(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2つの上フラップ(1b、1d)の便座開口形成領域(13b、13d)は、前記2つの上フラップ(1b、1d)に形成されている切取線(14b、14d)により前記五角柱形状の箱体(40)の内部側に折り込んだ状態で、対応する前記2つの側壁板(2b、2d)に固定することができる
請求項1に記載の組立式箱体。
前記(II)において、前記2つの上フラップ(1b、1d)は、前記2つの側壁板(2a、2e)が係合している方向を前方に向けた状態で、前方及び中央部が開口したU字形状の便座をなしている
請求項1又は2に記載の組立式箱体。
【背景技術】
【0002】
地震などの災害発生時にはトイレ不足が深刻な問題となる。その場で簡便に組み立てて使用できる段ボール製の簡易トイレも知られているが、段ボール製ゆえに強度の問題があった。また、簡易トイレとして使用することのみを目的として備蓄することは空間を無駄に占拠することになることから、非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管することができることが好ましい。すなわち、簡易トイレとして使用可能な強度を有する段ボール製の箱体であって、非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管することができるものが必要とされている。
【0003】
特許文献1には、両端部を接着することによって多角柱形状に形成され、上端に連続する折りしろを内方に折り曲げて上端開口が形成されそして下端に備えた係合片を有する折りしろを折り曲げ当該係合片を係合させることによって底面が形成される側壁板と、前記多角柱形状と相同な多角柱形状に形成され、前記側壁板の内面側に当接させた状態で着脱自在に組み込まれる内枠体とを有する、段ボール製の組み立て用構成体が開示されている。
【0004】
特許文献2には、段ボールからなる四角柱形状の本体と、前記本体の側面の内側に配されてなる段ボールからなる補強板と、前記本体の上側の一方の対向する2辺に接合され、閉じた状態のほぼ中央部に第一の貫通孔を形成する切り欠きが設けられ、観音開きに構成されてなる第一の蓋と、前記本体の前記第一の蓋が接合されていない2辺の一方の辺に接合され、ほぼ中央に前記第一の貫通孔とほぼ同じ形状の貫通孔が設けられてなり、前記第一の蓋を覆う第二の蓋と、前記本体の前記第一の蓋が接合されていない2辺の他方の辺に接合され、前記第二の蓋を覆う第三の蓋を有することを特徴とする、非常用備品保管箱が開示されている。
【0005】
特許文献3には、汚物袋を収納した段ボール製の矩形箱体からなる組み立て式簡易トイレであって、矩形箱体は、一対の対向する側面部が、いずれも先端に突起部を有するとともに折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた際にさらに箱体の内部に向かって折り込むための折り込み線を有するフラップが連接されたものであり、もう一対の対向する側面部が、一方は折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げることで便座部として機能する中央に開口部を有するフラップが連接されたもの、もう一方は折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げることで折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた他方の便座部として機能するフラップを覆う蓋部として機能するフラップが連接されたものであり、前者の側面部に連接されたフラップを折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げ、さらに折り込み線で箱体の内部に向かって折り込んで先端の突起部をフラップが連接された側面部に設けた嵌め込み部に嵌め込むと、フラップの折り曲げ線と折り込み線の間の部分が水平部を形成し、その上に折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた便座部として機能する後者の側面部の一方に連接されたフラップを位置させることで水平部がフラップを支持してなり、汚物袋は、その内側の表面に吸水性樹脂を担持させた合成樹脂製のものであることを特徴とする組み立て式簡易トイレが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1には、収納ケースとして使用する場合と簡易トイレとして使用する場合で異なる形状の組み立て用構成体しか開示されておらず、その両方として使用することができる組み立て用構成体は開示されていない。例えば、特許文献1に記載された簡易トイレとして使用することができる組み立て用構成体は五角柱形状をなしており、さらにその内部に別体として形成された内枠体が配置されているため、これを収納ケースとして使用しようとすると被収納物の選択に制約があった。
