(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゼオライトにおけるイオン交換率が、イオン交換前のゼオライトに含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の総モル数に対して、40〜120モル%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の気体吸着材。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ゼオライトと、酸化カルシウムと、バインダーとを含む気体吸着材であって、
前記ゼオライトが、銅、銀、金、鉄、亜鉛及びニッケルイオンからなる群から選択される1種以上の金属イオンでイオン交換されており、
前記ゼオライトの平均細孔径が、0.3〜1.3nmであり、
前記バインダーが、珪酸カルシウム又は珪酸マグネシウムであり、
前記気体吸着材の空孔率が、40〜80%である、
ことを特徴とする、気体吸着材に関するものである。
【0025】
ゼオライト
本発明におけるゼオライトは、0.3〜1.3nm、好ましくは0.5〜1.3nmの平均細孔径を有する。平均細孔径が上記範囲であれば、吸着の対象とする窒素、二酸化炭素、酸素の分子径の4〜15倍であり、対象のガスを十分に吸着することが可能となる。平均細孔径は、窒素ガスあるいはアルゴンガス吸着法による細孔分布測定装置により測定することができる。
【0026】
平均細孔径が0.3~1.3nmであるゼオライトとしては、以下のものが挙げられる。
【0027】
ZSM−5型ゼオライトの化学式におけるnの値は、好ましくは20〜50であり、より好ましくは30〜45である。
【0028】
ゼオライトは、高分子量化している酸化ケイ素骨格の中に、アルミナがアルミン酸(AlO
4-)の形で結合して組み込まれている構造を有し、アルミニウム原子がマイナス電荷を帯びている。このアルミニウム原子の近傍には、ゼオライトの結合水により、イオン化しているナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が存在しており、ゼオライトの細孔内を比較的自由に移動できるとされている。移動可能な金属イオンは、他の金属イオンと容易にイオン交換することができる。この金属イオンの性質により、気体の吸着能が変化していることは公知であり、使用する目的に合わせ、金属イオンの種類を選択する。
【0029】
本発明の気体吸着材は、窒素ガス、二酸化炭素ガス、酸素ガス等を吸着対象としている。上記吸着対象に合わせ、本発明のゼオライトは、銅、銀、金、鉄、亜鉛及びニッケルイオンからなる群から選択される1種以上の金属イオンでイオン交換されている。銅イオン又は銀イオンが、気体吸着能が高く、好ましい金属イオンである。
【0030】
上記金属イオンは、弱酸塩基塩の形態で、ゼオライトのイオン交換に用いられる。上記弱酸塩基塩としては、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩等の無機塩類、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩等の炭素数が4以下の脂肪族有機酸塩が挙げられる。脂肪族有機酸塩の場合、炭素数が4以下であれば、水への溶解性が高く、金属イオン交換率の低下を防ぐことができる。
【0031】
本発明に使用するゼオライトにおけるイオン交換率は、イオン交換前のゼオライトに含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の総モル数に対して、40〜120モル%であることが好ましく、60〜100モル%がより好ましい。100モル%を超えるイオン交換率とは、ゼオライト表面に過剰の金属イオンが存在する場合を指しており、過剰分の金属イオンは酸素又は水と反応して、ゼオライト表面で金属酸化物、あるいは金属水酸化物を形成する。イオン交換率が40モル%以上であると、真空断熱材中での侵入ガスの吸着活性が充分で、長期の使用で断熱性が低下することがない。また、イオン交換率が120モル%以下であると、ゼオライト表面に過剰の金属イオンが存在しないか又は存在しても少量であるので、過剰の金属イオンから形成される金属酸化物又は金属水酸化によりゼオライト表面が被覆されてしまうことがなく、ゼオライトの吸着面積が減少することがない。
【0032】
イオン交換率は、エネルギー分散型X線分光による元素分析によって得られた画像から各構成元素の量(質量%)を求め、イオン交換前のゼオライトに含有されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン交換後の残留量とイオン交換した金属量より、以下の式に基づいて算出できる。
【0033】
ゼオライトは、例えば、以下の方法によりイオン交換することができる。
