(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806609
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】電源制御装置、および、電源制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20201221BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
H02M7/48 L
H02P27/06
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-60871(P2017-60871)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-164372(P2018-164372A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 淳之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 淳平
(72)【発明者】
【氏名】内山 辰宏
【審査官】
佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/044243(WO,A1)
【文献】
特開2012−143056(JP,A)
【文献】
特開2015−196291(JP,A)
【文献】
特開2010−104187(JP,A)
【文献】
特開平02−087985(JP,A)
【文献】
特開2014−034097(JP,A)
【文献】
特開2001−218476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02P 3/00,27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の電源を制御する電源制御装置であって、
商用三相交流電源から供給された交流電力を直流電力に整流する整流回路と、
整流された前記直流電力を平滑化する平滑回路と、
平滑化された前記直流電力から、任意の周波数および任意の電圧の交流電力に変換して、モータ駆動電力としてモータに供給する逆変換回路と、
前記モータへの前記モータ駆動電力の供給を停止するためのモータ停止操作部と、
前記商用三相交流電源と前記整流回路との間に設けられ、前記商用三相交流電源と前記整流回路との間の接続と遮断とを切り換える電力遮断部と、
前記モータ停止操作部が操作されたときには、前記逆変換回路を前記モータへの前記モータ駆動電力の供給を停止するように制御するとともに、前記電力遮断部を前記商用三相交流電源と前記整流回路との間を接続するように制御して、前記平滑回路への電力の供給を継続する制御部と、
を有する、電源制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源制御装置であって、
前記逆変換回路の異常を検出する異常検出部を有し、
前記制御部は、前記逆変換回路の異常が検出されたときには、前記電力遮断部により前記商用三相交流電源から前記整流回路への前記交流電力の供給を遮断する、電源制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源制御装置であって、
前記商用三相交流電源から供給された前記交流電力を、規定された電圧の直流電力に変換して、制御電力として前記制御部に供給するとともに、停電時には前記平滑回路に蓄電された前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部に供給する制御電力供給部を有する、電源制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源制御装置であって、
前記平滑回路は、平滑コンデンサを有し、
前記制御電力供給部は、停電時には、前記平滑コンデンサに蓄電されている前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部に供給する、電源制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源制御装置であって、
前記産業機械は射出成形機である、電源制御装置。
【請求項6】
商用三相交流電源から供給された交流電力を直流電力に整流する整流回路と、
整流された前記直流電力を平滑化する平滑回路と、
平滑化された前記直流電力から、任意の周波数および任意の電圧の交流電力に変換して、モータ駆動電力としてモータに供給する逆変換回路と、
前記モータへの前記モータ駆動電力の供給を停止するためのモータ停止操作部と、
前記商用三相交流電源と前記整流回路との間に設けられ、前記商用三相交流電源と前記整流回路との間の接続と遮断とを切り換える電力遮断部と、
を有する産業機械の電源制御方法であって、
前記モータ停止操作部が操作されたときには、前記逆変換回路により前記モータへの前記モータ駆動電力の供給を停止するとともに、前記電力遮断部により前記商用三相交流電源と前記整流回路との間を接続して、前記平滑回路への電力の供給を継続する、電源制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電源制御方法であって、
前記産業機械は、前記逆変換回路の異常を検出する異常検出部を有し、
前記逆変換回路の異常が検出されたときには、前記電力遮断部により前記商用三相交流電源から前記整流回路への前記交流電力の供給を遮断する、電源制御方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電源制御方法であって、
前記産業機械は、前記産業機械を制御する制御部を有し、
前記商用三相交流電源から供給された前記交流電力を、規定された電圧の直流電力に変換して、制御電力として前記制御部に供給するとともに、停電時には前記平滑回路に蓄電された前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部に供給する、電源制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電源制御方法であって、
