【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の目的は、最初の美容処置の美容効果を長引かせ、および高めるために、単独の美容処置として、またはPRP注射処置もしくは美容レーザー処置などの最初の美容処置後に、皮膚に局所的にPRPを適用することを可能にするスキンケア製品を提供することである。
【0010】
第一の態様において、本発明は対象の皮膚および/または毛髪の美容的外観を改善する方法を提供し、方法は、
(a)対象からのPRP試料を提供すること、
(b)美容上許容される担体を提供すること、
(c)PRPの一部分を美容上許容される担体の一部分に混合して局所組成物を形成すること、
(d)この局所組成物を対象の皮膚の領域に適用すること、
(e)ステップ(c)と(d)を繰り返すことを含む。
【0011】
ステップcおよびdは、最高8日間、毎日繰り返してもよい。8日間後に、新鮮なPRPが対象から供給されてこの処置を継続できる。本方法の利点は、PRPの一部分が、毎日皮膚に適用する直前に活性化剤と混合されることである。これは、増殖因子が血小板内に保持されることを意味し、これによって活性化剤がPRPと混合されるまで、増殖因子を劣化から防ぐ。増殖因子は次いで血小板から組成物中に放出される。本方法の利点は、皮膚への適用の直前に血小板から放出されたばかりの新鮮な増殖因子を毎日用いる処置が可能になることである。これらの利点は、毎日対象からの新しいPRP試料を供給する必要なしに提供される。したがって、対象は、毎日新しく活性化されるPRPを用いて、8日間自宅で処置を続けることができる。
【0012】
様々な著者らは、創傷治癒および美容手法での患者自身の血漿の使用を論じており、この分野においていくつかの用語の使用にばらつきおよび矛盾がある。本出願では、PRPとF2という用語は、血小板をより多く含む血漿のより豊富な画分を述べるために用い、ならびにPPPとF1という用語は、血小板をより少なく含む血漿のより少ない画分を述べるために用いる。これを
図27〜29に示す。本明細書に記載の方法は、好ましくは、血漿のPRP画分を用いて行うことができる。より多くの血小板が増殖因子と皮膚の促進因子のより豊富な供給源を提供するので、これは有利である。
【0013】
本出願の用途と対照的に、他の著者らは、PRPという用語を、血小板に富む血漿の画分だけでなく血液の血漿画分全体を述べるために用いている。
【0014】
活性化剤は、局所組成物が対象の皮膚に適用される前の4時間未満内に、3時間未満内に、2時間未満内に、1時間未満内に、30分未満内に、20分未満内に、10分未満内に、または8分未満内に、PRPと混合されてよい。
【0015】
好ましくは、活性化剤は局所組成物が対象の皮膚に適用される直前にRPRと混合されてよい。直前とは、数分前または数秒前を意味し、例えば、直前は、混合物を皮膚に適用する前の5分未満に、2分未満に、1分未満に、または30秒未満にPRPが活性化剤と混合されることを意味してよい。増殖因子が皮膚に適用される前に劣化せず組成物中に増殖因子が高レベルで存在するように、組成物を皮膚に適用する直前にPRP中の血小板が活性化されて増殖因子を放出し得るので、これは有利である。
【0016】
美容上許容される担体は活性化剤を含んでよく、および局所組成物は、活性化剤を含む美容上許容される担体をPRPと混合した直後に対象の皮膚の領域に適用されてよい。
【0017】
局所組成物は、PRPとの活性化剤の混合の4時間未満内に、3時間未満内に、2時間未満内に、1時間未満内に、30分未満内に、20分未満内に、10分未満内に、または8分未満内に対象の皮膚の領域に適用されてよい。
【0018】
好ましくは、美容上許容される担体は、局所組成物が皮膚に適用される直前に、PRPと混合されてよい。直前とは、数分前または数秒前を意味し、例えば、直前は、混合物を皮膚に適用する前の5分未満に、2分未満に、1分未満にまたは30秒未満にPRPが美容上許容される担体と混合されることを意味してよい。増殖因子が皮膚に適用される前に劣化せず組成物中に増殖因子が高レベルで存在するように、組成物を皮膚に適用する直前にPRP中の血小板が活性化されて増殖因子を放出し得るので、これは有利である。
【0019】
PRPは活性化剤を含む美容上許容される担体と別々に保管されてよく、およびPRPは、混合物を皮膚に適用する直前に活性化剤を含む美容上許容される担体と混合されてよい。
【0020】
一部の実施形態において、美容上許容される担体は活性化剤を含まなくてもよく、ならびに活性化剤は、混合物を皮膚に適用する直前にPRPおよび美容上許容される担体と混合されてよい。
