(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係るエレベータの群管理制御システムの概略構成例を示すブロック図である。群管理制御システムにおいては、複数台の乗りかご10の運転動作が統括的に制御される。以下の説明においては、複数台の乗りかご10の1つ1つを「号機」と称する場合もある。
【0012】
図1に示すように、群管理制御システムは、複数台の乗りかご10と、複数台の乗りかご10にそれぞれ対応した号機制御装置11と、乗場行先階登録装置20と、群管理制御装置30と、を備える。なお、
図1では説明の便宜上、1つの乗場行先階登録装置20のみを図示しているが、乗場行先階登録装置20は各階に設置されるとしても良いし、任意の階(例えば基準階)のみに設置されるとしても良い。乗場行先階登録装置20が各階に設置される行先階制御システムはフルDCSと称されるシステムである。
【0013】
各号機10にそれぞれ対応する号機制御装置11は、群管理制御装置30からの指示にしたがって、対応する号機10の運転動作を制御する。具体的には、号機制御装置11は、対応する号機10を昇降動作させるための図示しないモータ(巻上機)の駆動制御やドアの開閉制御等を行う。
【0014】
乗場行先階登録装置20は、例えば
図2に示すようなキー入力方式の操作パネルを備えており、利用者は数字キー20aおよび登録キー20bを操作して、自身が行きたい階(行先階)を登録する。乗場行先階登録装置20は、利用者の操作に応じて行先階の登録を受け付けると、当該行先階と、当該行先階の登録操作が行われた階床(行先階ホール呼びの登録階)とが対応づけられた行先階ホール呼びを生成し、これを群管理制御装置30に送信する。
【0015】
また、乗場行先階登録装置20は、例えば
図3に示すような表示ディスプレイを備えており、群管理制御装置30から送信される割当号機情報を表示する。割当号機情報は、利用者による行先階の登録操作に応じて発生した行先階ホール呼びを割り当てた号機(割当号機)と、当該利用者の行先階とが対応づけられた情報である。
図3の表示例によれば、利用者は、自身の行先階である「5階」に行くためには、「A号機」に乗車すれば良いことを把握することができる。
【0016】
なお、本実施形態においては、割当号機情報は、割当号機と行先階とが対応づけられた情報であるとするが、割当号機情報は、割当号機を少なくとも含む情報であれば構わない。また、詳細については後述するが、乗場行先階登録装置20の表示ディスプレイには、上記した割当号機情報以外の情報が表示されても構わない。
【0017】
群管理制御装置30は、
図1に示すように、第1記憶部31、第2記憶部32、行先階ホール呼び受付部33、割当制御部34、割当号機情報送信部35および割当指令送信部36、等を備える。
【0018】
第1記憶部31は、乗車階に対して設定された不停止状態(不停止階)を示す第1不停止階情報を記憶する。この第1不停止階情報によれば、利用者が乗りかご10に乗車することのできない階床が示される。
【0019】
ここで、
図4を参照して、第1不停止階情報のデータ構造の一例について説明する。
第1不停止階情報は、
図4に示すように、乗車階および不停止状態を対応づけて含んでいる。乗車階は、利用者が乗りかご10に乗車する階床を示す。不停止状態は、対応づけられた乗車階が、乗りかご10の乗車階として不停止状態にあるかどうか(つまり、乗車階としての不停止階に設定されているかどうか)を示している。換言すれば、第1不停止階情報は、当該第1不停止階情報により示される乗車階を登録階として含む行先階ホール呼びを登録可能かどうかを示す情報である。
【0020】
例えば、
図4に示す第1不停止階情報31aによれば、「B1階」は乗りかご10の乗車階として不停止状態になく(
図4では「−」と表記している)、B1階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0021】
また、
図4に示す第1不停止階情報31bによれば、「1階」は乗りかご10の乗車階として不停止状態にあり(
図4では「不停止」と表記している)、1階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録できないことが示される。
【0022】
さらに、
図4に示す第1不停止階情報31c〜31eによれば、「2〜4階」は乗りかご10の乗車階として不停止状態になく、2〜4階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0023】
再度、
図1の説明に戻る。第2記憶部32は、行先階に対して設定された不停止状態(不停止階)を示す第2不停止階情報を記憶する。この第2不停止階情報によれば、利用者が乗りかご10から降車することのできない階床が示される。
【0024】
ここで、
図5を参照して、第2不停止階情報のデータ構造の一例について説明する。
第2不停止階情報は、
