特許第6806692号(P6806692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806692
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/06 20060101AFI20201221BHJP
   C09J 201/06 20060101ALI20201221BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   C09J4/06
   C09J201/06
   C09J5/06
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-544501(P2017-544501)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(86)【国際出願番号】JP2016079457
(87)【国際公開番号】WO2017061416
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-200836(P2015-200836)
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小妻 宏禎
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋己
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/053223(WO,A1)
【文献】 特開2011−012098(JP,A)
【文献】 特開昭60−179479(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133142(WO,A1)
【文献】 特開2007−186630(JP,A)
【文献】 特開2011−225814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価ビニルエーテル化合物(A)、下記式(b)で表される構成単位を2個以上有する化合物(B)、及び熱可塑性樹脂(C)を含有する接着剤であって、
熱可塑性樹脂(C)が、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である接着剤
【化1】
(式中、Z1は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式から(n1+2)個の水素原子を除去した基を示す。Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を示し、n1は1以上の整数を示す。n1個のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)
【請求項2】
多価ビニルエーテル化合物(A)が下記式(a)で表される化合物である請求項1に記載の接着剤。
【化2】
(式中、Z2は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式からn2個の水素原子を除去した基を示し、n2は2以上の整数を示す)
【請求項3】
化合物(B)の重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)が1500以上である請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項4】
熱可塑性樹脂(C)の重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)が1500以上である請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤。
【請求項5】
各成分を下記範囲で含有する請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤。
多価ビニルエーテル化合物(A):化合物(B)におけるヒドロキシ基及びカルボキシ基の総量1モルに対して、多価ビニルエーテル化合物(A)中のビニルエーテル基が0.01〜10モルとなる量
熱可塑性樹脂(C):化合物(B)1重量部に対して0.1〜3重量部
多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計含有量:接着剤の不揮発分全量の70〜99.9重量%
【請求項6】
さらに、下記式(d)で表される1価のカルボン酸及び/又は下記式(e)で表される1価のアルコールを含有する請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤。
3−COOH (d)
(式中、Z3はカルボキシ基以外の置換基を有していてもよい、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素からなる群より選択される構造式から1個の水素原子を除去した基を示す)
4−OH (e)
(式中、Z4はヒドロキシ基以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の構造式から1個の水素原子を除去した基を示す)
【請求項7】
さらに、酸化防止剤を化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計100重量部に対して0.01〜15重量部含有する請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤。
【請求項8】
接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定する方法であって、請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の仮固定方法。
【請求項9】
接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定した状態で前記被着体に加工を施す方法であって、請求項1〜の何れか1項に記載の接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、固定された被着体に加工を施す加工工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の加工方法。
【請求項10】
多価ビニルエーテル化合物(A)と、下記式(b)で表される構成単位を2個以上有する化合物(B)の重合体と、熱可塑性樹脂(C)を含む接着膜であって、
熱可塑性樹脂(C)が、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である接着膜
【化3】
(式中、Z1は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式から(n1+2)個の水素原子を除去した基を示す。Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を示し、n1は1以上の整数を示す。n1個のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被着体を仮止めする用途に用いられる接着剤に関する。本願は、2015年10月9日に日本に出願した、特願2015−200836号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
サイズや重量の小型化、高機能性の付与、及び消費電力の効率化等を実現するため、半導体チップの小型化、薄化、及び三次元集積化が進められている。このような半導体チップは、ウェハに回路パターンを形成した後、研削して薄化し、さらにダイシングすることによって製造される。しかし、薄化後のウェハは非常に脆弱であるため、研削やダイシング等の加工を施す際、搬送する際等に破損し易い。そのため、ウェハを支持体に仮固定することにより保護した状態で、加工し、運搬することが行われている。
【0003】
従来、ウェハの仮固定には、ワックスタイプの接着剤が使用されていた(特許文献1)。しかし、ワックスタイプの接着剤は軟化点が低いため、蒸着による膜付けや仮固定基板から積層用ウェハに転写する等の高温プロセスにおいて接着剤が流動してウェハを固定することが困難となることが問題であった。また、感圧性接着剤と側鎖結晶性ポリマーを含む感温性接着剤を使用することも知られているが(特許文献2、3)、これも高温プロセスにおいて接着剤が流動し、ウェハの固定が困難になる点が問題であった。その他、紫外線等を照射して接着剤を硬化、収縮、変形させることによりウェハから剥離する方法も知られているが、剥離の際の応力によりウェハが破損し易いことが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−49443号公報
【特許文献2】特許第5074715号公報
