(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金型に近接したかを検出する進出位置検出用の状態検出スイッチ、金型から限界位置まで離れたかを検出する後退位置検出用の状態検出スイッチ、クランプ装置の出力部材が金型をロックしたことを検出する状態検出スイッチ、出力部材が金型をリリースしたか否かを検出する状態検出スイッチ、クランプロッドをロック動作させる油圧が閾値を超えているか否かを検出する状態検出スイッチ、クランプロッドをリリース動作させる油圧が閾値を超えているか否かを検出する状態検出スイッチのいずれかの状態検出スイッチの内、少なくとも2種類の状態検出スイッチを実装するクランプがプラテンに搭載された金型取扱装置のリモート診断システムにおいて、
前記クランプ装置に実装された状態検出スイッチのON/OFF状態を、金型取扱装置本体が金型交換モードとなっているか否かついての情報(本体の状況)、前記クランプ装置がクランプ状態かアンクランプ状態か、それ以外の状態かについての情報(クランプ状況)、および時間情報とともに記憶する本体側メモリと、近距離無線通信もしくは有線通信可能な本体側通信部とを有する制御部と、
金型取扱装置本体が金型交換モードとなっているか否か、前記クランプ装置がクランプ状態かアンクランプ状態か、それ以外の状態かの夫々の場合について、前記クランプ装置に実装された状態検出スイッチのON/OFF状態の全ての組み合わせに対して、障害を診断するメッセージを記憶する端末側メモリと、無線通信もしくは有線通信により本体側メモリから本体の状況及びクランプ状況に対する状態スイッチのON/OFF状態の履歴を読み出す端末側通信部と、当該読み出した履歴に対応するメッセージを携帯側メモリから取得して表示部に表示する端末装置とを有するリモート診断システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、金型取扱装置の一例として射出成形機が設置された典型的な生産現場F及び射出成形機1を示している。
図1Aにおいて、場内には複数の射出成形機1が横列に設置される。天井には、射出成形機1を跨がるように移動式クレーン2が設置されて、金型を射出成形機1に対して運搬している。図中右側には、資材を運搬するベルトコンベア3が設けられている。
【0014】
図1Bにおいて射出成形機1は、金型M1、M2が夫々取り付けられる左右のプラテン4a、4bと、左側のプラテン4aを左右方向に前進・後退移動自在にガイド支持するガイドロッド5とを備えている。以下、実施例において移動する側を可動プラテン4a、固定されている側を固定プラテン4bと称する場合もある。夫々のプラテン4a、4bには、金型M1、M2をクランプするクランプ装置6a、6bが夫々搭載されている。液晶表示画面付きのコントローラ7は、射出成形機1が本来有しているコントローラである。制御部9は、金型クランプシステムのメーカが取り付けたオプションであって、クランプ装置6a、6bの制御を行うと共に、クランプ装置6a、6bに設けた多数の状態検出スイッチが検出した信号を記憶し、かつ正常/異常を判定する。また、制御部9は、コントローラ7との間で信号のやりとりをしており、例えば、射出成形機1の操作モードが金型交換を行われる状態に選択されていることを示す「金型交換モード」の情報をコントローラ7から受け取る。また、制御部9は、クランプシステムが金型交換中であることを示す「金型交換「入」」の情報や、クランプ装置の異常を示す情報等をコントローラ7へ送る。
【0015】
符号8は樹脂を射出するノズル、符号10は金型M1から射出成形物を押し出すエジェクタロッドである。また、符号11は、金型M1、M2を吊り下げるワイヤを固定する金型補助金具である。
左右の金型M1、M2が互いに合わされた状態で、プラテン4a、4bの間に吊り下げ搬送され、クランプ装置6a、6bにより夫々のプラテン4a、4bに固定される。
【0016】
クランプ装置6a、6bの機構としては多様な種類が存在し、T溝手動タイプ、T溝自動スライドタイプ、ブロック内手動スライドタイプ、ブロック内自動スライドタイプ、ブロック固定タイプ、メカニカルロック機構を備えたタイプがある。これらは、さらに油圧、空気圧を利用するタイプに区分できる。また、磁力を用いて金型M1、M2を保持するマグネットクランプも存在している。
【0017】
この内、プラテン4a、4bに設けられたT溝の中を摺動して金型M1、M2に近接するものが、T溝手動タイプ、T溝自動スライドタイプであり、T溝の中を摺動する動力として手動によるか空気圧によるかの別がある。また、ブロック内手動スライドタイプ、ブロック内自動スライドタイプ、ブロック固定タイプは、その基底部がプラテンの取付ネジ孔に対してボルトにより取り付けられるクランプ装置も存在する。これらはさらに、基底部上の摺動する動力として手動によるか空気圧によるかの別がある。ブロック固定タイプは、プラテンの取付ネジ孔に固定され、移動しないタイプである。メカニカルロック機構は、配管の破損等により、ロック油圧が無くなっても、機械的に十分な保持力を発揮する機構である。
