(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1送風口に前記送風気体を送る第1送風機及び前記第2送風口に前記送風気体を送る第2送風機の各々は、前記第1ハウジングの内部において開口する吸入口に連通し、当該吸入口を介して吸入した前記第1ハウジングの内部の気体を、前記第1送風口及び前記第2送風口を介して前記送風気体として噴出する請求項3に記載の粉体付与装置。
前記粉体供給部は、前記第1送風機と前記第1送風口との間のダクト内及び前記第2送風機と前記第2送風口との間のダクト内のうち少なくともいずれか一方に前記粉体を付与することによって、前記第1ハウジングの内部に前記粉体を供給する請求項8又は9に記載の粉体付与装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述の従来装置では、以下の不具合がある。
【0008】
例えば、搬送中に食品をひっくり返して上下面を反転させる手法では、食品をひっくり返す際に食品に力が加えられるため、食品が破損する懸念がある。搬送中の食品が破損すると歩留まりが低下し、また破損した食品の一部がコンベアに付着してしまう虞がある。コンベアに付着した食品の一部は、当該コンベアにより搬送される別の食品に接触して更なる食品破損等の問題を引き起こしうる。また本手法では、食品の表面側及び裏面側に対しては十分量の粉体を付与することが可能である一方で、食品の側面側に対する粉体の付与量が不十分となり、食品の表裏面側と側面側との間で粉体の付与量に偏りが生じやすい。
【0009】
また特許文献1〜3に開示の装置のように食品の一部分(例えば食品の上面)に向けて粉体を飛ばすことで粉体を食品に付着させる手法では、当該一部分には粉体が直接的に付与される一方で、他の部分には粉体が直接的には付与されない。そのため、そのような手法では、食品の当該一部分に粉体が過剰に付着し、他の部分と比べて当該一部分に塗された粉体の厚みが大きくなり過ぎることがあり、食品の全体にわたって粉体を均一に塗すことが難しい。
【0010】
例えば特許文献1の装置では、空気により粉体を食品に直接的に吹き付ける構成が採用されているため、食品のうち粉体が吹き付けられた面に対して粉体が過剰に付着する。特に食品の表面が湿っている場合には、粉体が塊の状態(すなわちダマの状態)で食品に付着することもあり、食品の品質に悪影響を及ぼしうる。
【0011】
また特許文献2の装置では、ネットコンベアの下方に設けられた羽根付ローターによってネットコンベア上の食品に向けて粉体を飛ばす構成が採用されているため、食品の下方面に対して粉体が過剰に付着し、食品の全体にわたって粉体を均一に塗すことが難しい。また羽根付ローターのような回転ブラシを用いる手法では、回転ブラシに粉体がこびりついたり、回転ブラシの羽根等のブラシが抜け落ちたりする虞がある。回転ブラシに一旦こびりついた後に回転ブラシから剥がれた粉体や回転ブラシから抜け落ちたブラシは、異物として食品に付着する可能性があるため、回転ブラシを用いる手法は必ずしも適切な粉付け手法とは言えない。
【0012】
また特許文献3の装置でも、空気流によって粉末食材を食品に吹き付ける構成が作用されるため、食品のうち粉体が吹き付けられた面に対して粉体が過剰に付着し、食品の全体にわたって粉体を均一に塗すことが難しい。特に特許文献3の装置では、孔を持たない搬送ベルト上に載置された食品に粉体が吹き付けられるため、搬送ベルトと接する食品底面に適量の粉体を塗すことができない。
【0013】
また特許文献4の装置は、上方から落とされた粉体を、一方向に流れる空気流によって食品(すなわち麺)に吹き付ける構成であるため、実際には、食品のうち粉体が吹き付けられた部分にのみ粉体が付着し、食品全体に粉体を付着させることが難しい。また特許文献4の装置では食品を吊り下げる必要があるため、吊り下げることが難しい食品に粉体を塗す場合には特許文献4の装置を使用できない。
【0014】
上述のように、直接的に食品に向けて粉体を飛ばす装置では、食品の全面にわたって均一に粉体を塗すことが難しい。食品の全面にわたって粉体を均一に塗すには、食品に向けて粉体を飛ばして当該粉体を食品に直接的に付着させる手法ではなく、食品の周囲おいて粉体を舞い上げて、その舞い上げた粉体を食品の全面に付着させる手法が有効である。特に、食品の全面にわたって均一に粉体を付着させるには、食品の周囲において十分量の粉体を舞い上げるとともに、粉体を舞い上げる気流を乱流状態として粉体を食品の周囲でランダムに移動させることが有効である。
【0015】
しかしながら、上述の特許文献1〜4に開示の装置では、食品の周囲において粉体を十分に舞い上がらせることができない。例えば特許文献1の装置では、食品の上方及び下方の各々に設けられた粉体噴出口から食品に向けて粉体が吹き付けられるが、両粉体噴出口は相互に対向しておらず、各粉体噴出口から噴出された粉体は基本的に一方向にのみ進行する。また特許文献2の装置では、食品の下方において羽根付ローターが粉体を跳ね上げるため、食品の上方側では粉体を十分な状態で舞い上がらせることが難しい。また特許文献3の装置では、粉体を搬送する空気流が複数の方向に向けられた噴出管から噴出されるが、噴出管同士は相互に対向しておらず、各噴出管からの空気流が相互にずれているため、乱流状態の気流を作り出すことができず、粉体を食品の周囲でランダムな状態で舞い上がらせることが難しい。また特許文献4の装置では、ファンが一箇所にのみ設けられており、粉体を搬送する空気流が基本的に一方向にのみ流れるため、食品の周囲で十分量の粉体を舞い上がらせることが難しい。
【0016】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、気流によって舞い上げられた粉体を食品に付着させることで、食品に対する粉体付着量が付着箇所に応じて過剰に偏ることを防げる粉体付与装置及び粉体付与方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、挿入口及び排出口を有する第1ハウジングと、複数の開孔を有し、食品を搬送するコンベアであって、挿入口を介して第1ハウジングの外部から内部に進行し、排出口を介して第1ハウジングの内部から外部に進行するコンベアと、第1ハウジングの内部において送風気体を噴出する第1送風口及び第2送風口と、複数の開孔の各々の径よりも小さい粒径を有する粉体を、第1ハウジングの内部に供給する粉体供給部と、を備え、第1送風口及び第2送風口の各々は、第1ハウジングの内部においてコンベアに載置された食品に向けられないように配置されている粉体付与装置に関する。