【特許文献3】特許第5074716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、多価ビニルエーテル化合物と、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を2個以上有する化合物を含有する接着剤は、加熱すると、前記多価ビニルエーテル化合物と、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を2個以上有する化合物とがアセタール結合により重合して高温域に軟化点を有する熱可塑性の重合体を形成することができ、その後固化することにより、高温環境下であっても優れた接着性で被着体を固定することができ、被着体の固定が不要となったら、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱することで、接着剤の固化物を急激に軟化又は液化して、接着性を低下又は喪失させることができるため、被着体に応力を付加すること無く剥離することができることを見いだした。
【0006】
しかし、前記接着剤の固化物は柔軟性の点で劣り、急激な温度変化により被着体が自然剥離したり、接着剤の固化物にクラックが発生して接着力が低下することが問題であった。
また、被着体を剥離した後、その表面に残存する糊の洗浄性の点で十分ではなかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、被着体を支持体に固定することが必要な間は、高温環境下又は急激に温度が変化する環境下であっても、高い接着性を保持して被着体を支持体に接着・固定することができ、固定が不要となったら被着体を破損することなく支持体から剥離することができ、剥離後の被着体に糊が残存する場合は容易に除去することができる接着剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記接着剤を使用した被着体の仮固定方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記接着剤を使用した被着体の加工方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記接着剤により形成された接着膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記事項を見いだした。
1.多価ビニルエーテル化合物と、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を2個以上有する化合物を含有する接着剤に、更に熱可塑性樹脂を配合して得られる接着剤は、低軟化点を有し、塗布性に優れること
2.前記接着剤に加熱処理を施すと、前記多価ビニルエーテル化合物と、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を2個以上有する化合物がアセタール結合により架橋構造体を形成することにより、高温域に軟化点を有する熱可塑性の重合体を形成することができること
3.前記熱可塑性の重合体はその軟化点未満の温度では優れた接着性を保持することができること、すなわち、高温環境下でも優れた接着性を保持することができること
4.熱可塑性樹脂を配合することにより、接着剤の固化物に柔軟性を付与することができ、急激に温度が変化する環境下でも接着剤の固化物が自然剥離したり、接着剤の固化物にクラックが発生することを抑制することができ、優れた接着性を保持することができること
5.前記熱可塑性の重合体を含む接着剤の固化物を、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱すると、固化物は急激に軟化又は液化し、接着性を低下又は喪失するので、被着体は、応力を付与すること無く剥離することができ、剥離後の被着体に糊残りが存在する場合は、洗浄することにより容易に除去することができること
本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、多価ビニルエーテル化合物(A)、下記式(b)で表される構成単位を2個以上有する化合物(B)、及び熱可塑性樹脂(C)を含有する接着剤を提供する。
【化1】
(式中、Z1は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式から(n1+2)個の水素原子を除去した基を示す。Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を示し、n1は1以上の整数を示す。n1個のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)
【0010】
本発明は、また、多価ビニルエーテル化合物(A)が下記式(a)で表される化合物である前記の接着剤を提供する。
【化2】
(式中、Z2は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式からn2個の水素原子を除去した基を示し、n2は2以上の整数を示す)
【0011】
本発明は、また、化合物(B)の重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)が1500以上である前記の接着剤を提供する。
【0012】
本発明は、また、熱可塑性樹脂(C)が、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である前記の接着剤を提供する。
【0013】
本発明は、また、熱可塑性樹脂(C)の重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)が1500以上である前記の接着剤を提供する。
【0014】
本発明は、また、各成分を下記範囲で含有する前記の接着剤を提供する。
多価ビニルエーテル化合物(A):化合物(B)におけるヒドロキシ基及びカルボキシ基の総量1モルに対して、多価ビニルエーテル化合物(A)中のビニルエーテル基が0.01〜10モルとなる量
熱可塑性樹脂(C):化合物(B)1重量部に対して0.1〜3重量部
多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計含有量:接着剤の不揮発分全量の70〜99.9重量%
【0015】
本発明は、また、さらに、下記式(d)で表される1価のカルボン酸及び/又は下記式(e)で表される1価のアルコールを含有する前記の接着剤を提供する。
3−COOH (d)
(式中、Z3はカルボキシ基以外の置換基を有していてもよい、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素からなる群より選択される構造式から1個の水素原子を除去した基を示す)
4−OH (e)
(式中、Z4はヒドロキシ基以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の構造式から1個の水素原子を除去した基を示す)
【0016】
本発明は、また、さらに、酸化防止剤を化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計100重量部に対して0.01〜15重量部含有する前記の接着剤を提供する。
【0017】
本発明は、また、接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定する方法であって、前記の接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の仮固定方法を提供する。
【0018】
本発明は、また、接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定した状態で前記被着体に加工を施す方法であって、前記の接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、固定された被着体に加工を施す加工工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の加工方法を提供する。
【0019】
本発明は、また、多価ビニルエーテル化合物(A)と、下記式(b)で表される構成単位を2個以上有する化合物(B)の重合体と、熱可塑性樹脂(C)を含む接着膜を提供する。
【化3】
(式中、Z1は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式から(n1+2)個の水素原子を除去した基を示す。Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を示し、n1は1以上の整数を示す。n1個のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)
【0020】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 多価ビニルエーテル化合物(A)、式(b)で表される構成単位を2個以上有する化合物(B)(すなわち、式(b)で表される構成単位の重合度が2以上の化合物(B))、及び熱可塑性樹脂(C)を含有する接着剤。
[2] 多価ビニルエーテル化合物(A)が式(a)で表される化合物である、[1]に記載の接着剤。
