(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2処理部は、予め定められた複数の作業または作業エリアのうち1つの作業または作業エリアを特定するようにプログラムされている、請求項1から3までの何れか一項に記載された手術セットの作業管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る手術セットの作業管理システムを説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
ここで、手術セットは、一回の手術あるいは手術の一工程で使われる複数の医療器具からなる1つの纏まりである。ここで、医療器具は、適宜に、器具と称される。
手術セットの器具には、例えば、トラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置、剪刃、メス、メスホルダー、カニューレ、鑷子、開創器、スケール、ゾンデ、エレバ、ラスパ、吸引管、開胸器、閉胸器、持針器、注射器、金属ボール、膿盆、コップ、ピン、ミラー、やすり、開口器、クレンメ、ハンドピース、ノミ、鋭匙、剥離子、鏡、縫合針、スタンツェ、受水器、針、圧子、ブジー、通気管、骨片打込器、リウエル、ラジオペンチ、ハンマー、角度計、スポイト、浣腸器、シリンジなどがある。
【0012】
医療器具には、複数の構成部品で構成された器具がある。例えば、腹腔鏡外科手術で用いられるトラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置などは、複数の構成部品からなり、手術後に回収され、複数の構成部品に分解される。ここでは、医療器具を構成する部品を構成部品という。また、構成部品がさらに複数の構成部品からなる場合があるが、このような場合は全て構成部品と称する。
【0013】
このような医療器具および医療器具の構成部品は、それぞれ洗浄作業が決められている。このため、医療器具および器具の構成部品は、手術後に回収されてそれぞれ指定された洗浄作業毎に振分けられて、それぞれ洗浄工程に回送される。洗浄後、複数の構成部品からなる器具は組立てられ、また、手術セット毎、あるいは、医療器具毎に分けられて所定の容器に入れられて封止される。その後、指定された滅菌方法で滅菌されて、次に使用されるまで保管される。このように、手術セットの使用では、手術→回収(振分け)→洗浄→組立(封止)→滅菌→保管→手術という工程が繰り繰り返される。
【0014】
手術セットの各器具および構成部品は、それぞれ適切な方法および手順で確実に洗浄され、組立てられることが、院内感染などを防ぐ上で重要である。器具および構成部品は、それぞれ洗浄作業および組立作業が定められている。例えば、洗浄作業では洗浄に用いる道具が定められている。組立作業では、組立時に使用するメンテナンスオイルなどが定められている。また、組立後には、予め定められた容器に入れられて封止される。この際、封止作業では、予め定められた封印具が用いられることが定められている。また、滅菌作業では、予め定められた滅菌インジケータが用いられることが定められている。このように、洗浄作業や組立作業や封止作業や滅菌において、予め定められた道具やメンテナンスオイルや封印具や滅菌インジケータなど、予め定められた作業具が用いられている。
【0015】
ここで、作業具は、作業で用いられる種々の材料、道具などであり、上記において例示されるような道具やメンテナンスオイルや封印具や滅菌インジケータなどが含まれうる。
ここで、道具は、例えば、洗浄道具であれば、ブラシである。手術セットの洗浄作業では、複数の種類のブラシが用意される場合があり、それぞれ予め定められたブラシが用いられる。メンテナンスオイルは、例えば、組立作業で用いられる。メンテナンスオイルも複数の種類が用意される場合があり、器具または構成部品には、それぞれ予め定められたメンテナンスオイルが用いられる。封印具は、封止作業において用いられる、予め定められた封止容器である。滅菌インジケータは、滅菌作業において、予め定められた条件で滅菌されたことを保証するためのインジケータである。滅菌インジケータは、滅菌処理の温度やPHなどの環境条件に応じて種々の滅菌インジケータが用意されて、滅菌処理の条件毎に使い分ける必要がある。
【0016】
ここで提案される手術セットの作業管理システムは、例えば、洗浄作業や組立作業や封止作業において、予め定められた作業具が用いられて適切に作業されるのを管理するのに用いられうる。
【0017】
図1は、手術セットの作業管理システム10(以下、適宜に「システム10」と称する場合がある。)の概念図である。
【0018】
システム10は、
図1に示すように、リーダー11a,11bと、定置装置12a,12bと、表示装置13a,13bと、処理装置14と備えている。リーダー11a,11bと、定置装置12a,12bと、処理装置14とは、データ通信可能に接続されているとよい。
図1に示された形態では、通信ネットワーク15を通じて、リーダー11a,11bと、定置装置12a,12bと、表示装置13a,13bと、処理装置14とが、相互にデータ通信可能な状態で連携している。予め定められたプログラムに沿って情報を処理する装置である。処理装置14は、各種の情報を記憶するための記憶部と、情報を処理する処理部など、種々の処理モジュールを備えている。
【0019】
なお、
図1は、システムの概念図であり、システム10の形態は、これに限定されない。
図1に示す例では、リーダー11a,11bと、定置装置12a,12bと、表示装置13a,13bとは、それぞれ2つであるが、システム10のリーダー11と定置装置12と表示装置13は、それぞれ1つでもよい。システム10は、さらに多くのリーダー11と定置装置12と表示装置13とを備えていてもよい。また、処理装置14は、単一の装置で具現化してもよいし、複数の装置が協働で処理装置としての機能を奏するものでもよい。
図1では、リーダー11、定置装置12および表示装置13を、個々に区別してリーダー11a,11b、定置装置12a,12b、表示装置13a,13bとしている。本明細書において、リーダー11a,11b,定置装置12a,12b,表示装置13a,13bを区別する必要がない場合には、単に「リーダー11」、「定置装置12」および「表示装置13」と称する。