【0018】
第1送風口及び第2送風口は互いに対向するように配置されていてもよい。
【0019】
第1送風口及び第2送風口は、第1ハウジングの内部において、コンベアよりも下方に設けられていてもよい。
【0020】
第1ハウジングの内部と外部とを連通する第1ハウジングに設けられた開口は、挿入口及び排出口のみであってもよい。
【0021】
第1送風口に送風気体を送る第1送風機及び第2送風口に送風気体を送る第2送風機の各々は、第1ハウジングの内部において開口する吸入口に連通し、当該吸入口を介して吸入した第1ハウジングの内部の気体を、第1送風口及び第2送風口を介して送風気体として噴出してもよい。
【0022】
第1送風機及び第2送風機は、第1ハウジングの内部に設けられてもよい。
【0023】
第1送風機及び第2送風機の各々は、ラインフローファンであってもよい。
【0024】
第1送風機及び第2送風機は、第1ハウジングの外部に設けられてもよい。
【0025】
第1送風機はダクトを介して第1送風口に連通し、第2送風機はダクトを介して第2送風口に連通してもよい。
【0026】
第1送風機及び第2送風機は共通の送風機によって構成され、共通の送風機は、ダクトを介して第1送風口及び第2送風口に連通してもよい。
【0027】
粉体供給部は、粉体を、第1ハウジングの内部の第1送風口と第2送風口との間に供給してもよい。
【0028】
粉体供給部は、第1送風機と第1送風口との間のダクト内及び第2送風機と第2送風口との間のダクト内のうち少なくともいずれか一方に粉体を付与することによって、第1ハウジングの内部に粉体を供給してもよい。
【0029】
第1ハウジング、第1送風口、第2送風口及び粉体供給部のセットは複数組設けられ、複数組のセットは、コンベアによる食品の搬送方向の上流側から下流側に向かって順次設けられていてもよい。
【0030】
粉体付与装置は、第1ハウジングの内部において送風気体を噴出する第3送風口及び第4送風口を更に備え、第3送風口及び第4送風口の各々は、第1ハウジングの内部においてコンベアに載置された食品に向けられないように配置されていてもよい。
【0031】
第3送風口及び第4送風口は互いに対向するように配置されていてもよい。
【0032】
第3送風口及び第4送風口は、第1ハウジングの内部において、コンベアよりも上方に設けられていてもよい。
【0033】
粉体付与装置は、少なくとも第1ハウジングの挿入口及び排出口の各々を包囲する第2ハウジングを更に備えてもよい。
【0034】
粉体付与装置は、第2ハウジングの内部を吸引する集塵装置を更に備えてもよい。
【0035】
粉体供給部は、搬送気体を噴出する空気圧輸送部と、搬送気体によって運ばれる粉体が吹き出される粉体噴出口と、を有し、粉体噴出口は、第1ハウジングの内部において、コンベアに載置された食品に向けられないように配置されていてもよい。
【0036】
粉体供給部は、粉体が貯留される粉体貯留部を更に有し、空気圧輸送部は、粉体貯留部に貯留されている粉体に向けて搬送気体を噴出して粉体を舞い上がらせることで、粉体噴出口から粉体を吹き出させてもよい。
【0037】
粉体付与装置は、第1ハウジングの内部を舞っている粉体の濃度を計測する粉体濃度センサを更に備え、粉体供給部は、粉体濃度センサの計測結果に基づいて、粉体の供給量を調整してもよい。
【0038】
本発明の他の態様は、コンベアによって搬送される食品に粉体を付与する粉体付与方法であって、コンベアに形成された複数の開孔の一部を覆うようにコンベアに載置された食品を、第1ハウジングの内部を通過させる工程と、コンベアに載置された食品が第1ハウジングの内部を通過する間に、第1ハウジングの内部において第1送風口及び第2送風口から送風気体を噴出させる工程と、複数の開孔の各々の径よりも小さい粒径を有する粉体を、第1ハウジングの内部に供給する工程と、を含み、第1送風口及び第2送風口の各々から噴出される際の送風気体の吹き出し方向は、第1ハウジングの内部においてコンベアに載置された食品に向けられないようにする粉体付与方法に関する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、第1送風口及び第2送風口の各々が食品に向けられないように配置されており、第1ハウジングの内部に供給される粉体が食品に付与される。これにより、食品に対する粉体付着量が付着箇所に応じて過剰に偏らないよう、気流によって舞い上げられた粉体を食品に付着させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して、食品の表面に粉体を付与する粉体付与装置及び粉体付与方法について説明する。なお、本件明細書に添付する図面には、図示と理解のしやすさの便宜上、サイズや縮尺等を、実物のそれらから変更して示されている部分が含まれうる。
【0042】
以下の各実施形態及び変形例における食品及び粉体の具体的な種類は特に限定されず、コンベアによって搬送可能な任意の食品、及び気流によって飛散可能な任意の粉体を用いることができる。したがって粉体が付着される食品は、最終的な生成物であってもよいし、製造途中の中間的な生成物であってもよいし、食品素材であってもよく、典型的には肉類、野菜、水産物、米飯、卵加工品、総菜及び菓子類等を食品としうる。また食品に付着させる粉体は、例えば粉状に生成された調味料や食材であってもよく、典型的には、小麦粉、きな粉、米粉、デンプン粉、ココアパウダー、抹茶パウダー及びすりゴマ、加工でんぷん、大豆たんぱく質、食品用の色素などの食品用添加物、及びこれらの混合物等としうる。なお食品の表面に粉体を効率良く付着させるには食品の表面が湿っていることが好ましいが、食品の表面は必ずしも湿っている必要はなく、表面が乾いた状態の食品が用いられてもよい。
【0043】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る粉体付与装置10の全体構成を示す斜視図である。
