。個々の患者関係者を区別する場合は「患者関係者R1」、「患者関係者R2」などと表記し、区別しない場合は「患者関係者R」と表記する。個々の医療・介護関連施設を区別する場合は「医療・介護関連施設F1」、「医療・介護関連施設F2」などと表記し、区別しない場合は「医療・介護関連施設F」と表記する。個々のグループを区別する場合は「グループG11」、「グループG12」などと表記し、区別しない場合は「グループG」と表記する。
【0080】
図1に示すように、この医療・介護支援サービスは、その利用を希望する患者P、患者関係者R、医療従事者M又は介護従事者Cが、所定の方法でユーザー登録をした後、患者Pが操作する患者端末10や、医療従事者M又は介護従事者Cが操作する医療・介護従事者端末11、あるいは、患者関係者Rが操作する患者関係者端末12(以下、これらの端末をまとめて「ユーザー端末」ということがある)から、通信ネットワークであるインターネット20を介して利用するようになっている。
【0081】
ユーザー登録をした患者P、患者関係者R、医療従事者M又は介護従事者Cは、この医療・介護支援サービスの「ユーザー」となる。この医療・介護支援サービスは、医療・介護支援システム30によって実現されているから、この医療・介護支援サービスの「ユーザー」は医療・介護支援システム30の「ユーザー」と言うこともできる。ユーザー登録をしていない患者P、患者関係者R、医療従事者M又は介護従事者Cは、この医療・介護支援サービスを利用できない。
【0082】
任意の1つのユーザー端末10、11又は12からインターネット20を介して医療・介護支援システム30に指示を送ると、医療・介護支援システム30内に設置されたハードウェアとソフトウェアの動作により、後述する「ユーザー登録」や「グループの生成」、「グループへの招待」、「メッセージの送受信(コミュニケーション)」、「かかりつけ登録」、「医療・介護情報の投稿及び/又は閲覧」といった種々の動作や機能が実行される。また、そうすることで、任意の患者Pの医療情報及び/又は介護情報や当該患者Pについて交換されたメッセージを、当該患者Pのプライバシーを守りながら、また高度な情報セキュリティ(機密保護)性能を保ちながら、当該患者Pを担当する医療従事者M及び介護従事者Cの間で、もしくは当該患者Pと同患者を担当する医療従事者M及び介護従事者Cの間で、又は当該患者Pとその患者関係者Rと同患者を担当する医療従事者Mと患者関係者Rの間で共有することが可能となり、その共有された情報やメッセージに基づいて当該患者Pに、より良質の医療サービス及び/又は介護サービスを提供できるようになる。
【0083】
患者端末10と患者関係者端末12は、通常、携帯電話やスマートフォンのような携帯端末とされ、個々の患者Pや患者関係者Rが自分専用の端末を所有するが、デスクトップ型あるいはノート型のパーソナル・コンピューター(パソコン)や、タッチパネル型の端末も使用可能である。医療・介護従事者端末11は、医療・介護関連施設Fに設置されることが多いので、通常はデスクトップ型あるいはノート型のパソコンとされるが、タッチパネル型の端末や携帯電話、スマートフォン等の携帯端末も使用可能であることは言うまでもない。要するに、これらの端末10、11及び12は、インターネット20を介して医療・介護支援システム30との間で情報の送信、受信及び表示ができる端末装置であればよく、その形態や構成は問わない。
【0084】
個々の患者Pは、一つ以上の疾患を患っており、特定の医療・介護関連施設Fにおいてそこに所属する医療従事者Mにより診断・治療等の医療サービスを受け、また、同一又は異なる医療・介護関連施設Fに所属する介護従事者Cから食事・入浴介助等の介護サービスを受ける。説明を簡単にするため、本実施形態では、2人の患者P1及びP2のみがこの医療・介護支援サービスを利用している場合を想定しているが、実際はもっと多くの患者Pが利用することは言うまでもない。
【0085】
患者関係者Rとは、個々の患者Pの家族や親戚、友人、知人など、何らかの形で患者Pと関係のある人を指す。医療従事者Mや介護従事者Cであっても、ある患者Pの家族や親戚、友人あるいは知人等である場合は、その患者Pの患者関係者Rになり得る。ここでは、8人の患者関係者R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が参加している場合を想定しているが、患者Pの事情に応じて、もっと多くの、あるいはもっと少ない患者関係者Rがこの医療・介護支援サービスを利用することがあるのは言うまでもない。
【0086】
医療従事者Mとは、医師、看護士等、何らかの形で医療に従事している人を指す。医療従事者Mは、専門分野を持つクリニック(小規模の医院)や病院(中規模・大規模の医療施設)、訪問看護ステーション等の各種の医療・介護関連施設Fに所属して、その医療・介護関連施設Fであるいはその外部で、患者Pに対して診断・治療等の医療サービスを提供する。ここでは、6人の医療従事者M1、M2、M3、M4、M5及びM6のみが参加している場合を想定しているが、実際はもっと多くの、あるいはもっと少ない医療従事者Mが参加することは言うまでもない。
【0087】
介護従事者Cとは、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー等、何らかの形で介護に従事している人を指す。介護従事者Cは、老人ホーム、デイサービスセンター等の各種の医療・介護関連施設Fに所属して、その医療・介護関連施設Fであるいはその外部で、患者Pに対して食事・入浴介助等の介護サービスを提供する。ここでは、2人の介護従事者C1及びC2のみが参加している場合を想定しているが、実際はもっと多くの、あるいはもっと少ない介護従事者Cが参加することは言うまでもない。
【0088】
医療・介護関連施設Fとは、患者P(または要介護者)に対して、医療従事者Mによる医療サービス及び/又は介護従事者Cによる介護サービスが提供される医療施設や介護施設を指す。医療施設は、診断・治療・看護・ケア・検査・手術・相談等、何らかの医療サービスが提供される施設であれば足り、その形態や規模は問わない。医療サービスのみを提供される施設でも、医療サービスに加えて介護サービスが提供される施設でもよい。介護施設は、食事・入浴・排泄・歩行等の介助、相談等、何らかの介護サービスが提供される施設であれば足り、その形態や規模は問わない。介護サービスのみを提供される施設でも、介護サービスに加えて医療サービスが提供される施設でもよい。なお、医療・介護関連施設Fで提供される医療サービスや介護サービスは、その施設Fに所属する医療従事者Mや介護従事者Cによって提供されてもよいし、その施設Fには所属せず外部から派遣された医療従事者Mや介護従事者Cによって提供されてもよい。
【0089】
図1では、患者Pが端末10を所有し、医療従事者Mと介護従事者Cがそれぞれ端末11を所有し、患者関係者Rが端末12を所有しているように描いているが、本発明はこれに限定されない。患者Pと患者関係者Rと医療従事者Mと介護従事者Cは、それぞれ、一意に識別できる識別情報(ユーザーID)を持つため、同じユーザー端末10、11又は12から医療・介護支援システム30にログインしても互いに区別されることから、同じ端末10、11又は12を複数の人が共用してもよい。
【0090】
図1には、システム管理者Aと、システム管理者Aが操作する管理者端末14と、多職種連携支援システム100とが示されている。多職種連携支援システム100は、その詳細は後述するが、医師や看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー等の多職種の専門家がいっそう緊密且つ円滑な連携を行えるように支援して、より良質の医療サービス及び/又は介護サービスを提供できるようにするために設けられたものであり、医療・介護支援システム30と連携して動作するようになっている。システム管理者Aは、医療・介護支援システム30の動作全般を管理するために選任されており、自己の管理者端末14を用いてインターネット20を介して医療・介護支援システム30にアクセスして必要な処理を行うことができる。システム管理者Aは、医療・介護支援システム30だけでなく、多職種連携支援システム100の動作全般の管理も併せて行うことができる。
【0091】
図2は、上述した医療・介護支援システム30を利用している、換言すれば、医療・介護支援システム30のユーザーである患者P1及びP2、患者関係者R1〜R8、医療従事者M1〜M6、及び介護従事者C1及びC2の相互関係を示す説明図である。
【0092】
医療・介護支援システム30では、個々の患者Pの疾患毎にグループGが生成・登録される。つまり、個々の患者Pが持つ疾患それぞれについて別個のグループGが形成されるのである。したがって、任意の患者Pが1つの疾患のみを持つ場合は、1つのグループGが形成され、また、任意の患者Pが例えば2つの疾患を持つ場合は、2つのグループGが形成されることになる。各グループGに参加している人(参加者)(つまりグループ・メンバー)は、通常、患者P本人の他に、患者Pが治療等を受けている医療・介護関連施設Fに所属する担当の医療従事者Mを少なくとも一人含み、さらに、必要に応じて追加された患者関係者Rや介護従事者Cを含む。したがって、各グループGのグループ・メンバーは、患者P本人と、担当の医療従事者M及び介護従事者C、並びに、患者関係者Rから構成されるのが一般的である。
【0093】
各グループGに参加している医療従事者Mが所属する医療・介護関連施設Fのいずれか一つは、そのグループG(ひいては患者P)に対して「かかりつけ登録」されるのが通常である。「かかりつけ登録」された医療・介護関連施設Fは、そのグループGに係る患者Pの疾患の治療方針全般について主たる責任を負う。
【0094】
しかし、グループ・メンバーの構成は、そのような場合に限定されない。例えば、患者Pと一人又は複数の医療従事者M(と介護従事者C)だけがグループ・メンバーである(患者関係者Rを含まない)場合もあるし、複数の医療従事者M(と介護従事者C)だけがグループ・メンバーである(患者Pも患者関係者Rも含まない)場合もある。前者は、例えば、患者Pが患者関係者Rに対して自己の医療等に係る情報を知らせたくないようなときに生じる。後者は、患者Pの治療に関わっている複数の医療従事者M(と介護従事者C)の間で患者Pの医療等に係る情報を共有したいが、患者Pには知らせたくないようなときに生じる。なお、患者Pをグループ・メンバーに含まない場合は、医療・介護支援システム30上で患者Pから当該患者Pに係る情報の共有に対する承認を得ることができないため、別途、医療・介護支援システム30外で得るようにする。例えば、書面等で承認を得るようにすればよい。むろん、書面等をデジタル化したものを患者Pが承認するプロセスのみを、医療・介護支援システム30に便宜的に追加してもよい。なお、患者Pから当該患者Pに係る情報の共有に対する承認を得るためのサブシステムを、別個に医療・介護支援システム30に組み込むようにしてもよいことは言うまでもない。
【0095】
各グループGの患者P本人を除く参加者(グループ・メンバー)は、医療従事者Mや介護従事者Cであると患者関係者Rとを問わず、「サポーター」と呼ばれる。何らかの形で患者Pをサポートする人たちだからである。したがって、各グループGのグループ・メンバーは、患者Pを含む場合は、患者P本人と、少なくとも1人のサポーターから構成されると言うことができる。患者Pを含まない場合は、少なくとも1人のサポーターのみから構成されると言うことができる。
【0096】
図2から明らかなように、患者P1は、三つの疾患(ここでは胃癌、高脂血症、痛風とする)を患っていて、患者P1の三つの疾患毎にグループG11、G12及びG13が生成されており、医療従事者M及び/又は介護従事者Cを介して、グループG11、G12及びG13のそれぞれに対して医療・介護関連施設Fが関連づけられている。具体的に言えば、胃癌治療用のグループG11に対してはクリニックF1がかかりつけ登録され、高脂血症治療用のグループG12に対しては病院F2がかかりつけ登録され、痛風治療用のグループG13に対しては、クリニックF1がかかりつけ登録されている。このように、ここでは、患者P1は、自己のために疾患毎に生成された三つのグループG11、G12及びG13に所属(参加)している。後述するように、グループG11、G12及びG13には、クリニックF1及び病院F2にそれぞれ所属する医療従事者M及び/又は老人ホームF3に所属する介護従事者Cも、サポーターとして所属(参加)している。
【0097】
患者P2は、二つの疾患(ここではアルツハイマー、高血圧とする)を患っていて、患者P2の二つの疾患毎にグループG21及びG22が生成されており、医療従事者M及び/又は介護従事者Cを介して、グループG21及びG22のそれぞれに対して医療・介護関連施設Fが関連づけられている。具体的に言えば、アルツハイマー治療用のグループG21と高血圧治療用のグループG22の双方に対して、病院F2がかかりつけ登録されている。このように、ここでは、患者P2は、自己のために生成された二つのグループG21及びG22に所属(参加)している。後述するように、グループG21及びG22には、病院F2または訪問看護ステーションF4に所属する医療従事者M及び/又は老人ホームF3に所属する介護従事者Cも、サポーターとして所属(参加)している。
【0098】
上述したように、グループG11は患者P1の胃癌治療用グループ、グループG12は患者P1の高脂血症治療用グループ、グループG13は患者P1の痛風治療用グループである。また、グループG21は患者P2のアルツハイマー治療用グループ、グループG22は患者P2の高血圧治療用グループである。このように、グループGは、個々の患者Pが持つ疾患毎に作られると共に、各グループG内では特定の患者Pの特定の疾患に関する医療情報及び/又は介護情報が共有されるため、当該疾患の治療及び/又は介護に対して高い支援効果が期待でき、結果としてより良質の医療サービス及び/又は介護サービスが提供できるようになる。
【0099】
医療従事者M1は、医師で、クリニックF1に所属しており、患者P1の胃癌治療用グループG11及び痛風治療用グループG13にサポーター(グループ・メンバー)として所属(参加)している。医療従事者M2は、看護師で、医療従事者M1と同じクリニックF1に所属しており、患者P1の胃癌治療用グループG11にサポーターとして所属(参加)している。
【0100】
医療従事者M3は、医師で、病院F2に所属しており、患者P1の高脂血症治療用グループG12と患者P2のアルツハイマー治療用グループG21及び高血圧治療用グループG22にサポーターとして所属(参加)している。医療従事者M4は、看護師で、医療従事者M3と同じ病院F2に所属しており、患者P1の高脂血症治療用グループG12にサポーターとして所属(参加)している。
【0101】
介護従事者C1は、ソーシャルワーカーで、老人ホームF3に所属しており、患者P1の痛風治療用グループG13にサポーターとして所属(参加)している。介護従事者C2は、ヘルパーで、介護従事者C1と同じ老人ホームF3に所属しており、患者P1の胃癌治療用グループG11と患者P2のアルツハイマー治療用グループG21及び高血圧治療用グループG22にサポーターとして所属(参加)ている。
【0102】
医療従事者M5は、看護師で、訪問看護ステーションF4に所属しており、患者P2のアルツハイマー治療用グループG21にサポーターとして所属(参加)している。医療従事者M6は、看護師で、医療従事者M5と同じ訪問看護ステーションF4に所属しており、患者P2の高血圧治療用グループG22にサポーターとして所属(参加)している。
【0103】
以上述べたように、医療・介護支援システム30では、患者P1が持つ三つの疾患(ここでは胃癌、高脂血症、痛風)毎にグループG11、G12及びG13が形成されており、グループG11及びG13にはクリニックF1が、グループG12には病院F2が、それぞれかかりつけ登録されている。したがって、クリニックF1に所属する医療従事者M1が、主治医として、患者P1のグループG11の疾患(ここでは胃癌)の治療等を担当する。病院F2に所属する医療従事者M3が、主治医として、患者P1のグループG12の疾患(ここでは高脂血症)の治療等を担当する。クリニックF1に所属する医療従事者M1が、主治医として、患者P1のグループG13の疾患(ここでは痛風)の治療等を担当する。
【0104】
同様に、患者P2持つ二つの疾患(ここではアルツハイマー、高血圧)毎にグループG21及びG22が形成されており、これらのグループG21及びG22には病院F2がかかりつけ登録されている。したがって、病院F2に所属する医療従事者M3が、主治医として、患者P2のグループG21の疾患(ここではアルツハイマー)とグループG22の疾患(ここでは高血圧)の治療等を担当する。
【0105】
各グループG内における上述した医療情報及び/又は介護情報の共有やコミュニケーション(メッセージの交換)を実現するのに必要な各種機能は、後述するように、患者端末10、医療・介護従事者端末11又は患者関係者端末12からの要請や指示に応じて、医療支援システム30が提供する。
【0106】
(医療・介護支援システムの構成及び機能)
次に、本実施形態の医療・介護支援システム30の構成と機能について、
図3を参照しながら説明する。
図3は同システム30の内部構成を示す機能ブロック図である。
【0107】
本実施形態の医療・介護支援システム30は、
図3に示すように、ユーザー管理部310と、グループ管理部320と、認証部340と、通信制御部350を備えている。
【0108】
通信制御部350は、医療・介護支援システム30の外部に設けられた通信ネットワークとしてのインターネット20を介して、医療・介護支援システム30と複数のユーザー端末(つまり患者端末10、医療・介護従事者端末11及び患者関係者端末12)との間で、情報の送受信を可能とするセクションである。通信制御部350の通信制御プロセスは、公知の方法で実行されるので、その説明は省略する。
