(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っても適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
さらに、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチングを図面に応じて省略する場合もある。
【0015】
また、以下の実施の形態で説明する技術は、電気光学層が設けられた表示領域の複数の素子に、表示領域の周囲から信号を供給する機構を備える表示装置に広く適用可能である。電気光学層は、電気的な制御信号により駆動され、表示画像を形成する機能を有する素子を備えた層である。上記のような表示装置には、例えば、液晶表示装置、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置、あるいはプラズマディスプレイ装置など、種々の表示装置が例示できる。以下の実施の形態では、表示装置の代表例として、液晶表示装置を取り上げて説明する。
【0016】
また、液晶表示装置は、表示機能層である液晶層の液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向により、大きくは以下の2通りに分類される。すなわち、第1の分類として、表示装置の厚さ方向(あるいは面外方向)に電界が印加される、所謂、縦電界モードがある。縦電界モードには、例えばTN(Twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)モードなどがある。また、第2の分類として、表示装置の平面方向(あるいは面内方向)に電界が印加される、所謂、横電界モードがある。横電界モードには、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、IPSモードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モードなどがある。以下で説明する技術は、縦電界モードおよび横電界モードのいずれにも適用できるが、以下で説明する実施の形態では、一例として、横電界モードの表示装置を取り上げて説明する。
【0017】
<表示装置の構成>
図1は、一実施の形態である表示装置の一つの構成例を示す平面図である。
図2は、
図1に示す表示装置の表示領域の一部分の拡大断面図である。
図3は、
図1に示す表示装置における回路レイアウトの一例を示す平面図である。
図4は、
図3に示す表示装置における画素を示す等価回路図である。
図5は、
図1に示すドライバチップと基板との接続部分の拡大断面図である。
図6は、
図1に示す走査信号線駆動回路の構成例を示す回路ブロック図である。なお、
図1では、周辺領域SAのうち、遮光層BMと重畳する部分には表示領域DAよりも濃い色のパターンを付して示している。また、
図2では、基板SUB1の厚さ方向における走査信号線GLと映像信号線SLとの位置関係の例を示すため、
図2とは異なる断面に設けられた走査信号線GLを一緒に示している。また、
図3に示すスイッチ回路SWSには、多数の映像信号接続線SCLが接続されているが、
図3では、多数のSCLが配置されている領域にドットパターンを付している。
【0018】
図1に示すように、表示装置DSP1は、表示パネルPNL1と、表示パネルPNL1に搭載されたドライバチップDRC1と、を有する。表示パネルPNL1は、画像が表示される表示面DS(
図2参照)を有する。ドライバチップDRC1は、表示パネルPNL1の駆動を制御する制御回路を備えているIC(Integrated Circuit)チップである。また、表示装置DSP1は、表示パネルPNL1に接続された配線部材である配線板(配線部)FWB1を有する。配線板FWB1は、複数の配線が樹脂で覆われたフレキシブル配線板である。配線板FWB1は、
図1に矢印を付して模式的に示すように、表示パネルPNL1の端子部TM1に接続されている。端子部TM1には、表示パネルPNL1の外部の回路から、配線板FWB1を介して駆動信号や映像信号などの電気信号の他、表示パネルPNL1を駆動するための電源電圧が供給される。
【0019】
また、表示パネルPNL1は、複数の画素(第1画素)PX(
図3参照)が配列された表示領域DAと、表示領域DAの外側にある周辺領域SAと、を備えている。表示領域DAは、表示装置DSP1に入力される信号に基づいて、表示面DS(
図2参照)側から視認可能な画像が表示される領域である。周辺領域SAは、平面視において、表示領域DAの周囲を連続的に囲むように配置されている。平面視において、周辺領域SAの内側の辺(端部)は、表示領域DAの外縁部に接している。表示領域DAには、複数の画素PXが配列されている。例えば、
図3に示すように、平面視において、互いに交差、好ましくは直交する2つの方向をX方向およびY方向とする。複数の画素PXは、平面視において、表示領域DA内において、X方向およびY方向にマトリクス状に配列されている。なお、本願では、「平面視において」とは、表示パネルPNL1の表示面に垂直な方向から視た場合を意味する。
【0020】
また、周辺領域SAは、外部から視認可能な画像が表示されない非表示領域であって、表示領域DAの周囲を囲むように配置されている。周辺領域SAは、非表示領域であって、周辺領域SAの大部分は遮光層BMと重畳している。
【0021】
また、
図2に示すように、表示パネルPNL1は、基板SUB1と、基板SUB1と対向配置された基板SUB2と、基板SUB1と基板SUB2との間に配置された電気光学層としての液晶層LQと、を有する。言い換えれば、本実施の形態の表示装置DSP1は、電気光学層としての液晶層LQを備える液晶表示装置である。なお、本実施の形態において、基板SUB1をアレイ基板と言い換えることができ、基板SUB2を対向基板と言い換えることができる。
【0022】
図1に示すように、ドライバチップDRC1および端子部TM1は、表示パネルPNL1の周辺領域SAのうち、遮光層BMと重畳しない領域(露出領域)NDA2にある。
図1に示すY方向における一方側をY1側、他方側をY2側とした時に、領域NDA2は、Y方向において、表示領域DAよりもY1側にある。表示パネルPNL1は、平面視における大部分において、
図2に示すように、基板SUB1と基板SUB2とが対向している。しかし、
図1に示す領域NDA2は、基板SUB2(
図5参照)から露出している。
図5に示す例では、遮光層BMは、基板SUB2に形成されており、領域NDA2(
図1参照)は遮光層BMと重畳しない。なお、遮光層BMは、周辺領域SAの他、表示領域DA内にも配置されている。平面視において、表示領域DAにある複数の画素PX(
図3参照)のそれぞれの周囲を囲むように設けられている。
【0023】
また、ドライバチップDRC1は、周辺領域SA(詳しくは領域NDA2)にある領域DRAに搭載されている。
図5に示すように、基板SUB1の領域DRAには、端子PD1および端子PD2が配置され、ドライバチップDRC1は、端子PD1および端子PD2に接続されている。端子PD1は、ドライバチップDRC1に形成された回路と、表示パネルPNL1(
図1参照)上に形成された回路とを電気的に接続するインタフェースである。また、端子PD2は、ドライバチップDRC1と配線板FWB1とを電気的に接続するインタフェースである。ドライバチップDRC1は、端子PD2および配線FDWを介して端子PD3に接続されている。また、端子PD3には配線板FWB1の配線FWが接続されている。また、
図1に示すように、ドライバチップDRC1の少なくとも一部分(例えば長辺)は、Y方向およびX方向のそれぞれに対して傾斜する方向T3に沿って延在している。
【0024】
図4に示すように、表示装置DSP1は、映像信号線駆動回路SDを有する。映像信号線駆動回路SDは、画素PXと電気的に接続され、映像信号線SLを介して電気光学層である液晶層LQを駆動する。本実施の形態の例では、映像信号線駆動回路SDは、ドライバチップDRC1に形成されている。映像信号線駆動回路SDは、映像信号線SLを介して複数の画素PXのそれぞれが備える画素電極(第1電極)PEに映像信号Spicを供給する。また、
図6に示すように、ドライバチップDRC1は、制御配線GWを介して駆動回路に制御信号を供給する制御回路(第1制御回路)CTCを有する。制御回路CTCは、端子PD1(
図5参照)を介して駆動回路と電気的に接続されている。
【0025】
本実施の形態では、
図5に示すように、ドライバチップDRC1が基板SUB1上に搭載された例を取り上げて説明する。ただし、ドライバチップDRC1の位置や制御回路CTCの位置は、
図1に示す領域DRAの他、種々の変形例がある。例えば、配線板FWB1にドライバチップDRC1が搭載されていても良い。この場合、配線板FWB1が端子PD1に接続される。これにより、ドライバチップDRC1を配線板FWB1に搭載した場合でも、ドライバチップDRC1の制御回路CTCは、領域DRAの端子PD1を介して駆動回路と電気的に接続される。
【0026】
図3に示すように、表示装置DSP1は、複数の映像信号線SLと、複数の画素PXを有する。表示領域DAにおいて、基板SUB1と基板SUB2(
図2参照)との間には、複数の画素PXが配置されている。複数の画素PXは、X方向およびY方向にマトリクス状に配列され、m×n個配置されている(ただし、mおよびnは正の整数である)。複数の映像信号線SLは、Y方向にそれぞれ延在し、かつ、X方向に互いに間隔を空けて配列されている。複数の画素PXのそれぞれは、X方向において、映像信号線SLにより区画されている。このため、X方向沿って配列される画素PXの数は、映像信号線SLの数に対応している。
図1に示す例では、m本の映像信号線SLが、映像信号線SL1、SL2およびSLmの順で、X方向の一方の側であるX1から他方の側であるX2側に向かって配列されている。複数の映像信号線SLの各々は、表示領域DAの外側の周辺領域SAに引き出されている。複数の映像信号線SLの各々は、表示領域DA内の映像信号線SLとドライバチップDRC1とを相互に接続する接続配線(引き出し配線とも呼ぶ)としての映像信号接続線SCLを介してドライバチップDRC1と電気的に接続されている。
