(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定部が前記基板に固定された場合に、前記平坦部は、前記基板の主面のうち前記第1方向を向く第1主面と、前記基板の主面のうち前記第2方向を向く第2主面との間に位置する
請求項5に記載のコネクタ。
前記収容部の前記開口部を設けた一端から、前記収容部の前記一端に対向する他端に向かって、前記第1平面との距離が次第に近づくように、前記収容部は前記第1平面に対して傾斜して配置されてなる、
請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタ。
前記固定部が前記基板に固定された場合に、前記収容部の前記開口部を設けた一端に対向する他端の少なくとも一部が、前記基板の主面のうち前記第1方向を向く第1主面と、前記基板の主面のうち前記第2方向を向く第2主面との間に配置される
請求項1から7のいずれか1項に記載のコネクタ。
前記開口部に挿設した前記ケーブルの前記開口部における前記第2方向の端部の点Pから、前記第1平面或いはその延長に下した垂線の長さは、前記第1主面から前記第2主面の間の長さよりも長い、請求項16又は17に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施の形態であるコネクタ1について
図1乃至
図3を参照して説明する。図示されたコネクタ1は、基板20(
図12等)に実装されるべき実装部2、及び、線状導体であるケーブルを受けるケーブル嵌合部3を備える。図示されたケーブル嵌合部3は実装部2の下側、
第1方向D1側に設けられている。後述するように、所定の形状に切り出した一枚の金属板を折り曲げることにより、実装部2、ケーブル嵌合部3は形成される。
【0025】
実装部2は板状部材である。
図1に示すように、実装部2を構成する板状部材は、2つの面、即ち、第1平面5(或いは下面5)、第2平面6(或いは上面6)を有する。第1平面5は図の下側、第1方向D1を向いている。第2平面6は図の上側、第2方向D2を向いている。
【0026】
実装部2は、長手方向両端部の第1平面5側に基板接点部7(固定部)を備える。基板接点部7はSMT(Surface Mounting Technology)部7とも呼ばれる場合がある。コネクタ1を基板20の表面に実装した場合、基板接点部7は、後述する基板20の実装面21に設けられた基板導体25と電気的に接続される。
【0027】
また、実装部2は、第2平面(上面)6における長手方向及び短手方向の中心付近の領域に、吸着部8を備える。吸着部8はコネクタ1をコレットで保持する際に、コレットの先端の吸着口を接触させる部位である。コレットとは、自動マウント装置がマウントする部品を吸着する際に用いる吸着ノズルであり、対象となる部品に接触させて吸着するための吸着口を先端に備える。この吸着部8は平坦である。このため、コレットがコネクタ1を吸着する際、コレットの先端と吸着部8の間には隙間が生じない。また、吸着部8は、実装部2の中心付近に設けられている。このため、コレットによる吸着の際に、コネクタ1のバランスが崩れにくい。コレットは、コネクタ1が安定した姿勢を保ちながら、コネクタ1を保持することができる。
【0028】
図2に示すように、ケーブル嵌合部3は、ケーブルを収容する主要部である収容部3Aと、収容部3Aを実装部2に結合する連結部4とを備える。収容部3Aは、上部カバー9とケーブル接点部11とを備える。ケーブル接点部11は上部カバー9の下に配置されている。
【0029】
収容部3Aは
図1〜3の左側に開いた開口10を備える。
図7等を参照して後述する被覆導線16を開口10から挿入すると、収容部3Aは被覆導線16を受容する。このため、開口10は、コネクタ1を実装する基板20の厚さUに応じた位置に配置される。コネクタ1を基板20に実装したとき、開口10は、少なくとも被覆導線16が挿入可能な程度に基板20から露出するように構成される。
図2では、開口10は基板20から完全に露出している。また、収容部3Aは、その内部、開口10の奥に配置されたケーブル接点部11を備える。ケーブル接点部11は、被覆導線16の被覆18から露出した裸導線17Aと接触する。
【0030】