(1)ゼオライトをイオン交換水に分散させ、ゼオライトのアルミナのモル数に対して0.8〜5当量分の金属となるようにイオン交換に用いる金属イオンの塩を加え、60℃で3時間以上加熱撹拌する。ゼオライト中の金属イオンは、アルミニウムの1価のマイナス電荷を、電気的に中和するために存在しているので、添加する金属塩のモル数は、ゼオライト中のアルミニウムのモル数を基準に算出する。
(2)ゼオライトをイオン交換水で十分に洗浄後、濾過を行う。
(3)150℃で12時間以上加熱乾燥して、ゼオライト表面に付着している水を取り除く。加熱乾燥は、真空下で行うことが好ましい。
【0034】
ゼオライトの含有量は、気体吸着材の総質量に対して、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは8〜35質量%である。ゼオライトの含有量が5質量%以上であると、ガスを十分に吸着することができる。含有量が40質量%以下であると、ゼオライトの露出面積は適度な大きさとなり、酸化カルシウムよりも先にゼオライトに水が吸着されてゼオライトのガス吸着能が低下するといった問題を避けることができる。
【0035】
ゼオライトの平均粒子径は、1〜25μmであることが好ましく、3〜10μであることがより好ましい。平均粒子径が上記範囲であれば、本発明の気体吸着材を成形する際に、ゼオライトが気体吸着材中に均質に分散されやすく、更にゼオライトの総表面積も大きくなるので、気体吸着材としての吸着能を十分に発揮することができる。ゼオライトの平均粒子径は、JIS Z 8823に準じて測定することができる。
【0036】
本発明で用いるゼオライトは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0037】
酸化カルシウム
本発明における酸化カルシウムは、水分及び二酸化炭素を吸着する。
本発明で使用する酸化カルシウムに特に限定はないが、平均粒子径が30〜70μmであることが好ましく、35〜55μmであることがより好ましい。酸化カルシウムの平均粒子径は、JIS Z 8823に準じて測定することができる。酸化カルシウムの平均粒子径は、後述の気体吸着材の空孔率にも影響し、30μm以上であれば、所望の空孔率を有する気体吸着材が得られ、気体吸着材は十分な吸着活性を有する。平均粒子径が70μm以下であれば、圧縮成形した場合に気体吸着材の強度を向上させることができ、取扱いがより容易になる。
【0038】
酸化カルシウムの含有量は、気体吸着材の総質量に対して、好ましくは35〜90質量%であり、より好ましくは45〜85質量%である。酸化カルシウムの含有量がこの範囲にあると、真空断熱材等の製造工程でのゼオライトへの水分吸着を防ぎながら、真空断熱材、真空断熱構造物、あるいは真空ガラスサッシ中で水分吸着能を発揮することができる。
【0039】
酸化カルシウムは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0040】
バインダー
本発明におけるバインダーは、珪酸カルシウム又は珪酸マグネシウムである。バインダーは、圧縮成形時もしくはその前後で空気中の水分を吸着してバインダーとしての機能を発現し、ゼオライト及び酸化カルシウムを適度に密着させて、気体吸着材の空孔率を所望の範囲とするために用いられる。また、ゼオライト及び酸化カルシウムが密着することにより、気体吸着材の強度及び取扱性が向上する。
【0041】
珪酸カルシウムとしては、合成された珪酸カルシウム及び珪酸カルシウムを含む天然鉱物が挙げられ、例えば、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等のセメント類、ウォラストナイト、トバモライト等の珪酸カルシウム鉱物類、グロッシュラー、ゾイサイト、クリノゾイサイト、ローソナイト、ゲーレナイト、プレーナイト、アノーサイト、スコレサイト、エピスティバイト、ラウモナイト、メイオナイト等の珪酸アルミニウムカルシウム鉱物類等が挙げられ、針状結晶のウォラストナイト、板状結晶のトバモライトが、気体吸着材の空孔率を制御する上で、より好ましい。
【0042】
珪酸マグネシウムとしては、珪酸マグネシウムを含む天然鉱物が挙げられ、例えば、セピオライト、アタパルジャイト、タルク、フォルステライト、ヒューマイト、エンスタタイト、クリノエンスタタイト、クリソタイル等の珪酸マグネシウム鉱物類、オルルマナイト、マグネシアアクシナイト、ディオプサイト、トレモライト等の珪酸マグネシウムカルシウム鉱物類が挙げられ、針状結晶のセピオライト、アタパルジャイト、及び板状結晶のタルクが、空孔率を制御する上で、より好ましい。
【0043】
バインダーの含有量は、気体吸着材の総質量に対して、好ましくは5質量%〜25質量%であり、より好ましくは8〜20質量%である。バインダーの含有量がこの範囲にあると、圧縮成形した場合に吸着材の空孔率を所望の範囲とすることができ、気体吸着材が十分に機能する。
【0044】
