(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
1.表面実装機の全体構成
表面実装機1は、
図1に示すように、基台11と、プリント基板Pを搬送する搬送コンベア20と、ヘッドユニット60と、ヘッドユニット60を基台11上にて平面方向(XY方向)に移動させる駆動装置30とを備えている。尚、以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、基台11の奥行方向(
図1の上下方向)をY方向、
図2の上下方向をZ方向とする。ヘッドユニット60、駆動装置30が本発明の「部品搭載部」に相当する。
【0014】
搬送コンベア20は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、搬送ベルト21上の二点鎖線で示したプリント基板Pを、ベルトとの摩擦によりX方向に搬送する。
【0015】
本実施形態では、
図1に示す左側が入り口となっており、プリント基板Pは、
図1に示す左側より搬送コンベア20を通じて機内へと搬入される。搬入されたプリント基板Pは、搬送コンベア20により基台中央の作業位置まで運ばれ、そこで停止される。
【0016】
一方、基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、部品供給部13が4箇所設けられている。これら各部品供給部13には、電子部品を供給するフィーダ(本発明の「部品供給装置」に相当)80が横並び状に多数設置されている。
【0017】
そして作業位置では、上記フィーダ80を通じて供給された電子部品を、プリント基板P上に実装する実装処理が、ヘッドユニット60に搭載された実装ヘッド63により行われるとともに、その後、実装処理を終えたプリント基板Pはコンベア20を通じて
図1における右方向に運ばれ、機外に搬出される構成になっている。
【0018】
駆動装置30は、大まかには一対の支持脚41、ヘッド支持体51、Y軸ボールネジ45、Y軸モータ47、X軸ボールネジ55、X軸モータ57から構成される。具体的に説明してゆくと、
図1に示すように基台11上には一対の支持脚41が設置されている。両支持脚41は作業位置の両側に位置しており、共にY方向にまっすぐに延びている。
【0019】
両支持脚41にはY方向に延びるガイドレール42が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール42に長手方向の両端部を嵌合させつつヘット支持体51が取り付けられている。
【0020】
また、右側の支持脚41にはY方向に延びるY軸ボールねじ45が装着され、更にY軸ボールねじ45にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。
【0021】
Y軸モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51、ひいては次述するヘッドユニット60がガイドレール42に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0022】
ヘッド支持体51は、X方向に長い形状である。ヘッド支持体51には、
図2に示すように、X方向に延びるガイド部材53が設置され、更に、ガイド部材53に対してヘッドユニット60が、ガイド部材53の軸に沿って移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体51には、X方向に延びるX軸ボールねじ55が装着されており、更にX軸ボールねじ55にはボールナットが螺合されている。
【0023】
そして、X軸ボールねじ55にはX軸モータ57が付設されており、同モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がガイド部材53に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0024】
従って、X軸モータ57、Y軸モータ47を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を平面方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0025】
係るヘッドユニット60には、電子部品の実装作業を行う実装ヘッド63が列をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド63は図示しないR軸モータによる軸回りの回転と、図示しないZ軸モータによりヘッドユニット60に対して昇降可能な構成となっている。また、各実装ヘッド63には図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、ヘッド先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0026】