実装部2と収容部3Aを連結する連結部4は実装部2と上部カバー9とを連結する橋絡部を有している。本実施の形態では、連結部4の橋絡部は実装部2と収容部3Aとを斜めに連結する。後述するように、収容部3Aには被覆導線16を挿入するが、その挿入する方向を
図2の点線Iで示す。点線Hは水平面を示す点線であり、実装部2の第1平面5、第2平面6と平行な面を示している。コネクタ1を基板20に実装したとき、後述する基板20の実装面21、背面22も点線Hと平行である。図示されているように、点線Iは点線Hに対して角度Bだけ傾いている。
【0031】
このように、挿入方向Iは水平面(実装部2の第1平面5、第2平面6)とは平行ではないので、挿入方向Iを示す点線(或いはその延長線)は、実装部2がなす平面と交わる。同様に、コネクタ1を後述する基板20に実装したとき、挿入方向Iは、第1平面5に沿って配置される基板20とも交わる。
【0032】
このような傾斜角Bを収容部3Aに付与するのは、開口10から被覆導線16を挿入する作業を容易にするためである。
【0033】
このことをより具体的に説明する。まず、コネクタ1が基板20に取り付けられ、コネクタ1に被覆導線16が未挿入の状態にあるものとする。次に、収容部3Aに被覆導線16を挿入するため、作業者が被覆導線16を把持し、被覆導線16の先端を開口10に近づけたものとする。この場合、被覆導線16の先端が開口10の直前にあるものとし、作業者は被覆導線16の先端からやや離れた箇所を把持しているものとする。
【0034】
このとき、傾斜角Bが設けられているので、作業者が被覆導線16を把持している場所は、被覆導線16の先端よりも、基板20から離れている。このため、傾斜角Bがなく、挿入方向Iが水平面Hと平行な場合と比較して、指先と基板20との間の空間を広くとることが可能であり、作業者は容易に作業を行うことができる。
【0035】
上述のコネクタ1は
図4に示すような一枚の金属板を折り曲げて形成される。このため、コネクタ1は部品点数が少なく、製造コストを低く抑えやすいという利点がある。
【0036】
その一方で、金属板の折り曲げ構造は別の問題の原因ともなる。
図4を見れば分かるように、単純化して言うと、コネクタ1では、略長方形の金属板を長辺方向に折り曲げて、短辺を含む領域を互いに重ねることにより、実装部2、収容部3A、連結部4を形成している。このような金属板の折り曲げ構造のため、折り曲げを延ばすような向きの外力が作用すると、変形する恐れがある。
【0037】
具体的には、収容部3Aに開口10から被覆導線16を挿入する際、
図2の紙面奥の向きに、或いは、紙面手前の向きに、被覆導線16の先端が収容部3Aの内壁を押す力が作用することがある。このような外力に対抗し、収容部3Aが変形するのを防ぐため、収容部3Aは、折り曲げ部12、凸部13を備える。
【0038】
図4に示すように、コネクタ1をなす金属板は概ね長方形を有する。特に、収容部3Aの構造は、単純化していえば、長方形の長辺方向に金属板を巻くように折り曲げることによって形成される。収容部3Aを形成する最後の段階で、
図5、
図6に示すように、折り曲げ部12は開口10の外側に向かって折り曲げられる。これにより、折り曲げ部12と凸部13とが互いにかみ合うように配置される。このかみ合いにより、開口10に対して間口を広げるような力が作用しても、開口10が変形するのを防ぐことができる。
【0039】
図7に示すように、収容部3Aの一端には四角形状の開口10が設けられている。開口10には被覆導線16が挿入される。被覆導線16は、導線17と被覆18とを備える。被覆導線16の端部の被覆18は除去されて、裸導線17Aが露出している。開口10の奥には、開口10の間口を図中の左右方向に狭めるように、ケーブルストッパー15が設けられている。
【0040】
ケーブルストッパー15は、開口10の奥にある図中左右の収容部3Aの内壁それぞれから、被覆導線16の挿入方向Iと交わる向きに突出するように配置された2枚の板状部材からなる。
【0041】
