特許第6806680号(P6806680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806680気液接触装置のための流体分配装置、気液接触装置、およびガスを液体に添加する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806680
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】気液接触装置のための流体分配装置、気液接触装置、およびガスを液体に添加する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20201221BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20201221BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20201221BHJP
   B01D 69/08 20060101ALI20201221BHJP
   C01B 13/11 20060101ALI20201221BHJP
   C01B 13/10 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   B01J4/00 102
   B01D53/22
   B01D63/02
   B01D69/08
   C01B13/11 L
   !C01B13/10 D
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-530041(P2017-530041)
(86)(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公表番号】特表2017-537783(P2017-537783A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015078820
(87)【国際公開番号】WO2016091802
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】102014118130.1
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509156387
【氏名又は名称】テヒーニィシエ ウニヴェルジテート ベルリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ザーベルフェルト,マリナ
(72)【発明者】
【氏名】ガイセン,スヴェン−ウーヴェ
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第96/007471(WO,A1)
【文献】 特開2003−245525(JP,A)
【文献】 特開平09−285794(JP,A)
【文献】 特開昭62−292604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00− 7/02
B01D 61/00−71/82
B01D 53/22
C01B 13/00−13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空繊維(3)が配設され、当該中空繊維(3)を囲む空間(9)が構成されるハウジング(2)を有する気液接触装置(1)を使用する、ガスを液体に添加する方法であって、
a)ガスを添加する液体(4)を前記気液接触装置(1)の前記中空繊維(3)を囲む前記空間(9)に導入するステップと、
b)ガス(12)を前記気液接触装置(1)の前記中空繊維(3)に導入するステップと、
c)ガスを添加する前記液体(4)および前記ガス(12)が前記気液接触装置(1)を流れることを可能にするステップと、
d)ガスを添加した液体(11)を得るステップと
を含み、
ガスを添加する前記液体(4)および前記ガス(12)が前記気液接触装置(1)の中を逆の流れで流れ、
前記気液接触装置(1)が流体分配装置(7、13)を備え、当該流体分配装置(7、13)が、第1の側部(18)および第2の側部(19)と;前記第1の側部(18)から前記第2の側部(19)まで延在し、ガスを添加する前記液体(4)が流れる複数の貫通孔(8)と;前記第1の側部(18)と前記第2の側部(19)とによって区切られ、前記貫通孔(8)に対して流体密に設計された内部空間と;前記内部空間を前記第2の側部(19)に接続する複数の開口(20)と;前記ガスが前記内部空間に導入される、または、前記内部空間から排出される流体コネクタ(14、15)と;を備え、
前記流体分配装置(7、13)の前記貫通孔(8)が前記中空繊維(3)を囲む前記空間(9)と流体連通し、かつ前記流体分配装置(7、13)の前記開口(20)が前記中空繊維(3)の内部領域と流体連通するように、前記流体分配装置(7、13)が配設されており、
前記流体分配装置(7、13)の前記貫通孔(8)が前記開口(20)の直径より大きい直径を有し、前記貫通孔(8)および前記開口(20)が円形型設計であることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記中空繊維(3)が、多孔性疎水性材料を有する膜を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法において、ガスを添加する前記液体(4)の液圧が前記ガス(12)のガス圧より高いことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記中空繊維(3)が、無細孔性およびガス透過性疎水性材料を有する膜を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法において、ガスを添加する前記液体(4)の液圧が前記ガス(12)のガス圧より低いことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、ガスを添加する前記液体(4)がオゾンに曝される液体であり、前記ガス(12)がオゾン含有ガスであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、前記気液接触装置の前記流体コネクタから出る前記オゾン含有ガスは、利用されていない大量の酸素を含んでいる酸素含有ガスであり、当該酸素含有ガスが、