このような構成とすることで、X軸モータ57、Y軸モータ47、及びZ軸モータを所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ80を通じて供給される電子部品Wを実装ヘッド63により取り出して、プリント基板P上に実装する処理を実行することが出来る。
【0027】
尚、
図1に示す符号「17」は部品認識カメラ、
図2に示す符号65は基板認識カメラである。部品認識カメラ17は基台11上において撮像面を上に向けて固定されている。
【0028】
部品認識カメラ17は、実装ヘッド63により取り出された電子部品の画像(下面画像)を撮像して、実装ヘッド63による電子部品の吸着姿勢を検出するものである。基板認識カメラ65はヘッドユニット60に撮像面を下に向けた状態で固定されており、ヘッドユニット60とともに一体的に移動する構成とされている。
【0029】
これにより、上述のX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を駆動させることで、プリント基板P上の任意の位置の画像を、基板認識カメラ65により撮像することが出来る。
【0030】
2.部品供給テープ70及びフィーダ80の構成
部品供給テープ70は、
図3に示すように、例えば、合成樹脂製のキャリアテープ71と、これに貼着されるカバーテープ75とから構成されている。キャリアテープ71は、いわゆるエンボステープであり、下方に突出する凹状の部品収納部72を部品供給テープ70の送出方向に一定間隔置きに有しており、各部品収納部72には、電子部品Wが収納されている。
【0031】
カバーテープ75は、撓み可能な薄いシート状であり、テープの幅方向(X方向)の両側縁部を、キャリアテープ71の上面に貼着している。カバーテープ75は、部品収納部72の上面をカバーして、部品収納部72から電子部品Wが飛び出すのを抑制している。また、キャリアテープ71の一辺側には、縁部に沿って係合孔73が一定間隔で設けられている。部品供給テープ70は、フィーダ80の後方位置において、図外のリールに巻回されて支持されている。尚、上記では、部品供給テープ70の一例として、係合孔73をキャリアテープ71の一辺側に形成した例を示したが、係合孔73はキャリアテープ71の両側に形成されていてもよい。
【0032】
以下、フィーダ80の説明を行う。尚、フィーダ80の説明に関し、部品供給位置Gが設けられた側(
図4、
図5の右側)を「前側」、部品供給位置Gの反対側(
図4、
図5の左側)を「後側」とする。また、部品供給テープ70はフィーダ80の後方から前方(
図4、
図5の左側から右側)に送られることから、フィーダ80の後部側が部品供給テープ70の搬送方向の「上流側」であり、フィーダ80の前部側が、部品供給テープ70の搬送方向の「下流側」である。また、フィーダ80は、プリント基板Pの搬送方向であるX方向に対して直交する向きとなっているので、
図4、
図5に示すように、フィーダ80の前後方向はY方向と一致している。
【0033】
フィーダ80は、
図4、
図5に示すように、送出装置90と、引取装置100と、テープ押さえ150と、これらが取り付けられるフィーダ本体(本発明の「本体部」に相当)81とを備える。フィーダ本体81は、Y方向に長い形状であり、例えば、アルミダイキャスト製である。フィーダ本体81には、部品供給テープ70を通すためのテープ通路83が設けられている。テープ通路83は、フィーダ本体81の下部後端から前方に向けて延びている。その後、テープ通路83は、斜め上方に向かって延びており、フィーダ本体81の前部上面に連続している。
【0034】
また、テープ通路83には、幅方向の中央部に凹部85が設けられている(
図9参照)。この凹部85は、キャリアテープ71に設けられた部品収納部72との干渉を逃がすために形成されたものである。部品供給テープ70は、テープ両端を、フィーダ本体81の支持壁84の上面に支持されつつ、部品収納部72を凹部85に収容した状態で、テープ通路83上を搬送される構成となっている。また、フィーダ本体81の後部側には、カバーテープ収納部89が設けられている。
【0035】
送出装置90は、フィーダ本体81の前部側に、設けられている。送出装置90は、モータ91、複数枚のギヤからなるギヤ列93、第1スプロケット95、第2スプロケット97からなる。これら2つのスプロケット95、97は、フィーダ本体81の上部側において、前後方向に配置されている。ギヤ列93は、モータ91の動力を伝達して、2つのスプロケット95、97を同じ方向に同ピッチで回転させる。
