(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記付加反力は、ある時間長さだけ一定の大きさに維持される第1維持反力と、ある時間長さだけ前記第1維持反力よりも小さい一定の大きさに維持される第2維持反力とに交互に切り換わるように設定されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の建設機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記のような従来の警報システムでは、建設機械による作業中にオペレータに建設機械の作動部の動作に注意が必要な状況であることを確実に認知させることができない場合がある。
【0008】
例えば、建設機械による作業中にオペレータが作業箇所に視線を集中している場合には、表示器によって警告が表示されたとしても、その警告の表示にオペレータが気付かない場合がある。また、ブザーが発する警告音やスピーカから出力される音声警告メッセージで警告を報知するものでは、それらの警告音や音声警告メッセージの出力をオペレータが切ってしまう場合があり、この場合には警告が報知されないことになる。
【0009】
本発明の目的は、建設機械による作業中にその建設機械の作動部の動作に注意が必要な状況であることをオペレータに確実に認知させることが可能な建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による建設機械は、建設機械本体と、前記建設機械本体上に設けられて、作業を行うために作動する作動部と、作動油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けることにより前記作動部を作動させる油圧アクチュエータと、前記作動部の動作を指示するために操作されるレバーと、前記作動部を作動させるために前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力である作動圧力を検出する圧力センサと、前記レバーが操作されたときにそのレバーに反力を付与する付与装置と、前記作動部の動作についての注意の必要性の指標となる注意情報を検出する注意情報検出部と、前記注意情報検出部によって検出された前記注意情報に基づいて、前記作動部がその動作に注意が必要な作動注意状態にあるか否かを判定する判定部と、前記レバーが操作されたときに前記判定部により前記作動部は前記作動注意状態にないと判定された場合には前記付与装置に前記圧力センサによって検出された前記作動圧力に応じた通常反力を前記レバーに対して付与させる一方、前記レバーが操作されたときに前記判定部により前記作動部は前記作動注意状態にあると判定された場合には前記付与装置に特定のパターンで繰り返し変動する付加反力を前記通常反力に加えて前記レバーに付与させる制御部と、を備えている。
【0011】
この建設機械では、作動部が作動注意状態にある場合には、レバーに通常反力に加えて特定のパターンで繰り返し変動する付加反力が付与されるため、建設機械による作業中にオペレータの視線が作業箇所に集中している場合であっても、レバーから手に伝わる感触でオペレータに作動部の動作に注意が必要な状況であることを確実に認知させることができる。また、繰り返し変動する反力がレバーから手に伝わることで、1度だけ反力が変動するようなものとは異なり、継続してオペレータに作動部の動作に注意が必要な状況であることを認知させることができる。
【0012】
前記建設機械において、前記作動部は、前記建設機械本体上に旋回可能となるように搭載された上部旋回体であり、前記油圧アクチュエータは、前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けることにより前記上部旋回体を旋回させるように構成され、前記レバーは、前記上部旋回体の旋回動作を指示する操作を受ける旋回操作レバーであり、前記圧力センサは、前記上部旋回体を旋回させるために前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力である旋回圧力を検出し
、前記注意情報
は、前記上部旋回体の旋回動作についての注意の必要性の指標となる旋回注意情報
であり、前記注意情報検出部は、当該旋回注意情報を検出する旋回注意情報検出部であり、前記判定部は、前記旋回注意情報検出部によって検出された前記旋回注意情報に基づいて、前記上部旋回体はその旋回動作に注意が必要な旋回注意状態にあるか否かを判定し、前記制御部は、前記旋回操作レバーが操作されたときに前記判定部により前記上部旋回体は前記旋回注意状態にないと判定された場合には前記付与装置に前記圧力センサによって検出された前記旋回圧力に応じた通常反力を前記旋回操作レバーに対して付与させる一方、前記旋回操作レバーが操作されたときに前記判定部により前記上部旋回体は前記旋回注意状態にあると判定された場合には前記付与装置に前記付加反力を前記通常反力に加えて前記旋回操作レバーに対して付与させることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、上部旋回体が旋回注意状態にある場合に特定のパターンで繰り返し変動する反力が旋回操作レバーに付与されるため、その上部旋回体の旋回動作に注意が必要な状況であることを旋回操作レバーから手に伝わる感触でオペレータに確実に認知させることができる。
【0014】
前記建設機械において、前記上部旋回体は、吊荷を吊るクレーン装置を有し、前記旋回注意情報検出部は、前記旋回注意情報として前記クレーン装置に吊られた前記吊荷の荷重を検出する荷重センサを有し、前記判定部は、前記荷重センサによって検出された前記吊荷の荷重の値が所定の荷重閾値よりも大きい場合に前記上部旋回体は前記旋回注意状態にあると判定してもよい。
【0015】
この構成によれば、クレーン装置に吊られた吊荷の荷重が所定の荷重閾値よりも大きい場合にその状態を上部旋回体の旋回に注意が必要な状況としてオペレータに確実に認知させることができる。
【0016】
そして、本発明の一局面による建設機械において、前記上部旋回体は、建設作業を行うための作業アタッチメントを有し、前記旋回注意情報検出部は、前記旋回注意情報として前記作業アタッチメントが受ける風の速度を検出する風速センサを有し、前記判定部は、前記風速センサによって検出された風の速度の値が所定の風速閾値よりも大きい場合に前記上部旋回体は前記旋回注意状態にあると判定
する。
【0017】
この構成によれば、作業アタッチメントが受ける風の速度が所定の風速閾値よりも大きい場合にその状態を上部旋回体の旋回に注意が必要な状況としてオペレータに確実に認知させることができる。
【0018】
本発明の参考例による建設機械
では、前記旋回注意情報検出部は、前記旋回注意情報として前記上部旋回体の旋回範囲内への人の侵入を検出する侵入検出部を有し、前記判定部は、前記侵入検出部によって前記旋回範囲内への人の侵入が検出された場合に前記上部旋回体は前記旋回注意状態にあると判定してもよい。
【0019】
この構成によれば、上部旋回体の旋回範囲内に人が立ち入った場合にその状況を上部旋回体の旋回に注意が必要な状況としてオペレータに確実に認知させることができる。
【0020】
また、本発明の別の一局面による建設機械において、前記作動部は、前記建設機械本体上に旋回可能となるように搭載された上部旋回体であり、前記上部旋回体は、吊荷を吊るクレーン装置を有し、前記注意情報検出部は、前記注意情報として、前記クレーン装置に吊られた前記吊荷の荷重を検出する荷重センサを有し、前記判定部は、前記荷重センサによって検出された前記吊荷の荷重の値に基づいて前記上部旋回体が前記作動注意状態にあるか否かを判定
する。
【0021】
この場合において、前記クレーン装置は、起伏可能に構成されていてその先端から前記吊荷を吊るブームを有し、前記建設機械は、前記ブームの起伏角度を検出する起伏角度センサをさらに備え、前記判定部は、前記ブームの起伏角度と前記吊荷の荷重について過負荷の判定基準となる過負荷基準値との相関関係に基づいて、前記起伏角度センサによって検出された前記ブームの起伏角度に対応する過負荷基準値を導出し、前記荷重センサによって検出された前記吊荷の荷重の値が導出した過負荷基準値よりも大きい場合に前記上部旋回体が前記作動注意状態にあると判定してもよい。