図5に示すように、行先階および不停止状態を対応づけて含んでいる。行先階は、利用者が乗りかご10から降車する階床を示す。不停止状態は、対応づけられた行先階が、乗りかご10の行先階として不停止状態にあるかどうか(つまり、行先階としての不停止階に設定されているかどうか)を示している。換言すれば、第2不停止階情報は、当該第2不停止階情報により示される行先階を行先階として含む行先階ホール呼びを登録可能かどうかを示す情報である。
【0025】
例えば、
図5に示す第2不停止階情報32aによれば、「B1階」は乗りかご10の行先階として不停止状態になく(
図5では「−」と表記している)、B1階を行先階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0026】
また、
図5に示す第2不停止階情報32b〜32dによれば、「1〜3階」は乗りかご10の行先階として不停止状態にあり(
図5では「不停止」と表記している)、1〜3階を行先階として含む行先階ホール呼びは登録できないことが示される。
【0027】
さらに、
図5に示す第2不停止階情報32eによれば、「4階」は乗りかご10の行先階として不停止状態になく、4階を行先階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0028】
再度、
図1の説明に戻る。行先階ホール呼び受付部33は、乗場行先階登録装置20から送信された行先階ホール呼びを受信すると、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付けるかどうかを判定する。
【0029】
具体的には、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びと、第1記憶部31に記憶された第1不停止階情報と、第2記憶部32に記憶された第2不停止階情報とに基づいて、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付けるかどうかを判定する呼び受付処理を実行する。なお、行先階ホール呼び受付部33によって実行される呼び受付処理の詳細についてはフローチャートの説明と共に後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0030】
行先階ホール呼び受付部33により割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付けられた行先階ホール呼びは割当制御部34に出力される。
【0031】
割当制御部34は、行先階ホール呼び受付部33から出力された行先階ホール呼びの入力を受け付けると、当該行先階ホール呼びの割当号機を、群管理している各号機10の中から選定する割当処理を実行する。具体的には、割当制御部34は、入力を受け付けた行先階ホール呼びに対する号機毎の評価値を算出し、最良の評価値を有する号機10を割当号機に選定する割当処理を実行する。
【0032】
なお、割当処理の結果として得られる割当号機に関する情報は、割当評価対象の行先階ホール呼びと共に、割当指令送信部36に出力される。
【0033】
また、割当制御部34は、割当処理の結果として得られる割当号機と、割当評価対象の行先階ホール呼びによって示される行先階とが対応づけられた割当号機情報を生成し、これを割当号機情報送信部35に出力する。
【0034】
割当号機情報送信部35は、割当制御部34から出力された割当号機情報の入力を受け付けると、当該割当号機情報を乗場行先階登録装置20に送信する。これによれば、乗場行先階登録装置20の表示ディスプレイには、
図3に示したような割当号機情報が表示され、利用者はどの号機に乗車すれば良いかを把握することが可能となる。
【0035】
割当指令送信部36は、割当制御部34から出力された割当号機に関する情報と、割当評価対象の行先階ホール呼びの入力を受け付けると、当該割当号機に対応する号機制御装置11に対して当該行先階ホール呼びを割り当てる。これによれば、割当号機に対応する号機制御装置11は、割当評価対象の行先階ホール呼びに乗りかご10を応答させるように、当該乗りかご10の運転動作を制御する。
【0036】
次に、
図6のフローチャートを参照して、群管理制御装置30に含まれる行先階ホール呼び受付部33によって実行される呼び受付処理について説明する。
【0037】
まず、行先階ホール呼び受付部33は、乗場行先階登録装置20から送信された行先階ホール呼びを受信すると(ステップS1)、第1記憶部31に記憶された第1不停止階情報に基づいて、当該行先階ホール呼びの登録階(つまり乗車階)が、乗車階として不停止状態にあるかどうかを判定する(ステップS2)。
【0038】
