(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料電池システムは、水蒸気発生器と、原燃料ガスと前記水蒸気発生器で発生した水蒸気とを用いて改質ガスを生成する改質装置と、を備え、前記改質装置により生成された改質ガスを前記燃料電池に供給するものであって、
前記改質装置に供給する水蒸気の前記改質装置に供給する原燃料ガスに対する比率を所定比率以上として前記一次側流路を通流する前記排気ガスの露点を所定露点以上とすることにより前記濡れ状態を発生させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの運転方法。
前記熱交換器の前記二次側流路に導入する冷却水の温度を所定冷却水温度以下とするかまたは前記二次側流路に導入する冷却水の流量を所定流量以上として前記一次側流路の温度を所定流路温度以下とすることにより前記濡れ状態を発生させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの運転方法。
水蒸気発生器と、原燃料ガスと前記水蒸気発生器で発生した水蒸気とを用いて改質ガスを生成する改質装置と、を備え、前記改質装置により生成された改質ガスを前記燃料電池に供給するものであって、
前記濡れ発生手段として、前記改質装置に供給する水蒸気の前記改質装置に供給する原燃料ガスに対する比率を所定比率以上として前記一次側流路を通流する前記排気ガスの露点を所定露点以上とする露点調節手段を備えることを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
前記濡れ発生手段として、前記熱交換器の前記二次側流路に導入する冷却水の温度を所定冷却水温度以下とするかまたは前記二次側流路に導入する冷却水の流量を所定流量以上として前記一次側流路の温度を所定流路温度以下とすることにより前記濡れ状態を発生させる流路温度調節手段を備えることを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された燃料電池システムにあっては、熱交換器のうち貯湯水が通流する流路の内面の劣化を抑制することができるが、燃焼排ガスが通流する流路の内面の劣化を抑制することができないものであった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、熱交換器の排気ガスが通流する流路の内面の劣化を抑制する燃料電池システムの運転方法および燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、燃料電池と、冷却装置と、を備え、前記冷却装置は、前記燃料電池からの排気ガスが一次側流路を通流するとともに冷却水が二次側流路を通流する熱交換器と、前記一次側流路を途中に有する排気流路と、を有する燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池の運転時に前記一次側流路の内面を濡れ状態とすることを特徴とする。
【0008】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記燃料電池システムは、水蒸気発生器と、原燃料ガスと前記水蒸気発生器で発生した水蒸気とを用いて改質ガスを生成する改質装置と、を備え、前記改質装置により生成された改質ガスを前記燃料電池に供給するものであって、前記改質装置に供給する水蒸気の前記改質装置に供給する原燃料ガスに対する比率を所定比率以上として露点を所定露点以上とすることにより前記濡れ状態を発生させることを特徴とする。
【0009】
また請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記熱交換器の前記二次側流路に導入する冷却水の温度を所定冷却水温度以下とするかまたは前記二次側流路に導入する冷却水の流量を所定流量以上として前記一次側流路の温度を所定流路温度以下とすることにより前記濡れ状態を発生させることを特徴とする。
【0010】
