特許第6806541号(P6806541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806541
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】伝熱管群の制振構造
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20201221BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20201221BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20201221BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F28D7/16 D
   F16F15/02 L
   F28D1/06 A
   G21D1/00 S
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-225636(P2016-225636)
(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公開番号】特開2018-84343(P2018-84343A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】片山 正章
(72)【発明者】
【氏名】門出 匡胤
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和生
(72)【発明者】
【氏名】大野 直樹
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−035161(JP,A)
【文献】 特開2012−122649(JP,A)
【文献】 米国特許第04991645(US,A)
【文献】 発明協会公開技報公技番号90−015881
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
F16F 15/02
F28D 1/06
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配列され、共通面上で湾曲する複数の伝熱管からなるカラムが隙間を介して複数配列された伝熱管群の制振構造であって、
N(前記Nは任意の自然数)番目の前記カラムとN+1番目の前記カラムとの間に、前記カラムの配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第1振動抑制部材と、
N+1番目の前記カラムとN+2番目の前記カラムとの間に、前記配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第2振動抑制部材と、
を備え、
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記伝熱管の軸方向において互いに異なる位置に配置され、且つ、運転時に前記配列方向における厚さが前記カラム間の隙間の平均値より大きく、
前記複数の伝熱管は、円弧部が上方側になるようにそれぞれ配置され、
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記円弧部と逆向きに湾曲された屈曲部が、前記複数の伝熱管の前記円弧部に対応するように前記配列方向に沿って交互に配置される、
ことを特徴とする伝熱管群の制振構造。
【請求項2】
前記伝熱管は、前記第1振動抑制部材又は前記第2振動抑制部材と交差する面上において凹凸状断面を有し、
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記凹凸状断面のうち凹部において前記伝熱管対して当接することを特徴とする請求項1に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項3】
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記複数の伝熱管と逆向きに湾曲し、且つ、前記複数の伝熱管の曲率中心から離れるに従って曲率が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項4】
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記配列方向における厚さが一定の板状部材からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項5】
N番目の前記カラムとN+1番目の前記カラムとの間に、前記伝熱管を挟んで前記第2振動抑制部材と対向するように配置された第3振動抑制部材を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項6】