【0027】
映像信号線SLおよび映像信号接続線SCLは、映像信号を伝送する配線として機能する映像線であるが、映像信号線SLと映像信号接続線SCLとは、以下のように区別することができる。すなわち、ドライバチップDRC1に接続され、複数の画素PXに映像信号を供給する信号伝送経路である映像線のうち、表示領域DAと重なる位置にある部分(配線部)を映像信号線SLと呼ぶ。また、上記映像線のうち、表示領域DAの外側にある部分(配線部)を映像信号接続線SCLと呼ぶ(または、引き出し配線とも呼ぶ)。複数の映像信号線SLのそれぞれは、Y方向に直線的に延びている。一方、映像信号接続線SCLは、映像信号線SLとドライバチップDRC1とを接続する配線なので、
図3に示すように、映像信号線SLとドライバチップDRC1との間に屈曲部を有している。
【0028】
図3に示す例では、映像信号線SLと映像信号接続線SCLとの間には、スイッチ回路(選択回路)SWSがある。スイッチ回路SWSは、例えば複数のトランジスタにより構成されるマルチプレクサ回路であって、各色用の映像信号線SLを選択して入力された信号を出力する。スイッチ回路SWSは、例えば、赤色の信号、緑色の信号、あるいは青色の信号など、映像信号の種類を選択する選択スイッチとして動作する。言い換えれば、スイッチ回路SWSは、映像信号線SLに供給される映像信号Spic(
図4参照)の種類を選択する選択回路である。この場合、スイッチ回路SWSとドライバチップDRC1とを接続する映像信号接続線SCLの数は、映像信号線SLの数より少ない。このように、スイッチ回路SWSを設けることで、映像信号接続線SCLの数を低減できれば、ドライバチップDRC1とスイッチ回路SWSとの間において、映像信号接続線SCLの数を低減できる。
図3に示すようにスイッチ回路SWSが設けられている場合、映像信号線SLと映像信号接続線SCLとは、以下のように区別することができる。すなわち、ドライバチップDRC1とスイッチ回路SWSとを接続する部分(配線部)を映像信号接続線SCLと呼ぶ。また、映像線のうち、表示領域DAと重なる位置にある部分(配線部)からスイッチ回路SWSに接続される部分(配線部)までを映像信号線SLと呼ぶ。
【0029】
また、
図3に示すようにスイッチ回路SWSは、表示領域DAのY1側の辺の形状に倣って屈曲している。詳細には、スイッチ回路SWSは、複数のトランジスタにより構成されているので、スイッチ回路SWSを構成する複数のトランジスタの配列ラインは、表示領域DAのY1側の辺の形状に沿って屈曲している。このように、スイッチ回路SWSが表示領域DAのY1側の辺に沿って屈曲していることにより、周辺領域SAのうち、Y1側の部分(
図1に示す屈曲部BEN3、BEN4、および延在部EXT4)の面積を低減できる。
【0030】
また、表示装置DSP1は、複数の走査信号線GLと、複数の走査信号線GLに入力される走査信号Gsi(
図6参照)を出力する走査信号出力回路としての駆動回路と、を有する。駆動回路は、周辺領域SA(
図1参照)において、基板SUB1上に設けられている。ドライバチップDRC1は、制御配線GWを介して駆動回路に接続されている。複数の走査信号線GLは、X方向にそれぞれ延在し、かつ、Y方向に互いに間隔を空けて配列されている。複数の画素PXのそれぞれは、Y方向において、走査信号線GLにより区画されている。このため、Y方向沿って配列される画素PXの数は、走査信号線GLの数に対応している。
図3に示す例では、n本の走査信号線GLが、走査信号線GL1、GL2およびGLnの順で、Y方向の一方の側から他方の側に向かって配列されている。複数の走査信号線GLの各々は、表示領域DAの外側の周辺領域SAに引き出され、駆動回路に接続されている。また、複数の走査信号線GLは、複数の映像信号線SLと互いに交差している。走査信号線GLは、
図4に示す画素スイッチ素子PSWとしてのトランジスタTr1のゲート電極GEを含んでいる。
【0031】
図3では、駆動回路GDが設けられた領域を枠で囲んで模式的に示している。駆動回路は、複数種類の回路部分を含んでいる。例えば、
図6に示すように、駆動回路GDは、シフトレジスタ回路GSRと、シフトレジスタ回路GSRに接続され、制御信号に基づいて走査信号線GLに供給する電位を選択するスイッチ回路(走査信号スイッチ回路)GSWと、を含んでいる。また、駆動回路GDは、制御配線GWを介してドライバチップDRC1と接続されている。ドライバチップDRC1は、制御配線GWを介してクロック信号GCLやイネーブル信号ENBなどの制御信号を駆動回路GDに供給する。
【0032】
図6に示す例では、クロック信号GCLは、クロック線GWCを介して駆動回路GDの複数のシフトレジスタ回路GSRのそれぞれに伝送される。また、イネーブル信号ENBは、イネーブル線GWEを介して駆動回路GDの複数のスイッチ回路GSWのそれぞれに伝送される。イネーブル線GWEは、走査信号Gsiとしての電位を走査信号線GLに供給する電位供給線である。
図6に示す例では、走査信号線GL1に走査信号Gsi1が供給され、走査信号線GL2に走査信号Gsi2が供給され、走査信号線GLnには、走査信号Gsinが供給されている。
図6に模式的に示すように、複数の走査信号Gsiのそれぞれは、クロック信号GCLのタイミングに対応して電圧レベルが変化するパルス信号である。また、スタートパルス信号GSPは、スタートパルス線GWSを介して複数のシフトレジスタ回路GSRのうち、最初に駆動されるシフトレジスタ回路GSRに伝送される。
【0033】
また、
図6に示す例では、シフトレジスタ回路GSRとスイッチ回路GSWとのセットが回路ブロックGDB1またはGDB2を構成し、回路ブロックGDB1およびGDB2のそれぞれは、走査信号線GLに接続されている。
図6では、判り易さのため、非ロスのシフトレジスタ回路GSRに一つのスイッチ回路GSWが接続され、スイッチ回路GSWのそれぞれに走査信号線GLが接続されている。しかし、回路ブロックGDB1およびGDB2の回路構成には種々の変形例がある。例えば、一つのシフトレジスタ回路GSRに複数のスイッチ回路GSWが接続されている場合もある。
【0034】
また、駆動回路GDとドライバチップDRC1との間には、バッファ回路GBUが接続されている。バッファ回路GBUは、駆動回路GDを介して走査信号線GLに供給する電位を中継する回路である。制御信号の伝送経路中にバッファ回路GBUが介在している場合、駆動回路GDに供給されるゲート信号の波形がバッファ回路GBUにより修正される。
図6に示すように、バッファ回路GBUと電源回路PSCとは、駆動回路GDに電源電位を供給する電源配線PLを介して接続されている。詳しくは、バッファ回路GBUと電源回路PSCとは、相対的に高い電位VDHが供給される配線PLH、および電位VDHより低い電位が供給される配線PLLを介して接続されている。バッファ回路GBUでは、電位VDHや電位VDLを利用して、イネーブル信号ENBなどの制御信号の波形を補正して、駆動回路GDに出力する。
図6に示す電源回路PSCは、例えば、配線板FWB1に形成されている。また、変形例としては、電源回路PSCは、表示装置DSP1の外部に形成され、配線板FWB1を介してバッファ回路GBUと接続されていても良い。
【0035】
また、
図3に示す例では、X方向において、一方の側であるX1側、および他方の側であるX2側の両方に駆動回路GDが配置されている。詳しくは、X方向において、X1側には、駆動回路(走査信号線駆動回路、第1駆動回路)GD1があり、X2側には、駆動回路(走査信号線駆動回路、第2駆動回路)GD2がある。また、X方向において、表示領域DAは、駆動回路GD1と駆動回路GD2との間にある。
図3に示すように、走査信号線GLの両端に駆動回路GDが接続された状態での駆動方式を、走査信号線GLの両側駆動方式と呼ぶ。ただし、駆動回路GDのレイアウトには種々の変形例がある。例えば、
図3に示すX方向において、X1側およびX2側のうちの、いずれか一方に駆動回路GDが配置されていても良い。走査信号線GLの一方の端部に駆動回路GDが接続され、他方の端部には駆動回路GDが接続されていない状態での駆動方式を、走査信号線GLの片側駆動方式と呼ぶ。また、例えば、ドライバチップDRC1と駆動回路GDとの間に、バッファ回路GBU(
図6参照)が接続されていなくても良い。
【0036】
また、
図2に示すように、表示装置DSP1は、共通電極(第2電極)CEを有する。また、
図4に示すように、表示装置DSP1は、表示装置DSP1が画像を表示する際に、共通電極CEを駆動する共通電極駆動回路(共通電位回路とも呼ぶ)CDを有する。共通電極CEにはコモン線CMLを介して共通電極駆動回路CDと電気的に接続されている。
図4に示す例では、共通電極駆動回路CDは、配線板FWB1に形成されている。共通電極CEは、複数の画素のそれぞれに対して共通の電位が供給される電極である。このため、表示領域DAと重畳するように一つの共通電極CEが設けられていれば良い。ただし、複数に分割された共通電極CEが、表示領域DAと重畳するように設けられていても良い。
【0037】
なお、共通電極駆動回路CDが形成される位置は、
図3に示す態様の他、種々の変形例がある。例えば、共通電極駆動回路CDがドライバチップDRC1に形成されていても良い。また例えば、共通電極駆動回路CDが
図1に示す基板SUB1上に配置されている形態も、共通電極駆動回路CDが周辺領域SAに形成されている実施態様に含まれる。また例えば、共通電極駆動回路CDが表示装置DSP1の外部に形成され、配線板FWB1に接続されていても良い。
【0038】
図4に示すように、画素PXは、画素スイッチ素子PSWと、画素電極PEと、を有する。また、本実施の形態の例では、複数の画素PXは、共通電極CEを、共有する。画素スイッチ素子PSWは、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)であるトランジスタTr1を含む。画素スイッチ素子PSWは、走査信号線GLおよび映像信号線SLと電気的に接続されている。詳しくは、画素スイッチ素子PSWであるトランジスタTr1のソース電極SEは映像信号線SLに接続され、ドレイン電極DEは画素電極PEに接続されている。また、トランジスタTr1のゲート電極GEは、走査信号線GLに含まれている。駆動回路(