また請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記熱交換器の前記一次側流路に液体の水を供給することにより前記濡れ状態を発生させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る燃料電池システムは、燃料電池と、冷却装置と、を備え、前記冷却装置は、前記燃料電池からの排気ガスが一次側流路を通流するとともに冷却水が二次側流路を通流する熱交換器と、前記一次側流路を途中に有する排気流路と、を有し、前記燃料電池の運転時に前記一次側流路の内面を濡れ状態とする濡れ発生手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、水蒸気発生器と、原燃料ガスと前記水蒸気発生器で発生した水蒸気とを用いて改質ガスを生成する改質装置と、を備え、前記改質装置により生成された改質ガスを前記燃料電池に供給するものであって、前記濡れ発生手段として、前記改質装置に供給する水蒸気の前記改質装置に供給する原燃料ガスに対する比率を所定比率以上として露点を所定露点以上とする露点調節手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また請求項7に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記濡れ発生手段として、前記熱交換器の前記二次側流路に導入する冷却水の温度を所定冷却水温度以下とするかまたは前記二次側流路に導入する冷却水の流量を所定流量以上として前記一次側流路の温度を所定流路温度以下とすることにより前記濡れ状態を発生させる流路温度調節手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また請求項8に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記濡れ発生手段として、前記熱交換器の前記一次側流路に液体の水を供給する水供給手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明にあっては、熱交換器の一次側流路の内面の濡れ乾きが繰り返されることに起因する、内面の腐食による劣化を抑制することができる。
【0016】
請求項2に係る発明にあっては、露点を調節することにより、一次側流路の内面を濡れ状態とすることができる。
【0017】
請求項3に係る発明にあっては、熱交換器の一次側流路を通流する排気ガスの温度を調節することにより、一次側流路の内面を濡れ状態とすることができる。
【0018】
請求項4に係る発明にあっては、一次側流路に液体の水を供給することにより、一次側流路の内面を濡れ状態とすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明にあっては、濡れ発生手段により、自動的に一次側流路の内面を濡れ状態とすることができる。
【0020】
請求項6に係る発明にあっては、露点調節手段により濡れ発生手段を構成することができる。
【0021】
請求項7に係る発明にあっては、流路温度調節手段により濡れ発生手段を構成することができる。
【0022】
請求項8に係る発明にあっては、水供給手段により濡れ発生手段を構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法の第1実施形態について
図1に基いて説明する。
【0025】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池2と、冷却装置3と、を備える。さらに、第1実施形態では、燃料電池システム1は、改質装置4と、水蒸気発生器5と、を備える。
【0026】
改質装置4は、原燃料ガスと水蒸気とを用いて、燃料電池2に供給するのに適した改質ガスを生成する。原燃料ガスとしては、メタン、エタンをはじめとする炭化水素やこれらを含む天然ガスやLPガス等が好適に挙げられるが、特に限定されない。第1実施形態では、原燃料ガスは天然ガスである。
【0027】
改質装置4は、図示しないが、脱硫器、改質器、CO変成器およびCO除去器を適宜備える。改質器は、バーナ等の加熱装置により改質触媒を加熱しながら原燃料ガスを水蒸気改質反応により改質する。
【0028】
水蒸気発生器5は、改質装置4に供給する水蒸気を発生させる。
【0029】
改質装置4に、ガス供給管41を介して原燃料ガスが供給されるとともに、水蒸気供給管42を介して水蒸気発生器5で発生した水蒸気が供給されて、水素が豊富に含まれる改質ガスが生成される。
図1中の符号43はガス供給管41に設けられる流量調整弁を示し、符号44は水蒸気供給管42に設けられる流量調整弁を示す。なお、このような改質装置4としては、様々な公知のものが適宜利用可能である。
【0030】
燃料電池2は、第1実施形態では、高分子電解質形燃料電池である。このような高分子電解質形燃料電池は、様々な公知のものが適宜利用可能であり、概略のみ説明する。
【0031】
図示しないが、高分子電解質形燃料電池は、燃料極(アノード)に改質ガスが供給されるとともに、空気極(カソード)に空気(酸素)が供給される。