a)前記酸素含有ガス中のオゾンの残量を分解するステップと;
b)前記酸素含有ガスの炭化水素濃度が20ppmを超える場合に、前記酸素含有ガス中の前記炭化水素濃度を20ppm未満に低下させるステップと;
c)前記酸素含有ガスを除湿するステップと;
d)前記除湿した酸素含有ガス中の酸素濃度を少なくとも85容量%まで上昇させるステップと;
e)オゾン含有ガスを再び得られるよう、前記除湿して酸素を増やしたガスを、オゾンを発生させるために前記ガスが用いられるオゾン発生器に移動させるステップと;
を含む排出ガス処理を受けることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、前記流体分配装置の前記第1の側部(18)および前記第2の側部(19)がそれぞれ、円形型ベース領域を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記流体分配装置の前記流体コネクタ(14、15)が、前記流体分配装置(7、13)の側方周囲上に配設されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、前記気液接触装置(1)が、第1の端部(5)から第2の端部(10)まで、長手方向の範囲の方向に沿って延在し、前記流体分配装置(7、13)が、前記気液接触装置の前記第1の端部(5)上または前記第2の端部(10)上に配設されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記気液接触装置(1)が2つの流体分配装置(7、13)を有し、一方の前記流体分配装置(7)が前記第1の端部(5)上に配設され、他方の前記流体分配装置(13)が前記第2の端部(10)上に配設されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記気液接触装置(1)が、前記気液接触装置(1)の長手方向の範囲の方向において外側である前記流体分配装置(7、13)の側面上にそれぞれ配設され、且つ前記気液接触装置(1)をラインシステムに接続するのに役立つ2つのフランジ(6、17)を備える特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による流体分配装置、請求項5の前文による気液接触装置、および、請求項12の前文によるガスを液体に添加する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを液体に添加する必要があるさまざまな応用分野は、先行技術により知られている。たとえば、飲水、プロセス水、および排水のオゾン処理(オゾン化とも呼ばれる)は、容易に生物分解可能ではない有機物の酸化、および、消毒のために実行される。多くの場合、液体へのガスの添加は、ベンチュリインジェクタシステム、ロウソクによるガス処理、柱でのガス処理、または、回転混合器経由のガス処理による、微細気泡の形態での液体へのガスの分配によって実行される。
【0003】
膜接触装置が採用される無気泡ガス処理システムも先行技術により知られている。維持される圧力に関するそれぞれの動作条件が守られるとき、多くの場合に微細気泡を有するガスの液体への導入の事例となる発泡は、この種類の膜接触装置によって避けられる。さらに、膜接触装置は、液滴およびその中に溶解される物質が気泡によって混入しないという利点を提供する。膜接触装置が気液接触装置として採用される場合、膜接触装置は他の気液接触装置より圧力損失が小さく、液体の搬送に必要なエネルギーがより小さいので、ガス処理に必要なエネルギー所要量は減少する。さらに、膜接触装置は、空間に関する所要量が、他の気液接触装置より実質的に小さい。この種類の膜接触装置で採用される膜は、同様に無気泡の方法で作動するとき、液体に含有される物質および液体蒸気に対する輸送障壁として働き、排出段階が標準的な(分散させる)気液接触装置による事例よりも少ない液体および少ない汚染物質による負担を受ける。
【発明の概要】
【0004】
ほとんどの場合、膜接触装置は、互いに平行であるように配設される中空繊維から構築され、ガスを添加する液体が中空繊維の内部を流れて、ガスが中空繊維のまわりを流れる、または、ガスを添加する液体が中空繊維のまわりを流れて、ガスが中空繊維の中を流れる、の何れかである。中空繊維の内部がガスを添加する液体によって満たされるとき、多くの場合、特に(たとえば排水などの)懸濁固体で汚染される液体の場合、中空繊維が詰まる問題が生じる。
【0005】
対照的に、液体が中空繊維の外側で膜接触装置の中を流れるとき、先行技術により知られている膜接触装置は、液相に好ましくないフロープロファイルを有する。
【0006】
したがって、欧州特許第1485193B1号明細書は、たとえば、ガスを添加する液体が、側方コネクタを経由して膜接触装置に誘導され、再び別の側方コネクタを経由して膜接触装置から外に向けられる膜接触装置を説明している。それにより、一方では、デッドゾーンが形成されるような、膜接触装置の周辺ゾーンにおけるより不十分な灌流が発生する。さらに、液体が減少するように誘導されるときに中空繊維によって作られる逆圧のために、膜接触装置の複雑な内部設計が必要である。このために、上記の欧州特許は、少なくとも、空間的に導入ポートに近い領域において、ガスを添加する液体の膜接触装置への流入の改善を可能にすることが意図されるスペーサの使用を提供する。この種類のスペーサまたは他のものの設置は、モジュールを通して液体を搬送するときに、より大きい圧力損失を生じ、モジュールにおける不十分に灌流される周辺ゾーンの問題を解決しない。
【0007】