【0109】
認証部340は、ユーザー端末10、11又は12からインターネット20を介して医療・介護支援システム30にアクセスしてきた人が、当該システム30でユーザー登録を受けた正規ユーザーであるか否かの認証を行うセクションである。
【0110】
認証部340は、通信制御部350を介して、医療・介護支援システム30の外部に設けられたインターネット20に接続されている。ユーザー管理部310とグループ管理部320は、認証部340において所定の認証を得ることを条件として、同システム30の外部にある患者端末10、医療従事者端末11及び患者関係者端末12との間で情報の送受信を行う。そして、認証部340において正規ユーザーとして認証された場合に限り、その人によるユーザー管理部310とグループ管理部320へのアクセスが許可される。そうして初めて、そのユーザーは、同システム30が提供する医療・介護支援サービスを利用することが可能となる。
【0111】
次に、ユーザー管理部310について説明する。
【0112】
ユーザー管理部310は、医療・介護関連施設Fから提供される医療・介護サービスを利用する個々のユーザー、あるいは、そのユーザーを支援するユーザー、すなわち患者P、医療従事者M、介護従事者C及び患者関係者Rの登録(ユーザー登録)と、登録したユーザーの管理を行うセクションである。ユーザー管理部310は、登録部311、ユーザー情報記憶部312、患者情報記憶部313、医療・介護従事者情報記憶部314、医療・介護関連施設情報記憶部315及び疾患情報記憶部316を有している。
【0113】
登録部311は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、ユーザー管理部310におけるユーザー登録全般に関わる動作を制御する。例えば、医療・介護支援システム30にアクセスしてきたユーザー端末10、11又は12に、所定のユーザー登録画面(図示せず)を表示し、当該医療・介護支援サービスの利用を希望する人(利用希望者)に対して、所定の個人情報を入力・送信するよう促す。それに応じて、ユーザー端末10、11又は12から所定の個人情報が医療・介護支援システム30まで送信されて来ると、その個人情報をその利用希望者の「ユーザー情報」としてユーザー情報記憶部312に記憶する。また、登録部311は、必要に応じて、ユーザー情報記憶部312に記憶されたユーザー情報を読み出して利用し、また、ユーザー情報の修正・消去等も行う。
【0114】
ユーザー情報記憶部312は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、登録部311の指示に応じて、ユーザー情報、すなわち、ユーザーとしての患者P、医療従事者M、介護従事者C及び患者関係者Rの必要情報を記憶する。この時、個々のユーザーに、一意的に識別できる「ユーザー識別情報」(ユーザーID)を割り当てる。情報は、例えば、
図4(a)に示すようなユーザーテーブルの形式で記憶される。
【0115】
患者情報記憶部313は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、登録部311の指示に応じて、患者Pの個人情報を記憶する。この時、個々の患者Pに一意的に識別可能な「患者ID」を割り当てる。この「患者ID」は、「患者識別情報」であり、「サービス受給者識別情報」でもある。患者Pの個人情報は、例えば、
図4(b)に示すような患者テーブルの形式で記憶される。
【0116】
医療・介護従事者情報記憶部314は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、登録部311の指示に応じて、医療従事者Mと介護従事者Cの個人情報を記憶する。この時、個々の医療従事者M及び介護従事者Cに一意的に識別可能な「医療・介護従事者ID」を割り当てる。この「医療・介護従事者ID」は、「医療・介護従事者識別情報」であり、「事業従事者識別情報」でもある。医療従事者M及び介護従事者Cの個人情報は、例えば、
図4(c)に示すような医療・介護従事者テーブルの形式で記憶される。
【0117】
医療・介護関連施設情報記憶部315は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、登録部311の指示に応じて、医療・介護関連施設Fの必要情報を記憶する。この時、個々の医療・介護関連施設Fに一意的に識別可能な「医療・介護関連施設ID」を割り当てる。この「医療・介護療関連施設ID」は、「医療・介護関連施設識別情報」である。医療・介護関連施設Fの必要情報は、例えば、
図4(d)に示すような医療・介護関連施設テーブルの形式で記憶される。
【0118】
疾患情報記憶部316は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、登録部311の指示に応じて、疾患情報を記憶する。この時、個々の疾患に一意的に識別可能な「疾患ID」を割り当てる。この「疾患ID」は、「疾患識別情報」である。疾患情報は、例えば、
図5(b)に示すような疾患テーブルの形式で記憶される。
【0119】
次に、グループ管理部320について説明する。
【0120】
グループ管理部320は、医療・介護支援システム30において、個々の患者Pの疾患毎に登録・形成されるグループGを管理するセクションである。例えば、グループの新規登録のほか、グループ・メンバーの情報の記憶、招待リクエストやタイムラインやメッセージの制御、かかりつけ登録等々、多くの機能を実行する。グループ管理部320は、登録部321、グループ情報記憶部322、グループ・メンバー情報記憶部323、招待リクエスト制御部324、招待リクエスト情報記憶部325、タイムライン制御部326、メッセージ制御部327、かかりつけ施設情報記憶部328、共有同意情報記憶部329、患者実在性検証部330、そして認証部331を有している。
【0121】
登録部321は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、医療従事者M又は患者Pの要請に応じて、個々の患者Pの疾患毎にグループGを生成し、登録する。また、医療従事者M又は患者Pの要請に応じて、後述する「かかりつけ登録」(具体的には、患者Pと疾患と医療・介護関連施設Fの関連付け)に係るプロセスも実行する。
【0122】
医療従事者Mの要請によりグループGが生成されるのは、医療従事者Mが「患者グループ登録」をする場合である。「患者グループ登録」とは、医療従事者Mが所属する医療関連施設Fが治療等をしている患者Pとその疾患を、医療・介護支援システム30に登録することを指す。このとき、医療従事者Mは、自分が所属する医療関連施設Fが治療等をしている患者Pとその疾患を指定して、医療・介護支援システム30に登録するが、これは、その医療従事者Mが所属する医療関連施設F内で、患者Pの医療・介護情報を共有できるようにするためである。登録部321は、「患者グループ登録」に同期して自動的にグループGを生成し、生成されたグループGに係る情報をグループ情報記憶部322に記憶する。
【0123】
こうして生成されたグループGの当初のグループ・メンバーは、予め決められたメンバー(デフォルトメンバー)が自動的に招待されている場合を除き、ゼロである。「患者グループ登録」をした医療従事者Mも、「患者グループ登録」の対象となった患者Pも、グループ・メンバーにはなっていない。「患者グループ登録」をした医療従事者Mがグループ・メンバーになるには、自分自身に向けて招待リクエストを送信し、自分で承認する必要がある。同様に、「患者グループ登録」の対象となった患者Pがグループ・メンバーになるには、患者P宛に招待リクエストを送信して当該患者Pに承認してもらう必要がある。
【0124】
患者Pの要請によりグループGが生成されるのは、患者Pが「かかりつけ登録」を要請する場合である。このとき、患者Pは、自分が治療等を受けている、あるいは、受けようとしている医療・介護関連施設Fのうちの一つを選んで、「かかりつけ登録」を要請し、医療関連施設Fに承認してもらうようにする。これは、その患者Pが、主として治療を受けることを希望し、且つ、治療方針全般について主たる責任を持つ医療関連施設Fを指定するためである。登録部321は、「かかりつけ登録」に同期して自動的にグループGを生成し、生成されたグループGに係る情報(グループ情報)をグループ情報記憶部322に記憶する。なお、「かかりつけ登録」では、具体的には、患者Pと疾患と医療・介護関連施設Fの関連付けが行われる。
【0125】
こうして生成されたグループGにおいても、デフォルトメンバーが自動的に招待されている場合を除き、当初のグループ・メンバーはゼロである。「かかりつけ登録」を要請した患者Pも、「かかりつけ登録」の対象となった医療関連施設Fの医療従事者Mも、グループ・メンバーにはなっていない。「かかりつけ登録」を要請した患者Pがグループ・メンバーになるには、自分自身に招待リクエストを送信し、自分で承認する必要がある。同様に、「かかりつけ登録」に係る医療従事者Mがグループ・メンバーになるには、「かかりつけ登録」を要請した患者Pが、医療従事者M宛に招待リクエストを送信し、当該医療従事者Mに承認してもらう必要がある。
【0126】
グループ情報記憶部322は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、グループ情報、すなわち、各グループGがどの患者Pのどのような疾患に関するものであり、また、どの医療関連施設Fを「かかりつけ施設」として登録しているかを示す情報を記憶する。「グループ情報」は、例えば、
図5(c)のようなグループテーブルの形式で記憶される。
【0127】
グループ・メンバー情報記憶部323は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成される。グループ・メンバー情報記憶部323は、グループ・メンバー情報、すなわち、各グループGの所有者とも言える患者P本人と、各グループGに患者Pのサポーターとして参加している医療従事者Mや介護従事者Cや患者関係者Rに係る情報を記憶する。「グループ・メンバー情報」は、例えば、
図5(d)のようなグループ参加テーブルの形式で記憶される。
【0128】
招待リクエスト制御部324は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、個々のグループGに参加して欲しい非グループ・メンバー(すなわち、患者P、医療従事者M、介護従事者C又は患者関係者R)を特定して、それらの非グループ・メンバーに対して送られる「招待リクエスト」を制御する。招待リクエスト制御部324は、ユーザーすなわち医療従事者M、介護従事者C、患者P又は患者関係者Rの指示に応じて、特定された非グループ・メンバーに対して、招待リクエストを電子メールの形で送信する。また、招待リクエストを受信したユーザーからの返信(招待リクエストを承認したか否かを示す)を受信する。
【0129】
招待リクエストは、所望のグループGに参加してグループ・メンバーになって欲しいユーザーに対して送られる、電子メール形式の招待状である。招待リクエストの送信は、患者P、医療従事者M、介護従事者C、患者関係者Rのいずれも可能であるが、グループGへの参加を希望するユーザーに招待リクエストを送信する前に、所定の管理者の「許可」を受ける必要がある。これは、招待しようとしているユーザーがグループ・メンバーとしてふさわしいか否か、そのユーザーの参加により何らかの支障が生じないか等の点を考慮して、管理者が決定する。この管理者には、「医療・介護従事者側管理者」と「患者側管理者」がある。「医療・介護従事者側管理者」は、招待リクエストの送信を「許可」又は「拒否」する権限を有する医療従事者M(ユーザーでもある)であり、医療・介護関連施設F毎に、あるいは、グループ毎に設定される。「医療・介護従事者側管理者」としては、例えば、クリニックや病院の院長や事務長などが指定される。「患者側管理者」は、患者P本人(ユーザーでもある)か、患者Pの家族や友人等で患者Pから招待リクエストの送信を「許可」又は「拒否」する権限を与えられたユーザーであり、患者P毎に、あるいは、グループ毎に設定される。「患者側管理者」としては、例えば、患者Pの親や配偶者や子、親しい友人などが指定される。
【0130】
通常は、医療従事者M又は介護従事者Cが招待リクエストを送信する場合でも、患者P又は患者関係者Rが招待リクエストを送信する場合でも、「医療・介護従事者側管理者」と「患者側管理者」の双方の許可が得られないと招待リクエストを送信できない、と規定される。つまり、医療従事者M及び介護従事者C側の事情と患者P側の事情の双方を考慮したうえで、招待リクエストの送信の許否を決定するように設定する。これは、グループ・メンバーになると、患者Pの医療情報や介護情報やメッセージを投稿・閲覧できるようになるため、だれがグループ・メンバーになるかは患者Pと医療従事者M及び介護従事者Cの双方に及ぼす影響が大きいからである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。「医療・介護従事者側管理者」と「患者側管理者」のいずれか一方の許可が得られれば、招待リクエストを送信できるようにしてもよいし、「医療・介護従事者側管理者」のみの許可が得られれば、招待リクエストを送信できるようにしてもよい。この点は、必要あるいは要望に応じて決めることができる。
【0131】
このように、医療・介護支援システム30では、招待リクエストの送信が「完了」する(「招待の完了」)ためには、「医療・介護従事者側管理者」及び「患者側管理者」の少なくとも一方の「許可」が必要であり、グループ・メンバーのグループGへの追加によって問題が生じないようになっている。
【0132】
「医療・介護従事者側管理者」及び「患者側管理者」の双方、又は、その少なくとも一方の「許可」を受けて送信された招待リクエストを受け取ったユーザーは、その招待リクエストで指定されたグループGに参加する場合は、その招待を「承認」すればよい。そうすると、自動的に、グループ・メンバーとして追加される。グループGに参加しない場合は、その招待を「拒絶」すればよい。このように、招待リクエストを受け取ったユーザーは、招待を「承認」するか否かを決めることで、グループGへの参加・不参加を選択することができる。
【0133】
招待を承認したユーザーは、グループGのメンバーとなるが、患者P以外のグループ・メンバー(具体的には医療従事者Mと介護従事者Cと患者関係者R)はすべて、患者Pのサポーターとなる。グループ・メンバーの間では、患者Pが選択した共有ルールに従って、患者Pの医療情報や介護情報やメッセージが共有される。したがって、例えば、他の医療・介護関連施設Fの医療従事者Mから自己の疾患に対するセカンド・オピニオンをもらいたい場合や、患者Pが自己の疾患に関する治療経過等について知っておくことを望む家族や親戚、友人等の患者関係者Rがいる場合には、このような人々に対して招待リクエストが送信される。こうすることで、医療・介護関連施設Fの患者Pの特定疾患についての医療情報や介護情報を、一意性を担保しながら、他の医療・介護関連施設Fの医療従事者を含む複数の医療従事者Mや介護従事者C、患者関係者R、患者P本人と共有することができる。
【0134】
「医療・介護従事者側管理者」及び「患者側管理者」の設定は、招待リクエスト情報記憶部325に記憶される。「医療・介護従事者側管理者」及び「患者側管理者」による「許可」プロセスは、招待リクエスト制御部324が実行する。招待リクエストの生成及び送信と、招待リクエスト受信者からの返信の受信は、招待リクエスト制御部324が実行する。
【0135】
招待リクエスト情報記憶部325は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成される。招待リクエスト情報記憶部325は、要請に応じて招待リクエスト制御部331が生成する「招待リクエスト情報」、すなわち、誰が誰に対して招待リクエストを送るのかを示す各種情報と、管理者による招待リクエストの許否に関する情報を記憶する。また、招待リクエストの受信者からの返信内容(招待リクエストの承認又は許否)と、「医療・介護従事者側管理者」及び「患者側管理者」の設定も記憶する。「招待リクエスト情報」は、例えば、
図6(a)に示した招待リクエストテーブルの形式で記憶される。
【0136】
なお、
図6(a)の招待リクエストテーブルに「招待先パスフレーズ」が含まれているのは、招待リクエストを受け取った人が、正規の招待先であるか否か、換言すれば、本人であるか否かを、このパスフレーズで確認するためである。招待リクエストを受け取った人が、その招待リクエストに係る招待元のグループに参加するためには、招待リクエストの電子メール中に記載されているURLにアクセスして、そこで表示される招待リクエスト承認画面中に、パスフレーズを入力する必要がある。入力されたパスフレーズが、招待リクエストテーブルに格納されている「招待先パスフレーズ」と一致しないと、そのグループには参加できないようになっているから、これで招待先の本人認証が容易にできるのである。
【0137】
タイムライン制御部326は、その動作を制御するソフトウェアから形成されており、各グループGに対して割り当てられる「タイムライン」(すなわち情報表示領域)を制御する。具体的には、新たに生成されたグループGに対して、「タイムライン」と呼ばれる情報表示領域を割り当て、共有される医療・介護情報をそのタイムラインに所定の順序で(例えば投稿された時刻順に)表示させる。表示する情報と、その表示時刻等のパラメータは、医療・介護従事者端末11からインターネット20を介してグループ管理部330に送られるので、タイムライン制御部335は、そのパラメータに従って、送られてきた情報をタイムラインに表示させる。
【0138】
タイムラインの一例を