[3] 多価ビニルエーテル化合物(A)が、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、及び式(a-1)〜(a-21)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、[1]又は[2]に記載の接着剤。
[4] 化合物(B)の重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)が1500以上である、[1]〜[3]の何れか1つに記載の接着剤。
[5] 化合物(B)が、式(b-1)〜(b-6)からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を2個以上有する化合物である、[1]〜[4]の何れか1つに記載の接着剤。
[6] 化合物(B)が、式(b)で表され、式中のXがヒドロキシ基である構成単位を化合物(B)全量の30重量%以上有する化合物である、[1]〜[5]の何れか1つに記載の接着剤。
[7] 化合物(B)が、式(b)で表され、式中のXがカルボキシ基である構成単位を化合物(B)全量の1重量%以上有する化合物である、[1]〜[5]の何れか1つに記載の接着剤。
[8] 化合物(B)が、式(b)で表される構成単位と、鎖状オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル、カルボン酸ビニルエステル、及び不飽和ジカルボン酸ジエステルからなる群より選択される少なくとも1種の重合性単量体由来の構成単位を含む化合物である、[1]〜[7]の何れか1つに記載の接着剤。
[9] 化合物(B)の軟化点が50〜250℃である、[1]〜[8]の何れか1つに記載の接着剤。
[10] 熱可塑性樹脂(C)が、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、[1]〜[9]の何れか1つに記載の接着剤。
[11] 熱可塑性樹脂(C)の重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)が1500以上である、[1]〜[10]の何れか1つに記載の接着剤。
[12] 多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体の軟化点が、組み合わせて使用する永久接着剤の熱硬化温度より10℃以上高い温度である、[1]〜[11]の何れか1つに記載の接着剤。
[13] 熱可塑性樹脂(C)の軟化点が、組み合わせて使用する永久接着剤の熱硬化温度より10℃以上高い温度である、[1]〜[12]の何れか1つに記載の接着剤。

[14] 各成分を下記範囲で含有する、[1]〜[13]の何れか1つに記載の接着剤。
多価ビニルエーテル化合物(A):化合物(B)におけるヒドロキシ基及びカルボキシ基の総量1モルに対して、多価ビニルエーテル化合物(A)中のビニルエーテル基が0.01〜10モルとなる量
熱可塑性樹脂(C):化合物(B)1重量部に対して0.1〜3重量部
多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計含有量:接着剤の不揮発分全量の70〜99.9重量%
[15] さらに、式(d)で表される1価のカルボン酸及び/又は式(e)で表される1価のアルコールを含有する、[1]〜[14]の何れか1つに記載の接着剤。
[16] 式(d)で表される1価のカルボン酸と式(e)で表される1価のアルコールの合計含有量が、多価ビニルエーテル化合物(A)1重量部に対して0.01〜5重量部である、[1]〜[15]の何れか1つに記載の接着剤。
[17] さらに、酸化防止剤を化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計100重量部に対して0.01〜15重量部含有する、[1]〜[16]の何れか1つに記載の接着剤。
[18] 粘度(25℃、せん断速度50/sにおける)が30〜2000mPa・sである、[1]〜[17]の何れか1つに記載の接着剤。
[19] 接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定する方法であって、[1]〜[18]の何れか1つに記載の接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の仮固定方法。
[20] 接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定した状態で前記被着体に加工を施す方法であって、[1]〜[18]の何れか1つに記載の接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる多価ビニルエーテル化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、固定された被着体に加工を施す加工工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の加工方法。
[21] 多価ビニルエーテル化合物(A)と、式(b)で表される構成単位を2個以上有する化合物(B)の重合体と、熱可塑性樹脂(C)を含む接着膜。
【発明の効果】
【0021】
本発明の接着剤は上記構成を有するため、接着剤の固化物は柔軟性に優れ、高温環境下や急激に温度が変化する環境下でも自然剥離やクラックを生じることがなく、被着体の固定が必要な間は、高い接着性を維持して被着体を接着・固定することができ、被着体の固定が不要となったら、加熱処理等を施すことにより、被着体を破損することなく容易に剥離(例えば、スライド剥離)することができる。また、剥離後の被着体に残存する糊(=糊残り)は溶剤で洗浄することにより容易に溶解して除去することができる。そのため、本発明の接着剤は脆弱な被着体を仮固定するための接着剤(すなわち、仮止め用接着剤)として好適に使用することができ、特に薄化された半導体チップの製造工程において仮固定用接着剤として使用することが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(多価ビニルエーテル化合物(A))
多価ビニルエーテル化合物(A)(以後「化合物(A)」と称する場合がある)は、1分子内に2個以上のビニルエーテル基を有する化合物であり、例えば、下記式(a)で表される。
【化4】
【0023】
前記式(a)中、Z2は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式からn2個の水素原子を除去した基を示す。
【0024】
また、前記式(a)中、n2は2以上の整数を示し、例えば2〜5の整数、好ましくは2〜3の整数である。
【0025】
前記飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素の構造式からn2個の水素原子を除去した基のうち、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素の構造式から2個の水素原子を除去した基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(炭素数1〜20のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基);ビニレン、1−プロペニレン、3−メチル−2−ブテニレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基(炭素数2〜20のアルケニレン基、好ましくは炭素数2〜10のアルケニレン基)等を挙げることができる。飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素の構造式から3個以上の水素原子を除去した基としては、前記例示された基の構造式から更に1個以上の水素原子を除去した基を挙げることができる。
【0026】
前記飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素の構造式からn2個の水素原子を除去した基のうち、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素の構造式から2個の水素原子を除去した基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基(3〜15員のシクロアルキレン基等);シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基(3〜15員のシクロアルケニレン基等);シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキリデン基(3〜15員のシクロアルキリデン基等);アダマンタンジイル、ノルボルナンジイル、ノルボルネンジイル、イソボルナンジイル、トリシクロデカンジイル、トリシクロウンデカンジイル、テトラシクロドデカンジイル基等の2価の橋かけ環式炭化水素基(4〜15員の2価の橋かけ環式基等)等を挙げることができる。飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素の構造式から3個以上の水素原子を除去した基としては、前記例示された基の構造式から更に1個以上の水素原子を除去した基を挙げることができる。