収容部3Aに被覆導線16を収容した状態を挿入方向Iに沿って透視したとき、2つの板状部材は、被覆18と重なり、かつ、導線17と重ならないように構成される。例えば、被覆導線16の断面が円の場合、2つの板状部材の間の間隙は、裸導線17Aの直径よりも広く、かつ、被覆18を含む被覆導線16の直径よりも狭くなるように構成されることとなる。このため、被覆18が除去された裸導線17Aはケーブルストッパー15の間の間隙を通過することができる一方、被覆18はケーブルストッパー15の間隙を通過することができない。このようにして、ケーブルストッパー15は、被覆18の端部と干渉することにより、被覆導線16がそれ以上収容部3Aの奥に進むのを抑止する。
【0042】
ケーブルストッパー15を設けることにより、コネクタ1に被覆導線16を接続する作業の負荷が軽減される。コネクタ1に被覆導線16を接続する際には、被覆導線16を適切な長さだけ収容部3Aに挿入する必要がある。ケーブルストッパー15がない場合、作業者は、例えば、挿入する分の被覆導線16の長さを示す印を被覆導線16に記し、その後、被覆導線16を開口10から挿入する必要がある。しかし、ケーブルストッパー15を収容部3Aの適切な位置に設けることにより、作業者は、端部から裸導線17Aを露出させた被覆導線16を、干渉の手ごたえを感じるまで開口10から挿入するだけでよく、例えば被覆導線16の端部に挿入長さを示す印等を予め設ける必要はない。
【0043】
図4と共に説明したようにコネクタ1は一枚の金属板を折り曲げて形成される。金属板は導線17よりも硬い材料からなり、ケーブル接点部11は、この一枚の金属板の折り曲げにより形成された、一対の平板に設けられる。
【0044】
図2において、挿入方向Iに沿って被覆導線16を開口10から収容部3Aに挿入する向きを奥側とし、その逆向き、即ち、収容部3Aに収容された被覆導線16を抜く向きを手前側とする。このとき、
図10に示すように、一対の平板の手前側の一端はそれぞれ収容部3Aに固定されている。一対の平板は、それぞれ、収容部3Aに固定端を有する片持ち梁となる。
【0045】
一対の平板は、収容部3Aから挿入方向Iに沿って延びた後、内側に、即ち、挿入方向Iと斜めに交わる向きに折れ曲がる。その後、一対の平板は、折れ曲がりから直進する。折れ曲がりにより、ケーブル接点部11は、手前側が広く、奥側が狭いテーパ―を形成する。また、この折れ曲がりにより、ケーブル接点部11は、被覆導線16の挿入に応じて弾性変形する板バネとして作用する。
【0046】
被覆導線16が未挿入の状態にあるとき、ケーブル接点部11は、これから挿入しようとしている被覆導線16の進路を塞ぐような位置に配置されている。具体的には、ケーブル接点部11、即ち、2つの片持ち梁の自由端は互いに接触するように配置されている。或いは、2つの自由端の間に間隙を有するように配置されてもよいが、その場合には、被覆導線16の先端、即ち、裸導線17Aが挿入されたとき、どちらの自由端にも接触する長さの間隙を有するように配置される。例えば、裸導線17Aの断面が円形である場合、2つの自由端の間隙は、裸導線17Aの直径よりも狭くなるように配置される。
【0047】
被覆導線16を開口10から挿入し、被覆導線16を徐々に推し進めていくと、裸導線17Aの先端は、ケーブル接点部11をなす2枚の金属板それぞれに対して斜めに突き当たる。突き当たるのは、上述のように、2つの自由端が被覆導線16の進路を塞ぐように配置されているからである。
【0048】
裸導線17Aの先端が、ケーブル接点部11に接触した後、更に被覆導線16の挿入を続けると、2枚の金属板は、裸導線17Aから押す力を受けて板バネとして弾性変形し、テーパ―の先端を徐々に広げていく。また、これと並行して、裸導線17Aの先端は、ケーブル接点部11の表面がなす斜面を滑りながら進む。上述のように、被覆導線16が未挿入の状態にあるとき、ケーブル接点部11は被覆導線16の進路を塞ぐ形になっているが、ケーブル接点部11のテーパ―は弾性変形可能な金属板によって形成されているため、裸導線17Aの先端が押す力によって、ケーブル接点部11は、両開きのスイングドアが開くときのような動作をする。
【0049】