ステップS2における判定の結果、行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にあると判定された場合(ステップS2のYes)、行先階ホール呼び受付部33は、当該行先階ホール呼びを割当評価対象にすることはできないと判断する。そして、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けずに破棄して、一連の呼び受付処理を終了させる。
【0039】
一方で、上記したステップS2における判定の結果、行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にないと判定された場合(ステップS2のNo)、行先階ホール呼び受付部33は、第2記憶部32に記憶された第2不停止階情報に基づいて、当該行先階ホール呼びの行先階が、行先階として不停止状態にあるかどうかを判定する(ステップS3)。
【0040】
ステップS3における判定の結果、行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にあると判定された場合(ステップS3のYes)、行先階ホール呼び受付部33は、当該行先階ホール呼びを割当評価対象とした場合、降車することのできない階床を行先階とした無駄な割当処理が実行されると判断する。そして、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けずに破棄して、一連の呼び受付処理を終了させる。
【0041】
一方で、上記したステップS3における判定の結果、行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にないと判定された場合(ステップS3のNo)、行先階ホール呼び受付部33は、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付け、当該割当評価対象の行先階ホール呼びを割当制御部34に出力して(ステップS4)、一連の呼び受付処理を終了させる。
【0042】
図6に示す呼び受付処理によれば、割当処理を実行する前に、第1不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にあるかどうか(つまり、乗車階としての不停止階に設定されているかどうか)を判定すると共に、第2不停止階情報に基づいて、当該行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にあるかどうか(つまり、行先階としての不停止階に設定されているかどうか)を判定することが可能である。また、これら判定の結果に基づいて、受信された行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付けるかどうかを判定することが可能である。これによれば、無駄な割当処理が実行されることを抑制することが可能となる。
【0043】
ここで一例として、ホール呼び登録時には乗車階に関する不停止階の情報のみを参照し、かご呼び登録時には行先階に関する不停止階の情報のみを参照して、エレベータのサービスを禁止するかどうかが判定される場合を想定する。また、この場合において、ホール呼び登録時に行先階も併せて登録される行先階ホール呼びが登録された場合を想定する。
【0044】
この場合、ホール呼び登録時には乗車階に関する不停止階の情報のみが参照されるため、行先階ホール呼びの登録階が不停止階に設定されていない場合、行先階ホール呼びの行先階が不停止階に設定されていたとしても、割当処理が実行され、降車することのできない階床を行先階とした行先階ホール呼びが所定の号機に無駄に割り当てられてしまう可能性がある。これは、群全体の運転効率の低下を招く可能性があり、あまり好ましいことではない。
【0045】
これに対し、
図6に示す呼び受付処理では、割当処理を実行する前に、行先階ホール呼びの登録階が乗車階としての不停止階に設定されているかどうかと、行先階ホール呼びの行先階が行先階としての不停止階に設定されているかどうかとの両方を確認した上で、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付けるので、上記したような場合であっても無駄な割当処理が実行されてしまうことを抑制することが可能であり、ひいては、群全体の運転効率の低下を抑制することが可能である。
【0046】
なお、本実施形態においては、受信された行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にある場合、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けずに破棄するとしたが、これでは、どうして行先階ホール呼びを登録できなかったのかを利用者が把握できない可能性がある。
【0047】
このため、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にある場合、当該行先階ホール呼びを破棄すると共に、例えば
図7に示すような通知情報を乗場行先階登録装置20の表示ディスプレイに表示させるとしても良い。