図9に示す。このタイムライン51は、患者P1の胃癌治療用のグループG11用に生成されたものであり、全員共有エリア51aと医療・介護従事者共有エリア51bを備えている。全員共有エリア51aには、グループG11のメンバー全員が共有する情報が表示される。医療・介護従事者共有エリア51bには、グループG11の医療従事者M及び介護従事者Cだけが共有する情報が表示される。したがって、全員共有エリア51aに表示される医療情報及び/又は介護情報とメッセージは、グループG11のメンバー全員が共有可能であり、
図9の例では、患者P1のほか、クリニックF1に所属する医療従事者M1及びM2と、病院F2に所属する医療従事者M3と、老人ホームF3に所属する介護従事者C1と、訪問看護ステーションF4に所属する医療従事者M6と、患者関係者R1、R2及びR4が、自由に投稿・閲覧可能である。これとは異なり、医療・介護従事者共有エリア51bに表示される医療情報及び/又は介護情報とメッセージは、グループG11の医療従事者M及び介護従事者Cのみが共有可能であり、患者Pや患者関係者Rは共有できない。
図9の例では、クリニックF1に所属する医療従事者M1及びM2と、病院F2に所属する医療従事者M3と、老人ホームF3に所属する介護従事者C1と、訪問看護ステーションF4に所属する医療従事者M6のみが、自由に投稿・閲覧が可能であり、患者Pと患者関係者R1、R2及びR4は投稿・閲覧ができない。
【0139】
グループG11のタイムライン51の全員共有エリア51aは、当該グループG11のグループ・メンバー全員、すなわち、当該グループG11に所属するすべての医療従事者M、介護従事者C、患者P及び患者関係者Rが、所望のメッセージやデータ等の情報を自由に投稿したり、当該エリア51aに表示された情報を自由に閲覧したりすることが可能であるが、当該エリア51aは主として患者側のユーザーの便宜のためのエリアであるから、当該エリア51aをタイムライン51の「患者側エリア」、または、「患者側タイムライン」と呼ぶことができる。また、タイムライン51の医療・介護従事者共有エリア51bは、当該グループG11の医療・介護従事者側のグループ・メンバー、すなわち、当該グループG11に所属する医療従事者M及び介護従事者Cだけが、所望のメッセージやデータ等の情報を自由に投稿したり、当該エリア51aに表示された情報を自由に閲覧したりすることが可能であり、当該グループG11のグループ・メンバーであっても患者側の患者Pと患者関係者Rは投稿・閲覧ができない。つまり、当該エリア51aは主として医療・介護従事者側のユーザーの便宜のためのエリアであるから、当該エリア51bをタイムライン51の「医療・介護従事者側エリア」、または、「医療・介護従事者側タイムライン」と呼ぶことができる。
【0140】
メッセージ制御部327は、その動作を制御するソフトウェアから形成されており、一人のグループ・メンバーから他のグループ・メンバーに宛てられたメッセージの送信・受信を制御する。この制御には、例えば、
図7(a)に示したメッセージ送信予約テーブルが使用される。
【0141】
図7(b)に示した患者属性テーブルは、個々の患者Pの属性が記憶されるものであり、メッセージ制御部336が所定のメッセージを一部の患者Pに選択的に送信する際に使用される。
【0142】
かかりつけ施設情報記憶部328は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成される。かかりつけ施設情報記憶部328は、登録部321が実行する「かかりつけ登録」(患者Pと疾患と医療・介護関連施設Fの関連付け)プロセスで利用され、生成される「かかりつけ施設情報」を記憶する。かかりつけ登録についての詳細は、上述した特許文献1に記載されているので、称略する。「かかりつけ施設情報」は、例えば、
図5(a)に示すような医療・介護関連施設患者テーブルの形式で記憶される。
【0143】
登録部321は、所定の医療情報共有の照会画面(図示せず)において、所定の共有ルール選択画面(図示せず)を表示し、共有ルール、すなわち医療情報の共有範囲を選択するよう促す。例えば、共有ルールの選択肢は二つとされ、一つは「かかりつけ登録に係る医療関連施設Fの内部のみで共有」、他の一つは「かかりつけ登録に係る医療関連施設Fの内部と、かかりつけ登録に係る患者P本人とを含む、グループ・メンバー全員で共有」とされる。いずれかの共有ルールが選択されると、登録部321は、「共有に同意する」旨の回答と、選択された共有ルールとを共有同意情報記憶部329に記憶する。共有ルールを三つ以上設定してもよいことは言うまでもない。
【0144】
共有同意情報記憶部329は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、登録部321によって生成された、「自己の医療情報の共有に同意する」旨の意思表示(共有同意情報)と、選択された共有ルールとを記憶する。共有同意情報と選択された共有ルールは、例えば、
図6(c)に示す医療・介護情報共有ルールテーブルの形式で記憶される。
【0145】
患者実在性検証部330は、その動作を制御するソフトウェアから形成されており、「かかりつけ登録を要請して来た患者Pが実在するか否か」、換言すれば、「その患者Pが本人であり、他人のなりすましではないかどうか」を検証する。この患者実在性検証プロセスは、上述したかかりつけ登録プロセスを開始する前に行うのが好ましい。
図6(d)に、NFC端末を管理するために作成されたNFC端末テーブルの一例を示す。
【0146】
認証部331は、その動作を制御するソフトウェアから形成されており、ユーザー端末を介して、医療・介護支援システム30の特定のグループGにアクセスして来た患者P、医療従事者M、介護従事者C又は患者関係者Rが、そのグループGの正規のメンバーであるか否か、換言すれば、そのグループGのタイムラインにアクセスする権限があるか否かをチェックする。そして、正規のメンバーであることが確認されれば、そのグループGのタイムラインにアクセスすることを許可する。正規のメンバーでないと確認されれば、そのグループGのタイムラインにアクセスすることを拒否する。
【0147】
医療・介護支援システム30で使用される上述した各種テーブルは、
図8に示すような関係を持つ。
【0148】
(医療・介護支援システムの動作)
以上の構成を持つ医療・介護支援システム30では、医療情報及び介護情報とメッセージの共有のために、個々の患者Pの疾患毎にグループGが作成・登録される。グループGの作成は、上述したように、医療従事者Mによる患者グループ登録、又は、患者Pによるかかりつけ登録によって行われる。また、グループGのグループ・メンバーは、デフォルトメンバーを除き、必要に応じて患者Pや医療従事者M、介護従事者C、患者関係者Rを招待することで追加され、また、必要に応じてグループGから削除される。医療・介護支援システム30のこれら動作の詳細は、特許文献1に医療支援システムの動作として記載されているが、これらは本実施形態に係る多職種連携支援システム100とは関係がないため、それらの説明は省略する。
【0149】
また、医療・介護支援システム30のユーザー登録、新規患者登録、新規医療従事者登録等の動作についての説明も、同じ理由により、省略する。
【0150】
(多職種連携支援システムの全体構成)
次に、本発明の一実施形態に係る多職種連携支援システム100の構成について、
図10〜
図14を参照しながら説明する。
【0151】
本実施形態の多職種連携支援システム100は、
図1、
図10及び
図11に示すように、直接、または、図示しないネットワークを介して、上述した医療・介護支援システム30と接続されており、同システム30と各種情報を送受信しながら連携して動作する。また、この多職種連携支援システム100は、インターネット20を介して、患者端末10、医療・介護従事者端末11及び患者関係者端末12と接続されており、これらのユーザー端末10、11又は12から多職種連携支援システム100にアクセスして、同システム100が提供する個々の患者Pに係る経過情報及びサマリー情報を利用することが可能である。
【0152】
多職種連携支援システム100は、医療・介護支援システム30と連携して動作することで、医療・介護分野における多職種の専門家間及びこれら専門家と受給者(患者又は要介護者)本人及び/又はその関係者との間で、いっそう緊密且つ円滑な連携が行えるよう支援するために必要な全機能を発揮できるものであれば、どのような構成であってもよい。すなわち、多職種連携支援システム100は、医療・介護支援システム30の内部にそれと一体的に構成(配置)されていてもよいし、同システム30の外部にそれとは別個に構成(配置)されていてもよい。また、同システム30が組み込まれたサーバ装置(図示せず)の内部に一緒に構成(配置)されていてもよいし、同システム30が組み込まれたサーバ装置とは別のサーバ装置に構成(配置)されて、インターネット20や他のネットワークを介して相互通信ができるようにされていてもよい。
【0153】
本実施形態では、多職種連携支援システム100の主たる機能は、
図10に示すように、医療・介護支援システム30によって特定の患者P1の特定の疾患(ここでは胃癌)に係るグループG11のタイムライン51に投稿・表示されるメッセージ及び/又はデータ(これらは当該患者P1の当該疾患に係る医療情報及び/又は介護情報を含む)から、同患者P1の治療や介護に係る「経過情報」を作成・保存し(第1段階)、さらに、こうして作成・保存された同患者P1の「経過情報」から、同患者P1の「サマリー情報」を作成・保存する(第2段階)、というものである。したがって、多職種連携支援システム100は、主たる構成要素として、個々の患者Pについての「経過情報」を作成・保存する経過情報作成部110と、その「経過情報」から同患者Pについての「サマリー情報」を作成・保存するサマリー情報作成部120とを備えている。
【0154】
このように、本実施形態では、多職種連携支援システム100は、医療・介護分野における多職種の専門家間及びこれら専門家と受給者(患者又は要介護者)本人及び/又はその関係者との間で、いっそう緊密且つ円滑な連携が行えるよう支援するという目的を達成するために、医療・介護支援システム30が提供する機能、すなわち、医療サービス及び/又は介護サービスの受給者(患者又は要介護者)毎に1又は複数のグループGを生成し、各グループGのグループ・メンバー間で対応する受給者に係る医療情報及び/又は介護情報(医療・介護情報)を共有可能にするための機能を利用しており、同システム30のそれらの機能に、「経過情報」を作成・保存する機能(経過情報作成部110による)と、「サマリー情報」を作成・保存する機能(サマリー情報作成部120による)とを組み合わせる構成を有している。しかし、これは、既存の医療・介護支援システム30を利用して多職種連携を実現する場合について述べることを意図したからであり、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。すなわち、多職種連携支援システム100それ自体が、システム30の医療・介護サービスの受給者(患者又は要介護者)毎に1又は複数のグループGを生成し、各グループGのグループ・メンバー間で対応する受給者に係る医療・介護情報を共有可能にするための機能を内蔵していてもよい。この場合には、多職種連携支援システム100は、経過情報作成部110及びサマリー情報作成部120だけでなく、医療・介護支援システム30が持つユーザー管理部310及びグループ管理部320をも備えて構成されることになる。
【0155】
なお、上述した「経過情報」を作成・保存する第1段階では、患者P1のタイムライン51に投稿・表示されるメッセージ及び/又はデータに加え、必要に応じて、後述する疾患情報、疾患別デフォルト情報、薬基本情報、及び薬別デフォルト情報が利用される。また、上述した「サマリー情報」を作成・保存する第2段階では、第1段階で作成された「経過情報」に加え、必要に応じて、後述する患者基本情報及び施設トレース情報が利用される。
【0156】
以下の説明では、タイムライン51に投稿・表示されるメッセージ及びデータ(ファイル)を、それぞれ、「メッセージ型情報」及び「データ(ファイル)型情報」とも言う。「メッセージ型情報」としては、例えば、医療従事者M(具体的には医師)が患者P1を診断した結果と、その結果に応じて採った処置について述べるメッセージや、医療従事者M(具体的には看護師)が患者P1の看護中に気づいた患者P1の様子や症状について述べるメッセージや、患者P1本人または患者関係者R(具体的には家族)が患者P1の体調や気分やその変化についてメッセージ等がある。従って、タイムライン51上にある多くの「メッセージ型情報」は、患者P1についての何らかの医療情報及び/又は介護情報を包含する。他方、「データ型情報」としては、例えば、医療従事者M(具体的には医師)が作成した患者P1のカルテのデータ(ファイル)や、医療従事者M(具体的にはレントゲン技師)が撮影した患者P1の胸部X線写真のデータ(ファイル)や、介護従事者C(具体的にはケアマネ)が作成した患者P1の介護計画書のデータ(ファイル)、多職種連携支援システム100の外部から取り込まれた患者P1の健康関連データ(ファイル)等がある。従って、タイムライン51上にある多くの「データ型情報」は、患者P1についての何らかの医療情報及び/又は介護情報そのものである。これらの「メッセージ型情報」及び「データ型情報」は、タイムライン51にその経時的(投稿日時順)に表示される。
【0157】
したがって、特定の患者P1の胃癌に係るグループG11のタイムライン51上に表示された「メッセージ型情報」と「データ型情報」を利用すれば、患者P1の胃癌についての治療や介護に係る「経過情報」を容易且つ効率的に作成することができる。また、患者P1が医療・介護関連施設F間を移動する場合、例えば、現在の施設(移動元施設、例えば病院)から退院して次の施設(移動先施設、例えば老人ホーム)に入所する場合には、移動先施設に前記「経過情報」を伝達しておくと、介護従事者Cが介護する際の注意点等が予め判明するため、非常に好ましい。しかし、前記「経過情報」は詳細すぎるし、医療に係る専門的知識も必要であるから、医療に係る専門知識を持たない介護従事者Cに前記「経過情報」を提供しても、理解が困難である。介護従事者Cにとっては、自己が介護する際に必要な要点のみが記載された情報の方が好ましい。そこで、前記「経過情報」から介護に必要な情報を主として抜粋し、それに関連する最小限の医療情報を付加して当該患者Pの「サマリー情報」を作成しておけば、非常に有益である。
【0158】
移動先施設が他の病院やクリニックの場合には、前記「経過情報」として移動元施設の病院で行った医学的処理や関連する医療情報を伝達しておくと、医療従事者Mにとって有益であるが、介護情報は重要ではない。したがって、この場合には、前記「経過情報」から医療に必要な情報を主として抜粋し、それに関連する最小限の介護情報を付加して当該患者Pの「サマリー情報」を作成しておけば、非常に有益である。
【0159】
このように、本発明の実施形態に係る多職種連携支援システム100によれば、必要に応じて、医療従事者M及び/又は介護従事者Cが、グループG11のタイムライン51上に表示された「メッセージ型情報」と「データ型情報」から、上述した「経過情報」と「サマリー情報」の双方を容易且つ効率的に作成・保存することができるから、医療分野及び/又は介護分野における多職種の専門家間の緊密且つ円滑な連携が高レベルで行えるようになる。
【0160】
多職種連携支援システム100の全体構成は、
図11に示すとおりであり、上述した経過情報作成部110及びサマリー情報作成部120に加えて、患者基本情報記憶部130、疾患基本情報記憶部140、疾患別デフォルト情報記憶部150、薬基本情報記憶部160、薬別デフォルト情報記憶部170、施設トレース情報作成部180、及び、ユーザーアクセス制御部190を備えている。
【0161】
経過情報作成部110は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、いずれかのユーザー端末10、11又は12からの要請に応じて、所望の経過情報を作成して記憶するセクションである。具体的に言えば、経過情報作成部110は、いずれかのユーザー端末10、11又は12から送信される任意のユーザー(通常は医療従事者M、具体的に言えば医師)からの要請に応じて、所望の患者Pの所望の疾患用に生成されたグループGのタイムラインに投稿・表示されたメッセージ型情報及びデータ型情報から、当該患者Pの当該疾患の「経過情報」として適切な情報を選択して取り込み、取り込んだ情報をカテゴリー別に分類し且つ時系列で配置して当該患者Pの当該疾患に係る「経過情報」を作成し、さらに、作成した「経過情報」を経過情報作成部110の内部に設けられた記憶領域(後述の情報記憶部113)に記憶する。なお、作成した「経過情報」に含まれる複数のメッセージ型情報及びデータ型情報の配置(レイアウト)は、適宜、変更可能である。
【0162】
ここで、「経過情報」とは、例えば、特定の患者Pの特定の疾患に対して時間を追って順に採られた医療・介護面での種々の処置(具体的には、医療面では診断・検査・治療等の処置をいい、介護面では食事・入浴等の介助等の処置をいう)に係る情報や、それらの処置を採った後の当該患者Pの身体面・精神面での時間的変化を示す情報、当該患者Pやその患者関係者Rの意向や感情に係る情報を意味する。したがって、各々の「経過情報」は、「メッセージ型情報」及び/又は「データ型情報」から構成される。「経過情報」は、本実施形態では、医療・介護・健康・ACPの4分野における当該患者Pの身体面・精神面での時間的変化に関連する情報としており、具体的に言えば、例えば、当該患者Pの当該疾患に係る症状や検査・診断・治療の時間的変化、患者Pの介護状況の時間的変化、さらに患者PのACPに対する意志や考え方や感情の時間的変化に関連する情報である。これらの情報は、当該患者Pに提供される今後の医療サービスや介護サービスの質を高めるために有効であり、また、これらサービスの受給者である当該患者Pの医療サービス及び/又は介護サービスに対する満足度を向上させるためにも有効であると考えられるため、「経過情報」として選定されている。