液体を脱ガスするための膜接触装置は、米国特許第6,402,818B1号明細書により知られている。本明細書で脱ガスされる液体は、膜接触装置の中央に配設される分配チューブを経由して膜接触装置の個々の中空繊維の間のキャビティに導入され、中空繊維に対して垂直に膜接触装置から排出される。それにより、中空繊維に対して横断方向である液相の径方向の流れが生じ、中空繊維自体は液体分配チューブと平行に配設されている。その結果、膜接触装置における液体の全体的な滞留時間は減少し、そのため、液相と気相との間の接触時間が減少する。さらに、中空繊維に対して横断方向である入射流れの場合の圧力損失は平行な入射流れと比較してかなり大きく、液体の輸送がより大きいエネルギー入力と関連付けられる。
【0008】
先行技術において未解決であるさらなる問題は、水および他の液体をオゾンに曝す方法の経済性である。したがって、オゾンまたはオゾン含有ガスが液体に誘導されるとき、排出ガスとしてそこから流出する気相は、まだ利用されていない大量の酸素を含有し続けている。しかしながら、液体をオゾンに曝すこのような方法のエネルギーコストの約2/3は、酸素の製造に関連している。実際、酸素回収は、米国特許第4,132,637A号明細書ですでに提案されているが、この米国の特許で説明される方法によって作動するオゾン発生器の寿命は比較的短いことが示されている。
【0009】
本発明は、先行技術により知られている欠点を克服する目的に基づく。特に、気液接触装置の流れ状態を改善するための可能性が、気液接触装置の効率を向上させるために、提供される。したがって、本発明は、液体をガス処理するときの効率を向上させる装置および方法を指定する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する、気液接触装置のための流体分配装置によって達成される。この種類の流体分配装置は、それぞれ、第1の表面または第1の側部、および、第2の表面または第2の側部をそれぞれ有する。さらにまた、第1の側部から第2の側部まで延在し、第1の流体を流すことができる多数の貫通孔が、流体分配装置に設けられる。これは、これらの貫通孔が第1の流体に対して透過性であることを意味する。これらの貫通孔は、通常、第1の流体としての液体が流れることができる肉眼で可視の貫通孔とすることができる。
【0011】
前記流体分配装置が一方では、第1の側部および第2の側部によって区切られ、他方では、貫通孔に対して流体密に設計されている内部空間を有するという点で、流体分配装置は特徴づけられる。したがって、流体分配装置はキャビティ型設計形態を有し、ここで、キャビティは貫通孔とともに組み込まれるが、貫通孔はキャビティとは流体連通していない。貫通孔の中を流れることができる第1の流体は、結果的に、貫通孔経由で流体分配装置の内部空間を貫通することはできない。
【0012】
流体分配装置はさらに、内部空間を第2の側部に接続する多数の開口を有する。これは、流体分配装置の内部空間は気密密閉されていないが、第2の側部経由で、流体分配装置の外部領域と流体連通することを意味する。
【0013】
流体分配装置は、第2の流体を内部空間に導入できる、または、内部空間から排出できる流体コネクタを最終的に有する。第2の流体は通常、ガスである。ガスが流体コネクタを経由して流体分配装置の内部空間に導入される場合、その後、前記ガスは流体分配装置の内部空間から流れ出ることができる。本明細書の流体分配装置は、第1の流体および第2の流体が互いに混合されないことを保証する。むしろ、流体分配装置の意図された操作において、第1の流体は流体分配装置の第2の側部上の貫通孔を出て、一方、第1の流体は流体分配装置の第2の側部上の流体分配装置の内部空間を出る。必要に応じて、その後、第1の流体と第2の流体との接触を行うことができる。
【0014】
流体分配装置は、第1の流体および第2の流体のどちらに対しても透過性ではない材料から作られる。金属およびプラスチックが流体分配装置を作るために好適な材料であり、ここで、流体分配装置の中を流れることが意図されるそれらの流体に対して不活性である流体分配装置の設計形態が好ましい。
【0015】
1つの変形例において、流体分配装置の第1の側部および第2の側部は同一の設計のベース領域を有する。これにより、流体分配装置の特に簡単な製造が可能となる。
【0016】
1つのさらなる変形例において、流体分配装置の第1の側部および第2の側部はそれぞれ、円形型ベース領域を有する。本明細書における用語「円形型」は、「円形」ならびに「楕円形」の両方を含む。第1の側部は第2の側部から離間しているので、この変形例の流体分配装置は円筒状の全体的な設計を有する。これは、環状円筒形スリーブが第1の側部と第2の側部との間に構成されることを意味する。第1の側部の第2の側部からの間隔に応じて(したがって、円筒形スリーブの高さに応じて)、これは流体分配装置の内部空間のさまざまな体積をもたらす。しかしながら、流体分配装置は、流体を貯蔵するためではなく、流体を分配するために採用されるので、前記流体分配装置は特に大きい体積を有する必要はない。むしろ、前記流体分配装置は、内部空間の中を流れる流体が利用可能である空間が良好な流れ状態をさらに保証することができる限り、比較的平坦であるように設計することができる。
【0017】
円形型ベース領域は、このように設計される流体分配装置が膜接触装置として設計される気液接触装置の端部に容易に取り付けることができるという利点を有するが、それは、この種類の膜接触装置は通常、円筒状の設計、したがって円形型または円形のベース領域を同様に有するからである。本明細書における流体分配装置の寸法は、好ましくは、流体分配装置の採用が意図される膜接触装置の寸法に適合する。これは、流体分配装置の第1の側部のベース領域および第2の側部のベース領域が、それぞれ、流体分配装置が採用される気液接触装置のベース領域に実質的に対応することを意味する。
【0018】
