特許第6806689号(P6806689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806689
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】自動磁気流量記録デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20060101AFI20201221BHJP
   G01F 1/075 20060101ALI20201221BHJP
   G01F 15/06 20060101ALI20201221BHJP
   G01D 5/16 20060101ALI20201221BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   G01F1/00 Y
   G01F1/075
   G01F15/06
   G01D5/16 M
   G01B7/30 H
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-541011(P2017-541011)
(86)(22)【出願日】2016年2月2日
(65)【公表番号】特表2018-508769(P2018-508769A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】CN2016073175
(87)【国際公開番号】WO2016124131
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2019年1月23日
(31)【優先権主張番号】201510058471.2
(32)【優先日】2015年2月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムズ ゲザ
(72)【発明者】
【氏名】グオ ハイピン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャオフェン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ ジミン
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103915233(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104197827(CN,A)
【文献】 国際公開第2010/098472(WO,A1)
【文献】 特開2003−202224(JP,A)
【文献】 特開2001−280969(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0145568(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F15/00−15/18
G01D 5/00− 5/252
G01D 5/39− 5/62
G01B 7/00− 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸配置された複数の硬磁性回転ホイールを備える自動磁気流量記録デバイスであって、前記硬磁性回転ホイールは円形であって、互いに対して所定の旋回比を有し、各硬磁性回転ホイールは少なくとも1つの対応する2軸磁気抵抗角度センサを有し、前記2軸磁気抵抗角度センサは0〜360度の範囲内で前記硬磁性回転ホイールの角度位置を測定し、前記自動磁気流量記録デバイスは前記2軸磁気抵抗角度センサが少なくとも2つの単軸線形磁気抵抗センサを備えることを特徴とし、前記単軸線形磁気抵抗センサはX軸磁気抵抗センサまたはZ軸磁気抵抗センサであり、前記硬磁性回転ホイールはその径に対して平行な磁化方向を有し、前記2軸磁気抵抗角度センサは対応する硬磁性回転ホイールの円周よりも回転軸からの距離が遠い位置に配置され、前記X軸磁気抵抗センサは前記硬磁性回転ホイールの位置において前記硬磁性回転ホイールの円周に対して接線方向の磁界成分を測定するために、前記硬磁性回転ホイールの円周に接する感度方向を有するように構成、配置され、前記Z軸磁気抵抗センサは前記硬磁性回転ホイールの位置において前記硬磁性回転ホイールの径方向の磁界成分を測定するために、前記硬磁性回転ホイールに対して放射状の感度方向を有するように構成、配置される、自動磁気流量記録デバイス。