【0044】
粉体付与装置10は、食品が載置される無端状のコンベア14と、コンベア14によって搬送される食品が内部を通過する第1ハウジング11と、を備える。また粉体付与装置10は、第1ハウジング11の外側に配置された第2ハウジング12を備える。さらに粉体付与装置10は、第1ハウジング11の内部に粉体を供給する粉体供給部25と、第1ハウジング11内の粉体を舞い上げて散乱させるための送風気体を噴出する第1送風機21の送風口(第1送風口)及び第2送風機22の送風口(第2送風口)と、を備える。
【0045】
図2は、第1実施形態に係る第1ハウジング11及びコンベア14を簡略的に示す断面図である。
【0046】
コンベア14は、多数の開孔33が形成された無端状のワイヤーネットによって、所謂ネットコンベアとして構成される。コンベア14によって食品Hを搬送する際、コンベア14が有する複数の開孔33の一部を覆うように食品Hがコンベア14上に載置される。したがってコンベア14により搬送される各食品Hは、上方面及び側方面だけが外部に露出するのではなく、下方面も開孔33を介して外部に露出した状態となる。コンベア14における開孔33の開口面積の割合は特に限定されないが、各食品Hの全体に満遍なく粉体を塗す観点からは開孔33の開口面積の割合はできる限り大きい方が好ましく、例えば50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上の割合が好ましい。
【0047】
なお、ワイヤーネットによって構成されるコンベア14の開孔33の開口面積の割合と、食品Hの表面(特に下方面)の露出の程度とは、互いに相関が認められるものの、必ずしも一致するものではない。すなわち食品Hの下方面の露出の程度は、コンベア14と食品Hとの接触面積に応じて変動する。一方、コンベア14と食品Hとの接触面積は、コンベア14の開孔33の開口面積の割合から必ずしも一義的に定まるものではない。例えば、コンベア14を構成する単線のワイヤの幅が2mmであったとしても、当該ワイヤの断面形状が円等の場合には、コンベア14上の食品Hはワイヤの頂部近傍においてのみワイヤと接触する。この場合、ワイヤに対する食品Hの接触幅は2mmよりも小さくなり(例えば1mm程度になり)、食品Hの下方面の露出面積は開孔33の開口面積よりも大きくなる。また食品Hの柔らかさによっても食品Hの下方面の露出面積は変動し、食品Hが柔らかくなる程、食品Hとコンベア14を構成するワイヤとの接触面積は大きくなり、食品Hの下方面の露出面積は小さくなる。ただし、コンベア14の開孔33の開口面積の割合が大きくなるほど食品Hの下方面の露出面積も大きくなる傾向があり、コンベア14の開孔33の開口面積の割合が50%以上であれば、食品Hの下方面に対して広範囲に粉体を塗すことが可能になる。
【0048】
コンベア14は、連続的に走行し、第1ハウジング11が有する挿入口31を介して第1ハウジング11の外部から内部に進行し、また第1ハウジング11が有する排出口32を介して第1ハウジング11の内部から外部に進行する。
【0049】
図1に示す粉体付与装置10では、支持具15によって回転自在に支持された転換ローラがコンベア転換部A1〜A6の各々に設けられ、コンベア14はこれらの転換ローラに掛け渡されている。コンベア14のうち、食品Hが載せられる側を表面側とし、食品Hが載せられない側を裏面側とすると、コンベア転換部A1、A2、A4及びA5ではコンベア14の裏面側が転換ローラに接触しており、コンベア転換部A3及びA6ではコンベア14の表面側が転換ローラに接触している。コンベア14は、コンベア転換部A1〜A6によって案内されて進行方向が転換されつつ連続的に走行し、コンベア14上に載置された食品Hはコンベア転換部A1からコンベア転換部A2まで搬送される。各食品Hは、コンベア転換部A1において、粉体付与装置10よりも前段に設けられる装置からコンベア14上に渡され、またコンベア転換部A2において、粉体付与装置10よりも後段に設けられる装置にコンベア14から渡される。
【0050】
コンベア転換部A1〜A2は互いに同じ高さ位置(すなわち鉛直方向位置)に設けられ、コンベア14は、コンベア転換部A1とコンベア転換部A2との間を水平方向へ走行する。一方、コンベア転換部A3〜A6はコンベア転換部A1〜A2よりも低い高さ位置に設けられ、特にコンベア転換部A4とコンベア転換部A5との間ではコンベア14が第1ハウジング11の下方を走行する。このようにコンベア14の走行位置を高さ方向で変えながらコンベア14を連続的に走行させることで、コンベア14の復路側を第1ハウジング11に出入りさせる必要がなくなるため、第1ハウジング11の開口部を挿入口31及び排出口32に限定することができる。
【0051】
第1ハウジング11は、粉体を舞い上がらせるための閉鎖空間を区画するための部材であり、コンベア14の一部周囲(
図1に示す例ではコンベア転換部A1とコンベア転換部A2との間の一部周囲)を囲むように設けられている。本実施形態では、第1ハウジング11の内部と外部とを連通する第1ハウジング11に設けられた開口は挿入口31及び排出口32のみであり、第1ハウジング11の内部と外部との間における気体(大気)の流動は挿入口31又は排出口32を介してのみ可能である。なお、第1ハウジング11の内部で舞い上げられた粉体が第1ハウジング11の外部に漏れ出ることは好ましくない。そのため、挿入口31及び排出口32の開口面積は、コンベア14上の食品Hの通過を阻害しない範囲で、可能な限り小さいことが好ましい。
【0052】
一方、第1ハウジング11の内部に設けられた第1送風機21及び第2送風機22の各々の送風口37a、37bは、第1ハウジング11の内部に向けて送風気体を噴出する。すなわち第1送風口37aには第1送風機21から送風気体が送られ、第2送風口37bには第2送風機22から送風気体が送られる。
図1に示す粉体付与装置10では、第1送風機21及び第2送風機22のケーシングの一部分が、第1ハウジング11と隙間無く接触した状態で外部に露出しており、第1ハウジング11の内部空間を外部から隔絶するための壁部(特に側壁部及び底壁部)の一部を構成する。なお、