本発明で使用するバインダーの平均粒子径は、好ましくは5〜80μm、より好ましくは8〜70μmである。バインダーの平均粒子径は、JIS Z 8823に準じて測定することができる。バインダーが針状又は板状の形状を有する場合、平均粒子径は長辺の平均長さのことを指す。バインダーの平均粒子径は、後述の気体吸着材の空孔率にも影響し、上記範囲であると、所望の空孔率を有する気体吸着材が得られ、また、圧縮成形した場合には、気体吸着材の強度を向上させることができ、取扱いが容易になる。
【0045】
本発明の気体吸着材は、ゼオライト、酸化カルシウム及びバインダーの他に、増量剤として、カオリナイト、スメクタイト、セリサイト、イライト、クロライト等のナトリウムを含む粘土鉱物を含んでもよい。
【0046】
本発明の気体吸着材の空孔率は、40〜80%であり、好ましくは45〜75%である。
空孔率は、各材料の真密度及び組成比に基づいて算出した混合物の真密度に対する、成形した気体吸着材の見掛けの密度の比から、以下の式により求めることができる。
空孔率が上記の範囲にあると、ゼオライトは適度な露出面積を有し、気体吸着材は十分な吸着機能を発揮し、長期使用での吸着能の低下が生じることがない。
【0047】
本発明の気体吸着材は、焼結する温度まで、例えば約900℃までの温度に耐性を有する。そのため、使用前に、例えば300℃〜600℃の温度で加熱乾燥をすることが可能であり、水分含有量の少ない状態で使用することができる。
【0048】
本発明の気体吸着材は、高いガス吸着能を有する。気体吸着材のガス吸着能は、例えば、気体吸着材を含む真空断熱材の熱伝導率に基づいて評価することができる。気体吸着材のガス吸着能が高ければ、真空断熱材の真空度を高く保つことができ、真空断熱材の熱伝導率が低くなる。例えば、気体吸着材を含む真空断熱材の製造直後に、JIS A1412に準じて20℃で熱流計法により測定した真空断熱材の熱伝導率が、0.002W/mK以下であることが好ましく、0.0016W/mK以下であることがより好ましい。また、気体吸着材を含む真空断熱材の製造後、90℃の乾燥機内で30日静置させた後に、JIS A1412に準じて20℃で熱流計法により測定した真空断熱材の熱伝導率が、0.004W/mK以下であることが好ましく、0.0035W/mK以下であることがより好ましい。
【0049】
本発明の気体吸着材の形状には、特に制限は無いが、好ましくは、板状、円筒状、立方体状、球状、円錐状、角錐状等である。形状が厚みの薄い板状及び円筒状であれば、真空断熱材の表面に凹凸を生じることなく、収納することができる。
気体吸着材の大きさは、用途に合わせて適宜設定することができる。例えば、真空断熱材、真空断熱構造物、あるいは真空ガラスサッシ等の真空部分の総体積の0.05〜5体積%になる大きさであることが好ましく、更には、0.08〜3体積%になる大きさであることがより好ましい。
【0050】
本発明の気体吸着材は、取扱性に優れている。取扱性とは、真空断熱材、真空断熱構造物、あるいは真空ガラスサッシ等の製造時に気体吸着材を挿入装着させる際に、人手による取扱で割れや欠けが生じない曲げ強度を有することである。気体吸着材の曲げ強度は、JIS K7171に準じて評価することができる。気体吸着材の曲げ強度が、0.1 MPa以上、1.0MPa以下であることが好ましく、0.2MPa以上、0.6MPa以下であることがより好ましい。気体吸着材の曲げ強度がこの範囲にあれば、気体吸着材の空孔率を下げることなく、気体吸着材の取扱性が高くなる。
【0051】
気体吸着材の製造方法
本発明の気体吸着材は、以下の工程
水を添加せずに、ゼオライトと、酸化カルシウムと、バインダーとを混合して混合物を得る工程、及び
前記混合物を圧縮成形する工程、
を含む方法により製造することができ、ここで、ゼオライトは、銅、銀、金、鉄、亜鉛及びニッケルイオンからなる群から選択される1種以上の金属イオンでイオン交換されており、ゼオライトの平均細孔径は、0.3〜1.3nmであり、バインダーは、珪酸カルシウム又は珪酸マグネシウムであり、気体吸着材の空孔率は、40〜80%である。
【0052】
ゼオライト、酸化カルシウム及びバインダーの混合手段に特に制限は無い。例えば、各成分を所望する質量比でV型ミキサー等の混合装置に投入して混合してもよい。
混合工程において、水は添加されない。水を添加しないことにより、得られる気体吸着材の水分含有量を低くすることができる。
【0053】
得られた粉体状の混合物を、金型等の型に充填し、圧縮成形を行う。圧縮成形の前に、型を振動させて、粉体状の混合物をより密に、好ましくは最密状態に充填させてもよい。
【0054】
成形温度、成形圧力及び成形時間等の成形条件は、バインダー量又は気体吸着材の空孔率に合わせ、適宜調製することができる。
好ましい成形温度は、10〜40℃であり、より好ましくは15〜35℃、更に好ましくは常温(25℃)である。成形温度が上記範囲であれば、取扱性に優れた気体吸着材を成形することができる。