【請求項2】
前記2軸磁気抵抗角度センサは、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサを備え、前記X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサは、前記対応する永久磁石回転ホイールの高さ方向の均一な磁界領域に位置することを特徴とする、請求項1に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項3】
前記2軸磁気抵抗角度センサは、2重X軸磁気抵抗センサチップまたは2重Z軸磁気抵抗センサチップまたは1つのXZ2軸磁気抵抗センサを備え、前記X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップは同じ磁界感度を有することを特徴とする、請求項1に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項4】
前記2軸磁気抵抗角度センサは、2重z軸磁気抵抗センサチップを備える一対のZ軸磁気抵抗角度センサであり、前記Z軸磁気抵抗センサチップは少なくとも1つのZ軸磁気抵抗センサユニットを備え、前記2重z軸磁気抵抗センサチップは、前記対応する硬磁性回転ホイールの前記円周の上方の90度の弧にわたる2つの位置に、前記硬磁性回転ホイールの前記円周から等距離で位置することを特徴とする、請求項3に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項5】
前記2軸磁気抵抗角度センサは、2重x軸磁気抵抗センサチップを備える一対のX軸磁気抵抗角度センサであり、前記X軸磁気抵抗センサチップは少なくとも1つのX軸磁気抵抗センサユニットを備え、前記2重x軸磁気抵抗センサチップは、前記対応する硬磁性回転ホイールの前記円周の上方の90度の弧にわたる2つの位置に、前記硬磁性回転ホイールの前記円周から等距離で位置することを特徴とする、請求項3に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項6】
前記2軸磁気抵抗角度センサは、同一基板上に組み込まれたX軸磁気抵抗センサおよびZ軸磁気抵抗センサを備える単一チップXZ2軸磁気抵抗角度センサであり、前記単一チップXZ2軸磁気抵抗角度センサは、前記対応する硬磁性回転ホイールの前記円周の上方に位置することを特徴とする、請求項3に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項7】
前記硬磁性回転ホイール間での磁界干渉を低減するために、前記硬磁性回転ホイール間に磁気遮蔽のための軟磁性材料が存在することを特徴とする、請求項1に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項8】
前記自動磁気流量記録デバイスはPCBも備え、前記X軸磁気抵抗センサチップまたは前記Z軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサは、前記PCBに直接接続されることを特徴とする、請求項2に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項9】
前記自動磁気流量記録デバイスはスイッチ選択回路も備え、前記スイッチ選択回路は、各2軸磁気抵抗角度センサの電源入力端子と電源との接続および断絶を制御し、各硬磁性回転ホイールの情報を読み取る時、前記スイッチ選択回路を使用して、前記硬磁性ホイールに対応する前記2軸磁気抵抗角度センサを動作モードにする必要があり、前記硬磁性回転ホイールを読み取る必要がない時、前記スイッチ回路は、前記硬磁性回転ホイールに対応する前記2軸磁気抵抗角度センサを電源オフモードにすることを特徴とする、請求項1に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項10】
前記自動磁気流量記録デバイスはマイクロプロセッサも備え、前記2軸磁気抵抗角度センサの出力信号は、前記角度を計算するためにA/D変換によって前記マイクロプロセッサに接続されることを特徴とする、請求項9に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項11】