【0021】
活性化剤が美容上許容される担体中に存在しない場合、PRPは美容上許容される担体と、それが生成されてから間もなく混合されて、PRPと美容上許容される担体とを含む組成物として保管されてもよい。美容上許容される担体が、PRPおよび/またはPRP中の血小板を安定させまたは保持する成分を含み得るので、これは有利である。活性化剤は、美容上許容される担体とPRPとを含む組成物と別々に保管されてよい。この活性化剤は、組成物を皮膚に適用する直前に組成物と混合されてよい。
【0022】
ステップ(e)またはステップ(c)および(d)は、少なくとも一日1回、少なくとも一日2回、少なくとも一日3回、少なくとも一日4回または少なくとも一日6回繰り返してよい。
【0023】
ステップ(e)またはステップ(c)および(d)は、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間または少なくとも10日間、繰り返してよい。
【0024】
ステップ(e)は、少なくとも一日1回少なくとも8日間、繰り返してよい。
【0025】
活性化剤はコラーゲンであってよい。コラーゲンは皮膚内に自然に生じ、したがって皮膚内で有害反応を引き起こす可能性が低いので、これは有利である。活性化剤は、塩化カルシウムでなくてよい。塩化カルシウムは有害反応を生じることがありおよび/または皮膚を刺激することがあるので、これは有利である。
【0026】
本方法は、PRP注射処置または美容レーザー皮膚処置などの別の美容処置を用いて処置された対象の皮膚の領域で行われてよい。
【0027】
本方法は、ステップ(c)の前後に、対象の皮膚の1つまたは複数の領域中に多血小板血漿の一部を注射するさらなるステップ(f)を含んでよい。本方法が対象の皮膚のある領域中にPRPを注射することと共に用いられる場合、局所組成物が対象の皮膚の少なくとも同じ領域に適用される。本方法が対象の皮膚のある領域中にPRPを注射することと共に用いられる場合、局所組成物が、PRP注射が行われた直後または1時間後に対象の皮膚の少なくとも同じ領域に適用され、次いで局所組成物は皮膚の同じ領域にその後繰り返して適用され得る。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、対象の皮膚および/または毛髪の外観を改善するための方法が提供され、方法は、
(g)対象からの多血小板血漿の試料を提供すること、
(h)多血小板血漿の第1の部分を対象の皮膚の1つまたは複数の領域中に注射すること、
(i)多血小板血漿の第2の部分を美容上許容される担体と組み合わせて局所組成物を提供すること、
(j)ステップ(h)で多血小板血漿が注射された対象の皮膚の1つまたは複数の領域にステップ(i)からの局所組成物を適用すること
を含む。
【0029】
多血小板血漿は、血小板を他の血液細胞から分離するために個人からの血液試料を遠心分離することおよび高濃度の血小板と共に血漿を含む画分を取得することによって提供される。
【0030】
PRPは、10,000血小板/μLを超える、10,000血小板/μLを超える、10,000血小板/μLを超える、10,000血小板/μLを超える、10,000血小板/μLを超える、100,000血小板/μLを超える、500,000血小板/μLを超えるまたは900,000血小板/μLを超える血小板を含み得る。PRPは、(PDGFaa)、(PDGFbb)、(PDGFab)などの血小板由来増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、(TGF−β)、TGF−β2、血管内皮増殖因子(VEGF)および上皮増殖因子(EGF)を含んでよい。
【0031】
PRPは自己由来であってよく、すなわち対象から採取され、同じ対象に注射して戻されてよい。それはドナーとレシピエントの間の感染症伝播のいかなるリスクも避け、および異組織または異なるABO血液抗原に対する反応の可能性も回避するので、これは有利である。自己由来PRPは、アレルギー反応または有害反応も回避する。
【0032】
局所組成物が適用される皮膚の領域は、体の任意の部分上であってよい。具体的には、局所組成物が適用される皮膚の領域は、顔面、頭皮、頸部、胸部、両手、両腕、両脚、腹部または臀部上であってよい。顔面および頸部など皮膚の老化が心配を引き起こす領域に局所組成物を適用することは、有利でもある。組成物を頭皮に適用することも有利である。なぜならそれは毛包の寿命を延ばし、髪の成長を促進できるからである。頭皮上での使用の場合、局所組成物はヘアジェル、ヘアローションまたは洗い流さないコンディショナーであってよい。局所組成物は、頭皮中へのPRP注射後の使用のために調剤されてよい。局所組成物は、他の育毛処置と共に使用するために調剤されてよい。