前記第3振動抑制部材は、前記配列方向における厚さが前記第1振動抑制部材に比べて薄いことを特徴とする請求項5に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項7】
互いに平行に配列され、共通面上で湾曲する複数の伝熱管からなるカラムが隙間を介して複数配列された伝熱管群の制振構造であって、
N(前記Nは任意の自然数)番目の前記カラムとN+1番目の前記カラムとの間に、前記カラムの配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第1振動抑制部材と、
N+1番目の前記カラムとN+2番目の前記カラムとの間に、前記配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第2振動抑制部材と、
を備え、
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記伝熱管の軸方向において互いに同じ位置に前記伝熱管を挟んで対向するように配置され、且つ、前記配列方向における厚さが互いに異なるように構成されており、
前記複数の伝熱管は、円弧部が上方側になるようにそれぞれ配置され、
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記円弧部と逆向きに湾曲された屈曲部が、前記複数の伝熱管の前記円弧部に対応するように前記配列方向に沿って交互に配置される、ことを特徴とする伝熱管群の制振構造。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1振動抑制部材は、前記共通面に沿って互いに交互に配列された第1厚板振動抑制部材と、前記第1厚板振動抑制部材より薄い第1薄板振動抑制部材とを含み、
前記少なくとも1つの第2振動抑制部材は、前記第1厚板振動抑制部材と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2薄板振動抑制部材と、前記第1薄板振動部材と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2厚板振動抑制部材とを含むことを特徴とする請求項に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1振動抑制部材の各々は、第1領域に設けられた第1厚板部と、前記伝熱管の軸方向に沿って前記第1領域に隣接する第2領域に設けられた前記第1厚板部より薄い第1薄板部とを含み、
前記少なくとも1つの第2振動抑制部材の各々は、前記第1厚板部と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2薄板部と、前記第1薄板部と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2厚板部とを含むことを特徴とする請求項に記載の伝熱管群の制振構造。
【請求項10】
前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記複数の伝熱管と逆向きに湾曲し、且つ、前記複数の伝熱管の曲率中心から離れるに従って曲率が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項7からのいずれか1項に記載の伝熱管群の制振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体中に配置された管群において、各管の隙間に配置された振動抑制部材によって振動を抑制する伝熱管群の制振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発生器等の熱交換器に使用される管群は、流体中に配置された際に振動が発生することを抑制するために、各管の隙間に振動抑制部材として振り止め金具が挿入された制振構造が採用されるものがある。例えば特許文献1には、熱交換器が有する複数の伝熱管の隙間に略V字形状の振動抑制部材が挿入された伝熱管群の制振構造の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−93586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、U字管のようなUベンド部を有する管群では、面内方向(各管の軸方向)に沿って振動する流力弾性振動等の自励振動現象が発生する可能性が指摘されている。特許文献1を含む従来の制振構造で用いられる振動抑制部材は、面外方向(各管の軸方向に略垂直な方向)に生じる振動を抑制することを想定しているため、その厚さは各管の隙間と同等若しくはわずかに小さく設計されていた。そのため、振動抑制部材によって各管に付与される押付力は略ゼロであり、面内方向の振動現象を抑制するための対策が望まれている。
【0005】