【0036】
尚、上記では、1つのモータ91で2つのスプロケット95、97を駆動する構成としているが、スプロケット95、97ごとにモータを設ける構成とし、各モータで2つのスプロケット95、97を同じ方向に同ピッチで回転させるようにしてもよい。
【0037】
スプロケット95、97の外周には等間隔で歯が形成されている。スプロケット95、97の歯は、部品供給テープ70の係合孔73と係合しており、スプロケット95、97の回転により、部品供給テープ70をフィーダ前部の部品供給位置Gに送出することが出来る。
【0038】
図7はフィーダ前部の側面図、
図8はその平面図、
図9は
図7のA−A線断面図である。テープ押さえ150は、例えば、金属製であり、前後方向(Y方向)に長い形状をなす。テープ押さえ150は、フィーダ本体81の上面前部に設置されている。そして、フィーダ本体81は、テープ押さえ150の前端と後端に対応する位置に、前部ロック部121と後部ロック部123を設けている。テープ押さえ150は、これら2つのロック部121、123により前後をロックされることで、フィーダ本体81に固定される構成となっている。具体的には、下方に付勢された状態で、フィーダ本体81に固定される構成となっている。
【0039】
テープ押さえ150は、
図9に示すように、部品供給テープ70の両側をガイドする一対のガイド壁155を有し、テープ通路83(フィーダ本体81の前部上面)を送られる部品供給テープ70の姿勢が斜かないようにしている。
【0040】
部品供給テープ70は、
図9に示すように、フィーダ本体81のテープ通路83上を、テープ押さえ150により、上面を押さえされた状態で搬送される。また、
図9に示すように、フィーダ本体81の上面前部の幅方向の両側には、段差部86が設けられている。この段差部86には、テープ押さえ150のガイド壁155が嵌合している。
【0041】
また、テープ押さえ150には、
図7、8に示すように、切断装置170が設けられている。切断装置170は、電子部品Wの取り出しが行われる部品供給位置Gの上流側(テープ搬送方向の上流側)に位置しており、部品供給テープ70が部品供給位置Gに送られる過程で、カバーテープ75の接着部75Aの内側を切断する。
【0042】
このようにすることで、キャリアテープ71からカバーテープ75を剥離することなく、部品収納部72内の電子部品Wを露出させることが出来る。尚、切断装置170の構成は、後に詳しく説明する。
【0043】
また、
図6、8に示すように、テープ押さえ150の上面壁151の前部側には、スリット状をした折り返し部161が設けられている。折り返し部161は、
図8に示すように、切断装置170の下流側(
図8の右側)に位置しており、接着部75Aの内側を切断装置170によりカットされたカバーテープ75は、折り返し部161の真下を通過する時点で、後方に折り返される構造となっている。
【0044】
また、テープ押さえ150の前部側には、部品押え部163と、部品取出孔165が設けられている。部品押え部163は、折り返し部161の下流側に位置しており、カバーテープ75の折り返し後、電子部品Wが部品供給位置Gに到達するまでの間、キャリアテープ71の上面を塞いで、部品収納部72から電子部品Wが飛び出すのを規制する機能を果たす。また、部品取出孔165は、部品押え部163の下流側であって、部品供給位置Gに対応する位置である孔縁165Aと孔縁165Bとの間(
図13を参照)に設けられている。
【0045】
以上のことから、電子部品Wは、部品供給位置Gに到達すると、上面が開放した状態となる。そのため、実装ヘッド63を、部品供給位置Gにて下降することにより、キャリアテープ71の部品収納部72から電子部品Wをピックアップすることが出来る。
【0046】
引取装置100は、カバーテープ75を、フィーダ本体81の後方に引き取るものである。引取装置100は、第二モータ(図略)と、引っ張りローラ103、ピンチローラ105からなる。引っ張りローラ103とピンチローラ105は、カバーテープ収納部89の導入部に、対向配置されている。第二モータを駆動すると、2つのローラ103、105が回転し、両ローラ間に挟まれたカバーテープ75を後方に引き取りつつ、カバーテープ収納部89に導入することが出来る。
【0047】
3.切断装置170の構造とキャリアテープ71の受け構造
図10は切断装置の側面図、
図11は切断装置の平面図である。切断装置170は、テープ押さえ150の上面に配置されている。切断装置170は、固定部171と、レバー部175と、一対の切断刃181と、ばね185とを含む。固定部171は、断面U字型であり、X方向で、テープ押さえ150の上面壁のほぼ中央部分に固定されている。また、固定部171の中心は、X方向で、キャリアテープ71の部品収納部72の中心と対応している。