【0033】
皮膚中に注射される多血小板血漿の部分は、皮膚中への注射の前に塩化カルシウムまたはコラーゲンなどの活性化剤と混合されることによって活性化され得る。塩化カルシウムまたはコラーゲンをPRPに加えることにより、血小板は大部分の増殖因子を極めて迅速に放出する。PRPが注射される領域において高濃度の増殖因子を供給するので、これは有利である。
【0034】
美容上許容される担体と混合するように保持されるPRPの部分は、それに加えられる塩化カルシウムまたはコラーゲンなどの活性化剤を有してよい。
【0035】
活性化剤はコラーゲンであってよい。コラーゲンは皮膚内に自然に生じ、したがって皮膚内で有害反応を引き起こす可能性が低いので、これは有利である。
活性化剤は、塩化カルシウムでなくてよい。塩化カルシウムが有害反応を生じることがありおよび/または皮膚を刺激することがあるので、これは有利である。
【0036】
美容上許容される担体と混合するために保持されるPRPの部分は、それに加えられる活性化剤を有していなくてよい。塩化カルシウムは有害反応を生じることがありおよび/または皮膚を刺激することがあるので、これは有利である。血小板が活性化されるまで増殖因子は血小板内に保持されるので、これはさらに有利である。
【0037】
活性化剤を含まないPRPの部分は、皮膚に適用される直前に、例えば皮膚に適用される前に、活性化剤を含む美容上許容される担体に加えられてよい。活性化剤を含まないPRPの一部分と、活性化剤を含む美容上許容される担体の一部分とを、皮膚に適用する直前に混合することは有利である。例えば、それらは、皮膚に適用する数秒前、または最高2分前までに混合されてよい。これは、増殖因子が皮膚に適用されるときにできる限り活性であるように、美容組成物が皮膚に適用される直前に増殖因子が血小板から放出されることを確実にする。PRPは活性化剤なしで数日間、例えば少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間または少なくとも2週間、保管されてよく、混合後すぐ血小板に増殖因子を放出させる活性化剤を含む美容上許容される担体に次いで加えられてよい。PRPは室温で、例えば約22℃で保管されてよい。PRPは冷蔵庫で(例えば約4℃で)保管されない。なぜなら冷蔵は、活性化剤と混合されるときではなくむしろ保管中に血小板を活性化するからである。PRPは凍結保管もできるが、血小板が凍結によって損傷を受け、およびPRPが解凍された直後に血小板は増殖因子を放出する。凍結を用いる場合、PRPは小分けして凍結され、増殖因子の分解を回避するために各小分け分が皮膚への適用直前に解凍される。PRPは、数週間または数ヵ月間凍結保管できる。解凍過程が活性化剤として作用するので増殖因子が血小板から放出され得るため、凍結PRPは解凍される際、活性化剤と混合されて直ちに皮膚に適用される。
【0038】
美容上許容される担体は、活性化剤を含んでよい。美容上許容される担体は、塩化カルシウムを含んでよい。美容上許容される担体は、コラーゲンを含んでよい。美容上許容される担体は、塩化カルシムよりは皮膚への刺激が少なく、もしくは有害反応を引き起こすことが少ないコラーゲン、可溶性コラーゲン、または加水分解コラーゲンなどの活性化剤を含んでよい。コラーゲンは皮膚に存在し、したがって塩化カルシウムよりもより自然の活性化剤を提供する。コラーゲンはより穏やかな活性化剤として作用でき、血小板から増殖因子を塩化カルシウムが作用するよりも遅い速度で放出させる。したがって、コラーゲンは、本発明の美容上許容される担体での使用に好適である。局所組成物は、塩化カルシウムでない活性化剤を含んでよい。
【0039】
活性化剤はコラーゲン、可溶性コラーゲンまたは加水分解コラーゲンであってよく、および動物コラーゲン、ウシ由来コラーゲンまたは合成コラーゲンなどの任意の供給源由来であってよい。
【0040】
有利には、美容上許容される担体は活性剤を含んでよく、およびRPRと別々に保管されてよい。美容上許容される担体の一部分は、組成物が皮膚に適用される前の1時間内に、30分内に、20分内に、または10分内にPRPの一部分と混合されてよい。好ましくは、美容上許容される担体一部分は、PRPの一部分と混合され、混合直後、または混合後数秒内から最高2分までに皮膚に適用されてよい。美容上許容される担体が活性化剤を含む場合、この活性化剤は塩化カルシウムまたはコラーゲンであってよい。コラーゲンは、皮膚の刺激を起こさないので、美容上許容される担体に含まれる有利な活性化剤であり得る。