【0022】
この構成によれば、上部旋回体がブームの起伏角度に応じた過負荷基準値よりも吊荷の荷重値が大きくなっている作動注意状態としての過負荷状態にある場合に、レバーに特定のパターンで繰り返し変動する付加反力を通常反力に加えて付与できる。このため、当該構成によれば、上部旋回体はその動作に注意が必要な過負荷状態になっていることをレバーから手に伝わる感触でオペレータに確実に認知させることができる。
【0023】
また、本発明の別の一局面による建設機械は、建設機械本体と、前記建設機械本体上に旋回可能となるように搭載された上部旋回体であって作業を行うために作動する作動部を有するものと、作動油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けることにより前記作動部を作動させる油圧アクチュエータと、前記作動部の動作を指示するために操作されるレバーと、前記作動部を作動させるために前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力である作動圧力を検出する圧力センサと、前記レバーが操作されたときにそのレバーに反力を付与する付与装置と、前記作動部の動作についての注意の必要性の指標となる注意情報を検出する注意情報検出部と、前記注意情報検出部によって検出された前記注意情報に基づいて、前記作動部がその動作に注意が必要な作動注意状態にあるか否かを判定する判定部と、前記レバーが操作されたときに前記判定部により前記作動部は前記作動注意状態にないと判定された場合には前記付与装置に前記圧力センサによって検出された前記作動圧力に応じた通常反力を前記レバーに対して付与させる一方、前記レバーが操作されたときに前記判定部により前記作動部は前記作動注意状態にあると判定された場合には前記付与装置に特定のパターンで繰り返し変動する付加反力を前記通常反力に加えて前記レバーに付与させる制御部と、を備え、前記上部旋回体は、吊荷を吊るクレーン装置を有し、当該クレーン装置が、起伏可能に構成されてその先端から前記吊荷が吊るされるブームを前記作動部として有し、前記注意情報検出部は、前記注意情報として、前記クレーン装置に吊られた前記吊荷の荷重を検出する荷重センサを有し、前記判定部は、前記荷重センサによって検出された前記吊荷の荷重の値に基づいて前記ブームがその起伏動作について前記作動注意状態にあるか否かを判定し、前記建設機械は、前記ブームの起伏角度を検出する起伏角度センサをさらに備え、前記判定部は、前記ブームの起伏角度と前記吊荷の荷重について過負荷の判定基準となる過負荷基準値との相関関係に基づいて、前記起伏角度センサによって検出された前記ブームの起伏角度に対応する過負荷基準値を導出し、前記荷重センサによって検出された前記吊荷の荷重の値が導出した過負荷基準値よりも大きい場合に前記ブームがその起伏動作について前記作動注意状態にあると判定し、前記油圧アクチュエータは、前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けることにより前記ブームを起伏させるように構成され、前記レバーは、前記ブームの起伏動作を指示するための操作を受ける起伏操作レバーであ
る。
【0024】
この構成によれば、上部旋回体
においてブーム
がその起伏動作に注意が必要な過負荷状態になっていることを起伏操作レバーから手に伝わる感触でオペレータに確実に認知させることができる。
【0025】
また、前記油圧アクチュエータは、前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けることにより前記上部旋回体を旋回させるように構成され、前記レバーは、前記上部旋回体の旋回動作を指示するための操作を受ける旋回操作レバーであってもよい。
【0026】
この構成によれば、上部旋回体がその旋回動作に注意が必要な過負荷状態になっていることを旋回操作レバーから手に伝わる感触でオペレータに確実に認知させることができる。
【0027】
前記建設機械において、前記付加反力は、ある大きさの第1反力とその第1反力よりも小さい第2反力との間で連続して周期的に変動するように設定されていてもよい。また、前記建設機械において、前記付加反力は、ある時間長さだけ一定の大きさに維持される第1維持反力と、ある時間長さだけ前記第1維持反力よりも小さい一定の大きさに維持される第2維持反力とに交互に切り換わるように設定されていてもよい。
【0028】
これらの構成によれば、オペレータにレバーから伝わる感触で作動部の動作に注意が必要な状況であることを認知させるための付加反力の具体的な変動パターンを設定できる。
【0029】
前記建設機械において、前記付与装置は、電流が供給されることにより電磁気力を発生させてその電磁気力により前記レバーに付与する前記通常反力及び前記付加反力を生成するように構成され、前記制御部は、前記判定部により前記作動部は前記作動注意状態にあると判定された場合には前記付与装置へ供給する電流を増減させることで前記付与装置に前記特定のパターンで変動する前記付加反力を生成させることが好ましい。
【0030】
この構成では、制御部が付与装置に供給する電流を増減させることでその電流の増減に対して高い応答性で付与装置が生成する付加反力を変動させることができる。このため、微小な時間間隔で変動する複雑なパターンの付加反力をレバーに対して付与することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、建設機械による作業中にその建設機械の作動部の動作に注意が必要な状況であることをオペレータに確実に認知させることが可能な建設機械を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1には、本発明の建設機械の一実施形態であるクレーンの全体構成が示されている。また、
図2には、本実施形態のクレーンに搭載される電気式操作システムの構成が示されている。なお、
図2では、太い実線により油圧配管が示されており、破線により電気配線が示されている。
【0035】
本実施形態によるクレーンは、自走可能に構成された下部走行体2(
図1参照)と、この下部走行体2上に縦軸回りに旋回可能となるように搭載された上部旋回体4と、油圧ポンプ5(
図2参照)と、上部旋回体4を旋回させるための油圧モータである旋回モータ6(
図2参照)とを備える。
【0036】
下部走行体2は、本発明における建設機械本体の一例である。また、上部旋回体4は、本発明における作動部の一例である。上部旋回体4は、下部走行体2上に縦軸回りに旋回可能となるように搭載された旋回フレーム71と、その旋回フレーム71上に設けられたクレーン装置72とを有する。クレーン装置72は、吊荷の吊り作業を行うための装置である。
【0037】
クレーン装置72は、旋回フレーム71に起伏可能となるように取り付けられたブーム74と、そのブーム74の先端から吊り下げられて吊荷を吊るフック装置75と、旋回フレーム71上に搭載された起伏ウインチ76及び巻上ウインチ77とを有する。
【0038】
起伏ウインチ76には、起伏ロープ80が巻かれており、この起伏ロープ80が起伏ウインチ76から引き出されて連結機構81を介してブーム74の先端部に連結されている。起伏ウインチ76が起伏ロープ80の巻き取り、繰り出しを行うことによりブーム74が起伏動作するようになっている。
【0039】
巻上ウインチ77には、巻上ロープ82が巻かれており、この巻上ロープ82が巻上ウインチ77から引き出されてブーム74の先端を通って垂下され、フック装置75を吊り下げている。巻上ウインチ77が巻上ロープ82の巻き取り、繰り出しを行うことによりフック装置75が昇降し、そのフック装置75に吊られた吊荷の昇降が行われるようになっている。
【0040】
油圧ポンプ5(
図2参照)は、作動油を吐出するものである。
