(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルム、及び、前記片保護偏光フィルムの偏光子の他の面に設けられた透明樹脂層を有する透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの製造方法であって、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、厚みが10μm以下であり、
前記透明樹脂層は、厚みが0.2μm以上3μm以下であり、
前記透明樹脂層は、前記偏光子に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗工液(ただし、水溶性の有機チタン化合物及び/又は水溶性の有機ジルコニウム化合物を含む塗工液を除く。)を塗布する工程、及び、得られた塗布膜を固化する工程により形成され、
前記塗工液の塗布工程において、前記偏光子の幅方向の両端から内側にそれぞれ20mm未満の領域において前記塗工液を塗布しない未塗布部分を有するか、又は、前記偏光子の幅方向全体にわたって塗工液を塗布することを特徴とする透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの製造方法。
前記塗工液の塗布が、前記偏光子の幅方向全体にわたって塗工液を塗布することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの製造方法。
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの透明樹脂層上に粘着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする粘着剤層付偏光フィルムの製造方法。
請求項7の製造方法により得られた粘着剤層付偏光フィルムを巻き取ることなく、前記粘着剤層を介して光学部材に貼り合せる工程を含むことを特徴とする光学積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの製造方法
本発明の透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの製造方法は、
偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルム、及び、前記片保護偏光フィルムの偏光子の他の面に設けられた透明樹脂層を有する透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを製造することができ、
前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、厚みが10μm以下であり、
前記透明樹脂層は、前記偏光子に、樹脂成分又は透明樹脂層を構成することができる硬化性成分を含む塗工液を塗布する工程、及び、得られた塗布膜を固化又は硬化する工程により形成され、
前記塗工液の塗布工程において、前記偏光子の幅方向の両端から内側にそれぞれ20mm未満の領域において前記塗工液を塗布しない未塗布部分を有するか、又は、前記偏光子の幅方向全体にわたって塗工液を塗布することを特徴とする。
【0024】
本発明の製造方法により得られる透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを、
図1、2を参照しながら説明する。但し、本発明は、これらの図に限定されるものではない。
【0025】
本発明で用いる片保護偏光フィルム3は、偏光子1の片面にのみ保護フィルム2を有するものである。前記偏光子1と保護フィルム2とは、接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)等の介在層(不図示)を介して積層することができる。本発明の製造方法は、前記片保護偏光フィルム3の偏光子1の保護フィルム2を有さない面(他の面)に、透明樹脂層4を形成して、透明樹脂層付の片保護偏光フィルム10を製造する方法である。
【0026】
透明樹脂層4の形成は、前記偏光子1に、樹脂成分又は透明樹脂層4を構成することができる硬化性成分を含む塗工液を塗布する工程、及び、得られた塗布膜を固化又は硬化する工程により形成される。前記塗工液の塗布工程において、
図1に示すように、前記偏光子1の幅方向(図中のA方向)の両端から内側にそれぞれ20mm未満の領域において前記塗工液を塗布しない未塗布部分5を有するか、又は、
図2に示すように、前記偏光子1の幅方向全体にわたって塗工液を塗布すること(未塗布部分を有さない)を特徴とする。このように塗布することで、得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルム10のカール発生を抑制することができ、製造後、ロール等に巻き取ることなく、画像表示装置等に用いる光学部材に貼り合わせることができる。なお、ここで、偏光子1の幅方向とは、偏光子1の延伸方向(搬送方向)に直交する方向を意味する。
【0027】
また、前記塗工において、前記未塗布部分を有する場合、未塗布部分は、偏光子の幅方向の両端から内側にそれぞれ20mm未満の領域であって、15mm以下の領域であることが好ましく、10mm以下の領域であることがより好ましい。未塗布部分を前記範囲内にすることで、得られる透明樹脂層付の片保護偏光フィルムのカール発生を抑制することができる点で好ましい。未塗布部分の領域の下限値は特に限定されるものではなく、小さければ小さいほど好ましく、前記偏光子の幅方向全体にわたって塗工液を塗布する方法、すなわち、未塗布部分を有さないことが特に好ましい。
【0028】
また、前記塗工において、前記未塗布部分を有する場合、未塗布部分は、偏光子の幅方向の両端から内側にそれぞれ、偏光子の幅に対して5%以下の領域であることが好ましく、偏光子の幅に対して3%未満の領域であることがより好ましく、偏光子の幅に対して2%以下の領域であることがより好ましい。未塗布部分を前記範囲内にすることで、得られる透明樹脂層付の片保護偏光フィルムのカール発生を抑制することができる点で好ましい。未塗布部分の領域の下限値は特に限定されるものではなく、小さければ小さいほど好ましく、前記偏光子の幅方向全体にわたって塗工液を塗布する方法、すなわち、偏光子の幅に対して0%(未塗布部分を有さない)が特に好ましい。
【0029】
以下本発明の製造方法の各工程について説明する。
【0030】
1−1.塗工液塗布工程
本発明の製造方法は、前記片保護偏光フィルム3の偏光子1の保護フィルム2を有さない面(他の面)に、樹脂成分又は透明樹脂層を構成することができる硬化性成分を含む塗工液を塗布する工程を含む。塗布方法は前述の通りである。
【0031】
(1)片保護偏光フィルム
(1−1)偏光子
本発明では、厚み10μm以下の偏光子を用いる。偏光子の厚みは、8μm以下であるのが好ましく、7μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。一方、偏光子の厚みは2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため熱衝撃に対する耐久性に優れる。
【0032】
偏光子1は、ポリビニルアルコール系樹脂を用いたものが使用される。偏光子1としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。
【0033】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0034】
偏光子1はホウ酸を含有していることが延伸安定性や光学耐久性の点から好ましい。また、偏光子1に含まれるホウ酸含有量は、貫通クラック及びナノスリットの発生抑制、拡張抑制の観点から、偏光子全量に対して25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、18重量%以下がさらに好ましく、16重量%以下が特に好ましい。偏光子1に含まれるホウ酸含有量が20重量%を超える場合には、偏光子1の厚みを10μm以下に制御した場合であっても偏光子1の収縮応力が高まり貫通クラックが発生しやすくなるため好ましくない。一方、偏光子1の延伸安定性や光学耐久性の観点から、偏光子全量に対するホウ酸含有量は10重量%以上であることが好ましく、12重量%以上であることがより好ましい。