【0041】
PRPおよび美容上許容される担体の各部分は、1回の適用に必要最低限の量であってよい。必要最低限のPRPおよび美容上許容される担体が1回の適用分のために混合され、混合物は直ちに、例えば数秒内に、または最高2分までに皮膚に適用されるので、これは有利である。これは、増殖因子が皮膚への適用の直前にPRPから放出され、したがってそれらは皮膚に適用されるとき新しくかつ活性であることを意味する。PRPおよび美容上許容される担体の部分は、容積がほぼ同じであってよく、したがってこれらの2つの成分の1:1の混合物を生成するのは簡単である。
【0042】
美容上許容される担体は、クリーム、ゲル、血清、バーム、サンクリーム、アフターサンクリーム、ファンデーション、うす付きカバークリーム、着色サンクリーム、緑色着色アンチレッドネススージングクリーム、スカルプセラム、溶液、懸濁液、乳濁液、軟膏、フォーム、ペースト、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有クレンジングオイルまたはスプレーを含む、またはこれらから成ってよい。
【0043】
美容上許容される担体は、有利にはクリーム、ゲル、ローションまたは血清であってよい。
【0044】
美容上許容される担体は、多血小板血漿の皮膚中への浸透を増加させるために少なくとも1種の成分を含んでよい。皮膚中への浸透を増加させる少なくとも1種の成分を含む組成物は、血清であり得る。血清は、皮膚中への浸透量を増加させる稠度、脂質含有量および/または疎水性を有してもよい。
【0045】
美容上許容される担体は、包帯、絆創膏、ガーゼまたはフェイシャルマスクを含む、またはこれらから成ってよい。PRPは、PRPが注射された後に皮膚に適用されるフェイシャルマスク中に浸漬されてよい。これにより、PRPが注射された部位での皮膚の刺激、むくみ、痛みおよび発赤を減少させることができる。
【0046】
美容上許容される担体は、表4からの成分および表5からの少なくとも1種の保存料を含んでよい。
【0047】
美容上許容される担体は、少なくとも1種の湿潤剤、少なくとも1種の皮膚軟化剤および少なくとも1種の乳化剤を含んでよい。
【0048】
美容上許容される担体は、塩化カルシウムまたはコラーゲンと混合されない多血小板血漿を保存および安定するのに好適であり得る。
【0049】
美容上許容される担体は、活性化剤を含まなくてよい。美容上許容される担体は、塩化カルシウムを含まなくてよい。美容上許容される担体は、活性化剤を含んでよい。
【0050】
美容上許容される担体は、血小板の活性化剤として作用するために適量のコラーゲンを含んでよい。
【0051】
美容上許容される担体は、塩化カルシウムを含まなくてよい。美容上許容される担体は、コラーゲン以外のどんな活性化剤も含まなくてよい。
【0052】
美容上許容される担体は、皮膚中への多血小板血漿または増殖因子の浸透を増加させるために少なくとも1種の成分を含んでよい。
【0053】
美容上許容される担体は、表1または表2からの1種または複数種の成分をさらに含んでよい。
【0054】
美容上許容される担体は、単球、幹細胞、遺伝子治療生成物、ビタミン、パルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロール、ナトリウムアスコビルホスフェート、D−パンテノール、ペプチド、組換え型増殖因子、ヒトと同一の微粒子状ホルモン、アミノ酸、植物抽出物、抗酸化剤、リポ酸、DMAE、コラーゲン、GAG、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、微量元素、ミネラル、タンパク分解酵素、セラミド、多糖、海藻および海生抽出物から選択される1種または複数種の成分をさらに含んでもよい。
【0055】
別の態様において、本発明は、美容上許容される担体と多血小板血漿とを含む美容組成物を提供する。10mLと20mLの間のPRPを美容組成物で50mLの最終量に希釈できる。
【0056】
美容組成物中の多血小板血漿は、組成物の総重量の0.1重量%と50重量%の間、1重量%と50重量%の間、2重量%と30重量%の間、4重量%と10重量%の間または30重量%と50重量%の間であってよい。
【0057】
PRPは、活性化剤を加えなくてよい。美容上許容される担体は、活性化剤を含まなくてよい。美容組成物は、活性化剤を含まなくてよい。
【0058】