図3参照)は、ゲート電極GEに電位(
図6に示す走査信号Gsi)を供給し、画素スイッチ素子PSWをオンオフ動作させることにより、画素電極PEに対する映像信号Spicの供給状態を制御する。言い換えれば、トランジスタTr1は、画素電極PEへの電位供給を制御する画素スイッチ素子PSWとして機能する。
【0039】
画素スイッチ素子PSWは、トップゲート型TFTおよびボトムゲート型TFTのいずれであってもよい。また、画素スイッチ素子PSWの半導体層の材料は、例えば、多結晶シリコン(ポリシリコン)であるが、酸化物半導体やアモルファスシリコンでも良い。
【0040】
画素電極PEは、絶縁膜14(
図2参照)を介して共通電極CEと対向している。共通電極CE、絶縁膜14および画素電極PEは、保持容量CSを形成している。映像信号に基づいて表示画像を形成する表示動作期間において、画素電極PEと共通電極CEとの間には各電極に印加される駆動信号に基づいて電界が形成される。そして、電気光学層である液晶層LQを構成する液晶分子は、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界により駆動される。例えば、本実施の形態のように、横電界モードを利用する表示装置DSP1では、
図2に示すように、基板SUB1に画素電極PEおよび共通電極CEが設けられている。液晶層LQを構成する液晶分子は、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界(例えば、フリンジ電界のうちの基板の主面にほぼ平行な電界)を利用して回転される。
【0041】
つまり、表示動作期間において、画素電極PEおよび共通電極CEのそれぞれは、電気光学層である液晶層LQを駆動する駆動電極として動作する。言い換えれば、複数の画素電極PEのそれぞれは、電気光学層を駆動する第1電極である。また、共通電極CEのそれぞれは、電気光学層を駆動する第2電極である。
【0042】
図2に示すように、基板SUB1と基板SUB2とは互いに離間した状態で貼り合わされている。液晶層LQは、基板SUB1と基板SUB2との間に封入されている。基板SUB1は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する絶縁基板10を有する。また、基板SUB1は、絶縁基板10の基板SUB2に対向する側に、複数の導体パターンを有する。複数の導体パターンには、複数の走査信号線GL、複数の映像信号線SL、複数のコモン線CML、複数の共通電極CE、および複数の画素電極PEが含まれる。また、複数の導体パターンのそれぞれの間には絶縁膜が介在している。隣り合う導体パターンの間に配置され、導体パターンを互いに絶縁する絶縁膜には、絶縁膜11、絶縁膜12、絶縁膜13、絶縁膜14、および配向膜AL1が含まれる。なお、
図2では、走査信号線GL、共通電極CE、およびコモン線CMLについては、それぞれ一個ずつ示している。
【0043】
上記した複数の導体パターンのそれぞれは、積層された複数の配線層に形成されている。
図2に示す例では、共通電極CE、および画素電極PEはそれぞれ異なる層に形成され、共通電極CEが形成された層の下層に三層の配線層が設けられている。絶縁基板10上に形成された三層の配線層のうち、最も絶縁基板10側に設けられた第1層目の配線層WL1には、主に走査信号線GLが形成されている。配線層WL1に形成された導体パターンは、例えばクロム(Cr)、チタン(Ti)、もしくはモリブデン(Mo)等の金属またはそれらの合金からなる。
【0044】
絶縁膜11は、配線層WL1および絶縁基板10の上に形成されている。絶縁膜11は、例えば窒化シリコンまたは酸化シリコン等からなる透明な絶縁膜である。なお、絶縁基板10と絶縁膜11との間には、走査信号線GLの他に、画素スイッチ素子のゲート電極や半導体層などが形成されている。
【0045】
絶縁膜11上には、第2層目の配線層WL2が形成されている。配線層WL2には、主に映像信号線SLが形成されている。配線層(第2配線層)WL2は、配線層(第1配線層)WL1よりも抵抗率が低い材料で形成されている。配線層WL2に形成された導体パターンは、例えばアルミニウム(Al)をモリブデン(Mo)やチタン(Ti)等で挟んだ多層構造の金属膜からなる。配線層WL2の配線材料は配線層WL1の配線材料よりも比抵抗が低いと好ましい。また、画素スイッチ素子のソース電極やドレイン電極なども絶縁膜11の上に形成されている。
図2に示す例では、映像信号線SLは、Y方向に延在する。絶縁膜12は、映像信号線SLおよび絶縁膜11の各々の上に形成されている。
【0046】
また、
図2に示す例では、絶縁膜12上には、第3層目の配線層WL3が形成されている。配線層WL3には、主にコモン線CMLが形成されている。配線層WL3に形成された導体パターンは、配線層WL2と同様に、例えばアルミニウム(Al)をモリブデン(Mo)やチタン(Ti)等で挟んだ多層構造の金属膜からなる。
図2に示す例では、コモン線CMLは、Y方向に延在する。絶縁膜13は、コモン線CMLおよび絶縁膜12の各々の上に形成されている。絶縁膜13は、なお、
図2では、走査信号線GL、映像信号線SLやコモン線CMLなどの配線が三層の配線層に配置された例を示している。しかし、配線層の層数は上記には限定されず、種々の変形例がある。例えば、
図2に示す配線層WL3が設けられていなくても良い。この場合、コモン線CMLは例えば、共通電極CEが形成される層と同層に形成されていても良い。
【0047】
図2では、
図1に示す表示領域DAの拡大断面を示しているが、
図2に示す配線層WL1、WL2およびWL3のそれぞれは、
図1に示す周辺領域SAにも配置されている。
図3に示す映像信号接続線SCL、制御配線GWや、電源配線PLは、配線層WL1、WL2およびWL3のうちの一つまたは複数の配線層に形成されている。また、
図3に示すスイッチ回路SWSなど、周辺領域SAに配置された複数の回路のそれぞれは、配線層WL1、WL2およびWL3のうちの一つまたは複数の配線層に形成されている。
【0048】
図2に示すように、共通電極CEは、絶縁膜13上に形成されている。共通電極CEは、ITO(Indium tin oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明な導電材料が好ましい。なお、表示装置が、縦電界モードとしてのTNモードまたはVAモード等の表示装置である場合、共通電極CEは、基板SUB2に形成されていてもよい。また、
図2に示す断面では、共通電極CEとコモン線CMLとの間に絶縁膜13が介在している。ただし、
図3に示すように、コモン線CMLの一部分と共通電極CEの一部分は電気的に接続されている。また、外光の反射を利用する反射型表示装置であれば、共通電極CEは金属材料であってもよい。
【0049】
絶縁膜14は、絶縁膜13および共通電極CEの上に形成されている。画素電極PEは、絶縁膜14上に形成されている。平面視において、各画素電極PEは、互いに隣り合う2つの映像信号線SLの間に位置し、共通電極CEと対向する位置に配置されている。画素電極PEは、例えば、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料または金属材料が好ましい。配向膜AL1は、画素電極PEおよび絶縁膜14を覆っている。
【0050】
一方、基板SUB2は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を備える絶縁基板20を有する。また、基板SUB2は、絶縁基板20の基板SUB1に対向する側に、遮光膜である遮光層BMと、カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBと、オーバーコート層OCLと、配向膜AL2と、導電膜CDFを有する。
【0051】
導電膜CDFは、絶縁基板20が有する平面のうち、液晶層LQと対向する面の反対側の面に配置されている。導電膜CDFは、例えば、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料からなる。導電膜CDFは、外部からの電磁波の影響が液晶層LQなどに及ぶことを抑制するシールド層として機能する。また、液晶層LQを駆動する方式が、TNモードや、VAモードなどの縦電解モードの場合、基板SUB2に電極が設けられ、この電極がシールド層としても機能するので、導電膜CDFは省略できる。
【0052】
表示装置DSP1は、光学素子OD1と、光学素子OD2と、を有する。光学素子OD1は、絶縁基板10とバックライトユニットBLとの間に配置されている。光学素子OD2は、絶縁基板20の上方、すなわち絶縁基板20を挟んで基板SUB1と反対側に配置されている。光学素子OD1および光学素子OD2は、それぞれ少なくとも偏光板を含んでおり、必要に応じて位相差板を含んでいてもよい。
【0053】
<表示装置の平面形状と回路レイアウト>
次に本実施の形態の表示装置の平面形状と、回路レイアウトの関係について説明する。
図7は、
図3に示す複数の画素のそれぞれに付与される負荷の要因を模式的に示す回路図である。また、
図8は、
図3に示す表示装置のうち、上辺側の回路構成の詳細を示す拡大平面図である。また、
図22および
図23は、
図3に示す表示装置に対する検討例である表示装置の走査信号線駆動回路のレイアウト例を示す説明図である。
【0054】
なお、
図7において、共通電極CEは、複数の画素PEに跨って配置されていることを明示的に示すため、シート状の共通電極CEを図示している。また、
図8では、駆動回路GD1、GD2の回路レイアウトの見易さのため、
図6に示す複数の制御配線GWのうち、クロック信号を伝送するクロック線GWCを代表的に示している。同様の理由から、
図8では、