【0020】
図2は、システム10の具体的構成例を示す概要図である。
図2に示す形態では、システム10は、操作端末51〜55と、リーダー61〜63と、定置装置66〜67と、サーバー70と、ルーター75とを備えている。
【0021】
図2では、操作端末51〜53、55は、タブレット型端末であり、操作端末54は据え置き型の端末である。また、操作端末51〜55は、それぞれコンピュータを内蔵している。つまり、操作端末51〜55は、情報を記憶する記憶装置と、プログラムに従って所定の処理を実行する演算装置とを備えている。各操作端末51〜55、リーダー61〜63、および、サーバー70は、ルーター75を通じて構築される無線通信ネットワークによって相互に情報通信が可能な状態で接続されている。サーバー70は、このシステム10の各処理の基幹となるホストコンピュータである。サーバー70は、情報を記憶する大容量の記憶装置72を備えている。また、操作端末51〜55は、このシステム10のクライアントコンピュータとして機能する。
図2では、リーダー61〜63および定置装置66,67は、通信ネットワークを通じて操作端末51〜55に情報通信可能に接続されている。なお、リーダー61〜63および定置装置66,67は、通信ネットワークを通じてサーバー70に情報通信可能に接続されていてもよい。
【0022】
図2に示された形態では、手術セットを回収する回収エリアA、洗浄を行う洗浄エリアB、および、洗浄後に組立および封止を組立エリアCなどの作業エリアが設定されている。操作端末51およびリーダー61は、手術セットを回収する回収エリアAに配置されている。操作端末52,53,リーダー62および定置装置66は、洗浄を行う洗浄エリアBに配置されている。操作端末54,55,リーダー63および定置装置67は、洗浄後に組立および封止を組立エリアCに、それぞれ配置されている。このようにシステム10は、複数の離れた場所で、異なる複数のユーザーによって同時に並行して利用されうるように構成されている。
【0023】
図2に示されたリーダー61〜63は、それぞれ
図1に示されたリーダー11として機能する装置である。定置装置66,67は、それぞれ
図1で示された定置装置12として機能する。
図2に示された操作端末51〜55は、ユーザーが扱う端末として機能する。また、操作端末51〜55のディスプレイ51a〜55aは、それぞれ表示装置13として機能し、当該システム10における所要の情報をユーザーに提示する装置である。
【0024】
図2に示された形態では、操作端末51〜55とサーバー70とは、協働してシステム10の処理装置14(
図1参照)として機能する。
図1および
図2に示された形態では、システム10は、複数の装置によって具現化されている。システム10は、多くの手術セットが複数の工程で並行して管理され、かつ、複数のユーザーで利用される。このため、
図1および
図2で示されているように、通信ネットワークを通じて複数台のパソコンが連携しうるようにシステムが構築されている。通信ネットワークを通じて複数台のパソコンが連携しうるようにシステムを構築される技術は、種々の公知技術を採用しうる。リーダー61〜63や定置装置66,67には、エネルギーハーベスティング技術を採用し、光や振動や熱などの周りの環境からエネルギーを得る技術が採用されうる。さらに、エネルギーハーベスティング無線通信技術を採用してもよい。
【0025】
リーダー11は、手術セットの器具、器具の構成部品に組み込まれる個体情報を読み取る装置である。
【0026】
ここで、個体情報は、所定の形態の二次元シンボルであり得る。例えば、手術セットの器具に用いられる個体情報としては、二次元バーコードや、RFIDのような非接触タグや、器具表面に形成される刻印などで具現化されうる。また、刻印には、レーザー刻印や、打刻による形成ができる。
【0027】
打刻による二次元シンボルの形成には、例えば、メタルプリンター(例えば、ローランドディー.ジー.株式会社製 MPX−95など)が用いられうる。このようなメタルプリンターによれば、例えば、1mm〜4mm角程度の微細な大きさでデータマトリックスを形成することが可能である。打刻による二次元シンボルは、器具表面を凹ますことによって形成されている。器具表面のメッキ被膜などに傷が付きにくく、二次元シンボルを付けたことによって器具が錆び難い。また、メタルプリンターなどの発達によって、二次元シンボルが形成されていない既存の器具にも適用でき、二次元シンボルをユーザーで設定して付与することができる。
【0028】
ここでは、システム10の各構成装置を順に説明する。ここでは、
図1を主たる参照図面とし、適宜に
図2の具体例を参照しつつ説明する。
リーダー11(
図1参照)は、個体情報を読み取る装置である。
図2に示されたリーダー61〜63は、それぞれ箱形の筐体を有し、上部にカメラを内蔵した検知部61a〜63aを備えている。この実施形態では、かかる検知部61a〜63aに、器具や構成部品に打刻された二次元シンボルを向けることで、当該器具や構成部品に割り当てられた個体情報が読み取られる。なお、リーダー11(
図1参照)は、
図2に示された形態に限定されず、種々の形態が取られうる。
【0029】
定置装置12は、定置部121と、センサ122と、報知部123とを備えている。
定置部121は、予め定められた作業具40が置かれる部位である。センサ122は、定置部121に設けられている。センサ122は、例えば、定置部121に置かれた作業具が使用されたことを検知できるように構成されているとよい。例えば、作業具40がオイルスプレーや洗浄ブラシである場合には、センサ122は、定置部121から作業具が取り外されたこと、または、当該定置部121から作業具40が置かれたことを検知するための装置であるとよい。また、作業具40が滅菌インジケータのように、使い切るタイプのものである場合、センサ122は、例えば、定置部121で作業具40が取り出されたことを検知するための装置であるとよい。報知部123は、予め定められた報知処理を実行するように構成された部位である。報知部123は、例えば、表示灯などで構成されうる。報知部123としての表示灯は、定置装置12の見えやすい位置に配置されているとよい。また、報知部123は、例えば、予め定められた警報音や音声案内を発生させるためのスピーカーを備えていてもよい。