【0035】
薄型の偏光子としては、代表的には、
特許第4751486号明細書、
特許第4751481号明細書、
特許第4815544号明細書、
特許第5048120号明細書、
国際公開第2014/077599号パンフレット、
国際公開第2014/077636号パンフレット、
等に記載されている薄型偏光子又はこれらに記載の製造方法から得られる薄型偏光子を挙げることができる。
【0036】
前記偏光子1は、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、次式
P>−(10
0.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)
の条件を満足するように構成されたことが好ましい。前記条件を満足するように構成された偏光子は、一義的には、大型表示素子を用いた液晶テレビ用のディスプレイとして求められる性能を有する。具体的にはコントラスト比1000:1以上かつ最大輝度500cd/m
2以上である。他の用途としては、例えば、有機EL表示装置の視認側に貼り合される。
【0037】
前記薄型偏光子としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、特許第4751486号明細書、特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。これら薄型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法によって得ることができる。この製法であれば、ポリビニルアルコール系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
【0038】
(1−2)保護フィルム
前記保護フィルム2を構成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は上記ポリマーのブレンド物等も上記保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。
【0039】
なお、保護フィルム2中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、50〜100質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましく、60〜98質量%がさらに好ましく、70〜97質量%が特に好ましい。保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50質量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
【0040】
前記保護フィルム2としては、位相差フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム等も用いることができる。位相差フィルムとしては、正面位相差が40nm以上及び/又は、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有するものが挙げられる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。保護フィルムとして位相差フィルムを用いる場合には、当該位相差フィルムが偏光子保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
【0041】
位相差フィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムを一軸又は二軸延伸処理してなる複屈折性フィルムが挙げられる。上記延伸の温度、延伸倍率等は、位相差値、フィルムの材料、厚みにより適宜に設定される。
【0042】
前記保護フィルム2の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性等の点より3〜200μmであるのが好ましく、さらには3〜100μmであるのが好ましい。特に、前記保護フィルム(予めフィルムが形成されている場合)の厚みは、搬送性の点から10〜60μmが好ましく、さらには10〜50μmが好ましい。一方、前記保護フィルム(塗布、硬化により形成する場合)の厚みは搬送性の点から、3〜25μmが好ましく、さらには3〜20μmが好ましい。前記保護フィルムは、複数枚又は複数層で用いることもできる。
【0043】
前記保護フィルム2の偏光子1を接着させない面には、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層等の機能層を設けることができる。なお、上記ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等の機能層は、保護フィルム2そのものに設けることができるほか、別途、保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0044】
(1−3)介在層
前記保護フィルム2と偏光子1は、接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)等の介在層を介して積層することができる。この際、介在層により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。なお、偏光子1と保護フィルム2の介在層は図中では示していない。
【0045】
接着剤層は、接着剤により形成される。接着剤の種類は特に制限されず、種々のものを用いることができる。前記接着剤層は光学的に透明であれば特に制限されず、接着剤としては、水系、溶剤系、ホットメルト系、活性エネルギー線硬化型等の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤又は活性エネルギー線硬化型接着剤が好適である。
【0046】
水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。水系接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。
【0047】
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線、紫外線(ラジカル硬化型、カチオン硬化型)等の活性エネルギー線により硬化が進行する接着剤であり、例えば、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤は、例えば、光ラジカル硬化型接着剤を用いることができる。光ラジカル硬化型の活性エネルギー線硬化型接着剤を、紫外線硬化型として用いる場合には、当該接着剤は、ラジカル重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。
【0048】
接着剤の塗工方式は、接着剤の粘度や目的とする厚みによって適宜に選択される。塗工方式の例として、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等が挙げられる。その他、塗工には、ディッピング方式等の方式を適宜に使用することができる。
【0049】
また、前記接着剤の塗工は、水系接着剤等を用いる場合には、最終的に形成される接着剤層の厚みが30〜300nmになるように行うのが好ましい。前記接着剤層の厚さは、さらに好ましくは60〜150nmである。一方、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合には、前記接着剤層の厚みは0.2〜20μmになるよう行うのが好ましい。
【0050】