【0163】
経過情報作成部110の内部構成の詳細については、後述する。
【0164】
サマリー情報作成部120は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、いずれかのユーザー端末10、11又は12からの要請に応じて、所望のサマリー情報を作成して記憶するセクションである。具体的に言えば、サマリー情報作成部120は、いずれかのユーザー端末10、11又は12から送信される任意のユーザー(通常は医療従事者M、具体的に言えば医師)からの要請に応じて、経過情報作成部110によって作成・記憶された所望の患者Pの所望の疾患に係る「経過情報」の中から、当該「経過情報」の「サマリー(要約)情報」として適切な情報を選択・抜粋して取り込んで、当該患者Pの当該疾患に係る「サマリー情報」を作成し、さらに、作成した「サマリー情報」をサマリー情報作成部120の内部に設けられた記憶領域(後述の情報記憶部123)に記憶する。なお、作成した「サマリー情報」に含まれる複数の情報の配置(レイアウト)は、適宜、変更可能である。
【0165】
ここで、「サマリー情報」とは、「経過情報」、すなわち、特定の患者Pの特定の疾患に対して採られた医療・介護面での種々の処置(具体的には、医療面では診断・検査・治療等の処置をいい、介護面では食事・入浴等の介助等の処置をいう)と、それら処置を採った後の当該患者Pの身体面・精神面での時間的変化を示す情報の中から抜粋された、当該「経過情報」のサマリー(要約)として役立つ情報を意味する。具体的に言えば、「サマリー情報」とは、例えば、当該患者Pの当該疾患に係る症状や検査・診断・治療の時間的変化、患者Pの介護状況の時間的変化、さらに患者PのACPに対する意志や考え方や感情の時間的変化に関連する情報から、それらの情報のサマリー(要約)として抜粋された情報である。これらの情報は、当該患者Pを移動元施設(現在の施設)から移動先施設(次の施設、当該患者Pの自宅を含む)に移動させる際に、移動先施設で活動する医療従事者Mや介護従事者Cが当該患者Pに提供する今後の医療サービスや介護サービスをより適切なものにすると共に、それらの医療サービスや介護サービスに対して当該患者Pが高い満足度が得られるようにするために有効であると考えられるため、「サマリー情報」として選定されることが望ましいものである。
【0166】
サマリー情報作成部120で「サマリー情報」を作成する際には、予め用意されて患者基本情報記憶部130に記憶されている患者基本情報(後述)も利用される。また、「サマリー情報」が移動先施設の医療従事者Mや介護従事者Cに提供される時には、施設トレース情報作成部180において作成・記憶される施設トレース情報も、一緒に利用される。なお、前記患者基本情報には、データ量が過大である等の理由によって、医療・介護支援システム30及び多職種連携支援システム100の外部にある外部記憶装置に保存されている情報(外部保存情報)、例えばCT画像情報などの情報も、含まれる。これらの外部保存情報は、必要になった時に適宜、前記外部記憶装置から多職種連携支援システム100に取り込まれて、「サマリー情報」の作成に使用される。
【0167】
サマリー情報作成部120の内部構成の詳細については、後述する。
【0168】
患者基本情報記憶部130は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、個々の患者Pについての「患者基本情報」を記憶するセクションである。「患者基本情報」とは、個々の患者Pの氏名、年齢、性別、住所、家族構成、キーパーソン氏名など、個々の患者Pに係る基本的な個人情報を言う。
【0169】
疾患基本情報記憶部140は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、個々の疾患名のリストからなる「疾患基本情報」を記憶するセクションである。「疾患基本情報」とは、例えば、II型糖尿病、大腸がん等の疾患名を列挙した、疾患名一覧表の形式とされる。
【0170】
疾患別デフォルト情報記憶部150は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、「疾患基本情報」に含まれる全疾患について、疾患別に予め設定された1組のスタンプ群及び1組のBOT群を記憶するセクションである。
【0171】
例えば、歩数、体重、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)値などの種々の検査項目の記録用スタンプがあり、指定されたタイムラインの患者側エリアに表示されるようになっている。表示された該当スタンプを患者Pや患者関係者Rが押すと(クリックすると)、対応する測定数値や検査数値、メッセージ(短文)等が、医療支援システム30と多職種連携支援システム100の外部から、指定されたタイムラインの指定された箇所に自動的に挿入される。あるいは、表示された該当スタンプを患者Pや患者関係者Rが押すと(クリックすると)、検査データの入力を促すメッセージを含むテンプレートをタイムラインの患者側エリアに表示し、患者Pから検査データが入力されると、その検査データがタイムライン51の指定された箇所に書き込まれる。また、BOTとしては、例えば、所定の時刻に服薬を促すメッセージを含むテンプレートをタイムラインの患者側エリアに表示し、患者Pから「服薬完了」(又は「服薬未了」)の指示を受けると、「服薬完了」(又は「服薬未了」)のメッセージをタイムライン51の該当する箇所に書き込むBOTなどがある。
【0172】
薬基本情報記憶部160は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、個々の薬のリストからなる「薬基本情報」を記憶するセクションである。「薬基本情報」とは、例えば、〇〇〇1カプセル、×××0.5カプセルのように、薬名と服用量を列挙した一覧表の形式とされる。
【0173】
薬別デフォルト情報記憶部170は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、「薬基本情報」に含まれる全ての薬について、薬別に予め設定された1組のスタンプ群及び1組のBOT群を記憶するセクションである。
【0174】
例えば、抗がん剤のスタンプとしては、だるい、しびれる、下痢といった副作用のスタンプがあり、タイムラインの指定された箇所に表示されるようになっている。例えば、タイムラインの患者側エリアに表示された該当スタンプをユーザーが押すと(クリックすると)、対応する副作用を示すメッセージ(短文)を含むテンプレートが、タイムライン51の指定された箇所に自動的に導入される。また、抗がん剤のBOTとしては、例えば、所定の時刻に抗がん剤の服用を促すメッセージを含むテンプレートをタイムラインの患者側エリアに表示し、患者Pから「服用完了」(又は「服薬未了」)の指示を受けると、「服用完了」(又は「服薬未了」)のメッセージをタイムライン51の該当する箇所に書き込むBOTなどがある。
【0175】
施設トレース情報作成部180は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、任意のユーザー(通常は医療従事者M、具体的に言えば医師)の要請に応じて、個々の患者Pの「施設トレース情報」を作成して記憶するセクションである。
【0176】
「施設トレース情報」とは、個々の患者Pが入退院や入退所を繰り返すことで経由した医療関連施設または介護関連施設の履歴(変動状況)を示す情報を意味する。「施設トレース情報」の例としては、例えば、201X年2月1日:山田医院(初診)、同年2月5日:田中病院(手術)、同年2月9日:鈴木リハビリ病院(術後リハビリ)、同年3月10日:YY老人ホーム(リハビリによる体調回復)、というような形式の情報が挙げられる。ここでは、「施設トレース情報」に含まれる項目としては、移動日または移動予定日、移動施設名、そして移動理由の3項目となっており、非常に簡潔で、専門家でなくても瞬時に理解できるようになっている。しかし、これら以外の項目を加えてもよいことは言うまでもない。
【0177】
施設トレース情報作成部180が施設トレース情報を作成・記憶する際の動作は、例えば、次のような流れになる。
【0178】
まず、特定の患者Pが次に移動する医療関連施設または介護関連施設(移動先施設)が決まると、直ちに、現在の医療関連施設または介護関連施設(移動元施設)に所属し、且つ、当該患者PのグループGのグループ・メンバーである医療従事者Mの中の任意の1人が、移動先施設の担当スタッフ宛てにEメールを送信し、医療・介護支援システム30にアクセスして同システム30のユーザーになるよう依頼する。その依頼に応じて前記担当スタッフが同システム30のユーザーになったことが確認されると、医療・介護支援システム30の招待リクエスト制御部324により同スタッフに対して招待リクエストが自動送信されるので、それに対して同スタッフが承認することで、同スタッフは当該グループGのグループ・メンバーとなる。すると、同スタッフは、当該グループGのタイムライン上の情報の閲覧と、同タイムラインの情報の投稿が可能となるので、同スタッフが当該患者Pの施設間移動に係る情報を同タイムラインに投稿すれば、当該グループGのグループ・メンバーである移動元施設のすべての医療従事者Mに対して、移動先施設の施設関連情報や移動予定日(入院予定日/入所予定日)、移動目的等を知らせることができる。「施設トレース情報」は、医療・介護支援システム30と多職種連携支援システム100を利用して、このようにして作成することができる。しかし、施設トレース情報は、医療・介護支援システム30を経由せずに作成してもよいことは言うまでもない。
【0179】
患者Pの「施設トレース情報」は、必要に応じて、サマリー情報作成部120で作成された当該患者Pのサマリー情報と組み合わせることができ、そうすると、施設間移動に必要な情報を一括して伝達することができ、移動元施設と移動先施設の双方の医療従事者Mや介護従事者Cにとって便宜である。
【0180】
ユーザーアクセス制御部190は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、多職種連携支援システム100で作成・記憶された経過情報及びサマリー情報と、医療・介護支援システム30で作成・記憶している個々の患者Pの個人情報全般(患者の基本情報や医療・介護情報を含む)とに対する、ユーザーのアクセス権を制御(アクセス環境を調整)するセクションである。ユーザーアクセス制御部190は、個々のユーザーの受給者情報、すなわち、医療・介護支援システム30に保存されている個々のユーザー(ここでは患者P)の受給者情報と、多職種連携支援システム100で作成・保存された同ユーザー(患者P)の経過情報及びサマリー情報とに対するアクセス権を、当該受給者情報の内容やユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御するために設けられており、ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い受給者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供することができる。
【0181】
ユーザーアクセス制御部190の内部構成の詳細については、後述する。
【0182】
(経過情報作成部110の内部構成)
次に、上述した経過情報作成部110の内部構成について、
図12を参照しながら詳細に説明する。
【0183】
経過情報作成部110は、
図12に示すように、情報取込部111、情報カテゴリー識別部112、情報記憶部113、制御部114、情報カテゴリー管理部115、スタンプ管理部116、BOT管理部117、及び、IOT情報管理部118を有している。
【0184】
情報取込部111は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、いずれかのユーザーからの要請に応じて、個々の患者Pのタイムラインに表示された複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報から、前記ユーザーにより指定されたものを「第1ターゲット情報」として選択的に取り込み、当該第1ターゲット情報に固有のメッセージ/データIDを割り当てると共に、当該第1ターゲット情報を投稿したユーザーのユーザーIDとの関連づけを行ってから情報記憶部113に記憶し、さらに、当該第1ターゲット情報を情報カテゴリー識別部112に送付するサブセクションである。
【0185】
情報取込部111により取り込まれた第1ターゲット情報としてのメッセージ型情報又はデータ型情報は、それをタイムライン51に投稿した投稿者のユーザーIDに関連づけられたメッセージ/データIDを持つ。データ型情報(ファイル)が添付されたメッセージ型情報を第1ターゲット情報として取り込んだ場合には、メッセージ型情報とデータ型情報(ファイル)のそれぞれに別個のメッセージ/データIDが割り当てられるから、取り込まれた情報とそれに割り当てられるメッセージ/データIDは、常に一対一対応となる。
【0186】
情報カテゴリー識別部112は、情報取込部111から送付された第1ターゲット情報としてのメッセージ型情報又はデータ型情報が、所定の情報カテゴリーのいずれに属するかを識別し、所定のカテゴリーIDから該当するものを割り当ててから、当該メッセージ型情報又はデータ型情報(第1ターゲット情報)を情報記憶部113に記憶するサブセクションである。第1ターゲット情報としてのメッセージ型情報又はデータ型情報が、どの情報カテゴリーに属するかの識別は、公知のソフトウェアを用いて、当該情報の中に含まれているテキスト情報を随時チェックするように構成することで、容易に自動化することができる。例えば、公知のテキストマイニング用ソフトウェアなどを用いて、第1ターゲット情報としてのメッセージ型情報又はデータ型情報に含まれている文字(テキスト)情報を分析し、そこに含まれている意味(情報)を読み出すようにすればよい。読み出された意味(情報)毎に対応するカテゴリーを決めておけば、該当するカテゴリーIDを当該メッセージ型情報又はデータ型情報のメッセージ/データIDに自動的に割り当てることが可能となる。
【0187】
情報カテゴリー識別部112の識別処理を終えた第1ターゲット情報としてのメッセージ型情報又はデータ型情報は、それを前記患者Pのタイムラインに投稿した投稿者のユーザーIDと、該当するカテゴリーに対応するカテゴリーIDとに関連づけられた、固有のメッセージ/データIDを持つことになる。
【0188】
本実施形態では、情報カテゴリー識別部112が識別する情報カテゴリーとして、医療、介護、ACP、そして健康の4つのカテゴリーが設定されている。
【0189】
医療カテゴリーに属する情報としては、例えば、「熱が高いので検査したところ、やはりインフルエンザでした」、「血圧が上がってきているので、血圧を下げる薬を処方します」というような、文字群(テキスト)から形成され且つ伝達すべき何らかの意味を包含するメッセージ型情報や、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)値等を含む検査データのようなデータ(ファイル)型情報がある。また、例えば、「最新の褥瘡の画像を添付します」というメッセージからなるメッセージ型情報と、そのメッセージに添付された褥瘡画像ファイルからなるデータ型情報との組み合わせもある。
【0190】
介護カテゴリーに属する情報としては、例えば、「リハビリを頑張ったので、液状のものなら自力で飲めるようになりました」というメッセージからなるメッセージ型情報がある。また、「リハビリ後、この食事を完食しました」というメッセージからなるメッセージ型情報と、それに添付された食事画像ファイルからなるデータ型情報との組み合わせもある。
【0191】
ACPカテゴリーに属する情報としては、例えば、「本人は、いったんは胃ろうを受け入れましたが、今は、やはり死んでもいいから寿司が食べたい、と言っています。ご家族もそれを応援しています」というメッセージからなるメッセージ型情報がある。また、「延命治療は受けたくない」というメッセージからなるメッセージ型情報と、それに添付された事前処置計画書(ACP)ファイルからなるデータ型情報との組み合わせもある。
【0192】
健康カテゴリーに属する情報としては、例えば、血圧、体重、散歩で歩いた歩数、食事履歴等を表示するメッセージからなるメッセージ型情報がある。また、特定の日の食事を撮影した写真ファイルからなるデータ型情報もある。これらのメッセージ型情報とデータ型情報との組み合わせもある。これらの情報は、個々の患者Pが自身で記録・管理すべき健康関連情報である。ここでは、健康カテゴリーは、健康に関する情報に加えて、医療と介護とACPの3カテゴリーのいずれにも属さない情報が分類されるカテゴリーとして設けられている。
【0193】
ここでは、前記情報カテゴリーとして医療、介護、ACP及び健康の4つのカテゴリーが設定されているが、本発明はこれには限定されない。これら4つのカテゴリーとは異なるカテゴリーを設定してもよいし、これら4つのカテゴリーからいずれかを除去してもよい。また、これら4つのカテゴリーに他のカテゴリー(例えば背景、重要など)を追加してもよい。「背景」カテゴリーとは、医療情報を得た時や得る直前の、当該医療情報に影響を与える外的要因であり、例えば気候や体調等がある。「重要」カテゴリーとは、医療や介護に重大な影響を与える情報を指しており、医療、介護等の上記の4つのカテゴリーに属する情報で、特に重要と認められるものが該当する。
【0194】