図2では、理解を容易にするため、第1送風機21及び第2送風機22が第1ハウジング11の内部空間に配置されるように示されているが、本実施形態の第1送風機21及び第2送風機22は、
図1に示すように、第1ハウジング11の内部空間を外部から隔絶するための壁部の一部を構成する。ただし、第1送風機21及び第2送風機22の配置状態は特に限定されず、
図2に示すように第1送風機21及び第2送風機22が第1ハウジング11の内部空間に配置されてもよい。
【0053】
第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bは、第1ハウジング11の内部においてコンベア14よりも下方に設けられており、互いに対向するように配置されている。そのため、第1送風機21の第1送風口37aから噴出される送風気体と、第2送風機22の第2送風口37bから噴出される送風気体とは、第1送風口37aと第2送風口37bとの間の中間エリアにおいて相互にぶつかって乱流状態の気体流を形成する。第1ハウジング11内の粉体は、この乱流状態の気体流によってランダムに舞い上げられ、コンベア14の下方の空間において散乱状態で存在するだけではなく、コンベア14の各開孔33を通過してコンベア14の上方の空間でも散乱状態で存在する。
【0054】
したがってコンベア14上に載置された食品Hが第1ハウジング11の内部を通過する間に、第1ハウジング11の内部空間に散乱状態で存在する粉体が食品Hにランダムに接触する。その結果、食品Hの全体にわたってほぼ均一に粉体を付着させることができる。特に、気体流により舞い上げられた粉体のみを食品Hに付着させる上述のような粉体付与装置10によれば、比較的重量の重いダマ(すなわち粉体が凝集して形成される塊)が食品Hに付着することを効果的に回避できる。
【0055】
なお第1送風機21及び第2送風機22の各々は吸入口36a、36bに連通し、これらの吸入口36a、36bは、第1ハウジング11の内部において開口する。したがって第1送風機21及び第2送風機22の各々は、吸入口36a、36bを介して吸入された第1ハウジング11の内部の気体を、第1送風口37a及び第2送風口37bを介して第1ハウジング11の内部に向けて送風気体として噴出させる。第1送風機21及び第2送風機22は、第1ハウジング11の内部において粉体が舞い上がった状態で気体吸入及び送風気体の噴出を行う。そのため、吸入口36a、36bが吸入する気体には粉体が混在し、また送風口37a、37bから噴出される送風気体にも粉体が混在する。
【0056】
なお、第1送風機21及び第2送風機22の各々の吸入口36a、36bは、第1ハウジング11の外部において開口し、粉体の混在しない気体(すなわち大気)を第1ハウジング11の外部から内部に向けて送風気体として送り込んでもよい。ただし、第1ハウジング11の内部から外部への粉体の漏出を可能な限り防ぐ観点からは、第1ハウジング11の外部から内部に気体を導入するよりも、第1ハウジング11の内部の気体を循環させる方が好ましく、第1送風機21及び第2送風機22の吸入口36a、36bは第1ハウジング11の内部で開口する方が好ましい。
【0057】
上述の第1送風機21及び第2送風機22の各々は任意の構成を有することができ、典型的には、ラインフローファンや軸流ファンを利用して第1送風機21及び第2送風機22を構成することができる。ラインフローファンは、クロスフローファンとも呼ばれ、吸入口36a、36bを介した気体の吸い込み方向と送風口37a、37bを介した送風気体の吐き出し方向とが異なっており、例えば気体の吸い込み方向と送風気体の吐き出し方向とが90°程度ずれていてもよい(
図2参照)。一方、軸流ファンでは、
図3の符合「21a」及び「22a」に示すように、吸入口36a、36bを介した気体の吸い込み方向と送風口37a、37bを介した送風気体の吐き出し方向とが基本的に同じになる。軸流式の第1送風機21a及び第2送風機22aでは、吸入口36a、36bを介して十分量の気体を吸入するために(すなわち送風口37a、37bから十分量の送風気体を吐き出すために)、吸入口36a、36bが形成される第1送風機21a及び第2送風機22aの背面側においてスペースを確保する必要がある。
【0058】
そのため、第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bの間隔を広くする場合には、ラインフローファンによって第1送風機21及び第2送風機22を構成することが好ましい。第1ハウジング11内の粉体は第1送風機21の第1送風口37aと第2送風機22の第2送風口37bとの間で効率的に舞い上げられてコンベア14上の食品Hに付着するため、広範囲の粉付け可能領域を確保する観点からは、ラインフローファンによって第1送風機21及び第2送風機22を構成することが好ましい。本実施形態の第1送風機21及び第2送風機22は、ラインフローファンによって構成されている。
【0059】
上述の構成を有する第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bの各々は、第1ハウジング11の内部においてコンベア14に載置された食品Hに向けられないように配置されている。本実施形態では、コンベア14の下方において、食品Hの搬送方向(すなわち第1ハウジング11内におけるコンベア14の移動方向)と平行な方向且つ相互に向かい合う方向へ、第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bが向けられている。これにより、第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bの各々からの送風気体の吐き出し方向は食品Hの搬送方向と平行になり、第1送風機21及び第2送風機22からの送風気体が食品Hに対して直接的に吹き付けられることがない。
【0060】
一方、粉体供給部25は、第1ハウジング11の内部に、とりわけ第1送風機21の第1送風口37aと第2送風機22の第2送風口37bとの間に、粉体を供給する。
図1に示す粉体付与装置10では2つの粉体供給部25が設けられており、第1ハウジング11の一方の側壁側と、当該一方の側壁側と対向する他方の側壁側との各々に粉体供給部25が配置されている。各粉体供給部25によって供給される粉体は、コンベア14の各開孔33の径よりも小さい粒径を有し、各開孔33を介してコンベア14の上方と下方との間を自由に行き来することができる。