図6に示す駆動回路GDが備える回路ブロックGDB1およびGDB2を示している。複数の回路ブロックGDB1およびGDB2のそれぞれには、少なくとも1本以上の走査信号線GLが接続されているが、
図8では、見易さのため、Y方向において最もY2側に配列される走査信号線GL1を一点鎖線で示し、他の走査信号線GLは図示を省略している。
【0055】
図1に示すように本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAの平面形状、および周辺領域SAの形状がそれぞれ「異形」になっている。
図1に示す例では、表示装置DSP1は、自動車の後方確認用のミラー(rearview mirror)と兼用され、表示領域DAの平面形状、および周辺領域SAの外形形状は、それぞれ台形である。また、平面視において、表示領域DAの周囲に配置されている遮光層BMの形状は、以下の通りである。すなわち、遮光層BMは、Y方向に沿ってそれぞれ延びる延在部(第1延在部)EXT1および延在部(第2延在部)EXT2と、を有する。また、遮光層BMは、延在部EXT1と延在部EXT2との間にある屈曲部(第1屈曲部)BEN1および屈曲部(第2屈曲部)BEN2とを有する。また、延在部EXT1は屈曲部BEN1に接続され、延在部EXT2は屈曲部BEN2に接続されている。また、延在部EXT2の長さは延在部EXT1の長さよりも長い。また、
図1に示す例では、遮光層BMは、屈曲部BEN1と屈曲部BEN2との間に延在部(第3延在部)EXT3を有し、延在部EXT3は、Y方向およびX方向のそれぞれに対して傾斜する方向T1に沿って延在する辺(内端辺)を有している。なお、Y方向に対して傾斜する方向とは、Y方向に対して、直角および平行以外の角度を成す方向である。同様に、X方向に対して傾斜する方向とは、X方向に対して、直角および平行以外の角度を成す方向である。
【0056】
なお、屈曲部とは、延在方向が変化する部分の事を意味する。屈曲部には、
図1に示すように曲線的に曲がっている部分の他、折れ曲がってる部分も含まれる。また、曲線的に曲がっている場合には、曲線部分による延在方向の変化量(角度)/曲線部分の全長を曲率として定義することができる。
【0057】
また、
図1に示す例では、遮光層BMは、延在部EXT1を介して屈曲部BEN1の反対側に屈曲部(第3屈曲部)BEN3を有する。また、遮光層BMは、延在部EXT2を介して屈曲部BEN2の反対側に屈曲部(第4屈曲部)BEN4を有する。また、遮光層BMは、屈曲部BEN3と屈曲部BEN4との間に延在部(第4延在部)EXT4を有し、延在部EXT4は、Y方向およびX方向のそれぞれに対して傾斜する方向T2に沿って延在する辺(内端辺)を有している。本実施の形態の例では、表示領域DAは台形を成すので、方向T1と方向T2は互いに平行ではない。また、
図1に示す例では、方向T2と方向T3とは、互いに平行である。この「方向T2と方向T3とが互いに平行である」という表現には、厳密に両者が平行である場合の他、加工精度などの影響により厳密には平行ではないが、実質的に平行とみなせるものも含む。なお、
図1では、Y方向におけるY2側にある屈曲部BEN1および屈曲部BEN2と区別するため、屈曲部BEN3を第3屈曲部と記載し、屈曲部BEN4を第4屈曲部として記載した。ただし、後述する
図11に示すように、Y1側の部分に着目すれば、屈曲部BEN3を第1屈曲部と読み替え、屈曲部BEN4を第2屈曲部と読み替えることもできる。同様に、延在部EXT4については、第4延在部と記載したが、第3延在部と読み替えることもできる。
【0058】
ここで、表示装置DSP1に表示される画像の品質を向上させる観点からは、表示領域DAに配列される複数の画素PXのそれぞれに付与される負荷の値(例えば寄生容量や配線抵抗などに起因するインピーダンス値)を表示領域DAと重畳する平面内において均一化することが好ましい。表示領域DA内において、画素PXに対する負荷の値の面内分布が不均一になれば、表示ムラなど、画質低下の原因になる。
【0059】
複数の画素PXのそれぞれに付与される負荷要因には、
図7に示す寄生容量C1〜寄生容量C5、および走査信号線GLの配線抵抗や映像信号線SLの配線抵抗が含まれる。寄生容量C1は、走査信号線GLと映像信号線SLとの間の寄生容量である。寄生容量C2は、トランジスタTr1のソース電極およびドレイン電極と、映像信号線SLとの間の寄生容量である。寄生容量C3は、トランジスタTr1のソース電極およびドレイン電極と、走査信号線GLとの間の寄生容量である。また、寄生容量C4は、走査信号線GLと共通電極CEとの間の寄生容量である。寄生容量C5は、映像信号線SLと共通電極CEとの間の寄生容量である。
【0060】
また、本実施の形態では、一本の走査信号線GLに複数の画素PXが接続されている。また、一本の映像信号線SLに複数の画素PXが接続されている。このため、複数の走査信号線GLのそれぞれに接続される画素PXの数が多くなると、画素PXに付与される負荷の値が大きくなる。同様に、複数の映像信号線SLのそれぞれに接続される画素PXの数が多くなると、画素PXに付与される負荷の値が大きくなる。言い換えれば、複数の画素PXに付与される負荷要因には、複数の走査信号線GLのそれぞれに接続される画素PXの数が含まれる。また、複数の画素PXに付与される負荷要因には、複数の映像信号線SLのそれぞれに接続される画素PXの数が含まれる。
【0061】
また、本実施の形態では、走査信号線GLの両端に駆動回路が接続されている。言い換えれば、複数の走査信号線GLのそれぞれは、両側駆動方式により駆動されている。このように、両側駆動方式により複数の走査信号線GLを駆動する場合、複数の走査信号線GLのうちの一部に、片側駆動方式で駆動されるものが含まれると、複数の走査信号線GLに付与される負荷の面内分布が不均一になる原因になる。つまり、画質向上の観点からは、全ての走査信号線GLが両側駆動方式で駆動されることが好ましい。
【0062】
仮に、表示領域DAの平面形状が正方形や長方形であれば、複数の走査信号線GLの長さを揃えること、および複数の映像信号線SLの長さを揃えること、は容易である。このため、表示領域DAと重畳するように配列された複数の画素PXのそれぞれに付与される負荷の値をほぼ一定にすることは比較的容易である。
【0063】
ところが、本実施の形態のように、異形の表示領域DAを有する表示装置DSP1の場合、複数の画素PXのそれぞれに付与される負荷の値の面内分布が不均一になり易い。例えば、
図22に示す表示装置DSPh1のように、屈曲部BEN1と屈曲部BEN2との間に重畳するように駆動回路が配置されていない場合、表示領域DAの内の一部分で片側駆動方式が適用される。また例えば、
図23に示す表示装置DSPh2のように、駆動回路GD1の延在距離と駆動回路GD2の延在距離とを等しくした場合、表示装置DSPh2の外形形状(平面形状)が長方形になる。この場合、さらに表示装置DSPh2は大型化する。
【0064】
本実施の形態の表示装置DSP1の場合、
図3に示すように、駆動回路GD1は、屈曲部BEN1(
図1参照)と重畳する領域を跨いで、屈曲部BEN2(
図2参照)の近傍まで延びている。言い換えれば、平面視において、屈曲部BEN2は駆動回路GD1の終端部と駆動回路GD2の終端部との間にある。これにより、複数の走査信号線GLのうち、Y方向において最もY2側に配列されている走査信号線GL1の両端に駆動回路GDが接続される。言い換えれば、走査信号線GL1を含む複数の走査信号線GLのそれぞれは、両側駆動方式で駆動される。これにより、複数の走査信号線GLのうちの一部が片側駆動方式で駆動されることにより起因する画質の低下を抑制できる。
【0065】
上記したように、
図3では、駆動回路GDが設けられた領域を枠で囲んで模式的に示しているが、駆動回路GDは、複数種類の回路を含んでいる。上記した構成は、
図8に示すクロック線GWC1、GWC2を用いて以下のようの表現することもできる。すなわち、表示装置DSP1は、制御回路CTCと駆動回路GD1とを接続し、クロック信号(第1クロック信号)GCL1(
図6参照)が供給されるクロック線(第1クロック線)GWC1と、制御回路CTCと駆動回路GD1とを接続し、クロック信号(第2クロック信号)GCL2(
図6参照)が供給されるクロック線(第2クロック線)GWC2と、を備えている。また、平面視において、屈曲部BEN1は、クロック線GWC1と重畳しており、かつ、屈曲部BEN2は、クロック線GWC1の終端部とクロック線GWC2の終端部との間にある。
図8に示すように、クロック線GWC1の終端部は、屈曲部BEN1と屈曲部BEN2との間にある。
図8に示す例では、クロック線GWC2の終端部は屈曲部BEN2と重畳し、かつ、クロック線GWC1の終端部は、屈曲部BEN2と重畳していない。
【0066】
また、上記したように、負荷の面内分布を均一化させる観点からは、複数の走査信号線GLのそれぞれに接続される画素PX(
図7参照)の数を揃えることが好ましい。しかし、
図3に示すように、異形の表示領域DAを有する表示装置DSP1の場合、走査信号線GLの延在方向であるX方向における表示領域DAの長さが一定値ではないため、走査信号線GL毎に対応する画素PXの数が異なる。例えば、
図8に示す例では、表示領域DAのうち、延在部EXT3と屈曲部BEN2に挟まれた部分のX方向の長さは、延在部EXT1と延在部EXT2に挟まれた部分のX方向の長さより短い。このため、X方向の長さが相対的に短い部分に配置されている画素PXの数は少ない。
【0067】
そこで、周辺領域SA(
図1参照)の一部にダミー画素(第2画素)PXd(
図9参照)が設けられ、相対的に対応する画素PXの数が少ない走査信号線GLには、ダミー画素PXdが接続されていることが好ましい。これにより、複数の走査信号線GLのそれぞれに接続される画素PXの数に起因する負荷のバラつきを低減することができる。ダミー画素PXdは周辺領域SA(
図1参照)にあり、遮光層BM(
図1参照)と重畳している点で画素PXとは異なっているが、その他の点は表示領域DAにある画素PXと同様である。ダミー画素PXdは、少なくともトランジスタTr2を備え、走査信号線GLの一部は、トランジスタTr2のゲート電極GEを構成する。トランジスタTr2は、