【0008】
特許文献2に記載された非常用備品保管箱は四角柱形状であるが、簡易トイレとして使用する際に男性が腰掛けることを考慮すると、四角柱形状より五角柱形状の方が好ましい。また、特許文献2に記載された非常用備品保管箱の内部には別体として形成された補強板が配置されているため、保管箱の大きさの割に保管量が確保できないという問題もあった。
【0009】
特許文献3に記載された組み立て式簡易トイレは、内部に別体として形成された内枠体や補強板を配置しなくとも強度を確保する工夫がなされているが、そもそも備蓄品を収納・保管することが想定されていない。また、特許文献3に記載された組み立て式簡易トイレは四角柱形状であるが、簡易トイレとして使用する際に男性が腰掛けることを考慮すると、四角柱形状より五角柱形状の方が好ましい。
【0010】
そこで、本発明は、非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管する収納箱として使用可能な形状に組み立てることができ、また簡易トイレとしても使用可能な形状にも組み立てることができる組立式箱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る組立式箱体は、
連続して隣り合うように側辺が接続された5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)と、
前記5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第2番目、第3番目及び第4番目に配置された3つの側壁板(2b、2c、2d)の上辺及び下辺にそれぞれに接続された、3つの上フラップ(1b、1c、1d)及び3つの下フラップ(3b、3c、3d)と
を有する組立式箱体であって、
(I)前記5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第1番目及び第5番目に配置された2つの側壁板(2a、2e)を重ね合わせることで、その重ね合わされた2つの側壁板(2a、2e)及び残りの3つの側壁板(2b、2c、2d)により四角柱形状の箱体(30)の側面を形成するとともに、
その状態で、前記3つの上フラップ(1b、1c、1d)により前記四角柱形状の箱体(30)の上面を塞ぎ、前記3つの下フラップ(3b、3c、3d)により前記四角柱形状の箱体(30)の下面を塞ぐことで、
内部に被収納物を収納・保管する収納箱として使用可能な四角柱形状の箱体(30)に組み立てることができ、
(II)前記5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第1番目及び第5番目に配置された2つの側壁板(2a、2e)の解放された側辺近傍を互いに係合させることで、前記5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)により五角柱形状の箱体(40)の側面を形成するとともに、
その状態で、第2番目及び第4番目に配置された2つの側壁板(2b、2d)の上辺に接続された2つの上フラップ(3b、3d)を重ね合わせ、その重ね合わされた2つの上フラップ(3b、3d)を便座として使用できる形状にして固定することで、
トイレとして使用可能な五角柱形状の箱体(40)に組み立てることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管する収納箱として使用可能な形状に組み立てることができ、また簡易トイレとしても使用可能な形状にも組み立てることができる組立式箱体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<組立式箱体の基本構成>
本発明に係る組立式箱体の展開図を
図1に示す。なお、本発明に係る組立式箱体の材質は、
図1に示すような展開した状態から立体的に組み立てられるものであればよく、紙、プラスチックなどが挙げられる。非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管する収納箱として使用することを考慮すると、本発明に係る組立式箱体は強度と軽さを兼ね備えた段ボール製であることが好ましい。
【0015】
段ボールは、一般に、波型に成型された中芯(フルート)と、その中芯を保持するために貼合されたライナーからなっている。中芯(フルート)としては、厚さ約5mmのAフルート、厚さ約3mmのBフルート、厚さ約4mmのCフルート、これらより薄いマイクロフルート(Eフルート、Fフルート、Gフルート)などが挙げられる。段ボールの構造としては、中芯の片面にライナーを貼り合わせた片面段ボール、中芯の両面にライナーを貼り合わせた両面段ボール、両面段ボールの片側に片面段ボールを貼り合わせた複両面段ボール、複両面段ボールの片側に片面段ボールを貼り合わせた複々両面段ボールなどが挙げられる。本発明では、簡易トイレとして使用する際の強度を高め、かつ全体の軽量化を図ることから、複両面段ボールを使用することが好ましく、AフルートとBフルートを貼り合わせた、厚さ約8mmの複両面段ボールを使用することがより好ましい。