美容組成物は、少なくとも1日、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも2週間または少なくとも3週間の間活性な増殖因子を含んでよい。
【0059】
本発明の方法において、PRPが注射された皮膚の領域に美容組成物を適用するステップは、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回または少なくとも9回繰り返すことができる。
【0060】
本発明の方法において、PRPが注射された皮膚の領域に美容組成物を適用するステップは、少なくとも毎日1回、少なくとも毎日2回、少なくとも毎日3回、少なくとも毎日4回繰り返すことができる。PRPが注射された皮膚の領域に美容組成物を適用するステップは、少なくとも毎日1回または少なくとも毎日2回、最高8日間繰り返すことができる。
【0061】
本発明の方法において、美容組成物を皮膚の領域に適用するステップは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間または少なくとも8週間繰り返すことができる。
【0062】
PRP注射処置の後、PRPを含む美容組成物を適用することで痛み、発赤、むくみまたは紫斑を即座に減少させることができるので、これは有利である。PRP注射処置の後、PRPを含む美容組成物を適用することでPRP注射処置の美容効果を長引かせるおよび/または高めることができるので、これも有利である。
【0063】
さらなる態様において、本発明は、本発明の方法を実行する際の使用に好適なキットを提供する。
【0064】
キットは、PRPを1日またはそれより長く保管するのに好適なチャンバーを備える1つまたは複数の容器を含んでよい。1つまたは複数の容器は無菌であってよい。1つまたは複数のチャンバーは、滅菌条件下でPRPが容器中に導入され得るように配置されてよい。キットは、美容上許容される担体の1つまたは複数の部分を含んでよい。キットは、PRP容器からのPRPの一部分と、美容上許容される担体の一部分とを混合できるように配置されてよい。キットは、PRPの一部分と美容上許容される担体の一部分とが混合されてPRP組成物を提供しこの組成物が皮膚に適用できるように配置されてよい。
【0065】
美容上許容される担体が活性化剤を含み得るので、これは有利である。PRPの一部分と美容上許容される担体の一部分とが混合されると、PRPのその部分中の血小板が活性化され増殖因子を放出できる。容器中のPRPの残りは活性化されていないままであり、それが含有する増殖因子を保持できる。したがって、新たに活性化されるPRPが、数日間、毎日適用され得る。
【0066】
キットは、PRPを保管するのに好適な容器、活性化剤としてコラーゲンを含む一部分または複数部分の美容上許容される担体および使用説明書を含んでよい。使用者はPRPの一部分を美容上許容される担体の一部分と次いで混合して直ちにその混合物を皮膚に適用できる。PRPを保管する容器は、容器中への空気の流れを排除するように設計できる。PRPを保管する容器の内部は、無菌であってよい。
【0067】
例えば、キットは、コラーゲンを含む美容上許容される担体の一部分をそれぞれ含有する8個のアンプル、PRP用の容器および使用説明書を含んでよい。
【0068】
キットは、ミニ振動台/攪拌器およびその使用説明書をさらに含んでよい。
【0069】
血小板の寿命を延ばすためにPRPを撹拌しながら保管することが有利であるので、攪拌器は有利であり得る。撹拌しながら保管された血小板は、8日目には、撹拌せずに保管された血小板よりも多量の増殖因子を有する。室温での保管は血小板の保管期間を向上させ、および保管の8日目により多くの増殖因子があることを意味するので、キットは室温での保管にも適合できる。
【0070】
キットは、使用説明書をさらに含んでよい。使用説明書は、本発明の方法での使用であってよい。
【0071】
容器は無菌であってよい。容器は、容器中へ酸素を透過させるように配置されてよい。容器は、容器中へ酸素を透過させないように配置されてよい。キットは、少なくとも1つのチャンバー中の美容上許容される担体と、PRPの一部分を受け入れるように配置された少なくとも1つのチャンバーとを備える、本発明に従う容器を含んでよい。キットは、採血するための適切な器材、遠心分離される間に血液を保持するための適切な容器、血液からPRP画分を取り出すための適切な器材および/またはPRPを皮膚中に注射するための適切な器材をさらに含んでよい。
【0072】