図4に示すトランジスタTr1と同様の構造を有する半導体素子である。また、
図9では映像信号線SLの図示を省略しているが、後述する
図12に示すように、映像信号線SLがダミー画素PXdに接続されていても良い。なお、
図9に示すように、例えば、画素PXの一部分(例えば
図2に示す画素電極PEの一部分)が遮光層BMと重畳しており、他の部分は遮光層BMと重畳していない場合、その画素PXは、ダミーではない画素PXとして取り扱う。ただし、一部分が遮光層BMと重畳している画素PXの構成が、
図4を用いて説明した構成と比較して不足している場合、その画素PXはダミー画素PXdとして取り扱う。また、例えば、画素PXの大部分が遮光層BMと重畳している場合など、当該画素PXが表示画像の形成に直接的には寄与しない場合には、当該画素PXはダミー画素PXdとして取り扱う。
【0068】
ダミー画素PXdを利用して、複数の走査信号線GLのそれぞれに接続される画素PXの数に起因する負荷のバラつきを低減する構成は、以下のように表現できる。
図9は、
図8のA部の拡大平面図である。また、
図10は、
図8のB部の拡大平面図である。駆動回路GD1は、クロック線GWC1を介して接続された回路ブロック(第1A回路ブロック)GBA1(
図10参照)および回路ブロック(第1B回路ブロック)GBB1(
図9参照)を有している。回路ブロックGBA1は、遮光層BMの延在部EXT1と重畳し、回路ブロックGBB1は、延在部EXT3と重畳する。この場合、
図9に示す回路ブロックGBB1に接続された走査信号線GLBに接続されている画素PXの数は、
図10に示す回路ブロックGBA1に接続されている走査信号線GLAに対応する画素PXの数より少ない。一方、回路ブロックGBB1に接続された走査信号線GLBに接続されたダミー画素PXdの数は、回路ブロックGBA1に接続された走査信号線GLAに接続されたダミー画素PXdの数より多い。このため、各走査信号線GLのそれぞれに接続されている画素PXとダミー画素PXdの総数の差を低減することができる。
【0069】
なお、
図10に示す例では、走査信号線GLAには、ダミー画素PXd(
図9参照)が接続されていない。言い換えれば、走査信号線GLAには、ゼロ個のダミー画素PXdが接続されている。「走査信号線GLBに接続されたダミー画素PXdの数は、走査信号線GLAに接続されたダミー画素PXdの数より多い」という表現には、
図10に示すように走査信号線GLAにダミー画素PXd(
図9参照)が接続されていない場合も含む。また、変形例として、走査信号線GLAに相対的に少ない個数のダミー画素PXdが接続されている場合もある。本願において、「Aの個数がBの個数よりも多い」あるいは、「Aの個数がBの個数よりも少ない」と記載した時には、上記と同様に一方の個数がゼロ個である場合も含む。
【0070】
上記の通り、台形の平面形状を持つ表示装置DSP1の一方の斜辺、すなわち、
図8に示す延在部EXT3に沿った辺では、その斜辺に沿って駆動回路GD1を配置することができる。これにより、駆動回路GD1の終端部および駆動回路GD2の終端部、言い換えればクロック線GWC1の終端部およびクロック線GWC2の終端部まで、走査信号線GLの両側駆動方式を適用することができる。一方、台形の平面形状を持つ表示装置DSP1の他方の斜辺、すなわち、延在部EXT4(
図1参照)に沿った辺には、スイッチ回路SWSが配置され、複数の映像信号線SLが表示領域DAに向かって延びている。このため、延在部EXT4に沿って駆動回路GD1または駆動回路GD2を配置することが難しい。つまり、駆動回路GD1および駆動回路GD2は、
図3に示すY方向におけるY1側の辺とY2側の辺とでは、互いに異なる回路レイアウトが適用されている。
【0071】
図11は、
図3に示す表示装置のうち、下辺側の回路構成の詳細を示す拡大平面図である。また、
図12は、
図11に示す表示領域とスイッチ回路の間の領域における画素のレイアウトの例を示す拡大平面図である。
図11に示すように、表示装置DSP1は、表示領域DAと制御回路CTC(
図6参照)が形成されたドライバチップDRC1との間にスイッチ回路(選択回路)SWSを備えている。また、平面視において、スイッチ回路SWSと表示領域DAとの間に駆動回路GD1および駆動回路GD2がない。スイッチ回路SWSと表示領域DAとの間に駆動回路GD1、GD2が配置されている場合、駆動回路GD1、GD2の位置によっては、複数の映像信号線SLのうちの一部を屈曲させる必要が生じる。映像信号線SLの総数は、走査信号線GLの総数よりも多い。この場合、映像信号線SLの一部分を屈曲させた場合、屈曲させた部分周辺での配線レイアウトが煩雑になる。このため、複数の映像信号線SLのそれぞれは屈曲せず、直線的に延びていることが好ましい。
図11に示すように、本実施の形態の場合、スイッチ回路SWSと表示領域DAとの間に駆動回路GD1、GD2が配置されていないので、複数の映像信号線SLのそれぞれは、途中に屈曲部を持たず、Y方向に沿って直線的に延びている。
【0072】
ただし、駆動回路GD1、GD2を構成する回路ブロックGDB1、GDB2の数によっては、スイッチ回路SWSと表示領域DAとの間に複数の回路ブロックGDB1のうちの一部が配置される場合もある。以下、その態様について説明する。
【0073】
複数の走査信号線GLのそれぞれについて両側駆動方式を適用する場合、回路ブロックGDB1の数と、回路ブロックGDB2の数は等しい。しかし、延在部EXT1と延在部EXT2とは上記したように長さが異なるため、回路ブロックGDB1、GDB2の配置スペースが異なる。すなわち、上記したようにY方向において、延在部EXT2は延在部EXT1より長い。この場合、延在部EXT2と重畳する領域において、複数の回路ブロックGDB2を配置するためのスペースを広く確保できる。このため、複数の回路ブロックGDB2は、Y方向に沿って直線的に配列されている。言い換えれば、複数の回路ブロックGDB2は、スイッチ回路SWSと表示領域DAとの間を避けて配置し易い。
【0074】
しかし、Y方向において、延在部EXT1は延在部EXT2より短い。延在部EXT1と重畳する領域は、複数の回路ブロックGDB1を配置するためのスペースになるが、その面積は延在部EXT2と重畳する領域の面積より小さい。この結果、複数の回路ブロックGDB1は、延在部EXT1と重畳する領域に加え、屈曲部BEN3と重畳する領域にも配置される。屈曲部BEN3と重畳する回路ブロックGDB1は、延在部EXT2と重畳する回路ブロックGDB2より狭ピッチで配置されている。しかし、屈曲部BEN3と重畳する回路ブロックGDB1の数が多くなれば、これらの回路ブロックGDB1のうちの一部は、
図11に示すようにX方向において、X2側に寄せて配置される。そして、スイッチ回路SWSの位置によっては、X2側に寄せて配置された回路ブロックGDB1の一部分が表示領域DAとスイッチ回路SWSとの間に配置される場合もある。
【0075】
また、
図11に示す例では、複数の映像信号線SLのそれぞれは、スイッチ回路SWSから表示領域DAに向かって延在している。この複数の映像信号線SLのそれぞれは、スイッチ回路SWSから表示領域DAまでの長さがそれぞれ異なる。すなわち、複数の映像信号線SLは、映像信号線(第1映像信号線)SLd1と映像信号線(第2映像信号線)SLd2を有している。平面視において、スイッチ回路SWSから表示領域DAまでの映像信号線SLd2の長さL2は、スイッチ回路SWSから表示領域DAまでの映像信号線SLd1の長さL1よりも長い。
【0076】
図11に示すように、複数の走査信号線GLのうち、最もスイッチ回路SWSに近い位置に配置されている走査信号線GLnは、表示領域DA内で映像信号線SLd1と交差している。映像信号線SLd1は、表示領域DAの外側で走査信号線GLと交差させる必要がないので、長さL1を相対的に短くすることができる。一方、走査信号線GLnは、表示領域DAの外(詳しくは表示領域DAとスイッチ回路SWSとの間)で映像信号線SLd2と交差している。このように、表示領域DAの外で複数の走査信号線GLのうちの一部と映像信号線SLd2とを交差させることにより、各走査信号線GLに対する映像信号線SLが交差する回数を均一化することができる。
図7を用いて説明したように、走査信号線GLと映像信号線SLとの間の寄生容量C1は、画素PXに付与される負荷要因の一つである。したがって、複数の映像信号線SLのそれぞれと複数の走査信号線GLのそれぞれとが互いに交差する数を均一化することで、画素PXに付与される負荷の面内分布のバラつきを低減させることができる。
【0077】
また、
図11に示す表示領域DAとスイッチ回路SWSとの間の領域には、
図9および
図10を用いて説明したダミー画素PXdが接続されている。詳しくは、
図12に示すように、映像信号線SLd2に接続されているダミー画素PXdの個数は、映像信号線SLd1に接続されているダミー画素PXdの個数よりも多い。表示領域DAと重畳する部分に着目すると、映像信号線SLd2に接続されている画素PXの個数は、映像信号線SLd1に接続されている画素PXの個数よりも少ない。このため、映像信号線SLd2にダミー画素PXdが接続されていることにより、各映像信号線SLのそれぞれに接続されている画素PXとダミー画素PXdの総数の差を低減することができる。なお、
図12に示す例では、映像信号線SLd1にダミー画素PXdが接続されていない。しかし、
図12に対する変形例として、映像信号線SLd1にダミー画素PXdが接続されていても良い。
【0078】
また、
図11に示すように、表示領域DAとスイッチ回路SWSとの間の領域では、走査信号線GLの一部分が、回路ブロックGDB1との接続位置よりもY1側に引き出されている。そして、走査信号線GLは、表示領域DAの外縁部(外周の辺)に沿って延びている。また、この領域では、複数の回路ブロックGDB1の配置ピッチが狭くなるので、走査信号線GLの配置密度が局所的に高くなる領域が存在する(延在部BEN3と重畳する領域付近)。当該走査信号線GLには、