このような課題に対して、例えば各管の隙間に配置された振動抑制部材の板厚を調整することによって各管に押付力を付与し、面内方向の振動現象を抑制することが考えられる。しかしながら、制振構造を構成する各部材には少なからず製作誤差が含まれるため、これらの誤差の影響を加味しつつ振動抑制のために適切な押付力を設定することは容易ではない。特にこの種の伝熱管では、何らかの要因によって伝熱管群の内部に隙間が生じると、伝熱管内の流体力によって伝熱管や振動抑制部材が衝突や滑りを伴って大きく振動し、摩耗が生じる場合がある。このような摩耗は振動抑制部材が伝熱管に対して設定された押付力を更に変化させる要因となり、制振性能の低下をもたらすおそれがある。
【0006】
本発明の少なくとも1実施形態は上述の事情に鑑みてなされたものであり、振動抑制部材による伝熱管への押付力を適切に設定することにより、面内方向に沿った振動現象を効果的に抑制可能な伝熱管群の制振構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも1実施形態に係る伝熱管群の制振構造は上記課題を解決するために、互いに平行に配列され、共通面上で湾曲する複数の伝熱管からなるカラムが隙間を介して複数配列された伝熱管群の制振構造であって、N(前記Nは任意の自然数)番目の前記カラムとN+1番目の前記カラムとの間に、前記カラムの配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第1振動抑制部材と、N+1番目の前記カラムとN+2番目の前記カラムとの間に、前記配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第2振動抑制部材と、を備え、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記伝熱管の軸方向において互いに異なる位置に配置され、且つ、運転時に前記配列方向における厚さが前記カラム間の隙間の平均値より大きい。
【0008】
上記(1)の構成によれば、伝熱管群を構成する伝熱管の各々は、カラムの一方側から第1振動抑制部材が接触するとともに、他方側から第2振動抑制部材が接触することにより、両側から支持される。ここで第1振動抑制部材及び第2振動抑制部材は伝熱管の軸方向において互いに異なる位置に配置され、且つ、運転時にその厚さが隙間の平均値より大きいため、各伝熱管は、これらの振動抑制部材によって曲げ変形されながら押付力を受ける。このような曲げ変形に基づく押付力は意図的に調整しやすく、振動抑制のために適切な押付力の設定が可能となる。
尚、第1振動抑制部材及び第2振動抑制部材の厚さは非運転時(典型的には常温時)に隙間の平均値より大きく設定されていてもよいし、運転時にこれら振動抑制部材の熱膨張や伝熱管の圧力膨張により、結果的に振動抑制部材の厚さが隙間平均より大きくなるように設定されていてもよい。
【0009】
また、仮に何らかの要因によって伝熱管群の内部に局所的に隙間が生じることによって、伝熱管内部の流体力によって伝熱管や振動抑制部材が衝突や滑りを伴って大きく振動し、摩耗が生じたとしても、曲げ変形された伝熱管及び振動抑制部材の弾性によって押付力の著しい低下を緩和することができる。このように摩耗が生じた場合においても制振性能を維持しやすい。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では上記(1)の構成において、前記伝熱管は、前記第1振動抑制部材又は前記第2振動抑制部材と交差する面上において凹凸状断面を有し、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記凹凸状断面のうち凹部において前記伝熱管対して当接する。
【0011】
上記(2)の構成によれば、伝熱管群を構成する各伝熱管は振動抑制部材から押付力を受けることにより、振動抑制部材と交差する面上において、凹部が振動抑制部材と当接するように凹凸状断面を有する。
【0012】
(3)幾つかの実施形態によれば(1)又は(2)の構成において、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記複数の伝熱管と逆向きに湾曲し、且つ、前記複数の伝熱管の曲率中心から離れるに従って曲率が大きくなるように形成されている。
【0013】
上記(3)の構成によれば、このように振動抑制部材を形成することにより、限られた本数の振動抑制部材を用いて各カラムの広い範囲にわたって良好な制振性能を発揮することができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態によれば(1)から(3)のいずれか1構成において、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記配列方向における厚さが一定の板状部材からなる。
【0015】
上記(4)の構成によれば、一定の厚さを有する板状部材から形成される振動抑制部材を用いて、効果的な制振性能を発揮できる。このような振動抑制部材は構造がシンプルであるため製造が容易であり、コスト的にも有利である。
【0016】
(5)幾つかの実施形態によれば(1)から(4)のいずれか1構成において、N番目の前記カラムとN+1番目の前記カラムとの間に、前記伝熱管を挟んで前記第2振動抑制部材と対向するように配置された第3振動抑制部材を更に備える。
【0017】