【0030】
表示装置13は、処理装置14からの指令に沿って、情報を表示する装置であるとよく、種々のディスプレイ装置が採用されうる。
図2に示された形態では、表示装置13は、各操作端末51〜55のディスプレイ51a〜55aで構成されている。表示装置13は、タッチパネルで構成されていてもよい。表示装置13がタッチパネルで構成されている場合には、ユーザーが表示装置13の画面に触れることで操作されるようにシステム10を構成することができる。
【0031】
処理装置14は、このシステムの種々の処理を行う装置である。処理装置14は、予め定められたプログラムに沿って駆動するコンピュータによって具現化されうる。具体的には、処理装置14の各機能は、処理装置14を構成する各コンピュータの演算装置(プロセッサ、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)とも称される)や記憶装置(メモリーやハードディスクなど)によって処理される。例えば、処理装置14の各構成は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュールなどとして、または、それらの一部として具現化されうる。
【0032】
処理装置14は、
図2に示された形態では、操作端末51〜55に組み込まれたコンピュータと、操作端末51〜55に通信ネットワークを通じて接続されたサーバー70との協働によって具現化されている。このように、処理装置14の各機能は、ネットワークを通じて互いに連携する複数の装置によって具現化されてもよい。つまり、
図1では、処理装置14は、1つの装置のように図示されているが、1つの装置であることに限定されない。
【0033】
図1に示された形態では、処理装置14は、種々の情報を記憶した記憶部101〜106と、予め定められた処理を行うようにプログラムされた処理部201〜211とを備えている。記憶部101〜106に記憶される情報は、
図2の形態では、例えば、ホストコンピュータとしてのサーバー70の記憶装置72に記憶されているとよい。サーバー70の記憶装置72に記憶された情報は、ネットワークを通じて接続されるクライアントコンピュータ51〜55によって適宜にアクセス可能な状態で管理されているとよい。
図2では、クライアントコンピュータ51〜55は、タブレット端末51〜53,55や据え置き型パソコン54で構成されている。
【0034】
処理装置14は、基本構成として、第1記憶部101と、第2記憶部102と、第3記憶部103と、第4記憶部104と、第1処理部201と、第2処理部202と、第3処理部203と、第4処理部204とを備えている。
【0035】
第1記憶部101は、複数の器具で構成された手術セットの各器具および器具を構成する構成部品に、それぞれ一対一で関連付けられた器具IDおよび部品IDを記憶している。つまり、このシステム10では、手術セットの器具には器具IDが付与されている。さらに、器具を構成する構成部品には部品IDが付与されている。器具IDは、一対一で特定の器具に対応しており、部品IDは、一対一で特定の構成部品に対応している。これにより、システム10では、手術セットの器具および器具の構成部品は、それぞれ器具IDおよび部品IDで特定される。
【0036】
第2記憶部102は、手術セットに一対一で関連付けられたセットIDと、当該手術セットに属する器具の器具IDと、当該手術セットに属する構成部品の部品IDとを関連付けて記憶している。つまり、このシステム10では、手術セットに一対一で関連付けられたセットIDが付与されており、セットIDによって手術セットが特定される。さらに、セットIDが特定されると、当該セットIDで特定される手術セットに属する器具の器具IDおよび構成部品の部品IDが特定される。さらに、構成部品の部品IDが特定されると、当該構成部品が属する器具の器具IDなどが特定される。器具IDが特定されると、当該器具が属する手術セットのセットIDが特定される。また、器具が構成部品を備えている場合には、器具IDから当該器具に属する構成部品の部品IDが特定される。
【0037】
第3記憶部103は、器具の個体情報と器具ID、および、構成部品の個体情報と部品IDとを関連付けて記憶している。ここで、個体情報は、二次元シンボルのようにリーダー11で読み取られうる情報であり、器具または構成部品に付与あるいは付属する識別子である。個体情報は、器具および構成部品で個々に異なっており、器具または構成部品に一対一で識別しうる情報である。器具の個体情報と器具ID、および、構成部品の個体情報と部品IDとが一対一で対応しているので、リーダー11で検知された個体情報に基づいて1つの器具または構成部品が特定される。
【0038】
かかる第3記憶部103によって、システム10では、個体情報から、器具IDまたは部品ID(つまり、器具または構成部品)が特定される。さらに、第2記憶部102に記憶された情報から、当該個体情報によって特定される器具または構成部品が属する手術セットが特定される。なお、個体情報は、手術セットの器具および構成部品の全てに付いているとは限らない。第3記憶部103では、手術セットのうち個体情報が付与された器具および構成部品について、個体情報と、器具IDまたは構成部品IDとが、一対一で関連付けられて記憶されているとよい。また、手術セットのうち個体情報が付与されていない器具および構成部品については、個体情報が付与されていないことを示す情報が、器具IDまたは部品IDに関連付けて記憶されていてもよい。
【0039】
第4記憶部104は、器具IDまたは部品IDと、作業または作業エリアと、作業具40とを関連づけて記憶している。ここで「作業」は、器具または構成部品に施される作業であり、例えば、洗浄、組立、封止、滅菌などの作業が例示される。「作業エリア」は、特定の作業が施されるエリアである。例えば、