【0048】
レバー部175は、
図10、11に示すように、Y方向の中央部分に軸孔176Aを有する連結部176を有しており、固定部171に対してヒンジHを介して回転可能な状態で支持されている。
【0049】
レバー部175は、Y方向の前端側に、取り付け部177を有している。取り付け部177は、X方向(部品供給テープの幅方向)の両側に形成されている。切断刃181は概ね三角形をしている。切断刃181は、各取り付け部177の外面側に、刃先を下に向けた状態でボルト187により固定されている。すなわち、切断刃181は、X方向に間隔を空けて向かい合った状態で固定されている。
【0050】
テープ押さえ150の上面壁151には、
図8に示すように、切断刃181の位置に対応して、貫通孔153が形成されている。切断刃181の刃先は、この貫通孔153を貫通して、上面壁151の下面から突出する構造になっている。
【0051】
レバー部175は、ヒンジHを中心に回転して、切断位置と非切断位置とに変位する。切断位置は、切断刃181の刃先がテープ押さえ150の上面壁151の下面から突出する位置(
図7の位置)である。また、非切断位置は、切断刃181の刃先がテープ押さえ150の上面壁151の下面から突出しない位置(
図7の位置からヒンジHを中心に反時計方向に回転した位置)である。尚、レバー部は本発明の「支持部材」に相当する。
【0052】
ばね185は、レバー部175の後部側に固定されており、レバー部175を切断位置に向けて付勢、すなわち、刃先が常に下を向くように
図10に示すR方向(切断方向)に向けて付勢している。このようにすることで、切断刃181に対して、常時、下向きの力を付与することが出来る。尚、ばね185が本発明の「付勢部材」に相当する。
【0053】
また、取り付け部177の下端177Aは、平坦なストレート面であり、
図7に示すように、テープ押さえ150の上面壁151に対して当接している。このようにすることで、取り付け部177に固定された切断刃181をテープ押さえ150に対して上下方向で位置決めすることが出来る。具体的には、テープ押さえ150の下面からの刃先の出代(突出量)が、概ねカバーテープ75の厚さと等しくなるように、位置決めすることが出来る。
また、出代は、カバーテープ75の厚さより僅かに大きくするのが好ましい。出代がカバーテープ75の厚さより僅かに小さくても、カバーテープ75を分離するときに、切断部に働く力により、カバーテープ75をキャリアテープ71から分離することが出来る。尚、取り付け部177の下端177Aが本発明の「位置決め部」に相当する。
【0054】
切断刃181は、
図10、11に示すように、平板状のシム板(本発明の「調整部」に相当)183を間に挟んだ状態で、取り付け部177に対して固定されている。そのため、厚さの異なるシム板183を選択的に使用(交換)することで、切断刃181のX方向の位置やX方向の間隔(取り付けピッチ)Lxを調整することができる構造になっている。
【0055】
また、
図9に示すように、テープ通路83の凹部85には、受け部材200が設置されている。受け部材200は、例えば、金属製であり、Y方向で切断刃181に対応した位置に配置されている。受け部材200は、基部210上に左右一対の支持壁220を有しており、断面がU字型である。
【0056】
図9に示すように、左右の支持壁220は、各切断刃181の近傍位置で、キャリアテープ71のX方向の両側部の下面を受けている。具体的には、左右の支持壁220は、切断刃181の真下よりもX方向の外側にずれた位置で、キャリアテープ71の下面を受けている。このような構成とすることで、カバーテープ75を切断する際に、キャリアテープ71が下方に撓んで逃げることを防止できることから、切断刃181によるカバーテープ75の切断不良を抑制することが出来る。
【0057】
尚、受け部材200は、基部210の下面に突起部211を設けており、この突起部211を、凹部85の底面に形成された取付穴85Bに嵌合させることで、凹部85に対して、X方向(幅方向)が位置決めされた状態で固定されている。
【0058】
また、
図9に示すように、凹部85の内周壁のうち、X方向の両側の上端部には、それぞれ、段差形状の切り欠き部85Aが設けられている。この切り欠き部85Aは、切断刃181のY方向の位置に対応して設けられている。切り欠き部85Aは、部品供給テープ70が未装着の状態(テープ通路83に通されていない状態)で、切断刃181の刃先が、凹部85の上端部に干渉することを抑制するために設けられている。具体的には、上記状態で、切断刃181の間隔Lxを最も広くしても、切断刃181の刃先が、凹部85の上端部に干渉することを抑制するために設けられている。
【0059】