上記(5)の構成によれば、伝熱管を挟んで第2振動抑制部材と対向するように設けられた第3振動抑制部材を備えることにより、第2振動部材によって与えられる曲げ変形に基づく押付力に対して、対向する押圧力を与えることができる。これにより、伝熱管は両側から押付力が与えられることにより、より安定性を確保することができる。
尚、第3振動抑制部材は、N+1番目の前記カラムとN+2番目の前記カラムとの間に、前記伝熱管を挟んで前記第1振動抑制部材と対向するように配置された場合であっても、実質的に上記(5)と同等とみなせるため、同様の作用効果が得られる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では上記(5)の構成において、前記第3振動抑制部材は、前記配列方向における厚さが前記第1振動抑制部材に比べて薄い。
【0019】
上記(6)の構成によれば、第3振動抑制部材を他の振動抑制部材より薄く形成することで、第1及び第2振動抑制部材による曲げ変形に基づく押圧力に対して、伝熱管を反対側から弾性的に支持することで、良好な制振性能が得られる。またこのような第3振動抑制部材は、第1及び第2振動抑制部材によって曲げ変形された伝熱管同士の隙間に収容できるため、レイアウト的にも適している。
【0020】
(7)本発明の少なくとも1実施形態に係る伝熱管群の制振構造は上記課題を解決するために、互いに平行に配列され、共通面上で湾曲する複数の伝熱管からなるカラムが隙間を介して複数配列された伝熱管群の制振構造であって、N(前記Nは任意の自然数)番目の前記カラムとN+1番目の前記カラムとの間に、前記カラムの配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第1振動抑制部材と、N+1番目の前記カラムとN+2番目の前記カラムとの間に、前記配列方向に交差するように設けられた少なくとも1つの第2振動抑制部材と、を備え、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記伝熱管の軸方向において互いに同じ位置に前記伝熱管を挟んで対向するように配置され、且つ、前記配列方向における厚さが互いに異なるように構成されている。
【0021】
上記(7)の構成によれば、伝熱管群を構成する伝熱管の各々は、カラムの一方側から第1振動抑制部材が接触するとともに、他方側から第2振動抑制部材が接触することにより、両側から支持される。ここで第1振動抑制部材及び第2振動抑制部材は伝熱管の軸方向において互いに同じ位置に配置され、且つ、その厚さが互いに異なるため、各伝熱管は、これらの振動抑制部材によって曲げ変形されながら押付力を受ける。このような曲げ変形に基づく押付力は意図的に調整しやすく、振動抑制のために適切な押付力の設定が可能となる。
【0022】
また、仮に何らかの要因によって伝熱管群の内部に局所的に過大な隙間が生じることによって、伝熱管内部の流体力によって伝熱管や振動抑制部材が衝突や滑りを伴って大きく振動し、摩耗が生じたとしても、曲げ変形された伝熱管及び振動抑制部材の弾性によって押付力の著しい低下を緩和することができる。このように摩耗が生じた場合においても制振性能を維持しやすい。
【0023】
(8)幾つかの実施形態では上記(7)の構成において、前記伝熱管は、前記第1振動抑制部材又は前記第2振動抑制部材と交差する面上において凹凸状断面を有し、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記凹凸状断面のうち凹部において前記伝熱管対して当接する。
【0024】
上記(8)の構成によれば、伝熱管群を構成する各伝熱管は振動抑制部材から押付力を受けることにより、振動抑制部材と交差する面上において、凹部が振動抑制部材と当接するように凹凸状断面を有する。
【0025】
(9)幾つかの実施形態では上記(7)又は(8)の構成において、前記少なくとも1つの第1振動抑制部材は、前記共通面に沿って互いに交互に配列された第1厚板振動抑制部材と、前記第1厚板振動抑制部材より薄い第1薄板振動抑制部材とを含み、前記少なくとも1つの第2振動抑制部材は、前記第1厚板振動抑制部材と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2薄板振動抑制部材と、前記第1薄板振動部材と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2厚板振動抑制部材とを含む。
【0026】
上記(9)の構成によれば、共通面に沿って配列された第1及び第2振動抑制部材が互い違いの厚さを有することによって、各伝熱管は、第1及び第2振動抑制部材によって効率的に曲げ変形を受け、良好な押付力が得られる。
【0027】
(10)幾つかの実施形態では上記(7)又は(8)の構成において、前記少なくとも1つの第1振動抑制部材の各々は、第1領域に設けられた第1厚板部と、前記伝熱管の軸方向に沿って前記第1領域に隣接する第2領域に設けられた前記第1厚板部より薄い第1薄板部とを含み、前記少なくとも1つの第2振動抑制部材の各々は、前記第1厚板部と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2薄板部と、前記第1薄板部と前記伝熱管を挟んで対向するように設けられた第2厚板部とを含む。