【0018】
複数の射出成形機1に対して、作業管理者Hが配置されている。作業管理者Hは、所持しているスマートフォン12(携帯電話、無線携帯等の端末装置)により、各射出成形機1に装備された制御部9と通信が可能である。各射出成形機1は、全てにおいて、同じタイプのクランプ装置が装着されているか、或いは、導入年或いは使用により異なるタイプのクランプ装置が装着されている可能性がある。スマートフォン12には、リモート診断プログラム25(
図5)がインストールされており、いずれのタイプのクランプ装置が装着されていても、一意の診断結果を見いだすことが可能であるが、これについては後述する。
【0019】
以下、クランプ装置6a、6bとして、
図2に示すメカニカルロック機構を有するT溝自動スライドタイプのクランプ装置100が装着されている場合の例として説明する。
同図において、クランプ装置100は、ハウジング102の底面にプラテン4a(若しくは4b)のT溝に対して摺動するT脚101を有している。クランプロッド103は、ハウジング102のガイド孔104から斜め下側に進退することにより、プラテン4a(若しくは4b)上に配置した金型M1(若しくはM2)を押圧し固定する。ハウジング102の横には、プラテン4a(若しくは4b)にベース105を介して固定される空気圧シリンダ106が設けられている。
【0020】
ハウジング102に実装された前限スイッチ(前限LS)107は、金型に近接したかを検出する進出位置検出用の状態検出スイッチであり、近接スイッチが用いられる。前限スイッチ107は、ハウジング102が金型M1(若しくはM2)にクランプするロック位置に到達するとON状態になり、離れるとOFF状態になる。空気圧シリンダ106の後端に実装された後限スイッチ(後限LS)108は、オートスイッチが用いられる。後限スイッチ108は、金型から限界位置まで離れたかを検出するものであり、空気圧シリンダ内の出力部材(ピストンおよびピストンロッドを含む)109の動きを検出する。ハウジング102が金型M1(若しくはM2)から離れた限界位置に到達したときにON状態になり、その限界位置から金型に近づくとOFF状態になる。
【0021】
図3は、クランプ装置100をさらに説明する図である。
図3A、3Bにおいて、空気圧シリンダ106の出力部材109がハウジング102をT溝41に沿って進退させる様子が示されている。
図3C、3Dは、ハウジング102の断面図である。
図3Cが金型M1(若しくはM2)をロックするクランプ時を示し、
図3Dがリリースする
アンクランプ時を示している。
【0022】
図3C、3Dにおいて、ガイド孔104は、図中左下向きに傾斜するように形成されている。そして、クランプ時には、クランプロッド103の左端部(先端部)が、金型M1(若しくはM2)を押圧しロックする。クランプロッド103は、その軸心方向の左端寄り部(先端寄り部)に設けたクランプ部材103aと、右端寄り部(基端寄り部)に設けたフランジ103b及び内ピストン103cと、内ピストン103cの図面右側に設けたテーパ形の受圧面103dとを備える。受圧面103dは、右端方向(基端方向)へ向かうにつれて軸心Cに近づくように形成されている。
【0023】
ガイド孔104は、図面左側から順に形成される小径孔104aと大径孔104bを備えている。大径孔104bにおいては、内ピストン103cの外周面に、外ピストン110が外挿されている。さらに、外ピストン110の図面右側には、受圧面103dのテーパ形に沿った内周面を有するコレット111が内ピストン103cを外挿している。コレット111は、周方向へほぼ等間隔に並べた4つの分割部材とされている。コレット111が分割されているのは、コレット111が受圧面103dのテーパ面に沿って左方へ移動したとき、コレット111が軸心Cに対して半径方向の外方に拡径できるようにするためである。コレット111と外ピストン110とは、ガイド孔104の軸心C方向には同行移動可能なように、カギ部112a、112bを有している。クランプ装置100が有するメカニカルロック機構とは、コレット111による楔係合を意味するが、これについては動作説明の際に言及する。
【0024】
クランプロッド103のさらに後方(図面右側)には、ロックスイッチ(ロックリミットスイッチ、以下ロックLS)113及びリリーススイッチ(リリースリミットスイッチ、以下リリースLS)114を動作させる操作部材115が実装されている。ロックLS113は、クランプ時にはON状態になり、アンクランプ時にはOFF状態になる状態検出スイッチである。また、リリースLS114は、アンクランプ時にはON状態になり、アンクランプ時以外の時にはOFF状態となる状態検出スイッチである。
【0025】
クランプ装置100は次のように作動する。
図3Cのアンクランプからクランプへ遷移する場合、外ピストンの前側(
図3C中の左側)のリリース室から圧油を排出すると共に、内ピストン113cの後ろ側(