図1中の符号11は、空気極に空気を送るブロア等の送風手段を示す。
【0032】
燃料極では、供給された水素によりH
2→2H
++2e
−という反応が生じる。燃料極で発生したe
−は、外部を通って空気極へと移動する。また、燃料極で発生したH
+は、電解質を通って空気極へと移動する。
【0033】
空気極では、電解質を通って移動してきたH
+と、外部を通って移動してきたe
−と、供給された酸素とにより4H
++O
2+4e
−→2H
2Oという反応が生じる。
【0034】
燃料電池2で発生して外部を通るe
−により、図示しないが、負荷に電気的なエネルギーが与えられる。このとき、パワーコンディショナ等が適宜利用可能である。
【0035】
さらに、燃料電池2で発生する熱や、燃料電池2から排出される排気ガスの熱のエネルギーを回収するコジェネレーションシステム10であれば、より一層のエネルギーの回収が可能となる。第1実施形態では、燃料電池システム1は、コジェネレーションシステム10に組み込まれている。コジェネレーションシステム10は、燃料電池システム1と、貯湯装置7と、を備えており、後述する。
【0036】
冷却装置3は、排気流路31と、熱交換器6と、を有する。
【0037】
排気流路31は、燃料電池2から排気ガスを排出するための流路である。第1実施形態では、排気流路31を通流する排気ガスは、燃料電池2の燃料極から排出される排気ガスと空気極から排出される排気ガスとが合流した排気ガスであり、改質ガスのうち燃料電池2での化学反応に利用されなかった未燃ガスを含む。なお、排気流路31を通流する排気ガスは、燃料電池2の燃料極から排出される排気ガスと、空気極から排出される排気ガスとが別々に排出される場合の燃料極から排出される排気ガスのみであってもよい。つまり、排気ガスは、改質ガスのうちの未燃ガスを含むものである。
【0038】
熱交換器6は、気体が通流する一次側流路61と、液体が通流する二次側流路62とが、金属製の隔壁を介して隣接する気−液熱交換器である。一次側流路61には、燃料電池2から排出される排気ガスが通流するもので、排気流路31の途中に一次側流路61が設けられる。二次側流路62には、冷却水が通流する。第1実施形態では、冷却水に、貯湯装置7の水(湯)が利用される。
【0039】
貯湯装置7は、貯湯タンク71と、途中に貯湯タンク71を有する循環路72と、循環路72に設けられるポンプ等の搬送手段73と、を有する。
【0040】
循環路72は、上流端が貯湯タンク71の下部に接続され、下流端が貯湯タンク71の上部に接続される。循環路72の途中に、熱交換器6の二次側流路62が接続される。
【0041】
貯湯装置7に貯められる水は、循環路72を通流し、途中で熱交換器6の二次側流路62を通流するときに、燃料電池2から排出される排気ガスから熱を回収する。
【0042】
第1実施形態では、燃料電池2が高分子電解質形燃料電池であり、燃料電池2から排出され熱交換器6の一次側流路61に流入する排気ガスの温度は200〜300℃である。また、循環路72を通流し、熱交換器6の二次側流路62に流入する水の温度は、20〜30℃(気温やその他の条件によっては5〜50℃)である。
【0043】
熱交換器6では、一次側流路61を通流する排気ガスは、隔壁を介して二次側流路62を通流する冷却水により冷却される。このとき、冷却された排気ガスの温度が、排気ガスの露点以下となると、隔壁の表面をはじめとする一次側流路61の内面60に結露が発生するが、排気ガスの露点以上となると一次側流路61の内面60に結露は発生せず、また、発生した結露水は蒸発して消滅する。
【0044】
このように、一次側流路61の内面60において結露の発生および消滅(これを濡れ乾きという)が繰り返されると、熱交換器6、特に、一次側流路61の内面60が劣化する。すなわち、一次側流路61の内面60に結露が発生すると、結露水中に排気ガス中のSOxやNOx等の不純物が溶解する。次に、この結露水が蒸発すると、溶解していた不純物がこの内面60に付着物として残る。次に、この内面60に再び結露が発生すると、結露水中に排気ガス中のSOxやNOx等の不純物が再び溶解し、この結露水が蒸発するとさらに不純物がこの内面60に付着する。このような濡れ乾きが繰り返されると、一次側流路61の内面60に付着した不純物が濃縮されて堆積していく。この結果、一次側流路61の内面60に堆積した不純物により、この内面60が腐食されて劣化する。
【0045】
堆積した不純物による、一次側流路61の内面60の腐食を抑制するには、濡れ乾きが繰り返されることを抑制すればよい。そこで、本発明においては、燃料電池2の運転時に、一次側流路61の内面60が濡れた状態(これを濡れ状態という)を維持させることにより、濡れ乾きが繰り返されることを抑制する。