情報記憶部113は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、情報カテゴリー識別部112によって前記情報カテゴリー毎に識別・分類されたメッセージ型情報及びデータ型情報と、上述したようにして相互に関連づけられたメッセージ/データID、ユーザーID及びカテゴリーIDとを記憶するサブセクションである。つまり、情報カテゴリー識別部112の識別処理を終えた第1ターゲット情報(つまり、情報取込部111によって取り込まれたメッセージ型情報又はデータ型情報)それ自体と、当該第1ターゲット情報に付されたメッセージ/データID(これは投稿者のユーザーIDと該当するカテゴリーIDに関連づけられている)は、情報記憶部113に記憶されるのである。
【0195】
以上のようにして、第1ターゲット情報として多職種連携支援システム100の情報取込部111により取り込まれて情報記憶部113に記憶された複数のメッセージ型情報及びデータ型情報は、医療・介護支援システム30のグループ管理部320のタイムライン制御部326と協働することで、必要に応じて、該当するタイムラインの所定の「経過情報表示エリア」(これについては後述する)に表示されることが可能である。
【0196】
第1ターゲット情報として取り込まれたメッセージ型情報又はデータ型情報のメッセージ/データIDと、それを該当するタイムラインに投稿した投稿者のユーザーIDと、該当するカテゴリーIDとの間の関連づけは、例えば、
図45(a)に示した情報管理テーブルの形式で記憶・管理される。上述した4つの情報カテゴリーに対するカテゴリーIDの割り当ては、例えば、
図45(b)に示した情報カテゴリーテーブルの形式で記憶・管理される。
【0197】
制御部114は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、経過情報作成部110の全体動作を制御するサブセクションである。
【0198】
制御部114は、例えば、(i)情報取込部111、情報カテゴリー識別部112、情報記憶部113、情報カテゴリー管理部115、スタンプ管理部116、BOT管理部117、及び、IOT情報管理部118の個々の動作を調整して、支障が生じないように制御したり、(ii)タイムライン51に表示されたメッセージ型情報及び/又はデータ型情報毎に、当該情報の内部または近傍の所定箇所に、所定の「経過情報作成アイコン」(
図20参照)を表示したり、(iii)「経過情報作成アイコン」がクリックされると、情報取込部111と情報カテゴリー識別部112をアクティブにして、指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報を第1ターゲット情報として取り込むよう促したり、(iv)情報記憶部113に記憶されたメッセージ型情報又はデータ型情報をタイムライン51の所定の「経過情報表示エリア」に表示したりする。
【0199】
情報カテゴリー管理部115は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、制御部114による制御下で、上述した情報カテゴリーを管理するサブセクションである。情報カテゴリー管理部115は、上述した医療、介護、ACP及び健康の4つの情報カテゴリーのそれぞれに対して、該当するカテゴリーIDを割り当てて記憶する。これらカテゴリーの設定は、ユーザーの指示に応じて、情報カテゴリー管理部115によって行われる。情報カテゴリーの設定内容は、必要に応じて任意に変更することが可能である。
【0200】
上記4つの情報カテゴリーに対するカテゴリーIDの割り当ては、例えば、
図45(b)の情報カテゴリーテーブルの形式で記憶・管理される。
【0201】
スタンプ管理部116は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、制御部114による制御下で、個々の患者Pのタイムラインの指定箇所に表示されるスタンプ群を管理するサブセクションである。スタンプ管理部116は、例えば、(i)タイムラインに表示されたメッセージ型情報及び/又はデータ型情報の内部または近傍の所定箇所に、所定の「スタンプ」アイコン(
図20参照)を表示したり、(ii)どのスタンプをアクティブにし、どのスタンプを非アクティブにするかを制御したり、(iii)アクティブにしたスタンプをタイムラインのどこに表示させ、且つ、どのような機能を実行させるかを制御したりする。この管理は、制御部114の制御下で、ユーザー端末10、11又は12からの指示に応じて行われる。
【0202】
BOT管理部117は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、制御部114による制御下で、個々の患者Pのタイムラインの指定箇所に表示されるスタンプ群と連携して、あるいは、スタンプ群とは別個に動作するBOT群を管理するサブセクションである。BOT管理部117は、具体的には、(i)予め指定された契機に応じて、どのBOTをアクティブにし、どのBOTを非アクティブにするかを制御したり、(ii)各BOTにより表示されるべきメッセージ、テンプレート、アイコン等をタイムラインのどこに配置するかを制御したり、(iii)BOTに対応する機能の実行結果の情報記憶部113への記憶と共に、タイムラインへの表示を制御したりする。BOT管理部117によるこのような管理は、制御部114の制御下で行われる。
【0203】
IOT情報管理部118は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、制御部114による制御下で、多職種ユーザー連携支援システム100に導入されるIOT(Internet Of Things)情報を管理するサブセクションである。IOT情報とは、インターネット20を介して多職種連携支援システム100又は医療・介護支援システム30に接続された外部医療機器(検査機器、測定機器など)から供給される種々の検査情報や測定情報等、いわゆるIOT機器から導入される種々の情報を意味する。IOT情報は、主としてBOTの動作を実現するために必要なものであり、例えば外部測定機器の出力情報として、体重、血圧、血糖値等がある。この管理は、制御部114の制御下で、ユーザー端末10、11又は12からの指示に応じて行われる。
【0204】
(サマリー情報作成部120の内部構成)
次に、上述したサマリー情報作成部120の内部構成について、
図13を参照しながら詳細に説明する。
【0205】
サマリー情報作成部120は、
図13に示すように、転記元指定部121、転記先指定部122、情報記憶部123、制御部124、基本情報取込部125、施設トレース情報取込部126、及び、編集支援部127を有している。
【0206】
転記元指定部121は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、いずれかのユーザー端末10、11又は12からの指示に応じて、特定の患者Pの特定の疾患に係る「経過情報」に包含されている複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報の中から、同患者Pの同疾患についての「サマリー情報」として抽出(転記)すべき情報を「第2ターゲット情報」として指定し、その第2ターゲット情報の所在箇所を「転記元」として情報記憶部123に記憶するサブセクションである。
【0207】
具体的に言えば、転記元指定部121は、前記第2ターゲット情報に固有のサマリーIDを割り当てると共に、そのサマリーIDを前記第2ターゲット情報のメッセージ/データIDと関連づけてから、情報記憶部123に記憶する。これにより、「転記元」として指定された、第2ターゲット情報としてのメッセージ型情報又はデータ型情報のメッセージ/データIDは、投稿者のユーザーIDとサマリーIDの双方に関連づけて保存される。したがって、「転記元」として指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報のメッセージ/データIDとそれに割り当てられたサマリーIDは、常に一対一対応となる。
【0208】
例えば、制御部123により、「経過情報」に含まれている個々のメッセージ型情報に、「サマリー情報として書き込む」アイコンを表示させておき、転記元指定部121は、これらアイコンのいずれかがユーザーによりクリックされるのを待機する。これらアイコンのいずれかがクリックされると、転記元指定部121は、そのクリックされたアイコンに対応する(当該アイコンが付されている)メッセージ型情報を、「転記元」(第2ターゲット情報)として指定する。データ型情報の場合には、それらの所在を示すサムネイルがクリックされるのを待機し、転記元指定部121は、これらサムネイルのいずれかがユーザーによりクリックされるのを待機する。これらサムネイルのいずれかがクリックされると、転記元指定部121は、そのクリックされたサムネイルに対応するデータ型情報を、「転記元」(第2ターゲット情報)として指定する。なお、クリックされたアイコン又はサムネイルに対応するメッセージ型情報又はデータ型情報とは異なる情報を、「転記元」すなわち第2ターゲット情報として別個に指定できるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0209】
転記先指定部122は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、いずれかのユーザー端末10、11又は12からの指示に応じて、転記元指定部121により「転記元」(第2ターゲット情報)と指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報の「抜粋情報」を配置すべき箇所、すなわち、所定の「サマリー情報表示エリア」に配置されるサマリー情報の配置箇所を指定し、その指定された箇所を「転記先」として情報記憶部123に記憶するサブセクションである。
【0210】
例えば、制御部123により、「経過情報」に含まれている個々のメッセージ型情報に「書き込む位置」アイコンを表示させておき、転記先指定部122は、これらアイコンのいずれかがユーザーによりクリックされ、さらに書き込む位置が当該ユーザーによりさらなるクリックにより指定されるのを待機する。いずれかの「書き込む位置」アイコンがクリックされ、それに応じてサマリー情報表示エリアが表示され、そのサマリー情報表示エリア内の所望箇所がクリックされて書き込む位置が指定されると、転記先指定部122は、そのクリックされた位置を「転記先」として指定する。データ型情報の場合には、「書き込む位置」アイコンに代えて、それらの所在を示すサムネイルがクリックされるのを待機することを除いて、メッセージ型情報の場合と同様にして「転記先」を指定する。なお、これ以外の方法で「転記先」を指定できるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0211】
情報記憶部124は、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、「転記元」(第2ターゲット情報)と指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報から抜粋された「抜粋情報」と、転記元指定部121で指定された「転記元」を示す転記元指定情報と、転記先指定部122で指定された「転記先」を示す転記先指定情報とを記憶するサブセクションである。
【0212】
以上のようにして第2ターゲット情報として指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報から作成される「抜粋情報」は、医療・介護支援システム30のグループ管理部320のタイムライン制御部326と協働することで、必要に応じて、該当するタイムラインの上述した「サマリー情報表示エリア」(これについては後述する)に表示されることが可能である。
【0213】
第2ターゲット情報として指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報のメッセージ/データIDと、サマリーIDとの関連づけは、例えば、
図45(a)に示した情報管理テーブルの形式で記憶・管理される。
【0214】
制御部123は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、患者サマリー情報作成部120の全体動作を制御するサブセクションである。
【0215】
制御部123は、例えば、(i)転記元指定部121、転記先指定部122、情報記憶部123、基本情報取込部125、施設トレース情報取込部126、及び、編集支援部127の動作を調整して、支障が生じないように制御したり、(ii)タイムライン51の「経過情報エリア」に表示されたメッセージ型情報及び/又はデータ型情報毎に、当該情報の内部または近傍の所定箇所に、所定の「サマリー情報として書き込む」アイコン(
図20参照)と「書き込む位置」アイコンを表示したり、(iii)「サマリー情報として書き込む」アイコンがクリックされると、転記元指定部121をアクティブにして、対応するメッセージ型情報及び/又はデータ型情報を「転記元」(第2ターゲット情報)として指定したり、(iv)「書き込む位置」アイコンがクリックされると、転記先指定部122をアクティブにして、第2ターゲット情報から作成される「抜粋情報」を指示された「転記先」に転記(コピー)したり、(v)情報記憶部123に記憶された「抜粋情報」を該当するタイムラインの「サマリー情報表示エリア」に表示したりする。
【0216】
基本情報取込部125は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、患者基本情報記憶部130に記憶されている患者基本情報や、疾患基本情報記憶部140に記憶されている疾患基本情報、疾患別デフォルト情報記憶部150に記憶されている疾患別デフォルト情報、薬基本情報記憶部160に記憶されている薬基本情報、そして薬別デフォルト情報記憶部170に記憶されている薬別デフォルト情報を、必要に応じて、作成中または既存のサマリー情報群にその一部として取り込むサブセクションである。
【0217】
施設トレース情報取込部126は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、必要に応じて、施設トレース情報作成部180に記憶されている施設トレース情報を、必要に応じて、作成中または既存のサマリー情報の一部として取り込むサブセクションである。
【0218】
編集支援部127は、その動作を制御するソフトウェアから形成され、転記元指定部121で指定された「転記元」の第2ターゲット情報を、転記先指定部122で指定された「転記先」へ転記する際に、当該第2ターゲット情報を編集画面上でユーザーが編集する動作を支援するサブセクションである。
【0219】
編集支援部127は、例えば、当該第2ターゲット情報としての一組のテキストの中から、キーワードと想定される語句を自動的に抜粋してサマリー情報に取り込む等の支援を行う。編集支援部127は、ユーザーによる当該第2ターゲット情報の編集作業を容易化・効率化するためのものであるから、省略してもよい。
【0220】
(ユーザーアクセス制御部190の内部構成)
次に、上述したユーザーアクセス制御部190について、
図14を参照しながら詳細に説明する。
【0221】
ユーザーアクセス制御部190は、
図14に示すように、アクセス可能範囲設定部191、テクノロジー条件設定部192、ソーシャル本人認証部193、及び、緊急時アクセス設定部194を有している。
【0222】
アクセス可能範囲設定部191は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、管理者Aの指示に応じて、個々のユーザーがアクセス可能な情報の範囲を設定・記憶するサブセクションである。アクセス範囲設定部191によるアクセス可能情報の範囲の設定は、ユーザー毎に異ならせて、個別に且つ高精度に行うことができる。
【0223】
例えば、
図43のアクセス条件設定画面60に示すように、医療情報、介護情報、施設トレース情報、ACP情報、健康情報、リビングウィル(Living Will、生前意思)情報等に区分しておき、ユーザー毎に、これらの区分のいずれか1つ又は2以上を指定して、アクセス可能範囲を設定する。こうすることで、ユーザー毎にアクセス可能情報を細かく設定できるようになるため、アクセス可能な情報の範囲を精密に制御することが可能となる。なお、必要に応じて、前述したのとは異なる情報区分に設定可能であることは言うまでもない。
【0224】
テクノロジー条件設定部192は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、管理者Aの指定に応じて、個々のユーザーがアクセスする際に必要なテクノロジー面での条件を設定・記憶するサブセクションである。
【0225】
テクノロジー条件としては、例えば、端末セキュリティに係る条件と、ネットワークセキュリティに係る条件とが設定できる。前者は、個々のユーザーが使用する端末(ユーザー端末)のセキュリティ対策として、クライアント証明書の導入がされているか否かで決まる。後者は、個々のユーザーが使用するネットワークのセキュリティ対策として、TLS1.1か、TLS1.2以上か、対策なしか、で決まる。なお、必要に応じて、これらとは異なるセキュリティ対策を設定してもよいことは言うまでもない。
【0226】
ソーシャル本人認証部193は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、管理者Aの指示に応じて、個々のユーザーがアクセスする際に必要なソーシャル本人認証での条件を設定・記憶するサブセクションである。
【0227】