図3C中の右側)のロック室に圧油を供給する(
図3C、矢印P1)。ロック室内の油圧力により、クランプロッド103が金型M1(若しくはM2)をプラテン4a(若しくは4b)にクランプされる。一方、外ピストン110がコレット111を受圧面103dに楔係合させて、クランプロッド103をガイド孔104に対して強力に押圧する。
【0026】
クランプからアンクランプへ遷移するときには、ロック室の圧油を排出すると共に、リリース室へ圧油を供給する(
図3D、矢印P2)。すると、その油圧力によって外ピストン110がガイド孔104に沿って右上方へ後退する。これにより、まず、その外ピストン110がコレット111を右上方へ押圧してコレット111の楔係合を解除する。引き続いて、コレット111の後ろ側のバネ116を介してクランプロッド103を右上方へ後退させる。これにより、そのクランプロッド103による金型M1(若しくはM2)がリリースされるのである。
【0027】
図4は、クランプ装置100と制御部9との接続を示している。クランプ装置100は、可動側のプラテン4a、固定側のプラテン4bに夫々4つずつ、夫々のT溝41に設置されている。クランプ装置100は、エアバルブユニット15から圧縮空気を、油圧ユニット16から圧油を供給されている。制御部9には、クランプ装置100からの電気信号が接続されている。この電気配線は、前限スイッチ107、後限スイッチ108、ロックLS113、リリースLS114に接続されている。図においては、1つのクランプ装置100のみについて制御部9等との接続を示しているが、他のクランプ装置100についても同様に接続されている。油圧ユニット16は、クランプ時に圧油を送るロック側系統とアンクランプ時に圧油を送るリリース側系統との2系統が設けられており、夫々に対して圧力スイッチが設けられている。ロック側系統の圧力を検出している圧力スイッチを、ロック圧力スイッチ(ロックPS17)、リリース側系統の圧力を検出している圧力スイッチをリリース圧力スイッチ(リリースPS18)と称する。各圧力スイッチは、圧力が上昇したときにON状態になり、低下したときにOFF状態になる。これらのスイッチも状態検出スイッチである。13は金型サポートブロック、14、19は電気コネクタである。
【0028】
図5は、リモート診断システムの構成を示す図である。射出成形機1に取り付けられた制御部9は、演算部9a、表示部9b、入力部9c、本体側通信部9d及び本体側メモリ9eを有している。制御部9は、射出成形機1に対して取り付けられるクランプ装置の種類に応じて形式が定まっており、射出成形機1の電源投入からの本体の状況、クランプの状態、状態検出スイッチの状態が変化したときの各状態検出スイッチのON/OFF状態および時刻を本体側メモリ9eに記憶する。本体側通信部9dは、近距離無線通信(例えば、ブルートゥース通信)により、本体側メモリ9eの中から本体の状況、クランプの状態、状態検出スイッチのON/OFF状態、その時刻を読み出して、外部へ送信することができる。制御部9は、可動プラテン4aと固定プラテン4bのクランプ装置の夫々に対してクランプ動作を開始させるロックボタン22a、22b、可動プラテン4aと固定プラテン4bの夫々にアンクランプ動作を開始させるリリースボタン23a、23b、及びリセットボタン24、成型機運転可能モードと金型交換可能モードとに操作者が切り換え操作する金型交換キー30等を有している。
【0029】
作業管理者が保有するスマートフォン12は、演算部12a、表示部12b、入力部12c、携帯側通信部(端末側通信部)12d及び携帯側通信部(端末側メモリ)12eを有しており、ネットワークを介して遠距離にメール通信が可能な携帯電話端末である。携帯側通信部12dは近距離無線の機能を有している。携帯側メモリ12eには、金型クランプシステムを製造するメーカが提供するリモート診断プログラム25がダウンロードされている。リモート診断プログラム25には、各状態検出スイッチが取り得る全ての組み合わせについて、想定される状態を定義するメッセージを各テーブルに保持する。テーブルとしては、Pテーブル26、Qテーブル27、Rテーブル28、Zテーブル29、Sテーブル52を保有している。Pテーブル26はメカニカルロック機構を有するT溝自動スライドタイプのクランプ装置に対するメッセージを保持する。Qテーブル27はT溝手動タイプ、Rテーブル28はT溝自動スライドタイプ、Zテーブル29はブロック固定タイプのクランプ装置、Sテーブル52はマグネットクランプ200に対するメッセージを夫々保持している。
【0030】
射出成形機1が金型交換モードであるか否か、又制御部9によるクランプ状況により、同じ状態検出スイッチの状態であっても異なる意味を有している。これらの状態検出スイッチのON/OFFの組み合わせと、さらに射出成形機1が金型交換モードであるか否か、又制御部9によるクランプ状況の組み合わせを合わせてPテーブル26、Qテーブル27、Rテーブル28、Zテーブル29が用意される。射出成形機1が金型交換モードであるか、そうでないかについて、以後、「本体の状況」ということにする。「本体の状況」は、操作者が切り換え操作する金型交換キー30により規定することができる。また、クランプ状況とは、クランプ装置100がアンクランプからクランプに遷移する過程「クランプ状態」、クランプ装置100がクランプからアンクランプに遷移する過程「アンクランプ状態」及びそれ以外の状態を言うものとする。