【0046】
具体的には、第1実施形態では、改質装置4に供給する水蒸気の改質装置4に供給する原燃料ガスに対する比率R1を、所定比率R10以上として、露点T1を所定露点T10以上とすることにより濡れ状態を発生させる。
【0047】
第1実施形態では、改質装置4に供給する水蒸気の単位時間当たりの量を、流量調整弁44で調整したりすることにより、調整する。また、改質装置4に供給する原燃料ガスの単位時間当たりの量を、流量調整弁43で調整したりすることにより、調整する。なお、改質装置4に供給する水蒸気および原燃料ガスの単位時間当たりの量は、流量調整弁43、44で調整しなくてもよい。例えば、水蒸気発生器5で発生させる水蒸気の単位時間当たりの量を調整することにより、改質装置4に供給する水蒸気の単位時間当たりの量を調整してもよい。
【0048】
また、所定比率R10は、排気ガスの露点T1が所定露点T10となる比率R1である。ここで、所定露点T10とは、一次側流路61を通流する排気ガスの温度(特に出口温度)である。
【0049】
第1実施形態では、熱交換器6に、一次側流路61の内面60の濡れ状態を検知する濡れ状態検知部63が設けられている。濡れ状態検知部63は、例えば2本の電極を備えて液体が付着した場合に液体を介して電極間に流れる電流を検知するものや、発光部および受光部を備えて液体の有無を光学的に検知するもの等、様々な公知のものが適宜利用可能である。濡れ状態検知部63が設けられることにより、一次側流路61の内面60に濡れ状態が生じていることが確実に分かる。なお、濡れ状態検知部63は設けられなくてもよい。
【0050】
第1実施形態では、燃料電池システム1自体は既存のものと同様のものを利用することができる。
【0051】
第1実施形態の燃料電池システム1の運転方法にあっては、燃料電池2の運転時に一次側流路61の内面60が濡れ状態となるように運転する。
【0052】
具体的には、内面60が濡れ状態となっていない場合、ガス供給管41に設けられる流量調整弁43の開度を小さくするとともに水蒸気供給管42に設けられる流量調整弁44の開度を大きくする。
【0053】
また、一次側流路61の内面60が濡れ状態となっている場合、現状を維持すればよいが、さらに一次側流路61の内面60が濡れた状態とするには、ガス供給管41に設けられる流量調整弁43の開度をさらに小さくするとともに水蒸気供給管42に設けられる流量調整弁44の開度をさらに大きくする。
【0054】
なお、流量調整弁43の開度を小さくするとともに流量調整弁44の開度を大きくするのではなく、流量調整弁43の開度を小さくするのみか、あるいは、流量調整弁44の開度を大きくするのみであってもよい。
【0055】
このような燃料電池システム1の運転方法により、内面60が常に濡れ状態となり、内面60の濡れ乾きが繰り返されることに起因する、内面60の腐食による劣化を抑制することができる。
【0056】
次に、第2実施形態について、
図2に基いて説明する。第2実施形態は、第1実施形態の変形例であり、大部分において同じであるため、同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
【0057】
第2実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態の構成(
図1参照)に加えて、制御部12を備える。
【0058】
制御部12は、例えばマイクロコンピュータを有し、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することで、各要素の動作を制御するもので、公知のものが適宜利用可能であり、詳細な説明は省略する。
【0059】
制御部12は、濡れ状態検知部63からのデータを受信し、一次側流路61の内面60の濡れ状態を把握することができる。制御部12は、ガス供給管41に設けられる流量調整弁43および水蒸気供給管42に設けられる流量調整弁44を制御することができる。
【0060】
制御部12は、濡れ状態検知部63のデータを基に、内面60が濡れ状態でない場合に、ガス供給管41に設けられる流量調整弁43および水蒸気供給管42に設けられる流量調整弁44の開度を変化させて、濡れ状態を発生させるように制御する。このときの制御は、例えば、ガス供給管41に設けられる流量調整弁43の開度を小さくするとともに水蒸気供給管42に設けられる流量調整弁44の開度を大きくしていき、これを濡れ状態検知部63のデータを基にフィードバックする制御である。
【0061】