【0027】
前記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等を挙げることができる
【0028】
前記複素環式化合物には、芳香族性複素環式化合物及び非芳香族性複素環式化合物が含まれる。このような複素環式化合物としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環式化合物(例えば、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、イソオキサゾール、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環);ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環式化合物(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環、ベンゾチオフェン環等の縮合環等);ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環式化合物(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール環等の5員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン環等の6員環;インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン環等の縮合環等)等を挙げることができる。
【0029】
前記連結基としては、例えば、2〜4価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、ウレタン結合(−NHCOO−)、−NR−結合(Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を示す)、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。前記2〜4価の炭化水素基のうち、2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基;1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基等の炭素数4〜15の脂環式炭化水素基(特に、シクロアルキレン基)等を挙げることができる。3価の炭化水素基は前記2価の炭化水素基の構造式から更に1個の水素原子を除去した基等を挙げることができる。4価の炭化水素基は前記2価の炭化水素基の構造式から更に2個の水素原子を除去した基等を挙げることができる。
【0030】
2は置換基を1種又は2種以上有していてもよい。前記置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル、エチル基等のC1-4アルキル基等)、シクロアルキル基(例えば、C3-10シクロアルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基等のC2-10アルケニル基)、シクロアルケニル基(例えば、C3-10シクロアルケニル基)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等のC6-15アリール基)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC2-10炭化水素基、ヘテロ原子(酸素、硫黄等)を含む官能基を含む炭化水素基(例えば、C1-4アルコキシ基、C2-6アシルオキシ基等)、及びこれらが2以上結合した基等を挙げることができる。
【0031】
化合物(A)の具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等や、下記式で表される化合物を挙げることができる。
【化5】
【化6】
【0032】
本発明におけるZ2としては、なかでも、高軟化点を有する重合体を形成することができる点で、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、及びこれらが連結基を介して結合した構造式からn2個の水素原子を除去した基が好ましく、特に、飽和脂肪族炭化水素、又は飽和脂肪族炭化水素が連結基を介して結合した構造式からn2個の水素原子を除去した基が好ましく、とりわけ炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基又は炭素数2〜20の分岐鎖状アルキレン基、若しくはこれらが連結基を介して結合した構造式からn2個の水素原子を除去した基が好ましい。
【0033】
本発明における化合物(A)としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、及びトリエチレングリコールジビニルエーテルから選択される少なくとも1種の化合物が最も好ましい。
【0034】
(化合物(B))
化合物(B)は、下記式(b)で表される構成単位(繰り返し単位)を2個以上有する化合物である。
【化7】
【0035】
前記式(b)中、Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を示す。n1個のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい
【0036】
前記式(b)中、n1は1以上の整数を示し、なかでも入手が容易で、溶剤への溶解性に優れ、高い軟化点を有する重合体を形成することができる点で1〜3の整数が好ましく、特に好ましくは1〜2の整数である。
【0037】
化合物(B)における上記式(b)で表される構成単位(繰り返し単位)の数は2以上であり、なかでも高い軟化点を有する重合体を形成することができる点で2〜40の整数が好ましく、特に好ましくは10〜30の整数である。
【0038】
前記式(b)中、Z1は、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式から(n1+2)個の水素原子を除去した基を示し、前記飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式としては上記Z2における例と同様の例を挙げることができる。
【0039】
化合物(B)としては、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等が好ましく、特に、下記式(b-1)〜(b-6)から選択される少なくとも1種の構成単位(繰り返し単位)を2以上有する化合物が好ましい。
【化8】
【0040】
化合物(B)として式(b)中のXがヒドロキシ基である化合物を使用する場合は、化合物(B)全量における式(b)で表される構成単位の割合は、30重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。また、化合物(B)全量における式(b)で表される構成単位の割合は、30モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは50モル%以上である。
【0041】
化合物(B)として式(b)中のXがカルボキシ基である化合物を使用する場合は、化合物(B)全量における式(b)で表される構成単位の割合は、1重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは5重量%以上、最も好ましくは10重量%以上である。
【0042】
式(b)で表される構成単位の割合が上記範囲を下回ると、架橋点間距離の延長や架橋点の減少により、化合物(A)と重合して得られる重合体の重量平均分子量が低下し、軟化点が低下し、高温環境下における接着保持性が得られにくくなる傾向がある。
【0043】
すなわち、本発明における化合物(B)は、式(b)で表される構成単位のみを有する単独重合体であってもよく、式(b)で表される構成単位と他の構成単位を有する共重合体であってもよい。化合物(B)が共重合体である場合、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
【0044】