被覆導線16を更に推し進めると、裸導線17Aの先端が、ケーブル接点部11の表面がなす斜面の端部、即ち、片持ち梁の自由端に到達する。導線17及び被覆18の断面が円形である場合、裸導線17Aの端部を挟んで2つの自由端が向かい合い、裸導線17Aの直径と、2つの自由端の間の隙間の長さは一致する。この状態から更に被覆導線16を推し進めると、裸導線17Aの先端はケーブル接点部11を越えて奥に進む。このとき、ケーブル接点部11は、弾性力によって裸導線17Aの側面に向かって押しつけられながら、裸導線17Aの側面を滑る。テーパ―の先端が裸導線17Aの直径分だけ開き、その間を裸導線17Aが滑りながら、被覆導線16が収容部3Aの奥に進んでいく。尚、導線17及び被覆18の断面が円形以外の場合、裸導線17Aの先端が片持ち梁の自由端に到達したときに2つの自由端の間の隙間の長さと一致するのは、円形ではないので直径と言うことはできない。しかし、収容部3Aに収容された姿勢にあるときの導線17の断面形状における幅に相当する長さが、片持ち梁の自由端の間の隙間の長さに一致することは当業者には明らかであろう。
【0050】
被覆導線16を収容部3Aの更に奥に進めると、やがて、被覆18の端部がケーブルストッパー15と干渉する。この状態が
図8、
図10に当たる。この干渉により、被覆導線16を収容部3Aに挿入する作業を行っている作業者は、被覆導線16を収容部3A内の予め定められた位置にまで挿入したことに気付くことができ、挿入作業が終了する。
図10に示すように、挿入方向Iに沿って収容部3Aに挿入した裸導線17Aを、それぞれの自由端の間に挟むように、2つの片持ち梁が互いに向き合って配置される。以後、挿入した被覆導線16は収容部3Aによって収容される。その際、裸導線17Aはケーブル接点部11と電気的に接続された状態となる。
【0051】
上述のように、ケーブル接点部11をなす2つの片持ち梁の折り曲げから先の部分は、挿入方向Iのうち、被覆導線16を挿入する向きに見たとき、挿入する向きの手前が広く、奥が狭いテーパ―を形成する。このテーパ―構造は、逆向きから見たとき、即ち、挿入方向Iのうち、被覆導線16を抜く方向に見たとき、逆テーパ―構造となる。また、コネクタ1を構成する金属板は導線17よりも硬い材料からなる。例えば、コネクタ1を構成する金属板をコルソン合金とし、導線17を軟銅とする。
【0052】
このようにすることによって、被覆導線16がコネクタ1から脱落するのを防止することができる。片持ち梁がケーブル接点部11を裸導線17Aの側面に押し付けているので、コネクタ1から被覆導線16が抜ける向きに力が作用すると、ケーブル接点部11と裸導線17Aとの間に摩擦抵抗が生じ、移動を妨げて、脱落を防ぐように作用する。
【0053】
また、ケーブル接点部11は被覆導線16を抜く方向に見たとき逆テーパ―構造を有するので、片持ち梁がケーブル接点部11を裸導線17Aの側面に押し付ける力と、被覆導線16を抜く向きの力が同時に作用すると、ケーブル接点部11の先端には、裸導線17Aに斜めに食い込むような向きに力が作用する。ケーブル接点部11を構成する金属板は、裸導線17Aよりも硬いので、ケーブル接点部11の先端は裸導線17Aの側面に食い込んでいく。その結果、
図10に示すように、ケーブル接点部11の先端は裸導線17Aの側面に食い込み、被覆導線16の脱落を妨げるように作用する。
【0054】
次に、基板20にコネクタ1を実装する過程、及び、基板20に実装したコネクタ1に被覆導線16を挿入する過程について説明する。
図11乃至
図15に示すように、基板20は図中で上側に位置する実装面21と、下側に位置する背面22を有し、実装面21上に3つのLED23が実装されている。尚、特許請求の範囲において、実装面21は第2主面に対応し、背面22は第1主面に対応する。基板20は実装面21から背面22にかけて貫通する貫通穴24を有する。
【0055】
貫通穴24の開口は、ケーブル嵌合部3のフットプリントよりも大きく、実装部2のフットプリントよりも小さくなるようにする。特に、貫通穴24の開口、ケーブル嵌合部3のフットプリント、及び、実装部2のフットプリントを長手方向について比較すると、ケーブル嵌合部3のフットプリントの長手方向の長さは、貫通穴24の開口の長手方向の長さよりも短くなるようにする。実装部2のフットプリントは、長手方向の両端に向かって伸びた基板接点部7を備えるため、少なくともその分だけ、ケーブル嵌合部3のフットプリントよりも長手方向に長くなる。基板接点部7を設けるための長さを適切に選択することにより、コネクタ1を貫通穴24の真上から垂直に下したとき、ケーブル嵌合部3は貫通穴24を通過し、背面22から突出する一方、実装部2は貫通穴24を通過せず、基板接点部7が実装面21に配置されるようにコネクタ1を構成することができる。