【0016】
段ボールの流れ目(フルートの向き)は、
図1において上下方向に向いていてもよく、左右方向に向いていてもよいが、簡易トイレとして使用する際の便座の強度が高まることから、
図1において上下方向に向いていることが好ましい。
【0017】
本発明に係る組立式箱体は、
図1に示すように、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)と、3つの上フラップ(1b、1c、1d)と、3つの下フラップ(3b、3c、3d)とを有している。
【0018】
5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)は、例えば長方形(正方形を含む)の形状をなしており、あるいは必要に応じてその一部が切断された形状をなしている。そして、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)は、連続して隣り合うように側辺が接続されている。換言すると、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)を横に並べた状態における隣り合う2つの側壁板は、それらの側辺において互いに接続されている。接続部は、山及び/又は谷に折ることができる稜線を形成している。5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)は、本発明に係る組立式箱体を四角柱形状又は五角柱形状に組み立てた際の側面を構成する。
【0019】
側壁板の高さ(
図1における上下方向の長さ)は、例えば100〜600mmの範囲から目的に応じて適宜選択できるが、本発明に係る組立式箱体を四角柱形状又は五角柱形状に組み立てることを考慮すると、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)の高さを同一とすることが好ましい。また、飲食物などの備蓄品を収納・保管する収納箱として使用することを考慮すると、側壁板の高さは、段ボール箱として一般的な深さとすることが好ましく、例えば392mmとすることができる。なお、側壁板が長方形の一部が切断された形状をなしている場合、その切断前の側壁板の高さが上記条件を満たすことが好ましい。
【0020】
側壁板の幅(
図1における左右方向の長さ)は、例えば100〜600mmの範囲から目的に応じて適宜選択できるが、本発明に係る組立式箱体を四角柱形状に組み立てた際に直方体(立方体を含む)となるように、第1番目、第3番目及び第5番目に配置された側壁板(2a、2c、2e)の幅を同一とし、第2番目及び第4番目に配置された側壁板(2b、2d)の幅を同一とすることが好ましい。また、飲食物などの備蓄品を収納・保管する収納箱として使用することを考慮すると、側壁板の幅は、段ボール箱として一般的な幅又は長さとすることが好ましく、例えば側壁板(2a、2c、2e)の幅を220mmとし、側壁板(2b、2d)の幅を270mmとすることができる。なお、側壁板が長方形の一部が切断された形状をなしている場合、その切断前の側壁板の幅が上記条件を満たすことが好ましい。
【0021】
5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第2番目、第3番目及び第4番目に配置された3つの側壁板(2b、2c、2d)の上辺には、3つの上フラップ(1b、1c、1d)が接続されている。接続部は、山及び/又は谷に折ることができる稜線を形成している。3つの上フラップ(1b、1c、1d)は、本発明に係る組立式箱体を四角柱形状又は五角柱形状に組み立てた際の上面の少なくとも一部を構成する。5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第1番目及び第5番目に配置された2つの側壁板(2a、2e)の上辺にも上フラップが接続されていてもよいが、本発明に係る組立式箱体を五角柱形状の簡易トイレに組み立てた際に邪魔になる可能性があることを考慮すると、側壁板(2a、2e)の上辺には上フラップが接続されていないことが好ましい。
【0022】
上フラップ(1b、1c、1d)の高さ(
図1における上下方向の長さ)及び幅(