1つの変形例において、貫通孔は開口の直径より大きい直径を有する。したがって、貫通孔は液体の処理に特に好適であり、一方、開口はガスの処理に特に好適である。流体分配装置の貫通孔ならびに開口はどちらも、本明細書において同じ設計を有することができる。貫通孔および開口の円形型設計形態が特に提供される。この種類の円形型、特に円形の設計形態は、製造技術に関して特に容易に実装することができ、流体分配装置の製造の複雑さを大きく減少させる。
【0019】
1つのさらなる変形例において、流体コネクタは、流体分配装置の側方周囲上に配設される。流体分配装置が円筒状の設計を有するとき、側方周囲はシリンダの円形スリーブである。それにより、第2の流体は横から流体分配装置に導入することができ、一方、第1の流体は第1の側部から正面に向けて流体分配装置の貫通孔に導入することができる。特に、流体コネクタの長手方向の範囲の方向がそれぞれ第1の側部に対してまたは第2の側部に対して約90°の角度で(すなわち85°〜95°、特に88°〜92°の角度で)配設されるように、流体コネクタは配設することができる。それにより、第2の流体が流体分配装置に流れ込む方向は、第1の流体が流体分配装置に流れ込む方向にほぼ垂直である。対照的に、流体分配装置の操作中、両方の流体は流体分配装置の第2の側部から同じ方向に流れ出る。流体分配装置の操作中、2つの流体の基本的な流れ方向が異なる(逆流操作)場合、第2の流体は、流出する第1の流体に正確に平行かつ反対であるように、流体分配装置に流れ込み、その後、第1の流体の流入方向にほぼ約垂直であるように、流体分配装置の流体コネクタから流体分配装置の貫通孔に流れ出る。
【0020】
すでに説明されたように、流体分配装置は、気液接触装置の中を流れる流体の最適化された流れ状態を保証するために、気液接触装置に接続されるために提供および構成される。したがって、本発明は、多数の中空繊維が配設され、中空繊維を囲む空間が構成されるハウジングを有する気液接触装置にも関する。本明細書における個々の中空繊維は好ましくは、互いに平行であるように並べられる。中空繊維は、気相および液相を気液接触装置において相互に接触して配置することを可能にするのに役立つ。この目的のために、中空繊維は、中空繊維膜の細孔が好ましくは水ではなくガスによって満たされるような撥水材料から作られる。ガスおよび水側のそれぞれに同様に加えられる圧力により、液体が細孔に進入しないこと、および、ガスが気泡の形態で液体に入らないことが保証される。このようにして、中空繊維をガスが灌流するとき、中空繊維のまわりを流れる液体へのガスの無気泡拡散入力を実現することができる。
【0021】
前記気液接触装置が上記説明による流体分配装置を有するという点で、気液接触装置は特徴づけられる。気液接触装置の中を流れる流体(特に、ガスを添加する液体、および液体に添加するガス)の流れ状態は、それにより最適化される。それにより、この種類の気液接触装置のエネルギー所要量は、従来の気液接触装置と比較して、さらに従来の膜接触装置と比較しても、大きく減少している。したがって、ガスによって定義された濃縮効果を達成するために、流れるときにガスを添加する液体が克服しなければならない逆圧の減少は、流れ状態を最適化することによって達成される。結果的に、液体の輸送に必要なエネルギー所要量も、より高い逆圧の場合より小さくなる。さらに、中空繊維の全長ならびに中空繊維のすべてがガスを添加する流れる液体と均一に接触するように配置されるので、ガスを添加する液体へガスを入力する効率は向上する。これは、液体へのガス入力に利用可能である中空繊維の膜区域が、流れに関して最適化されていない膜接触装置の場合より大きいことを意味する。
【0022】
1つの変形例において、気液接触装置は、第1の端部から第2の端部まで、長手方向の範囲の方向に沿って延在する。本明細書における流体分配装置は、気液接触装置の第1の端部上または第2の端部上に配設される。このように、気液接触装置に導かれる流体を接触装置に誘導することは、気液接触装置への入口ですでに流れ技術に関して最適化される方法で、特に容易に可能である。
【0023】
1つのさらなる変形例において、気液接触装置が2つの流体分配装置を有し、ここで、一方の流体分配装置は気液接触装置の第1の端部上に配設され、他方の流体分配装置は気液接触装置の第2の端部上に配設される。したがって、流れ技術に関して最適化された方法で、気液接触装置に導かれる流体を気液接触装置に誘導されることが一方では可能であり、同じ方法で、前記流体を気液接触装置から外に導くことも他方で可能である。それにより、流れ技術に関して全体的に最適化された気液接触装置を通しての流体の流れは、操作に必要なエネルギーに関する、および、液体へのガスの入力において必要である膜表面に関する、接触装置の特に高い効率が達成されるような結果となる。さらに、膜接触装置の流れ方向を、要求に応じて変えることが容易に可能である。
【0024】
1つの変形例において、気液接触装置は、サンドイッチ型構造が気液接触装置の端部にもたらされるような、気液接触装置の外側端部上に配設される2つのフランジを有する。本明細書における1つのフランジは、非常に外側にあるように配設され、流体分配装置および続く気液接触装置のハウジングは、連続して続く中空繊維を有する。本明細書における気液接触装置の2つの端部は同様に設計される。換言すれば、フランジは気液接触装置の長手方向の範囲の方向において外側である流体分配装置の側面上にそれぞれ配設される。本明細書におけるフランジは、気液接触装置をラインシステムに接続するのに役立つ。この種類のフランジを介して、1つまたは2つの流体分配装置で装備される気液接触装置を、既存のラインシステムに特に容易に組み込むことが可能である。それにより、ガスを添加する液体は、偏向板、中空繊維マット、または気液接触装置の中空繊維への横断方向の入射流れによる任意の偏向なしに、気液接触装置の中を流れることができる。その他の場合に生じる圧力損失はこのように避けられ、気液接触装置の詰まりのリスクは減少する。気相と液相との間の十分に長い接触時間は、気相の実質的な枯渇が生じるような、気液接触装置の中空繊維に対する液体の平行流れによって保証される。換言すれば、液体に導入される気相の成分は、高い比率で液体に実際に導入される。
【0025】