【0031】
例えば、状態検出スイッチに関して述べれば、メカニカルロック機構を有するT溝自動スライドタイプの場合には、クランプ装置100の状態を知る状態検出スイッチとしては前限スイッチ107、後限スイッチ108、リリースLS114、ロックLS113、ロックPS17とリリースPS18とを有しており、状態検出スイッチのON/OFF状態の組み合わせが16通りで最も多くなる。よって、Pテーブル26の保持するメッセージ量が最も多い。
【0032】
一方、ブロック固定タイプのクランプ装置は自動スライダ機能を有しておらず、かつ位置の変更がないことから、前限スイッチ107、後限スイッチ108を持たず、かつ、圧油ではなく内部バネによりリリースするため、状態検出スイッチとしてはリリースLS114とロックLS113のみ有している。そのため、状態検出スイッチのON/OFF状態の組み合わせは4通りで最も少なくなる。よって、Zテーブル29の保持するメッセージ量が最も少ない。
【0033】
メカニカルロック機構を有さないT溝手動スライドタイプは、前限スイッチ107、ロックPS17を有している。よって、状態検出スイッチはブロック固定タイプと同じ2種類なので、Zテーブル29と同じである。また、T溝自動スライドタイプは、前限スイッチ107、後限スイッチ108、ロックPS17を有しており、状態検出スイッチは3種類であるので、組み合わせは8通りとなり、Rテーブル28のメッセージ量はZテーブル29よりも多い。
【0034】
尚、ブロック内手動スライドタイプ、ブロック内自動スライドタイプのクランプ装置は、夫々T溝手動タイプのクランプ装置、T溝自動スライドタイプに対応した状態検出スイッチを有している。このように、クランプ装置はタイプにより異なるが、少なくとも2種類以上の状態検出スイッチが実装されている。
【0035】
以下の表は、Pテーブル26の内容である。Pテーブル26は、メカニカルロック機構を有するT溝自動スライドタイプを用いたクランプ装置に対して適用されるテーブルである。
表1は、射出成形機1の電源初期状態におけるPテーブル26に保有されるメッセージの内容である。電源初期状態においては、射出成形機1は金型交換モードとなっている。
【0036】
尚、以下の表において、ロックLSPSは、ロックLS113及びロックPS17がともにONとなっている(AND条件)場合に「ON」と表示され、ロックLS113及びロックPS17のうちのいずれか一方がOFFの場合に「OFF」と表示される。リリースPSLSも同様である。また、これらの表は、可動プラテン4aと固定プラテン4bのクランプ装置において共通である。ロックPS17及びリリースPS18は、クランプ装置100に実装された状態検出スイッチでは無いが、ロックLS113、リリースLS114とのAND条件とすることにより、ロックPS17及びリリースPS18の情報も、テーブルに取り込んでいる。なお、ロックLS113及びロックPS17のうちのいずれか一方のスイッチを省略してもよい。その場合に、ロックLS113及びロックPS17のうちの他方のスイッチの検出結果を基に「ON」または「OFF」を表示する。
【0038】
表2も同様に、制御部9の電源初期状態におけるPテーブル26のメッセージの内容であるが、射出成形機1が運転中(射出成形を実行可能状態で、金型交換モードでは無い)を示している。電源初期の状態であるので、ロックは未完了状態である。
【0040】
表3は、制御部9の金型交換モードにおけるPテーブル26のメッセージの内容である。金型クランプシステムにおいては制御部9のロックボタン22a(若しくは22b)が押されたので、クランプの状態は「クランプ状態」である。
【0042】
表4は、制御部が金型交換モードにおけるPテーブル26のメッセージの内容である。金型クランプシステムにおいては制御部9のリリースボタン23a(若しくは23b)が押されたので、クランプの状態は「アンクランプ状態」である。
【0044】
表5は、制御部が(成形機)運転モードにおけるPテーブル26のメッセージの内容である。
【0046】
クランプ装置100の状態検出スイッチの数は4つであるので、16通りのスイッチの状態の組み合わせが存在する。夫々について、金型クランプシステムの製造メーカが帰納的な方法で先に全ての組み合わせを想定し、それら組み合わせに対して漏れなくクランプ装置の診断状態をメッセージの内容としてPテーブル26に定義する。メッセージの内容は、金型クランプシステムの製造メーカの診断ノウハウの内容に匹敵する。Qテーブル27、Rテーブル28、Zテーブル29についても、メッセージの内容は同様に決定される。
【0047】