【0041】
旋回モータ6(
図2参照)は、油圧ポンプ5から吐出された作動油を受けて作動し、下部走行体2に対して上部旋回体4を縦軸回りに旋回させるための動力を発生させる。この旋回モータ6は、本発明における油圧アクチュエータの一例である。旋回モータ6は、上部旋回体4に接続される図略の出力軸と、第1ポート6aと、第2ポート6bとを有する。旋回モータ6の第1ポート6aに作動油が供給されると、その作動油は、第1ポート6aから旋回モータ6内を通って第2ポート6bから吐出される。このときの作動油の油圧により、旋回モータ6は第1作動方向に作動する。一方、旋回モータ6の第2ポート6bに作動油が供給されると、その作動油は、第2ポート6bから旋回モータ6内を通って第1ポート6bから吐出される。このときの作動油の油圧により、旋回モータ6は、第1作動方向と反対の第2作動方向に作動する。旋回モータ6が第1作動方向に作動するときには、出力軸が上部旋回体4を例えば右旋回させる方向に回転し、旋回モータ6が第2作動方向に作動するときには、出力軸が上部旋回体4を例えば左旋回させる方向に回転する。
【0042】
本実施形態のクレーンには、上部旋回体4を旋回操作するための
図2に示す電気式操作システム7が搭載されている。この電気式操作システム7は、操作装置8と、旋回バルブ12と、第1電磁比例弁14と、第2電磁比例弁16と、圧力センサ24と、荷重センサ25と、コントローラ27とを備える。
【0043】
操作装置8は、上部旋回体4の旋回動作を電気信号によりコントローラ27へ指示するものである。操作装置8は、上部旋回体4に設けられた運転室内に設置されている。操作装置8は、旋回操作レバー32と、付与装置35と、レバー操作検出器36と、ホルダ37とを有する。
【0044】
旋回操作レバー32は、上部旋回体4の旋回動作を指示するためにオペレータによって操作されるものである。以下、旋回操作レバー32のことを単にレバー32と称する。レバー32は、
図3に示すように、中立位置から一方の第1操作方向と、中立位置から第1操作方向と反対の第2操作方向とに操作可能となっている。具体的には、レバー32は、付与装置35の後述するロータ部42とともに回動可能となるように当該ロータ部42を介してホルダ37に支持されており、それによって中立位置から第1操作方向と第2操作方向とに操作可能となっている。
【0045】
中立位置は、レバー32を第1操作方向へ最大に操作した位置とレバー32を第2操作方向へ最大に操作した位置との間のほぼ中央の位置である。レバー32は、中立位置では上下方向に延びるように配置される。レバー32は、中立位置から第1操作方向へ操作されるときには、後述する回転軸C回りに回動して第1操作方向に傾倒される。また、レバー32は、中立位置から第2操作方向へ操作されるときには、後述する回転軸C回りに回動して第2操作方向に傾倒される。第1操作方向は、例えば旋回モータ6を第1作動方向に作動させて上部旋回体4を右旋回させる操作方向であり、第2操作方向は、例えば旋回モータ6を第2作動方向に作動させて上部旋回体4を左旋回させる操作方向である。
【0046】
付与装置35(
図2及び
図3参照)は、レバー32が中立位置から第1操作方向及び第2操作方向にそれぞれ操作されたときにレバー32に反力を付与するものである。反力は、レバー32の中立位置からの操作方向と逆向きにレバー32に作用する力である。本実施形態では、付与装置35は、電流が供給されることにより電磁気力(磁気吸引力)を発生させてその電磁気力によりレバー32に付与する反力を生成するものである。付与装置35は、
図3に示すように、ステータ部41と、ステータ部41に対して回転軸C回りに回動可能なロータ部42と、を有する。
【0047】
ステータ部41は、ホルダ37に固定されている。ステータ部41は、
図4に示すように、励磁コイル44とステータ45を有する。
【0048】
励磁コイル44は、導線を単純巻きして形成されたコイルであり、励磁電流が流れることによってステータ45を磁化する。なお、励磁コイル44は、帯状の導線を巻回したいわゆるパンケーキコイル等であってもよい。
【0049】
ステータ45は、軸部46と、一対の大径部47とを有する。これらの軸部46及び一対の大径部47は、透磁率の高い素材によって形成されている。
【0050】
軸部46は、前記回転軸Cを中心軸とする円柱状をなしている。一対の大径部47は、前記回転軸Cに沿う方向における軸部46の両端部にそれぞれ設けられている。各大径部47は、軸部46の径方向外側に広がる形状をなしている。各大径部47には、軸部46の周方向に等間隔に並ぶ複数の切欠き48がそれぞれ形成されている。換言すると、各大径部47は、隣り合う切欠き48間の部位である複数の突出部49を有し、各突出部49は、軸部46の径方向において突出しているとともに軸部46の周方向に等間隔に並んでいる。各突出部49の先端面50は、回転軸Cに沿う方向に見た場合に、回転軸Cを中心とする同一の円上に位置する。各大径部47が有する突出部49の数は同数であり、一対の大径部47において対応する突出部49同士は、回転軸Cに沿う方向において並んでいる。
【0051】
ステータ45では、一対の大径部47間において軸部46を囲むように励磁コイル44が配置される。この状態で、励磁コイル44に励磁電流が流されると、ステータ45が磁化される。このとき、ステータ45では、回転軸Cに沿う方向において互いに対向する一対の突出部49と軸部46のうちその一対の突出部49間で励磁コイル44近傍に位置する部位とに磁束線が集中する。これらの部位がステータ45の磁極部であるステータ側磁極部52を構成する。そして、各突出部49の先端面50は、ステータ側磁極部52の磁極面であるステータ側磁極面53を構成する。
【0052】
ロータ部42は、ロータ55と、一対の側面プレート56とを有する。ロータ部42は、ホルダ37に対して回転軸C回りに回転可能となるように取り付けられている。すなわち、ロータ部42は、ホルダ37に固定されたステータ部41に対して回転可能である。
【0053】
ロータ55は、ロータ本体58と、複数のロータ側磁極部59とを有する。ロータ55は、透磁率の高い素材によって形成されている。
【0054】
ロータ本体58は、軸部46の径方向においてステータ部41の外縁との間に間隔を空けた状態で当該ステータ部41を外側から軸部46の周方向において囲む円筒状をなす。レバー32は、このロータ本体58の外周面に固定されており、当該ロータ本体58の外周面から当該ロータ本体58の径方向外側へ延びている。このため、ロータ部42とレバー32が一体的に回転軸Cを中心として回動可能となっている。この構成により、レバー32が前記中立位置から前記第1傾倒方向と前記第2傾倒方向とに傾倒可能となっている。
【0055】
各ロータ側磁極部59は、ロータ本体58からステータ部41へ向かってロータ本体58の径方向内側に突出するとともに回転軸Cに沿う方向に延びる突条形状をなす。各ロータ側磁極部59は、その先端、すなわちロータ本体58の径方向内寄りに位置する端部にロータ側磁極面60を有する。このロータ側磁極面60は、ロータ側磁極部59が軸部46の径方向、すなわちロータ本体58の径方向においてステータ側磁極部52と対向した状態では、ステータ側磁極面53との間に所定の隙間を空けてそのステータ側磁極面53と平行に配置される。
【0056】
ロータ側磁極部59はステータ側磁極部52と同数設けられており、これらのロータ側磁極部59は、軸部46の周方向において等間隔で並んでいる。複数のロータ側磁極部59がこのように配置されることで、
図5に示すように、1つのロータ側磁極部59のロータ側磁極面60が対応するステータ側磁極部52のステータ側磁極面53と対面したときに、残りの各ロータ側磁極部59のロータ側磁極面60がそれぞれ対応するステータ側磁極部52のステータ側磁極面53と対面するようになっている。レバー32が中立位置にある状態では、このように各ロータ側磁極部59のロータ側磁極面60がそれぞれ対応するステータ側磁極部52のステータ側磁極面53と対面している。
【0057】