気液接触装置の長手方向で配設されるフランジによって、たとえば、既存のパイプラインシステムの一部は、本明細書において説明される気液接触装置によって容易に交換することができる。本明細書における一部は好ましくは、最大3メートル、特に最大2.5メートル、特に最大2メートル、特に最大1.5メートル、特に最大1メートル、特に最大0.8メートル、特に最大0.5メートル、および、特に最大0.3メートルの長さを有する。これは、気液接触装置が、0.3メートル〜3メートル、たとえば、特に0.5メートル〜2.5メートル、特に0.8メートル〜2メートル、および、特に1メートル〜1.5メートルの長さを有することを意味する。したがって、追加の流路を液体のガス処理のために提供する必要はない。むしろ、パイプラインシステムのすでに存在する流路を利用することができる。それにより、気液接触装置のための追加の空間割当ても必要としない。
【0026】
続いて液体での化学的な反応を開始することが意図されるガスが液体に誘導され、そのための膜接触装置の滞留時間が十分ではないとき、気液接触装置に続くパイプラインシステムの管部分が誘導されるガスに対する耐性のある材料から作られることは好適である。たとえば、オゾンが誘導される液体の種類に応じて、オゾン含有ガスからのオゾンを液体に誘導することが意図されるとき、まだ反応していないオゾンは、場合によっては液体とともにパイプラインシステムを通って流れる可能性がある。次いで、オゾンによるパイプラインシステムへの損傷を避けるために、気液接触装置に続くパイプライン部分をオゾン耐性材料から作ることは好都合である。
【0027】
ガスを添加する液体が上記の説明による流体分配装置を経由して気液接触装置に入るとき、前記液体は、気液接触装置の断面全体にわたって均一に分配され、プラグ流れの形態で接触装置を通り過ぎる。先行技術により知られている膜接触装置の場合に生じる不十分な流れ分配(デッドゾーンおよび短絡的な流れの形成)は、気液接触装置の内部空間が最良の方法で利用されるようなこの方法で避けられる。
【0028】
1つの変形例において、気液接触装置の長さの、気液接触装置の直径に対する比率は、5:1より大きく、特に8:1より大きく、特に10:1より大きく、特に12:1より大きく、特に15:1より大きく、そして、最も特に20:1より大きい。特に、8:1〜20:1、特に10:1〜18:1、および、最も特に12:1〜15:1の比率の範囲が、本明細書において提供される。このようにして、気相と液相との間の十分に長い接触時間が保証される。液体が高いオーバーフロー速度で気液接触装置の中を流れるとき、ガス入力の効率をさらに増加させることができる。本明細書におけるオーバーフロー速度は好ましくは、前記オーバーフロー速度が、気液接触装置が組み込まれるラインシステムの管における流速の大きさであるように選択される。この目的のために、気液接触装置の利用可能な断面は好ましくは、気液接触装置が配設されるパイプラインシステムのパイプライン断面にほぼ対応する。結果的に、本例の気液接触装置の断面は、気液接触装置における中空繊維の大きさ(中空繊維の数と中空繊維の断面積との乗算)に対応する量だけ、先行および/または後続の管部分の断面より大きい。流体分配装置のさらなる圧力損失は、気液接触装置を最良の方法で既存のプラントと一体化できるような方法で十分に大きい気液接触装置の利用可能な断面を選択することによって大部分は避けられる。本例の液体は、気液接触装置より前のパイプラインでの速度と同等の速度で、気液接触装置の中を流れることができる。
【0029】
1つの変形例において、流体分配装置は、流体分配装置の貫通孔が中空繊維を囲む空間とのみ流体連通し、流体分配装置の開口が中空繊維の内部領域とのみ流体連通するように気液接触装置に配設される。この目的のために、中空繊維は、流体分配装置に固定的に接続することができる。この種類の固定された接続は、たとえば、溶接、接着結合、またははめ込みによって実現できる。結果として、流体分配装置の貫通孔を経由して気液接触装置に入る液体は、中空繊維を囲む空間の中のみ流れることができる。しかしながら、液体は中空繊維の内部領域にいかなる状況でも入ることができない。対照的に、流体分配装置の開口から気液接触装置に入るガスは、中空繊維の内部領域にのみ流れ込むことができるが、中空繊維を囲む空間には流れ込むことができない。したがって、このようにして、流れ技術の点でのより明確な分離は、一方の、ガスを添加する液体と、他方の、液体に添加するために使用されるガスとの間で達成される。中空繊維を囲む空間は、外側から中空繊維のまわりを流れる液体が利用可能である気液接触装置の内部体積を決定する。上で説明されたように、この内部体積は好ましくは、気液接触装置が組み込まれるラインシステムのパイプライン断面積に適合される。
【0030】
1つの変形例において、気液接触装置の中空繊維の配置は、中空繊維が流体分配装置の貫通孔のまわりに規則的なパターンで配設されるように、流体分配装置の開口および貫通孔の配置に適合される。このように、一方では、気液接触装置を通してのガスを添加する液体の最適化された流れが実現される。さらに、他方では、ガスを添加する液体へのガスの最良の移行も可能にされるが、それは、ガスを交換するのに役立つ中空繊維の表面は、流れにおいて液体のまわりに均一に分布するからである。
【0031】
1つの変形例において、中空繊維は、気液接触装置全体の断面にわたって均一に分布する。これにより気液接触装置の製造は簡略化される。
【0032】
中空繊維は好ましくは、0.05〜20mm、特に0.1〜15mm、特に0.5〜12mm、特に1〜10mm、そして、最も特に2〜8mmの内径を有する。
【0033】
気液接触装置のハウジングは、たとえば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、特に、硬質PVC(PVC−U)、および/またはステンレス鋼から成ることができ、あるいは、それぞれ、完全にこれらの材料から、または、これらの材料の混合物から構成することができる。上記の材料は、このような方法で設計される気液接触装置が液体のオゾン処理の内容での採用に好適であるオゾン耐性材料である。