第2実施形態では、流量調整弁43、流量調整弁44、制御部12および濡れ状態検知部63が、一次側流路61の内面60を濡れ状態とする濡れ発生手段8を構成する。さらに具体的には、第2実施形態における濡れ発生手段8は、改質装置4に供給する水蒸気の改質装置4に供給する原燃料ガスに対する比率R1を所定比率R10以上として露点T1を所定露点T10以上とする露点調節手段81である。
【0062】
濡れ発生手段8により、自動的に一次側流路61の内面60を濡れ状態とすることができる。
【0063】
また、このような露点調節手段81により濡れ発生手段8を構成することができる。
【0064】
なお、第2実施形態では、改質装置4に供給する水蒸気および原燃料ガスの単位時間当たりの量は、流量調整弁43、44で調整しているが、これに限定されない。例えば、水蒸気発生器5で発生させる水蒸気の単位時間当たりの量を直接調整してもよい。
【0065】
次に、第3実施形態について、
図3、
図4に基いて説明する。第3実施形態は、第1実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
【0066】
第1実施形態では、改質装置4に供給する水蒸気の改質装置4に供給する原燃料ガスに対する比率R1を所定比率R10以上として露点T1を所定露点T10以上とすることにより、濡れ状態を発生させていた。
【0067】
これに対し、第3実施形態では、(1)熱交換器6の二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を所定冷却水温度T20以下とするか、または、(2)二次側流路62に導入する冷却水の流量F1を所定流量F10以上として、一次側流路61の温度T3を所定流路温度T30以下とすることにより、濡れ状態を発生させるものである。
【0068】
第3実施形態の燃料電池システム1は、
図3に示すように、第1実施形態の構成に加えて、温度検知部64、流量調整弁74、給水路75、流量調整弁76、流量検知部77および温度検知部78を備えている。
【0069】
温度検知部64は、熱交換器6の一次側流路61の途中に設けられ、一次側流路61の排気ガスの温度を検知する。
【0070】
流量調整弁74は、循環路72の途中に設けられ、循環路72を通流する冷却水の流量F1を調整する。
【0071】
給水路75は、その上流端が水道70に接続され、下流端が循環路72の貯湯タンク71のすぐ下流側に接続される。なお、給水路75の上流端は、水道70ではなく、他の給水源に接続されてもよい。
【0072】
流量調整弁76は、給水路75の途中に設けられ、給水路75を通流する水道70からの水の量を調整したり水道70からの水の供給および供給停止を切り替えたりする。
【0073】
流量検知部77は、循環路72の途中に設けられ、循環路72を通流する冷却水の流量F1を検知する。
【0074】
温度検知部78は、循環路72の熱交換器6のすぐ上流側に設けられ、熱交換器6の二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を検知する。
【0075】
上述した(1)熱交換器6の二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を所定冷却水温度T20以下として、一次側流路61の温度T3を所定流路温度T30以下とすることにより、濡れ状態を発生させる場合について説明する。
【0076】
この場合、流量調整弁76により水道70からの水を循環路72に通流させて、貯湯タンク71からの湯に混合させ、二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を調整して、温度T2を所定冷却水温度T20以下とする。ここで、所定冷却水温度T20は、熱交換器6における熱交換により、一次側流路61の温度T3が所定流路温度T30となる温度である。また、所定流路温度T30は、一次側流路61を通流する排気ガスが結露して、内面60が濡れ状態となる温度である。なお、これらの温度T2、所定冷却水温度T20、温度T3および所定流路温度T30は、具体的に求める必要はなく、最終的に内面60が濡れ状態となればよい。
【0077】
このようにすることで、内面60に濡れ状態を発生させることができる。
【0078】
また、上述した(2)熱交換器6の二次側流路62に導入する冷却水の流量F1を所定流量F10以上として、一次側流路61の温度T3を所定流路温度T30以下とすることにより、濡れ状態を発生させる場合について説明する。
【0079】