前記平滑回路は、平滑コンデンサを有し、
停電時には、前記平滑コンデンサに蓄電されている前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部に供給する、電源制御方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の電源制御方法であって、前記産業機械は射出成形機である、電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械の電源を制御する電源制御装置、および、電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、商用三相交流電源により供給された交流電力を整流器により整流して直流電力を出力し、直流リンクを介して供給された直流電力を逆変換器によって、所望の電圧および所望の周波数の三相交流電力に変換して、モータに供給するものが開示されている。直流リンクには、直流電力を蓄電する蓄電装置が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−023241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、オペレータにより非常停止ボタンが操作されると、商用三相交流電源と整流器との間に設けられた電磁接触器がオフの状態となり、商用三相交流電源から整流器に交流電力が供給されない状態となる。上記特許文献1の技術では、オペレータにより非常停止ボタンが操作されると、蓄電装置に十分に電力が蓄電されない状態となり、停電時に蓄電装置から電力を供給できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、非停電時において蓄電部である平滑回路に電力を蓄電することができる電源制御装置、および、電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、商用三相交流電源から供給された交流電力を直流電力に整流する整流回路と、整流された前記直流電力を平滑化する平滑回路と、平滑化された前記直流電力から、任意の周波数および任意の電圧の交流電力に変換して、モータ駆動電力としてモータに供給する逆変換回路と、前記モータへの前記モータ駆動電力の供給を停止するためのモータ停止操作部と、前記モータ停止操作部が操作されたときには、前記逆変換回路を前記モータへの前記モータ駆動電力の供給を停止するように制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非停電時において蓄電部である平滑回路に電力を蓄電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】制御装置によって行われるモータ電源装置の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
[電源回路の構成]
図1は本実施の形態の電源制御装置10の構成図である。この電源制御装置10は、商用三相交流電源12の交流電力を変換して、図示しない射出成形機を駆動するモータ14、図示しない射出ユニットのヒータ16、および、射出成形機を制御する制御装置18に電力を供給する回路である。
【0011】
電源制御装置10は、商用三相交流電源12、モータ電源装置20、制御電源装置22、および、ヒータ電源装置24を有している。商用三相交流電源12は、200[V]の三相交流電力を供給する。モータ電源装置20は、商用三相交流電源12から供給された三相交流電力を、制御装置18による制御にしたがって、所望の電圧および所望の周波数の三相交流電力であるモータ駆動電力に変換し、モータ駆動電力をモータ14に供給する。制御電源装置22は、商用三相交流電源12から供給された三相交流電力を、規定された電圧(例えば、24[V])の直流電力である制御電力に変換し、制御電力を制御装置18に供給する。ヒータ電源装置24は、商用三相交流電源12から供給された三相交流電力を、制御装置18による制御にしたがって、所望の電圧および所望の周波数の三相交流電力であるヒータ駆動電力に変換し、ヒータ駆動電力をヒータ16に供給する。
【0012】
モータ電源装置20は、電磁接触器30、AC−DCコンバータ回路32、直流リンク34、および、インバータ回路36を有している。電磁接触器30は、商用三相交流電源12とAC−DCコンバータ回路32との間に配置されている。電磁接触器30は、コイル30aが励磁状態であるときに、商用三相交流電源12とAC−DCコンバータ回路32との間を接続し(オン状態)、コイル30aが非励磁状態であるときに、商用三相交流電源12とAC−DCコンバータ回路32との間を遮断する(オフ状態)。コイル30aの励磁状態と非励磁状態との切り換えは、制御装置18からの制御信号に応じて行われる。
【0013】
AC−DCコンバータ回路32は、例えばダイオードから構成される全波整流回路であり、商用三相交流電源12から供給された三相交流電力を整流して、直流電力に変換する。直流リンク34は、AC−DCコンバータ回路32とインバータ回路36とを繋ぐ回路である。直流リンク34は平滑コンデンサ38を有し、平滑コンデンサ38によって、AC−DCコンバータ回路32において変換された直流電力の電圧を平滑して電圧のリップルを抑制する。
【0014】
インバータ回路36は、例えばIGBTおよび還流ダイオードから構成されるPWM回路であり、制御装置18によりPWM制御されることにより、平滑された直流電力を所望の周波数および所望の電圧の三相交流電力に変換し、この三相交流電力をモータ駆動電力としてモータ14に供給する。
【0015】
制御電源装置22は、AC−DCコンバータ回路40、DC−DCコンバータ回路42、および、切り替えスイッチ44を有している。AC−DCコンバータ回路40は、例えばダイオードから構成される全波整流回路であり、商用三相交流電源12から供給された三相交流電力を整流して、直流電力に変換する。AC−DCコンバータ回路40において変換された直流電力は、AC−DCコンバータ回路40とDC−DCコンバータ回路42との間を繋ぐ回路上に設けられた平滑コンデンサ46によって平滑され、電圧のリップルが抑制される。