なお、偏光子1と保護フィルム2の積層にあたって、保護フィルムと接着剤層の間には、易接着層を設けることができる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格等を有する各種樹脂により形成することができる。これらポリマー樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また易接着層の形成には他の添加剤を加えてもよい。具体的には、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤等の安定剤等を挙げることができる。
【0051】
易接着層は、通常、保護フィルムに予め設けておき、当該保護フィルムの易接着層側と偏光子とを接着剤層により積層する。易接着層の形成は、易接着層の形成材を保護フィルム上に、公知の技術により塗工、乾燥することにより行われる。易接着層の形成材は、乾燥後の厚み、塗工の円滑性等を考慮して適当な濃度に希釈した溶液として、通常調整される。易接着層は乾燥後の厚みは、好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.02〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。なお、易接着層は複数層設けることができるが、この場合にも、易接着層の総厚みは上記範囲になるようにするのが好ましい。
【0052】
粘着剤層は、粘着剤から形成される。粘着剤としては各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。前記粘着剤の中でも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0053】
下塗り層(プライマー層)は、偏光子1と保護フィルム2との密着性を向上させるために形成される。プライマー層を構成する材料としては、偏光子1と保護フィルム2との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。例えば、透明性、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂等が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
(2)塗工液
塗工液は、樹脂成分又は透明樹脂層を構成することができる硬化性成分を含む。当該塗工液を偏光子1に塗布し、固化又は硬化することで透明樹脂層4を形成することができる。
【0055】
また、前記塗工液(以下、形成材ということもある)の形態は、液状を示すものであれば特に制限はなく、水系、水分散系、溶剤系、無溶剤のいずれでもよい。
【0056】
前記塗工液は、粘度が低い方が、偏光子1の表面に損傷部が存在する場合に、当該損傷部に浸透しやすいため有利である。前記粘度は、25℃で測定した値が、2000mPa・s以下であるのが好ましく、1000mPa・s以下がより好ましく、500mPa・s以下がさらに好ましく、100mPa・s以下が特に好ましい。
【0057】
前記塗工液の片保護偏光フィルム(偏光子側)への塗布は、乾燥後の塗布膜(透明樹脂層4)の厚みが0.2μm以上になるように行なうのが好ましい。前記透明樹脂層4の厚さは0.5μm以上であるのがより好ましく、0.7μm以上であるのがさらに好ましい。一方、透明樹脂層4が厚くなりすぎると光学信頼性と耐水性が低下するため、透明樹脂層4の厚さは3μm以下であるのが好ましく、3μm未満であるのがより好ましく、2μm以下であるのがさらに好ましい。
【0058】
前記塗工液の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0059】
前記透明樹脂層4の形成材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂材料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でもポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂からなる群から選択される1種以上が好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂がより好ましい。
【0060】
前記塗工液としては、水に溶解又は分散した樹脂成分を含む塗工液が好ましい。水に溶解又は分散した樹脂成分は、常温(25℃)で、水に溶解した樹脂、水に可溶な樹脂を水系溶媒に溶解させたもののことをいう。塗工液が、水系又は水分散系であると、偏光子1の表面に損傷部が存在する場合に、偏光子1の表面が膨潤することで損傷部に、前記塗工液が馴染むため有利である。すなわち、塗工液が水系又は水分散系であると、偏光子を構成する当該損傷部周辺のポリビニルアルコール分子の配向性を一部緩和すると共に、当該損傷部周辺のホウ酸含有量を低減することができるため、透明樹脂層4の厚みが小さくても(例えば、3μm未満、好ましくは2μm以下であっても)、当該損傷部の拡大を効果的に抑制することができる。
【0061】
水に溶解又は分散することができる樹脂成分の代表例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、メチロール化メラミン樹脂、メチロール化ユリア樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。前記樹脂成分としてはポリビニルアルコール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、メチロール化メラミンが好適に用いられる。特に、偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂との密着性の観点から前記樹脂成分としてはポリビニルアルコール系樹脂が好適である。以下では、ポリビニルアルコール系樹脂を用いた場合を説明する。
【0062】
透明樹脂層4は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する形成材(塗工液)から形成することが好ましい。透明樹脂層を形成するポリビニルアルコール系樹脂は、「ポリビニルアルコール系樹脂」である限り、偏光子が含有するポリビニルアルコール系樹脂と同一でも異なっていてもよい。
【0063】
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。また、ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物が挙げられる。前記共重合性を有する単量体がエチレンの場合には、エチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。また、前記共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独で又は二種以上を併用することができる。
【0064】
前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、例えば、95モル%以上のものを用いることができるが、耐湿熱性や耐水性を満足させる観点からは、ケン化度は99モル%以上が好ましく、さらには99.7モル%以上が好ましい。ケン化度は、ケン化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を表したものであり、残基はビニルエステル単位である。ケン化度は、JIS−K6726−1994に準じて求めることができる。
【0065】
前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、例えば、500以上のものを用いることができるが、耐湿熱性や耐水性を満足させる観点からは、平均重合度は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS−K6726に準じて測定される。
【0066】