【0061】
図1に示す各粉体供給部25は、空気圧輸送部42、粉体貯留部43、及び粉体噴出口41を有する。粉体を貯留する粉体貯留部43にはエアーガイド管47及びエアー噴出管48が接続されており、エアーガイド管47及びエアー噴出管48の各々は粉体貯留部43の内部と連通している。空気圧輸送部42は、粉体貯留部43に貯留されている粉体に向けて搬送気体を噴出して粉体を舞い上がらせることで、粉体噴出口41から粉体を吹き出させる。すなわち、エアーガイド管47には空気圧輸送部42が接続されており、空気圧輸送部42は、エアーガイド管47を介して粉体貯留部43内の粉体に向けて搬送気体を噴出する。搬送気体が吹き付けられた粉体貯留部43内の粉体は舞い上げられ、搬送気体によりエアー噴出管48を介して粉体噴出口41に運ばれ、粉体噴出口41から第1ハウジング11内に向かって吹き出される。
【0062】
粉体噴出口41は、第1ハウジング11の内部に設置されており、食品Hの搬送方向に関し、第1送風機21の第1送風口37aと第2送風機22の第2送風口37bとの間に設けられている。したがって、粉体噴出口41から吹き出された粉体は、第1ハウジング11の内部において、第1送風機21の第1送風口37aと第2送風機22の第2送風口37bとの間に供給され、第1送風機21及び第2送風機22からの送風気体によって舞い上げられる。なお第1ハウジング11内における粉体噴出口41の高さ位置は特に限定されず、第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bの高さ位置(すなわち鉛直方向位置)と比べ、略同じであってもよいし、高くてもよいし、低くてもよい。
【0063】
なお粉体噴出口41は、第1ハウジング11の内部において、コンベア14に載置された食品Hに向けられないように配置されている。
図1に示す粉体付与装置10では、第1ハウジング11の側壁面に粉体噴出口41が設けられており、食品Hの搬送方向と垂直を成す水平方向へ粉体噴出口41が向けられている。したがって、粉体噴出口41からの粉体は、第1送風口37a及び第2送風口37bからの送風気体の吐き出し方向と垂直方向を成す方向へ吹き出される。
【0064】
粉体貯留部43にはスクリューコンベア45を介して粉体ホッパー44が接続されている。スクリューコンベア45は、図示しない回転スクリューが管内に設けられた構造を有する。この回転スクリューがスクリュー駆動モータ46によって回転駆動されることにより、粉体ホッパー44内の粉体がスクリューコンベア45を介して粉体貯留部43内に徐々に供給される。
【0065】
なお、多量の粉体が集合的に存在する粉体貯留部43内や粉体ホッパー44内には粉体のダマが存在しうるが、そのようなダマが食品Hに付着することを防ぐために、第1ハウジング11内にダマが供給されないようにすることが好ましい。上述のように、空気圧輸送部42からの搬送気体により舞い上げられた粉体を第1ハウジング11内に導く構成を採用することによって、重量の軽い粉体のみを第1ハウジング11内に供給することができ、重量の重い粉体のダマが第1ハウジング11内に供給されることを未然に防ぐことができる。
【0066】
一方、
図1に示す粉体付与装置10は2つの第2ハウジング12を具備し、それぞれの第2ハウジング12によって第1ハウジング11の挿入口31及び排出口32が包囲される。このように本実施形態の粉体付与装置10では、第1ハウジング11内の粉体の移動範囲を制限する第1ハウジング11の外側に、粉体の移動範囲を更に制限する第2ハウジング12が設けられる。すなわち第2ハウジング12は、第1ハウジング11の挿入口31及び排出口32から漏れ出た粉体が外部に漏れ出ることを防ぐ役割を果たす。
【0067】
第2ハウジング12の内部には排気吸引口28が開口し、この排気吸引口28は排気吸引管27を介して集塵装置26に連通する。集塵装置26は、排気吸引管27及び排気吸引口28を介して第2ハウジング12の内部を吸引し、第1ハウジング11から第2ハウジング12に漏れ出た粉体を回収する役割を果たす。なお集塵装置26の吸引によって第2ハウジング12の内部は、標準大気圧より圧力が低い真空状態(すなわち負圧状態)に保たれてもよい。この場合、第2ハウジング12の内部から外部への気体及び粉体の漏出をより効果的に防ぐことができる。なお集塵装置26の吸引気体量は、特に限定されないが、粉体噴出口41から第1ハウジング11内への搬送気体の供給量に基づいて決定されてもよい。
【0068】
また上述の粉体付与装置10の各部を制御する図示しない制御部が設けられてもよい。例えば、粉体供給部25によって適量の粉体を第1ハウジング11の内部に供給するには、空気圧輸送部42からの搬送気体の風量及び風圧を調整したり、スクリューコンベア45による粉体ホッパー44から粉体貯留部43への粉体の供給量を調整したりすることが好ましい。したがって制御部により、空気圧輸送部42を制御してエアーガイド管47を介して粉体貯留部43内に吹き付けられる搬送気体の風量及び風圧を適応的に調整したり、スクリュー駆動モータ46を制御して粉体貯留部43への粉体の供給量を調整したりしてもよい。これにより、粉体貯留部43内に送られる搬送気体の風量及び風圧とのバランスをとりつつ、粉体ホッパー44から粉体貯留部43に適量の粉体を送ることが可能である。
【0069】
また制御部は、食品Hを搬送するコンベア14の走行速度(すなわち搬送速度)や走行方向を制御してもよいし、第1送風機21及び第2送風機22からの送風気体の風量及び風圧を制御してもよいし、集塵装置26等の他の機器類を制御してもよい。
【0070】
次に、上述の粉体付与装置10によって実施される粉体付与方法について説明する。本実施形態の粉体付与装置10によれば、以下の工程を含む粉体付与方法に従って、コンベア14により搬送されている食品Hに粉体が付与される。
【0071】
すなわち、コンベア14に形成された複数の開孔33の一部を覆うようにコンベア14に載置された食品Hが、第1ハウジング11の内部を通過させられる。コンベア14上には多数の食品Hが相互に離間した状態で載置され、各食品Hは、コンベア転換部A1からコンベア転換部A2に向けて搬送され、その搬送途中で第1ハウジング11の内部を通過する。