前記各硬磁性回転ホイールはR面に沿って0〜nの数字目盛を有し、nは整数であり、360度がn等分されて各弧が360/n度に対応し、前記マイクロプロセッサは、前記対応する2軸磁気抵抗角度センサによって記録された前記回転角度に基づいて前記硬磁性回転ホイールに対応する前記数字目盛を計算することを特徴とする、請求項10に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項12】
前記自動磁気流量記録デバイスはI/Oモジュールも備え、前記I/Oモジュールは電子回路システム、近距離通信システム、または無線周波数システムのいずれか1つであり、各2軸磁気抵抗角度センサの前記出力信号が前記マイクロプロセッサを通過した後、前記自動磁気流量記録デバイスによって記録された流量情報が前記I/Oモジュールによって出力されることを特徴とする、請求項10に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【請求項13】
前記自動磁気流量記録デバイスはバッテリも備え、前記バッテリは、前記2軸磁気抵抗角度センサ、スイッチ選択回路、マイクロプロセッサ、およびI/Oモジュールのための電源であることを特徴とする、請求項12に記載の自動磁気流量記録デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサの技術分野に関し、特に、自動磁気流量記録デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば水量計などの直読型流量記録デバイスは複数の回転ホイールを利用しており、回転ホイールは同軸であって、隣接する回転ホイールはたとえば10:1など一定の伝達比を有する、すなわち、第1の回転ホイールが10回転すると第2の回転ホイールは1回転し、以下同様である。また、第1の回転ホイールは、水流によって動くスパイラルに直接連結され、スパイラルの回転数を記録することによって、水量計は水流を表示する。10:1の伝達比は10進法システム特性に一致するので、各回転ホイールは実際、10進数の桁に等しい。また、全ての回転ホイールが、角度に基づいて0〜9の番号としてマーク付けされることにより、直読型水量計が構成される。実際のプロセスにおいて、多くの場合デジタル技術が利用され、0〜360度の範囲内で回転ホイールの各々の回転の角度位置を直接監視するために角度センサが用いられる。一般的に利用される技術は、回転角度を検出するために格子を用いる光学エンコーダ技術である。この技術は、以下の問題を特徴とする。
【0003】
格子技術は高い環境要件を特徴とするものであり、油、煙、ガス、および塵がない清浄な環境を必要とし、上記は全て格子検出に影響を及ぼす可能性が高い。
【0004】
代替となる技術は磁気角度センサ技術の使用伴うものであり、たとえばTMRおよびGMRなどの磁気抵抗センサは、平面XY磁気抵抗角度センサチップを利用する。これらは、同じチップ上でXおよびY方向における磁界成分を測定し、X磁界成分とY磁界成分との交差角度を計算することによって、永久磁石エンコーダ回転角度の測定を実現する。ただし、以下の重要な問題点が存在する。
【0005】
1)XY磁気抵抗角度センサチップおよび円形永久磁石エンコーダを併用して角度位置を測定する場合、チップの測定面は、円形永久エンコーダの上下の底面領域に平行な位置の上方に位置し、それが測定する高感度の磁界は、円形永久エンコーダの上下底面の上方に分布する円形永久磁石エンコーダの磁界から生じる。その結果、XY磁気抵抗角度センサチップの取付け空間および均一な磁界領域が制限され、空間自由度が乏しくなる。
【0006】
2)XY磁気抵抗角度センサチップの円形永久磁石エンコーダの上下底面における回転磁界分布は、たとえば軟磁性材料または永久磁石などの磁石の付近からの干渉を受けやすい。それによって角度測定領域に変化が生じ、角度測定値を正確に得ることができなくなり、安定性が乏しくなる。
【0007】