図2の洗浄エリアBでは、洗浄作業が施される。組立エリアCでは、組立作業や封止作業が施される。つまり、第4記憶部104では、器具IDで特定される器具または部品IDで特定される構成部品と、器具または構成部品に施される作業または作業が施される作業エリアと、作業または作業エリアで必要とされる作業具40とが関連づけられて記憶されている。つまり、器具または構成部品と、作業または作業エリアと、作業具40とが、関連付けられて記憶されている。
これにより、例えば、器具または構成部品と、作業または作業エリアとが特定されると、作業具40が特定される。ここで、処理装置14の具体的な処理では、器具または構成部品は、適宜に器具IDと部品IDで特定されうる。作業または作業エリアについても、予め割り当てられた作業IDまたは作業エリアIDで適宜に特定されうる。
【0040】
上述した第1記憶部101〜第4記憶部104は、それぞれ独立したデータベースで構成してもよい。また、第1記憶部101〜第4記憶部104は、1つのデータベースで構成することができる。
【0041】
図3は、第1記憶部101〜第3記憶部103を纏めたデータベース400の構成例である。
図3では、手術セットのセットID,手術セット名,器具ID,器具名,部品ID,個体情報としてのGS1コード,画像ファイルを記憶する欄401〜407が設けられており、それぞれが関連づけられて記憶されている。画像ファイルは、手術セット、器具または構成部品の画像が納められており、表示装置13を通じて適宜に画像が表示されるように構成されうる。
【0042】
図4は、第4記憶部104を具現化したデータベース420の構成例である。
ここでは、手術セットのセットID,器具ID,部品ID,作業ID1,作業エリアID1,作業具ID1,作業ID2,作業エリアID2,作業具ID2,作業具ID3を記憶する欄421〜430が設けられており、それぞれが関連づけられて記憶されている。このうち、作業ID1,作業エリアID1,作業具ID1を記憶した欄424〜426には、洗浄作業、洗浄エリア、洗浄作業で用いられる作業具に関する情報が記憶されている。作業ID2,作業エリアID2,作業具ID2,作業具3を記憶した欄427〜430には、組立作業、組立エリア、組立作業で用いられる作業具、封止作業で用いられる作業具に関する情報が記憶されている。
【0043】
第4記憶部104に記憶される情報は、かかる形態に限らない。第4記憶部104は、例えば、器具または構成部品と、複数の作業または作業が施される複数の作業エリアと、作業具とを関連づけて記憶しているとよい。さらに、器具および構成部品に施される複数の作業と、複数の作業の作業手順と、複数の作業のうちそれぞれの作業で必要とされる作業具とが、関連付けられて記憶されていてもよい。また、第4記憶部は、作業または作業エリア毎に、器具または構成部品と、作業具40とを関連付けて記憶していてもよい。
【0044】
第1処理部201は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、検知された個体情報に基づいて器具または構成部品を特定するようにプログラムされている。この実施形態では、リーダー11によって検知された個体情報は、通信ネットワーク15を通じて処理装置14に伝達される。当該個体情報は、例えば、処理装置14において一時的に記憶される。処理装置14は、リーダー11によって検知された個体情報を記憶するための、予め定められた記憶領域を備えているとよい。
ここで、リーダー11によって個体情報が検知された際に、検知された個体情報に基づいて器具または構成部品を特定することには、例えば、2つの形態がある。
第1の形態は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、検知された個体情報に基づいて特定される器具または構成部品を特定することである。
第2の形態は、リーダー11によって個体情報が検知された際に、検知された個体情報に基づいて特定された器具または構成部品が属する手術セットを特定し、さらに手術セットに属する器具および構成部品を特定することである。
【0045】
第1処理部201では、例えば、リーダー11によって検知された個体情報に基づいて個体情報が特定される。次に、第3記憶部103に記憶された情報に基づいて、特定された個体情報から器具IDまたは部品IDが特定される。
また、他の形態として、第1処理部201では、リーダー11によって検知された個体情報に基づいて器具IDまたは部品IDが特定されると、第2記憶部102に記憶された情報に基づいてセットIDが特定される。セットIDが特定されると手術セットが特定される。さらに、セットIDに基づいて、手術セットに属する器具および構成部品が全て特定される。
このように、第1処理部201では、リーダー11によって個体情報が検知された際に、当該個体情報で特定される器具または構成部品が特定されてもよいし、当該個体情報で特定される器具または構成部品が属する手術セットに属する全ての器具または構成部品が特定されてもよい。
【0046】
第2処理部202は、作業または作業エリアを特定するようにプログラムされている。
ここで、第1処理部201では、リーダー11によって個体情報が検知された際に、検知された個体情報に基づいて、器具若しくは構成部品、または、器具若しくは構成部品が属する手術セットが特定される。第2処理部202では、例えば、第1処理部201で特定された器具若しくは構成部品が特定されると、器具または構成部品の器具IDまたは部品IDが特定される。また、第1処理部201で手術セットが特定されると、手術セットに属する器具または構成部品の器具IDまたは部品IDが特定される。
さらに、第2処理部202では、特定された器具IDまたは部品IDに基づいて、第4記憶部104に記憶された情報から、器具または構成部品に施される作業または作業エリアと、当該作業または作業エリアで必要とされる作業具40とが特定される。
【0047】