【0072】
コンベア14に載置された食品Hが第1ハウジング11の内部を通過する間、第1ハウジング11の内部において第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bからは送風気体が噴出させられる。特に、第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bの各々から噴出される送風気体の吹き出し方向は、第1ハウジング11の内部においてコンベア14に載置された食品Hに向けられないようにされている。その一方で、粉体供給部25からは、第1送風機21の第1送風口37aと第2送風機22の第2送風口37bとの間に粉体が供給される。これにより、乱流状態の気流によって粉体を食品の周囲でランダムに舞い上げることができ、搬送される食品Hの全体にわたって粉体をほぼ均一に付与することができる。
【0073】
以上説明したように本実施形態の粉体付与装置及び粉体付与方法によれば、気流によって舞い上げられた粉体を食品に付着させることで、食品の略全体にわたってほぼ均一に適量の粉体を付着させることができる。したがって、食品に対する粉体付着量が付着箇所に応じて過剰に偏ることを有効に防ぐことできる。
【0074】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る粉体付与装置10の全体構成を示す斜視図である。
図5は、第2実施形態に係る第1ハウジング11及びコンベア14を簡略的に示す断面図である。
【0075】
なお本実施形態に係る粉体付与装置10において、上述の第1実施形態に係る粉体付与装置10と同一又は類似の要素については、第1実施形態と同じ符合を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
本実施形態に係る粉体付与装置10は第3送風機23、第3送風口37c、第4送風機24及び第4送風口37dを更に備え、第3送風口37c及び第4送風口37dの各々は、第1ハウジング11の内部において送風気体を噴出する。
【0077】
第3送風機23及び第4送風機24の各々は、第1送風機21及び第2送風機22と同様に構成される。例えば、第3送風機23及び第4送風機24の各々は、第1ハウジング11の内部において開口する吸入口36c、36d及び送風口37c、37dに連通し、吸入口36c、36dから吸入した気体を送風口37c、37dから送風気体として吐き出す。また第3送風機23の第3送風口37c及び第4送風機24の第4送風口37dの各々は、第1ハウジング11の内部においてコンベア14に載置された食品Hに向けられないように配置されている。また、第3送風機23の第3送風口37c及び第4送風機24の第4送風口37dは、互いに対向するように配置されている。
【0078】
また
図4に示す粉体付与装置10では、第3送風機23及び第4送風機24のケーシングの一部分が、第1ハウジング11と隙間無く接触した状態で外部に露出しており、第1ハウジング11の内部空間を外部から隔絶するための壁部(特に側壁部及び天壁部)の一部を構成する。
図5では、理解を容易にするため、第3送風機23及び第4送風機24が第1ハウジング11の内部空間に配置されるように示されているが、本実施形態の第3送風機23及び第4送風機24は、
図4に示すように、第1ハウジング11の内部空間を外部から隔絶するための壁部の一部を構成する。ただし、第3送風機23及び第4送風機24の配置状態は特に限定されず、
図5に示すように第3送風機23及び第4送風機24が第1ハウジング11の内部空間に配置されてもよい。
【0079】
ただし、第1ハウジング11の内部において、第1送風機21及び第2送風機22の各々の吸入口36a、36b及び送風口37a、37bはコンベア14よりも下方に設けられるのに対し、第3送風機23及び第4送風機24の各々の吸入口36c、36d及び送風口37c、37dはコンベア14よりも上方に設けられている。
【0080】
他の構成は、上述の第1実施形態の粉体付与装置10と略同じである。
【0081】
第1送風機21及び第2送風機22に加えて第3送風機23及び第4送風機24を設けることによって、コンベア14よりも下方においてのみならず、コンベア14よりも上方においても、第1ハウジング11内の粉体を送風気体によって撹拌することができる。したがって、第1ハウジング11の内部において粉体をより一層均一且つ激しく散乱させることができ、食品Hの表面全体にわたって粉体を効率良く均一に付着させることができる。
【0082】
なお、第1ハウジング11の内部において粉体はランダムに拡散し、第1ハウジング11の壁部や第1ハウジング11内に設けられる第1送風機21〜第4送風機24等の機材に粉体が接触する。ただし本実施形態のように第1送風機21〜第4送風機24によって第1ハウジング11内の気体及び粉体を激しく撹拌することにより、第1ハウジング11の内部における壁部や機材に接触した粉体の固着を軽減することができる。
【0083】
また上述の
図4に示す粉体付与装置10では、第3送風機23の第3送風口37cと第4送風機24の第4送風口37dとの間に粉体供給部が設けられていないが、そのような粉体供給部が設けられてもよい。すなわち上述の粉体供給部25を、コンベア14の下方だけではなく、コンベア14の上方にも設置し、コンベア14上の食品Hの下方及び上方の双方から粉体が第1ハウジング11内に供給されてもよい。
【0084】
[他の変形例]
以下、上述の第1実施形態及び第2実施形態の各々に係る粉体付与装置10の変形例について説明する。
【0085】
粉体付与装置10は、第1ハウジング11の内部を舞っている粉体の濃度を計測する粉体濃度センサ50を更に備えてもよい(
図4参照)。粉体濃度センサ50の具体的な検出手法は特に限定されないが、典型的には光学式の粉体濃度センサ50を用いることができる。
【0086】