【0056】
今、基板20にはLED23は実装済みであり、コネクタ1は未実装であるとする。この状態から、コレットを用いて吸着部8を吸着することにより、コネクタ1を保持し、貫通穴24の直上に搬送した後、ケーブル嵌合部3を貫通穴24に挿入する。上述のように実装部2は貫通穴24を通過できない。このため、実装部2の基板接点部7は実装面21に接する。貫通穴24の周辺の基板接点部7に対応する位置に、導体パターン等の基板導体25を配置して、基板導体25と基板接点部7とを接触させる。これにより、実装面21上の基板導体25とコネクタ1との間の電気的な接続が確立される。基板導体25と基板接点部7の間を必要に応じて半田付けする。
【0057】
図1に示すように、吸着部8は、コネクタ1を基板20に実装したときに基板20の実装面21から最も高い位置に設けられている。このため、コレットを用いてコネクタ1を吸着する際に、両者が接触するのは、コレットの吸着口と吸着部8のみである。一般に、コレットの吸着口はコレット本体の先端に設けられる。一方、コネクタ1には実装面21から見て吸着部8よりも高い位置に配置された部位が存在しない。このため、吸着口以外のコレット本体とコネクタ1とは互いに接触しない。
【0058】
コレットを用いてコネクタ1を基板20に実装する過程、即ち、基板20に未実装の状態にあるコネクタ1をコレットで吸着してから、そのコネクタ1を基板20に実装し、コレットをコネクタ1から外すまでの間、コレットとコネクタ1とは、吸着口と吸着部8の間でのみ接触し、他の部位では接触しない。
【0059】
このため、コネクタ1によれば、吸着する際に用いるコレットの先端の形状や大きさの選択について柔軟に対応できるという利点がある。
【0060】
コレットには様々な形状のものがあるが、ここでは、円柱の先端に、先細りの円錐台を配置した形状を有するコレットを例に挙げる。円錐台の先端側の底面に吸着口が開き、もう一方の底面は円柱に接続されているものとする。このようなコレットでは、通常、吸着口周辺よりも円柱の方が直径が大きい。
【0061】
従来のコネクタでは、あるコレットの吸着口が吸着部8に吸着可能な大きさであるにも関わらず、そのコレットの円柱がコネクタの一部と干渉するという理由により、そのコレットをそのコネクタの吸着に用いることができないことがあった。
【0062】
しかし、コネクタ1には、実装面21から見て吸着部8よりも高い位置には何もないので、円柱の直径がかなり大きいコレットであってもコネクタ1の吸着に用いることができる。例えば、円柱の軸方向から見たとき、コレットの外形が、実装部2の短手方向や長手方向からはみ出すような大きさのものであっても構わない。
【0063】
コレットを用いて、基板20にコネクタ1を実装した後、被覆導線16がコネクタ1内に挿入される。連結部4に関して説明したように、被覆導線16の挿入方向Iは、実装部2の第1平面5、第2平面6に対して角度Bだけ傾いているので、挿入方向Iは基板20に対しても角度Bだけ傾いている。言い換えると、挿入方向Iは基板20に交わる方向に伸びている。傾きは、
図2に示すように、ケーブル嵌合部3のうち、開口10を有する側が基板20から離れ、開口10を有していない側が基板20に近づくように与えられている。被覆導線16のうち、ケーブル嵌合部3に挿入された部分は、挿入方向Iのままケーブル嵌合部3に保持される。
【0064】
図11乃至
図14を参照することによって理解できるように、コネクタ1に未挿入である被覆導線16の先端を、ケーブル嵌合部3に近づけていき、挿入する作業の過程において、作業者は、被覆導線16を挿入方向Iに沿った姿勢で保持しつつ、コネクタ1に近づけていく。この間、被覆導線16は、その先端側が基板20に近く、先端から離れるに従って基板20から離れる姿勢を保つ。通常、作業者は、被覆導線16の先端ではなく、先端からやや離れた位置を把持する。このため、作業者が把持する位置における被覆導線16と基板20の間の距離は、被覆導線16の先端と基板20の間の距離よりも長くなる。その結果、コネクタ1では被覆導線16を挿入する作業が容易になる。