前記他の構成単位は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基を有さない重合性単量体由来の構成単位であり、例えば、オレフィン[例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン等の鎖状オレフィン(特に、C2-12アルケン);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状オレフィン(特に、C3-10シクロアルケン)]、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、1−プロペニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルフラン、3−ビニルチオフェン、3−ビニルキノリン、インデン、メチルインデン、エチルインデン、ジメチルインデン等のC7-14芳香族ビニル化合物)、不飽和カルボン酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の、不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸等)とアルコール(R”−OH、前記R”は飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式化合物、又はこれらが単結合若しくは連結基を介して結合した結合体の構造式から1個の水素原子を除去した基を示し、式(a)中、Z2の例に対応する1価の基を挙げることができる)を反応させて得られるエステル等]、カルボン酸ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル等のC1-16脂肪酸ビニルエステル等)、不飽和ジカルボン酸ジエステル(例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルへキシル等のマレイン酸ジC1-10アルキルエステル、及びこれらに対応するフマル酸ジエステル等)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
共重合体である場合の化合物(B)としては、なかでも上記式(b)で表される構成単位と、鎖状オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル、カルボン酸ビニルエステル、及び不飽和ジカルボン酸ジエステルから選択される少なくとも1種の重合性単量体由来の構成単位を含む化合物が好ましい。
【0046】
化合物(B)の軟化点(T1)は、例えば50〜250℃程度(好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜150℃)であることが、接着剤の塗布性に優れる点で好ましい。T1が上記範囲を上回ると、流動性が低下して塗布することが困難となる傾向がある。一方、T1が上記範囲を下回ると、化合物(A)と重合しても、得られる重合体の軟化点を永久接着剤の熱硬化温度より高くすることが困難となり、永久接着剤が硬化する前に本発明の接着剤が軟化してしまい、被着体を保持することが困難となる傾向がある。
【0047】
1は化合物(B)重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算)によりコントロールすることができる。化合物(B)重量平均分子量は、例えば1500以上、好ましくは1800〜10000、特に好ましくは2000〜5000である。
【0048】
(熱可塑性樹脂(C))
熱可塑性樹脂(C)としては、熱可塑性を有し、接着剤に含有することにより、接着剤の固化物に柔軟性を付与することができる化合物であればよく、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の重縮合系樹脂;ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂等のビニル重合系樹脂;セルロース誘導体等の天然物由来樹脂等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の接着剤は熱可塑性樹脂(C)を含有するため、接着剤の固化物に柔軟性(若しくは可とう性)を有し、急激に温度が変化する環境下でも自然剥離やクラックの発生を防止することができ、優れた接着性を保持することができる。
【0049】
熱可塑性樹脂(C)としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましく、特に、ポリエステル樹脂を少なくとも含有することが、接着剤に柔軟性を付与することができると共に、ウェハ等の被着体との化学的相互作用が小さく、剥離後の被着体に残存する糊をより一層容易に除去することができる点で好ましく、ポリビニルアセタール樹脂とポリエステル樹脂を併用することが、接着剤に柔軟性を付与することができ、被着体に対する密着性に特に優れ、且つ剥離後の被着体に残存する糊をより一層容易に除去することができる点で最も好ましい。
【0050】
前記ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコールにアルデヒド(RCHO:ホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等の前記式中のRが水素原子、直鎖状C1-5アルキル基、分岐鎖状C2-5アルキル基、又はC6-10アリール基である化合物)を反応させて得られる、下記式で表される構成単位を少なくとも有する樹脂を挙げることができる。下記式中のRは前記に同じ。本発明におけるポリビニルアセタール樹脂は下記式で表される構成単位以外にも他の構成単位を有していてもよい。すなわち、本発明におけるポリビニルアセタール樹脂にはホモポリマー及びコポリマーが含まれる。本発明におけるポリビニルアセタール樹脂としては、具体的には、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等を挙げることができ、例えば、商品名「エスレック KS−1」、「エスレック KS−10」(以上、積水化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。
【化9】
【0051】
ポリエステル系樹脂としては、ジオール成分(エチレングリコール等の脂肪族C2-12ジオール、ジエチレングリコール等のポリオキシC2-4アルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式C5-15ジオール;ビスフェノールA等の芳香族C6-20ジオール等)とジカルボン酸成分(テレフタル酸等の芳香族C8-20ジカルボン酸;アジピン酸等の脂肪族C2-40ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式C8-15ジカルボン酸等)との重縮合により得られるポリエステル;オキシカルボン酸(乳酸等の脂肪族C2-6オキシカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族C7-19オキシカルボン酸等)の重縮合により得られるポリエステル;ラクトン(ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のC4-12ラクトン等)の開環重合により得られるポリエステル;ポリエステルジオールとジイソシアネートとの反応により得られるウレタン結合を含むポリエステル等を挙げることができる。また、ポリエステル系樹脂にはホモポリエステル及びコポリエステルが含まれる。本発明においては、例えば、商品名「プラクセル H1P」((株)ダイセル製)等の市販品を使用することができる。
【0052】
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ジイソシアネート類(ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類等)とポリオール類(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等)と必要に応じて鎖伸長剤(エチレングリコール等のC2-10アルキレンジオール;エチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類;イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン類;フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン類等)との反応により得られる樹脂等を挙げることができる。
【0053】
前記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ジアミン成分(ヘキサメチレンジアミン等のC4-10アルキレンジアミン等)とジカルボン酸成分(アジピン酸等のC4-20アルキレンジカルボン酸等)との重縮合により得られるポリアミド;アミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸等のC4-20アミノカルボン酸等)の重縮合により得られるポリアミド;ラクタム(ω−ラウロラクタム等のC4-20ラクタム等)の開環重合により得られるポリアミド;ジアミン成分(ヘキサメチレンジアミン等のC4-10アルキレンジアミン等)とジカルボン酸成分(アジピン酸等のC4-20アルキレンジカルボン酸等)とジオール成分(エチレングリコール等のC2-12アルキレンジオール等)との重縮合により得られるポリエステルアミド等を挙げることができる。ポリアミド系樹脂にはホモポリアミド及びコポリアミドが含まれる。
【0054】