好ましい成形圧力は、50〜200MPaであり、より好ましくは75〜125MPaである。成形圧力が上記範囲であれば、本発明が目的とする範囲の空孔率を有する気体吸着材を成形することができる。
好ましい成形時間は5〜25秒であり、より好ましくは8〜20秒である。成形時間が上記範囲であれば、本発明が目的とする範囲の空孔率を有する気体吸着材を成形することができる。
【0055】
真空断熱材
本発明の気体吸着材は、冷蔵庫や自動販売機に用いられる真空断熱材、冷凍タンクローリや機械設備に使用される真空断熱構造物、住宅建物用の真空ガラスサッシ等に用いられるが、好適には、真空断熱材に用いられる。真空断熱材は、芯材と、包装袋と、気体吸着材とを構成要素とし、芯材および気体吸着材が包装袋の内部に充填され、真空包装されてなるものである。
【0056】
芯材
芯材は、真空断熱材の断熱性を担う部材であり、無機繊維マットからなる。
無機繊維とは、無機物からなる繊維であり、例えばガラス繊維(グラスウール等)、セラミック繊維、金属繊維等を挙げることができる。また、スラグ繊維、玄武岩繊維(ロックウール、バサルト繊維)等を用いることもできる。これらの中では、断熱性、成形加工性に優れるガラス繊維、玄武岩繊維が好ましい。具体的には、断熱吸音材として一般的に用いられているグラスウール、ロックウール等を好適に用いることができる。
【0057】
無機繊維は、平均繊維径が3〜7μmのものが好ましい。平均繊維径が3μm以上であれば、無機繊維の製造及び入手が容易となる。平均繊維径が7μm以下であれば、芯材として必要な断熱性能を得ることができる。
【0058】
前記無機繊維の製法は特に限定されないが、例えば遠心法等を挙げることができる。遠心法を用いて、例えばガラス繊維(グラスウール等)、スラグ繊維、玄武岩繊維(ロックウール等)等の無機繊維を製造することができる。
【0059】
無機繊維マットとは、その厚さや密度に拘わらず、無機繊維が集積された集合物(ウエブ)を指す。前記芯材は、前記無機繊維マット1枚からなる単層体であってもよく、前記無機繊維マットが2〜4枚積層された積層体であってもよい。
【0060】
芯材の密度(真空包装された状態での密度)は特に限定されないが、150〜250kg/m
3であることが好ましい。密度が150kg/m
3以上の芯材は耐圧縮性に優れるため、芯材密度の上昇による断熱性能の低下が起こり難く、断熱性能に優れる。また、前記芯材は適度な剛性があるため、包装袋の内部に充填し易いことに加えて、真空断熱材を断熱箱に設置する際の作業性が良好となる。更に、前記芯材は適度な剛性があるために、寸法精度が高く、形状を保持する性能が高い真空断熱材を得ることができる。従って、真空断熱材を断熱箱に設置した際に断熱箱との間に隙間が生じ難く、高い断熱性能を発現させることができる。前記効果をより確実に得るためには、前記密度を180kg/m
3以上とすることが更に好ましい。一方、前記密度を250kg/m
3以下とすることによって、芯材を構成する無機繊維間に適度な空隙が保たれ、無機繊維同士が過度に接触せず、断熱性能を高めることができる。また、芯材に適度な可撓性、柔軟性を付与することができるため、真空断熱材の表面に不陸(多数の凸部)が形成され難い。従って、真空断熱材を断熱箱等に対して隙間なく設置することができ、断熱欠損が生じ難い。前記効果をより確実に得るためには、前記密度を220kg/m
3以下とすることが更に好ましい。
【0061】
芯材の厚さ(真空包装された状態での厚さ)は特に限定されないが、5mm以上、30mm以下であることが好ましい。真空断熱材の断熱性能は、芯材の厚さと熱伝導率により決定される。従って、芯材の熱伝導率が低いことに加えて、芯材の厚さを一定以上とすることにより、断熱性能を高めることができる。そのような観点から、前記厚さを5mm以上とすることによって、高い断熱性能を得られ、しかも断熱性能の設計が容易となる。一方、前記厚さを30mm以下とすることによって、断熱箱に真空断熱材を設置する際の作業性が向上し、断熱箱に対する真空断熱材の接着作業等が容易になる。また、芯材の製造コストを抑制しつつ、必要な断熱性を付与することができる。
【0062】
無機繊維マットは、前記のように無機繊維が集積されているだけでも構わないが、有機バインダーに由来する熱硬化性樹脂が付与された無機繊維マットであることが好ましい。このような無機繊維マットは、適度な剛性があり、潰れ難いため、芯材密度が上昇し難い。従って、無機繊維間の熱伝導が増加することに起因する断熱性能の低下が起こり難い。
【0063】
前記有機バインダーの種類は特に限定されないが、脱水縮合により重合体を形成し得る前駆体を好適に用いることができる。脱水縮合により形成される重合体としては、例えばアルデヒド縮合性樹脂、ポリエステル、ポリアミド等を挙げることができる。アルデヒド縮合性樹脂としては、例えばレゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂等を挙げることができる。中でも、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