「ソーシャル認証」とは、一般的には、TwitterやFacebook等のソーシャルメディア(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と連携して、そのソーシャルメディアのログイン機能と認証情報を利用して、ユーザー本人の認証を行うことであるが、本発明では、医療・介護支援システム30が提供する、閉鎖型のソーシャル・ネットワーキング・サービスと同様の医療・介護サービス・ネットワークに設けられているログイン機能と認証機能を利用して、ユーザー本人の認証を行うことを意味する。これは、その閉鎖型のソーシャル・ネットワーキング・サービスの利用状況から各ユーザーの素行や人間関係を推測し、それらを本人認証に利用しようとするものである。
【0228】
例えば、複数の条件、例えば、
1.n人の外部の多職種スタッフ(ソーシャル認証済み)と、少なくとも1つのグループを介してつながっている(ただし、nは1以上の整数)、
2.m個のグループのメンバーである(ただし、mは1以上の整数)、
3.ユーザー自身の顔写真とプロフィールが掲載されている、
4.ユーザー登録からxヶ月以上経過しており、且つ、1ヶ月にy回以上の書き込み
がある(ただし、x及びyはいずれも1以上の整数)、
5.使用する端末が、所定レベル以上のセキュリティ条件を満たしている、
という5条件を予め設定しておき、それら5条件をすべて満たしているユーザーは、本人である確からしさが認められて、認証マークが付与されるようにする。そして、上述した5条件に含まれているパラメータn、m、x及びyの数値と、上記5条件に対するAND条件及び/又はOR条件の設定を、医師会等の各地域における責任組織が行えるようにすることができる。
【0229】
例えば、最も厳格な認証にしたい場合は、条件1〜条件5をすべてAND論理(×)で結び付ければよい。したがって、この場合のアルゴリズムは、条件1×条件2×条件3×条件4×条件5となる。これより少し緩い認証にしたい場合は、条件1と2をOR論理(+)で結び、そのOR論理の結果と条件3〜5をAND論理(×)で結び付ければよい。したがって、この場合のアルゴリズムは、(条件1+条件2)×条件3×条件4×条件5となる。
【0230】
上記のようにしてAND/OR論理による条件設定をした上で、より細かく条件設定を行いたい場合は、上述した5条件に含まれている4つのパラメータn、m、x及びyの数値を増加・減少すればよい。
【0231】
このように、上述した5条件・4パラメータの認証条件を使用すれば、個々のユーザーがアクセスする際に必要なソーシャル本人認証(アクセス主体に係る認証)の条件を、アルゴリズムを用いて柔軟に設定することができるから、医療・介護サービスを提供する地域の特性に応じてかなり自由に設定することが可能となる。したがって、医療・介護支援システム30と多職種連携支援システム100に必要な高度のセキュリティ・レベルと、ユーザー(医療従事者M、介護従事者C、患者P、患者関係者R)の多様な要望とを、高いレベルでマッチングさせることが可能となり、しかも、医療・介護サービスの信頼度の向上にも大きく貢献することができる。
【0232】
上述したソーシャル本人認証では、個々のユーザーがアクセスできる受給者情報(アクセス対象、つまりアクセス可能範囲)についても、設定できるようになっている(
図43参照)。具体的には、患者Pの医療・介護情報(つまり受給者情報)の分野・内容や機密度と、個々のユーザーにとっての必要度に応じて、例えば、医療関係情報、介護関係情報、健康関係情報、ACP関係情報、及び施設トレース情報の5つに分類し、個々のユーザーが(i)医療従事者であるか否か、(ii)医療従事者であれば、医師であるか、看護師であるか、それ以外であるか、(iii)所属する施設はどこか、(iv)担当業務は何か、といった条件を考慮して、そのユーザーのアクセス可能範囲を細かく設定することができる。
【0233】
こうすることで、個々の患者Pの医療・介護情報に対するアクセス権を、当該情報の分野・内容や機密度、個々のユーザー(多職種の専門家)にとっての必要度に応じて精密に制御することができるようになるから、必要とされる利便性を保持しながら、個々の患者Pの医療・介護情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を実現することができ、多職種連携支援システム100に対する信頼性が向上する、という利点がある。
【0234】
緊急時アクセス設定部194は、その動作を制御するソフトウェアと、ハードディスク等の情報記憶媒体と、その情報記憶媒体への情報の記録、再生、消去等の動作を制御するソフトウェアから形成され、管理者Aの指示に応じて、緊急時のアクセス機能を設定・記憶するサブセクションである。
【0235】
この緊急時アクセス機能は、例えば、患者Pの容態が急変したために、救急病院に当該患者Pが救急搬送されたような緊急の場合に、必須の機能である。緊急の場合、救急搬送先の病院の医師や看護師は、通常、当該患者Pの治療等を担当していないため、たとえ医療・介護支援システム30のユーザーIDを有していたとしても、当該患者PのグループGにそのグループ・メンバーとして所属していないことがほとんどであり、したがって、医療・介護支援システム30と多職種ユーザー連携支援システム100によって保存されている当該患者Pの医療情報等の受給者情報を利用できないからである。しかし、当該患者Pへの処置は緊急を要するだけでなく、医療ミスを防止しながらより的確な医療処置を施す必要性も高いことから、当該患者Pの医療情報(疾患の治療履歴など)や介護情報(要介護レベルなど)を当該救急病院の医師等が閲覧して活用できるようにすることが求められる。緊急時アクセス設定部194は、このような緊急時に限定して、医療・介護支援システム30のユーザーIDを有しているが、当該患者Pに係る1又は複数のグループGのグループ・メンバーでないために、当該患者Pに係る医療・介護情報を利用できない当該救急病院の医師等が、一定の短時間(例えば24時間以内)に限り、非常に簡易な手法で、上記両システム30及び100内に保存されている当該患者Pの医療・介護情報の閲覧を可能とする条件を設定するために設けられている。
【0236】
例えば、日頃から、患者Pが自己の氏名とQRコード(登録商標)、相互に連携関係にある医療関連施設の名称等を印刷した書面として、
図46に示すような「緊急時アクセス・シート」を常時携帯するように指導しておき、救急病院の医師や看護師が、医療・介護支援システム30のユーザーIDを有していれば、当該患者PのグループGにそのグループ・メンバーとして所属していない場合であっても、当該医師や看護師が自己の携帯端末のカメラ機能を用いてその書面上のQRコードを撮影すれば、直ちに、インターネット20を介して医療・介護支援システム30のログイン画面にアクセスできるように設定しておく。上述した書面には、「当該書面上のQRコードを使うと、医療・介護支援システム30のユーザーIDを有していれば、当該患者PのグループGのメンバーではない医師や看護師でも、所定時間に限り、当該患者Pの医療・介護情報を閲覧できる」ことを伝えるメッセージを付記しておくと共に、その書面と同じ内容を当該患者Pの患者関係者Rや医療従事者M、介護従事者C等に予め通知しておく。そうすれば、医療・介護支援システム30のユーザーであるが、当該患者PのグループGのメンバーではない上述した救急病院の医師や看護師に、搬送されてきた当該患者Pの氏名が判明した段階で、直ちに医療・介護支援システム30のログイン画面にアクセスするように促すことが可能となる。同システム30のユーザーIDを有していない医師や看護師のログインは、ログイン画面で拒絶されるので、当該患者Pの受給者情報のセキュリティは維持される。アクセス後、表示される初期メニュー中の「緊急時アクセス」のアイコン(図示せず)をクリックし、次に表示される患者(グループ・タイムライン)選択画面で当該患者Pを検索して指定すれば、非グループG・メンバーのままで一時的なアクセス権が付与されるように、医療・介護支援システム30側で設定しておけばよい。
【0237】
緊急時アクセスが許容される条件としては、例えば、(a)緊急時に任意の前記受給者が搬送された事業関連施設(医療関連施設及び/又は介護関連施設)が、当該受給者に係る1又は複数の前記グループの前記グループ・メンバーである前記医療従事者又は前記介護従事者が所属する事業関連施設と連携関係にあること、(b)搬送された前記事業関連施設において搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者が、前記ユーザー識別情報を有していること、(c)アクセス可能時間が、搬送された前記受給者に対する緊急の医療サービス及び/又は介護サービスの提供に必要と見積もられた時間に限定されていること、及び、(d)アクセス後に可能となる操作が閲覧に限定されること、という4条件を設定するのが好ましい。これら4条件(a)〜(d)のすべてが満たされない場合は、アクセスが拒絶されることになる。
【0238】
ここに、「連携関係」とは、相互に連携する旨の取り決めが結ばれた複数の事業関連施設(医療関連施設及び/又は介護関連施設)(医療・介護関連施設)の間の関係であり、例えば、相互に連絡を取り合って全施設に共通する受給者(患者又は要介護者)に対して自施設の医療サービス及び/又は介護サービスを提供すると共に、当該受給者に日常的に医療サービス及び/又は介護サービスを提供していない施設であっても、救急搬送等の緊急時には、当該受給者に医療サービス及び/又は介護サービスを提供する、といった関係である。「連携施設」とは、このような「連携関係」を持つ事業関連施設(医療・介護関連施設)である。
【0239】
例えば、患者P毎に、連携する医療関連施設名や介護関連施設名(つまり連携施設名)を予め登録しておき、当該連携施設の1つ又は複数に所属し且つ医療・介護支援システム30のユーザーである医療従事者や介護従事者であれば、当該連携施設のいずれかに救急搬送された患者Pの1又は複数のグループGのメンバーでなくても、一時的にアクセス権を付与するようにし、救急搬送先の医療従事者や介護従事者が当該患者Pの医療・介護情報を閲覧できる(ただし閲覧に限る)ようにするのである。あくまで一時的なアクセス権であるから、上述した救急病院の医師や看護師は、一定の短時間(例えば最初のアクセスから24時間以内)に限り、上記両システム30及び100内に保存されている当該患者Pの医療・介護情報を閲覧できるようになる(ただし閲覧に限る)ので、医療・介護支援システム30のセキュリティ・レベルを下げることなく、救急病院の医師等が医療処置を迅速且つ的確に行えるようになり、非常に有益である。
【0240】
なお、医療・介護支援システム30のユーザーでない(ユーザーIDを持っていない)医療従事者や介護従事者の閲覧は、同システム30へのログイン自体が拒絶されるから、できない。また、ユーザーIDを持っていても、上述した4条件(a)〜(d)のいずれかを満たさない場合は、やはり閲覧できない。閲覧可能な情報としては、当該患者Pの医療情報に限られず、介護情報、健康情報、ACP情報等の各種情報(つまり当該患者Pの受給者情報)まで拡げてもよいことは言うまでもない。
【0241】
上記のようにして、一定条件下で緊急時アクセスを可能としても、アクセスできるユーザーは、医療・介護支援システム30のユーザーであり、且つ、該当する患者Pに係る所定の連携施設のうちの1又は複数に所属する医療従事者又は介護従事者に限定されるため、アクセス可能な人の範囲は非常に限定される(アクセス後の操作も情報の閲覧に限定される)から、緊急時アクセス設定部194により、同システム30の高度なセキュリティを低下させずに、緊急時の要請に対応する、という厳しい条件を満たすことが可能となる。
【0242】
(多職種連携支援システムの動作)
次に、以上の構成を持つ多職種連携支援システム100の動作について、
図15〜
図18のフローチャートと、
図19〜
図43の表示画面を参照しながら説明する。
【0243】
以下の説明では、山本××という患者Pの胃癌治療のために、
図9に示した胃癌治療用グループG11が作成されているとする。
図19は、そのグループG11のタイムライン51の医療・介護従事者側エリア(医療・介護従事者共有エリア)51bの、1つのユーザー端末10、11又は12(具体的には医療・介護従事者端末11)の表示部に表示された画面の一例を示す。
図19は、グループG11のグループ・メンバーである大川氏(看護師)が、医療・介護支援システム30にログインして、グループG11のタイムライン51を閲覧している状態を示している。以下の説明では、このようなユーザーを「カレント・ユーザー」と言うことがある。また、グループG11は、グループ・メンバーがメッセージやファイルの投稿・閲覧の対象とするグループであるから、「ターゲット・グループ」と言うことがある。
【0244】
図19から分かるように、ターゲット・グループとしてのグループG11のタイムライン51の医療・介護従事者側エリア51bには、複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報が時間順に(図では上下方向に)配置されている。エリア51bの上部には、メッセージ入力欄があり、カレント・ユーザーである大川氏(看護師)本人が入力可能である。
【0245】
図20は、大川氏本人が、自己の医療・介護従事者端末11に表示された医療・介護従事者側エリア51bのメッセージ入力欄に、文字(テキスト)からなるメッセージ(メッセージ型情報)を新たに入力した状態を示す。そのメッセージ型情報には、褥瘡画像ファイル(データ型情報)が添付されている。
【0246】
グループG11のタイムライン51に投稿され表示される患者P1に係る医療・介護情報(つまり受給者情報)は、いずれも、グループG11のグループ・メンバーである患者P1自身や患者関係者R1、医療従事者M1あるいはM2、または介護従事者C2が投稿したメッセージ形式の情報(メッセージ型情報)か、彼ら/彼女らが自己のメッセージに添付して、あるいは、自己のメッセージとは別個に投稿したデータ形式の情報(データ型情報)である。
【0247】
(多職種連携支援システム100の経過情報作成部110の動作)
図15は、多職種連携支援システム100の経過情報作成部110の動作を示すフローチャートである。
【0248】
経過情報作成部110は、常時、いずれかのユーザー端末10、11又は12から「経過情報作成要請」が送信されて来るのを待機している(ステップS1)。「経過情報作成要請」の受信の有無のチェックは、制御部114が行う。経過情報作成要請は、ターゲット・グループであるグループG11のタイムライン51の医療・介護従事者側エリア51bに表示された多数のメッセージ型情報毎に表示されている「経過情報作成」アイコン(
図20参照)を、カレント・ユーザーがクリックすることで、医療・介護システム30から多職種連携支援システム100に向けて送信される。タイムライン51の医療・介護従事者側エリア51bに表示されたデータ型情報については、それが添付されたメッセージ型情報の内部に表示されたサムネイルをカレント・ユーザーがクリックすることで、医療・介護システム30から多職種連携支援システム100に向けて経過情報作成要請が送信される。経過情報作成要請の送信は、カレント・ユーザーである医療従事者M又は介護従事者Cのユーザー端末11から行われる。経過情報作成要請の送信は、本実施形態では、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。こうして送信された経過情報作成要請の受信が制御部114によって確認されると、情報取込部111が、受信した経過情報作成要請で指定されたメッセージ型情報を「第1ターゲット情報」として内部に取り込む(ステップS2)。
【0249】
次に、情報取込部111は、こうして取り込んだ第1ターゲット情報(メッセージ型情報又はデータ型情報)に、固有のメッセージ/データIDを割り当て、さらに、こうして割り当てられたメッセージ/データIDを、当該第1ターゲット情報を投稿したユーザー(すなわち投稿ユーザー)のユーザーIDに関連づける(ステップS3)。続いて、情報カテゴリー識別部112は、取り込んだ第1ターゲット情報のカテゴリーを識別し、該当するカテゴリーIDを割り当てる(ステップS4)。その後、取り込んだ第1ターゲット情報と、当該第1ターゲット情報の相互に関連づけられたメッセージ/データID、ユーザーID及びカテゴリーIDとを、情報記憶部113に記憶する(ステップS5)。この記憶動作は、情報カテゴリー識別部112と情報記憶部113の協働によって実行される。
【0250】
最後に、以上のようにして第1ターゲット情報として情報記憶部113に記憶されたメッセージ型情報又はデータ型情報を、そのカテゴリーと投稿ユーザーを明示しながら経過情報表示エリア52に表示する(ステップS6)。この表示動作は、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。経過情報表示エリア52は、カレント・ユーザーである医療従事者M又は介護従事者Cのユーザー端末11に表示される。
【0251】
上述したステップS1〜S6は、ログイン・ユーザーからの経過情報作成要請がある毎に繰り返されるため、タイムライン51の医療・介護従事者側エリア51bに表示されている複数のメッセージ型情報及びデータ型情報が第1ターゲット情報として経過情報作成部110に順次取り込まれ、さらに、それらの情報が属する4つのカテゴリー(医療、介護、健康又はACP)のいずれかと、それらの情報を投稿した投稿ユーザーとを明示して、カレント・ユーザーのユーザー端末11上で経過情報表示エリア52(
図21参照)に時間順に並置される。
図21の経過情報表示エリア52への第1ターゲット情報の表示動作も、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。
【0252】
こうして取り込んだ第1ターゲット情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報は、
図34A、
図34B及び