ロータ側磁極面60がステータ側磁極面53と軸部46の径方向において対面する正面位置に配置されている状態では、ロータ側磁極部59は、励磁電流が流れる励磁コイル44の周方向と直交し且つ当該ロータ側磁極部59及びステータ側磁極部52を通る断面において、ステータ側磁極部52と共同して励磁コイル44を囲む。この状態で励磁コイル44に励磁電流が流されると、当該励磁コイル44による励磁によって生じた磁束線がステータ側磁極部52及びロータ側磁極部59に集中し、ステータ側磁極部52とロータ側磁極部59とを通って励磁コイル44を囲む磁気回路が形成される。この状態から例えば
図6に示すようにレバー32が傾倒操作されてロータ部42がステータ部41に対して回動し、その回動方向にロータ側磁極部59がステータ側磁極部52から離れようとすると、そのロータ側磁極部59とステータ側磁極部52との間に磁気吸引力(電磁気力)が働く。この磁気吸引力により、中立位置から傾倒操作されたレバー32に対してその操作方向と逆向きの反力が付与されるようになっている。励磁コイル44に流される励磁電流が大きい程、前記磁気吸引力は大きくなり、その結果、レバー32に付与される反力が大きくなる。
【0058】
一対の側面プレート56(
図3参照)は、ロータ55を回転軸Cに沿う方向において両側から挟み込み、そのロータ55に固定されている。各側面プレート56は、ロータ本体58と同軸の円板状をなしている。ロータ部42が
図3に示すようにホルダ37に収容された状態で、各側面プレート56が回転軸C回りに回動可能となるようにホルダ37によって支持されている。これにより、ロータ部42が回転軸C回りにステータ部41及びホルダ37に対して回動可能となっている。
【0059】
レバー操作検出器36(
図2及び
図3参照)は、レバー32の中立位置からの操作方向及び操作量を検出するものである。具体的には、レバー操作検出器36は、レバー32が中立位置にある状態からのロータ部42の回転角度をレバー32の操作量として検出する。このレバー操作検出器36は、例えばロータリエンコーダである。レバー操作検出器36は、検出した回転角度のデータをコントローラ27へ送信する。
【0060】
旋回バルブ12(
図2参照)は、油圧ポンプ5から旋回モータ6へ作動油を供給する供給経路において油圧ポンプ5と旋回モータ6との間に設けられている。旋回バルブ12は、旋回モータ6の第1ポート6a及び第2ポート6bに接続されている。旋回バルブ12は、油圧ポンプ5から旋回モータ6への作動油の供給経路を第1ポート6aへ作動油を供給する経路と第2ポート6bへ作動油を供給する経路との間で切り換える機能を有する。また、旋回バルブ12は、旋回モータ6の第1ポート6a及び第2ポート6bへ供給される作動油の流量を変化させる機能を有する。
【0061】
具体的に、旋回バルブ12は、パイロット式切換弁である。旋回バルブ12は、図略のスリーブと、そのスリーブ内を摺動する図略のスプールと、第1パイロットポート12aと、第2パイロットポート12bとを有する。スプールは、中立位置と、第1供給位置と、第2供給位置とに切換可能となっている。第1パイロットポート12aと第2パイロットポート12bの両方にパイロット圧が供給されないときには、スプールは中立位置に配置される。第1パイロットポート12aに第1パイロット圧が供給される一方、第2パイロットポート12bに第2パイロット圧が供給されないときには、スプールは第1供給位置に配置される。また、第2パイロットポート12bに第2パイロット圧が供給される一方、第1パイロットポート12aに第1パイロット圧が供給されないときには、スプールは第2供給位置に配置される。
【0062】
スプールが中立位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、油圧ポンプ5から旋回モータ6の両ポート6a,6bのいずれにも作動油が供給されないようにする。スプールが第1供給位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、油圧ポンプ5から旋回モータ6の第1ポート6aへ作動油が供給されるようにする。この作動油の供給により、旋回モータ6は第1作動方向に作動するようになっている。また、スプールが第2供給位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、油圧ポンプ5から旋回モータ6の第2ポート6bへ作動油が供給されるようにする。この作動油の供給により、旋回モータ6は第2作動方向に作動するようになっている。
【0063】
また、旋回バルブ12は、その各パイロットポート12a,12bに供給されるパイロット圧の増減に応じてスプールの中立位置から第1供給位置又は第2供給位置への移動量が増減するように構成されている。このスプールの移動量の増減に応じて、旋回バルブ12は、旋回モータ6の各ポート6a,6bに供給される作動油の流量を増減させる。
【0064】
第1パイロットポート12aは、第1油圧配管62を介して第1電磁比例弁14に接続されている。第2パイロットポート12bは、第2油圧配管64を介して第2電磁比例弁16に接続されている。第1電磁比例弁14には、油圧源66が接続されており、第2電磁比例弁16には、油圧源67が接続されている。油圧源66,67は、パイロット圧用の油圧を生成するものである。
【0065】
第1電磁比例弁14(
図2参照)は、第1パイロットポート12aに供給される第1パイロット圧を制御する。第1電磁比例弁14は、電気配線を介してコントローラ27に接続されたソレノイド14aを有する。第1電磁比例弁14は、ソレノイド14aに通電されていないときには油圧源66と第1パイロットポート12aとの間を遮断する遮断状態になり、ソレノイド14aに通電されることによって第1パイロットポート12aへの第1パイロット圧の供給を許容する供給状態になる。また、第1電磁比例弁14は、供給状態において、ソレノイド14aに供給される第1制御電流の値に応じて第1パイロットポート12aへ供給する第1パイロット圧を変化させる。
【0066】
第2電磁比例弁16は、第2パイロットポート12bに供給される第2パイロット圧を制御する。第2電磁比例弁16は、第1電磁比例弁14と同様に構成されており、電気配線を介してコントローラ27に接続されたソレノイド16aを有する。第2電磁比例弁16は、ソレノイド16aに通電されていないときには油圧源67と第2パイロットポート12bとの間を遮断する遮断状態になり、ソレノイド16aに通電されることによって第2パイロットポート12bへのパイロット圧の供給を許容する供給状態になる。また、第2電磁比例弁16は、供給状態において、ソレノイド16aに供給される第2制御電流の値に応じて第2パイロットポート12bへ供給する第2パイロット圧を変化させる。
【0067】
圧力センサ24(
図2参照)は、上部旋回体4を旋回させるために旋回モータ6を作動させる作動油の圧力である旋回圧力を検出する。圧力センサ24は、旋回バルブ12と旋回モータ6との間の油圧回路のうち第1ポート6aに接続された部分と第2ポート6bに接続された部分との間に接続されている。前記旋回圧力は第1ポート6aと第2ポート6bとの間の差圧に相当し、圧力センサ24は、この差圧を検出する。圧力センサ24は、検出した旋回圧力のデータをコントローラ27へ送信する。
【0068】
荷重センサ25は、クレーン装置72に設けられ、当該クレーン装置72のフック装置75に吊られた吊荷の荷重を検出するものである。荷重センサ25は、本発明における注意情報検出部及び旋回注意情報検出部の一例である。また、荷重センサ25が検出する吊荷の荷重は、本発明における注意情報及び旋回注意情報の一例である。荷重センサ25は、例えば巻上ロープ82にかかる張力を検出し、その検出した張力から吊荷の荷重を検出する。また、荷重センサ25は、巻上ロープ82から巻上ウインチ77のドラムにかかる負荷を検出してその検出した負荷から吊荷の荷重を検出するものであってもよい。荷重センサ25は、検出した荷重のデータをコントローラ27へ送信する。
【0069】