熱可塑性樹脂(C)の軟化点(T2)は、本発明の接着剤が仮止め用接着剤として使用される場合は、仮止め用接着剤と組み合わせて使用する永久接着剤の熱硬化温度より10℃以上(例えば10〜40℃、特に好ましくは20〜30℃)高いことが好ましい。
【0055】
2は熱可塑性樹脂(C)の重量平均分子量(Mw:GPC法による、ポリスチレン換算)をコントロールすることにより調整することができる。熱可塑性樹脂(C)としては、重量平均分子量が例えば1500〜100000、好ましくは2000〜80000、特に好ましくは3000〜50000、最も好ましくは10000〜45000、とりわけ好ましくは15000〜35000である樹脂を使用することが好ましい。
【0056】
[接着剤]
本発明の接着剤は、上記化合物(A)、化合物(B)、及び熱可塑性樹脂(C)を少なくとも含有する。
【0057】
本発明の接着剤が仮止め用接着剤として使用される場合は、化合物(A)と化合物(B)の重合体の軟化点(T1)は、仮止め用接着剤と組み合わせて使用する永久接着剤の熱硬化温度より10℃以上(例えば10〜40℃、特に好ましくは20〜30℃)高いことが好ましい。
【0058】
従って、例えば、永久接着剤の熱硬化温度が120℃である場合、本発明の接着剤中の化合物(A)の含有量は、接着剤に含まれる化合物(B)におけるヒドロキシ基及びカルボキシ基の総量1モルに対して、多価ビニルエーテル化合物(A)中のビニルエーテル基が0.01〜10モルとなる量であり、好ましくは0.05〜5モル、特に好ましくは0.07〜1モル、最も好ましくは0.08〜0.50となる量である。
【0059】
また、本発明の接着剤中の熱可塑性樹脂(C)の含有量は、接着剤に含まれる化合物(B)1重量部に対して0.1〜3重量部であり、好ましくは0.2〜2重量部、特に好ましくは0.3〜1重量部である。
【0060】
更に、本発明の接着剤中の化合物(A)と化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計含有量は、接着剤の不揮発分全量の70〜99.9重量%であり、好ましくは80〜99重量%、特に好ましくは85〜95重量%、最も好ましくは85〜90重量%である。
【0061】
(その他の成分(1))
本発明の接着剤は、さらに重合促進剤を含有していてもよい。前記重合促進剤としては、下記式(d)で表される1価のカルボン酸、及び下記式(e)で表される1価のアルコール等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記化合物を含有する接着剤は、化合物(A)及び化合物(B)の重合反応を促進することができ、重合促進剤を含有しない接着剤を使用する場合と比べて、重合時の加熱温度を低下させても、同等又は、より一層高い軟化点を有する重合体を形成することができ、一層高い温度環境下(例えば、160〜180℃程度)においても接着性を保持することができる点で好ましい。
3−COOH (d)
(式中、Z3はカルボキシ基以外の置換基を有していてもよい、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素からなる群より選択される構造式から1個の水素原子を除去した基を示す)
4−OH (e)
(式中、Z4はヒドロキシ基以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の構造式から1個の水素原子を除去した基を示す)
【0062】
上記式(d)中のZ3における飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素、飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素、上記式(e)中のZ4における芳香族炭化水素としては、上記Z2の例に対応する1価の基を挙げることができる。Z3が有していてもよい置換基としては、Z2が有していてもよい置換基の例からカルボキシ基を除いた例を挙げることができる。Z4が有していてもよい置換基としては、Z2が有していてもよい置換基の例からヒドロキシ基を除いた例を挙げることができる。
【0063】
本発明における重合促進剤としては、pKa(酸解離定数)が3〜8であることが好ましく、特に好ましくは4〜6である。pKaが上記範囲を下回ると接着剤中で重合が進行して粘度が増加する等、保存安定性が低下する傾向がある。一方、pKaが上記範囲を上回ると重合を促進する効果が低下する傾向がある。
【0064】
式(d)で表される1価のカルボン酸としては、下記に示される化合物(幾何異性体を含む)が好ましい。
【化10】
【化11】
【0065】
式(e)で表される1価のアルコールとしては、下記に示される化合物が好ましい。
【化12】
【0066】
重合促進剤の使用量としては、接着剤に含まれる化合物(A)1重量部に対して、例えば0.01〜5重量部程度(好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは0.3〜1重量部)である。
【0067】
(その他の成分(2))
本発明の接着剤は、さらに酸化防止剤を含有していてもよい。本発明の接着剤が酸化防止剤を含有すると、接着剤に含まれる化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)が、加熱処理の際に酸化することを防止することができ、それにより、加熱処理を施して前記接着剤の固化物を軟化又は液化して得られる組成物の溶剤に対する溶解性をより一層向上することができ、剥離した被着体に糊が残存する場合に、溶剤による糊残りの除去を極めて容易に行うことができるようになる点で好ましい。
【0068】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエステル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、なかでも、フェノール系酸化防止剤を使用することが、加熱処理による酸化防止効果に特に優れる点で好ましい。
【0069】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール テトラキス[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、N,N'−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、カルシウムビス[3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]等を挙げることができる。本発明では、例えば、商品名「Irganox 1010」、「Irganox 1035」、「Irganox 1076」、「Irganox 1098」、「Irganox 1135」、「Irganox 1330」、「Irganox 1726」、「Irganox 1425WL」(以上、BASF社製)等の市販品を使用することができる。
【0070】
酸化防止剤の使用量(若しくは含有量;2種以上含有する場合はその総量)としては、接着剤に含まれる酸化防止剤を化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の合計100重量部に対して、例えば0.01〜15重量部(好ましくは0.1〜12重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部)である。
【0071】
(その他の成分(3))
本発明の接着剤は、更に、必要に応じて他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば、酸発生剤、界面活性剤、溶剤、レベリング剤、シランカップリング剤、発泡剤等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0072】
(酸発生剤)
酸発生剤は、熱又は光を吸収するカチオン部と、酸の発生源となるアニオン部で構成される化合物であり、熱酸発生剤と光酸発生剤が含まれる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0073】
本発明の接着剤が酸発生剤を含有すると、接着剤の固化物中に含まれる、化合物(A)と化合物(B)の重合体に、前記酸発生剤が発生する酸が反応して、前記重合体をアセタール結合部位において分解し、低分子量化するため、酸発生剤を含有しない場合に比べて低い温度で接着剤の固化物を軟化又は液化して、接着性を低下又は喪失させることが可能となる。また、糊残りの洗浄も、より一層容易に行うことが可能となる。
【0074】
前記熱酸発生剤は、加熱処理(特に、固化温度を超える温度で加熱処理)を施すことによりスルホン酸(例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸等)、スルホニウムカチオン等を発生させる化合物等であり、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等を挙げることができる。本発明においては、商品名「SI−180L」(三新化学工業(株)製)等の市販品を使用しても良い。