また、前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、前記ポリビニルアルコール又はその共重合体の側鎖に親水性の官能基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。前記親水性の官能基としては、例えば、アセトアセチル基、カルボニル基等が挙げられる。その他、ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールを用いることができる。
【0067】
透明樹脂層4又は塗工液(固形分)中のポリビニルアルコール系樹脂の割合は、80重量%以上であるのが好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。
【0068】
前記塗工液は、前記ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解させた溶液として調整される。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト、アミドN−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、又は、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶剤として水を用いた水溶液として用いるのが好ましい。前記形成材(例えば、水溶液)における、前記ポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、特に制限はないが、塗工性や放置安定性等を考慮すれば、0.1〜15重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。
【0069】
なお、前記塗工液(例えば、水溶液)には、添加剤を添加することができる。前記添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等の安定剤等を配合することもできる。
【0070】
次いで、前記透明樹脂層4の形成にあたり、透明樹脂層を構成することができる硬化性成分を含む塗工液を用いる場合について説明する。硬化性成分としては、電子線硬化型、紫外線硬化型、可視光線硬化型等の活性エネルギー線硬化型と熱硬化型に大別することができる。さらには、紫外線硬化型、可視光線硬化型は、ラジカル重合硬化型とカチオン重合硬化型に区分出来る。本発明において、波長範囲10nm〜380nm未満の活性エネルギー線を紫外線、波長範囲380nm〜800nmの活性エネルギー線を可視光線として表記する。前記ラジカル重合硬化型の硬化性成分は、熱硬化型の硬化性成分として用いることができる。
【0071】
(ラジカル重合硬化型形成材)
前記硬化性成分としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合のラジカル重合性の官能基を有する化合物が挙げられる。これら硬化性成分は、単官能ラジカル重合性化合物又は二官能以上の多官能ラジカル重合性化合物のいずれも用いることができる。また、これらラジカル重合性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味し、「(メタ)」は以下同様の意味である。
【0072】
(単官能ラジカル重合性化合物)
単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。(メタ)アクリルアミド誘導体は、偏光子との密着性を確保するうえで、また、重合速度が速く生産性に優れる点で好ましい。(メタ)アクリルアミド誘導体の具体例としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミド等のN−メルカプトアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;等が挙げられる。また、(メタ)アクリルアミド基の窒素原子が複素環を形成している複素環含有(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等が挙げられる。
【0073】
前記(メタ)アクリルアミド誘導体の中でも、偏光子との密着性の点から、N−ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、特に、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0074】
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する各種の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸(炭素数1〜20)アルキルエステル類が挙げられる。
【0075】
また、前記(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;
2−イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5−ノルボルネン−2−イル−メチル(メタ)アクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、等の多環式(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基又はフェノキシ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0076】
また、前記(メタ)アクリル酸誘導体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ヘキシル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等のオキセタン基含有(メタ)アクリレート;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブチロラクトン(メタ)アクリレート、等の複素環を有する(メタ)アクリレートや、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸付加物、p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0077】
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーが挙げられる。
【0078】
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、メチルビニルピロリドン等のラクタム系ビニルモノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等の窒素含有複素環を有するビニル系モノマー等が挙げられる。
【0079】
また、単官能ラジカル重合性化合物としては、活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物を用いることができる。活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は、末端又は分子中に(メタ)アクリル基等の活性二重結合基を有し、かつ活性メチレン基を有する化合物である。活性メチレン基としては、例えば、アセトアセチル基、アルコキシマロニル基、又はシアノアセチル基等が挙げられる。前記活性メチレン基がアセトアセチル基であることが好ましい。活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;2−エトキシマロニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N−(2−シアノアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)アクリルアミド、N−(4−アセトアセトキシメチルベンジル)アクリルアミド、N−(2−アセトアセチルアミノエチル)アクリルアミド等が挙げられる。活性メチレン基を有するラジカル重合性化合物は、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0080】