コントローラ27は、第1電磁比例弁14及び第2電磁比例弁16の制御を行うことによりレバー32の中立位置からの操作方向及び操作量に応じた旋回モータ6の動作制御を行い、また、レバー32に反力を付与する付与装置35の動作制御を行うものである。コントローラ27は、機能ブロックとして判定部68及び制御部69を有する。
【0070】
判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値に基づいて、上部旋回体4がその旋回動作に注意が必要な旋回注意状態にあるか否かを判定するものである。具体的に、判定部68は、上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する基準として吊荷の荷重値についての所定の荷重閾値を記憶している。吊荷は上部旋回体4の旋回に伴って当該上部旋回体4とともにその旋回方向へ移動するため、吊荷の荷重が大きい程、上部旋回体4を慎重に旋回させる必要がある。このことを考慮して、荷重閾値は、オペレータが上部旋回体4の旋回操作を行うときに注意が必要となる吊荷の荷重の範囲の下限値に設定されている。判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値が荷重閾値よりも大きい場合には、上部旋回体4が旋回注意状態にあると判定する。一方、判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値が荷重閾値以下である場合には、上部旋回体4は旋回注意状態にないと判定する。判定部68は、その判定結果を制御部69へ出力する。
【0071】
制御部69は、レバー32の中立位置からの操作方向及び操作量に応じた旋回モータ6の動作制御を行う。具体的には、制御部69は、レバー操作検出器36によって検出されるロータ部42の回転角度の値に応じて第1電磁比例弁14のソレノイド14aに供給する第1制御電流と第2電磁比例弁16のソレノイド16aに供給する第2制御電流を制御する。これにより、制御部69は、第1及び第2電磁比例弁14,16の遮断状態と供給状態との間での切り換えと、第1及び第2電磁比例弁14,16が供給状態において第1及び第2パイロットポート12a,12bへの供給を許容するパイロット圧の制御とを行う。
【0072】
具体的に、制御部69は、ロータ部42の回転角度の値が0である場合、すなわちレバー32が中立位置にある場合には、第1及び第2電磁比例弁14,16のソレノイド14a,16aのいずれにも制御電流を供給しない。これにより、第1及び第2電磁比例弁14,16は遮断状態になり、その結果、旋回バルブ12の第1及び第2パイロットポート12a,12bのいずれにもパイロット圧が供給されない。この場合、旋回モータ6に作動油が供給されず、旋回モータ6が作動しない。すなわち、上部旋回体4の旋回が停止する。
【0073】
また、制御部69は、ロータ部42の回転角度の値が中立位置から第1操作方向へのレバー32の操作に対応するものである場合には、ソレノイド14aに第1制御電流を供給する一方、ソレノイド16aには第2制御電流を供給しない。これにより、第1電磁比例弁14は供給状態になるとともに、第2電磁比例弁16は遮断状態になる。その結果、油圧ポンプ5から旋回バルブ12を通って第1ポート6aへ作動油が供給され、旋回モータ6が第1作動方向に作動する。これにより、上部旋回体4が右旋回する。
【0074】
また、制御部69は、ロータ部42の回転角度の値が中立位置から第2操作方向へのレバー32の操作に対応するものである場合には、ソレノイド16aに第2制御電流を供給する一方、ソレノイド14aに第1制御電流を供給しない。これにより、第2電磁比例弁16は供給状態になるとともに、第1電磁比例弁14は遮断状態になる。その結果、油圧ポンプ5から旋回バルブ12を通って第2ポート6bへ作動油が供給され、旋回モータ6が第2作動方向に作動する。これにより、上部旋回体4が左旋回する。
【0075】
また、制御部69は、判定部68による判定結果及び圧力センサ24により検出された旋回圧力の値に応じて、レバー32に反力を付与する付与装置35の動作制御を行う。具体的に、制御部69は、判定部68により上部旋回体4は旋回注意状態にないと判定された場合には、付与装置35に、圧力センサ24によって検出された旋回圧力の値に応じた反力である通常反力をレバー32に対して付与させる。一方、制御部69は、判定部68により上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定された場合には、付与装置35に、特定のパターンで繰り返し変動する付加反力を前記通常反力に加えてレバー32に対して付与させる。この場合、本実施形態では、制御部69は、ある大きさの第1反力とその第1反力よりも小さい第2反力との間で連続して周期的に変動する三角波のパターンを示す付加反力を前記通常反力に加えてレバー32に対して付与させる。
【0076】
以下、
図7に示すフローチャートを参照して、付与装置35にレバー32に対して反力を付与させる処理工程について説明する。
【0077】
まず、制御部69が圧力センサ24によって検出された旋回圧力の検出値を読み込む(ステップS1)。すなわち、制御部69が、圧力センサ24からコントローラ27に送られる旋回圧力の検出値のデータを読み込む。
【0078】
次に、制御部69は、読み込んだ旋回圧力の検出値に応じた通常反力F
SWの値を算出する(ステップS2)。具体的には、制御部69は、次式(1)によって通常反力F
SWの値を算出する。
【0079】
F
SW=a×P
SW+b・・・(1)
この式(1)において、aは比例係数であり、bは定数であり、P
SWは旋回圧力の検出値である。このステップS2の処理により、
図8に示された旋回圧力の検出値P
SWから通常反力F
SWへの変換処理が行われる。
【0080】
その後、判定部68が荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重の検出値を読み込む(ステップS3)。すなわち、判定部68が、荷重センサ25からコントローラ27に送られる吊荷の荷重の検出値のデータを読み込む。
【0081】
次に、判定部68は、読み込んだ吊荷の荷重の検出値に基づいて上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する(ステップS4)。具体的に、判定部68は、読み込んだ吊荷の荷重の検出値が所定の荷重閾値よりも大きい場合には、上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定する。一方、判定部68は、読み込んだ吊荷の荷重値が前記荷重閾値以下である場合には、上部旋回体4は旋回注意状態ではないと判定する。
【0082】
判定部68が上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定した場合には、次に、制御部69は、付加反力F
addの値を算出する(ステップS5)。
【0083】
具体的に、制御部69は、荷重センサ25が吊荷の荷重を最初に検出した時点からの経過時間tを計測しており、この経過時間tが(2n−1)T以上2nT未満の範囲にある場合には下記の式(2)によって付加反力F
addの値を算出する。また、制御部69は、前記経過時間tが2nT以上(2n+1)T未満の範囲にある場合には下記の式(3)によって付加反力F
addの値を算出する。なお、nは自然数であり、Tは当該処理フローの繰り返し周期である。
【0084】
F
add=(G
1−G
2)/T×{t−(2n−1)T}・・・(2)
F
add=(G
2−G
1)/T×(t−2nT)・・・(3)
G
1は第1反力係数であり、G
2は第2反力係数である。第2反力係数G
2は、第1反力係数G
1よりも小さい値である。
【0085】
次に、制御部69は、反力指令値F
rを算出する(ステップS6)。この反力指令値F
rは、付与装置35にレバー32に対して付与させる反力の値である。制御部69は、前記ステップS2で算出した通常反力F
SWに前記ステップS5で算出した付加反力F