【0075】
熱酸発生剤の含有量(配合量)は、化合物(A)1重量部に対して、例えば0.01〜0.1重量部程度、好ましくは0.03〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.1重量部である。
【0076】
前記光酸発生剤は、光を照射することにより酸(例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロホスホニウムスルホン酸等)、カチオン(例えば、スルホニウムカチオン等)などを発生させる化合物であり、例えば、ヨードニウム塩系化合物(なかでもアリールヨードニウム塩系化合物が好ましく、特にビスアリールヨードニウム塩系化合物が好ましい)、スルホニウム塩系化合物(なかでもアリールスルホニウム塩系化合物が好ましく、特にトリアリールスルホニウム塩系化合物が好ましい)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0077】
光酸発生剤のカチオン部としては、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオンを挙げることができる。
【0078】
前記ヨードニウムイオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウムイオン、ジ−p−トリルヨードニウムイオン、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムイオン、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムイオン、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムイオン、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウムイオン、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムイオン、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムイオン、及び4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウムイオン等のアリールヨードニウムイオン(特に、ビスアリールヨードニウムイオン)を挙げることができる。
【0079】
前記スルホニウムイオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
【0080】
光酸発生剤のアニオン部としては、例えば、パーフルオロアルカンスルホニウムイオン、パーフルオロホスホニウムスルホニウムイオン、パーフルオロアンチモニウムスルホニウムイオン、BF4-、B(C654-、PF6-、[(Rf)nPF6-n-(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、n:1〜5の整数)、AsF6-、SbF6-、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート等を挙げることができる。本発明においては、なかでも有毒物質をあるアンチモンを含有せず安全に使用できる点で、パーフルオロアルカンスルホニウムイオン、パーフルオロホスホニウムスルホニウムイオンが好ましい。
【0081】
光酸発生剤の含有量(配合量)は、化合物(A)1重量部に対して、例えば0.01〜0.1重量部程度、好ましくは0.03〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.1重量部である。
【0082】
(界面活性剤)
本発明の接着剤は界面活性剤を、接着剤全量の0.01〜1重量%程度含有することが、接着剤を塗布する際のハジキを改善することができ、塗膜の均一性を向上することができる点で好ましい。前記界面活性剤としては、例えば、商品名「F−444」、「F−447」、「F−554」、「F−556」、「F−557」(以上、フッ素系オリゴマー、DIC社製)、商品名「BYK−350」(アクリル系ポリマー、ビックケミー社製)、商品名「A−1420」、「A−1620」、「A−1630」(以上、フッ素含有アルコール、ダイキン工業(株)製)を使用することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0083】
(溶剤)
本発明の接着剤は溶剤を含有することが、接着剤の粘度をコントロールすることができる点で好ましい。前記溶剤としては、従来公知の溶剤(例えば、トルエン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ―ブチロラクトン等)を1種、又は2種以上使用することができる。
【0084】
本発明の接着剤は上記成分と、必要に応じてその他の成分等を配合し、必要に応じて、真空下で気泡を除去しながら撹拌・混合することにより調製することができる。撹拌・混合する際の温度は10〜80℃程度が好ましい。尚、撹拌・混合には、公知乃至慣用の装置(例えば、自転公転型ミキサー、1軸又は多軸エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディゾルバー等)を使用することができる。
【0085】
本発明の接着剤の粘度(25℃、せん断速度50/sにおける)は、例えば30〜2000mPa・s程度であり、好ましくは300〜1500mPa・s、特に好ましくは500〜1500mPa・sである。そのため、塗布性に優れ、被着体表面に均一に塗布することができる。
【0086】
本発明の接着剤は、被着体に塗布した後、加熱処理を施すことにより、化合物(A)のビニルエーテル基と、化合物(B)のヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基とをアセタール結合させることができ、それにより高い軟化点を有し、接着性に優れた重合体を形成させることができる。
【0087】
例えば、化合物(A)として下記式(a’)で表される化合物、化合物(B)として下記式(b')で表される構成単位を有する化合物を含有する接着剤に加熱処理を施すと、下記式(1)で表される重合体が得られる。
【化13】
【0088】
本発明の接着剤を加熱処理に付すことにより得られる重合体は、化合物(B)とアセタール結合させる化合物(A)の量を調整することにより、軟化点をコントロールすることができ、本発明の接着剤が仮止め用接着剤として使用される場合において、仮止め用接着剤と組み合わせて使用する永久接着剤の熱硬化温度が120℃である場合、重合体は、軟化点が、例えば130℃以上(例えば130〜170℃、特に好ましくは140〜160℃)の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0089】
そして、前記重合体及び熱可塑性樹脂(C)は、それぞれの軟化点以上の温度で加熱すると急激に軟化又は液化して、接着性を低下又は喪失する。
【0090】
本発明の接着剤が酸発生剤を含有する場合は、重合後に加熱処理又は光照射を施して酸を発生させると重合体がアセタール結合部分において分解され、分解前の重合体より低い軟化点(例えば50〜150℃、好ましくは60〜120℃、特に好ましくは80〜100℃)を有する低分子量体(=分解物)が形成される。そのため、分解前の重合体の軟化点より低い温度で加熱することにより軟化又は液化させることが可能となる。
【0091】
重合体を形成した後の接着剤が軟化又は液化する温度(すなわち、軟化点)は、本発明の接着剤が仮止め用接着剤として使用される場合において、仮止め用接着剤と組み合わせて使用する永久接着剤の熱硬化温度が120℃である場合は、例えば130℃以上(例えば130〜170℃、特に好ましくは140〜160℃)である。
【0092】
尚、接着剤の軟化点は、実施例に記載の方法で測定できる。また、化合物(A)、化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)の軟化点は、下記フロー条件下で高化式フローテスターを用いて測定することができる。
<フロー条件>
圧力:100kg/cm2
スピード:6℃/分
ノズル:1mmφ×10mm
【0093】
前記重合体を形成した後の接着剤を加熱により軟化又は液化して得られる組成物は、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン等の溶剤の1種又は2種以上に易溶解性を示す。そのため、剥離後の被着体に前記組成物が付着する場合(すなわち、糊残りが存在する場合)は、前記溶剤を1種又は2種以上使用して洗い流すことにより容易に除去することができる。
【0094】