これらの問題点を解決するために、2つの異なる解決策として連続して出願された特許出願第2014104116280号および第2014104061428号は、単一の硬磁性回転ホイールを有する磁気抵抗角度センサを適用する。前者は、X軸磁気抵抗センサおよびZ軸磁気抵抗センサを同一基板上に組み込んだ単一チップ軸外し磁気抵抗ZX角度センサである。X軸磁気抵抗センサおよびZ軸磁気抵抗センサによってX磁界成分およびZ磁界成分を測定することにより、電圧曲線は個別に出力され、2つの間の交差関係の角度が決定される。その結果、単一の硬磁性回転ホイールの角度測定を実現することができる。後者は、硬磁性回転ホイールの円周の上方に等距離で位置し、円周の90度にわたる2重Z軸磁気抵抗センサの磁界信号を測定することによって、2つの直交する磁界成分を測定し、磁界の交差角度を計算することによって、硬磁性回転ホイールの回転の角度位置を決定する。ここで、X方向は、センサの位置における硬磁性回転ホイールの接線方向として定義され、Z方向は、センサの位置における硬磁性回転ホイールの径方向として定義される。この2つの特許文献は、ZX角度センサチップの構造および種類、ならびにZ軸磁気抵抗センサおよびX軸磁気抵抗センサの構造を説明する。
【0008】
ZX2軸角度センサおよび2重Z軸角度センサは、XY2軸角度センサよりも高い取付け自由度を有する。また、ZX2軸角度センサおよび2重z軸角度センサは、永久磁石回転ホイールの角度の測定に適している。加えて、本発明は、回転ホイールの角度の測定を実現するために、X方向すなわち接線方向に沿った磁界を測定するために2重X軸磁気抵抗センサを使用することを開示する。
【0009】
流量計は、同軸かつ一定の伝達比を有する複数の永久磁石回転ホイールのアセンブリであるため、単一の回転ホイールに適用可能な上記ZX2軸角度センサと同様に、2重Z軸角度センサおよび2重X軸角度センサは、流量計の複数の回転ホイールの角度を測定するために十分使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの問題点に目標を定め、本発明は、XY磁気抵抗角度センサに取って代わる自動磁気流量記録デバイスを提示する。これは、円形永久磁石エンコーダの上下底面の上方に位置する回転磁界の代わりに、円形永久磁石回転ホイールのR面の外縁部に生じる放射状の回転磁界を測定するものであり、単一のXY磁気抵抗センサチップの代わりに、90度の位相差を有する2つの個別のZ軸またはX軸磁気抵抗センサチップ、または単一チップXZ2軸磁気抵抗角度センサを利用する。磁気抵抗センサチップは円形永久磁石エンコーダのR面の外側に位置するので、その取付け自由度が大幅に向上する。
【0011】
これらの目標を実現するために、本発明の実施形態の技術的スキームは、以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
自動磁気流量記録デバイスであって、同軸配置された複数の硬磁性回転ホイールを備え、硬磁性回転ホイールは円形であって、互いに対して所定の旋回比を有し、各硬磁性回転ホイールは少なくとも1つの対応する2軸磁気抵抗角度センサを有し、2軸磁気抵抗角度センサは0〜360度の範囲内で硬磁性回転ホイールの角度位置を測定し、2軸磁気抵抗角度センサは少なくとも2つの単軸線形磁気抵抗センサを備え、単軸線形磁気抵抗センサはX軸磁気抵抗センサまたはZ軸磁気抵抗センサであり、硬磁性回転ホイールは、径に対して平行な磁化方向を有し、2軸磁気抵抗角度センサは、対応する硬磁性回転ホイールの円柱の側面の先に位置し、X軸磁気抵抗センサは、硬磁性回転ホイールの位置において硬磁性回転ホイールの円周に対して接線方向の磁界成分を測定し、Z軸磁気抵抗センサは、硬磁性回転ホイールの位置において硬磁性回転ホイールの径方向の磁界成分を測定する。
【0013】
本発明の更なる改善において、2軸磁気抵抗角度センサは、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサを備え、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサは、対応する永久磁石回転ホイールの高さ方向の均一な磁界領域に位置する。
【0014】
本発明の更なる改善において、2軸磁気抵抗角度センサは、2重x軸磁気抵抗センサチップまたは2重z軸磁気抵抗センサチップまたは1つのXZ2軸磁気抵抗センサを備え、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップは同じ磁界感度を有する。
【0015】