図34Cに示すように、それらのカテゴリーと投稿ユーザーとを明示して経過情報表示エリア52に時間順に並置されるため、患者P1の胃癌の医療及び/又は介護の面における時間的変化、健康状況の時間的変化、ACPの内容の時間的変化を直ちに知ることができ、医療従事者Mや介護従事者Cにとって非常に有益であるし、患者P1本人やその患者関係者Rにとっても有益である。しかも、これらのメッセージ型情報及びデータ型情報は、カテゴリー及び/又は投稿ユーザーをキーワードにして検索して時間順に整列できるため、医療面、介護面、健康面及びACP面の時間的変化を個別に見ることができ、便利である。
【0253】
図34Aに表示されている「AP」、「BSO」の略号は、経過情報の分類を示しており、Aは診断結果(Assessment)、Pは処置(Plan)、Bは背景(Background)、Sは主訴(Subjective Complaints)、Oは客観的事実(Objective Facts)を表す。したがって、「AP」は、対応する情報が、特定の患者Pに対する診断結果または処置に係る情報であることを示し、「BSO」は、対応する情報が、特定の患者Pの背景又は主訴又は客観的事実に係る情報であることを示す。このように、特定のカテゴリー(例えば医療カテゴリー)に属する情報をさらに分類することも可能であり、こうすれば、経過情報の理解と活用がいっそう容易になる。
【0254】
なお、経過情報表示エリア52は、ユーザー毎にアクセス権を適宜設定することにより、グループG11のグループ・メンバーである個々の医療従事者M及び介護従事者C毎に、異なる閲覧(アクセス)可能範囲を設定することが可能である。また、通常は、グループG11のグループ・メンバーである患者Pや患者関係者Rは閲覧できないように設定されるが、閲覧可能範囲を限定したうえで閲覧できるようにしてもよい。
【0255】
図16は、多職種連携支援システム100のスタンプ管理部116に動作を示すフローチャートである。
【0256】
まず、経過情報作成部110は、常時、いずれかのユーザー端末10、11又は12から「スタンプ使用要請」が送信されて来るのを待機している(ステップS11)。「スタンプ使用要請」の受信の有無のチェックは、制御部114が行う。スタンプ使用要請は、グループG11のタイムライン51に表示された複数のメッセージ型情報毎に表示される「スタンプ」アイコン(
図20参照)を、カレント・ユーザーがクリックすることで、医療・介護システム30から多職種連携支援システム100に向けて送信される。本実施形態では、スタンプ使用要請の送信は、経過情報作成要請の送信と同様に、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。
図22は、表示されているメッセージ型情報に付された「スタンプ」アイコン(
図20参照)が、カレント・ユーザーである大川氏によってクリックされた時の状態を示す。
【0257】
こうしてスタンプ使用要請の受信が制御部114によって確認されると、スタンプ管理部116は、カレント・ユーザー(看護師の大川氏)のユーザー端末11に、
図23に示すようなスタンプ選択画面を表示する(ステップS12)。このスタンプ選択画面には、使用可能な一群のスタンプが、医療、介護及び共通の3つのカテゴリー毎に分けて表示されている。経過情報作成部110は、このスタンプ選択画面に表示されたスタンプ群のいずれかがクリック(指定)されるのを待機する(ステップS13)。
【0258】
カレント・ユーザーである大川氏が、
図23のスタンプ選択画面上で所望のスタンプを選択してクリックすると、スタンプ管理部116は、指定されたスタンプに対応する機能を実行する。さらに、スタンプ管理部116は、実行結果を情報記憶部113に記憶すると共に、同実行結果を前記スタンプ使用要請を送信する際に使用した前記メッセージ型情報の所定箇所に、自動的に挿入して表示する(ステップS14)。
【0259】
具体的に説明すると、カレント・ユーザーの大川氏が、例えば、
図23のスタンプ選択画面に表示されたスタンプ群の中から「バイタル」スタンプをクリックしたとする。すると、スタンプ管理部116は、タイムライン制御部326と協働して、大川氏のユーザー端末11に、
図23の下部に示すようなバイタル計測結果表示画面を表示する。カレント・ユーザーの大川氏は、そのバイタル計測結果表示画面の空欄に、自分で計測して得たバイタル計測結果を入力すればよい。その後、大川氏がそのバイタル計測結果表示画面(
図23参照)の「送信」ボタンをクリックすると、タイムライン制御部326は、
図24に示すように、入力した計測結果を、前記スタンプ使用要請を送信する際に使用した前記メッセージ型情報の所定箇所に、自動的に挿入して表示する。その後、大川氏が、こうして自動挿入された計測結果を含む前記メッセージ型情報の近傍に表示されている「経過情報作成」アイコンをクリックすると、前記メッセージ型情報とバイタル計測結果の双方が1つの経過情報として追加され、
図25に示すように、経過情報表示エリア52に表示される。カレント・ユーザーが「バイタル」スタンプ以外のスタンプを選択した場合も、上述した「バイタル」スタンプとは機能は異なるが、同様に動作する。
【0260】
図17は、多職種連携支援システム100のBOT管理部117の動作を示すフローチャートである。
【0261】
図26は、グループG11のグループ・メンバーである患者P1(カレント・ユーザー)の患者端末10に表示された、そのグループG11のタイムライン51の患者側エリア(全員共有エリア)51aを示す。医療・介護従事者側エリア(医療・介護従事者共有エリア)51bとは異なり、患者側エリア51aにはスタンプと経過情報作成のアイコンが表示されていない。これは、患者側ではスタンプの使用と経過情報の作成ができないからである。
【0262】
BOT管理部117は、常時、予め設定された契機(例えば所定の時刻の到来、所定の条件の満足)が到来するのを待機している(ステップS21)。予め設定された契機の到来の有無のチェックは、制御部114が行う。
【0263】
予め設定された契機の到来が制御部114によって確認されると、BOT管理部117は、その契機に起動するように設定されたBOT(ボット)をアクティブにする。すると、そのBOTは、対応する機能を自動的に実行する(ステップS22)。BOT(ボット)は、何らかの契機によって予め定められた作業を自動的に実行・終了するプログラムであり、患者側の(すなわち患者Pまたは患者関係者R)の応答や動作を定期的に要求するために使用されている。このため、BOTの対応機能の実行により、カレント・ユーザーである患者P1又は患者関係者Rのユーザー端末10又は12上で、所定のテンプレートがタイムライン51の患者側エリア51aに表示される(ステップS23)。この表示は、BOT管理部117からの指示を受けた医療・支援システム30のタイムライン制御部326が行う。
【0264】
その後、BOT管理部117は、カレント・ユーザーからの応答、すなわち、患者P1または患者関係者Rの動作を待つ(ステップS24)。そして、BOT管理部117は、患者P1又は患者関係者Rのユーザー端末10又は12から送られるカレント・ユーザーの応答の受信を確認すると、受信した応答の内容を情報記憶部113に記憶し、さらに、カレント・ユーザーである患者P1又は患者関係者Rのユーザー端末10又は12上で、患者側エリア51aに表示する(ステップS25)。この表示は、BOT管理部117からの指示を受けた医療・支援システム30のタイムライン制御部326が行う。
【0265】
上述したBOT管理部117の動作を具体的に説明すると、例えば、所定時刻になると、予め指定された運動記録BOTが起動せしめられ、
図26に示したタイムライン51の患者側エリア51aに、運動記録用テンプレートを投稿・表示する。この時の状態を
図27に示す。このテンプレートは、
図27に示すように、患者P1に運動の記録を促すメッセージを含んでいる。このメッセージに応じて、「記録する」ボタンをカレント・ユーザー-である患者P1または患者関係者Rがクリックすると、
図28に示すような運動記録入力用テンプレートが患者側エリア51aに表示される。そこで、カレント・ユーザー-である患者P1または患者関係者Rが、該当する運動の実施量(数値)を対応する空欄に入力した後、「送信」ボタンをクリックすると、
図29に示すように、入力された数値データは、同端末10又は12上でタイムラインの患者側エリア51に挿入・表示される。なお、入力された運動の実施量データは、BOT管理部117によって情報記憶部113に記憶される。この表示は、BOT管理部117からの指示を受けた医療・支援システム30のタイムライン制御部326が行う。
【0266】
患者P1または患者関係者Rによって入力された数値データを含む運動記録情報は、
図29のように、メッセージと数値データの双方を含むメッセージ型情報となって、タイムライン51の患者側エリア51aに挿入・表示される。このメッセージ型情報は、医療・介護従事者側エリア51bでも閲覧可能であるから、例えば医療従事者Mによって経過情報として取込可能である。その場合の経過情報表示画面は
図30に示すようになる。
【0267】
上述したBOT管理部117が管理するBOTとしては、
図27〜
図29に示した服薬指示BOTも使用される。服薬指示BOTは、所定時刻になると起動せしめられ、カレント・ユーザー-である患者P1または患者関係者Rの端末10又は12上で、
図26に示したタイムライン51の患者側エリア51aに、
図31に示すような服薬指示用テンプレートを投稿・表示する。このテンプレートは、
図31に示すように、患者P1に所定の薬の服薬を促すメッセージを含んでいる。このメッセージに応じて、「休んだ」又は「飲んだ」ボタンを患者Pまたは患者関係者Rが自己の端末10又は12上でクリックすると、
図32に示すように、クリックしたボタンに応じたメッセージが、同端末10又は12上でタイムライン51の患者側エリア51aに挿入・表示される。なお、送信された「服薬済み」または「未服薬」のデータは、BOT管理部117によって情報記憶部113に記憶される。この表示は、BOT管理部117からの指示を受けた医療・支援システム30のタイムライン制御部326が行う。
【0268】
患者Pまたは患者関係者Rによって送信された服薬記録情報は、
図32のように、ユーザー端末10又は12上で、メッセージ型情報となってタイムライン51の患者側エリア51aに挿入・表示される。このメッセージ型情報は、医療・介護従事者側エリア51bでも閲覧可能であるから、例えば医療従事者Mによって経過情報として取込可能である。その場合の経過情報表示画面は
図33に示すようになる。
【0269】
図34A〜
図34Cに、
図21に示した経過情報表示エリア52に複数の経過情報が表示された例を示す。同図から明らかなように、各々の経過情報は、メッセージ型情報、あるいは、データ型情報が添付されたメッセージ型情報であるが、該当するカテゴリーと投稿したユーザーの氏名とが明示された状態で時間順に並置されているから、患者P1の胃癌の医療及び/又は介護の面における時間的変化、健康状況の時間的変化、ACPの時間的変化を直ちに知ることができ、医療従事者Mや介護従事者Cにとって非常に有益であるし、患者Pや患者関係者Rにとっても有益である。
【0270】
(多職種連携支援システム100のサマリー情報作成部120の動作)
図18は、多職種連携支援システム100のサマリー情報作成部120の動作を示すフローチャートである。
【0271】
サマリー情報作成部120は、常時、いずれかのユーザー端末10、11又は12から「サマリー情報作成要請」が送信されて来るのを待機している(ステップS31)。「サマリー情報作成要請」の受信の有無のチェックは、制御部124が行う。医療従事者M又は介護従事者Cが、自己の端末11上で、経過情報表示エリア52(
図25、
図34A〜34C参照)に表示された経過情報としての複数のメッセージ型情報、又はデータ型情報が添付された複数のメッセージ型情報の中から、サマリー情報として使用したいものを選択してクリックすることで、
図35に示すような経過情報編集画面53が経過情報表示エリア52に表示される。経過情報編集画面53には、「サマリー情報として書き込む」アイコンと、「書き込む位置」アイコンが表示されている。カレント・ユーザーとしての医療従事者M又は介護従事者Cが、自己の端末11上で「サマリー情報として書き込む」アイコンをクリックすることで、「サマリー情報作成要請」が医療・介護システム30から多職種連携支援システム100に向けて送信される。サマリー情報作成要請の送信は、本実施形態では、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。こうして送信されたサマリー情報作成要請の受信が制御部124によって確認されると、転記元指定部121が、受信したサマリー情報作成要請で指定された情報を転記元の「第2ターゲット情報」として指定する(ステップS32)。そして、その第2ターゲット情報の所在箇所を転記元指定情報として情報記憶部123に記憶する。
【0272】
次に、転記元指定部121は、こうして指定された第2ターゲット情報(メッセージ型情報又はデータ型情報)に、固有のサマリーIDを割り当て、さらに、こうして割り当てられたサマリーIDを、当該第2ターゲット情報のメッセージ/データIDに関連づけて、情報記憶部123に記憶する(ステップS33)。この記憶動作も、転記元指定部121と情報記憶部123の協働によって実行される。
【0273】
すると、転記先指定部122は、ユーザー端末10、11又は12から「転記先通知」が送信されてくるのを待機する(ステップS34)。「転記先」とは、転記元指定部121により「転記元」(第2ターゲット情報)と指定されたメッセージ型情報又はデータ型情報の「抜粋情報」を配置すべき箇所である。カレント・ユーザーとしての医療従事者M又は介護従事者Cが、自己の端末11上で「書き込む位置」アイコンをクリックし、続いて表示されるサマリー情報表示画面54(
図38参照)で書き込みたい位置をさらにクリックすると、その位置が「転記先」として指定され、その後、指定された位置を知らせる転記先通知が、医療・介護システム30から多職種連携支援システム100に向けて送信される。転記先通知の送信は、本実施形態では、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。こうして送信された転記先通知の受信が制御部124によって確認されると、転記先指定部122は、その転記先に第2ターゲット情報を転記(コピー)して情報記憶部123に記憶する(ステップS35)。
【0274】
指定された転記先への第2ターゲット情報の転記・記憶が終了すると、転記された第2ターゲット情報それ自体と共に、当該第2ターゲット情報の相互に関連づけられたメッセージ/データID、ユーザーID、カテゴリーID及びサマリーIDを、情報記憶部123に記憶する(ステップS36)。
【0275】
最後に、以上のようにして第2ターゲット情報として情報記憶部123に記憶されたメッセージ型情報又はデータ型情報を、そのカテゴリーと投稿ユーザーを明示しながら、カレント・ユーザーとしての医療従事者M又は介護従事者Cの端末11上で、「サマリー情報表示エリアに表示する(ステップS37)。この表示動作は、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。
【0276】
上述したステップS31〜S37は、カレント・ユーザーからのサマリー情報作成要請がある毎に繰り返されるため、タイムライン51に表示されている複数のメッセージ型情報及びデータ型情報が第2ターゲット情報としてサマリー情報作成部120によって転記され、それらの情報が属する4つのカテゴリー(医療、介護、健康又はACP)と、それらの情報を投稿した投稿ユーザーとを明示して、カレント・ユーザーとしての医療従事者M又は介護従事者Cの端末11上で、所定のサマリー情報表示エリア54(
図38参照)に時間順に並置される。
図38のサマリー情報表示エリア54への第2ターゲット情報の表示動作も、医療・介護システム30のタイムライン制御部326によって実行される。
【0277】
こうして取り込んだ第2ターゲット情報としてのメッセージ型情報及びデータ型情報は、
図39A及び
図39Bに示すように、それらのカテゴリーと投稿ユーザーを明示して、カレント・ユーザーとしての医療従事者M又は介護従事者Cの端末11上で、サマリー情報表示エリア54に時間順に並置されるため、医療従事者M又は介護従事者Cは、患者P1の胃癌の医療及び/又は介護の面における時間的変化、健康状況の時間的変化、ACPの時間的変化の要点のみを抜粋したサマリー情報を直ちに得ることができ、したがって、G例えば患者P1が施設間移動する際に、それらの情報の概要のみを迅速に知りたい医療従事者Mや介護従事者Cにとって非常に有益である。しかも、これらのメッセージ型情報及びデータ型情報は、カテゴリーや投稿ユーザーで検索して時間順に整列できるため、医療面、介護面、健康面及びACP面の時間的変化を、個別に見ることもでき、非常に便利である。
【0278】
なお、サマリー情報表示エリア54は、ユーザー毎にアクセス権を適宜設定することにより、グループG11のグループ・メンバーである個々の医療従事者M及び介護従事者C毎に、異なる閲覧(アクセス)可能範囲を設定することが可能である。また、通常は、グループG11のグループ・メンバーである患者P1や患者関係者Rは閲覧できない(アクセス権を持たない)ように設定されるが、閲覧可能範囲を限定したうえで閲覧できるようにしてもよい。
【0279】
サマリー情報は、患者P1が移動元施設から移動先施設に移動する際に、特に有効に活用できる。例えば、患者P1が現在の施設(移動元施設、例えば病院)を退院して次の施設(移動先施設、例えば老人ホーム)に入所する場合には、移動先施設に患者P1の経過情報を伝達しておくと、移動先施設で介護従事者Cが介護する際の注意点等が予め判明するため、非常に好ましい。しかし、経過情報は詳細すぎるし、医療に係る専門的知識も必要であるから、医療に係る専門知識を持たない介護従事者Cに経過情報をそのまま提供しても、理解が困難である。介護従事者Cにとっては、自己が介護する際に必要な要点のみが記載された抜粋情報の方が好ましい。そこで、上述したようにして、例えば、移動元施設の医療従事者Mや介護従事者Cが患者P1の経過情報から介護に必要な情報を主として抜粋し、それに関連する最小限の医療情報を付加したサマリー情報を作成すれば、移動先施設の介護従事者Cにとって非常に有益である。