【0016】
DC−DCコンバータ回路42は、例えばMOSFETおよびチョークコイルから構成されるチョッパ回路であり、平滑された直流電力の電圧を降圧して、規定された電圧の直流電力とし、制御電力として制御装置18に供給する。切り替えスイッチ44は、商用三相交流電源12が停電したことを検出する停電検出部50に接続している。切り替えスイッチ44は、停電検出部50から停電検出信号が入力されると、モータ電源装置20の直流リンク34と、DC−DCコンバータ回路42とを接続する。なお、停電検出部50から停電検出信号が入力されていないとき(非停電時)には、切り替えスイッチ44は、直流リンク34とDC−DCコンバータ回路42とを遮断している。
【0017】
なお、ヒータ電源装置24については、ここでは詳述しないが、モータ電源装置20とほぼ同様の構成を有している。
【0018】
制御装置18は、非常停止ボタン52、および、安全扉開放スイッチ54と接続している。非常停止ボタン52は、オペレータが射出成形機の異常等を検知したときに、オペレータにより操作される。オペレータにより非常停止ボタン52が操作されると、制御装置18はインバータ回路36のすべてのIGBTをオフにするようにインバータ回路36に指令を出力し、モータ14にモータ駆動電力が供給されないようにする。非常停止ボタン52は、オペレータが射出成形機の異常等を検知したときに限らず、射出成形機の消費電力を抑制するためや、保守作業時における安全の確保等のためにモータ14のみを停止させるときにも、オペレータにより操作されることがある。
【0019】
安全扉開放スイッチ54は、図示しない金型開閉機構部に設けられる安全扉の開放を検出するスイッチである。安全扉開放スイッチ54が安全扉の開放を検知すると、制御装置18はインバータ回路36のすべてのIGBTをオフにするようにインバータ回路36に指令を出力し、モータ14にモータ駆動電力が供給されないようにする。
【0020】
制御装置18は、インバータ回路異常検出部56と接続している。インバータ回路異常検出部56は、例えば、一部のIGBTがオン固着またはオフ固着し、インバータ回路36に異常が生じている状態を検出する。インバータ回路異常検出部56がインバータ回路36の異常を検知すると、制御装置18は電磁接触器30のコイル30aを非励磁状態として、商用三相交流電源12とAC−DCコンバータ回路32との間の接続を遮断する。
【0021】
[モータ電源制御]
図2は、制御装置18によって行われるモータ電源装置20の制御の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1では、制御装置18は、インバータ回路36に異常が発生しているか否かを判定し、インバータ回路36に異常が発生しているときにはステップS5へ移行し、インバータ回路36に異常が発生していないときにはステップS2へ移行する。制御装置18は、インバータ回路36に異常が発生しているか否かを、インバータ回路異常検出部56の検出信号に基づいて判定する。
【0022】
ステップS2では、制御装置18は、オペレータにより非常停止ボタン52が操作されている、または、安全扉が開放されているか否かを判定し、非常停止ボタン52が操作されているとき、または、安全扉が開放されているときには、ステップS4へ移行し、非常停止ボタン52が操作されておらず、かつ、安全扉が開放されていないときには、ステップS3へ移行する。制御装置18は、非常停止ボタン52が操作されているか否かを、非常停止ボタン52からの信号に基づいて判定する。制御装置18は、安全扉が開放されているか否かを、安全扉開放スイッチ54からの信号に基づいて判定する。
【0023】
ステップS1における判定処理に続くステップS3では、制御装置18は、コイル30aを励磁状態とし、電磁接触器30をオン状態とするとともに、インバータ回路36をPWM制御して、処理を終了する。ステップS2における判定処理に続くステップS4では、制御装置18は、コイル30aを励磁状態とし、電磁接触器30をオン状態とするとともに、インバータ回路36をオフ状態として、処理を終了する。ステップS1における判定処理に続くステップS5では、制御装置18は、コイル30aを非励磁状態とし、電磁接触器30をオフ状態として、処理を終了する。
【0024】
[作用効果]
制御装置18が稼働しているときに、商用三相交流電源12の停電等により制御装置18への電力供給が停止すると、制御装置18内に記憶されているシステムデータ等に破損が生じるおそれがある。本実施の形態では、停電時には、モータ電源装置20の直流リンク34内の平滑コンデンサ38に蓄電されている直流電力を制御装置18に供給するようにして、停電時にも制御装置18が適切にシャットダウンできるようにしている。
【0025】
従来、オペレータにより非常停止ボタン52が操作されたとき、または、安全扉が開放されているときには、制御装置18は、コイル30aを非励磁状態にして電磁接触器30をオフ状態とするとともに、インバータ回路36をオフ状態にしていた。この場合、平滑コンデンサ38に蓄電が行われず、平滑コンデンサ38に十分な電力が蓄電されていない状態となることがある。
【0026】
なお、非常停止ボタン52は、オペレータが射出成形機の異常等を検知したときに操作される限りではない。例えば、射出ユニット内の樹脂材料の溶融のためにヒータ16の昇温しているときや、樹脂材料を低温保持するときには、安全のため、または、省エネルギー化のため、オペレータは非常停止ボタン52を操作し、モータ14が駆動しないようにすることがある。また、射出成形機により成形を行っていないときには、安全扉が開放されることは日常的に行われている。よって、従来では、平滑コンデンサ38に十分な電力が蓄電されていない状態であることがたびたび生じており、停電時に制御装置18に十分な制御電力を供給できないおそれがあった。
【0027】