本発明の更なる改善において、2軸磁気抵抗角度センサは、2重z軸磁気抵抗センサチップを備える一対のZ軸磁気抵抗角度センサであり、Z軸磁気抵抗センサチップは少なくとも1つのZ軸磁気抵抗センサユニットを備え、2重z軸磁気抵抗センサチップは、対応する硬磁性回転ホイールの円周の上方の90度の弧にわたる2つの位置に、硬磁性回転ホイールの円周から等距離で位置する。
【0016】
本発明の更なる改善において、2軸磁気抵抗角度センサは、2重x軸磁気抵抗センサチップを備える一対のX軸磁気抵抗角度センサであり、X軸磁気抵抗センサチップは少なくとも1つのX軸磁気抵抗センサユニットを備え、2重x軸磁気抵抗センサチップは、対応する硬磁性回転ホイールの円周の上方の90度の弧にわたる2つの位置に、硬磁性回転ホイールの円周から等距離で位置する。
【0017】
本発明の更なる改善において、2軸磁気抵抗角度センサは、同一基板上に組み込まれたX軸磁気抵抗センサおよびZ軸磁気抵抗センサを備える単一チップXZ2軸磁気抵抗角度センサであり、単一チップXZ2軸磁気抵抗角度センサは、対応する硬磁性回転ホイールの円周の上方に位置する。
【0018】
本発明の更なる改善において、硬磁性回転ホイール間での磁界干渉を低減するために、硬磁性回転ホイール間に磁気遮蔽のための軟磁性材料が存在する。
【0019】
本発明の更なる改善において、自動磁気流量記録デバイスはPCBも備え、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサは、PCBに直接接続される。
【0020】
本発明の更なる改善において、自動磁気流量記録デバイスはスイッチ選択回路も備え、スイッチ選択回路は、各2軸磁気抵抗角度センサの電源入力端子と電源との接続を制御し、各硬磁性回転ホイールの情報を読み取る時、スイッチ選択回路を使用して、その硬磁性ホイールに対応する2軸磁気抵抗角度センサを動作モードにする必要があり、硬磁性回転ホイールを読み取る必要がない時、スイッチ回路は、その硬磁性回転ホイールに対応する2軸磁気抵抗角度センサを電源オフモードにする。
【0021】
本発明の更なる改善において、自動磁気流量記録デバイスはマイクロプロセッサも備え、2軸磁気抵抗角度センサの出力信号は、角度を計算するためにA/D変換によってマイクロプロセッサに接続される。
【0022】
本発明の更なる改善において、各硬磁性回転ホイールはR面に沿って0〜nの数字目盛を有し、nは整数であり、360度がn等分されて各弧が360/n度に対応し、マイクロプロセッサは、対応する2軸磁気抵抗角度センサによって記録された回転角度に基づいて硬磁性回転ホイールに対応する数字目盛を計算する。
【0023】
本発明の更なる改善において、自動磁気流量記録デバイスはI/Oモジュールも備え、I/Oモジュールは電子回路システム、近距離通信システム、または無線周波数システムのいずれかであり、各2軸磁気抵抗角度センサの出力信号がマイクロプロセッサを通過した後、自動磁気流量記録デバイスによって記録された流量情報がI/Oモジュールによって出力される。
【0024】
本発明の更なる改善において、自動磁気流量記録デバイスはバッテリも備え、バッテリは、2軸磁気抵抗角度センサ、スイッチ選択回路、マイクロプロセッサ、およびI/Oモジュールのための電源である。
【0025】
本発明は、以下の利点を特徴とする。
【0026】
XY2軸角度センサ電子水量計と比べて、自動磁気流量記録デバイスは、取付け位置の自由度を特徴とし、隣接する硬磁性回転ホイールによる影響を受けにくく、低電力消費の利点を有する。
【0027】
本発明の実施形態または従来技術の技術的スキームをより明確に説明するために、実施形態または従来技術の説明に必要な添付図面の簡単な説明を以下に記載する。下記説明における添付図面は、本発明に記録された、いくつかの実施形態のみであることが明らかである。当業者は、これらの添付図面に基づいて、創意的な工夫なしに他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施形態の2重x軸磁気抵抗角度センサまたは2重z軸磁気抵抗角度センサ直読型電子水量計の概略正面図である。
図2図2は、本発明の実施形態の2重x軸磁気抵抗角度センサまたは2重z軸磁気抵抗角度センサ直読型電子水量計の概略側面図である。
図3図3は、本発明の実施形態2の単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサ直読型電子水量計の概略正面図である。