【0028】
上記(10)の構成によれば、共通面に沿って配列された第1及び第2振動抑制部材が互い違いの厚さを有することによって、各伝熱管は、第1及び第2振動抑制部材によって効率的に曲げ変形を受け、良好な押付力が得られる。
【0029】
(11)幾つかの実施形態では上記(7)から(10)のいずれか1構成において、前記第1振動抑制部材及び前記第2振動抑制部材は、前記複数の伝熱管と逆向きに湾曲し、且つ、前記複数の伝熱管の曲率中心から離れるに従って曲率が大きくなるように形成されている。
【0030】
上記(11)の構成によれば、このように振動抑制部材を形成することにより、限られた本数の振動抑制部材を用いて各カラムの広い範囲にわたって良好な制振性能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、振動抑制部材による伝熱管への押付力を適切に設定することにより、面内方向に沿った振動現象を効果的に抑制可能な伝熱管群の制振構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態に係る伝熱管群の制振構造が採用された蒸気発生器の側断面概略図である。
図2図1の伝熱管群の平面視概略図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2の伝熱管群を上方側から拡大して示す平面図である。
図5図4の変形例を示す平面図である。
図6図4の他の変形例を示す平面図である。
図7】第2実施形態に係る伝熱管群のカラム5A(N)における振動抑制部材のレイアウトを示す図である。
図8】第2実施形態に係る伝熱管群のカラム5A(N+1)における振動抑制部材のレイアウトを示す図である。
図9図7及び図8に示される伝熱管群を振動抑制部材とともに示す平面図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る伝熱管群のカラム5A(N)における振動抑制部材のレイアウトを示す図である。
図11】第2実施形態の変形例に係る伝熱管群のカラム5A(N+1)における振動抑制部材のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0034】
(第1実施形態)
まず図1を参照して、第1実施形態に係る伝熱管群51の制振構造が採用された蒸気発生器1の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る伝熱管群51の制振構造が採用された蒸気発生器1の側断面概略図である。
【0035】
蒸気発生器1は、複数の伝熱管を含む伝熱管群を有する熱交換器であり、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる蒸気発生器である。蒸気発生器1には、原子炉内を流通する原子炉冷却材及び中性子減速材としての一次冷却材(例えば、軽水)と、タービン内を流通する二次冷却材とが流入する。そして、蒸気発生器1では、高温高圧となった一次冷却材を、二次冷却材と熱交換させることにより、二次冷却材を蒸発させて蒸気を発生させ、且つ、高温高圧となった一次冷却材を冷却する。
【0036】
蒸気発生器1は、上下方向に沿って配置され、且つ、密閉された中空円筒形状を有する。蒸気発生器1は、上半部に対して下半部が若干小径とされた胴部2を有しており、その下半部内には、該胴部2の内壁面と所定間隔をもって配置された円筒形状を成す管群外筒3が設けられている。管群外筒3は、その下端部が、胴部2の下半部内の下方に配置された管板4近傍まで延設されている。管群外筒3内には、伝熱管群51が設けられている。伝熱管群51は、逆U字形状をなす複数の伝熱管5を含む。各伝熱管5は、U字形状の円弧部が上方側に凸となるように配置され、下方側の両端部が管板4に支持されるとともに、中間部が複数の管支持板6を介して管群外筒3に支持されている。管支持板6には、多数の貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔内に各伝熱管5が挿通されている。
【0037】
胴部2の下端部には、水室7が設けられている。水室7は、内部が隔壁8により入室71と出室72とに区画されている。入室71は、各伝熱管5の一端部が連通され、出室72は、各伝熱管5の他端部が連通されている。また、入室71は、胴部2の外部に通じる入口ノズル74が形成され、出室72は、胴部2の外部に通じる出口ノズル75が形成されている。そして、入口ノズル74には、加圧水型原子炉から一次冷却材が送られる冷却水配管(図示せず)が連結されており、出口ノズル75は、熱交換された後の一次冷却材を加圧水型原子炉に送る冷却水配管(図示せず)が連結されている。
【0038】