図6は、スマートフォン12にダウンロードされたリモート診断プログラム25の動作を示す図である。リモート診断プログラム25は、制御部9の本体側通信部9dと交信し、近距離無線通信により本体側メモリ9eの中から本体の状況、クランプ状況、各状態検出スイッチのON/OFF状態、その時刻を読み出す。
図6Aにおいてアイコン33によりリモート診断プログラム25を起動すると、近距離無線通信が可能な機器の一覧が表示される。製造現場F(
図1)においては、複数の射出成形機1が存在しており、夫々が有する識別情報34a〜34dが表示される(
図6B)。識別情報34a〜34cは油圧を利用したクランプ装置の制御部の識別情報であり、識別情報34dは磁気クランプを制御する制御部の識別情報である。これら識別情報の中で、どのタイプのクランプ装置が接続されるかが特定されており、リモート診断プログラム25はどのタイプのクランプ装置かを知ることができる。
【0048】
作業者は1つの識別情報を選択すると
図6Cに示される画面が表示される。位置決めピン35、クランプ動作36、クランプ位置37のウインドウ画面には「ピン抜き」、「ロック完了」、「リリース完了」、「前進」、「後退」、「クランプ異常」の語句が示され、対応する動作に対してハイライト表示がされる。「ログイン」ボタン38は、本体側メモリ9eの中から射出成形機1の電源投入から現時点に到るまで期間について、本体の状況、クランプ状況、各状態検出スイッチのON/OFF状態、その時刻を履歴として読み出すボタンである。「ログイン」ボタン38を選択すると、
図6Dに示される履歴がスマートフォン12に取得される。
【0049】
スマートフォン12は、本体の状況及びクランプ状況により、Pテーブル26、Qテーブル27、Rテーブル28、Zテーブル29のいずれかを選択し、状態検出スイッチのON/OFF状態に対応したメッセージを読み出して表示する。本例においては、スマートフォン12が識別情報により選択した制御部9は、メカニカルロック機構を有するT溝手動スライドのクランプ装置を制御するものであるため、リモート診断プログラム25は携帯側メモリ12e上のPテーブル26を選択する。そして、射出成形機1が金型交換モードに入った状態でかつロックボタン22a(若しくは22b)が押され、アンクランプからクランプへ遷移している状況であるので、テーブルPの表3が選択される。メッセージTX9及びTX10は表3の3行目のメッセージ、TX11は10行目のメッセージ、TX12は2行目のメッセージである。ロックLSPSのみがON状態になっているにもかかわらず、クランプ装置のハウジング102がクランプするのに適正な位置にいないという異常を示している。尚、メッセージTX1−TX8は、クランプ装置の動作の過程時系列的に示すメッセージであり、説明を省略する。
【0050】
このように、本実施例によれば、前限スイッチ107、後限スイッチ108、ロックLS113、リリースLS114、ロックPS17、リリースPS18の全ての出力の組み合わせ、射出成形機本体の状態、クランプ状況に対して帰納的な方法で先に全ての組み合わせを想定し、それら組み合わせに対して漏れなくクランプ装置の診断状態をメッセージの内容として定義しておくことで、想定外の条件を無くし、信頼性の高いシステム構築ができるメッセージの内容を作業管理者が参照することにより、現場による対応が迅速化される。
【0051】
作業管理者が、メッセージ送信ボタン39を選択すると、金型クランプシステムの製造メーカの保守部門32に、制御部9からスマートフォン12に送信された本体の状況及びクランプ状況および状態検出スイッチの情報が通信網31を介してメール送信される。メールを受け取った保守部門においては、製造現場到着前に事前に対処方法の検討および準備が可能である。
【0052】
次に、クランプ装置6a、6bの機構としてマグネットクランプ200が装着されている場合の例として
図7を用いて説明する。
図7Aは可動プラテン側のクランプ装置6aとして、また
図7Bは固定プラテン側のクランプ装置6bとしてのマグネットクランプ200の正面図である。可動プラテン側のクランプ装置6aとしてのマグネットクランプ200にはエジェクタロッド10が通過する貫通孔201が設けられるが、固定プラテン側のクランプ装置6bとしてのマグネットクランプ200には貫通孔201が設けられない。また、クランプ装置6a、6bはマグネットブロック202の配置パターンが異なる他は、ほぼ同一の構成である。マグネットブロック202は、マグネットクランプ200の表面に多数が配置されるものであり、各マグネットブロック202は、極性反転不可能な磁石と可能な磁石(磁石は、アルニコ磁石、鉄・クロム・コバルトマグネット、その他磁石をいう。以下、アルニコ磁石を例に説明する)とを有し、アルニコ磁石の磁気極性をコイルにより制御することにより、プレート内で閉鎖(脱磁状態)する磁気回路と、金型を経由(着磁状態)する磁気回路との間で切り換え可能とする。クランプ装置6a、6bの夫々には、マグネットクランプ200の表面において金型の近接状態を検出する近接センサ203、204が設けられている。