図1における左右方向の長さ)は、例えば100〜600mmの範囲から目的に応じて適宜選択できるが、通常は、側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)の高さ及び幅から決まる。すなわち、第2番目及び第4番目に配置された上フラップ(1b、1d)の高さは、第1番目、第3番目及び第5番目に配置された側壁板(2a、2c、2e)の幅と同一とすることが好ましく、第3番目に配置された上フラップ(1c)の高さは、第2番目及び第4番目に配置された側壁板(2b、2d)の幅を同一とすることが好ましい。上フラップ(1b、1c、1d)の幅は、それぞれが接続されている側壁板(2b、2c、2d)の幅と同一とすることが好ましい。また、上フラップ(1b、1c、1d)の高さ及び幅は、上記のようにして決まる高さ及び幅より短くてもよく、さらに必要に応じてその一部が切断された形状をなしていてもよい。
【0023】
5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第2番目、第3番目及び第4番目に配置された3つの側壁板(2b、2c、2d)の下辺には、3つの下フラップ(3b、3c、3d)が接続されている。接続部は、山及び/又は谷に折ることができる稜線を形成している。3つの下フラップ(3b、3c、3d)は、本発明に係る組立式箱体を四角柱形状又は五角柱形状に組み立てた際の下面の少なくとも一部を構成する。5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第1番目及び第5番目に配置された2つの側壁板(2a、2e)の下辺にも下フラップが接続されていてもよいが、本発明に係る組立式箱体を五角柱形状の簡易トイレに組み立てた際に邪魔になる可能性があることを考慮すると、側壁板(2a、2e)の下辺には下フラップが接続されていないことが好ましい。
【0024】
下フラップ(3b、3c、3d)の高さ(
図1における上下方向の長さ)及び幅(
図1における左右方向の長さ)は、例えば100〜600mmの範囲から目的に応じて適宜選択できるが、通常は、側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)の高さ及び幅から決まる。すなわち、第2番目及び第4番目に配置された下フラップ(3b、3d)の高さは、第1番目、第3番目及び第5番目に配置された側壁板(2a、2c、2e)の幅と同一とすることが好ましく、第3番目に配置された下フラップ(3c)の高さは、第2番目及び第4番目に配置された側壁板(2b、2d)の幅を同一とすることが好ましい。下フラップ(3b、3c、3d)の幅は、それぞれが接続されている側壁板(2b、2c、2d)の幅と同一とすることが好ましい。また、下フラップ(3b、3c、3d)の高さ及び幅は、上記のようにして決まる高さ及び幅より短くてもよく、さらに必要に応じてその一部が切断された形状をなしていてもよい。
【0025】
<組立式箱体の組み立て形態(I)>
本発明に係る組立式箱体は、内部に被収納物を収納・保管する収納箱として使用可能な四角柱形状の箱体に組み立てることができる。四角柱形状の水平断面形状は、長方形(正方形を含む)であることが好ましい。
図2は、
図1に示す組立式箱体を収納箱として使用可能な四角柱形状の箱体(30)に組み立てた場合の外観を示している。以下、具体的な組み立て方法について説明する。
【0026】
まず、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第1番目及び第5番目に配置された2つの側壁板(2a、2e)を重ね合わせることで、その重ね合わされた2つの側壁板(2a、2e)及び残りの3つの側壁板(2b、2c、2d)により四角柱形状の箱体(30)の側面を形成する。
図1に示す組立式箱体においては、側壁板(2a)の外側に側壁板(2e)を重ね合わせることで、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)により四角柱形状の箱体(30)の側面を形成することができる。
【0027】
次いで、3つの上フラップ(1b、1c、1d)により四角柱形状の箱体(30)の上面を塞ぐ。
図1に示す組立式箱体においては、まず上フラップ(1d)を折り込んだ後、上フラップ(1b)を折り込み、最後に上フラップ(1c)を折り込むことができる。このとき、例えば、上フラップ(1d)の先端に形成されている突起(11d)を側壁板(2b)に形成されている差込穴(22b)に挿入することで、上フラップ(1d)を固定することができる。また、例えば、上フラップ(1b)の先端に形成されている突起(11b)を上フラップ(1d)に形成されている差込穴(12d)に挿入することで、上フラップ(1b)を固定することができる。そして、例えば、上フラップ(1c)を上フラップ(1b)に粘着剤などで接着することで、3つの上フラップ(1b、1c、1d)により四角柱形状の箱体(30)の上面を塞いだ状態で固定することができる。なお、3つの上フラップ(1b、1c、1d)の折り込み方法及び固定方法は、目的に応じて適宜選択することができ、上記以外の方法でも構わない。また、3つの上フラップ(1b、1c、1d)の一部又は全部は、固定しなくても構わない。