【0064】
従って、前記有機バインダーとしては、これらの重合体(熱硬化性樹脂)を形成し得る前駆体、例えば、
ホルムアルデヒドと、フェノールとの混合物(レゾール型フェノール樹脂の前駆体);
ポリカルボン酸と、ポリオール(糖類を含む)、アミノアルコール、イミノアルコール及びポリアミンの群から選択される少なくとも1種の物質との混合物(ポリエステル、ポリアミドの前駆体);
等を用いることが好ましい。中でも、これらを成分とする水性バインダーを用いることが更に好ましい。
【0065】
ホルムアルデヒドとフェノールとの混合物としては、ホルムアルデヒド/フェノールのモル比が2.5以上、3.5以下のものを用いることが好ましい。前記モル比を2.5以上とすると、未反応の遊離フェノールを減少させることができる。一方、前記モル比を3.5以下とすると、未反応の遊離ホルムアルデヒドを減少させることができる。
【0066】
ポリカルボン酸/ポリオール等混合物としては、ポリオール等の(水酸基、アミノ基、イミノ基の総モル数)/カルボキシル基のモル数のモル比が、0.5以上、1.2以下のものを用いることが好ましい。前記モル比を0.5以上とすると、バインダーを構成する殆どの分子が硬化反応に関与して、未反応の遊離ポリカルボン酸を減少させることができる。前記効果をより確実に得るためには、前記モル比を0.7以上とすることが更に好ましい。一方、前記モル比を1.2以下とすると、未反応の遊離ポリオール等を減少させることができる。前記効果をより確実に得るためには、前記モル比を1.1以下とすることが更に好ましい。なお、未反応の遊離ポリカルボン酸、未反応の遊離ポリオール等を減少させることで、これらの物質が真空断熱材中において経時的にガス化し(アウトガス)、前記アウトガスによって真空断熱材の断熱性が低下する不具合を有効に防止することができる。
【0067】
前記芯材における前記熱硬化性樹脂の含有率は、無機繊維と熱硬化性樹脂の合計質量に対し0.5質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましい。前記含有率を0.5質量%以上とすることにより、前記芯材の剛性が高まり、真空包装時に芯材が潰れ難くなるため、断熱性能の低下が起こり難い。また、芯材が垂れ難くなり、芯材の搬送や包装袋への充填等、ハンドリング性が向上する。前記効果をより確実に得るためには、前記含有率を1.0質量%以上とすることが更に好ましい。一方、前記含有率を5.0質量%以下とすると、前記熱硬化性樹脂の熱伝導に起因する断熱性能の低下が起こり難い。また、前記熱硬化性樹脂に由来するアウトガスの発生が抑制され、前記アウトガスに起因する断熱性能の低下が起こり難い。前記効果をより確実に得るためには、前記含有率を3.0%以下とすることが更に好ましい。なお、熱硬化性樹脂の含有率は、強熱減量法(LOI:Loss of Ignition)により測定された強熱減量に基づき算出される。強熱減量の測定は、有機バインダーを付着させ、乾燥させたマット状物の乾燥試料を約550℃で強熱することにより減少した質量を測定することにより行う。
【0068】
包装袋
包装袋は、ガスバリア性のシート材からなる袋体である。包装袋によって、袋体内部の真空状態が維持され、袋体内部への水分やガスの流入を防止することができる。
【0069】
ガスバリア性を有する限り、シート材の種類は特に限定されない。例えば、
ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の樹脂からなる樹脂フィルム;
クラフト紙の表面が前記樹脂フィルムで被覆されたラミネートフィルム;
金属箔の表面が前記樹脂フィルムで被覆されたラミネートフィルム;
前記樹脂フィルムに金属が蒸着された金属蒸着フィルム;
等を好適に用いることができる。前記金属箔、蒸着用の金属としては、ガスバリア性に優れるアルミニウムが好ましい。用途によっては真空断熱材の片側面を金属箔フィルム、もう片面を蒸着フィルム面にした複合フィルムを用いる事ができる。
【0070】
前記シート材には、前記シート材が積層された積層シートも含まれる。中でも、最外層に保護フィルム、中間層にガスバリア性フィルム、最内層に融着性フィルムを備えた積層シートが好ましい。例えば、前記保護フィルムが、ポリアミド樹脂フィルム又はポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムにより構成され、前記ガスバリア性フィルムが、アルミニウム箔、アルミニウム箔ラミネートフィルム又はアルミニウム蒸着フィルムにより構成され、前記融着性フィルムが、低密度ポリエチレン樹脂フィルム、高密度ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム又はエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムにより構成された積層シートを好適に用いることができる。なお、前記融着性フィルムは、前記シート材の周縁部同士を融着させる目的で積層シートの最内層に配置されている。