胴部2の上半部内には、熱交換後の二次冷却材を蒸気(気相)と熱水(液相)とに分離する気水分離器9、及び、分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器10が設けられている。気水分離器9と伝熱管群51との間には、外部から胴部2内に二次冷却材の給水を行う給水管11が挿入されている。更に胴部2の上端部には、蒸気排出口12が形成されている。また胴部2の下半部内には、給水管11から胴部2内に給水された二次冷却材を、胴部2と管群外筒3との間を流下させて管板4にて折り返させ、伝熱管群51に沿って上昇させるように、給水路13が形成されている。
【0039】
尚、蒸気排出口12には、タービンに蒸気を送る冷却水配管(図示せず)が連結されており、給水管11には、タービンで使用された蒸気が復水器(図示せず)で冷却された二次冷却材を供給するための冷却水配管(図示せず)が連結されている。
【0040】
このような蒸気発生器1において、加圧水型原子炉で加熱された一次冷却材は、入室71に送られ、多数の伝熱管5内を通って循環して出室72に至る。一方、復水器で冷却された二次冷却材は、給水管11に送られ、胴部2内の給水路13を通って伝熱管群51に沿って上昇する。このとき、胴部2内で、高圧高温の一次冷却材と二次冷却材との間で熱交換が行われる。そして、冷却された一次冷却材は、出室72から加圧水型原子炉に戻される。一方、高圧高温の一次冷却材と熱交換を行った二次冷却材は、胴部2内を上昇し、気水分離器9で蒸気と熱水とに分離される。分離された蒸気は、湿分分離器10で湿分が除去され、タービンに送られる。
【0041】
続いて上述の蒸気発生器1が有する伝熱管群51の構成について詳しく説明する。図2図1の伝熱管群51の平面視概略図であり、図3図2のA−A断面図であり、図4図2の伝熱管群51を上方側から拡大して示す平面図である。
【0042】
伝熱管群51の上端部は、逆U字形状となる複数の伝熱管5の円弧部が配置されることで、半球形状に形成されている。図3に示すように各伝熱管5は、面内において所定の曲率半径で曲げられている。このため、伝熱管5は、その円弧部の中央となる頂部と曲率半径の中心とを通る伝熱管5の軸断面である中心面Cを挟んで、左右対称に形成される。そして、複数の伝熱管5は、各面内において曲率半径の径方向外側に向かうにつれて曲率半径が大きくなるように設けられると共に、軸方向が平行となるように設けられることで各カラム(伝熱管層)5Aが構成されている。
【0043】
また、図2に示されるように、各カラム5Aは、その面内に直交する面外方向に所定の隙間を空けて平行に配列されている。これらのカラム5Aでは、面内において曲率半径の径方向の最外側にあるそれぞれの伝熱管5が、面外方向の外側に向かうにつれて曲率半径が小さくなる。このように複数の伝熱管5が並べられることで、伝熱管群51の上端部は半球形状に形成されている。
【0044】
このように逆U字形状の円弧部を有する伝熱管5では、一次冷却材が内部を通過する際に、流体励起振動の発生が問題となる。そこで蒸気発生器1では、伝熱管5の円弧部に、伝熱管5の振動を抑制するために複数の振動抑制部材14が設けられることにより、制振構造が採用されている。
【0045】
複数のカラム5A間には、複数の振動抑制部材14がそれぞれ挿入される。各振動抑制部材14は、例えば、ステンレス等の金属材で構成されている。図3に示すように、振動抑制部材14は複数の伝熱管5と逆向きに湾曲した形状を有しており、特に、矩形断面をなす棒体を略V字形状に折り曲げることにより形成されている。振動抑制部材14は、折り曲げられた屈曲部が伝熱管5の曲率半径における径方向の中心側(内側)に位置するように配置され、その両端部が径方向の外側に位置するように配置される。振動抑制部材14の両端部は、曲率半径の径方向の最外側にある伝熱管5から外側に突出しており、保持部材15により保持されている。
【0046】
また図3に示すように、各カラム5Aには、複数のカラム5Aの配列方向に交差するように複数の振動抑制部材14が配置されており、これらは複数の伝熱管5の曲率中心から離れるに従って曲率が大きくなるように配列されている(言い換えると、内側から外側に向けて略V字形状が順に小さくなるように配列されている)。このように振動抑制部材14を配置することにより、限られた本数の振動抑制部材14を用いて各カラム5Aの広い範囲にわたって良好な制振性能を発揮することができるようになっている。
【0047】
図3では特に、複数の振動抑制部材14のうちカラム5A(N)とカラム5A(N+1)との間に設けられた第1振動抑制部材14Aが実線で示されるとともに、N+1番目のカラム5A(N+1)とN+2番目のカラム5A(N+2)との間に設けられた第2振動抑制部材14Bが透過的に点線で示されている。第1振動抑制部材14A及び第2振動抑制部材14Bは、伝熱管5の軸方向において互いに異なる位置に配置されている(言い換えると隣接するカラム5Aに、それぞれ伝熱管5の軸方向に沿って互い違いになるように配置されている)。また第1振動抑制部材14A及び第2振動抑制部材14Bの厚さは、各カラム5A間の隙間の平均値より大きくなるように設定されている。
【0048】