図12は、切断刃181によるカバーテープ75のカットラインLKを示す図である。
図12に示す「X1」はキャリアテープ71の幅寸法、「X2」はカバーテープ75の幅寸法を示している。また、符号75Aは、キャリアテープ71に対するカバーテープ75の貼着部(
図12にてハッチングで示す)である。切断刃181によるカバーテープ75のカットラインLKは、貼着部75Aの内側に対応しており、カバーテープ75のうち、貼着部75Aの内側がカットされる構成となっている。また、「X3」は、カバーテープ75のうち、キャリアテープ71に貼着されていない非貼着部の幅を示している。
【0060】
また、切断装置170は、
図7、8に示すように、カバー191とレバーロック部195とを有している。カバー191は、例えば、樹脂製、好ましくは導電性を有した樹脂製であり、切断装置170のうち、レバー部175の後端を除くそれ以外の部位を覆う構成である。尚、カバー191は、金属製でもよい。また、カバー191の上部にカバーテープを支持する例えばローラーを設けても良い。
【0061】
レバーロック部195は、テープ押さえ150に対してY方向にスライド可能に取り付けられている。
図7に示すように、レバーロック部195は、概ねL字型をなし、Y方向の前端上部に前方に突出する板形状の突出部196を有している。
【0062】
レバーロック部195を、
図7の位置からY方向の前側にスライドさせると、突出部196の下面に形成された突起197が、レバー部175の後端175Bの上面に当接する。その結果、後端175Bが下向きに押し込まれ、レバー部175はヒンジHを中心に
図7の反時計方向(切断方向の逆方向)に回転する。これにより、先端175Aが持ち上がって、レバー部175は、テープ押さえ150の上面壁151の下面から刃先が突出しない非切断位置に変位する。このように、レバーロック部195は、レバー部175を非切断位置にロックすることが出来る。
【0063】
図13は、
図8のB−B線断面図であり、テープ押さえ150に形成された部品取出孔165の断面形状を示している。
図13に示すように、部品取出孔165のうち、Y方向で後側(上流側)の孔縁165Bは、テーパ面(斜め形状)となっている。また、前側(下流側)の孔縁165Aも、テーパ面(斜め形状)となっている。孔縁165Aをテーパ面とすることで、例えば、テープ交換時に、部品供給テープ70を所定のセット位置(1つ目の電子部品が部品供給位置の1ピッチ前に達する位置)まで送る動作中に、部品取出孔165のテーパ面165Aで、切断後のカバーテープ75をキャリアテープ71から自動的に分離させることが出来る。そのため、テープ交換時に、キャリアテープ71からカバーテープ75を分離する作業を、ユーザが行う手間が省けるというメリットがある。
【0064】
尚、テーパ面の形成位置を、切断刃181のカットラインLKに対応させることで、カバーテープ75のうち、切断装置170による切断部位だけを、キャリアテープ71から分離することが出来る。また、テーパ面の形成位置を、カバーテープ75の全幅と対応させることで、カバーテープ75の全体を、キャリアテープ71から分離することが出来る。
【0065】
4.効果説明
本実施形態では、カバーテープ75を切断装置170によりカットする構成としているので、キャリアテープ71からカバーテープ75を剥離することなく、電子部品Wを露出させることが出来る。そのため、電子部品Wがカバーテープ75の剥離動作により振動したり、帯電するのを抑制することができる。
【0066】
しかも、テープ通路83の凹部85に、キャリアテープ71の下面を支持する受け部材200を設けている。そのため、カバーテープ75を切断する際に、キャリアテープ71が下方に撓んで逃げることを防止できることから、切断刃181によるカバーテープ75の切断不良を抑制することが出来る。
【0067】
また、取り付け部177の下端177Aを、ばね185の付勢によりテープ押さえ150の上面壁151の上面に対して当接させることで、切断刃181をテープ押さえ150に対して上下方向で位置決めすることが出来る。このようにすることで、刃先の出代を一定に維持することが出来、切断刃181によるカバーテープ75の切断不良を抑制することが出来る。
【0068】
また、例えば、部品供給テープ70の交換時に、部品供給テープ70が所定のセット位置になるように、切断刃181を通過したテープを、後退させてテープ位置を調整する場合がある。部品供給テープ70を後退させて戻すと、部品供給テープ70は切断刃181を2度通過することとなり、余分な切断が発生する。本実施形態では、切断刃181を通過した部品供給テープ70を後退させる際に、レバーロック部195により、レバー部175を非切断位置にロックしておくことで、余分な切断が発生することを抑制することが出来る。
【0069】