【0028】
また、3つの下フラップ(3b、3c、3d)により四角柱形状の箱体(30)の下面を塞ぐ。
図1に示す組立式箱体においては、まず下フラップ(3c)を折り込んだ後、下フラップ(3d)を折り込み、最後に下フラップ(3b)を折り込むことができる。なお、下フラップ(3c)の高さは側壁板(2b、2d)の幅より短くなっているが、下フラップ(3b)及び下フラップ(3d)により四角柱形状の箱体(30)の下面を塞ぐことができる。また、例えば、下フラップ(3b)を下フラップ(3d)に粘着剤などで接着することで、3つの下フラップ(3b、3c、3d)により四角柱形状の箱体(30)の下面を塞いだ状態で固定することができる。なお、3つの下フラップ(3b、3c、3d)の折り込み方法及び固定方法は、目的に応じて適宜選択することができ、上記以外の方法でも構わない。また、3つの下フラップ(3b、3c、3d)の一部又は全部は、固定しなくても構わない。
【0029】
こうして得られる箱体(30)は四角柱形状であるため、内部に被収納物を収納・保管する収納箱として好適に使用することができる。換言すると、本発明に係る組立式箱体は、非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管する収納箱として使用可能な形状に組み立てることができる。
【0030】
<組立式箱体の組み立て形態(II)>
本発明に係る組立式箱体は、トイレとして使用可能な五角柱形状の箱体に組み立てることができる。五角柱形状の水平断面形状は、5つの内角のうち隣り合う2つの内角が90°のホームベース形状であるが好ましい。
図3は、
図1に示す組立式箱体をトイレとして使用可能な五角柱形状の箱体(40)に組み立てた場合の外観を示しており、
図4は、
図3において側壁板(2a、2b)間の稜線と側壁板(2d、2e)間の稜線を含む平面で切断した断面図である。以下、具体的な組み立て方法について説明する。
【0031】
まず、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)のうち第1番目及び第5番目に配置された2つの側壁板(2a、2e)の解放された側辺近傍を互いに係合させることで、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)により五角柱形状の箱体(40)の側面を形成する。
図1に示す組立式箱体においては、側壁板(2a)の解放された側辺の先端に形成されている突起(27a)を、側壁板(2e)の解放された側辺近傍に形成されている差込穴(28e)に挿入することで、5つの側壁板(2a、2b、2c、2d、2e)により五角柱形状の箱体(40)の側面を形成することができる。
【0032】
次いで、第2番目及び第4番目に配置された2つの側壁板(2b、2d)の上辺に接続された2つの上フラップ(1b、1d)を重ね合わせる。
図1に示す組立式箱体においては、上フラップ(1d)を折り込んだ後、上フラップ(1b)を折り込むことで、2つの上フラップ(3b、3d)を重ね合わせることができる。このとき、例えば、上フラップ(1d)の先端に形成されている突起(11d)を側壁板(2b)に形成されている差込穴(22b)に挿入することで、上フラップ(1d)を固定することができる。また、例えば、上フラップ(1b)の先端に形成されている突起(11b)を上フラップ(1d)に形成されている差込穴(12d)に挿入することで、上フラップ(1b)を固定することができる。なお、2つの上フラップ(1b、1d)の折り込み方法及び固定方法は、目的に応じて適宜選択することができ、上記以外の方法でも構わない。また、この段階では、2つの上フラップ(1b、1d)の一部又は全部は、固定しなくても構わない。
【0033】
そして、重ね合わされた2つの上フラップ(1b、1d)を便座として使用できる形状にして固定する。
図1に示す組立式箱体においては、上フラップ(1d)の便座開口部形成領域(13d)に沿って形成されている切取線(14d)を切り取り、その先端を適宜折り畳んで突起(15d)を形成することができる。そして、便座開口部形成領域(13d)を五角柱形状の箱体(40)の内部側に折り込み、突起(15d)を側壁板(2d)に形成されている差込穴(26d)に挿入することで、便座開口部形成領域(13d)を固定することができる(
図4参照)。また、上フラップ(1b)のの便座開口部形成領域(13b)に沿って形成されている切取線(14b)を切り取り、その先端を適宜折り畳んで突起(15b)を形成することができる。そして、便座開口部形成領域(13b)を五角柱形状の箱体(40)の内部側に折り込み、突起(15b)を側壁板(2b)に形成されている差込穴(26b)に挿入することで、便座開口部形成領域(13b)を固定することができる(
図4参照)。なお、2つの便座開口部形成領域(13b、13d)の折り込み方法及び固定方法は、目的に応じて適宜選択することができ、上記以外の方法でも構わない。