(多官能ラジカル重合性化合物)
また、二官能以上の多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオぺンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンが挙げられる。具体例としては、アロニックスM−220、M−306(東亞合成(株)製)、ライトアクリレート1,9ND−A(共栄社化学(株)製)、ライトアクリレートDGE−4A(共栄社化学(株)製)、ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学(株)製)、SR−531(Sartomer社製)、CD−536(Sartomer社製)等が挙げられる。また必要に応じて、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。
【0081】
ラジカル重合性化合物は、偏光子との密着性と光学耐久性を両立させる観点から、単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物を併用することが好ましい。通常は、ラジカル重合性化合物100重量%に対して、単官能ラジカル重合性化合物3〜80重量%と多官能ラジカル重合性化合物20〜97重量%の割合で併用することが好ましい。
【0082】
(ラジカル重合硬化型形成材の態様)
ラジカル重合硬化型形成材は、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の形成材として用いることができる。活性エネルギー線に電子線等を用いる場合には、当該活性エネルギー線硬化型形成材は光重合開始剤を含有することは必要ではないが、活性エネルギー線に紫外線又は可視光線を用いる場合には、光重合開始剤を含有するのが好ましい。一方、前記硬化性成分を熱硬化性成分として用いる場合には、当該形成材は熱重合開始剤を含有するのが好ましい。
【0083】
(光重合開始剤)
ラジカル重合性化合物を用いる場合の光重合開始剤は、活性エネルギー線によって適宜に選択される。紫外線又は可視光線により硬化させる場合には紫外線又は可視光線開裂の光重合開始剤が用いられる。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンゾインブチルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,2―プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、ドデシルチオキサントン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
【0084】
前記光重合開始剤の配合量は、硬化性成分(ラジカル重合性化合物)の全量100重量部に対して、20重量部以下である。光重合開始剤の配合量は、0.01〜20重量部であるのが好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
【0085】
また、硬化性成分としてラジカル重合性化合物を含有する可視光線硬化型で用いる場合には、特に380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤を用いることが好ましい。380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤については後述する。
【0086】
前記光重合開始剤としては、下記一般式(1)で表される化合物;
【化1】
(式中、R
1及びR
2は−H、−CH
2CH
3、−iPr又はClを示し、R
1及びR
2は同一又は異なっても良い)
を単独で使用するか、あるいは一般式(1)で表される化合物と後述する380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤とを併用することが好ましい。一般式(1)で表される化合物を使用した場合、380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤を単独で使用した場合に比べて密着性に優れる。一般式(1)で表される化合物の中でも、R
1及びR
2が−CH
2CH
3であるジエチルチオキサントンが特に好ましい。当該形成材(塗工液)中の一般式(1)で表される化合物の組成比率は、硬化性成分の全量100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、0.5〜4重量部であることがより好ましく、0.9〜3重量部であることがさらに好ましい。
【0087】
また、必要に応じて重合開始助剤を添加することが好ましい。重合開始助剤としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルが特に好ましい。重合開始助剤を使用する場合、その添加量は、硬化性成分の全量100重量部に対して、通常0〜5重量部、好ましくは0〜4重量部、最も好ましくは0〜3重量部である。
【0088】
また、必要に応じて公知の光重合開始剤を併用することができる。UV吸収能を有する保護フィルムは、380nm以下の光を透過しないため、光重合開始剤としては、380nm以上の光に対して高感度な光重合開始剤を使用することが好ましい。具体的には、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。
【0089】
特に、光重合開始剤として、一般式(1)の光重合開始剤に加えて、さらに下記一般式(2)で表される化合物;
【化2】
(式中、R
3、R
4及びR
5は−H、−CH
3、−CH
2CH
3、−iPr又はClを示し、R
3、R
4及びR
5は同一又は異なっても良い)
を使用することが好ましい。一般式(2)で表される化合物としては、市販品でもある2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE907、BASF社製)が好適に使用可能である。その他、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:IRGACURE369、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE379、BASF社製)が感度が高いため好ましい。
【0090】
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤としては、熱開裂によって重合が開始しないものが好ましい。例えば、熱重合開始剤としては、10時間半減期温度が65℃以上、さらには75〜90℃であるものが好ましい。なお、半減期とは、重合開始剤の分解速度を表す指標であり、重合開始剤の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログ等に記載されており、例えば、日本油脂(株)の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」等に記載されている。
【0091】
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ラウロイル(10時間半減期温度:64℃)、過酸化ベンゾイル(10時間半減期温度:73℃)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン(10時間半減期温度:90℃)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:49℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:51℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度:48℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド(10時間半減期温度:64℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:66℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド(10時間半減期温度:73℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(10時間半減期温度:81℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機系過酸化物が挙げられる。