【0048】
図7の表示例によれば、利用者は、
・「この階にエレベータが停止しないこと」、
・「エレベータが停止する最寄の階が『○○階』であること」、
・「最寄の階まで階段を利用して移動すれば良いこと」、
等を把握することが可能となる。
【0049】
これによれば、利用者は、最寄階である○○階に移動して、再度行先階ホール呼びの登録を試行することが可能となる。
【0050】
この場合の最寄階には、第1記憶部31に記憶された第1不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びの登録階から最も近い階床であり、かつ、乗車階として不停止状態にない階床が設定されれば良い。
【0051】
また、本実施形態においては、受信された行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にある場合、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けずに破棄するとしたが、これでは、どうして行先階ホール呼びを登録できなかったのかを利用者が把握できない可能性がある。
【0052】
このため、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にある場合、当該行先階ホール呼びを破棄すると共に、例えば
図8に示すような通知情報を乗場行先階登録装置20の表示ディスプレイに表示させるとしても良い。
【0053】
図8の表示例によれば、利用者は、
・「自身が行きたい階床にエレベータが停止しないこと」、
・「エレベータが停止する階床のうち、自身の行先階に最も近い階床が『○○階』であること」、
・「最寄の階を入力して行先階ホール呼びを再度登録し直せば良いこと」、
・「最寄の階からは階段を利用して移動すれば良いこと」、
等を把握することが可能となる。
【0054】
これによれば、利用者は、自身の行先階に最も近い○○階を行先階として再度行先階ホール呼びの登録を試行することが可能となる。
【0055】
この場合の最寄階には、第2記憶部32に記憶された第2不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びの行先階から最も近い階床であり、かつ、行先階として不停止状態にない階床が設定されれば良い。
【0056】
本実施形態においては、行先階ホール呼び受付部33は、第1記憶部31に記憶された第1不停止階情報と、第2記憶部32に記憶された第2不停止階情報とを順に参照して、当該行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にあるかどうかと、当該行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にあるかどうかとを順に判定するとしている。
【0057】
しかしながら、行先階ホール呼び受付部33は、第1記憶部31に記憶された第1不停止階情報と、第2記憶部32に記憶された第2不停止階情報とに基づいて、例えば
図9に示すように、乗車階と行先階に応じた行先階ホール呼びの受付可否の一覧を予め生成しておき、呼び受付処理時には、予め生成された一覧を参照することで、受信された行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けるかどうかを判定するとしても良い。
【0058】
図9の一覧においては、「○」が付されている乗車階および行先階を含む行先階ホール呼びは登録可能であること(つまり、割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付けること)を示し、「×」が付されている乗車階および行先階を含む行先階ホール呼びは登録できないこと(つまり、割当評価対象のホール呼びとして受け付けないこと)を示している。
【0059】
本実施形態においては、第1不停止階情報および第2不停止階情報が、群管理されている全号機10で共通の場合を想定して説明したが、これに限定されず、例えば、第1不停止階情報および第2不停止階情報は、群管理されている号機毎に異なるとしても構わない。以下では、第1不停止階情報および第2不停止階情報が、号機毎に異なる場合について説明する。
【0060】
図10は、号機毎に異なる第1不停止階情報が第1記憶部31に記憶されている様子を模式的に表す図である。
【0061】
図10に示すように、第1記憶部31には、A号機に対応した第1不停止階情報31Aと、B号機に対応した第1不停止階情報31Bとが記憶されている。なお、
図10では説明の便宜上、2つの号機に対応する第1不停止階情報のみを図示しているが、第1不停止階情報は、群管理されている号機数と同数だけ記憶されるとしても良い。
【0062】
例えば、
図10に示すA号機に対応した第1不停止階情報31Aに含まれる第1不停止階情報31Aaによれば、「B1階」はA号機の乗車階として不停止状態になく(