【0034】
1つの変形例において、中空繊維は、多孔性疎水性材料を有する膜を有する。前記中空繊維は好ましくは、この種類の多孔性疎水性材料から完全に構成される。好適な多孔性疎水性材料は、0.001〜50μm、特に0.002〜30μm、特に0.005〜20μm、特に0.01〜10μm、そして、最も特に0.05〜1μmの細孔直径を有する。好適な材料は、PTFE、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、および/または、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、あるいは、これらの材料の混合物である。1つの変形例において、膜は、上記の材料またはそれらの混合物から完全に構成することができる。ガスを添加する液体へのガス入力は本例において、膜の細孔を通したガスの拡散によって実行される。
【0035】
材料は、前記材料が、90°より大きい、特に95°より大きい、特に100°より大きい、特に110°より大きい、そして、最も特に120°より大きい水との接触角を有するとき、疎水性であるとみなされる。
【0036】
1つの代替的な設計形態において、中空繊維は、無細孔性およびガス透過性疎水性材料を有する膜を有する。この種類の材料は、前記材料が、100バーラーより大きい、特に200バーラーより大きい、特に300バーラーより大きい、特に400バーラーより大きい、そして、最も特に500バーラーより大きい、それぞれのガスに対する通気性を有するとき、ガス透過性とみなされる。たとえば、テフロンAFの商標名でDuPont corporationによって市場に出されている非晶質フルオロポリマーは、特に採用されるガスがオゾンであるときに好適なガス透過性疎水性材料である。たとえば、材料のテフロンAF1600およびテフロンAF2400は特に本明細書において好適である。
【0037】
本発明は、上記の説明による気液接触装置を使用して、ガスを液体に添加する方法にも関する。この方法は、以下に説明されるステップによって特徴づけられる。最初に、ガスを添加する液体が、気液接触装置の中空繊維を囲む空間に誘導される。これは、ガスを添加する液体が外側から膜接触の中空繊維のまわりに流れることが、ここで説明および主張される方法の内容において提供されることを意味する。さらにガスが気液接触装置の中空繊維に誘導される。ここで、ガスならびにガスを添加する液体の両方は、気液接触装置を通って流れることが可能とされる。それにより、ガスを添加した液体が最終的に得られるように、ガス交換が中空繊維の膜全体で行われる。
【0038】
原則として、本明細書における液体およびガスは、気液接触装置の中を同じ流れ方向で流れることができる。しかしながら、1つの変形例において、ガスを添加する液体およびガスが気液接触装置の中を互いに逆の流れで流れることが提供される。それにより、ガスの中空繊維膜を通しての液体への移動を容易にする特に有利な勾配が、本例においてもたらされる。
【0039】
1つの変形例において、方法は、方法はガスを添加する液体の液圧がガスのガス圧より高いように実行される。この変形例は、特に、中空繊維が多孔性疎水性材料を有する膜を有するときに適用される。
【0040】
1つのさらなる変形例において、方法は、ガスを添加する液体の液圧が液体に導入されるガスのガス圧より低いように実行される。この変形例は、特に、中空繊維が無細孔性およびガス透過性疎水性材料を有する膜を有するときの手段である。
【0041】
何れの場合も、一方のガスと他方のガスを添加する液体との間の部分的な差圧により、ガスは膜を通して拡散する。本明細書における液体へのガス入力は、膜接触装置の場合に一般的である、無気泡の方法で実行される。
【0042】
ここで説明される方法は、特に好ましくは、オゾンを液体に添加するために採用することができる。これは、ガスを添加する液体が好ましくはオゾンに曝される液体であることを意味する。さらにまた、液体に導入されるガスは好ましくはオゾン含有ガスである。液体のオゾン処理は、水を消毒するための、あるいは、工業用または家庭用の排水を処理するための手段である。
【0043】
本明細書で説明される気液接触装置および本明細書で説明される方法は特に、排水に含有される難処理性物質の酸化および/または消毒を目的とする、機械的かつ生物学的に予め処理された排水のオゾン処理、水に含有される難処理性物質の消毒および酸化を目的とする、飲用水を精製するための地下水および地表水のオゾン処理、有機物の酸化を目的とする、プロセス水のオゾン処理、ならびに、たとえば、非常に高い要求品質を有する超純水、および、回路基板の製造または医薬品工業において設定される高濃縮無気泡超高純度のオゾン水溶液の製造の内容におけるオゾン処理に好適である。本明細書においてオゾンに曝される水は、採用される気液接触装置の詰まりまたは他の運用の不具合が生じることなく、最大100mg/lの固体含有率を有することができる。固体含有率は、特に最大50mg/l、特に最大45mg/l、特に最大40mg/l、特に最大30mg/l、特に最大25mg/l、そして、最も特に最大20mg/lである。これは、他のガスを添加する液体に同様に適用される。
【0044】
最初に述べたように、気液接触装置を流体コネクタから出るオゾン含有ガスは、多くの場合、大量の利用されていない酸素をまだ有する。そのため、エネルギーを節約するために、新しいオゾン含有ガスを生成するように、対応する処理の後に、この酸素をオゾン発生器に再供給することは都合がよい。あるいは、再利用されていない酸素は、バイオマスへの酸素の供給を改善するように、排水処理プラントの生物学的廃水処理池に供給することもできる。後者の応用の場合、特定の条件が排出ガスに設定されることはない。オゾン含有量を最小量に減らさなければならない、または、オゾンの残量を分解することによってゼロに設定しなければならないだけである。
【0045】