第3処理部203は、当該作業または作業エリアで必要とされる作業具40とを特定するようにプログラムされている。第3処理部203は、例えば、第1処理部201で特定された器具または構成部品と、第2処理部202で特定された作業または作業エリアと、第4記憶部104に記憶された情報とに基づいて、当該作業または作業エリアで必要とされる作業具とを特定するようにプログラムされているとよい。
【0048】
第4処理部204は、第2処理部202で特定された作業または作業エリアにおいて、第3処理部203で特定された作業具40が置かれた定置装置12に設けられたセンサ122に基づいて、作業具40が使用されたことが検知されたか否かを判定するようにプログラムされている。
このシステム10によれば、第4処理部204は、第2処理部202で特定された作業または作業エリアにおいて、第3処理部203で特定された作業具40が使用されたことが検知されたか否かを判定する。つまり、予め定められた作業または作業エリアにおいて、予め定められた作業具40が使用されたか否かが判定できる。このため、予め定められた作業または作業エリアにおいて、予め定められた作業具40が使用されていない場合には、警告音を鳴らすなど、ユーザーにその情報を知らせることができ、予め定められた作業具40が確実に使用されるように対応することができる。これにより、作業具の取り間違いなどが防止されうる。
【0049】
例えば、第4記憶部104は、
図4に例示されたデータベースで構成されうる。この場合、Set1のセットIDで特定される手術セットついて、器具IDがBOM1で特定された器具の洗浄作業(作業ID1:Wash1)において、作業具IDがBrush1で特定される作業具が用いられるとよい。この場合、処理装置14の第1処理部201によって、器具IDがBOM1に特定される。第2処理部202によって作業ID1がWash1に特定される。第3処理部203によって作業具IDがBrush1に特定される。第4処理部204では、第2処理部202で特定された作業(すなわち、Wash1)において、第3処理部203で特定された作業具(すなわち、Brush1)が使用されたことが検知されたか否かが判定されるとよい。
【0050】
ここで、作業具40が利用されたことは、定置部121やセンサ122の構造によって異なる。例えば、洗浄道具やメンテナンスオイルの容器のように作業具40が、使用されるときに定置部121から取り外され、かつ、使用された後で定置部121に戻される場合がある。この場合、センサ122は、例えば、定置部121から作業具40が取り外されたこと、または、定置部121から作業具40が置かれたことを検知するように構成されているとよい。また、滅菌インジケータのように作業具40が定置部121に置かれており、使用されるときに定置部121から取り出されて使用される場合、センサ122は、定置部121から作業具40が取り出されたことを検知するように構成されているとよい。
【0051】
図5および
図6は、それぞれ定置装置12の一例を示す模式図である。ここでは、定置装置12の一実施形態を例示する。定置装置12は、ここで例示される実施形態に限定されず、作業具40に応じて適当な構造が採用されうる。
【0052】
図5は、滅菌インジケータの定置装置12Aを示す斜視図である。この定置装置12Aは、滅菌インジケータを収容するための容器12A1を備えている。
図5では、定置装置12Aの筐体の一側面を図示せず、内部の容器12A1が見えるように図示されている。容器12A1には、蓋12A2が設けられている。蓋12A2の上部に回動軸12A3が設けられており、蓋12A2は、上縁に沿って開閉する。蓋12A2の下部には、蓋12A2の開閉を検知するためのセンサ12A4が設けられている。センサ12A4は、マグネットセンサで構成されている。センサ12A4は、磁石と、磁石が近接したことを検知するセンサ部とで構成されている。磁石は、蓋12A2の下側部に取り付けられている。センサ部は、蓋12A2が閉められた状態で、蓋12A2の側方に配置された筐体12A5において、磁石に近接する位置に設けられている。このセンサ12A4によれば、蓋12A2が開いた状態、閉まっている状態がそれぞれ検知される。このため、所定の作業において、蓋12A2が閉まっている状態から蓋12A2が開いた状態になると、滅菌インジケータが使われたことが推定されうる。
【0053】
また、この実施形態では、定置装置12Aは、報知部123としてのランプ12A6と、発電装置としての太陽光パネル12A7とを備えている。ランプ12A6は、蓋12A2に設けられている。太陽光パネル12A7は、蓋12A2の側方に配置された筐体12A5の側面に設けられているとよい。また、蓋12A2の側方に配置された筐体12A5には、太陽光パネル12A7によって得られるエネルギーによって駆動する制御装置12A8が内蔵されている。制御装置12A8は、無線通信可能に構成された通信装置と、ランプ12A6の発光を制御する装置とを備えている。制御装置12A8は、蓋12A2が開いた状態、閉まっている状態を検知するセンサ12A4の検知情報を発信する。発信された検知信号は、サーバー70によって受信され、予め定められたプログラムに沿って滅菌インジケータが使用されたか否かが判定される。ランプ12A6は、制御装置12A8によって制御されて所定のタイミングで発光する。サーバー70は、予め定められたプログラムに沿って、当該定置装置12Aに納められた滅菌インジケータが使用されるべきタイミングで、ランプ12A6を発光させるように制御装置12A8を制御するように構成されている。これによって、当該定置装置12Aに納められた滅菌インジケータが使用されるべきタイミングが、ユーザーに報知される。
【0054】
図6は、メンテナンスオイルのスプレー缶が置かれる定置装置12Bを示す斜視図である。この定置装置12Bは、筐体12B1と、揺動プレート12B2と、揺動軸12B3と、ボタン12B4と、ランプ12B5と、発電素子12B6と、制御装置12B7とを備えている。筐体12B1は、直方体の箱状の部材である。
図6は、筐体12B1の一側面を図示せず、筐体12B1の内部が見えるように図示されている。
【0055】
筐体12B1の上面には、開口部12B8が形成されている。開口部12B8には、スプレー缶が置かれる定置部121が設けられている。