【0053】
図7Cは、クランプ装置6a、6bの一方側のマグネットブロック202の電気回路を示している。各マグネットブロック202には、アルニコ磁石(図示せず)の磁気極性を反転させる着磁コイル43と、吸着力を測定するセンサコイル44と、着磁コイル43の電流値を測定する電流センサ45が配置される。ここにおいて、センサコイル44は、アルニコ磁石を通過する磁気回路に対して巻かれ、磁束の変化を検出するコイルである。各マグネットブロック202のセンサコイル44は直列に接続されており、クランプ装置6a、6bに夫々1つの検出ができる。また、マグネットクランプ200は、予め複数の領域に分割されており、各領域の温度を測定する温度センサ46が設けられている。
【0054】
図7Dはクランプ装置6aまたはクランプ装置6bの一方側のマグネットブロック202全体の着磁コイル43を駆動する電源を示している。電源は、外部の交流電源49に対して、サイリスタ47により全波整流する。電流検出器48は、抵抗の端子電圧によりサイリスタ47を流れる電流を測定する。
【0055】
以上纏めると、クランプ装置6aまたはクランプ装置6bとしてのマグネットクランプ200に設けられた検出器は、まず、近接センサ203、204及び全体の電流を測定する電流検出器48と、さらにマグネットクランプ200の領域対応に夫々設けられた多数の温度センサ46、マグネットブロック202対応に夫々設けられた電流センサ45、センサコイル44である。上記したT溝手動タイプ、T溝自動スライドタイプ、ブロック内手動スライドタイプ、ブロック内自動スライドタイプ、ブロック固定タイプ、メカニカルロック機構を備えたタイプのクランプ装置6a、6bの状態検出スイッチと違い、マグネットクランプ200においては、検出器はオンオフの2値だけではなく、中間の値を検出できるものが含まれている。
【0056】
図5に戻り、制御部9は、電流検出器48の検出電流に対する上限値、各電流センサ45に対する上限値と下限値、温度センサ46に対する設定温度と仕様温度、センサコイル44に対する設定値(以下、総称して「基準値」と呼ぶ)を本体側メモリ9eに記憶している。ここにおいて、電流検出器48の検出電流に対する上限値は、例えば5アンペアであり、絶縁劣化、サイリスタ47の破損により短絡状態に陥っているかどうかの基準とする。また、各電流センサ45に対する上限値と下限値は、例えば設計値の30%以上か、30%以下かであり、着磁コイル43の劣化を判断する基準とする。また、金型を固定盤および可動盤に磁気吸着固定させるときにおいて、上記センサコイル44と同様のコイルであるが当該センサコイルとは別のセンサコイルに流れる誘導電流が基準値に対して75%を下回ったとき、金型異常の基準とする。温度センサ46に対する設定温度と仕様温度は、例えば設定温度を110℃とし、仕様温度を122℃とする。仕様温度は磁石の磁気保持力が容易に喪失する状態の温度であり、設定温度は仕様温度に近づきつつあることを警告する温度である。センサコイル44に対する設定値は、例えば25%の磁力喪失とする。磁力が失われるときに磁束の変動が生じるが、センサコイル44はこの磁束変動により生じた起電力を検出する。電圧とその変動時間とを積分することにより失われた磁束に換算する。
【0057】
制御部9では、上記基準値をもとに、3桁のエラーコードを生成して本体側メモリ9eに記憶する。エラーコードは下記表において、表示として示された欄に示されている。
【0059】
エラーコードを説明すると、まず三桁目は分類に関する表示である。分類U、L、F、t、Eの各種コードが定義されている。分類U、Lは負荷異常を示すコードであり、前者が上限値を超えたエラー、後者が下限値を下回ったエラーを示す。分類Fは、金型異常を示すコードである。分類tは、温度異常を示すコードである。分類Eは、吸着力異常を示すコードである。
二桁目と一桁目は、各エラーの場所を示している。
分類Uにおいては、二桁目は、エラーを検出した電流センサ45が固定プラテン4b又は可動プラテン4aに存在するものであるかもしくは電流検出器48であるかを示している。一桁目は電流センサ45に割り当てられた固有の番号である。二桁目の「S」は固定プラテン4b側の電流センサ45であることを示す。二桁目の「M」は可動プラテン4a側の電流センサ45であることを示す。二桁目の「E」は電流検出器48であることを示している。電流検出器48はマグネットクランプ200に1つであるので、一桁目は「1」である。
【0060】
分類Fにおいては、電流センサ45において金型異常を示す75%以下の電流値が検出されたときに、二桁目で固定プラテン4b又は可動プラテン4aの別を、一桁目によりエラーが発生した電流センサ45の番号を示す。
【0061】
分類tにおいては、二桁目において「0」が設定温度を超えたことを示し、「1」が仕様温度を超えたことを示す。一桁目はエラーが発生した温度センサ46の番号を示す。尚、温度センサ46の数は、固定プラテン4bと可動プラテン4aのものを合計しても一桁目で特定できる数になっている。