【0065】
既に述べたように、開口10から収容部3Aに被覆導線16を挿入する都合上、コネクタ1を基板20に実装したとき、開口10は、少なくとも被覆導線16が挿入可能な程度に基板20から露出するように構成される。このことについて
図14、
図16を参照して更に説明する。
【0066】
今、開口10に被覆導線16を挿設した状態にあるものとする。即ち、ケーブルストッパー15が規定する所定の位置に収容部3Aが被覆導線16を収容しているものとする。このときの開口10の間口を考える。開口10の間口を占める被覆導線16の断面のうち、最も第2方向D2側にある点を
図14に点Pとして示す。点Pは開口10における第2方向D2の端部になる。このような点Pから第1平面5に向かって垂線を下す。この垂線の長さLは基板20の厚さUよりも長くなる。基板20の厚さUとは、基板20の実装面21(第2主面)から背面22(第1主面)の間の長さである。
【0067】
基板20の実装面21側に配置されるコネクタ1の部位は実装部2のみであり、被覆導線16を受容するケーブル嵌合部3は基板20の背面22側に配置される。実装部2は金属板であるため、実装面21からの実装部2の高さをTとすると、Tは金属板一枚相当である。同じく基板20に実装されるLED23は、実装部2と同じく実装面21側に配置される。LED23の実装面21からの高さをSとする。
図16に示すように、通常、金属板一枚分の高さTは、LED23の高さSよりも低い。このため、実装面21と平行に放射された光が、実装部2によって遮られることは通常は起きない。また、同じ理由から、LED23が発した熱を帯びた空気は、実装部2に遮られることなく拡散することができる。
【0068】
尚、
図3から明らかなように、ケーブル嵌合部3は実装部2と連結されている。更に、ケーブル嵌合部3は、実装部2がなす面とは平行ではない面を有する上部カバー9を備えている。言い換えると、コネクタ1は、実装部2とケーブル接点部11の間に位置する仮想的な面に沿って、上部カバー9を備える。しかし、上部カバー9は本発明に必ずしも必須のものではなく、後述するように、ケーブル接点部11の直上を直接実装部2にて覆う構成も考えられる。この場合、上部カバー9は不要である。
【0069】
(変形1)
図17、
図18を参照して、コネクタ1の一変形であるコネクタ30について説明する。図示されたコネクタ30は、実装部2に2つの屈曲部31を備える点でコネクタ1と異なる。
【0070】
具体的に言えば、吸着部8を含む実装部2の中央部分を挟んで互いに向かい合うように、コネクタ30は2つの屈曲部31を有している。2つの屈曲部31の間の部分は、ケーブル嵌合部3側に凹んだ凹部を形成する。
図18に示すように、2つの基板接点部7は両方とも実装面21の上に配置されている。一方、2つの屈曲部31の間の部分は、実装面21の高さを示す点線である実装面高さ32よりも低く、かつ、背面22よりも上の位置に、吸着部8を配置するように構成される。
【0071】
このような構成とすることにより、実装部2のうち、屈曲部31の間の部分については、基板20の実装面21から突出する部分を完全になくすことができる。このため、実装面21上に配置したLED23の側面を遮るものを一層少なくすることができる。
【0072】
コネクタ30の吸着部8にコレットの吸着口を接触させるとき、コレットの先端は基板20の貫通穴24の内部に入り、貫通穴24の壁面に囲まれる。このため、コネクタ30を吸着する際に使用可能なコレットは、その先端が、貫通穴24よりも小さい必要がある。しかし、吸着の際に貫通穴24の内部に入る必要があるのは、コレットの先端のうち、実装面高さ32から吸着部8までに相当する部分のみである。従って、実装面高さ32から吸着部8までに相当する部分が貫通穴24よりも小さいコレットであるならば、コネクタ30の吸着に用いることができる。コレットのうち、実装面高さ32よりも上の部分については、貫通穴24より大きくてもよい。
【0073】