addを加算することで反力指令値F
rを算出する。このステップS6の処理により、
図8に示された通常反力F
SWと付加反力F
addの合成処理が行われる。
【0086】
一方、前記ステップS4において判定部68が上部旋回体4は旋回注意状態ではないと判定した場合には、制御部69は、反力指令値F
rを前記ステップS2で算出した通常反力F
SWの値に等しい値に設定する(ステップS7)。
【0087】
前記ステップS6及びS7の後、制御部69は、反力指令値F
rに応じた励磁電流を付与装置35の励磁コイル44へ供給する(ステップS8)。すなわち、制御部69は、前記ステップS6で反力指令値F
rを算出した場合にはその算出した反力指令値F
rに応じた励磁電流を付与装置35の励磁コイル44へ供給し、前記ステップS7で反力指令値F
rを設定した場合にはその設定した反力指令値F
rに応じた励磁電流を付与装置35の励磁コイル44へ供給する。制御部69は、予め設定された反力指令値F
rと励磁電流の値との相関関係、例えば関係式や変換表等を有しており、その相関関係に基づいて反力指令値F
rを励磁電流の値に変換し、その変換して得た値の励磁電流を励磁コイル44へ供給する。
【0088】
励磁コイル44に励磁電流が供給されることにより、その供給された励磁電流の大きさに応じた磁気吸引力がロータ側磁極部59とステータ側磁極部52との間に働き、その結果、反力指令値F
rに等しい大きさの反力がレバー32に付与される。
【0089】
そして、以上のようなステップS1〜S8の処理が繰り返し行われる。この繰り返しの処理により、付加反力F
addは
図8に示す三角波のパターンで変動する反力として求められることになる。すなわち、付加反力F
addは、前記第1反力係数G
1に等しい第1反力と、前記第2反力係数G
2に等しく、第1反力よりも小さい第2反力との間で連続して周期的に変動する三角波のパターンを示す。
【0090】
そして、前記経過時間tが0からt
1まで、判定部68により判定された上部旋回体4の旋回注意状態についての判定結果(状態フラグ)が旋回注意状態でないことを示す正常状態であり、経過時間t
1以降に旋回注意状態になったとすると、経過時間t
1までは通常反力F
SWに付加反力F
addが付加されず、反力指令値F
rは通常反力F
SWと同じ値で変動する。一方、経過時間t
1以降になって旋回注意状態になると、反力指令値F
rは通常反力F
SWに付加反力F
addが付加された値となるため、反力指令値F
rの変動パターンは、通常反力F
SWの変動パターンに付加反力F
addの三角波の変動パターンが重畳されたものとなる。これにより、この経過時間t
1以降には、反力指令値F
rの変動パターンで変動する反力がレバー32に付与される。
【0091】
以上のようにして、付与装置35にレバー32に対して反力を付与させる処理が行われる。
【0092】
本実施形態では、判定部68により上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定された場合に付与装置35が通常反力に加えて特定のパターンで繰り返し変動する付加反力をレバー32に付与することになる。このため、クレーンによる作業中にオペレータの視線が作業箇所に集中している場合であっても、レバー32から手に伝わる感触でオペレータに上部旋回体4の旋回に注意が必要な状況であることを確実に認知させることができる。
【0093】
また、本実施形態では、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重の値が荷重閾値よりも大きい場合に判定部68が上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定し、それに応じて制御部69が付与装置35に通常反力に加えて付加反力をレバー32に対して付与させる。クレーン装置100に吊られた吊荷の荷重が大きい程、上部旋回体4の旋回に伴ってそのような大きな荷重の吊荷が上部旋回体4とともに旋回方向に移動することになるため、上部旋回体4の旋回操作に慎重さが求められるが、本実施形態では、このような吊荷の荷重が大きい状況をレバー32に付与する反力の変化で上部旋回体4の旋回に注意が必要な状況としてオペレータに確実に認知させることができる。また、繰り返し変動する反力がレバー32から手に伝わることで、1度だけ反力が変動するようなものとは異なり、継続してオペレータに上部旋回体4の旋回に注意が必要な状況であることを認知させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、付与装置35の励磁コイル44に励磁電流を供給することにより電磁気力(磁気吸引力)を発生させてその電磁気力によりレバー32に付与する反力を生成している。このため、制御部69が判定部68により上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定された場合に付与装置35の励磁コイル44へ供給する励磁電流を増減させたときに、付与装置35は、生成する付加反力を励磁電流の増減に対して高い応答性で変動させることができる。このため、本実施形態では、微小な時間間隔で変動する複雑なパターンの付加反力をレバー32に対して付与することが可能となる。
【0095】
本発明による建設機械は、前記した構成のものに必ずしも限定されない。本発明による建設機械には、例えば以下のような構成を採用可能である。
【0096】
本発明におけるレバーは、ブームの起伏動作を指示するための操作を受ける起伏操作レバー、すなわちクレーンの起伏ウインチを操作するための起伏操作レバーであってもよい。また、本発明におけるレバーは、巻上ウインチを操作するための操作レバーであってもよい。また、本発明におけるレバーは、ショベルの作業アタッチメントの動作を指示するための操作レバーであってもよい。本発明におけるレバーがこれらの操作レバーである場合であっても、その操作レバーに前記のような付加反力を与え得る操作システムを構成することができる。
【0097】
図9には、起伏操作レバー98に付加反力を与え得る本発明の第1変形例としての電気式操作システム90の構成が示されている。
【0098】
この第1変形例による電気式操作システム90は、ブーム起伏用の操作装置91と、バルブ92と、第1電磁比例弁93と、第2電磁比例弁94と、圧力センサ95と、荷重センサ25と、起伏角度センサ96と、コントローラ27とを有する。
【0099】
操作装置91は、ブーム74を起伏させるための起伏ウインチ76の動作を電気信号によりコントローラ97へ指示するものである。操作装置91は、起伏操作レバー98と、付与装置99と、レバー操作検出器100とを備えている。起伏操作レバー98は、ブーム74の起伏動作を指示するための操作を受けるものである。起伏操作レバー98、付与装置99及びレバー操作検出器100の構成は、前記実施形態における旋回操作レバー32、付与装置35及びレバー操作検出器36の構成と同様である。
【0100】
また、ブーム74(
図1参照)を起伏させるための油圧アクチュエータとしての起伏ウインチ76は、油圧モータ76cを有する。起伏ウインチ76は、その油圧モータ76cが油圧ポンプ5から吐出される作動油の供給を受けることにより、起伏ロープ80(
図1参照)の巻き取り、繰り出しを行ってブーム74を起伏させる。
【0101】
バルブ92は、前記実施形態の旋回バルブ92と同様の切換弁であり、油圧ポンプ5から油圧モータ76cへ作動油を供給する供給経路に設けられている。このバルブ92のこれ以外の構成は、前記実施形態の旋回バルブ92の構成と同様である。また、油圧モータ76cに作動油を供給するための油圧回路は、前記実施形態の旋回モータ6に作動油を供給するための油圧回路と同様に構成されている。
【0102】
第1電磁比例弁93及び第2電磁比例弁94は、バルブ92の各パイロットポートに供給されるパイロット圧をそれぞれ制御するものであり、前記実施形態の第1電磁比例弁14及び第2電磁比例弁16と同様に構成されている。
【0103】