そこで本実施の形態では、オペレータにより非常停止ボタン52が操作される、または、安全扉開放スイッチ54により安全扉の開放を検出したときには、制御装置18は、コイル30aの励磁状態を維持して電磁接触器30をオン状態にしつつ、インバータ回路36をオフ状態とするように制御する。これにより、オペレータにより非常停止ボタン52が操作される、または、安全扉開放スイッチ54により安全扉の開放を検出したときにも、商用三相交流電源12とAC−DCコンバータ回路32との間の接続が確保され、平滑コンデンサ38への充電は継続される。そのため、平滑コンデンサ38に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑コンデンサ38から制御装置18に制御電力を供給することができる。
【0028】
〔他の実施の形態〕
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることはもちろんである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0029】
上記の第1の実施の形態では、射出成形機の電源制御装置10について説明したが、同様にして、工作機械、放電加工機等の電源制御装置に適用してもよい。また商用三相交流電源12の電圧は、200[V]に限らず、220[V]、230[V]、380[V]、400[V]等であってもよい。
【0030】
また、AC−DCコンバータ回路32、40は、ダイオードから構成される全波整流回路に限らず、サイリスタから構成される全波制御回路であってもよい。または、全波整流回路でなく、半波整流回路であってもよい。また、インバータ回路36は、IGBTを用いたPWM回路に限らず、他のスイッチング素子を用いたものであってもよい。DC−DCコンバータ回路42は、チョッパ回路に限らず、リニアレギュレータやスイッチングレギュレータであってもよい。
【0031】
上記の実施の形態では、非常停止ボタン52や安全扉開放スイッチ54をモータ停止操作部とし、オペレータにより非常停止ボタン52が操作される、または、安全扉開放スイッチ54により安全扉の開放を検出したときには、制御装置18は、コイル30aの励磁状態を維持して電磁接触器30をオン状態にしつつ、インバータ回路36をオフ状態とするように制御した。しかしながら、モータ停止操作部は非常停止ボタン52や安全扉開放スイッチ54等、オペレータの操作によって操作されたものに限らず、制御装置18内のソフトウェアプログラムのロジックをモータ停止操作部としてもよい。具体例を挙げれば、射出成形機に何らかの異常が発生し制御装置18がそれを検出した場合には、制御装置18内のソフトウェアプログラムのロジックが発生した異常の内容によって上記の実施の形態と同様の処理が必要か否かを判断し、必要と判断した場合に該処理を実行すればよい。
【0032】
〔実施の形態から得られる技術的思想〕
上記実施の形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0033】
産業機械の電源を制御する電源制御装置(10)は、商用三相交流電源(12)から供給された交流電力を直流電力に整流する整流回路(32)と、整流された前記直流電力を平滑化する平滑回路(34)と、平滑化された前記直流電力から、任意の周波数および任意の電圧の交流電力に変換して、モータ駆動電力としてモータ(14)に供給する逆変換回路(36)と、前記モータ(14)への前記モータ駆動電力の供給を停止するためのモータ停止操作部(52、54)と、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときには、前記逆変換回路(36)を前記モータ(14)への前記モータ駆動電力の供給を停止するように制御する制御部(18)と、を有する。これにより、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときには、逆変換回路(36)によりモータ(14)へのモータ駆動電力の供給を停止し、平滑回路(34)への充電は継続される。そのため、平滑回路(34)に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑回路(34)から制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0034】
上記電源制御装置(10)であって、前記商用三相交流電源(12)と前記整流回路(32)との間に設けられ、前記商用三相交流電源(12)と前記整流回路(32)との間の接続と遮断とを切り換える電力遮断部(30)を有し、前記制御部(18)は、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときには、前記電力遮断部(30)を前記商用三相交流電源(12)から前記整流回路(32)へ前記交流電力を供給するように制御してもよい。これにより、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときにも、商用三相交流電源(12)と整流回路(32)との間の接続を維持することができ、平滑回路(34)への充電は継続される。そのため、平滑回路(34)に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑回路(34)から制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0035】
上記電源制御装置(10)であって、前記逆変換回路(36)の異常を検出する異常検出部(56)を有し、前記制御部(18)は、前記逆変換回路(36)の異常が検出されたときには、前記電力遮断部(30)により前記商用三相交流電源(12)から前記整流回路(32)への前記交流電力の供給を遮断してもよい。これにより、逆変換回路(36)によって、モータ(14)に供給するモータ駆動電力の制御を正常に行えないときには、逆変換回路(36)よりも商用三相交流電源(12)側の電力遮断部(30)によって、モータ(14)への電力供給を遮断することができ、安全性を確保することができる。
【0036】