図4図4は、本発明の実施形態2の単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサ直読型電子水量計の概略側面図である。
図5図5は、2軸磁気抵抗角度センサの典型的な磁界角度と本発明の硬磁性回転ホイールの回転角度との間の関係曲線グラフである。
図6図6は、2軸磁気抵抗角度センサの2つの典型的な出力信号と本発明の硬磁性回転ホイールの回転角度との間の関係曲線グラフである。
図7図7は、本発明の実施形態3の自動磁気流量記録デバイスの信号処理回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
下記は、添付図面によって示される特定の実施形態とともに、本発明の詳細な説明を提供する。しかし、これらの実施形態は、本発明を限定するものではない。これらの実施形態に基づいて当業者によってなされる構造、方法、または機能に対する修正は全て、本発明の保護範囲に収まるものである。
【0030】
本発明は、同軸配置された複数の硬磁性回転ホイールを備える自動磁気流量記録デバイスを開示し、硬磁性回転ホイールは円形であって、互いに対して所定の旋回比を有し、各硬磁性回転ホイールは少なくとも1つの対応する2軸磁気抵抗角度センサを有し、2軸磁気抵抗角度センサは0〜360度の範囲内で硬磁性回転ホイールの角度位置を測定し、2軸磁気抵抗角度センサは少なくとも2つの単軸線形磁気抵抗センサを備え、単軸線形磁気抵抗センサはX軸磁気抵抗センサまたはZ軸磁気抵抗センサであり、硬磁性回転ホイールは、径に対して平行な磁化方向を有し、2軸磁気抵抗角度センサは、対応する硬磁性回転ホイールの円柱の側面の先に位置し、X軸磁気抵抗センサは、硬磁性回転ホイールの位置において硬磁性回転ホイールの円周に対して接線方向の磁界成分を測定し、Z軸磁気抵抗センサは、硬磁性回転ホイールの位置において硬磁性回転ホイールの径方向の磁界成分を測定する。
【0031】
また、本発明の2軸磁気抵抗角度センサは、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサを備え、X軸磁気抵抗センサチップまたはZ軸磁気抵抗センサチップまたは単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサは、対応する永久磁石回転ホイールの高さ方向の均一な磁界領域に位置する。
【0032】
下記は、添付図面を参照し、実施形態とともに、本発明の詳細な説明を提供する。
【0033】
実施形態1
図1および図2はそれぞれ、2重x軸磁気抵抗角度センサまたは2重z軸磁気抵抗角度センサを備える直読型水量計の正面図および側面図であり、2軸磁気抵抗角度センサ2は、2重x軸磁気抵抗角度センサチップまたは2重z軸磁気抵抗センサチップ21および22と、複数の硬磁性回転ホイール1とを備える。硬磁性回転ホイール1の間には所定の伝達比が存在し、硬磁性回転ホイール1は、共有回転軸4を有する。また水量計は、2軸磁気抵抗角度センサ2が取り付けられるPCB3も備える。硬磁性回転ホイール1は円柱構造を有し、2重x軸磁気抵抗角度センサチップまたは2重z軸磁気抵抗角度センサチップ21および22は、硬磁性回転ホイール1の円柱の側面、または円柱の側面の延長平面の先に設けられる。これらの、永久磁石回転ホイールの硬磁性回転ホイール1の円柱の側面または円柱の側面の延長平面からの距離は同じであり、それらはR面の90度の弧にわたる2つの位置に設けられる。また、硬磁性回転ホイール1は、径に平行な磁化方向5を有する。ここで、2重x軸磁気抵抗角度センサチップまたは2重z軸磁気抵抗センサチップは、同じ磁界感度を有する。
【0034】
実施形態2
図3および図4はそれぞれ、単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサを備える直読型水量計の正面図および側面図であり、図中、2(1)は、永久磁石回転ホイール1の円周の上方に位置する単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサである。
【0035】
また、この実施形態の単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサ2(1)は、同位置にあるZ軸磁気抵抗センサチップおよびX軸磁気抵抗角度センサチップに置き換えることができる。便宜上、個別のチップの図は示されない。