図10では「−」と表記している)、B1階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0063】
また、
図10に示す第1不停止階情報31Abによれば、「1階」はA号機の乗車階として不停止状態にあり(
図10では「不停止」と表記している)、1階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録できないことが示される。
【0064】
さらに、
図10に示す第1不停止階情報31Ac〜31Aeによれば、「2〜4階」はA号機の乗車階として不停止状態になく、2〜4階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0065】
一方で、
図10に示すB号機に対応した第1不停止階情報31Bに含まれる第1不停止階情報31Baによれば、「B1階」はB号機の乗車階として不停止状態になく、B1階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0066】
また、
図10に示す第1不停止階情報31Bb〜31Bdによれば、「1〜3階」はB号機の乗車階として不停止状態にあり、1〜3階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録できないことが示される。
【0067】
さらに、
図10に示す第1不停止階情報31Beによれば、「4階」はB号機の乗車階として不停止状態になく、4階を登録階として含む行先階ホール呼びは登録できることが示される。
【0068】
以上説明した第1不停止階情報31A,31Bによれば、A号機には2階および3階を登録階として含む行先階ホール呼びを登録可能であるが、B号機には2階および3階を登録階として含む行先階ホール呼びを登録することができないことが示される。一方で、第1不停止階情報31A,31Bによれば、2階および3階を登録階として含む行先階ホール呼びに対応可能な号機が少なくとも1台以上あることも示される。
【0069】
なお、上記では説明の便宜上、第1不停止階情報のみを例にとって説明したが、号機毎に異なる第2不停止階情報が第2記憶部32に記憶されている場合も同様である。
【0070】
ここで、
図11のフローチャートを参照して、第1記憶部31および第2記憶部32に号機毎に異なる第1不停止階情報および第2不停止階情報がそれぞれ記憶されている場合の呼び受付処理の手順の一例について説明する。
【0071】
まず、行先階ホール呼び受付部33は、乗場行先階登録装置20から送信された行先階ホール呼びを受信すると(ステップS11)、群管理される複数台の号機10の中から1つの号機10を判定対象に選定する(ステップS12)。
【0072】
続いて、行先階ホール呼び受付部33は、判定対象に選定された号機10に対応する第1不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びの登録階(つまり乗車階)が、当該号機10の乗車階として不停止状態にあるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0073】
ステップS13における判定の結果、行先階ホール呼びの登録階が判定対象の号機10の乗車階として不停止状態にあると判定された場合(ステップS13のYes)、行先階ホール呼び受付部33は、後述するステップS16の処理を実行する。
【0074】
一方で、上記したステップS13における判定の結果、行先階ホール呼びの登録階が判定対象の号機10の乗車階として不停止状態にないと判定された場合(ステップS13のNo)、行先階ホール呼び受付部33は、当該判定対象の号機10に対応する第2不停止階情報に基づいて、当該行先階ホール呼びの行先階が、当該号機10の行先階として不停止状態にあるかどうかを判定する(ステップS14)。
【0075】
ステップS14における判定の結果、行先階ホール呼びの行先階が判定対象の号機10の行先階として不停止状態にあると判定された場合(ステップS14のYes)、行先階ホール呼び受付部33は、後述するステップS16の処理を実行する。
【0076】
一方で、ステップS14における判定の結果、行先階ホール呼びの行先階が判定対象の号機10の行先階として不停止状態にないと判定された場合(ステップS14のNo)、行先階ホール呼び受付部33は、当該判定対象の号機10を、当該行先階ホール呼びに対応可能な号機に選定する(ステップS15)。
【0077】
次に、行先階ホール呼び受付部33は、群管理している全号機10を上記した判定対象に選定したかどうかを判定し(ステップS16)、全号機10を判定対象に選定していないと判定された場合には(ステップS16のNo)、上記したステップS12の処理に戻り、まだ判定対象に選定しない号機10を判定対象に選定する。
【0078】