また、厚さの異なるシム板183を選択的に使用(交換)することで、切断刃181の位置や間隔Lxを調整することができる。そのため、部品収納部72の大きさの相違や、カバーテープ75の貼着部75Aの幅に応じて、切断刃181によるカバーテープ75のカットラインLKの位置(X方向の位置)を任意に調整できる。
【0070】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図14、15によって説明する。
実施形態1では、テープ押さえ150上に、切断装置170を設けた構成を示した。実施形態2では、可動板250に対して切断装置170を取り付けている。
【0071】
具体的に説明すると、
図14は、フィーダの前部の平面図であり、カバー191の上部(2点鎖線で示した部分)を切り欠いた図である。
【0072】
可動板250は、Y方向に長い平板状であり、切断装置170が固定されている。また、切断装置170を覆うカバー191も、ボルト261により可動板250に固定されている。
【0073】
可動板250は、テープ押さえ150に対する固定用のねじ孔257が、Y方向への長孔となっている。そのため、ねじ260を緩めることで、可動板250と共に切断装置170を、テープ押さえ150に対して、Y方向にスライドできる構造となっている。このようにすることで、切断刃181のY方向の位置を任意に調整することが出来る。
【0074】
図14に示す符号253は、切断刃181が貫通する貫通孔であり、可動板250に対して設けられている。貫通孔253は、一対の切断刃181に対応して、一対の構成となっている。また、貫通孔253をX方向(図中の上下方向)について幅を持たせている理由は、切断刃181の間隔が変更された時に刃との干渉を避けるためである。尚、切断刃181は、テープ押さえ150に対しては、部品取出孔165を介して下方に突出する。
【0075】
また、可動板250の前端部は、カバーテープ75を装置後方に対して折り返す折り返し部251となっている。折り返し部251は、Y方向について、切断刃181の近傍に位置している。
【0076】
実施形態2では、折り返し部251の近傍に切断刃181が常にくるように可動板250の上に切断装置170を取り付けており、切断装置170は可動板250と一体的にテープ押さえ150上をY方向に移動することが出来る。
【0077】
実施形態2では、部品供給位置Gの上流側のポケットのカバーテープ75の切断長さを極力短くすることが出来、この結果、部品交換の段取り時の部品脱落によるロスを防ぐことが出来る。
【0078】
また、実施形態2では、取り付け部177の下端177Aを、ばね185の付勢により可動板250の上面に対して当接させることで、切断刃181をテープ押さえ150に対して上下方向で位置決めしている。
【0079】
<実施形態3>
実施形態2では、可動板250に対して切断装置170を設けた構成を例示した。実施形態3では、ベース270を有する切断装置170を、可動板350に対して取り付けた構造となっている。すなわち、
図16、17に示すように、テープ押さえ150の上面に、可動板350を取り付け、その上面に、ベース270を有する切断装置170を取り付けている。
【0080】
ベース270は、切断装置170よりも一回り大きな平板状である。ベース270には、一対の切断刃181に対応して一対の貫通孔253が設けられている。また、ベース270の前端部は、カバーテープ75を装置後方に対して折り返す折り返し部251となっている。折り返し部251は、実施形態2と同様、Y方向について、切断刃181の近傍に位置している。ベース270は、カバー191と共に、可動板350に対してボルト261により固定されている。また、
【0081】
可動板350は、実施形態2と同様、テープ押さえ150に対する固定用のねじ孔257がY方向への長孔となっている。そのため、ねじ260を緩めることで、可動板350と共にベース270を有する切断装置170を、テープ押さえ150に対して、Y方向にスライドできる構造となっている。尚、実施形態3では、可動板350は、ベース270の後部にだけ重なっており、実施形態2に比べて小型化されている。
【0082】
また、実施形態3では、取り付け部177の下端177Aを、ばね185の付勢によりベース270の上面に対して当接させることで、切断刃181をテープ押さえ150に対して上下方向で位置決めしている。
【0083】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0084】
(1)実施形態1では、切断刃181を三角形状の固定刃としたが、切断刃181はカバーテープ75を切断可能な構成であればよく、例えば、
図18に示すように軸285を中心に回転する円盤状の回転刃281としてもよい。