対照的に、酸素含有排出ガスをオゾン発生器に再供給することを意図する場合、オゾン発生器の寿命が酸素含有排出ガスの再使用によって損なわれないように、水蒸気および有機体炭素の含有量の減少に関して、先行技術によるそれぞれの排出ガス処理に注意を払われなければならない。
【0046】
したがって、本発明は、気液接触装置から出る酸素含有ガスの排出ガスを処理するための、先行技術による好適な方法も説明する。前記方法は以下に説明されるステップを含み、ここで、先行技術との対比によって、上記の説明による気液接触装置を採用することができ、いくつかの方法パラメータを、知られているパラメータと比較して修正することができる。本明細書におけるこの方法は、ガスを液体に添加するための事前に説明された方法の一部とすることができる。本明細書におけるこの方法は、特に、気液接触装置においてオゾンが液体(たとえば排水)に添加されるときの手段である。
【0047】
本方法の内容において、残留オゾンの分解は、最初に、酸素含有ガスにおけるオゾンの残量を分解することによって実行される。これは、たとえば、電気加熱式エレメント、あるいは、マンガンおよび/または銅製ドーピングを有するアルミニウム触媒コンバータに酸素含有ガスを案内することによって、実行することができる。20ppm未満、特に0〜18ppm、特に1〜17ppm、特に2〜16ppm、特に3〜15ppm、特に4〜14ppm、特に5〜13ppm、特に6〜12ppm、特に7〜11ppm、特に8〜10ppmへの炭化水素の濃度の減少は、オゾンの残量の分解と同時に、または、オゾンの残量の分解に続けるように、実行される。このステップは、酸素含有ガスが20ppmを超える、または、上記の好ましい範囲の上限を超える炭化水素濃度を有するときのみ必要とされる。たとえば、この炭化水素濃度の減少は、酸素によるCOへの酸化として実行することができる。この目的のために、酸素含有排出ガスを、加熱式触媒コンバータに案内することができる。
【0048】
酸素含有ガスの除湿は、オゾンの残量の分解時、または、炭化水素濃度の減少時に実行される。本明細書における除湿は好ましくは、結果として得られるガスの露点が、−80℃より小さく、特に−70℃より小さく、特に−60℃より小さく、そして、最も特に−50℃より小さくなるように実行される。このように、結果として得られるガスの含水量は、たとえば、1〜10ppm、特に2〜9ppm、特に3〜8ppm、特に4〜7ppm、そして、最も特に5〜6ppmまで下げることができる。
【0049】
上記のステップ後に得られる酸素含有ガスが85容量パーセント未満の酸素濃度を有する限り、このような方法で除湿されたガスの酸素濃度は、その後、少なくとも85容量パーセント(容量%)、特に少なくとも90容量%、特に少なくとも91容量%、特に少なくとも92容量%、特に少なくとも93容量%、特に少なくとも94容量%、そして、最も特に少なくとも95容量%まで上昇する。好適な範囲は、85容量%〜99容量%、または、上記の数値によって形成される任意の他の範囲を含む。たとえば、この酸素再濃縮は分子スクリーン上でのCO吸収として実行することができる。特に比較的高い速度でのオゾン発生のために、オゾン発生器に供給されるガスのCO含有量は、10容量%を超えてはならない。1つの変形例において、本方法の間の酸素再濃縮は好ましくは、酸素含有量(容量%)が85〜89%、そして、最も好ましくは86〜88%となるように実行される。
【0050】
次いで、このように除湿されて酸素が濃縮されたガスは、オゾンを発生させるためにそのガスが採用されるオゾン発生器に移動され、オゾン含有ガスが再び生じる。この目的のために、処理プロセスから生じているガスは通常、(通常、99%を超える純度、すなわち、99容量%を超える酸素含有量を有する)さらなる酸素ガスと混合され、少なくとも85容量%の酸素濃度が、オゾン生成ユニットへの送り込みにおいて常に維持される。
【0051】
説明された流体分配装置、説明された気液接触装置、ガスを液体に添加するための説明された方法、および、排出ガスを処理するための説明された方法の好ましく代替的な設計形態は、任意の方法で互いに組合せ可能であり、方法から装置へならびに装置から方法への両方で、それぞれの他の装置およびそれぞれの他の方法に移動可能である。
【0052】
本発明のさらなる詳細は、以下に説明される例示的な実施形態および図によってさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、多孔性膜および無細孔性膜を通したオゾンの輸送のグラフを示す。
図2図2は、気液接触装置の例示的な実施形態の略図を示す。
図3A図3Aは、流体分配装置の例示的な実施形態の上流側の概略図を示す。
図3B図3Bは、図3Aの流体分配装置の例示的な実施形態の下流側の略図を示す。
図4図4は、図3Aおよび3Bの流体分配装置の断面図を示す。
図5図5は、排出ガスを処理する方法の例示的な実施形態の概略フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、中空繊維膜接触装置の膜全体の、特定の反応時間に観察される、オゾンの輸送のグラフを示す。本明細書において、一方ではPTFE/PFAの疎水性多孔性膜(中実三角形)、他方ではテフロンAF2400の疎水性無細孔性膜(中空正方形)が検討された。図1の説明図から分かるように、方法のほとんどすべての段階において、無細孔性膜を通してのオゾンの輸送量は、多孔性膜を通してのオゾンの輸送量の2倍より大きい。これは、テフロンAF2400および他の同等の無細孔性膜が、膜接触装置のための中空繊維を製造する材料として非常に好適であることを示す。膜を通して輸送されるガスに応じて、さまざまな材料が本明細書における膜接触装置の中空繊維の構築に特に好適である可能性がある。
【0055】
図2は、気液接触装置の例示的な実施形態として、膜接触装置モジュール1の概略断面図を示す。膜接触装置モジュール1はハウジング2を有し、多数の中空繊維3が前記ハウジング2の内部で均一にそして互いに平行に分布する。
【0056】