【0062】
分類Eは、センサ異常若しくは吸着力異常の他の異常を示す。二桁目において異常の別を示しており、「4」がセンサ異常、「5」が吸着力異常である。「4」のセンサ異常において、一桁目は近接センサ203、204による検出状態に時間的な要素を含めて示している。また、「5」の吸着力異常において、一桁目は固定プラテン4b又は可動プラテン4aのいずれのセンサコイル44において異常を検出したかを示している。
【0063】
図5において携帯側メモリ12eにダウンロードされたリモート診断プログラム25は、エラーコードに対する「内容」「原因・対処方法」についてのメッセージをMGテーブル42に記憶している。「内容」「原因・対処方法」の具体的な内容は、表6に示す通りである。
【0064】
図7Eにおいて、スマートフォン12は、MGテーブルからエラーコードに対応したメッセージを読み出して表示する。本例においては、スマートフォン12が識別情報により選択した制御部9は、マグネットクランプを制御するものであるため、リモート診断プログラム25はMGテーブル42を選択する。
【0065】
図7Eは、スマートフォン12の表示内容を示している。表示部9bは、3桁のエラーコード50とともに、そのエラーコードにより表6から選択された「内容」「原因・対処方法」をウインドウ51に表示する。
【0066】
リモート診断システムは、マグネットクランプが異常であると診断した時に、上記したマグネットクランプ以外のクランプ装置と同様に、想定される原因を示して、さらに、操作者に対して、次に取りうる操作を提案することも可能である。スマートフォン12は、射出成形機1の電源初期状態、射出成形機1が運転中(射出成形を実行可能状態で、金型交換モードでは無い)、金型交換モード、(成形機)運転モードに対してのマグネットクランプの異常のメッセージ(後述するSテーブル)を保有しており、これを表示する。この場合において、上記した他のクランプ装置においては、金型をロックしたか、リリースしたかについては各状態検出スイッチのオンオフに従って判断できた。一方で、マグネットクランプ200においては、クランプ装置の状態検出スイッチに対応する状態検出スイッチを有していないため、別途これに相当する情報を作成する必要がある。
【0067】
図8、
図9は、金型をロックした(以下、「ロック完了」と称する)か、リリースした(以下、「リリース完了」と称する)かを検出する2つの処理プログラム(ロック完了状態検出部60とリリース完了状態検出部70)を示している。これらは、制御部9により実行される。
図8は、ロック完了状態検出部のフローを示している。ロック完了状態検出部60においては、「ロック完了」のON/OFFを検出する。尚、「ロック完了」のON/OFFは、処理の結果を状態検出スイッチによる出力のように2値で表したものである。本体側メモリ9eには、ロック表示フラグF1、リリース表示フラグF2(
図5参照)が設けられている。
【0068】
制御部9は、上記したマグネットクランプ以外のクランプ装置と同様に、射出成形機1の電源投入からの本体の状況、マグネットクランプがクランプ状態かアンクランプ状態か、「ロック完了」若しくは「リリース完了」の状態が変化したときの夫々の正常/異常状態(ON/OFF状態)、近接センサ203、204の近接/離間をON/OFFで表した情報および時刻を本体側メモリ9eに記憶する。
【0069】
ロックボタン22a(若しくは22b)が押されるとロック命令が出され、制御部9はマグネットクランプ200の着磁コイル43を駆動し、マグネットクランプ200を着磁状態にする。一方、制御部9は、ロック命令を受け取ると(ステップ61)、本体側メモリ9eの「リリースON表示フラグF2」を下ろして(消去して)、以前の状態を消去する(ステップ62)。次に、負荷状態、金型状態、吸着力の確認を行う。これは、制御部9が生成するエラーコードに基づいて行われる。
【0070】
尚、前述したように、負荷状態(分類U、分類L)は電流センサ45および電流検出器48の検出結果に起因して決定され、金型状態(分類F)は電流センサ45の検出結果に起因して決定され、吸着力(分類E)はセンサコイル44の検出結果に起因して決定される。
【0071】
エラーコードの分類の「負荷」の項目において異常のエラーコードが生成されているかを検出する(ステップ63)。異常のエラーコードが生成されている場合には、ロック未完了として「ロック表示フラグF1」を「OFF」とする(ステップ67)。次に、エラーコードの分類の「金型」の項目において、異常のエラーコードが生成されているかを検出する(ステップ64)。異常のエラーコードが生成されている場合には、ロック未完了として「ロック表示フラグF1」を「OFF」とする(ステップ67)。そして、エラーコードの分類の「吸着力」の項目において異常のエラーコードが生成されているかを検出する(ステップ65)。異常のエラーコードが生成されている場合には、ロック未完了として「ロック表示フラグF1」を「OFF」とする(ステップ67)。これ以外の場合は、ロックが完了したとして「ロック表示フラグF1」を「ON」とする(ステップ66)。