一方で、全号機10を判定対象に選定したと判定された場合には(ステップS16のYes)、行先階ホール呼び受付部33は、上記したステップS15の処理において行先階ホール呼びに対応可能な号機10が選定されたかどうかを判定する(ステップS17)。
【0079】
ステップS17における判定の結果、行先階ホール呼びに対応可能な号機10が選定されていないと判定された場合(ステップS17のNo)、行先階ホール呼び受付部33は、当該行先階ホール呼びを割当評価対象としても無駄な割当処理が実行されると判断する。そして、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けずに破棄して、一連の呼び受付処理を終了させる。
【0080】
一方で、上記したステップS17における判定の結果、行先階ホール呼びに対応可能な号機10が選定されたと判定された場合(ステップS17のYes)、行先階ホール呼び受付部33は、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付け、当該割当評価対象の行先階ホール呼びと、対応可能な号機10を示す号機情報とを割当制御部34に出力して(ステップS18)、一連の呼び受付処理を終了させる。
【0081】
図11に示す呼び受付処理では、行先階ホール呼び受付部33は、受信された行先階ホール呼びに対応可能な号機10が少なくとも1台以上あれば、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして正式に受け付け、当該行先階ホール呼びを対応可能な号機10に割り当てることを可能にする。
【0082】
また、
図11に示す呼び受付処理によれば、第1不停止階情報および第2不停止階情報が号機毎に異なる場合であっても、上記したステップS17のNo以降の処理に示されるように、無駄な割当処理が実行されてしまうことを抑制可能であり、ひいては、群全体の運転効率の低下を抑制することが可能である。
【0083】
上記した
図10および
図11では、第1不停止階情報および第2不停止階情報が、号機毎に異なる場合について説明したが、これに限定されず、例えば、第1不停止階情報は全号機10で共通しているが、第2不停止階情報は乗車階毎に異なるとしても構わない。以下では、第2不停止階情報が乗車階毎に異なる場合について説明する。
【0084】
図12は、乗車階毎に異なる第2不停止階情報が第2記憶部32に記憶されている様子を模式的に表す図である。
【0085】
図12に示すように、第2記憶部32には、B1階に対応した第2不停止階情報32Aと、1階に対応した第2不停止階情報32Bとが記憶されている。なお、
図12では説明の便宜上、2つの乗車階に対応する第2不停止階情報のみを図示しているが、第2不停止階情報は、複数台の乗りかご10が設置されている建物の階床数と同数だけ記憶されるとしても良い。
【0086】
例えば、
図12に示すB1階に対応した第2不停止階情報32Aに含まれる第2不停止階情報32Aa〜32Acによれば、「1〜3階」は不停止状態にあり(
図12では「不停止」と表記している)、登録階(つまり乗車階)が「B1階」であり、行先階が「1〜3階」の行先階ホール呼びは登録できないことが示される。
【0087】
また、
図12に示す第2不停止階情報32Adによれば、「4階」は不停止状態になく(
図12では「−」と表記している)、登録階が「B1階」であり、行先階が「4階」の行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0088】
なお、乗車階と行先階とが同一の行先階ホール呼びは発生し得ないことから、B1階に対応した第2不停止階情報32Aとして、行先階「B1階」を含む第2不停止階情報は記憶されない。
【0089】
一方で、
図12に示す1階に対応した第2不停止階情報32Bに含まれる第2不停止階情報32Ba〜32Bdによれば、「B1階、2〜4階」は不停止状態になく、登録階(つまり乗車階)が「1階」であり、行先階が「B1階、2〜4階」の行先階ホール呼びは登録可能であることが示される。
【0090】
なお、乗車階と行先階とが同一の行先階ホール呼びは発生し得ないことから、1階に対応した第2不停止階情報32Bとして、行先階「1階」を含む第2不停止階情報は記憶されない。
【0091】
以上説明した第2不停止階情報32A,32Bによれば、乗車階がB1階である場合には、2階および3階を行先階として含む行先階ホール呼びを登録することはできないが、乗車階が1階である場合には、2階および3階を行先階として含む行先階ホール呼びを登録可能であることが示される。このように、第2不停止階情報が利用者の乗車階(つまり、行先階ホール呼びの登録階)に応じて異なることにより次のような利点を得ることが可能である。
【0092】
例えば、B1階が多数の利用者によって利用される基準階であり、1〜3階がある会社によって使用される階床であり、4階が多数の利用者によって利用される一般階であるような場合を想定する。
【0093】