図11に示すように、表示領域DAとスイッチ回路SWSとの間の領域において、複数の映像信号線SLとが平面視において直交する部分と、直交以外の角度で交差する部分が含まれる。そして、複数の走査信号線GLと複数の映像信号線SLとが直交以外の角度で交差する部分では、走査信号線GLの配置密度が相対的に高くなっている。
図11に示す配線レイアウトは以下のように表現することができる。
図13は、
図11に示す複数の走査信号線のうちの一部および複数の映像信号線のうちの一部を抽出して示す拡大平面図である。
図13では、走査信号線GLを構成する各部分の区別を識別するため部分毎に異なる線種を用いて示している。配線部(主配線部)GLp1は太線で、配線部(第1配線部)GLp2および配線部(第3配線部)GLp4は太い点線で、配線部(第2配線部)GLp3は太い一点鎖線で示している。
【0079】
図13に示すように、複数の走査信号線GLは、スイッチ回路SWSと表示領域DAの間を経由する走査信号線(第1走査信号線)GLn1および走査信号線(第2走査信号線)GLn2を有している。走査信号線GLn1および走査信号線GLn2のそれぞれは、表示領域DA内にある配線部GLp1、屈曲部BEN3と重畳する配線部GLp2、延在部EXT4と重畳し、方向T2に沿って延びる配線部GLp3、および屈曲部BEN4と重畳する配線部GLp4を有する。スイッチ回路SWSと表示領域DAの間を経由する走査信号線GLが表示領域DAの外縁の形状に対応して屈曲していることにより、表示領域DAのY1側においても、両側駆動方式を適用できる。
【0080】
また、平面視において、走査信号線GLn1が交差する複数の映像信号線SLの本数は、走査信号線GLn2が交差する複数の映像信号線SLの本数と同数である。しかし、表示領域DA内において、走査信号線GLn1が交差する複数の映像信号線SLの本数は、走査信号線GLn2が交差する複数の映像信号線SLの本数とは互いに異なっている。このように、複数の走査信号線GLのそれぞれが交差する映像信号線SLの数を同数にすることで、走査信号線GLに付与される負荷を均一化できる。また、複数の映像信号線SLが交差する複数の走査信号線GLの数を同数にすることで、映像信号線SLに付与される負荷を均一化できる。
【0081】
また、表示領域DAは台形であり、周辺領域SA(
図1参照)は台形の表示領域DAの周囲を囲むように配置されている。このため、Y方向において、延在部EXT2の端部(屈曲部BEN4との境界)は、延在部EXT1の端部(屈曲部BEN3との境界)よりもY1側にある。この場合、
図13に示すように、複数の走査信号線GLには、屈曲部BEN3と重畳し、かつ、延在部EXT4や屈曲部BEN4とは重畳しないものが含まれている。言い換えれば、複数の走査信号線GLには、方向T2に沿って延びる配線部GLp3を有していない走査信号線(第3走査信号線)GLn3が含まれる。更に言い換えれば、スイッチ回路SWSと表示領域DAの間を経由する走査信号線GLn3は、配線部GLp1および配線部GLp2を有し、かつ、配線部GLp3および配線部GLp4を有しない。
【0082】
また、
図11に示すように、走査信号線GLの配置密度が高くなった部分では、
図12に示すダミー画素PXdを高密度で配置することが難しい。このため、
図14に示すように、表示領域DAとスイッチ回路SWSとの間の領域には、ダミー画素PXdの配置密度が異なる、複数の領域が存在する。
【0083】
図14は、
図11に示す表示装置とスイッチ回路の間の領域において、ダミー画素の配置密度が高い領域と低い領域とを模式的に示す平面図である。
図14では、各領域を識別し易くするため、ダミー画素PXdの配置密度が高い領域にはハッチングを付し、ダミー画素PXdの配置密度が低い領域にはドットパターンを付している。
【0084】
図14に示すように、Y方向(第1方向)に直交する方向をX方向(第2方向)、X方向の一方側をX1側(第1側)および他方側をX2(第2側)とする。この時、周辺領域SA(
図1参照)のうち、スイッチ回路SWSと表示領域DAとの間には、X1側にある領域(第1領域)DAM1、X2側にある領域(第2領域)DAM2、および領域DAM1と領域DAM2の間にある領域(第3領域)DAM3がある。ここで、領域DAM3におけるダミー画素PXd(
図12参照)の配置密度は、領域DAM1および領域DAM2におけるダミー画素PXdの配置密度よりも高い。
【0085】
図14に示す構成は以下のように表現することもできる。すなわち、複数の映像信号線SLのそれぞれに接続されているダミー画素PXd(
図12参照)の個数は、領域DAM3における個数が、領域DAM1における個数および領域DAM2における個数のそれぞれよりも多い。本実施の形態では、上記の通り、複数の走査信号線GLのうちの一部分が高密度で配置されている。これにより、複数の走査信号線GLのそれぞれを両側駆動方式で駆動することが可能になる。また、走査信号線GLが高密度で配置されている領域では
図12に示すダミー画素PXdを配置することが難しい。しかし、領域DAM3にダミー画素PXdを配置することで、画素PXに付与される負荷の面内分布のバラつきを低減させることができる。
【0086】
また、
図14に示す例では、周辺領域SA(
図1参照)には、屈曲部BEN3と重畳し、かつ領域DAM1と表示領域DAとの間にある領域(第4領域)DAM4がある。領域DAM4におけるダミー画素PXd(
図12参照)の配置密度は、領域DAM1および領域DAM2におけるダミー画素PXdの配置密度よりも高い。
【0087】
次に、画素PXに付与される負荷の面内分布のバラつきを低減させる別の方法として、走査信号線GLに電位を供給するイネーブル線GWE(
図6参照)のレイアウトを工夫する方法について説明する。なお、以下で説明する技術は、上述した周辺領域SA(
図9参照)に配置されたダミー画素PXd(
図9参照)を利用する方法と併せて適用することができる。また、以下で説明する技術は、上述したダミー画素PXdを利用する方法を実施せず、独立して適用することができる。
図15は、
図8に示す表示装置と同じ部分において、走査信号線に電位を供給する配線のレイアウトの例を示す拡大平面図である。
図15では、イネーブル線GWE1およびGWE2のそれぞれにおいて、
図2に示す配線層WL1に形成された部分を実線で示し、配線層WL2または配線層WL3に形成された部分を点線で示している。
【0088】
図2を用いて説明したように、表示装置DSP1は、配線層(第1配線層)WL1と、配線層WL1よりも抵抗率が低い材料で形成された配線層(第2配線層)WL2と、を備える。配線層WL1に形成された導体パターンは、例えばクロム(Cr)、チタン(Ti)、もしくはモリブデン(Mo)等の金属またはそれらの合金からなる。また、配線層WL2に形成された導体パターンは、例えばアルミニウム(Al)をモリブデン(Mo)やチタン(Ti)等で挟んだ多層構造の金属膜からなる。この場合、配線層WL1の抵抗率(比抵抗)は、配線層WL2の比抵抗より高い。
図2に示すように、走査信号線GLは、配線層WL1に形成されている。
【0089】
また、
図15に示すように、表示装置DSP1は、駆動回路GD1を介して走査信号線GLに走査信号Gsi(
図6参照)としての電位を供給するイネーブル線(第1電位供給線)GWE1を備えている。平面視において、イネーブル線GWE1は、延在部EXT1、屈曲部BEN1、および延在部EXT3のそれぞれと重畳する。イネーブル線GWE1は、延在部EXT3と重畳した領域において、配線層WL1および配線層WL2を経由している。単にイネーブル線GWE1の配線抵抗を低減させる観点のみを考慮すれば、イネーブル線GWE1は配線層WL1を経由しないことが好ましい。しかし、
図15に示すように、イネーブル線GWE1の一部分が配線層WL1に形成されていることにより、複数の走査信号線GL間の時定数(ゲート時定数)の面内差を低減することができる。
【0090】
例えば、
図15に示す例では、駆動回路GD1の回路ブロックGBB1と駆動回路GD2の回路ブロックGBB2に接続されている走査信号線GLBの長さは、駆動回路GD1の回路ブロックGBD1と駆動回路GD2の回路ブロックGBD2に接続されている走査信号線GLDの長さよりも短い。この場合、走査信号線GLBの抵抗値は走査信号線GLDの抵抗値より低くなる。しかし、走査信号線GLBに電位を供給するイネーブル線GWE1の一部分が抵抗値の高い配線層WL1に形成されている場合、配線層WL1に形成された部分のイネーブル線GWE1の抵抗値が高くなる。このため、走査信号Gsiとしての電位の供給経路全体として考えれば、複数の伝送経路それぞれの抵抗値の差を低減できる。この結果、時定数の面内差を低減することができる。つまり、イネーブル線GWE1が、回路ブロックGBD1と回路ブロックGBB1の間で配線層WL1を経由すれば、走査信号線GLBと走査信号線GLDの抵抗値の差が低減する。
【0091】
また、
図15に示す例では、表示装置DSP1は、駆動回路GD2を介して走査信号線GLに走査信号Gsiとしての電位を供給するイネーブル線(第2電位供給線)GWE2を備えている。平面視において、イネーブル線GWE2は、延在部EXT2、および屈曲部BEN2のそれぞれと重畳する。イネーブル線GWE2は、屈曲部BEN2と重畳した領域において、配線層WL1および配線層WL2を経由している。イネーブル線GWE2の場合、延在部EXT3と重畳していないので、イネーブル線GWE1と比較すると、配線層WL1に形成された部分の長さは短い。このため、一部分が配線層WL1に形成されていることによる時定数のバラつきを抑制する効果は、イネーブル線GWE1の方が高い。ただし、イネーブル線GWE1およびイネーブル線GWE2のそれぞれが、配線層WL1および配線層WL2の両方を経由している場合、時定数のバラつきを抑制する効果が特に高い。
【0092】