圧力センサ95は、ブーム74を起伏させるために起伏ウインチ76の油圧モータ76cを作動させる作動油の圧力を検出する。
【0104】
荷重センサ25は、前記実施形態の荷重センサ25と同様のものである。
【0105】
起伏角度センサ96は、ブーム74の起伏角度、具体的には水平面に対してブーム74がなす角度を検出する。起伏角度センサ96は、検出した起伏角度のデータをコントローラ27へ送信する。
【0106】
コントローラ27の判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値に基づいて上部旋回体4が作動注意状態にあるか否かを判定する。具体的には、判定部68は、判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値と起伏角度センサ96によって検出されたブーム74の起伏角度とに基づいて、上部旋回体4が作動注意状態にあるか否かを判定する。詳しくは、判定部68は、ブーム74の起伏角度と、吊荷の荷重についての過負荷の判定基準である過負荷基準値との相関関係を記憶している。この相関関係は予め設定されたものである。そして、判定部68は、この相関関係に基づいて、起伏角度センサ96によって検出されたブーム74の起伏角度に対応する過負荷基準値を導出し、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値が導出した過負荷基準値よりも大きい場合に上部旋回体4が作動注意状態にあると判定する。一方、判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値が導出した過負荷基準値以下である場合には上部旋回体4は作動注意状態にはないと判定する。以上のように判定される当該変形例での上部旋回体4の作動注意状態は、吊荷の荷重が過負荷基準値よりも大きくなっているいわゆる過負荷状態であり、上部旋回体4におけるブーム74の起伏動作に注意が必要な状態である。
【0107】
コントローラ27の制御部69は、起伏操作レバー98が中立位置から操作されたときに判定部68により上部旋回体4は作動注意状態にはないと判定された場合には付与装置99に圧力センサ95によって検出された作動油の圧力に応じた通常反力を起伏操作レバー98に対して付与させる。また、制御部69は、起伏操作レバー98が中立位置から操作されたときに判定部68により上部旋回体4は作動注意状態にはないと判定された場合には付与装置99に付加反力を通常反力に加えて起伏操作レバー98に対して付与させる。この制御部69の構成は、前記実施形態の制御部69の構成と同様である。当該制御部69は、前記実施形態の制御部69が付与装置99に旋回操作レバー32に対して反力を付与させる制御と同様にして、付与装置99に起伏操作レバー98に対して反力を付与させる制御を行う。
【0108】
この変形例によれば、上部旋回体4がブーム74の起伏角度に応じた過負荷基準値よりも吊荷の荷重値が大きくなっている作動注意状態としての過負荷状態にある場合に、起伏操作レバー98に特定のパターンで繰り返し変動する付加反力を通常反力に加えて付与できる。このため、当該変形例によれば、上部旋回体4はブーム74の起伏動作に注意が必要な過負荷状態になっていることを起伏操作レバー98から手に伝わる感触でオペレータに確実に認知させることができる。
【0109】
なお、当該変形例において、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値が前記の導出した過負荷基準値よりも大きくて判定部68が上部旋回体4は作動注意状態にあると判定した場合に、起伏操作レバー98に付加反力を付与する代わりに、制御部69が、前記実施形態で示した操作装置8の付与装置35に、中立位置から操作された旋回操作レバー32に対して通常反力に加えて付加反力を付与させるようにしてもよい。また、同場合において、制御部69が、操作装置91の付与装置99に中立位置から操作された起伏操作レバー98に対して通常反力に加えて付加反力を付与させるとともに、操作装置8の付与装置35に中立位置から操作された旋回操作レバー32に対して通常反力に加えて付加反力を付与させるようにしてもよい。旋回操作レバー32に付加反力を付与する構成では、上部旋回体4がその旋回動作に注意が必要な過負荷状態になっていることを旋回操作レバー32から手に伝わる感触でオペレータに確実に認知させることができる。
【0110】
また、判定部68は、荷重センサ25によって検出された吊荷の荷重値が所定の荷重閾値よりも大きい場合に上部旋回体4がブーム74の起伏動作に注意が必要な作動注意状態にあると判定し、この場合に、制御部69が付与装置99に起伏操作レバー98に対して通常反力に加えて付加反力を付与させるようにしてもよい。
【0111】
本発明による建設機械は、必ずしもクレーンでなくてもよく、例えばショベル等であってもよい。
【0112】
また、上部旋回体の旋回動作についての注意の必要性の指標となる情報は、前記実施形態で説明した吊荷の荷重値に必ずしも限定されない。例えば、前記指標となる情報は、作業アタッチメントが受ける風の速度の値であってもよい。この場合において、建設機械がクレーンである場合には、作業アタッチメントが受ける風の速度は上部旋回体に設けられたブームやジブ等の起伏部材が受ける風の速度であり、好ましくはその起伏部材の先端部が受ける風の速度である。
【0113】
このような構成の第2変形例による電気式操作システム7の構成が
図10に示されている。
【0114】
当該第2変形例による電気式操作システム7は、前記実施形態による電気式操作システム7の荷重センサ25に代えて風速センサ85を備えている。この風速センサ85は、ブーム74(
図1参照)の先端部に設けられ、そのブーム74の先端部が受ける風の速度を検出するものである。風速センサ85は、本発明における旋回注意情報検出部の一例である。風速センサ85は、検出した風速のデータをコントローラ27へ送信する。
【0115】
コントローラ27の判定部68は、風速センサ85によって検出された風速の値に基づいて、上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する。具体的に、判定部68は、上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する基準として前記風速についての所定の風速閾値を記憶している。判定部68は、風速センサ85によって検出された風速が風速閾値よりも大きい場合には、上部旋回体4が旋回注意状態にあると判定する。一方、判定部68は、風速センサ85によって検出された風速が風速閾値以下である場合には、上部旋回体4は旋回注意状態にないと判定する。
【0116】
この第2変形例による電気式操作システム7及びそれを備えるクレーンの前記以外の構成は、前記実施形態による電気式操作システム7及びクレーンの構成と同様である。
【0117】
また、この第2変形例において付与装置35にレバー32に対して反力を付与させる処理工程では、前記実施形態の
図7に示したフローチャートにおいて、ステップS3で判定部68が吊荷の荷重の検出値を読み込む代わりに、判定部68が風速センサ85によって検出された風速の検出値を読み込む。すなわち、判定部68が、風速センサ85からコントローラ27に送られる風速の検出値のデータを読み込む。
【0118】
その後、ステップS4において、判定部68は、読み込んだ風速の荷重の検出値に基づいて、上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する。すなわち、前述のように、判定部68は、読み込んだ風速の検出値が風速閾値よりも大きい場合には上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定する一方、読み込んだ風速の検出値が風速閾値以下である場合には上部旋回体4は旋回注意状態にはないと判定する。
【0119】
当該第2変形例における反力付与のこれ以外の処理工程は、前記実施形態における処理工程と同様である。
【0120】