積層シートを構成する各フィルムの厚さについては特に限定されないが、保護フィルムの厚さ及びガスバリア性フィルムの厚さは10μm以上、25μm以下であることが好ましい。前記厚さを10μm以上とすることにより、包装袋の破損を有効に防止することができる。一方、前記厚さを25μm以下とすることにより、包装袋の熱橋(ヒートブリッジ)を少なくすることができる。
【0071】
融着性フィルムの厚さは、25μm以上、60μm以下であることが好ましい。前記厚さを25μm以上とすることにより、融着性フィルム同士を融着させた融着部の密封性を高めることができ、真空包装後において融着部からの漏れ(リーク)発生し難くなる。前記効果をより確実に得るためには、前記厚さを30μm以上とすることが更に好ましい。一方、前記厚さを60μm以下とすることにより、包装袋の熱橋(ヒートブリッジ)を少なくすることができる。前記効果をより確実に得るためには、前記厚さを50μm以下とすることが更に好ましい。
【0072】
なお、包装袋のサイズは特に限定されず、芯材が充填可能なサイズに構成されていればよい。
【0073】
真空度
本発明の真空断熱材は、前記芯材および前記ガス吸着材が前記包装袋の内部に充填され、真空包装されてなるものである。包装袋の内部の真空度(残存気体の圧力)は0.1Pa以上、10Pa以下であることが好ましい。真空度を下げるほど、得られる真空断熱材の断熱性能は向上するが、その分、真空包装に要する時間が長くなり、生産性が低下する。真空度を0.1Pa以上とすることによって、真空引きに要する時間が短縮され、効率的に真空断熱材を製造することができる。一方、前記真空度を10Pa以下とすることによって、真空断熱材として十分な断熱効果が発揮される。前記効果をより確実に得るためには、前記真空度を5Pa以下とすることが更に好ましい。
【0074】
真空断熱材の製造方法
本発明の真空断熱材は前記構成を有する限り、いかなる製造方法により製造してもよい。以下、本発明の真空断熱材の製造方法の例を示す。
【0075】
無機繊維マットの製造
無機繊維マットの製造方法は特に限定されない
まず、無機繊維を紡出させる繊維化工程では、遠心法(ロータリー法)、紡糸法等により繊維化を行う。遠心法による繊維化が経済性の点で好ましい。
次いで、紡出された無機繊維にスプレー式にて有機バインダーを付与する。
更に、有機バインダーが付与された無機繊維を加熱し成形する(マット化工程)。有機バインダーが付与された無機繊維を、繊維化装置の下方に配置されたメッシュベルトコンベアに集積し、熱風オーブンに搬送する。そして、無機繊維を、コンベア間に送り込み、所定の厚さに圧縮する。圧縮された無機繊維は熱風オーブンの内部を通過する際に加熱され、付着された有機バインダーが熱硬化される。このような工程により、無機繊維がマット状に成形された無機繊維マットを製造することができる。
【0076】
前記マット化工程において、加熱温度は150〜300℃、加熱時間は60〜300秒であることが好ましい。加熱温度を150℃以上、加熱時間を60秒以上とすることにより、前記有機バインダーの熱硬化を十分に進行させることができる。従って、アウトガスの原因となる未反応の低分子量物質を減少させることができ、また、無機繊維マットに付着した水分を減少させることができる。加熱温度を300℃以下、300秒以下とすることにより、前記有機バインダーに由来する熱硬化性樹脂の分解を抑制することができ、また、過剰な加熱を行わないことで生産性を向上させることができる。
【0077】
前記無機繊維マットの密度は、32kg/m
3以上、100kg/m
3以下であることが好ましい。前記密度を32kg/m
3以上とすることにより、一定の剛性が付与され、包装袋に充填する際のハンドリング性が向上する。前記効果をより確実に得るためには、前記密度を48kg/m
3以上とすることが更に好ましい。一方、100kg/m
3以下とすることにより、真空包装の際の芯材の密度上昇および断熱性能の経時的な低下を抑制することができる。前記効果をより確実に得るためには、前記密度を90kg/m
3以下とすることが更に好ましい。
【0078】
また、前記無機繊維マットの厚さは、10mm以上、50mm以下であることが好ましい。前記厚さを10mm以上とすることにより、マットを製造し易くなる。前記効果をより確実に得るためには、前記厚さを25mm以上とすることが更に好ましい。一方、前記厚さを50mm以下とすることにより、包装袋に充填する際のハンドリング性が向上する。前記効果をより確実に得るためには、前記厚さを45mm以下とすることが更に好ましい。