【0092】
また、熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度:67℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(10時間半減期温度:67℃)、1,1−アゾビス−シクロへキサン−1−カルボニトリル(10時間半減期温度:87℃)等のアゾ系化合物が挙げられる。
【0093】
熱重合開始剤の配合量は、硬化性成分(ラジカル重合性化合物)の全量100重量部に対して、0.01〜20重量部である。熱重合開始剤の配合量は、さらには0.05〜10重量部、さらには0.1〜3重量部であるのが好ましい。
【0094】
(カチオン重合硬化型形成材)
カチオン重合硬化型形成材の硬化性成分としては、エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。エポキシ基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。好ましいエポキシ化合物として、分子内に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の芳香環を有する化合物(芳香族系エポキシ化合物)や、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個は脂環式環を構成する隣り合う2個の炭素原子との間で形成されている化合物(脂環式エポキシ化合物)等が例として挙げられる。
【0095】
(光カチオン重合開始剤)
カチオン重合硬化型形成材は、硬化性成分として以上で説明したエポキシ化合物及びオキセタン化合物を含有し、これらはいずれもカチオン重合により硬化するものであることから、光カチオン重合開始剤が配合される。この光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基やオキセタニル基の重合反応を開始する。
【0096】
1−2.固化又は硬化工程
本発明の製造方法は、得られた塗布膜を固化又は硬化する工程を含む。塗布膜を固化又は硬化することで、透明樹脂層4を形成することができる。
【0097】
前記塗工液が、樹脂成分を含む塗工液の場合、前記透明樹脂層4の形成にあたり、前記塗工液を塗布した後には、当該樹脂成分に種類に応じて固化させる。前記樹脂成分を含む塗工液は、前記樹脂成分を溶剤に溶解した溶液又は分散させた分散液であり、例えば、水系の溶液、水分散系の分散液、又は溶剤系の溶液として用いられる。前記固化は、前記塗工液中から溶剤を除去することにより透明樹脂層4を形成することをいう。例えば、前記樹脂成分がポリビニルアルコール系樹脂の場合には、前記塗工液は水溶液として用いることができ、加熱(乾燥)等により固化を施すことができる。また、前記樹脂成分が水溶性アクリルの場合も同様に固化を施すことができる。
【0098】
乾燥温度は、特に限定されるものではなく、通常、60〜200℃程度であるが、本発明においては、カール抑制の観点から、120℃以下であることが好ましく、100℃以下がより好ましい。乾燥時間は180秒以内であるのが好ましく、120秒以内がより好ましく、60秒以内がさらに好ましい。
【0099】
一方、前記透明樹脂層4の形成にあたり、透明樹脂層を構成することができる硬化性成分を含む塗工液を塗布した後には、当該硬化性成分の種類に応じて、当該硬化性成分が透明樹脂層を形成することができる硬化を施す。前記樹脂を構成することができる硬化性成分を含む塗工液は、前記硬化性成分が塗工液を呈するものであれば、無溶剤系で用いることができる。また、前記塗工液は、前記硬化性成分を溶剤に溶解した溶液を用いることができる。なお、前記硬化性成分が塗工液を呈する場合にも溶液として用いることができる。前記溶剤としは、用いる硬化性成分に応じて適宜に選択することができる。例えば、前記硬化性成分として、アクリル系樹脂を形成するアクリル系モノマーを用いる場合、エポキシ樹脂を形成するエポキシ系モノマーを用いる場合には、前記硬化性成分を含む塗工液に活性エネルギー線照射(紫外線照射)等による硬化を施すことができる。
【0100】
前記硬化型形成材(塗工液)による透明樹脂層4の形成は、偏光子の面に、硬化型形成材を塗工し、その後、硬化することにより行う。
【0101】
偏光子1は、上記硬化型形成材を塗工する前に、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理による処理等が挙げられる。
【0102】
前記硬化型形成材は、活性エネルギー線硬化型形成材又は熱硬化型形成材として用いられる。活性エネルギー線硬化型形成材では、電子線硬化型、紫外線硬化型、可視光線硬化型の態様で用いることができる。前記硬化型形成材の態様は生産性の観点から熱硬化型形成材よりも、活性エネルギー線硬化型形成材が好ましく、さらには活性エネルギー線硬化型形成材としては、可視光線硬化型形成材が生産性の観点から好ましい。
【0103】
(活性エネルギー線硬化型)
活性エネルギー線硬化型形成材では、偏光子に活性エネルギー線硬化型形成材を塗工した後、活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線等)を照射し、活性エネルギー線硬化型形成材を硬化して透明樹脂層4を形成する。活性エネルギー線(電子線、紫外線、可視光線等)の照射方向は、任意の適切な方向から照射することができる。好ましくは、透明樹脂層4側から照射する。
【0104】
(電子線硬化型)
電子線硬化型において、電子線の照射条件は、上記活性エネルギー線硬化型形成材を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が、好ましくは5kV〜300kVであり、さらに好ましくは10kV〜250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が透明樹脂層4最深部まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて、保護フィルム2や偏光子1にダメージを与えるおそれがある。照射線量としては、5〜100kGy、さらに好ましくは10〜75kGyである。照射線量が5kGy未満の場合は、透明樹脂層4が硬化不足となり、100kGyを超えると、保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所定の光学特性を得ることができない。
【0105】
電子線照射は、通常、不活性ガス中で照射を行うが、必要であれば大気中や酸素を少し導入した条件で行ってもよい。
【0106】
(紫外線硬化型、可視光線硬化型)
本発明の製造方法では、活性エネルギー線として、波長範囲380nm〜450nmの可視光線を含むもの、特には波長範囲380nm〜450nmの可視光線の照射量が最も多い活性エネルギー線を使用することが好ましい。本発明に係る活性エネルギー線としては、ガリウム封入メタルハライドランプ、波長範囲380〜440nmを発光するLED光源が好ましい。あるいは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー又は太陽光等の紫外線と可視光線を含む光源を使用することができ、バンドパスフィルターを用いて380nmより短波長の紫外線を遮断して用いることもできる。
【0107】
(熱硬化型)