この場合、B1階から乗車する利用者(つまり、B1階を登録階として含む行先階ホール呼びを登録する利用者)は、1〜3階の会社の従業員に限らないため、セキュリティの都合上、1〜3階を行先階とした行先階ホール呼びは登録できない方が望ましいが、1階から乗車する利用者(つまり、1階を登録階として含む行先階ホール呼びを登録する利用者)は、1〜3階の会社の従業員である可能性が高く、2階および3階への往来を許可した方が望ましい。
【0094】
この要求は、第2不停止階情報が利用者の乗車階(行先階ホール呼びの登録階)に応じて異なることにより満たすことが可能である。つまり、行先階ホール呼び受付部33が、全号機共通の第1不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びの登録階が乗車階として不停止状態にあるかどうかを判定し、かつ、当該登録階に対応した第2不停止階情報に基づいて、当該行先階ホール呼びの行先階が行先階として不停止状態にあるかどうかを判定することで、上記した要求を満たすことが可能である。これによれば、利用者の利便性の向上(上記の場合、1〜3階の会社の従業員の利便性の向上)を期待することができる。
【0095】
また、利用者の利便性の観点から、行先階ホール呼び受付部33は、例えば、乗場行先階登録装置20を介した行先階ホール呼びの登録時に利用者により所定の操作(例えばICカードをかざす等)が行われたことを検出した場合、乗車階としての不停止状態および行先階としての不停止状態のうちの少なくとも一方を解除可能な機能をさらに備えていても良い。
【0096】
これによれば、通常運転時には無駄な割当処理が実行されることを抑制し、群全体の運転効率の低下を抑制することができる一方で、行先階ホール呼びの登録時に所定の操作が行われた場合に限り、群全体の運転効率ではなく、利用者の利便性を考慮した制御を実行することが可能である。なお、上記したICカードは、例えば車椅子利用者等、階床間を階段により移動することが困難な利用者に配布されることが望ましい。
【0097】
また、第1記憶部31には、曜日毎に異なる第1不停止階情報が記憶されていても良い。同様に、第2記憶部32には、曜日毎に異なる第2不停止階情報が記憶されていても良い。これによれば、行先階ホール呼び受付部33は、その日の曜日に応じた第1不停止階情報および第2不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けるかどうかを判定することが可能となり、曜日毎の状況に応じた呼び受付処理を実現することが可能となる。
【0098】
さらに、第1記憶部31には、時間帯毎に異なる第1不停止階情報が記憶されていても良い。同様に、第2記憶部32には、時間帯毎に異なる第2不停止階情報が記憶されていても良い。これによれば、行先階ホール呼び受付部33は、行先階ホール呼びが受信された時間帯に応じた第1不停止階情報および第2不停止階情報に基づいて、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けるかどうかを判定することが可能となり、時間帯毎の状況に応じた呼び受付処理を実現することが可能となる。
【0099】
本実施形態においては、群管理制御装置30は、乗車階に対して設定された不停止状態を示す第1不停止階情報を記憶する第1記憶部31と、行先階に対して設定された不停止状態を示す第2不停止階情報を記憶する第2記憶部32と、乗場に設置された乗場行先階登録装置20を介して利用者により登録された行先階ホール呼びを受信し、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付けるかどうかを判定する行先階ホール呼び受付部33と、判定の結果、受信された行先階ホール呼びが割当評価対象のホール呼びとして受け付けられた場合、当該行先階ホール呼びを複数台の乗りかご10のいずれかに割り当てるための割当処理を実行し、当該行先階ホール呼びの割当かごを選定する割当制御部34、等の構成を備えている。
【0100】
また、行先階ホール呼び受付部33は、第1不停止階情報および第2不停止階情報に基づいて、受信された行先階ホール呼びにより示される利用者の乗車階および行先階の両方が共に不停止状態にない場合に、当該行先階ホール呼びを割当評価対象のホール呼びとして受け付ける。
【0101】
このような構成によれば、受信された行先階ホール呼びの乗車階(登録階)および行先階のどちらか一方が不停止状態にある場合、当該行先階ホール呼びの割当処理を実行しないため、無駄な割当処理が実行されてしまう可能性を抑制でき、ひいては、群全体の運転効率の低下を抑制することが可能である。
【0102】
以上説明した一実施形態によれば、複数台の乗りかごを含む群全体の運転効率の低下を抑制可能な群管理制御装置および群管理制御システムを提供することが可能である。
【0103】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。