尚、実装面高さ32と、吸着部8の高さとが完全に一致するように構成する場合、実装面高さ32から吸着部8までの高さはゼロになるため、このような空間は存在しない。このため、この場合には、先端が貫通穴24よりも大きいコレットであっても用いることができる。
【0074】
(変形2)
図19、
図20、
図21A、
図21Bを参照してコネクタ1の変形であるコネクタ40について説明する。コネクタ1では、ケーブル接点部11の上部を覆うものとして、実装部2とは別に、上部カバー9を備えていた。また、これに伴い、実装部2と上部カバー9とを連結するものとして連結部4を備えていた。これに対して、コネクタ40は、ケーブル接点部11の上部を実装部2で直接に覆う点でコネクタ1と異なる。このため、コネクタ40は、連結部4及び上部カバー9を備えていない。ケーブル接点部11は実装部2と直接に向かい合っている。
【0075】
このように、コネクタ40は、コネクタ1と比較して構造が簡略化されているため、製造が容易になる。また、必要な金属板の面積も小さくなるので、製造コストを低くすることができる。
【0076】
図20に示すように、ケーブル嵌合部3に被覆導線16を挿入する際の挿入方向Iは、コネクタ1と同様に、基板20の実装面21、実装部2の第1平面5に対して角度Bだけ傾いている。ケーブル嵌合部3に挿入された被覆導線16は、挿入方向Iのまま保持される。
【0077】
このように、連結部4がなく、また、ケーブル嵌合部3への被覆導線16の挿入方向が、基板20に対して傾いている。このため、角度Bの大きさ、基板20の厚さU、並びに被覆導線16の断面の形状及び大きさ等を考慮して適切に構成することにより、基板20にコネクタ40を配置する際、収容部3Aの上部を貫通穴24の内部に埋め込んだ状態で配置しつつも、収容部3Aのうち、開口10を有する側については、被覆導線16を挿入可能な程度に開口10を貫通穴24から露出させるように構成することができる。挿入方向に沿って収容部3Aを見たときに、開口10側に位置する収容部3Aの端部を挿入元端部41と呼ぶものとする。また、その反対側の端部を挿入先端部42と呼ぶものとする。基板20に実装したとき、挿入先端部42のうち、図中上の部分は、基板20の貫通穴24に埋め込んだ状態で配置される。
【0078】
基板20からの収容部3Aの突出量について、コネクタ1と比較して説明する。
図14を参照すると、コネクタ1の連結部4が貫通穴24の内部に位置し、収容部3Aはその全体が基板20から突出している。これに対して、
図21Aに示すように、コネクタ40には連結部4がなく、収容部3Aの上部が貫通穴24の内部に位置する。特に、挿入先端部42の上部が貫通穴24の内部に位置している。このため、コネクタ40では、基板20から収容部3Aが突出する(下向きの)高さを低く抑えることができる。
【0079】
今、開口10に被覆導線16を挿設した状態にあるものとする。即ち、ケーブルストッパー15が規定する所定の位置に収容部3Aが被覆導線16を収容しているものとする。このときの開口10の間口を考える。開口10の間口を占める被覆導線16の断面のうち、最も第2方向D2側にある点を
図21Bに点Pとして示す。点Pは開口10における第2方向D2の端部になる。このような点Pから第1平面5に向かって垂線を下す。この垂線の長さLは基板20の厚さUよりも長くなる。基板20の厚さUとは、基板20の実装面21(
第2主面)から背面22(
第1主面)の間の長さである。
【0080】
(変形3)
図22、
図23を参照してコネクタ1の一変形であるコネクタ50について説明する。コネクタ1では、収容部3Aに被覆導線16を挿入する際の挿入方向Iは、基板20の実装面21、実装部2の第1平面5に対して角度Bだけ傾いている。これに対して、コネクタ50では、挿入方向Iは基板20の実装面21、実装部2の第1平面5と平行である。コネクタ50の収容部3Aに挿入された被覆導線16は、挿入方向Iのまま収容される。
【0081】
コネクタ50では、収容部3Aの底面を基板20に対して平行にすることができる。このため、例えば、コネクタ50を実装した基板20を、他の基板等の上に配置する場合に、基板20が安定しやすいという利点がある。
【0082】
以上、本発明を実施の形態及びその変形として説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