【0036】
Z軸磁気抵抗センサチップおよび単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサの感応Z方向は、センサチップの位置における硬磁性回転ホイールの円周の径方向に一致することに留意すべきである。X軸磁気抵抗センサチップおよび単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサのX軸磁気抵抗センサの感応方向は、センサチップの位置における硬磁性回転ホイールの円周の接線方向に一致する。
【0037】
実施形態1および実施形態2の3種類の2軸磁気抵抗角度センサが直読型水量計において用いられる場合、各永久磁石回転ホイールの角度測定は別々に行われ、回転ホイールの位置が決定され、その後、回転ホイール間の所定の伝達比関係を用いて、水量計の総回転数が直接読み出される。
【0038】
たとえば2重x軸磁気抵抗センサチップまたは2重Z軸磁気抵抗センサチップなど2つの個別のチップを有する2軸磁気抵抗角度センサの場合、センサと、対応する永久磁石回転ホイールとの間の位置関係は、図2に示すとおりである。図中、径方向の直線に平行な磁化強度の方向とX軸との交差角度がθであり、これは、回転角度を表すために用いられる。2重x軸磁気抵抗角度センサチップまたは2重z軸磁気抵抗センサチップ21および22の位置における磁界はそれぞれ(HX1,HZ1)および(HX2,HZ2)である。HX1およびHZ1は位置21における磁界成分であり、HX2およびHZ2は位置22における磁界成分である。
【0039】
したがって、2重x軸磁気抵抗角度センサチップの場合、測定された磁界角度関係は、
ψ=atan(HX2/HZ1)、HZ1>0
ψ=π−atan(HX2/HZ1)、HZ1<0、HX2<0
ψ=π+atan(HX2/HZ1)、HZ1<0、HX2>0
である。
【0040】
ここで、2重x軸磁気抵抗センサに関する磁界測定信号はそれぞれHX2およびHZ1である。
【0041】
2重z軸磁気抵抗角度センサおよび単一チップZX磁気抵抗角度センサの場合、回転ホイール回転角度関係に関する測定された磁界角度関係は、特許出願第2014104116280号および第2014104061428号にそれぞれ記載される。
【0042】
2軸磁気抵抗角度センサに関して、検出された硬磁性回転ホイールの測定中、測定された磁界と回転角度との間の典型的な関係曲線、および測定された2つの磁界に関する出力信号が図5および図6にそれぞれ示される。曲線200は典型的な線形関係であり、2つのセンサの測定磁界信号はそれぞれ曲線201および202に示すとおりである。2つの曲線は典型的な正弦/余弦曲線特性を特徴とし、位相差は約90度である。したがって、硬磁性回転ホイールを測定するために2軸磁気抵抗角度センサを使用すること、またその結果、2軸磁気抵抗角度センサを備える読取専用水量計を設計することは極めて適切である。
【0043】
2重x軸磁気抵抗角度センサ、2重z軸磁気抵抗角度センサ、およびZX2軸磁気抵抗角度センサの場合、磁気抵抗センサチップと硬磁性回転ホイールとの間の距離関係を基準として用い、磁気抵抗センサと硬磁性回転ホイールとの間の距離を最適化するために複数の硬磁性回転ホイール間での磁気干渉を考慮する必要があることに留意すべきである。また、単一チップZX2軸磁気抵抗角度センサにおけるZ軸磁気抵抗センサまたはZ軸磁気抵抗センサユニットとZ軸磁気抵抗センサまたはX軸磁気抵抗センサユニットとの基板間隔に関して、最適化のために複数の硬磁性回転ホイール間での磁気干渉を考慮し、磁界角度と回転ホイール回転角度との相関関係の線形動作領域に2軸角度センサが確実に位置するようにすることが必要である。
【0044】
加えて、水量計の複数硬磁性回転ホイール構造に関して、複数の硬磁性回転ホイール間での磁界干渉は重要な問題である。隣接する硬磁性回転ホイール間の磁界干渉を低減するために、硬磁性回転ホイールの磁界遮蔽として軟磁性材料が一般に使用される。
【0045】
実施形態3