図6に示すように、制御部60は、粉体濃度センサ50の計測結果を受信して粉体供給部25に制御信号を送信してもよい。この場合、粉体供給部25は、制御部60からの制御信号に応じて制御され、粉体濃度センサ50の計測結果に基づいて第1ハウジング11内への粉体の供給量をリアルタイムに調整することができる。例えば、粉体濃度センサ50の計測結果から第1ハウジング11内の粉体の量が足りないと認定される場合、制御部60は粉体供給部25を制御して、第1ハウジング11内への粉体の供給量を増大させることができる。一方、粉体濃度センサ50の計測結果から第1ハウジング11内の粉体の量が過剰であると認定される場合、制御部60は粉体供給部25を制御して、第1ハウジング11内への粉体の供給量を低減又は粉体の供給を停止させることができる。これにより食品Hに対して適量の粉体を付与することができるだけではなく、粉塵爆発等の不具合の発生を未然に回避することもできる。
【0087】
なお粉体供給部25による第1ハウジング11内への粉体の供給量の調整は、任意の手法に基づいて実行可能である。例えば空気圧輸送部42から粉体貯留部43内に吹き付けられる搬送気体の風量及び風圧を調節したり、粉体ホッパー44から粉体貯留部43への粉体の供給量を調節したりすることで、第1ハウジング11内への粉体の供給量を調整することが可能である。
【0088】
また上述の粉体供給部25の制御と並列的に、或いは上述の粉体供給部25の制御の代わりに、制御部60は、集塵装置26を制御してもよい。例えば粉体濃度センサ50の計測結果から第1ハウジング11内の粉体の量が足りないと認定される場合、制御部60は集塵装置26を制御して集塵装置26の吸引力を弱めて又は集塵装置26の吸引を停止し、集塵装置26によって吸引される気体量を減らし、第1ハウジング11の内部から第2ハウジング12の内部に流出する粉体の量を低減させることができる。一方、粉体濃度センサ50の計測結果から第1ハウジング11内の粉体の量が過剰であると認定される場合、制御部60は集塵装置26を制御して集塵装置26の吸引力を強めて、集塵装置26によって吸引される気体量を増やし、第1ハウジング11の内部から第2ハウジング12の内部に流出する粉体の量を増大させることができる。
【0089】
また、上述の粉体付与装置10では、コンベア14の下方において1組の送風機(すなわち1つの第1送風機21及び1つの第2送風機22)及び1組の送風口(すなわち1つの第1送風口37a及び1つの第2送風口37b)が設けられているが、複数組の送風機及び送風口が設けられてもよい。同様に、コンベア14の上方においても複数組の送風機及び送風口が設けられてもよい。
【0090】
図7は、一変形例に係る送風機の配置態様を概略的に示す図である。
図7では、理解を容易にするため、第1ハウジング11、第1送風機21(第1送風口37a)、第2送風機22(第2送風口37b)、粉体供給部25、コンベア14、食品H及び粉体Pのみが示されている。
図7に示す例では、コンベア14の下方において2組の送風機(すなわち1つの第1送風機21及び1つの第2送風機22によって構成されるペアが2組)及び2組の送風口(すなわち1つの第1送風口37a及び1つの第2送風口37bによって構成されるペアが2組)が設けられており、2つの第1送風機21(2つの第1送風口37a)が並んで配置されるとともに、2つの第2送風機22(2つの第2送風口37b)が並んで配置されている。2つの第1送風機21(2つの第1送風口37a)はコンベア14の走行方向(すなわち食品Hの搬送方向)に関して上流側に設けられ、2つの第2送風機22(2つの第2送風口37b)は下流側に設けられている。第1送風機21の第1送風口37aは上流側から下流側に向かう方向に搬送気体を噴出し、第2送風機22の第2送風口37bは下流側から上流側に向かう方向に搬送気体を噴出する。なお
図7に示す例では、
図1に示す粉体付与装置10と同様に2つの粉体供給部25が設けられており、第1送風機21からの搬送気体と第2送風機22からの搬送気体がぶつかるエリア又はその近傍に向けて、各粉体供給部25から粉体が吹き出される。
【0091】
図8は、他の変形例に係る送風機の配置態様を概略的に示す図である。
図8でも、理解を容易にするため、第1送風機21、第2送風機22、粉体供給部25、コンベア14、食品H及び粉体Pのみが示されている。
図8に示す例でも、コンベア14の下方において2組の送風機(すなわち1つの第1送風機21及び1つの第2送風機22によって構成されるペアが2組)及び2組の送風口(すなわち1つの第1送風口37a及び1つの第2送風口37bによって構成されるペアが2組)が設けられている。ただし本例では、2つの第1送風機21(2つの第1送風口37a)は一方の粉体供給部25が設けられる側(すなわち第1ハウジング11の一方の側壁側)に配置され、2つの第2送風機22(2つの第2送風口37b)は他方の粉体供給部25が設けられる側(すなわち第1ハウジング11の他方の側壁側)に配置されている。コンベア14の走行方向(すなわち食品Hの搬送方向)に関し、一方の第1送風機21(第1送風口37a)は上流側に設けられ、他方の第1送風機21(第1送風口37a)は下流側に設けられており、これらの第1送風機21間に一方の粉体供給部25が配置されている。同様に、コンベア14の走行方向に関し、一方の第2送風機22(第2送風口37b)は上流側に設けられ、他方の第2送風機22(第2送風口37b)は下流側に設けられており、これらの第2送風機22間に他方の粉体供給部25が配置されている。したがって、各第1送風機21からの送風気体の噴出方向と第1送風機21間の粉体供給部25からの粉体の噴出方向とは基本的に一致し、また各第2送風機22からの送風気体の噴出方向と第2送風機22間の粉体供給部25からの粉体の噴出方向とは基本的に一致する。このような構成において、各粉体供給部25から噴出された粉体は、各第1送風機21の第1送風口37aと各第2送風機22の第2送風口37bとの間に供給される。
【0092】
上述の
図7及び
図8の各々に示す変形例においても、第1送風機21及び第2送風機22の各々の送風口37a、37bは第1ハウジング11の内部においてコンベア14に載置された食品Hに向けられないように配置されている。また、対を成す第1送風機21の第1送風口37a及び第2送風機22の第2送風口37bは互いに対向するように配置されている。したがってこれらの変形例においても、気流によって舞い上げられた粉体が食品に付着され、食品の略全体にわたってほぼ均一に適量の粉体を付着させることができる。特にこれらの変形例のように複数組の送風機を設けることによって、第1ハウジング11内において粉体をより激しく撹拌することができ、食品Hに対して効率的に粉体を付着させることができる。