例えば、本発明のコネクタと同じ基板に実装される発光素子として、LEDを挙げて説明したが、LEDの種類は問わない。また、発光素子の発光原理は問わない。
【0084】
本発明のコネクタと同じ基板に実装されるのは発光素子ではなくともよい。本発明のコネクタによれば、基板表面の凸部を少なくすることができるので、光だけではなく空気の流れを妨げることがない。このため、基板に沿った空気の流れを用いて冷却する必要がある素子、装置等と同じ基板に実装するものとして、本発明のコネクタを用いても効果的である。
【0085】
また、
図10に示すように、上述の実施形態では、被覆導線16を介して対向するように2つの片持ち梁を配置し、その先端を
ケーブル接点部11としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
例えば、これら2つの片持ち梁のうち、一方を取り去ることとしてもよい。この場合、残った片持ち梁の自由端が裸導線17Aを押したとき、裸導線17Aが自由端を押し返して両者の接触を維持するため、裸導線17Aがある程度の硬さを持っていることが好ましい。この場合であっても、
ケーブル接点部11が裸導線17Aよりも硬ければ、上述のコネクタ1と同様に、被覆導線16の脱落を防止する効果を得ることができる。
【0087】
或いは、残した片持ち梁の自由端と対向する位置に、挿入方向Iと直交する方向に板状部材を配置してもよい。この板状部材の一端面は、挿入された裸導線17Aとわずかに隙間を残すように配置される。片持ち梁の
ケーブル接点部11に相当する位置に、ケーブルストッパー15の板状部材に相当する板状部材をもう一枚配置したような構成となる。この場合、片持ち梁の自由端は、裸導線17Aを板状部材の一端面に押し付けるように作用する。
【0088】
上述の実施形態及び変形では、ケーブルストッパーの一例としてケーブルストッパー15を挙げて説明した。しかし、ケーブルストッパー15と異なるタイプのケーブルストッパーを用いることもできる。
【0089】
より一般化して表現すれば、ケーブルストッパーは次のような板状部材からなる。収容部3Aに被覆導線16を収容した状態を挿入方向Iに沿って透視したとする。このとき、ケーブルストッパーとして機能する板状部材は、被覆18と重なる一方、導線17とは重ならないように配置された板状部材である。こうした条件を満足するケーブルストッパーとして、上述のケーブルストッパー15以外にも様々なタイプが考えられる。
【0090】
例えば、板状部材の突出方向が異なるものが考えられる。ケーブルストッパー15は、開口10の奥にある図中左右の内壁それぞれから、被覆導線16の挿入方向Iに対して直交する方向に突出する2枚の板状部材からなる。しかし、2枚の板状部材を図中上下の内壁それぞれから突出させることとしてもよい。
【0091】
また、板状部材の枚数が異なるものが考えられる。ケーブルストッパー15は2枚の板状部材からなるが、2枚に限定されるものではない。単独の板状部材から構成してもいいし、或いは、三枚以上の板状部材から構成してもよい。
【0092】
また、ケーブルストッパーの間隙が異なるものが考えられる。ケーブルストッパー15をなす2枚の板状部材の先端の間には、矩形の間隙が形成されている。しかし、この間隙の形状は矩形以外でもよい。例えば、円孔や楕円孔をなす間隙であってもよい。
【0093】
また、ケーブルストッパーによって干渉を受ける側であるケーブルについても、上述の実施形態及び変形以外のバリエーションが考えられる。実施形態及び変形では、ケーブルは被覆した導線である。また、被覆導線16は基本的には円形の断面を有し、その導線17の断面形状も円形であるとして説明した。しかし、このような被覆導線に限定されるものではない。本発明のコネクタと用いるケーブルは被覆導線ではなくてもよい。この場合、コネクタにケーブルストッパーを設ける必要はない。また、断面形状は円形ではなくともよい。被覆導線の断面、或いは、導線の断面は、例えば、楕円形や矩形であってもよい。
【0094】
また、ケーブル接点部11の端部は、裸導線17Aに食い込むことにより、被覆導線16の脱落を防止する。食い込みが容易に起きるようにするため、ケーブル接点部11の端部を尖らせることとしてもよい。