【0079】
前記無機繊維マットは、真空包装前に加熱して強制乾燥させることにより無機繊維に付着している水分を除去してもよい。強制乾燥は、例えば遠赤外線オーブン、熱風オーブンを用いて行うことができる。加熱温度は特に限定されないが、水分を素早く除去するためには130℃以上とすることが好ましく、150℃以上とすることが更に好ましい。
【0080】
真空包装
最後に、前記芯材及び気体吸着材を包装袋に充填して真空包装する。真空包装は従来公知の方法に準じて行うことができる。例えば、前記芯材及び気体吸着材の内部に充填した後、前記包装袋の内部を真空度が0.1〜10Paとなるまで真空引きし、前記包装袋の開口部をヒートシールする方法等を挙げることができる。
【0081】
また、前記芯材及び気体吸着材を予め袋状に形成された包装袋に充填するのではなく、前記芯材及び前記気体吸着材を上下2枚のガスバリア性のシート材で挟み、前記2枚のシート材の周縁部を融着させて前記シート材からなる包装袋を形成し、前記芯材及び前記気体吸着材を前記包装袋の内部に充填してもよい。
なお、前記気体吸着材は、真空包装前に、300〜600℃の温度条件下で、3〜12時間乾燥することが好ましい。また、前記ガスバリア性のシート材は、芯材を充填する前に、50〜100℃の温度条件下で、60〜120分乾燥することが好ましい。これらの乾燥により、気体吸着材及び包装袋に吸着されている水分が除去され、得られる真空断熱材の内部に水分が混入しないようにすることができる。従って、真空断熱材の断熱性を向上させることが可能となる。
【0082】
真空断熱材は、冷蔵庫、自動販売機、冷凍タンクローリ、機械設備、住宅建物用の真空ガラスサッシ等に用いることができる。
【0083】
以下、本発明について、実施例により詳細に説明する。しかしながら、本発明は、実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0084】
実施例1
銅でイオン交換した平均細孔径1.1nmのY型ゼオライト(イオン交換率85%、平均粒径5μm)10質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム80質量部、長辺の平均長さ17μmの板状結晶のトバモライト10質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材1を得た。気体吸着材1の空孔率は55%であった。
ポリエチレン(密度0.94g/cm
3、厚さ50μm)、アルミ箔(厚さ6.5μm)、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)及びポリアミド(厚さ25μm)をこの順に積層して構成されたガスバリア性フィルム(ウレタン系接着剤を含む総厚み100μm)2枚の外皮材を、互いのポリエチレン層が接するように重ね、芯材の挿入のための開口部を残して外周部をヒートシールし、袋状に形成した。
ガラス繊維マット(平均繊維径7μm、厚さ45mm、密度64kg/m
3、バインダーの樹脂付着量1.4%、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂バインダー(ホルムアルデヒド/フェノールのモル比3.0)を180℃の熱風で2分間硬化させて成形した)を2枚積層し、150℃で30分乾燥して芯材を得た。
芯材及び気体吸着材1を袋状の外皮材に挿入し、真空包装機内に置き、真空包装機内をペニング真空計で2Paの測定値が得られるまで減圧し、ヒートシールして外皮材の開口部を密封し、耳部を有する実施例1の真空断熱材を得た。耳折り後の真空断熱材は、縦670mm、横390mm、厚さ15mmの大きさであり、芯材密度は210kg/m
3であった。
【0085】
実施例2
銅でイオン交換した平均細孔径1.1nmのY型ゼオライト(イオン交換率82%、平均粒径5μm)30質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム50質量部、長辺の平均長さ17μmの板状結晶のトバモライト20質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材2を得た以外は、実施例1と同様にして実施例2の真空断熱材を得た。気体吸着材2の空孔率は55%であった。
【0086】
実施例3
銀でイオン交換した平均細孔径1.1nmのY型ゼオライト(イオン交換率93%、平均粒径5μm)10質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム80質量部、長辺の平均長さ65μmの針状結晶のウォラストナイト10質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで15秒間押圧して、気体吸着材3を得た以外は、実施例1と同様にして実施例3の真空断熱材を得た。気体吸着材3の空孔率は46%であった。