そのため伝熱管群51を構成する伝熱管5の各々は、図4に示されるように、一方側から第1振動抑制部材14Aが接触するとともに、他方側から第2振動抑制部材14Bが接触することにより、両側から挟み込まれるように支持される。そして、上述したように第1振動抑制部材14A及び第2振動抑制部材14Bは、伝熱管5の軸方向において互いに異なる位置に配置され、且つ、その厚さが隙間の平均値より大きいため、各伝熱管5は図4に示されるように、これら振動抑制部材14によって曲げ変形(三点曲げ)されるように押付力を受ける。
【0049】
押圧力を受けることで曲げ変形された伝熱管5は、図4に示されるように、上方側から見て(第1振動抑制部材14A又は第2振動抑制部材14Bと交差する面上において)凹凸状の断面を有する。そして、第1振動抑制部材14A及び第2振動抑制部材14Bは、凹凸状断面のうち凹部16において伝熱管5と当接している。このような曲げ変形に基づく押付力は、従来のように専ら部材間の摩擦力に基づく押付力に比べて、その大きさを意図的に調整しやすく、流体励起振動のような面内方向に沿った振動現象を効果的に抑制できる。
【0050】
また、仮に何らかの要因によって伝熱管群51の内部に局所的に変位が生じ、伝熱管5内部の流体力によって伝熱管5や振動抑制部材14が衝突や滑りを伴って大きく振動することで部材間に摩耗が生じたとしても、曲げ変形された伝熱管5及び振動抑制部材14の弾性によって押付力の著しい低下を緩和できる。そのため、摩耗が生じた場合においても制振性能が直ちに失われるような状況を回避できる。
【0051】
またこのような制振構造は、カラム5Aの配列方向における厚さが一定の板状部材からなるシンプルな構造を有する振動抑制部材14で実現できるため、製造が容易であり、コスト的にも有利である。
【0052】
続いて第1実施形態の変形例について説明する。図5図4の変形例を示す平面図である。この変形例では、N番目のカラム5A(N)とN+1番目のカラム5A(N+1)との間に、伝熱管5を挟んで第2振動抑制部材14Bと対向するように配置された第3振動抑制部材14Cを更に備える。このような第3振動抑制部材14Cを備えることにより、第2振動抑制部材14Bによって与えられる曲げ変形に基づく押付力に対して、対向するように押圧力を与えられ、安定性を向上できる。
尚、第3振動抑制部材14Cは伝熱管5を挟んで第1振動抑制部材14Aに対しても対向するように配置されており、上記と同様の効果が得られる。
【0053】
このような第3振動抑制部材14Cは、カラム5Aの配列方向における厚さが振動抑制部材14A及び14Bに比べて薄く形成されており、振動抑制部材14A及び14Bによる曲げ変形に基づく押圧力に対して、伝熱管5を反対側から弾性的に支持することで、良好な制振性能が得られる。またこのような第3振動抑制部材14Cは、振動抑制部材14A及び14Bによって曲げ変形された伝熱管5同士の隙間にコンパクトに収容できるため、レイアウト的にも適している。
【0054】
また図6は、図4の他の変形例を示す平面図である。本変形例では、中心面Cに対して略平行に延在する第4振動抑制部材14Dを更に備える。図4の例では、上述したように、複数の伝熱管5の曲率中心から離れるに従って曲率が大きくなるように複数の伝熱管5が設けられているが、最外側では中心面Cを挟んで両側に第1振動抑制部材14Aが配置されている。そのため当該領域では、他の領域とは異なり、第1振動抑制部材14Aと第2振動抑制部材14Bとが互い違いになるような配置になっておらず、伝熱管5に対して曲げ変形による押付力を与えることができていない。
【0055】
一方、本変形例では図6に示すように、中心面Cを挟んで両側に配置された第1振動抑制部材14Aに対して、カラムを挟んで反対側に第4振動抑制部材14Dが配置されているため、当該領域においても伝熱管5に対して曲げ変形による押付力を与えることができる。これにより、本変形例では中心面Cの近傍領域においても伝熱管5に対して押付力を付与することができ、良好な制振性能を発揮できる。
【0056】
(第2実施形態)
続いて第2実施形態に係る制振構造について説明する。図7は第2実施形態に係る伝熱管群51のカラム5A(N)における振動抑制部材14のレイアウトを示す図であり、図8は第2実施形態に係る伝熱管群51のカラム5A(N+1)における振動抑制部材14のレイアウトを示す図であり、図9図7及び図8に示される伝熱管群51を振動抑制部材14とともに示す平面図である。
尚、本実施形態では上記第1実施形態と対応する構成については共通する符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略することとする。
【0057】
図7に示されるように、カラム5A(N)とカラム5A(N+1)との間には、複数の第1振動抑制部材14Aが設けられる。これら第1振動抑制部材14Aは、板厚の大きな第1厚板振動抑制部材14A1と、板厚の小さな第1薄板振動抑制部材14A2とが、交互になるようにレイアウトされている。一方、図8に示されるように、カラム5A(N+1)とカラム5A(N+2)との間には、複数の第2振動抑制部材14Bが設けられる。これら第2振動抑制部材14Bは、板厚の大きな第2厚板振動抑制部材14B1と、板厚の小さな第2薄板振動抑制部材14B2とが、交互になるようにレイアウトされている。