【0034】
上記のように2つの上フラップ(1b、1d)を固定する場合、
図4に示すように、2つの上フラップ(1b、1d)の断面が前方から見て直角三角形となる。その直角三角形の幅wと高さhは、目的に応じて適宜選択することができるが、便座の強度が高まることから、w:h=1:1〜1:3とすることが好ましく、例えばw:h=1:2とすることができる。
【0035】
便座開口部形成領域(13b、13d)の形状は、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、本発明に係る組立式箱体を五角柱形状の簡易トイレとして使用することを考慮すると、2つの上フラップ(1b、1d)が、2つの側壁板(2a、2e)が係合している方向を前方に向けた状態で、前方及び中央部が開口したU字形状の便座をなすように形状とすることが好ましい。すなわち、
図1の展開図において、便座開口部形成領域(13b)の形状は、側壁板(2a)の方向が開口したU字形状であることが好ましく、便座開口部形成領域(13d)の形状は、側壁板(2e)の方向が開口したU字形状であることが好ましい。
【0036】
前述のとおり、段ボールの流れ目(フルートの向き)は、
図1において上下方向に向いていることが好ましい。この場合、便座として使用できる形状で固定された2つの上フラップ(1b、1d)では、U字形状の横方向に段ボールの流れ目が向くため、便座の強度が高まる。
【0037】
上フラップ(1c)は、上記のように便座として使用できる形状で固定された2つの上フラップ(1b、1d)の上方を開閉自在に折り畳み可能とすることが好ましい。こうすることで、上フラップ(1c)は、五角柱形状の箱体(40)の蓋の役割を果たすことができる。
【0038】
前述のとおり、側壁板(2a、2e)の上辺には上フラップが接続されていないことが好ましく、
図1に示す組立式箱体においては、側壁板(2a、2e)の上辺には上フラップが接続されていない。側壁板(2a、2e)の上辺に上フラップが接続されている場合は、例えば、それらの上フラップを、対応する側壁板(2a、2e)に重ね合わせるように折り込むことで、五角柱形状の箱体(40)を簡易トイレとして使用する際にも上フラップが邪魔になりにくい。
【0039】
3つの下フラップ(3b、3c、3d)については、五角柱形状の箱体(40)となるように適宜折り込むことができる。
図1に示す組立式箱体においては、まず下フラップ(3c)を折り込んだ後、下フラップ(3d)を折り込み、最後に下フラップ(3b)を折り込むことができる。また、例えば、下フラップ(3b)を下フラップ(3d)に粘着剤などで接着することできる。なお、3つの下フラップ(3b、3c、3d)の折り込み方法及び固定方法は、目的に応じて適宜選択することができ、上記以外の方法でも構わない。また、3つの下フラップ(3b、3c、3d)の一部又は全部は、固定しなくても構わない。
【0040】
前述のとおり、側壁板(2a、2e)の下辺には下フラップが接続されていないことが好ましく、
図1に示す組立式箱体においては、側壁板(2a、2e)の下辺には下フラップが接続されていない。側壁板(2a、2e)の下辺に下フラップが接続されている場合は、例えば、それらの下フラップを他の下フラップに重ね合わせるように折り込むことができる。
【0041】
こうして得られる箱体(40)は五角柱形状であるため、簡易トイレとして好適に使用することができる。換言すると、本発明に係る組立式箱体は、簡易トイレとしても使用可能な形状に組み立てることができる。
【0042】
なお、五角柱形状の箱体(40)を簡易トイレとして使用する際には、排泄物を収容するための収容袋を設置することが好ましい。具体的には、収容袋の下方を五角柱形状の箱体(40)の内部に入れ、収容袋の上方開口部を2つの上フラップ(1b、1d)で形成された便座に被せた状態で、テープなどで留めることができる。収容袋の内部には、あらかじめ吸水性樹脂(凝固剤)や脱臭剤を入れて使用することができる。
【0043】
以上のような本発明に係る組立式箱体は、四角柱形状の箱体(30)に組み立てることで、内部に被収納物を収納・保管する収納箱として使用可能なものとなり、五角柱形状の箱体(40)に組み立てることで、トイレとして使用可能なものとなる。すなわち、本発明に係る組立式箱体を四角柱形状の箱体(30)に組み立てることで、非常時に必要とされる飲食物などの備蓄品を収納・保管することができる。そして、実際に災害発生時にはその備蓄品を取り出して使用することになるが、四角柱形状の箱体(30)を捨てることなく五角柱形状の箱体(40)に組み立て直すことで簡易トイレとして使用することができる。
【0044】
なお、四角柱形状の箱体(30)や五角柱形状の箱体(40)の用途は上記に限定されない。例えば、イス、ゴミ箱、机(テーブル)、掲示板(案内板)などの用途が考えられる。