ガスを添加する液体4は、膜接触装置モジュール1の第1の端部を表す液体入口側5で、膜接触装置モジュール1に誘導される。このために、ガスを添加する液体4は最初、フランジ6を通って、その後、流体分配プレートとして働くガス分配プレート7を通って流れる。この目的のために、少数のみにそれぞれの参照符号が提供される多数の貫通孔8が、ガス分配プレート7に構成される。ガスを添加する液体4は、貫通孔8を経由してキャビティ9に入り、前記キャビティ9は個々の中空繊維3の間に構成される。すなわち液体4は、中空繊維の外側で中空繊維3のまわりを流れる。
【0057】
次いで、ガスを添加した液体11は、膜接触装置モジュール1の第2の端部に対応する液体出口側10で、膜接触装置モジュール1を出る。さらに、ガス12は、液体出口側10の膜接触装置モジュール1の中空繊維3に誘導され、前記ガス12は液体入口側5の方へ液体4と逆の流れで流れる。本明細書におけるガス12の導入は、第1のガス分配プレート7と同様に構築される第2のガス分配プレート13で実行される。したがって、ガスコネクタ14経由のガス12が、第2のガス分配プレート13のキャビティに流れ込む。次いで、前記ガス12はこのキャビティから流れ出て、中空繊維3の内部領域と流体連通し、膜接触装置モジュール1の内部空間9に対して気密に密閉される開口を経由して、中空繊維3の内部領域に流れ込む。その後、ガス12は、中空繊維3を通って第1のガス分配プレート7まで前方へ流れる。そこで前記ガス12は第1のガス分配プレート7のキャビティに入り、その後、ガスはガス出口15を通って前記キャビティを離れる。ガス出口15を出るガスは、排出ガス16とも呼ぶことができる。
【0058】
膜接触装置モジュール1を既存のパイプラインシステムに容易に嵌合可能とするために、膜接触装置モジュール1は、液体入口側5の第1のフランジ6だけでなく、液体出口側10の第2のフランジ17も有する。これらのフランジ6、17によって、膜接触装置モジュール1は、何の問題もなく既存のパイプラインシステムに組み込むことができる。
【0059】
図2の膜接触装置モジュール1で採用される第1のガス分配プレート7は、図3Aおよび3Bの詳細図に示される。したがって、図3Aはガス分配プレート7の上流側18を示し、図2の膜接触装置1の前記上流側18は第1のフランジ6の方へ向けられている。それぞれが円形ベース領域を有する多数の貫通孔8が、ガス分配プレート7の第1の側部として働く上流側18に構成される。これらの貫通孔8はガス分配プレート7を完全に貫通する。
【0060】
図3Bはガス分配プレート7の下流側19を示す。貫通孔8は下流側19でも見ることができるが、それは貫通孔がガス分配プレート7を完全に貫通しているからである。比較的小さい開口20と流体連通するキャビティが、上流側18と下流側19との間でガス分配プレート7の内部に構成される。再び少数のみにそれぞれの参照符号が提供されるこれらの開口20は、一方では、開口20に接続される中空繊維にガスを誘導するのに役立ち、他方では、中空繊維から流れ出るガスを受けて、前記ガスをガス分配プレート7のガス出口15(図2参照)に導くのに役立つ。したがって、開口20は、ガスの流れ方向に応じて、異なるタスクが割り当てられる。
【0061】
図4は、図2の例示的な実施形態の第1のガス分配プレート7の概略断面図を示す。本明細書において、第1のガス分配プレート7の開口が設置されるような領域にのみ中空繊維3が配設され、前記開口が中空繊維3の内部領域をガス分配プレート7の内部空間に接続していることが、本拡大図で容易に理解できる。このように、ガスは中空繊維3を通ってガス分配プレート7の内部空間に流れ込むことができ、次いで、ガス出口15へ案内することができる。対照的に、貫通孔8はガス分配プレートの内部空間に対して流体密に密閉され、液体は、ガス分配プレート7の内部空間で案内されているガスと直接接触することなく、貫通孔8を通り過ぎて、膜接触装置1(図2参照)の内部に入ることができる。
【0062】
図5は、先行技術による排出ガスを処理する方法の概略フロー図を示し、前記排出ガスは気液接触装置から出て、酸素を含む。本明細書における図5の例は、液体がオゾンに曝される方法による酸素含有排出ガスの回収に関する。
【0063】
最初に、オゾンに曝される液体21は、オゾン気液接触機器22に導入される。さらに、オゾン含有ガス23がこのオゾン気液接触機器22に導入される。ここで、オゾンに曝された液相24は、オゾン気液接触機器22から除去することができる。しかしながら、さらに、排出ガス25も発生し、前記排出ガス25は酸素含有ガスを表すが、それは、すべての酸素が、オゾン気液接触機器22において、オゾン含有ガス23から液相に移行したわけではないからである。ここで、残留オゾン分解26、すなわちオゾンの残量の分解が、排出ガス25で実行される。その後、排出ガス25において、20ppm未満への炭化水素濃度の減少による炭化水素除去27が実行される。ここで、排出ガスの乾燥28が実行され、水29が排出ガス25から除去される。その後、酸素再濃縮30が実行され、CO31は凝結する。再濃縮により酸素濃度は85容量%まで増加する。ここで、このように精製、乾燥され、酸素が高められた排出ガスは、純酸素32のガス流に供給されて、オゾン発生器33へ案内される。オゾンがその中で生成され、オゾン気液接触機器22でのオゾン処理に採用できるオゾン含有ガス23が再作成される。
【0064】
オゾン気液接触機器22は、膜接触装置として設計される。本明細書における膜は、水蒸気、およびオゾンガスを添加する液体21に粒子または溶解物質の形態で含有される有機物に対する障壁を表す。したがって、他のガス処理装置と比較して、排出ガス25の純度は増加する。結果的に、排出ガスのその後の処理も、より経済的な方法で実行することができる。
【0065】
炭化水素の除去によって、オゾン発生器33の電極上に沈着物はほとんど形成されないが、それがこのオゾン発生器33の寿命が実質的に増加する理由である。酸素再濃縮30のステップにおけるCOの凝結も寿命の増加に寄与する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5