筐体12B1には、揺動プレート12B2が配置されている。揺動プレート12B2の一端は、開口部12B8に延びており、揺動プレート12B2の他端は、揺動軸12B3に取り付けられている。揺動軸12B3は、筐体12B1に支持されている。揺動プレート12B2は、筐体12B1内において、揺動軸12B3が設けられた一端を起点に揺動する。揺動プレート12B2の開口部12B8に延びた部位は、筐体12B1に仕込まれたバネ(図示省略)によって、上方に持ち上げられている。揺動プレート12B2の先端には、係止片12B9が延びており、筐体12B1の側面に形成された窓12B10に嵌まっている。揺動プレート12B2の揺動の上限は、係止片12B9が窓12B10の上縁に当たる位置である。揺動プレート12B2の揺動の下限は、係止片12B9が窓12B10の下縁に当たる位置である。
【0056】
揺動プレート12B2は、開口部12B8にスプレー缶が置かれるとスプレー缶の重さで押し下げられる。ボタン12B4は、揺動プレート12B2の揺動を検知するように構成されているとよい。この実施形態では、ボタン12B4は、揺動プレート12B2の下方に配置されている。揺動プレート12B2が、下方へ押し下げられる際に、ボタン12B4が押される。
【0057】
ボタン12B4には、センサが付いており、制御装置12B7は、揺動プレート12B2が押し下げられたこと、あるいは、揺動プレート12B2が押し下げられた状態から上方へ押し上げられた位置に戻されたことを検知する。メンテナンスオイルのスプレー缶は、筐体12B1の開口部12B8に置かれている。スプレー缶が、定置部121としての筐体12B1の開口部12B8に置かれていると、揺動プレート12B2はスプレー缶によって押し下げられる。揺動プレート12B2が押し下げられた状態は、開口部12B8にスプレー缶が置かれていると推定されうる。
スプレー缶が筐体12B1の開口部12B8から取り外された場合には、揺動プレート12B2はバネにより押上げられる。揺動プレート12B2が押し下げられた状態から押し上げられた状態になると、開口部12B8からスプレー缶が取り外されたと推定されうる。制御装置12B7は、揺動プレート12B2が押し下げられた状態か、揺動プレート12B2が押し上げられた状態かを検知し、検知情報を発信する。発信された検知信号は、サーバー70によって受信され、予め定められたプログラムに沿ってスプレー缶が使用されたか否かが判定される。
【0058】
発電素子12B6は、例えば、揺動プレート12B2の揺動を受けて発電するように構成されているとよい。この実施形態では、揺動プレート12B2の揺動を受けてボタン12B4が押された際に、発電素子で微小電力が発電されるように構成されている。そして、発電された微小電力をコンデンサーに蓄電し、蓄電された電力によって検知信号を発信している。
【0059】
制御装置12B7は、無線通信可能に構成された通信装置と、報知部123としてのランプ12B5の発光を制御する装置とを備えている。ランプ12B5は、制御装置12B7によって制御されて所定のタイミングで発光する。サーバー70は、予め定められたプログラムに沿って、当該定置装置12Bに定置されたスプレー缶のメンテナンスオイルが使用されるべきタイミングで、ランプ12B5を発光させるように制御装置12A8を制御するように構成されている。これによって、当該定置装置12Bに定置されたスプレー缶のメンテナンスオイルが使用されるべきタイミングが、ユーザーに報知される。
【0060】
このように定置装置12のセンサ122は、定置部121から作業具40が取り外されたこと、および、定置部121から作業具40が置かれたことが検知できるように構成されていてもよい。この場合、処理装置14は、第5処理部205と第6処理部206とをさらに備えているとよい。
ここで、第5処理部205は、第2処理部202で特定された作業または作業エリアにおいて、作業または作業エリアで必要とされる作業具40が置かれた定置装置12のセンサ122によって、定置部121から作業具40が取り外されたことを検知したか否かを判定するようにプログラムされているとよい。第6処理部206は、第5処理部205で、定置部121から作業具40が取り外されたことを検知した場合に、さらに定置部121から作業具40が置かれたことが検知されたか否かを判定するようにプログラムされているとよい。
【0061】
この場合、システム10は、作業と必要とされる作業具40が定置部121から取り外された後で、定置部121に戻されたことを判定できる。つまり、作業具40が使われた後、元の位置に戻されたことを判定することができる。この場合、作業具40が定置部121から取り外された後で、予め定められた時間が経っても、定置部121に戻されたことが判定されない場合には、作業具40を定置部121に戻すことをユーザーに知らせるようにプログラムされた処理部をさらに備えていてもよい。作業具40を定置部121に戻すことをユーザーに知らせるための処理としては、当該作業具40が置かれる定置部121を備えた定置装置12の報知部123を作動させてもよい。報知部123が表示灯である場合には、点灯させたり、点滅させたりしてもよい。また、報知部123がスピーカーである場合には、予め定められた警報音を発したり、音声ガイダンスを流したりしてもよい。例えば、
図6に示されているような定置装置12Bでは、作業具40としてのスプレー缶が使用後に定置部121に戻されていることが、ボタン12B4に備えられたセンサが検知する上で必要になる。この場合、上記のように作業具40としてのスプレー缶が定置部121に戻されたことを判定できるように構成されていることが好ましい。
【0062】
第4記憶部104は、器具または構成部品と、複数の作業または作業が施される複数の作業エリアと、作業具40とを関連づけて記憶していてもよい。
例えば、
図4に示されているように、器具または構成部品に施される洗浄作業、組立作業などの複数の作業と、それぞれの作業で必要とされる作業具40とが関連付けられて記憶されているとよい。また、第4記憶部104では、洗浄作業では用いられる道具、組立作業で使用するメンテナンスオイル、封止作業で用いられる封印具、滅菌作業で用いられるインジケータなどが、器具または構成部品毎に定められているとよい。