この場合、流量調整弁74の開度を大きくしたりして調整し、二次側流路62に導入する冷却水の流量F1を所定流量F10以上とする。冷却水の流量F1が増加すると、熱交換器6において熱交換される熱量が増加し、一次側流路61の温度T3が低下する。ここで、所定流量F10は、熱交換器6における熱交換により、一次側流路61の温度T3が所定流路温度T30となる温度である。また、所定流路温度T30は、上述したように、一次側流路61を通流する排気ガスが結露して、内面60が濡れ状態となる温度である。なお、これらの流量F1、所定流量F10、温度T3および所定流路温度T30は、具体的に求める必要はなく、最終的に内面60が濡れ状態となればよい。
【0080】
このようにすることで、内面60に濡れ状態を発生させることができる。
【0081】
第3実施形態の燃料電池システム1の運転方法にあっても、第1実施形態の燃料電池システム1の運転方法と同様に、内面60の腐食による劣化を抑制することができる。
【0082】
なお、温度検知部64は、熱交換器6の一次側流路61の出口付近に設けられ、一次側流路61を通流する排気ガスの出口温度を検知するのが好ましいが、特に温度検知部64が一次側流路61の出口付近に設けられなくてもよい。また、温度検知部64は設けられなくてもよい。
【0083】
次に、第4実施形態について、
図4に基いて説明する。第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、大部分において同じであるため、同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
【0084】
第4実施形態の燃料電池システム1は、第3実施形態の構成(
図3参照)に加えて、制御部12を備える。
【0085】
制御部12は、給水路75に設けられる流量調整弁76を制御することができる。制御部12は、濡れ状態検知部63からのデータを受信し、一次側流路61の内面60の濡れ状態を把握することができる。制御部12は、温度検知部64からのデータを受信し、一次側流路61を通流する排気ガスの温度を把握することができる。制御部12は、温度検知部78からのデータを受信し、二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を把握することができる。
【0086】
制御部12は、濡れ状態検知部63のデータを基に、内面60が濡れ状態でない場合に、給水路75に設けられる流量調整弁76の開度を変化させて、濡れ状態を発生させるように制御する。このときの制御は、例えば、流量調整弁76の開度を大きくしていき、これを濡れ状態検知部63のデータを基にフィードバックする制御である。これにあたり、温度検知部64から得られる一次側流路61を通流する排気ガスの温度や、温度検知部78から得られる二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を利用してフィードバック制御を行ってもよい。
【0087】
第4実施形態では、少なくとも流量調整弁76、制御部12および濡れ状態検知部63が、一次側流路61の内面60を濡れ状態とする濡れ発生手段8を構成する。さらに具体的には、第4実施形態における濡れ発生手段8は、熱交換器6の二次側流路62に導入する冷却水の温度T2を所定冷却水温度T20以下として一次側流路61の温度T3を所定流路温度T30以下とすることにより濡れ状態を発生させる流路温度調節手段82である。
【0088】
濡れ発生手段8により、第2実施形態と同様に、自動的に一次側流路61の内面60を濡れ状態とすることができる。
【0089】
また、このような流路温度調節手段82により濡れ発生手段8を構成することができる。
【0090】
次に、第5実施形態について、
図5に基いて説明する。第5実施形態は、第3実施形態のさらなる変形例であり、大部分において同じであるため、同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
【0091】
第5実施形態の燃料電池システム1は、第3実施形態の構成(
図3参照)に加えて、制御部12を備える。
【0092】
制御部12は、循環路72に設けられる流量調整弁74を制御することができる。制御部12は、濡れ状態検知部63からのデータを受信し、一次側流路61の内面60の濡れ状態を把握することができる。制御部12は、温度検知部64からのデータを受信し、一次側流路61を通流する排気ガスの温度T3を把握することができる。制御部12は、流量検知部77からのデータを受信し、二次側流路62に導入する冷却水の流量F1を把握することができる。
【0093】