一方、熱硬化型形成材では、加熱することにより、熱重合開始剤により重合を開始して、硬化物層を形成する。加熱温度は、熱重合開始剤に応じて設定されるが、60〜200℃程度、好ましくは80〜150℃である。
【0108】
2.粘着剤層付偏光フィルムの製造方法
本発明の粘着剤層付偏光フィルムの製造方法は、前記製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの透明樹脂層4上に粘着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0109】
(1)粘着剤層
粘着剤層の形成には、適宜な粘着剤を用いることができ、その種類について特に制限はない。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられる。
【0110】
これら粘着剤の中でも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0111】
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤を剥離処理したセパレータ等に塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を形成した後に、透明樹脂層4上に転写する方法又は透明樹脂層4に前記粘着剤を塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を透明樹脂層4上に形成する方法等により作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0112】
剥離処理したセパレータとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を加熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、40℃〜200℃であることが好ましく、50℃〜180℃がより好ましく、70℃〜170℃がさらに好ましい。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
【0113】
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒〜20分が好ましく、5秒〜10分がより好ましく、10秒〜5分がさらに好ましい。
【0114】
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
【0115】
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度であり、2〜50μmが好ましく、2〜40μmがより好ましく、5〜35μmがさらに好ましい。
【0116】
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレータ)で粘着剤層を保護してもよい。
【0117】
セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0118】
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
【0119】
前記セパレータの厚みは、通常5〜200μm程度であり、5〜100μm程度が好ましい。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0120】
(2)表面保護フィルム
本発明の偏光フィルム(片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルムを含む)には、表面保護フィルムを設けることができる。表面保護フィルムは、通常、基材フィルム及び粘着剤層を有し、当該粘着剤層を介して偏光フィルムを保護する。
【0121】
表面保護フィルムの基材フィルムとしては、検査性や管理性等の観点から、等方性を有する又は等方性に近いフィルム材料が選択される。そのフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂のような透明なポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂が好ましい。基材フィルムは、1種又は2種以上のフィルム材料のラミネート体として用いることもでき、また前記フィルムの延伸物を用いることもできる。基材フィルムの厚さは、一般的には、500μm以下、好ましくは10〜200μmである。
【0122】
表面保護フィルムの粘着剤層を形成する粘着剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。透明性、耐候性、耐熱性等の観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、必要とされる粘着力に応じて決定される。通常1〜100μm程度、好ましくは5〜50μmである。
【0123】
なお、表面保護フィルムには、基材フィルムにおける粘着剤層を設けた面の反対面に、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の低接着性材料により、剥離処理層を設けることができる。
【0124】
3.光学積層体の製造方法
本発明の光学積層体の製造方法は、前記製造方法により得られた粘着剤層付偏光フィルムを巻き取ることなく、前記粘着剤層を介して光学部材に貼り合せる工程を含むことを特徴とする。
【0125】
本発明の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルムや、当該透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを用いた粘着剤層付偏光フィルムは、カールが抑制されているため、当該フィルムをロール等に巻き取ることなく、そのまま次の工程で使用することができるすなわち、粘着剤層を介して光学部材に貼り合せることで、光学積層体を製造することができる。従来の製造方法により(透明樹脂層付の)片保護偏光フィルムを製造すると、フィルムの端部においてカールが発生する場合があり、カールが発生すると、次工程への搬送の際にフィルム端部に折れやシワによるフィルムの破断が発生したりするため、そのまま次工程に使用することが困難であった。
【0126】
前記光学部材としては、特に限定されるものではないが、例えば、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることがあるものを1層又は2層以上用いることができる。光学積層体としては、特に、本発明の製造方法により得られた粘着剤層付偏光フィルムに、さらに、反射板又は半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルム又は半透過型偏光フィルム、本発明の製造方法により得られた粘着剤層付偏光フィルムに、さらに、位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルム又は円偏光フィルム、本発明の製造方法により得られた粘着剤層付偏光フィルムに、さらに、視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは、本発明の製造方法により得られた粘着剤層付偏光フィルムに、さらに、輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
【0127】
本発明の粘着剤層付偏光フィルムに上記光学部材を積層した光学積層体は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学積層体としたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置等の製造工程を向上させ得る利点がある。光学部材を2層以上積層する場合には、粘着剤層等の適宜な接着手段を用いることができる。前記粘着剤層付偏光フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性等に応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0128】