図7は、自動磁気流量記録デバイスの信号処理回路図である。説明のために例として3つの硬磁性回転ホイールが用いられるが、これは他の数の硬磁性回転ホイールにも同様に適用可能である。17、18、および19は、硬磁性回転ホイール31、32、および33に対応する2軸磁気抵抗角度センサである。この実施形態において、仮定的状況として、任意の所与の2軸磁気抵抗角度センサが、2つのフルブリッジ構造を有する単軸磁気抵抗角度センサを備えるが、これは、たとえばハーフブリッジ構造または略ブリッジ構造を有する単軸角度センサなど他の種類にも同様に適用可能である。
【0046】
2軸磁気抵抗角度センサ17、18、または19の電源出力端子は、スイッチ選択回路16におけるSWOを介してバッテリ10に接続される。2軸磁気抵抗角度センサが動作モードである場合のみ電源信号端子が接続され、動作モードでない場合、電力を節約するために電源はオフモードである。
【0047】
同様に、2軸磁気抵抗角度センサの信号出力端子はそれぞれ、スイッチ選択回路16のSW1、SW2、SW3、およびSW4を介して信号増幅器15および14に接続される。2軸磁気抵抗角度センサが動作モードである場合、2つの対応する単軸線形磁気抵抗センサの出力信号端子はスイッチ選択回路16によって接続されることにより、各々が信号増幅器に入力することができる。フルブリッジ構造を有する単軸線形磁気抵抗センサにおいて、信号増幅器は差動信号増幅器であり、ハーフブリッジ構造では単入力信号増幅器である。
【0048】
2軸磁気抵抗角度センサにおける2つの単軸線形磁気抵抗センサの出力信号が別々にA−Dコンバータ13を通過した後、それらはデジタル信号に変換され、MCUマイクロプロセッサ12に入力され、計算処理され、角度情報に変換される。各硬磁性回転ホイールはR面に沿って0〜10の数字目盛を有するので、360度が10等分され、各弧が36度に対応する。対応する2軸磁気抵抗角度センサによって記録された回転角度に基づいて、マイクロプロセッサは、その硬磁性回転ホイールに対応する数字目盛を計算し始める。各永久磁石回転ホイールに関する信号を別々に読み取った後、総回転数が得られる。MCUマイクロプロセッサ12は、I/Oモジュール11を介して、計算された情報を出力する。ここで、I/Oモジュールは、電子回路システム、近距離通信システム、または無線周波数システムのいずれかであってよい。また、バッテリ10は、各2軸磁気抵抗角度センサへの電源の供給に加えて、スイッチ回路16および信号増幅器15および14、ならびにA−Dコンバータ13、MCUマイクロプロセッサ12、およびI/Oモジュール11にも電源を供給する。
【0049】
上述した実施形態の自動磁気流量記録デバイスにおいて、直読型水量計は、説明のための例として用いられる。他の実施形態において、本発明は、様々な液体または気体直読型測定装置およびそれらのディスプレイに適用される。
【0050】
上述した技術的スキームは、本発明の自動磁気流量記録デバイスの硬磁性回転ホイールが少なくとも1つの2軸磁気抵抗角度センサに対応し、2軸磁気抵抗角度センサが少なくとも2つの単軸線形磁気抵抗センサを備えることを示す。これは、XY2軸角度センサ電子水量計と比べて、取付け位置の自由度を特徴とし、隣接する硬磁性回転ホイールによる影響を受けにくく、低電力消費の利点を有する。
【0051】
当業者には明らかであるように、本発明は、上述した典型的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明の主旨および基本的特徴から逸脱しないという条件の下、本発明を他の特定の形式で具体化することが可能である。したがって、観点にかかわらず、実施形態は例示的かつ非限定的なものと見なされるものとする。本発明の範囲は、上記説明ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、その目的は、特許請求の範囲と同等の要素の意味および範囲に収まる全ての変更を本発明の範囲に包含することである。特許請求の範囲の添付図面における符号はいずれも、関与する特許請求の範囲を制限するものと見なされるものではない。
【0052】
また、上記説明は実施形態に係る説明を記載するが、実施形態ごとが単独で独立した技術的スキームを備えるわけではないことを理解すべきである。上記説明における説明様式は単に明確性を目的としたものである。当業者は、上記説明を全体として見なすべきであり、適切な組み合わせによって、実施形態の技術的スキームから、当業者には理解可能である他の実施形態を構成することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7