【0087】
実施例4
銅でイオン交換した平均細孔径0.5nmのZSM−5型ゼオライト(イオン交換率82%、平均粒径6μm、イオン交換前のゼオライトNa
+39(H
2O)
16|[Al
39Si
57O
192])10質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム80質量部、平均粒子径10μmのポルトランドセメント10質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材4を得た。気体吸着材4の空孔率は57%であった。
【0088】
ポリエチレン(密度0.94g/cm
3、厚さ50μm)、アルミ蒸着エチレン-ビニルアルコール共重合フィルム(厚さ12μm)、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)及びポリアミド(厚さ15μm)をこの順に積層して構成されたガスバリア性フィルム(ウレタン系接着剤を含む総厚み105μm)2枚の外皮材を、互いのポリエチレン層が接するように重ね、芯材の挿入のための開口部を残して外周部をヒートシールし、袋状に形成した。
ガラス繊維マット(平均繊維径7μm、厚さ45mm、密度64kg/m
3、バインダーの樹脂付着量1.4%、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂バインダー(ホルムアルデヒド/フェノールのモル比3.0)を180℃の熱風で2分間硬化させて成形した)を2枚積層し、150℃で30分乾燥して芯材を得た。
芯材及び気体吸着材4を袋状の外皮材に挿入し、真空包装機内に置き、真空包装機内をペニング真空計で2Paの測定値が得られるまで減圧し、ヒートシールして外皮材の開口部を密封し、耳部を有する実施例4の真空断熱材を得た。耳折り後の真空断熱材は、縦670mm、横390mm、厚さ15mmの大きさであり、芯材密度は210kg/m
3であった。
【0089】
実施例5
銅でイオン交換した平均細孔径1.1nmのY型ゼオライト(イオン交換率93%、平均粒径5μm)10質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム80質量部、長辺の平均長さ50μmの針状結晶のセピオライト10質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで15秒間押圧して、気体吸着材5を得た以外は、実施例1と同様にして実施例5の真空断熱材を得た。気体吸着材5の空孔率は48%であった。
【0090】
比較例1
銅でイオン交換した平均細孔径1.1nmのY型ゼオライト(イオン交換率82%、平均粒径5μm)10質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム90質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材6を得た。気体吸着材6の空孔率は38%であった。
実施例1と同様にして、比較例1の真空断熱材を得た。
【0091】
比較例2
平均粒子径45μmの酸化カルシウム100質量部を内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材7を得た。気体吸着材7の空孔率は35%であった。
実施例1と同様にして、比較例2の真空断熱材を得た。
【0092】
比較例3
銅でイオン交換した平均細孔径1.1nmのY型ゼオライト(イオン交換率85%、平均粒径5μm)90質量部、平均長辺の平均長さ17μmの板状結晶のトバモライト10質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材8を得た。気体吸着材8の空孔率は75%であった。
実施例1と同様にして、比較例3の真空断熱材を得た。
【0093】
比較例4
イオン交換を施さない平均細孔径0.5nmのZSM−5型ゼオライト(平均粒径6μm、Na
+39(H
2O)
16|[Al
39Si
57O
192])10質量部、平均粒子径45μmの酸化カルシウム80質量部、平均粒子径10μmのポルトランドセメント10質量部をV型ミキサに投入して、乾式混合して、気体吸着用混合物を得た。内径30mm、深さ5mmの円筒形の金型に上記混合物を充填し、25℃の環境下で、加熱せずにプレス機により100MPaで10秒間押圧して、気体吸着材9を得た。気体吸着材9の空孔率は55%であった。
実施例1と同様にして、比較例4の真空断熱材を得た。
【0094】
評価例1
実施例1〜4、比較例1〜4の真空断熱材を、JIS A1412に準じて、20℃での熱伝導率を熱流計法で測定した。
【0095】
評価例2
実施例1〜4、比較例1〜4の真空断熱材を、90℃の乾燥機内で30日静置させた後、JIS A1412に準じて、20℃での熱伝導率を熱流計法で測定した。
【0096】
【0097】