【0063】
この場合、第2処理部202では、洗浄作業、組立作業などの複数の作業または作業が施される複数の作業エリアが特定されうる。第3処理部203では、第2処理部202で特定された複数の作業または複数の作業エリアについて、それぞれ作業具が特定される。
さらに、第4処理部204では、複数の作業または複数の作業エリアで、それぞれ予め定められた作業具40が用いられたか否かを判定するとよい。つまり、システム10は、洗浄作業や組立作業のような複数の作業で、それぞれ作業具40を特定することができ、適切に作業具40が使用されたか否かを判定することができる。
【0064】
例えば、第4記憶部104が、
図4に例示されたデータベースで構成されている場合について説明する。この場合、第1処理部201で、器具IDがBOM3で特定される器具が特定された場合、第2処理部202では、洗浄作業(作業ID1:Wash1)、組立作業(作業ID2:Ass1)など複数の作業または作業エリアが特定される。そして、第3処理部203では、第2処理部202で特定された複数の作業または複数の作業エリアについて、それぞれ作業具が特定される。器具IDがBOM3で特定される器具については、洗浄作業(作業ID1:Wash1)に対して、作業具IDがbrush2のブラシが特定される。組立作業(作業ID2:Ass1)では、作業具IDがoil2のメンテナンスオイルが特定される。さらに組立後の封止具として作業具IDがcase1の封止ケースが特定される。
【0065】
また、第2処理部202は、予め定められた複数の作業または作業エリアのうち1つの作業または作業エリアを特定するようにプログラムされているとよい。
【0066】
例えば、第2処理部202は、例えば、器具または構成部品に施される作業または作業エリアが入力される入力部を表示装置13に表示するようにプログラムされていてもよい。この場合、ユーザーによって、表示装置13に表示された入力部に、器具または構成部品に施される作業が入力されうる。第2処理部202は、入力部に入力された情報に基づいて、器具または構成部品に施される作業を特定するようにプログラムされているとよい。
【0067】
例えば、第2処理部202は、予め定められた複数の作業または複数の作業エリアを表示装置13に表示するようにプログラムされているとよい。この場合、表示された複数の作業または複数の作業エリアのうち1つの作業または作業エリアをユーザーが指定することによって、作業または作業エリアが入力されるように構成されていてもよい。
また、表示装置13がタッチパネルである場合には、ユーザーによるタッチ操作によって、表示装置13に表示された複数の作業または複数の作業エリアのうち1つの作業または作業エリアが指定されるようにプログラムされていてもよい。
このように第2処理部202は、器具または構成部品に施される作業または作業エリアが予め定められた複数の作業または複数の作業エリアから1つの作業または作業エリアが、ユーザーによる指定処理やタッチ操作によって選択されるようにプログラムされているとよい。
【0068】
また、
図2に示された形態では、各作業エリアにA〜Cにそれぞれ操作端末51〜55が置かれている。この場合、操作端末51〜55によって作業エリアが特定される。第2処理部202は、各端末51〜55によって、作業エリアA〜Cが特定されるように構成されていてもよい。つまり、処理装置14は、操作端末51〜55と、作業または作業エリアを関連付けて記憶した記憶部を備えていてもよい。この場合、例えば、ユーザーが、操作端末53を操作した場合には、当該操作端末53に関連付けられた作業エリアが特定されうる。つまり、第2処理部202は、作業または作業エリアに関連付けられた操作端末53によって、1つの作業または1つの作業エリアが特定されるようにプログラムされていてもよい。
【0069】
また、処理装置14は、リーダー11と、作業または作業エリアを関連付けて記憶した第5記憶部105を備えていてもよい。この場合、第2処理部202は、個体情報がリーダー11によって検知された場合に、個体情報が検知されたリーダー11と、第5記憶部105に記憶された情報とに基づいて、作業または作業エリアを特定するようにプログラムされているとよい。例えば、第2処理部202は、作業エリアに置かれたリーダー11によって個体情報が検知された場合に、第5記憶部に記憶された情報に基づいて、リーダー11に関連付けられた作業または作業エリアが特定されるように構成されていてもよい。
【0070】
例えば、
図2に示された形態では、リーダー61は回収エリアAに配置されている。リーダー62は洗浄エリアBに配置されている。リーダー63は組立エリアCに配置されている。この場合、第5記憶部105では、リーダー61は回収エリアAに関連付けられているとよい。リーダー62は洗浄エリアBに関連付けられているとよい。リーダー63は組立エリアCに関連付けられているとよい。そして、リーダー61で個体情報が検知された場合には、第2処理部202において回収作業または回収エリアAが特定されるように構成されているとよい。リーダー62で個体情報が検知された場合には、第2処理部202において洗浄作業または洗浄エリアBが特定されるように構成されているとよい。リーダー63で個体情報が検知された場合には、第2処理部202において組立作業または組立エリアCが特定されるように構成されているとよい。さらに、第3処理部203では、このように第2処理部202で特定された作業または作業エリアについて、作業具40が特定される。さらに、第4処理部204では、第2処理部202で特定された作業または作業エリアについて、作業具40が用いられたか否かが判定される。この場合、作業エリアに置かれたリーダー11で個体情報を読み込むことによって、作業具が特定されるので、作業具の特定が容易になる。
【0071】
また、システム10は、表示装置13をさらに備えていてもよい。この場合、処理装置14は、第1処理部で特定された器具または構成部品と、第2処理部202で特定された作業または作業エリアと、第3処理部203で特定された作業具40とを、表示装置13に表示するようにプログラムされた第7処理部207をさらに備えているとよい。