本発明の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、又は光学積層体は、液晶表示装置等の各種装置の形成等に好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと透明樹脂層付の片保護偏光フィルム又は光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むこと等により形成されるが、本発明においては、本発明の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、又は光学積層体を用いる点を除いては、特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えば、IPS型、VA型等の任意なタイプのものを用いうるが、特にIPS型に好適である。
【0129】
液晶セルの片側又は両側に、本発明の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、又は光学積層体を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたもの等の適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、又は光学積層体は、液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に本発明の製造方法により得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、又は光学積層体を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライト等の適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【実施例】
【0130】
以下に、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明は、以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部及び%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃、65%R.H.である。
【0131】
製造例1(偏光子の作製)
吸水率0.75%、ガラス転移温度(Tg)75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度:4200、ケン化度:99.2モル%)及びアセトアセチル変性PVA(商品名:ゴーセファイマーZ200、重合度:1200、アセトアセチル変性度:4.6%、ケン化度:99.0モル%以上、日本合成化学工業(株)製)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布及び乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
以上により、厚み5μmの偏光子を含む光学フィルム積層体を得た。
【0132】
製造例2(片保護偏光フィルムの作製)
厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施したものと保護フィルムとして用いた。
【0133】
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤(商品名:IRGACURE 819、BASF社製)3重量部を混合し、紫外線硬化型接着剤を調製した。これを保護フィルム用接着剤とした。
【0134】
製造例1で得られた光学フィルム積層体の偏光子の表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが1μmとなるように塗布しながら、上記保護フィルムを貼合せたのち、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。紫外線照射は、ガリウム封入メタルハライドランプ(照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製のLight HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm
2、積算照射量:1000/mJ/cm
2(波長380〜440nm))を使用し、紫外線の照度は、Solatell社製のSola−Checkシステムを使用して測定した。次いで、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルム(総厚み46μm)作製した。
得られた片保護偏光フィルムの光学特性は単体透過率42.8%、偏光度99.99%であった。
【0135】
<単体透過率T及び偏光度P>
得られた片保護偏光フィルムの単体透過率T及び偏光度Pを、積分球付き分光透過率測定器((株)村上色彩技術研究所のDot−3c)を用いて測定した。
なお、偏光度Pは、2枚の同じ偏光フィルムを両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)及び、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
【0136】
製造例3(透明樹脂層を形成する塗工液の製造)
重合度2500、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール樹脂を純水に溶解し、固形分濃度4重量%、粘度60mPa・s(25℃)の水溶液(塗工液)を調製した。
【0137】
<粘度測定>
塗工液の粘度は、VISCOMETER R85型粘度計 RE85L(東機産業(株)製)を用いて下記の条件で測定した。
測定温度:25℃
回転数:0.5〜100rpm
コーンローター:1°34’×R24
【0138】
実施例1(透明樹脂層付の片保護偏光フィルムの作製)
製造例2で得られた片保護偏光フィルムの偏光子の面(保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、製造例3で得られた塗工液(透明樹脂層の形成材)を、グラビアロールを用いて厚みが25μmになるように塗布した。塗布は、片保護偏光フィルムの幅方向において全面に行った。塗布後、フローティング方式オーブンを用いて、95℃で30秒間熱風乾燥して、厚さ1μmの透明樹脂層を形成し、透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを作製した。
【0139】
実施例2、比較例1
実施例1において、片保護偏光フィルムの幅方向の両端から内側に向かって、表1に記載の未塗布部分を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを作製した。
【0140】
実施例、比較例で得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを用いて、以下の評価を行った。評価結果は表1に示す。
【0141】
<カールの発生>
得られた透明樹脂層付の片保護偏光フィルムを、透明樹脂層を上に向けた状態で23℃、55%R.H.の条件下で巻取り直後の偏光板フィルムのカール量を評価した。カール測定は、塗工端部箇所が含まれるように、吸収軸に対して45度、一片を150mmのひし形にサンプルカットしたのち、水平卓上に透明樹脂層側が上になるようにサンプルをセットした。セットしたサンプルの塗工端部箇所のカールをものさしにて測定し、以下の評価基準により評価した。
A:10mm以下
B:10mmを超え30mm以下
C:30mmを超える
【0142】
【表1】
【0143】
実施例の透明樹脂層付の片保護偏光フィルムは、いずれもカール発生が抑制されていた。一方、比較例1の透明樹脂層付の片保護偏光フィルムでは、保護フィルム側が凸状、透明樹脂層側が凹状になるように、カールが発生した。