また、イネーブル線GWE1は、延在部EXT1と重畳した領域において、配線層WL2を経由し、かつ、配線層WL1を経由しない。同様に、イネーブル線GWE2は、延在部EXT2と重畳した領域において、配線層WL2を経由し、かつ、配線層WL1を経由しない。延在部EXT1と延在部EXT2とを結ぶ複数の走査信号線GLのそれぞれの長さは、設計上同じ長さになっている(ただし、加工精度等の理由により多少の相違はある)。延在部EXT1と延在部EXT2とを結ぶ複数の走査信号線GLのそれぞれの長さは、表示装置DSP1が備える複数の走査信号線GLのうち、最も長い。したがって、これらの領域では、電位を供給する経路の抵抗値を高くしても、時定数のバラつきを低減する効果は得られない。また、これらの領域において、電位を供給する経路の抵抗値が高い場合、延在部EXT3と屈曲部BEN2とを結ぶ走査信号線GL(例えば走査信号線GL1など)の抵抗値が却って大きくなる。そこで、延在部EXT1と重畳する領域および延在部EXT2と重畳する領域では、イネーブル線GWE1またはイネーブル線GWE2の抵抗値を低減させることが好ましい。
【0093】
また、駆動回路GD1は、回路ブロック(第1B回路ブロック)GBB1、回路ブロック(第1C回路ブロック)GBC1、回路ブロック(第1D回路ブロック)GBD1、および回路ブロック(第1E回路ブロック)GBE1を有している。
図15に示す例では、回路ブロックGBB1および回路ブロックGBC1は延在部EXT3と重畳し、回路ブロックGBD1および回路ブロックGBE1は屈曲部BEN1と重畳する。イネーブル線GWE1は、回路ブロックGBB1と回路ブロックGBC1との間で、距離(第1距離)D1で配線層WL1を経由する。また、イネーブル線GWE1は、回路ブロックGBD1と回路ブロックGBE1との間で、距離(第1距離)D2で配線層WL1を経由する。距離D2は距離D1よりも短い。
【0094】
また、駆動回路GD2は、回路ブロック(第2A回路ブロック)GBB2、および回路ブロック(第2B回路ブロック)GBC2を有している。
図15に示す例では、回路ブロックGBB2および回路ブロックGBC2は屈曲部BEN2と重畳し、回路ブロックGBD1および回路ブロックGBE1は屈曲部BEN1と重畳する。イネーブル線GWE2は、回路ブロックGBB2と回路ブロックGBC2との間で、距離(第3距離)D3で配線層WL1を経由する。距離D1は距離D3よりも長い。
【0095】
複数の走査信号線GLのそれぞれはX方向に沿って延びている。このため、イネーブル線GWE1およびGWE2のうち、配線層WL1に形成される部分がX方向に沿って延びていれば、複数の信号伝送経路(イネーブル線GWEおよび走査信号線GLを含む配線経路距離)の抵抗値を揃え易い。延在部EXT3のX方向の長さは、屈曲部BEN1や屈曲部BEN2のX方向の長さよりも長い。したがって、延在部EXT3と重畳する領域では、屈曲部BEN1やBEN2と重畳する領域と比較して、X方向の配線長さを長くすることができる。したがって、
図15に示すように、距離D1が、距離D2や距離D3よりも長くなっている場合、複数の信号伝送経路の抵抗値を揃え易い。
【0096】
次に、
図1に示す領域NDA2における回路レイアウトについて説明する。
図16は、
図1に示すドライバチップ周辺における回路レイアウトの概要を模式的に示す平面図である。
図17は、
図16に示す回路レイアウトのうち、検査用の端子および保護回路周辺の拡大平面図である。
図18は、
図17に示す検出端子および保護回路周辺の拡大断面図である。
図19は、
図17および
図18に示す保護回路の構成例を示す等価回路図である。
図20は、
図16に示すドライバチップ周辺における配線レイアウトを示す拡大平面図である。
図20では、ドライバチップDRC1と重畳する位置に設けられた配線および端子のそれぞれについて、点線で示している。また、
図20では、配線GWTおよび配線PLTと他の配線(例えば映像信号接続線SCL)との区別を視覚的に示すため、制御配線GW、配線GWT、および配線PLTのそれぞれにドットパターンを付している。
【0097】
表示装置は、装置全体における表示領域DA(
図1参照)の面積占有率が大きい方が好まれる傾向がある。このため、表示領域DAの周囲にある周辺領域SA(
図1参照)の幅(面積)はできる限り小さいことが好ましい。
図1に示す周辺領域SAのうち、もっとも幅が大きいのは、Y方向において、表示領域DAよりもY1側の領域である。例えば、Y方向において、Y1側の外縁端と表示領域DAとの間の周辺領域SAの幅(Y方向の長さ)は、
図1に示す延在部EXT3の幅(Y方向の長さ)より広い。また、Y1側の外縁端と表示領域DAとの間の周辺領域SAの幅は、X方向において、延在部EXT1およびEXT2の幅(X方向の長さ)より広い。
【0098】
このため、表示装置DSP1全体における表示領域DAの面積占有率を増加させるためには、表示領域DAよりY1側の周辺領域SAにおける回路のレイアウトを効率化することが重要である。そこで、本願発明者は、表示装置DSP1において、外部機器に接続される外部端子群が配列される端子部TM1と表示領域DAの間における回路のレイアウトを効率化する技術について検討した。例えば、本願発明者は、
図16に示す検査用の端子TPD、および検査用の端子TPDに接続される保護回路PCのレイアウトの効率化について検討した。
【0099】
図17に示すように、表示装置DSP1は、複数の端子(第1端子)TPDを備えている。端子TPDは、表示装置DSP1の製造工程中、あるいは、表示装置DSP1が完成した後において、表示装置DSP1が備える各種の回路の電気的な試験を行う試験工程において利用する検査端子である。
図16に示すように、端子TPDは、駆動回路GD1を制御する制御配線GWに接続されている。制御配線GWは、駆動回路GD1、GD2に制御信号を伝送する信号伝送経路であり、かつ、駆動回路GD1、GD2の電気的試験を行う際に利用する検査用の配線である。これにより、端子TPDを介して駆動回路GD1およびGD2の電気的試験を行うことができる。
【0100】
なお、
図16では、一本の制御配線GWを示しているが、既に説明した
図6に示すように、制御回路CTCには複数の制御配線GWが接続されている。複数の制御配線GWには、クロック線GWC、イネーブル信号ENB、およびスタートパルス線GWSが含まれる。
【0101】
また、
図18に示すように、複数の端子TPDのそれぞれは、基板SUB1の上に形成され、かつ、基板SUB2から露出している。これにより、基板SUB1と基板SUB2とを重ね合わせた状態で検査が実施できる。
【0102】
端子TPDのように、基板SUB2から露出した状態の端子が、表示装置DSP1の内部回路と接続されている場合、内部回路に対する静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)の対策を考慮することが好ましい。このため、
図17に示す複数の端子TPDのそれぞれと、表示装置DSP1の内部回路(例えば駆動回路)と、の間に保護回路(第1回路)PCが接続されている。
【0103】
保護回路PCは、静電気放電等に起因して外部から印加されたサージ電流を、外部にバイパスして放出することで、内部回路を破壊や誤動作から保護するバイパス回路である。
図19に示す例では、保護回路PCは、トランジスタTr3および抵抗RES1を有する。詳しくは、抵抗RES1は、端子TPDに接続される配線TWと内部回路DSCとの間に接続されている。また、配線TWと基準電位GNDが供給される配線GDWの間、および配線TWと電源電位VDが供給される配線VDWとの間には、それぞれトランジスタTr3が接続されている。
図18に示す例の場合、端子TPDに印加されたサージ電流は、トランジスタTr3を介して端子GPDまたは端子VPDに放出される。これにより、内部回路DSCにサージ電流が流れ込むことを抑制し、内部回路DSCの破壊や誤動作を抑制することができる。
【0104】
なお、
図19は、保護回路PCの一構成例を示したものであり、保護回路PCの構造には種々の変形例がある。例えば、
図19に示すトランジスタTr3の代わりに、図示しないダイオードが端子TPDに接続されていても良い。また、抵抗RES1やトランジスタTr3(またはダイオード)の数や接続位置は、
図19に示す例の他、種々の変形例がある。例えば、印加されるサージ電圧の電位が既知である場合には、
図19に示す二つのトランジスタTr3のうちのいずれか一方のみが、端子TPDに接続されていても良い。また、一つの端子TPDに3個以上のトランジスタTr3が接続されていても良い。
【0105】
また、
図16に示すように、基板SUB1の周辺領域SAは、基板SUB2に覆われた領域NDA1と、基板SUB2から露出している領域NDA2と、を有する。保護回路PCは領域NDA1に配置されている。言い換えれば、
図18に示すように、保護回路PCは、基板SUB1と基板SUB2との間にある。これにより、保護回路PC自身に直接的に静電気放電が印加されることを抑制できる。しかし、保護回路PCが領域NDA1に配置されている場合、領域NDA1において、回路のレイアウトを効率化する必要がある。
【0106】
そこで、
図16に示すように、表示装置DSP1では、検査用に用いられる複数の端子TPDのそれぞれは、表示領域DAのY1側であって、かつ、制御回路CTCが形成されたドライバチップDRC1のX1側にある。また、端子TPDに接続される保護回路PCは、表示領域DAのY1側であって、かつ、制御回路CTCが形成されたドライバチップDRC1のX1側にある。一方、表示領域DAのY2側(
図1参照)およびドライバチップDRC1のX2側には、端子TPDおよび保護回路PCは無い。本実施の形態のようにX方向においてX1側およびX2側の両側に駆動回路GDがある場合、検査用の端子TPDおよび保護回路PCをX1側とX2側にそれぞれ配置する方法も考えられる。しかし、本実施の形態のように、検査用の端子TPDおよび保護回路PCをX1側またはX2側のうちの一方に集約して配置することにより、端子TPDに接続される回路のレイアウトを効率化できる。
【0107】
また、ドライバチップDRC1のX1側の領域とX2側の領域とを比較した場合、X1側の領域の方がスペースに余裕がある。本実施の形態のように、台形の場合、互いに平行である短辺と長辺とを結ぶ辺の両端部において、その辺と短辺とが成す角度は鈍角であり、その辺と長辺とが成す角度は鋭角になる。例えば、