上記電源制御装置(10)であって、前記商用三相交流電源(12)から供給された前記交流電力を、規定された電圧の直流電力に変換して、制御電力として前記制御部(18)に供給するとともに、停電時には前記平滑回路(34)に蓄電された前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部(18)に供給する制御電力供給部(22)を有してもよい。これにより、停電時にも制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0037】
上記電源制御装置(10)であって、前記平滑回路(34)は、平滑コンデンサ(38)を有し、前記制御電力供給部(22)は、停電時には、前記平滑コンデンサ(38)に蓄電されている前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部(18)に供給してもよい。これにより、停電時にも制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0038】
上記電源制御装置(10)であって、前記産業機械は射出成形機であってもよい。これにより、射出成形機の電源制御装置(10)においても、平滑回路(34)に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑回路(34)から制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0039】
商用三相交流電源(12)から供給された交流電力を直流電力に整流する整流回路(32)と、整流された前記直流電力を平滑化する平滑回路(34)と、平滑化された前記直流電力から、任意の周波数および任意の電圧の交流電力に変換して、モータ駆動電力としてモータ(14)に供給する逆変換回路(36)と、前記モータ(14)への前記モータ駆動電力の供給を停止するためのモータ停止操作部(52、54)と、を有する産業機械の電源制御方法であって、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときには、前記逆変換回路(36)により前記モータ(14)への前記モータ駆動電力の供給を停止する。これにより、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときには、逆変換回路(36)によりモータ(14)へのモータ駆動電力の供給を停止し、平滑回路(34)への充電は継続される。そのため、平滑回路(34)に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑回路(34)から制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0040】
上記電源制御方法であって、前記産業機械は、前記商用三相交流電源(12)と前記整流回路(32)との間に設けられ、前記商用三相交流電源(12)と前記整流回路(32)との間の接続と遮断とを切り換える電力遮断部(30)を有し、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときには、前記電力遮断部(30)により前記商用三相交流電源(12)から前記整流回路(32)へ前記交流電力を供給してもよい。これにより、前記モータ停止操作部(52、54)が操作されたときにも、商用三相交流電源(12)と整流回路(32)との間の接続を維持することができ、平滑回路(34)への充電は継続される。そのため、平滑回路(34)に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑回路(34)から制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0041】
上記電源制御方法であって、前記産業機械は、前記逆変換回路(36)の異常を検出する異常検出部(56)を有し、前記逆変換回路(36)の異常が検出されたときには、前記電力遮断部(30)により前記商用三相交流電源(12)から前記整流回路(32)への前記交流電力の供給を遮断してもよい。これにより、逆変換回路(36)によって、モータ(14)に供給するモータ駆動電力の制御を正常に行えないときには、逆変換回路(36)よりも商用三相交流電源(12)側の電力遮断部(30)によって、モータ(14)への電力供給を遮断することができ、安全性を確保することができる。
【0042】
上記電源制御方法であって、前記産業機械は、前記産業機械を制御する制御部(18)を有し、前記商用三相交流電源(12)から供給された前記交流電力を、規定された電圧の直流電力に変換して、制御電力として前記制御部(18)に供給するとともに、停電時には前記平滑回路(34)に蓄電された前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部(18)に供給してもよい。これにより、停電時にも制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0043】
上記電源制御方法であって、前記平滑回路(34)は、平滑コンデンサ(38)を有し、停電時には、前記平滑コンデンサ(38)に蓄電されている前記直流電力を、規定された電圧の前記直流電力に変換して、前記制御電力として前記制御部(18)に供給してもよい。これにより、停電時にも制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【0044】
上記電源制御方法であって、前記産業機械は射出成形機であってもよい。これにより、射出成形機においても、平滑回路(34)に電力を蓄電させることが可能となり、停電時に平滑回路(34)から制御部(18)に制御電力を供給することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…電源制御装置 12…商用三相交流電源
14…モータ 18…制御装置(制御部)
22…制御電源装置(制御電力供給部) 30…電磁接触器(電力遮断部)
32…AC−DCコンバータ(整流回路) 34…直流リンク(平滑回路)
36…インバータ回路(逆変換回路) 52…非常停止ボタン(モータ停止操作部)
54…安全扉開放スイッチ(モータ停止操作部)
56…インバータ回路異常検出部(異常検出部)