【0072】
図9は、リリース完了状態検出部70のフローを示している。リリース完了状態検出部は、「リリース完了」のON/OFFを検出する。リリースボタン23a(若しくは23b)が押されるとリリース命令が出され、制御部9はマグネットクランプ200の着磁コイル43を駆動し、マグネットクランプ200を脱磁状態にする。一方、制御部9は、リリース命令を受け取ると(ステップ71)、本体側メモリ9eの「ロック表示フラグF1」を下ろして(消去して)、以前の状態を消去する(ステップ72)。次に、負荷状態の確認を行う。これも、制御部9が生成したエラーコードに基づいて行われる。エラーコードの分類の「負荷」の項目において異常のエラーコードが生成されているかを検出する(ステップ73)。異常のエラーコードが生成されている場合にはリリース未完了として「リリース表示フラグF2」を「OFF」とする(ステップ76)。次に、エラーコードの分類の「金型」の項目において、異常のエラーコードが生成されているかを検出する(ステップ74)。異常のエラーコードが生成されている場合には、リリース未完了として「リリース表示フラグF2」を「OFF」とする(ステップ76)。これ以外の場合は、リリースが完了したとして「リリース表示フラグF2」を「ON」とする(ステップ75)。
【0073】
「ロック表示フラグF1」、「リリース表示フラグF2」に近接センサ203(若しくは204)の3つの状態検出部によるON/OFF状態により組み合わすことの出来る状態に対してメッセージを記憶している。尚、近接センサ203(若しくは204)は、マグネットクランプ表面に備えられるセンサで、センサから金型までの距離が所定範囲にあるときに金型検出信号(ON)を出すものであり、それ以外はOFFである。
【0074】
以下の表は、Sテーブル52の内容である。Sテーブル52は、マグネットクランプ200に対して適用されるテーブルである。マグネットクランプ200の場合には、ロック完了状態検出部60とリリース完了状態検出部70で夫々検出されたON/OFF状態と近接センサ203(若しくは204)で検出されたON/OFF状態の3つ存在しているので、8通りの状態の組み合わせになる。
【0075】
表7は、射出成形機1の電源初期状態におけるSテーブル52に保有されるメッセージの内容である。電源初期状態においては、射出成形機1は金型交換モードとなっている。
【0077】
表8も同様に、制御部9の電源初期状態におけるSテーブル52のメッセージの内容であるが、射出成形機1の運転中(射出成形を実行可能状態で、金型交換モードでは無い)を示している。電源初期の状態であるので、ロックは未完了状態である。
【0079】
表9は、制御部9の金型交換モードにおけるSテーブル52のメッセージの内容である。金型クランプシステムにおいては制御部9のロックボタン22a(若しくは22b)が押されたので、クランプの状態は「クランプ状態」である。
【0081】
表10は、制御部が金型交換モードにおけるSテーブル26のメッセージの内容である。金型クランプシステムにおいては制御部9のリリースボタン23a(若しくは23b)が押されたので、クランプの状態は「アンクランプ状態」である。
【0083】
表11は、制御部が(成形機)運転モードにおけるSテーブル52のメッセージの内容である。
【0085】
図6Aに戻り、作業者がアイコン33によりリモート診断プログラム25を起動すると、近距離無線通信が可能な機器の一覧が表示される。作業者が、磁気クランプを制御する制御部の識別情報34dを選択すると他のクランプ装置と同様に
図6Cに示される画面が表示される。「ログイン」ボタン38を選択すると、
図6Dに示される履歴がスマートフォン12に取得される。本例においては、マグネットクランプを制御するものであるため、Sテーブル52が選択される。そして、射出成形機1のモードに従い、表7〜表11の1つが選択され、該当するメッセージが表示部12bに表示される。
【0086】
上記実施例においては、作業管理者Hが所持しているスマートフォン12にリモート診断プログラム25をインストールして、無線により本体側メモリから本体の状況及びクランプ状況に対する状態スイッチのON/OFF状態の履歴を読み出して診断結果を表示するものであった。これに対して、スマートフォン12等の無線端末装置ではなく、有線の端末装置により読み出しても良い。例えば、演算部、表示部、入力部、有線通信部、メモリを有する端末装置を用意し、制御部9に有線通信部を設ける。端末装置には、リモート診断プログラムを設定しておき、当該プログラムを起動して、制御部9の有線通信部を介して本体側メモリ9eから本体の状況及びクランプ状況に対する状態スイッチのON/OFF状態の履歴を読み出し、当該読み出した履歴に対応するメッセージを端末側のメモリから取得して表示部に表示してもよい。この場合において、例えば、制御部9との有線通信には、RS−232C接続、USB接続など既存の接続方式を利用することができる。