制御部12は、濡れ状態検知部63のデータを基に、内面60が濡れ状態でない場合に、循環路72に設けられる流量調整弁74の開度を変化させて、濡れ状態を発生させるように制御する。このときの制御は、例えば、流量調整弁74の開度を大きくしていき、これを濡れ状態検知部63のデータを基にフィードバックする制御である。これにあたり、温度検知部64から得られる一次側流路61を通流する排気ガスの温度や、流量検知部77から得られる二次側流路62に導入する冷却水の流量F1を利用してフィードバック制御を行ってもよい。
【0094】
第5実施形態では、少なくとも流量調整弁74、制御部12および濡れ状態検知部63が、一次側流路61の内面60を濡れ状態とする濡れ発生手段8を構成する。さらに具体的には、第5実施形態における濡れ発生手段8は、熱交換器6の二次側流路62に導入する冷却水の流量F1を所定流量F10以上として一次側流路61の温度T3を所定流路温度T30以下とすることにより濡れ状態を発生させる流路温度調節手段82である。
【0095】
濡れ発生手段8により、第2実施形態および第4実施形態と同様に、自動的に一次側流路61の内面60を濡れ状態とすることができる。また、このような流路温度調節手段82により濡れ発生手段8を構成することができる。
【0096】
次に、第6実施形態について、
図6に基いて説明する。第6実施形態は、第1実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
【0097】
第1実施形態では、改質装置4に供給する水蒸気の改質装置4に供給する原燃料ガスに対する比率R1を所定比率R10以上として露点T1を所定露点T10以上とすることにより、濡れ状態を発生させていた。
【0098】
これに対し、第6実施形態では、熱交換器6の一次側流路61に液体の水を供給することにより濡れ状態を発生させるものである。
【0099】
第6実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態の構成(
図1参照)に加えて、水供給手段83を備えている。
【0100】
水供給手段83は、熱交換器6の一次側流路61の内面60に液体の水を供給する。具体的には、水供給手段83は、一次側流路61内に設けられるノズルと、外部からノズルに水を供給する水供給路とを有する。
【0101】
第6実施形態の燃料電池システム1の運転方法にあっても、第1実施形態の燃料電池システム1の運転方法と同様に、内面60の腐食による劣化を抑制することができる。
【0102】
次に、第7実施形態について、
図7に基いて説明する。第7実施形態は、第6実施形態の変形例であり、大部分において同じであるため、同じ部分については同符号を付して説明を省略する。
【0103】
第7実施形態の燃料電池システム1は、第6実施形態の構成(
図6参照)に加えて、制御部12を備える。
【0104】
制御部12は、水供給手段83を制御して、水供給手段83から一次側流路61の内面60に供給する水の量を調整することができる。制御部12は、濡れ状態検知部63からのデータを受信し、一次側流路61の内面60の濡れ状態を把握することができる。
【0105】
制御部12は、濡れ状態検知部63のデータを基に、内面60が濡れ状態でない場合に、水供給手段83から一次側流路61の内面60に水を供給するように制御する。このときの制御は、例えば、濡れ状態検知部63のデータを基に、内面60の濡れ状態が発生していない場合に水供給手段83から水を供給し、内面60の濡れ状態が発生している場合に水供給手段83から水を供給しないようにする制御である。
【0106】
第7実施形態では、少なくとも水供給手段83、制御部12および濡れ状態検知部63が、濡れ発生手段8を構成する。
【0107】
濡れ発生手段8により、第2実施形態、第4実施形態および第5実施形態と同様に、自動的に一次側流路61の内面60を濡れ状態とすることができる。
【0108】
また、このような水供給手段83により濡れ発生手段8を構成することができる。
【0109】
なお、第1実施形態〜第7実施形態では、燃料電池2は高分子電解質形燃料電池であったが、固体酸化物形燃料電池等、他の形の燃料電池であってもよい。この場合、燃料電池システム1を運転するにあたって、運転条件(特に温度条件)が高分子電解質形燃料電池の場合と異なるため、他の形の燃料電池に合わせた運転条件に変更することにより、第1実施形態と同じ要領での運転が可能である。
【0110】
なお、第1実施形態〜第7実施形態では、コジェネレーションシステム10において、冷却水として貯湯タンク71内の水を、直接、排気ガスと熱交換させているが、冷却水として、貯湯タンク71内の水ではなく、別の媒体を用いてもよい。