第7処理部207を備えた実施形態では、器具または構成部品と、作業または作業エリアと、作業具40とが、表示装置13に表示されるので、ユーザーは、器具または構成部品に対して、作業または作業エリアにおいて、どの作業具40を使用するべきかを、表示装置13を見て容易に判断できるようにシステム10を構成することができる。
【0072】
第4記憶部104は、器具および前記構成部品に施される複数の作業と、作業手順と、複数の作業のうちそれぞれの作業で必要とされる作業具とが、関連付けられて記憶されていてもよい。第2処理部202は、第4記憶部104に記憶された作業手順に基づいて、器具または構成部品に施される作業を順に特定するようにプログラムされていてもよい。例えば、
図4に示されたデータベースでは、作業ID1、作業ID2、作業ID3は、作業手順に基づいて順番が定められている。これにより、器具または構成部品に施される作業および作業具が順に特定されるように構成されているとよい。この場合、さらに第7処理部207は、1つの作業が完了すると、次の作業または作業エリア、および、作業具が表示装置13に表示されるようにプログラムされた処理部を備えていてもよい。
【0073】
定置装置12は、
図1に示されているように、予め定められた報知処理を実行するように構成された報知部123をさらに備えていてもよい。この場合、処理装置14は、第3処理部203で特定された作業具40が置かれた定置装置12の報知部123を作動させるようにプログラムされた第8処理部208をさらに備えているとよい。
第8処理部208を備えた実施形態では、第3処理部203で特定された作業具40が置かれた定置装置12の報知部123が作動するので、ユーザーが当該作業または作業エリアで使用する作業具40を誤りにくい。
【0074】
例えば、リーダー11によって個体情報が検知され、作業対象となる器具または構成部品、および、作業または作業エリアが特定された場合に、特定される作業具40が置かれた定置装置12の報知部123が作動するように構成されていてもよい。この場合、ユーザーは、リーダー11に個体情報を検知させることによって、使用するべき作業具40が置かれた定置装置12の報知部123が作動する。このため、ユーザーが当該作業または作業エリアで使用する作業具40を誤りにくい。
【0075】
また、第4記憶部104は、器具および前記構成部品に施される複数の作業と、作業手順と、複数の作業のうちそれぞれの作業で必要とされる作業具とが、関連付けられて記憶されていてもよい。1つの作業が完了すると、次の作業または作業エリアの作業具40が置かれた定置装置12の報知部123が作動するようにプログラムされていてもよい。この場合、1つの作業が完了すると、次の作業または作業エリアで使用する作業具40が置かれた定置装置12の報知部123が作動するので、ユーザーは、次の作業または作業エリアで使用する作業具40を誤りにくい。
【0076】
処理装置14は、第6記憶部106と、第9処理部209と、第10処理部210と、第11処理部211とをさらに備えていてもよい。
【0077】
ここで、第6記憶部106は、器具または構成部品に施される作業と、ユーザーIDと、作業が施された日時とを関連付けて記憶している。
図7は、第6記憶部106を具現化したデータベース440の構成例である。
図7では、セットID、器具ID、部品IDを特定する欄441〜443、作業ID、作業具IDを特定するための欄444〜446、ユーザーIDと、作業日時を記録する欄447,448が順に設けられている。セットID、器具ID、部品IDを特定する欄441〜443は、それぞれ手術セット、器具、構成部品を特定するための情報が記録されている。作業ID、作業具IDを特定するための欄444〜446は、作業および作業具40を特定するための情報が記録されている。ユーザーIDの欄447には、器具または構成部品に作業IDで特定された作業を施したユーザーを特定する情報が記録される。この欄447には、ユーザーに一対一で割り当てられたユーザーIDが記録されるとよい。また、作業日時の欄448には、器具または構成部品に作業IDで特定された作業が施された日時が記録される。
図7に示されたデータベースの場合、器具または構成部品毎、または、作業毎にユーザーIDと作業日時が記録されるように構成されているとよい。
【0078】
第9処理部209は、第2処理部202で特定された作業において、作業が施された日時を取得するようにプログラムされている。
第10処理部210は、第2処理部202で特定された作業において、作業を施すユーザーIDを取得するようにプログラムされている。
第11処理部211は、第2処理部202で特定された作業と、第9処理部209で取得された作業が施された日時と、第9処理部209で取得されたユーザーIDとを、第6記憶部106に記憶するようにプログラムされている。
【0079】
例えば、表示装置13に、作業終了を記録するためのボタンを表示させておき、組立作業が終わった時にユーザーが当該ボタンを操作するようにしてもよい。この操作により作業が完了した日時が操作端末の時計機能によって特定されて第6記憶部106の作業日時に記録されるように構成されていてもよい。また、例えば、操作端末にユーザーIDを入力してもよいし、操作端末に設けられたリーダーによってユーザーが携帯するICタグからユーザーIDを読み取って第6記憶部106のユーザーIDの欄に記録されるように構成されていてもよい。この場合、各作業についてユーザーIDと作業日時が記録されるので、各器具または構成部品について、作業履歴を得ることができる。このため、各器具または構成部品について、各作業履歴の追跡が容易になる。
【0080】
以上、ここで提案される手術セットの作業管理システムの一実施形態を種々説明したが、ここで提案される手術セットの作業管理システムは、上述した実施形態に限定されない。また、ここで提案される手術セットの作業管理システムは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。