別の態様において、本発明は、第1のチャンバーと第2のチャンバーとを含む容器を提供し、これらのチャンバーは第1のチャンバーの内容物および第2のチャンバーの内容物が容器から出る際に混合されるように配置されている。容器は無菌であってよい。第1のチャンバーおよび第2のチャンバーに含有される美容上許容される担体は、多血小板血漿を受け入れるように配置される。容器は無菌であってよい。PRPの一部分は容器の第2のチャンバー中に入れられてもよい。PRPは、使用者が美容組成物を適用する準備ができるまで、容器の第2のチャンバーに保管されてよい。容器が使用されると、第1のチャンバー中の美容上許容される担体の一部分および第2のチャンバー中のPRPの一部分は容器を出て、それらが容器から出ると混合されて美容上許容される担体とPRPとを含む美容組成物をもたらす。美容上許容される担体およびPRPは好適な比率で混合されて本発明の美容組成物をもたらす。美容上許容される担体は容器の第1のチャンバーに含有され、およびPRPは容器の第2のチャンバーに含有されてよい。担体が活性化剤、例えば塩化カルシウム、コラーゲンまたは別の活性化剤を含み得るので、これは有利である。PRPは容器のチャンバー中に残存し数日間活性化されなくてよく、したがって増殖因子はPRP中の血小板内部に残存する。美容組成物が必要とされるとき、容器が活性化され、担体がPRPと混合され得る。PRP中の血小板は、活性化剤を含む担体と混合されると、増殖因子を放出でき、したがって得られた美容組成物は高レベルの活性増殖因子を含み得る。増殖因子は、PRPが活性化剤を含む担体と混合されるときに放出されるまで数日間血小板内部で活性でいられるので、この配置は有利である。容器は、容器の使用ごとにPRPの一部分と担体の一部分が放出され得るように配置されてよい。PRPは、血液が対象から採取され容器の1つのチャンバー中に入れられた時点で調製され得る。PRPはしたがって必要とされるまで活性化されずに保管され、保管されたPRPの一部分だけが、毎日組成物が皮膚に適用される前に、活性化剤を含む担体と混合され得る。
【0073】
活性化剤を含まない美容上許容される担体は容器の第1のチャンバーに含有され、およびPRPは美容上許容される担体に加えられ得る。活性化剤は容器の第2のチャンバーに含有され得る。PRPを安定させおよび/またはPRP中の血小板内部の増殖因子を安定させる成分を担体が含むことができるので、これは有利である。活性化剤、例えば塩化カルシウム、コラーゲン、または別の活性化剤は容器の第2のチャンバーに含有されてもよい。PRPおよび美容上許容される担体は、容器のチャンバー中に残存でき、およびPRPは数日間活性化されないことが可能であり、そのため増殖因子はPRP中の血小板内部に残存する。美容組成物が必要とされるとき、容器は活性化され、ならびに活性化剤は美容上許容される担体およびPRPと混合され得る。PRP中の血小板は、活性化剤と混合されると増殖因子を放出し、したがって得られた美容組成物は高レベルの活性増殖因子を含み得る。PRPが活性化剤と混合されるときに放出されるまで増殖因子は、数日間血小板内部で活性でいられるので、この配置は有利である。PRPは生成された直後に美容上許容される担体と混合され、美容上許容される担体は活性化剤と混合されるまでPRPを安定化し保持できるので、これも有利である。美容上許容される担体と混合されたPRPの一部分および活性化剤の一部分が容器の使用ごとに放出され得るように、容器を配置できる。PRPは、血液が対象から採取され容器の1つのチャンバー中に美容上許容される担体と共に入れられた時点で調製され得る。PRPはしたがって必要とされるまで活性化されずに保管され、保管されたPRPの一部分だけが毎日組成物が皮膚に適用される前に、活性化剤と混合され得る。
【0074】
血小板の寿命を延ばし、それらの内部に増殖因子を保持するために、PRPを室温で保管することは有利である。PRPが撹拌されるように保管することも有利である。低酸素と最小限度の空気の流れと共にPRPを保管することはさらに有利である。混合物が皮膚に適用される直前に血小板から増殖因子が放出されるように、混合物を皮膚に適用する直前に活性化剤をPRPと混合することは、さらに有利である。キットは、空気を通さず無菌であるPRP用の保管容器を提供し、保管中に容器中のPRPを撹拌する器具を提供することによって、これらの特徴のすべてをもたらすように配置される。
容器は、室温での保管に適していてよい。活性化剤が美容上許容される組成物に含まれてもよく、したがって活性化剤は皮膚に適用する直前にPRPと混合され得る。
【0075】
ここで、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を例としてのみ以下に示す。