当該第2変形例では、風速センサ85によって検出されたブーム74の先端部が受ける風速の値が風速閾値よりも大きい場合に判定部68が上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定し、それに応じて制御部69が付与装置35に通常反力に加えて付加反力をレバー32に対して付与させることになる。風速センサ85によって検出された風速が大きい程、ブーム74が受ける風圧が大きくなるため、上部旋回体4の旋回操作に慎重さが求められるが、当該第2変形例では、このような風速が大きくて上部旋回体4の旋回動作に注意が必要な状況をレバー32に付与する反力の変化でオペレータに確実に認知させることができる。
【0121】
当該第2変形例によるこれ以外の効果は、前記実施形態による効果と同様である。
【0122】
なお、当該第2変形例では、ブーム74の先端部に風速センサ85を設けて、そのブーム74の先端部が受ける風速を検出するようにしたが、風速センサの設置箇所及び風速を検出する箇所は必ずしもこの第2変形例のような箇所に限定されない。すなわち、クレーンの起伏部材の先端部以外の箇所に風速センサを設けて、その箇所が受ける風速を検出するようにしてもよい。
【0123】
また、建設機械がショベルである場合には、そのショベルの掘削を行う作業アタッチメントの任意の箇所、好ましくは先端近傍の箇所に風速センサを設けて、その設けた箇所が受ける風速を検出するようにしてもよい。
【0124】
また、
参考例として、上部旋回体の旋回動作についての注意の必要性の指標となる情報は、上部旋回体の旋回範囲内への人の侵入の有無であってもよい。このような
参考例による電気式操作システム7の構成が
図11に示されている。
【0125】
当該
参考例による電気式操作システム7は、前記実施形態による電気式操作システム7の荷重センサ25に代えて侵入検出部88を備えている。この侵入検出部88は、上部旋回体4の旋回範囲内への人の侵入を検出するものである。侵入検出部88は
、旋回注意情報検出部
に対応するものである。侵入検出部88は、例えば、クレーンの周囲を撮影するカメラと、そのカメラによって撮影された画像を処理して上部旋回体4の旋回範囲内における人の存在の有無を示すデータを導出する画像処理システムとを有するものである。また、侵入検出部88は、上部旋回体4の旋回範囲内における人の存在の有無を検出する赤外線深度センサを有するものであってもよい。侵入検出部88は、検出した旋回範囲内の人の存在の有無を示すデータをコントローラ27へ送信する。
【0126】
コントローラ27の判定部68は、侵入検出部88によって検出された上部旋回体4の旋回範囲内の人の存在の有無を示すデータに基づいて、上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する。具体的に、判定部68は、侵入検出部88によって上部旋回体4の旋回範囲内に人が存在していることが検出された場合には、上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定する。一方、判定部68は、侵入検出部88によって上部旋回体4の旋回範囲内に人が存在していないことが検出された場合には、上部旋回体4は旋回注意状態にないと判定する。
【0127】
また、この
参考例において付与装置35にレバー32に対して反力を付与させる処理工程では、前記実施形態の
図7に示したフローチャートにおいて、ステップS3で判定部68が吊荷の荷重の検出値を読み込む代わりに、判定部68が侵入検出部88によって検出された前記旋回範囲内の人の存在の有無を示すデータを読み込む。すなわち、判定部68が、侵入検出部88からコントローラ27に送られる前記旋回範囲内の人の存在の有無を示すデータを読み込む。
【0128】
その後、ステップS4において、判定部68は、読み込んだデータに基づいて、上部旋回体4が旋回注意状態にあるか否かを判定する。すなわち、前述のように、判定部68は、読み込んだデータが前記旋回範囲内に人が存在していることを示すものである場合には上部旋回体4は旋回注意状態にあると判定する一方、読み込んだデータが前記範囲内に人が存在していないことを示すものである場合には、上部旋回体4は旋回注意状態にないと判定する。
【0129】
当該
参考例における反力付与のこれ以外の処理工程は、前記実施形態における処理工程と同様である。
【0130】
当該
参考例では、上部旋回体4の旋回範囲内に人が侵入した場合にその状況をレバー32に付与する反力の変化でオペレータに上部旋回体4の旋回に注意が必要な状況として確実に認知させることができる。
【0131】
当該
参考例によるこれ以外の効果は、前記実施形態による効果と同様である。
【0132】
また、建設機械は、前記実施形態の荷重センサ25による吊荷の荷重の検出値に基づく旋回注意状態の判定のための構成、前記第2変形例の風速センサ85による風速の検出値に基づく旋回注意状態の判定のための構成、及び、前記
参考例の侵入検出部88による前記旋回範囲内への人の侵入の有無の検出データに基づく旋回注意状態の判定のための構成を全て備えていてもよく、また、それらの構成のいずれか2つを備えていてもよい。
【0133】
また、レバーに付与する付加反力F
addは、前記実施形態で説明した三角波のパターンで変動するものに必ずしも限定されない。例えば、付加反力F
addは、
図12に示すように、パルス波のパターンで変動するものであってもよい。すなわち、このパルス波のパターンで変動する付加反力F
addは、ある時間長さだけ一定の大きさに維持される第1維持反力と、ある時間長さだけ第1維持反力よりも小さい一定の大きさに維持される第2維持反力とに交互に切り換わる。
【0134】
この場合、制御部69は、前記経過時間tが(2n−1)T以上2nT未満の範囲にある場合には下記の式(4)によって第1維持反力としての付加反力F
addを算出する。また、制御部69は、前記経過時間tが2nT以上(2n+1)T未満の範囲にある場合には下記の式(5)によって第2維持反力としての付加反力F
addの値を算出する。
【0135】
F
add=G
3・・・(4)
F
add=G
4・・・(5)
G
3は第3反力係数であり、G
4は第4反力係数である。第4反力係数G
4は、第3反力係数G
3よりも小さい値である。
【0136】
この変形例の場合には、
図12に示すように経過時間t
1以降になって旋回注意状態になると、反力指令値F
rの変動パターンは、通常反力F
SWの変動パターンに付加反力F
addのパルス波の変動パターンが重畳されたものとなる。これにより、この経過時間t
1以降には、この付加反力F
addパルス波の変動パターンが重畳された反力指令値F
rの変動パターンで変動する反力がレバー32に付与される。
【0137】
また、本発明における作動部は、必ずしも上部旋回体に限定されない。すなわち、建設機械がクレーンである場合には、作動部は、ブームやジブ等の起伏部材、また、フック装置等であってもよい。また、建設機械がショベルである場合には、作動部は掘削作業を行う作業アタッチメントであってもよい。
【0138】
また、本発明における油圧アクチュエータは、旋回モータに必ずしも限定されない。例えば、油圧アクチュエータは、クレーンの起伏ウインチの油圧モータや、巻上ウインチの油圧モータ等であってもよい。また、油圧アクチュエータは、ショベルの作業アタッチメントを作動させる油圧シリンダ等であってもよい。
【0139】
また、上部旋回体の旋回操作を行うための操作システムは、前記したような電気式のものに必ずしも限定されない。例えば、操作装置から旋回バルブのパイロットポートへパイロット圧(油圧)が直接供給されるように構成された油圧式の操作システムであっても、本発明を適用することが可能である。この油圧式の操作システムでは、操作装置においてレバーに反力を付与する付与装置が前記のような電磁気力を利用したものではなく、供給される油圧を利用して反力を生成するものであってもよい。このような油圧式の操作装置及び油圧式の付与装置の構成としては、公知のものを適用することが可能である。