図1において、延在部EXT1の延長線と延在部EXT4の延長線とが成す角度は鈍角になる。また、延在部EXT2の延長線と延在部EXT4の延長線とが成す角度は鋭角になる。この場合、
図16に示すように、ドライバチップDRC1の延在方向である方向T3において、ドライバチップDRC1のX1側の端部から基板SUB1のX1側の外縁辺までの距離D4は、ドライバチップDRC1のX2側の端部から基板SUB1のX2側の外縁辺までの距離D5よりも長い。
【0108】
このように、ドライバチップDRC1のX1側の領域とX2側の領域とを比較した場合、X1側の領域の方がスペースに余裕がある場合、検査用の端子TPDおよび保護回路PCをドライバチップDRC1のX1側に配置することにより、検査用の端子TPDおよび保護回路PCを配置することによる周辺領域SAの面積の増大を抑制できる。
【0109】
図16に示すように、複数の端子TPDのそれぞれは、ドライバチップDRC1を方向T3に沿って延長した線上にある。
図17に示すように、複数の端子TPDのそれぞれは、ドライバチップDRC1(
図16参照)の長辺の延在方向である方向T3に沿って配列されている。
【0110】
また、上記したように、表示装置DSP1は、X方向において、X1側に駆動回路GD1を、X2側に駆動回路GD2を有している。複数の端子TPDを一か所に集約する場合には、端子TPDと複数の駆動回路GD1、GD2のそれぞれを接続する制御配線GWが必要である。このため、制御配線GWは、駆動回路GD1に制御信号を伝送する制御配線(第1制御配線)GW1、および駆動回路GD2に制御信号を伝送する制御配線(第2制御配線)GW2を有する。制御配線GW1は、ドライバチップDRC1、駆動回路GD1、および端子TPDに接続されている。制御配線GW2は、ドライバチップDRC1、駆動回路GD2に接続されている。
図16に示すように、端子TPDは、ドライバチップDRC1のX1側に配置されている。このため、制御配線GW2と検査用の端子TPDとを電気的に接続する経路が必要である。そこで、表示装置DSP1は、制御配線GW2と端子TPDとを接続する配線経路として、
図16および
図20に示す配線(第1検査配線)GWT(ドライバチップDRC1と重なる位置において一点鎖線で示す部分)を有している。配線GWTは、平面視においてドライバチップDRC1と重畳し、かつ、方向T3に沿って延びている。制御配線GW2は、配線GWTを介して端子TPDと電気的に接続されている。
【0111】
また、表示装置DSP1の場合、駆動回路GDに電源電位を供給する電源配線PLが保護回路PCを介して端子TPDに接続されている。
図6を用いて説明したように、電源配線PLには、電位VDHが供給される配線PLH、および電位VDHより低い電位が供給される配線PLLが含まれる。電源配線PLは、複数の駆動回路GD1、GD2のそれぞれに接続されている。このため、電源配線PLは、駆動回路GD1に電源電位を伝送する電源配線(第1電源配線)PL1、および駆動回路GD2に電源電位を伝送する電源配線(第2電源配線)PL2を有する。電源配線PL1は、駆動回路GD1、および端子TPDに接続されている。電源配線PL2は、駆動回路GD2に接続されている。また、表示装置DSP1は、電源配線PL2と端子TPDとを接続する配線経路として、
図16および
図20に示す配線(第2検査配線)PLT(ドライバチップDRC1と重なる位置において点線で示す部分)を有している。配線PLTは、平面視においてドライバチップDRC1と重畳し、かつ、方向T3に沿って延びている。電源配線PL2は、配線PLTを介して端子TPDと電気的に接続されている。
【0112】
図20に示すように、ドライバチップDRC1に接続される複数の端子PD1および複数の端子PD2のそれぞれは、Y方向およびX方向のそれぞれに対して傾斜する方向T3に沿って配列されている。配線GWTおよび配線PLTは、端子PD1と端子PD2との間に配置されている。言い換えれば、配線GWTおよび配線PLTは、領域DRAを方向T3に沿って横切っている。また、
図5に示すように、配線GWTおよび配線PLTは、Z方向において、ドライバチップDRC1と基板SUB1との間にある。Z方向とは、
図20に示すX方向およびY方向を含むXY平面に対して垂直な方向である。また、端子PD1のY2側には、多数の映像信号接続線SCLが配置されている。また、端子PD2と端子PD3の間には、配線板FWB1とドライバチップDRC1とを接続する、配線FDWが配置されている。このため、配線GWTおよび配線PLTは、端子PD1と端子PD2の間にある。端子PD1と端子PD2の間に検査用の配線GWTと配線PLTとが配置されている場合、検査用の配線と他の配線とが交差する箇所を低減できる。これにより、検査用の配線が他の配線から受けるノイズ影響を低減できる。あるいは、他の配線が検査用の配線から受けるノイズ影響を低減できる。
【0113】
なお、
図16では、見易さのため、ドライバチップDRC1と重畳する位置に一本の配線GWTおよび配線PLTを示している。しかし、配線GWTの数および配線PLTの数は一本には限定されず、複数本であっても良い。ドライバチップDRC1と重畳する領域DRA(
図3参照)に複数本の配線GWTがあれば、領域DRAを経由して伝送される信号の種類を増やすことができる。
【0114】
また、
図20に示すように、平面視において、制御配線GWは、複数の映像信号接続線SCLのそれぞれと重なっていない。このため、制御配線GWと複数の映像信号接続線SCLとが、相互にノイズ影響を及ぼすことを抑制できる。
図16に示すように複数の映像信号接続線SCLは、制御配線GWと表示領域DAとの間にある。この場合、制御配線GWは、基板SUB1の外縁部に沿って配置されるので、制御配線GWは複数箇所で屈曲している。複数の映像信号接続線SCLのそれぞれも屈曲しているが、制御配線GWが有する屈曲部の数は、各映像信号接続線SCLが有する屈曲部の数よりも多い。言い換えれば、各映像信号接続線SCLは、制御配線GWと表示領域DAとの間に配置されていることにより、屈曲部の数を少なくすることができる。映像信号接続線SCLは、制御配線GWと比較して総数が多い。このため映像信号接続線SCLの配置ピッチは、制御配線GWの配置ピッチよりも狭い。各映像信号接続線SCLの屈曲部の数を低減することにより、映像信号接続線SCLの配置ピッチが局所的に狭くなる箇所を少なくできる。このため、多数の映像信号接続線SCLを狭ピッチで配置することができる。
【0115】
以上、本願発明者が見出した技術について、一例としての実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0116】
例えば、上記実施の形態においては、開示例として液晶表示装置の場合を例示したが、その他の適用例として、有機EL表示装置、その他の自発光型表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0117】
また、例えば、上記実施の形態においては、
図3に示すように複数の走査信号線GLのそれぞれの両端部が駆動回路GD1および駆動回路GD2に接続され、表示領域DAの内の全体を両側駆動方式で駆動する実施態様について説明した。しかし変形例として、表示領域DAの内の全体を片側駆動方式で駆動しても良い。この場合、例えば、
図3に示す駆動回路GD1が無く、全ての走査信号線GLが駆動回路GD2により片側駆動方式で駆動されても良い。あるいは、複数の走査信号線GLのそれぞれが、駆動回路GD1および駆動回路GD2のうちのいずれか一方に接続され、他方には接続されていなくても良い。
【0118】
また、例えば、
図6など、駆動回路GDおよび駆動回路GDに接続された走査信号線GLの関係を説明する各図では、一つのシフトレジスタ回路GSRに一つのスイッチ回路GSWが接続された回路ブロックGDBのそれぞれに一本の走査信号線GLが接続されている例を示した。スイッチ回路GSWと走査信号線GLは、一対一で対応している必要があるが、例えば
図21に示す変形例のように、一つのシフトレジスタ回路GSRに複数のスイッチ回路GSWが接続されていても良い。
図21は、
図6に示す回路ブロックに対する変形例を示す回路ブロック図である。
図21に示す例では、複数のシフトレジスタ回路GSRのそれぞれには、4個のスイッチ回路GSWが接続されている。一つのシフトレジスタ回路GSRと4個のスイッチ回路GSWのセットで一つの回路ブロックを構成する。また、複数のスイッチ回路のそれぞれには、一本の走査信号線GLが接続されている。
【0119】
図21に示す変形例の場合、一つの回路ブロックGDBに含まれるスイッチ回路GSWのそれぞれに対して互いに独立したイネーブル線GWEが接続されている。この場合、シフトレジスタ回路GSRから供給されるパルス信号とイネーブル線GWEから供給されるパルス信号とを組み合わせることにより、複数の走査信号線GLのそれぞれに対して順次走査信号Gsi(
図6参照)を伝送することができる。
図21に示す変形例の場合、
図6を用いて説明した例と比較して、シフトレジスタ回路GSRの数を低減できる。また、走査信号線GLの数が同じであると仮定した場合、
図21に示すように、複数の走査信号線GLのそれぞれが、互いに独立した複数のイネーブル線GWEのうちのいずれかに接続されている構成は以下の点で有利である。すなわち、イネーブル線GWEに接続されるスイッチ回路GSWの数が少なくなる為図の例では(1/4)、イネーブルGWE線の負荷容量を低減する事ができる。
【0120】
また、例えば、上記実施の形態においては、
図17に示すように複数の端子TPDのそれぞれが保護回路PCを介して接続されている例を説明した。しかし、内部回路に対する静電気放電を考慮しなくても良い場合には、保護回路PCが無くても良い。
【0121】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0122】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。