【0280】
移動先施設が他の病院やクリニックの場合には、患者P1に対して移動元施設の病院で行った医学的処理や関連する医療情報を移動先施設に伝達しておくと、移動先施設の医療従事者Mにとって有益であるが、介護情報は重要ではない。したがって、この場合には、患者P1の経過情報から医療に必要な情報を主として抜粋し、それに関連する最小限の介護情報を付加して患者P1のサマリー情報を作成すれば、非常に有益である。
【0281】
上述したサマリー情報の利点は、患者Pが何度も入退院を繰り返す場合に特に効果的である。
【0282】
サマリー情報の活用例を
図40に示す。まず、患者P1が特定の医療・介護関連施設B(例えば鈴木病院)に入院する直前に、それまで治療等を受けていた医療・介護関連施設A(例えば田中クリニック)において、例えば医療従事者Mが、上述のようにして、患者P1のサマリー情報を作成しておく。施設Aで作成された患者P1のサマリー情報は、患者P1が施設Bに移動する際に、施設Bに患者P1の「入院時サマリー情報」として伝達される。そして、患者P1が施設Bに移動して治療等を受けた後に、さらに医療・介護関連施設C(例えば〇〇病院)に移動することが決まると、例えば施設Bの医療従事者Mが、自施設で行われた治療、介護等に係わる経過情報からサマリー情報を作成し、前記入院時サマリー情報に追加する。こうすることで、施設Aで作成されて施設Bに伝達された前記入院時サマリー情報(
図40の上位のサマリー情報)は、施設Bでアップデートされ、「退院時サマリー情報」(
図40の下位のサマリー情報)となる。そして、患者P1が施設Cに移動する際には、そうしてアップデートされた「退院時サマリー情報」が施設Cのスタッフに伝達される。以後、施設間移動の際にこれが繰り返される。
【0283】
多職種連携支援システム100では、上述したように、個々の患者Pの施設間移動の繰り返しによって作成される一連のサマリー情報が、サマリー情報作成部120の情報記憶部123に順次記憶されるようになっているから、これら一連のサマリー情報を個々の患者P毎に収集・整理して、上述した「施設トレース情報」に添付すれば、移動先の医療・介護関連施設Fにおける医療・介護面の処置計画の立案に極めて有用な情報が得られる。
【0284】
以上述べたように、多職種連携支援システム100では、サマリー情報を容易に作成できるので、医療・介護関連施設で以前から求められていた「施設移動時における必要最小限の情報の効率的な伝達」を実現することができ、長年満たされなかったニーズを満たすことができる。
【0285】
(ユーザーに対するアクセス権の設定)
次に、システム管理者Aが個々のユーザー(すなわち患者P、医療従事者M、介護従事者C及び患者関係者R)のアクセス権を設定する際の動作について説明する。この動作は、ユーザーアクセス制御部190の機能に基づくものである。
【0286】
システム管理者Aは、まず、管理者端末14を用いて、アクセス権設定メニュー(図示せず)を選択し、
図41に示すグループ・タイムライン検索画面58を開く。この検索画面58の下部には、選択可能な複数のタイムライン(グループ)が一列で表示されており、また、その上部には、検索用語入力欄が設けられている。次に、システム管理者Aは、検索用語入力欄に適当な用語を入力して検索ボタンをクリックし、所望のグループ(例えば山本××の胃癌治療用グループ)のタイムラインを表示させる。すると、
図42に示すようなアクセス許可メンバー選択画面59が表示される。
【0287】
図42のアクセス許可メンバー選択画面59では、患者P1(山本氏)の胃癌治療用グループの全グループ・メンバーのリストが表示されている。このリストでは、各メンバーの顔写真とその氏名、職種及び所属先が表示された矩形枠毎にチェック・マークを付けることで、アクセス許可を設定または変更したいメンバー(ユーザー)を選択・指定できるようになっているので、管理者Aは、所望のメンバーにチェック・マークを付けて、「送信」ボタンをクリックすればよい。すると、管理者端末14には、
図43に示すようなアクセス条件設定画面が表示される。
【0288】
図43のアクセス条件設定画面では、選択・指定したメンバー(ユーザー)毎に表示された矩形枠中に、端末セキュリティ、ネットワークセキュリティ、ソーシャル認証、及びアクセス可能情報という4つの項目について、所望の条件にチェック・マークを付けることで、所望のメンバー毎にアクセス権を指定できるようになっている。この画面中の「ソーシャル認証」の条件は、
図44に示すとおりである。そこで、管理者Aは、所望のメンバー全員に所望のアクセス権が付与されるようにチェック・マークを付けてから、「送信」ボタンをクリックすればよい。これで、アクセス条件の設定は完了である。このように、本実施形態では、高度なセキュリティ条件を柔軟に調整できるにも係わらず、アクセス権の設定作業は容易である。
【0289】
以上、詳細に述べたところから明らかなように、本発明の実施形態に係る多職種連携支援システム100では、そのベースとなる医療・介護支援システム30が、
ユーザー端末10、11又は12を介して医療サービス及び/又は介護サービスを利用する個々のユーザーに対してユーザーIDを割り当てて記憶する手段(ユーザー管理部310)と、
前記ユーザーとしての患者Pに対して患者IDを割り当てると共に、その患者IDを対応するユーザーIDに関連づけて記憶する手段(ユーザー管理部310)と、
前記ユーザーとしての医療従事者M及び介護従事者Cに対して医療・介護従事者IDを割り当てると共に、その医療・介護従事者IDを前記ユーザーIDに関連づけて記憶する手段(ユーザー管理部310)と、
前記ユーザー端末10、11又は12からの指示に応じて、前記患者IDに関連させて固有のグループIDを持つグループGを生成すると共に、当該グループGに係る前記患者IDに対応する前記患者Pに係る患者情報を表示するためのタイムライン51(情報表示領域)を生成する手段(グループ管理部320)と、
前記ユーザー端末10、11又は12からの指示に応じて、前記グループに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、前記グループGの前記タイムライン51に表示される前記患者情報を前記ユーザー端末10、11又は12を介して前記グループ・メンバーの間で共有可能とする手段(グループ管理部320)とを備えている。
【0290】
また、多職種連携支援システム100は、
前記グループGの前記タイムライン51に表示される前記患者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報のそれぞれに対して、メッセージ/データIDを割り当てると共に、当該メッセージ/データIDのそれぞれに対応する前記メッセージ型情報又は前記データ型情報を前記タイムライン51に投稿した前記ユーザーに対応する前記ユーザーIDに関連付けて記憶する手段(経過情報作成部110の情報取込部111)と、
前記メッセージ型情報及び前記データ型情報を分別するための複数の情報カテゴリーのそれぞれに対して、カテゴリーIDを割り当てて記憶する手段(経過情報作成部110の情報カテゴリー管理部115)と、
前記ユーザー端末10、11又は12からの指示によって、前記タイムライン51に表示された複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から第1ターゲット情報が指定されると、当該第1ターゲット情報が複数の前記情報カテゴリーのいずれに属するかを識別すると共に、識別によって判明した前記カテゴリーに対応する前記カテゴリー識別情報を当該第1ターゲット情報の前記メッセージ/データIDに関連づけて記憶する手段(経過情報作成部110の情報カテゴリー識別部112)と、
前記第1ターゲット情報を、対応する前記カテゴリーIDに応じて区分して所定の経過情報表示エリア52に経時的に表示する手段(例えば医療・介護支援システム30のグループ管理部320)とを備えており、
前記経過情報表示エリア52に経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループGに係る前記患者Pの経過情報として、前記ユーザー端末10、11又は12を介して、前記グループGの前記グループ・メンバーの間で共有可能とされている。
【0291】
このため、前記医療サービス及び/又は介護サービスを利用する前記ユーザーとしての前記患者Pが持つ前記患者IDに関連させて、固有の前記グループIDを持つ前記グループGを生成するため、前記グループGは、前記患者P毎に生成される。前記患者Pの前記患者情報、すなわち、前記患者P(ユーザー)に係る医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、前記専門家間で又は前記専門家と受給者本人及び/又はその関係者との間で交換されたメッセージ等の各種情報は、前記グループG毎に生成される前記タイムライン51に表示され、前記グループGに1又は複数の前記ユーザーを選択的にグループ・メンバーとして所属させることで、前記グループGの前記タイムラインに表示される前記患者情報を、前記ユーザー端末10、11又は12を介して前記グループ・メンバーの間で共有可能である。このため、前記患者Pに医療サービス及び/又は介護サービスを提供する多職種の専門家を、必要に応じて前記グループ・メンバーとして所属させることで、前記患者Pへの医療及び/又は介護に携わる多職種の専門家が、前記グループGの前記患者情報を共有しながら、これら多職種の専門家間で連携することが可能である。また、必要に応じて、前記患者P本人とその関係者を前記グループ・メンバーとして所属させることで、前記タイムライン51を介して前記患者P本人及び/又はその関係者の希望や意向や感情等を前記多職種の専門家に伝えやすくなり、また、前記多職種の専門家の意向や指示や助言等を前記患者P本人及び/又はその関係者に伝えやすくなる。
【0292】
他方、前記グループGの前記タイムライン51には、前記患者情報としての複数のメッセージ型情報及び複数のデータ型情報が表示されるが、それらの情報に割り当てられたメッセージ/データIDは、それらの情報を前記タイムライン51に投稿した前記ユーザーの前記ユーザーIDに関連づけて記憶される。また、前記ユーザー端末10、11又は12からの指示によって、それらの情報の中から前記第1ターゲット情報が指定されると、前記第1ターゲット情報が前記情報カテゴリーのいずれに属するかが識別されると共に、識別によって判明した前記カテゴリーに対応する前記カテゴリーIDが前記第1ターゲット情報の前記メッセージ/データIDに関連づけて記憶される。さらに、前記第1ターゲット情報は、該当する前記カテゴリーIDに応じて区分されて前記経過情報表示エリア52に経時的に表示される。
【0293】
そして、前記経過情報表示エリア52に経時的に表示される前記第1ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループGに係る前記患者Pの経過情報として、前記ユーザー端末10、11又は12を介して、前記グループGの前記グループ・メンバーの間で共有可能となっている。
【0294】
したがって、医療サービス及び/又は介護サービスを前記患者Pに提供する多職種の専門家(例えば医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ヘルパー)は、前記グループGの前記グループ・メンバーになれば、前記患者Pの前記患者情報、すなわち、個々の患者Pに係わる医療情報、介護情報、健康情報、ACP情報、メッセージ等の各種情報に加え、前記グループGに係る前記患者Pの経過情報をも、前記ユーザー端末10、11又は12から通信ネットワークを介して共有することができる。よって、前記多職種の専門家間及びこれら専門家と前記受給者本人及び/又はその関係者との間でいっそう緊密且つ円滑な連携が行えるよう支援することができる。
【0295】
また、前記グループGの前記タイムライン51に表示される、前記患者情報としての複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から前記第1ターゲット情報を指定するだけで、前記第1ターゲット情報は該当する前記カテゴリーIDに応じて区分されて前記経過情報表示エリア52に経時的に表示されるので、前記患者情報を目的(例えば、医師が講じた処置による患者の症状の改善状況を知る、治療方針に関する患者の思いや気持ちの時間的変化を知る等)に応じて容易に加工して共有することができる。これも、前記多職種の専門家間のいっそう緊密且つ円滑な連携の実現に寄与するものである。
【0296】
さらに、前記グループGの前記タイムライン51に表示される、前記患者情報としての複数の前記メッセージ型情報及び複数の前記データ型情報の中から前記第1ターゲット情報を指定するだけで、医療サービス及び/又は介護サービスを受給する前記患者P、前記患者Pの関係者、及び/又は、前記患者Pを担当し且つ異なる場所にある施設に所属する多職種の専門家により提供され、且つ、前記タイムライン51に表示された前記患者Pの前記患者情報をカテゴリー別に分類すると共に経時的に配列することが可能である。よって、前記患者Pに対する医療サービス及び/または介護サービスの提供に活用できる有益な経過情報を整理した形で作成・共有することができる。
【0297】
また、本発明の実施形態の多職種連携支援システム100は、前記ユーザー端末10、11又は12からの指示によって、前記グループGに係る前記患者Pの前記経過情報の中から第2ターゲット情報が指定されると、前記第2ターゲット情報を前記ユーザー端末10、11又は12上で編集することが可能とされ、
前記第2ターゲット情報として指定された編集後又は未編集の前記メッセージ型情報及び/又は前記データ型情報は、所定のサマリー情報表示エリア54に表示され、
前記サマリー情報表示エリア54に表示される前記第2ターゲット情報としての複数の前記メッセージ型情報及び/又は複数の前記データ型情報は、前記グループGに係る前記患者Pのサマリー情報として、前記ユーザー端末10、11又は12を介して、前記グループGの前記グループ・メンバーの間で共有可能とされている。
【0298】
このため、前記患者Pが移動元施設から移動先施設に移動する際に、前記患者Pの前記経過情報の中から移動先施設の専門家が知っておくべき情報を選別することで、前記患者Pの前記サマリー情報を作成して前記グループ・メンバーの間で共有することができ、したがって、前記患者Pが施設間移動する際の情報伝達を容易化且つ効率化することができる、という利点もある。
【0299】
さらに、本発明の実施形態の多職種連携支援システム100は、個々の前記ユーザーに対して設定された、前記グループGの前記患者Pの前記患者情報に対するアクセス権が、前記ユーザーが所定の認証アルゴリズムを用いてソーシャル認証を受けていることを条件として設定され、
前記認証アルゴリズムは、
(a)少なくとも1つの前記グループを介して、n人の医療・介護従事者とつながっていること(ただし、nは1以上の整数)、
(b)m個の前記グループのグループ・メンバーである(ただし、mは1以上の整数)、
(c)自身の顔写真とプロフィールが掲載されていること、
(d)ユーザー登録からxヶ月以上経過しており、且つ、1ヶ月にy回以上の書き込みがある(ただし、x及びyはいずれも1以上の整数)こと、
(e)使用する端末が、所定レベル以上のセキュリティ条件を満たしていること、
という5条件の少なくとも2つを包含するように選択されるようになっている。
【0300】
このため、前記患者Pの前記患者情報に対する前記ユーザーのアクセス権を、前記患者情報の内容や前記ユーザーにとっての必要度、機密度等に応じて精密に制御することで、前記ユーザーの利便性を確保しながら、機密性の高い前記患者の前記患者情報を取り扱うにふさわしい高レベルのセキュリティ環境を提供することができる、という利点もある。
【0301】
さらに、緊急時に、前記ユーザーではない医療従事者又は介護従事者が、前記受給者の前記受給者情報、前記経過情報及び前記サマリー情報の少なくとも1つにアクセスするのを許可する「緊急時アクセス機能」を備えているので、高度のセキュリティを保持しながら、救急搬送された前記受給者に対して緊急時に執るべき処置をより的確なものにすることができ、しかも、救急搬送された前記受給者を担当する医療従事者又は介護従事者に対するリスクを低減することも可能となる、という利点もある。
【0302】
(変形例)
上述した実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0303】
例えば、上述した実施形態では、患者Pに医療サービス及び/又は介護サービスを提供する場合について説明したが、本発明はこれには限定されない。要介護者に医療サービス及び/又は介護サービスを提供する場合にも適用できることは明らかである。
【0304】
また、上述した実施形態では、医療・介護支援システム30をベースにして多職種連携支援システム100が構成された場合について説明したが、本発明はこれには限定されない。医療・介護支援システム30の機能が多職種連携支援システム100の機能に包含されていてもよいし、医療・介護支援システム30の機能が多職種連携支援システム100の機能と不可分に一体的に構成されていてもよい。要するに、多職種連携支援システム100は、本発明の目的、すなわち、医療・介護分野における多職種の専門家間でいっそう緊密且つ円滑な連携が行えるよう支援する、という目的を達成するために必要な前記全機能を発揮できるものであれば、どのような構成で実現されてもよい。