【0085】
(2)実施形態1では、切断刃181により、カバーテープ75のうち、貼着部75Aの内側をカットする構成を例示したが、貼着部75A上をカットするようにしてもよい。すなわち、折り返されるカバーテープ75のうち、キャリアテープ71に貼着される面積がカット後に少なるものであってもよい。
【0086】
(3)実施形態1では、カバーテープ75の切断時に、受け部材200の支持壁220で、キャリアテープ71の下面を受ける構成とした。具体的には、
図9に示すように、切断刃181の真下からX方向の外側にずれた位置でキャリアテープ71の下面を受けた。受け部材200の支持壁220は、カバーテープ75の切断時に、キャリアテープ71が逃げないように、キャリアテープ71の下面を受ける構成であればよく、支持壁220と切断刃のX方向(幅方向)の位置関係は実施形態1の例に限定されない。例えば、
図9において、支持壁220の真上に切断刃181が位置する構成や、支持壁220から見てX方向で外側の位置に切断刃181が位置する構成であってもよい。要は、切断刃181の真下か、その近傍位置で、受け部材200がキャリアテープ71を受ける構成であればよい。尚、支持壁220の真上に切断刃181が位置する場合は、切断刃181との干渉を避けるため、支持壁220に刃の逃げを形成することが望ましい。
【0087】
(4)実施形態1では、2つの切断刃181のY方向の位置を同一としたが、
図19に示すように、Y方向の位置をずらして配置してもよい。このようにすることで、2つのボルト187の先端が干渉することを避けることが可能となる。そのため、2つの切断刃181のX方向の間隔(取り付けピッチ)Lxを短くすることができる。
【0088】
(5)実施形態1では、
図9に示すように、突起部211を取付穴85Bに嵌合させることで、受け部材200を凹部85に対して固定した例を示したが、例えば、ビス等で固定するようにしてもよい。
【0089】
(6)実施形態1では、切断装置170のレバー175を手動で操作する構成としたが、レバー175を操作するための駆動装置300を設けるようにしてもよい。例えば、
図20に示すように、電磁力により上下移動するシャフト310を有するソレノイド(駆動装置)300により、レバー175を上下移動させるようにしてもよい。また、ソレノイド以外にも、エアシリンダを用いるようにしてもよい。
【0090】
(7)実施形態1では、シム板183を利用して、切断刃181の位置や間隔Lxを調整する構成を例示したが、例えば、ターンバックルなどのねじ機構を利用して、切断刃181の位置や間隔Lxを調整するようにしてもよい。
【0091】
(8)実施形態1では、ばね185を用いて、レバー部175を切断方向に付勢した構成を例示した。これ以外にも、例えば、
図21や
図22に示すように、ストッパ330A、330Bを用いて、レバー部175を切断位置(切断刃181の刃先がテープ押え150の上面壁151の下面から突出した状態となる位置)にロックするようにしてもよい。
図21に示すストッパ330Aは、レバーロック部195と同様に、テープ押さえ150に対してY方向にスライド可能に取り付けられている。また、
図21、
図22の構造において、ヒンジHにバネを設けて、カバーテープ75を切断しない方向(反時計回りの方向)にレバー部175を付勢する構成とし、ロックされていない状態では、切断刃181の刃先がテープ押え150の上面壁151の下面から突出しないようにしてもよい。
【0092】
図21に示すように、ストッパ330Aは、概ねL字型をなし、Y方向の前端上部に前方に突出する板形状の突出部335を有している。ストッパ330Aを、
図21の位置からY方向の前側にスライドさせると、突出部335の上面に形成された突起337が、レバー部175の後端175Bの下面に当接する。その結果、後端175Bの下方への動きが規制され、レバー部175は、
図21に示す切断位置にてロックされる。尚、
図22は、ストッパ330Bの変形例であり、
図21に対して、突起337をレバー部175の後端175B側に設けている点が異なっている。
【0093】
(7)実施形態2では、一対の切断刃181に対応して、可動板250に一対の貫通孔253を設けた例(
図14参照)を示した。貫通孔は、必ずしも一対の構成である必要はない。
図23に示すように、可動板250に対して、X方向(
図23の上下方向)に長い形状の貫通孔353を1つだけ設けるようにしてもよい。尚、貫通孔を1つだけの構成とした場合、取り付け部177を可動板250で支持できるように、貫通孔353の幅(Y方向の幅)は狭くするとよい。即ち、貫通孔353のY方向の幅を、取り付け部177の下端177AのY方向の幅より狭くすることで、取り付け部177の下端177Aが可動板250の上面に当接するようにするとよい。