【0093】
なお上述の
図8に示す例では複数組の送風機(すなわち2つの第1送風機21及び2つの第2送風機22)及び複数組の送風口(すなわち2つの第1送風口37a及び2つの第2送風口37b)が設けられているが、一組の送風機(すなわち1つの第1送風機21及び1つの第2送風機22)及び一組の送風口(すなわち1つの第1送風口37a及び1つの第2送風口37b)が
図8に示すような配置で設置されてもよい。すなわち、一方の粉体供給部25が設けられる側に1つの第1送風機21及び1つの第1送風口37aが配置され、他方の粉体供給部25が設けられる側に1つの第2送風機22及び1つの第2送風口37bが配置されてもよい。
【0094】
また上述の粉体付与装置10は、第1ハウジング11、第1送風機21(第1送風口37a)、第2送風機22(第2送風口37b)及び粉体供給部25のセットを1組備えているが、このセットが複数組設けられてもよい。
【0095】
図9は、粉体付与装置10の他の変形例に係る第1ハウジング11及びコンベア14を簡略的に示す断面図である。本変形例では、第1ハウジング11、第1送風機21(第1送風口37a)、第2送風機22(第2送風口37b)及び粉体供給部25のセットが2組設けられており、コンベア14による食品Hの搬送方向(すなわちコンベア14の走行方向)の上流側から下流側に向かって第1のセットS1及び第2のセットS2が順次設けられている。例えば、第1のセットS1の粉体供給部25及び第2のセットS2の粉体供給部25から同種の粉体を噴出させることにより、食品Hに対して多量の粉体を付着させることが可能である。また、第1のセットS1の粉体供給部25から噴出させる粉体の種類と第2のセットS2の粉体供給部25から噴出させる粉体の種類とを変えることによって、複数種類の粉体を食品Hの全体にわたって均一に付着させることが可能である。
【0096】
なお
図9に示す例では、第1のセットS1と第2のセットS2との間を走行するコンベア14には囲いが設けられていないが、第1のセットS1と第2のセットS2との間に別のハウジングを設けて、当該別のハウジングによってコンベア14を囲ってもよい。
図9に示す例では上述の第2ハウジング12が省略されているが、
図9に示す例において、第1のセットS1及び第2のセットS2の各々の第1ハウジング11の挿入口31及び排出口32を囲むように第2ハウジング12が設けられてもよい。特に、第1のセットS1の排出口32を囲む第2ハウジング12と第2のセットS2の挿入口31を囲む第2ハウジング12を共通化し、第1のセットS1の第1ハウジング11と第2のセットS2の第1ハウジング11との間に単一の第2ハウジング12が設けられてもよい。
【0097】
また上述の実施形態及び変形例に係る粉体付与装置10では、コンベア14の下方に送風機(すなわち第1送風機21及び第2送風機22)及び送風口(すなわち第1送風口37a及び第2送風口37b)が設けられているが、コンベア14の下方には送風機を設けずに、コンベア14の上方にのみ送風機(上述の第3送風機23及び第4送風機24参照)及び送風口(すなわち第3送風口37c及び第4送風口37d)が設けられてもよい。同様に、コンベア14の下方には粉体供給部25を設けずに、コンベア14の上方にのみ粉体供給部25が設けられてもよい。
【0098】
なお、粉体付与装置10を構成する各要素の材料は特に限定されないが、粉体が付着しうる要素(例えば、コンベア14、第1ハウジング11、第2ハウジング12、第1送風機21、第2送風機22、第3送風機23、第4送風機24及び粉体供給部25等)に関しては、水等によって定期的に洗浄されることが必要とされる場合がある。したがって、そのような要素は、洗浄に適した材料によって構成されることが好ましく、錆び難く且つ比較的大きな強度を有する材料(例えばステンレス鋼など)によって構成可能である。
【0099】
本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本発明によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0100】
例えば上述の実施形態では、第1送風機21及び第2送風機22(及び第3送風機23及び第4送風機24)が第1ハウジング11内に設けられているが、送風機自体は第1ハウジング11の外側に設けられていてもよい。この場合、
図10に示すように、第1送風機21はダクト70を介して第1送風口37aに連通し、第2送風機22はダクト70を介して第2送風口37bに連通するように設けられてもよい。
図10に示す第1送風機21及び第2送風機22は、それぞれ、ダクト70を介して、第1ハウジング11の内部に開口する吸入口36a、36bに連通している。また、
図11に示すように、第1送風機21及び第2送風機22を共通の送風機(
図11では共通送風機71)によって構成してもよい。この場合、共通送風機71は、ダクト70を介して第1送風口37a及び第2送風口37bの各々に連通してもよい。第1送風機21及び第2送風機22を共通送風機71によって実現することによって、吸入口36を単一にすることも可能であり、
図11に示す例では、第1ハウジング11の内部に開口する単一の吸入口36がダクト70を介して共通送風機71に連通している。
【0101】
また送風機21、22、71と送風口37a、37bとをダクト70を介して連通する場合、粉体供給部25は、「第1送風機21と第1送風口37aとの間のダクト70内」及び「第2送風機22と第2送風口37bとの間のダクト70内」のうち少なくともいずれか一方に粉体を付与することによって、第1ハウジング11の内部に粉体を供給してもよい。例えば
図11に示すように、共通送風機71によって第1送風機21及び第2送風機22が実現される場合、ダクト70のうち、「共通送風機71と第1送風口37aとの間の流路」及び「共通送風機71と第2送風口37bとの間の流路」の共有部分に、粉体供給部25から粉体を供給することも可能である。