【0058】
言い換えて説明すると、第1振動抑制部材14Aは、共通面に沿って互いに交互に配列された第1厚板振動抑制部材14A1と、第1厚板振動抑制部材14A1より薄い第1薄板振動抑制部材14A2とを含む。また第2振動抑制部材14Bは、第1厚板振動抑制部材14A1と伝熱管5を挟んで対向するように設けられた第2薄板振動抑制部材14B2と、第1薄板振動抑制部材14A2と伝熱管5を挟んで対向するように設けられた第2厚板振動抑制部材14B1とを含む。
【0059】
第1振動抑制部材14A及び第2振動抑制部材14Bは、伝熱管5の軸方向において互いに同じ位置に伝熱管5を挟んで対向するように配置されている。そして互いに対向する一対の第1振動抑制部材14A及び第2振動抑制部材14Bは、カラム5Aの配列方向における厚さが互いに異なるように構成されている。すなわち、第1厚板振動抑制部材14A1は、第2薄板振動抑制部材14B2と、軸方向同一箇所において伝熱管5を挟んで対向するように設けられる。また第1薄板振動抑制部材14A2は、第2厚板振動抑制部材14B1と、軸方向同一箇所において伝熱管5を挟んで対向するように設けられる。その結果、図9に示されるように、伝熱管群51を構成する伝熱管5の各々は、これら振動抑制部材14によって曲げ変形(三点曲げ)されるように押付力を受ける。押圧力を受けることで曲げ変形された伝熱管5は、上方側から見て(第1振動抑制部材14A又は第2振動抑制部材14Bと交差する面上において)凹凸状の断面を有する。このような曲げ変形に基づく押付力は、従来のように専ら部材間の摩擦力に基づく押付力に比べて、その大きさを意図的に調整しやすく、振動抑制のために適切な押付力の設定が可能となる。
【0060】
また、仮に何らかの要因によって伝熱管群51の内部に局所的に変位が生じ、伝熱管5内部の流体力によって伝熱管5や振動抑制部材14が衝突や滑りを伴って大きく振動することで部材間に摩耗が生じたとしても、曲げ変形された伝熱管5及び振動抑制部材14の弾性によって押付力の著しい低下を緩和できる。そのため、摩耗が生じた場合においても制振性能が直ちに失われるような状況を回避できる。
【0061】
続いて図10は第2実施形態の変形例に係る伝熱管群51のカラム5A(N)における振動抑制部材14のレイアウトを示す図であり、図11は第2実施形態の変形例に係る伝熱管群51のカラム5A(N+1)における振動抑制部材14のレイアウトを示す図である。
【0062】
この変形例では、カラム5A(N)と5A(N+1)との間に配置される第1振動抑制部材14Aの各々は、図10に示されるように、中心面Cの左半分である第1に設けられた第1厚板部18と、伝熱管5の軸方向に沿って第1領域17に隣接する第2領域20に設けられた第1厚板部18より薄い第1薄板部22とを含む。第1厚板部18は第1薄板部より厚さが大きく設定されている。一方、カラム5A(N+1)と5A(N+2)との間に配置される第2振動抑制部材14Bの各々は、図11に示されるように、第1領域17に設けられた第2薄板部24と、第2領域20に設けられた第2厚板部26とを含む。第2厚板部26は第2薄板部24より厚さが大きく設定されている。これにより、第1厚板部18は伝熱管5を挟んで第2薄板部24と対向し、第1薄板部22は伝熱管5を挟んで第2厚板部26と対向することとなる。
【0063】
このようにして第1領域17及び第2領域20において、厚さの異なる振動抑制部材14によって伝熱管5がそれぞれ逆のパターンで互い違いに挟まれるように押圧力を受ける。図3の例では、最外側では中心面Cを挟んで両側に同じ厚さの振動抑制部材14が配置されている。そのため当該領域では、他の領域とは異なり曲げ変形による押圧力が得られにくい構造となっていた。一方、本変形例では、図6の第振動抑制部材14Dのような追加的部材を要することなく、中心面Cの近傍領域においても曲げ変形が得られるため、伝熱管5に対して押付力を付与することができ、良好な制振性能を発揮できる。
【0064】
以上説明したように上記各実施形態によれば、振動抑制部材による伝熱管への押付力を的確に調整することにより、流体励起振動を効果的に抑制可能な伝熱管群の制振構造を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の少なくとも1実施形態は、内部を流体が流通する複数の伝熱管を含む伝熱管群の制振構造に利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 蒸気発生器
2 胴部
3 管群外筒
4 管板
5 伝熱管
5A カラム
6 管支持板
7 水室
8 隔壁
9 気水分離器
10 分分離器
11 給水管
12 蒸気排出口
13 給水路
14 振動抑制部材
15 保持部材
16 凹部
17 第1領域
20 第2領域
51 伝熱管群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11