本発明の接着剤は加熱処理を施すことにより高軟化点を有する重合体を形成することができるので、前記重合体の軟化点未満の温度であれば、高温環境下であっても、被着体を強固に固定、保持し続けることが可能となる。また、接着剤の固化物は柔軟性に優れるため、急激に温度が変化する環境下でも自然剥離やクラックの発生が抑制され、被着体を固定し、保持し続けることができる。そして、被着体の保護が不要となった際には、前記重合体(本発明の接着剤が酸発生剤を含有する場合は、重合体の分解物)や熱可塑性樹脂(C)の軟化点以上の温度で加熱処理を施すことによりこれらを急激に軟化又は液化することができ、接着性を低下又は喪失させることができる。そのため、本発明の接着剤は脆弱な被着体の仮固定用接着剤として好適に使用することができる。
【0095】
[被着体の仮固定方法]
本発明の被着体の仮固定方法は、接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定する方法であって、上記接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、及び固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、接着剤を軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む。
【0096】
上記接着剤中の化合物(A)と化合物(B)を重合体化する際の加熱温度としては、例えば100〜300℃程度、好ましくは100〜250℃である。加熱は上記温度範囲において、一定温度に固定した状態で行ってもよく、段階的に温度を変更して行ってもよい。また、加熱時間は、例えば30秒〜30分程度、好ましくは3分〜12分である。加熱温度及び時間が上記範囲を下回ると、得られる重合体の重量平均分子量が小さくなり、軟化点が低くなるため、高温環境下における接着保持性が低下する傾向がある。一方、加熱温度及び時間が上記範囲を上回ると、副反応の発生により得られる重合体の軟化点が低下したり、必要以上の重合により軟化点が高くなり過ぎ、剥離後の洗浄性が低下したりする場合があり、生産性の低下の点から好ましくない。
【0097】
また、重合体を形成した後の接着剤の固化は、形成された重合体及び熱可塑性樹脂(C)の軟化点未満の温度に冷却することによって行われる。
【0098】
また、固定工程においては、被着体と支持体とを適度な圧力(例えば300〜5000g/cm2程度)で押圧しつつ加熱処理を施すことが、より一層強固に固定することができる点で好ましい。
【0099】
上記固定工程は大気中、及び真空中のどちらでも行うことができる。
【0100】
前記固定工程には、下記1〜3の態様等が含まれる。
1.被着体と支持体とを接着剤を介して重ね合わせた状態で加熱して前記接着剤中の化合物(A)と化合物(B)を重合体化することにより被着体と支持体とを接着し、その後接着剤を固化して固定する方法
2.被着体及び/又は支持体の表面に接着剤を塗布し、加熱することにより前記接着剤中の化合物(A)と化合物(B)を重合体化し、その後接着剤を固化して接着膜を形成し、被着体と支持体とを前記接着膜を介して重ね合わせた後に、前記接着膜を軟化することにより被着体と支持体とを接着、固定する方法
3.接着剤を被着体及び支持体以外の基材表面に塗布し、加熱することにより前記接着剤中の化合物(A)と化合物(B)を重合体化し、その後接着剤を固化して接着膜を形成し、被着体と支持体とを前記接着膜を介して重ね合わせた後に、前記接着膜を軟化することにより被着体と支持体とを接着、固定する方法
【0101】
上記2及び3の態様において、固化した接着膜を軟化する方法としては、例えば170〜250℃(好ましくは190〜230℃)の温度で、例えば0.5〜10分程度(好ましくは1〜5分)加熱する方法を挙げることができる。
【0102】
本発明の被着体の仮固定方法としては、特に、上記2の態様で被着体を支持体に接着、固定することが好ましい。すなわち、本発明の被着体の仮固定方法としては、接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定する方法であって、上記接着剤を被着体及び/又は支持体に塗布した後、塗布された接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、固化して接着膜を形成する工程、被着体と支持体とを前記接着膜を介して重ね合わせた後に、前記接着膜を軟化することにより被着体と支持体とを接着、固定する工程、及び前記接着膜に加熱処理を施して前記接着膜を軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む被着体の仮固定方法であることが好ましい。
【0103】
剥離工程において、重合体を軟化又は液化する際の加熱温度としては、重合体の軟化点以上の温度であればよく、例えば重合体の軟化点が140〜160℃である場合、加熱温度は例えば170〜250℃程度、好ましくは180〜230℃である。また、加熱時間は、例えば30秒〜15分程度、好ましくは3分〜5分である。尚、本発明における「軟化又は液化」とは、重合体の粘度を100Pa・s以下(好ましくは1Pa・s以下)に低減させることである。
【0104】
また、本発明の接着剤が酸発生剤を含有する場合は、予め重合体を酸で分解して低分子量化することにより、前記重合体の軟化点よりも低い温度で被着体を剥離することが可能となる。
例えば、酸発生剤として光酸発生剤を含有する場合は、加熱処理の前に光照射を行うことが好ましく、前記光としては、種々の波長の光線(例えば、紫外線、X線等)を利用することができ、なかでも、400nm以下の波長の遠紫外光を使用することが好ましい。光照射エネルギーは、例えば500〜8000mJ/cm2程度である。光照射後に行う加熱処理の加熱温度は、例えば50〜160℃程度、好ましくは100〜150℃である。また、加熱時間は、例えば30秒〜30分程度、好ましくは3分〜5分である。
酸発生剤として熱酸発生剤を含有する場合の加熱処理の加熱温度は、例えば50〜160℃程度、好ましくは100〜150℃である。また、加熱時間は、例えば30秒〜15分程度、好ましくは3分〜5分である。
【0105】
上記接着剤を塗布する方法としては、例えば、カーテンコート法、スキージ塗布、ロールコート塗装、スプレー塗装、ハケ塗り、バーコート塗装、ローラー塗り、シルクスクリーン印刷、スピンコーティング等の周知慣用の方法を採用することができる。
【0106】
接着剤の塗布厚みは、用途に応じて適宜調整することができ、例えば、半導体ウェハを支持体と接着する用途に使用する場合は、1〜20μm程度である。
【0107】
本発明の被着体の仮固定方法では、被着体表面に糊残りが存在する場合は、剥離工程の後に、溶剤による洗浄処理を施すことが好ましい。特に酸化防止剤を含む接着剤を使用して仮固定した場合には、剥離工程において極めて容易に洗い流すことができる。
【0108】
本発明の被着体の仮固定方法では上記接着剤を使用するため、被着体が、薄膜の、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)、光学ガラス、フィルム、金属板、セラミック板等の破損し易いものであったとしても、これらの被着体を支持体に接着、固定することにより保護することができ、高温環境下や急激に温度が変化する環境下おいても被着体の固定状態を保持し続けることができる。そして、保護が不要となった際には被着体を破損することなく、且つ糊残りすることなく剥離することができる。
【0109】
[接着膜]
本発明の接着膜は、上記化合物(A)と化合物(B)の重合体と、熱可塑性樹脂(C)を含む。本発明の接着膜は、例えば、上記接着剤を塗布し、加熱処理を施し、その後固化することにより得られる。接着剤の塗布、加熱処理、及び固化は上記被着体の仮固定方法に記載の方法と同様の方法で行うことができる。
【0110】
接着剤を塗布する対象としては、特に制限されることがなく、例えば、被着体、支持体、被着体及び支持体以外の基材等を挙げることができる。
【0111】
接着膜の厚みは、用途に応じて適宜調整することができ、例えば、半導体ウェハを支持体と接着する用途に使用する場合は、1〜20μm程度である。
【0112】
本発明の接着膜は化合物(A)と化合物(B)の重合体を含むため、高温環境下であっても高い接着性を維持して被着体を接着・固定することができる。また、本発明の接着膜は前記重合体と共に熱可塑性樹脂(C)を含むため柔軟性に優れ、急激に温度が変化する環境下でも自然剥離やクラックが生じることがなく、優れた接着性を維持することができる。そして、本発明の接着膜は、前記重合体や熱可塑性樹脂(C)の軟化点以上の温度で加熱すると、急激に軟化又は液化して、接着性を低下又は喪失する。従って、本発明の接着膜は、薄化された半導体チップの仮固定用途に好適に使用することができる。
【0113】
[被着体の加工方法]
本発明の被着体の加工方法は、本発明の接着剤を使用して被着体を支持体に仮固定した状態で前記被着体に加工を施す方法であって、上記接着剤に加熱処理を施して、前記接着剤に含まれる化合物(A)と化合物(B)の重合体を形成し、その後接着剤を固化して被着体を支持体に固定する固定工程、固定された被着体に加工を施す加工工程、及び前記固化した接着剤に、前記重合体の軟化点以上の温度で加熱処理を施して、接着剤を軟化又は液化することにより被着体を支持体から剥離する剥離工程を含む。
【0114】
また、接着剤として光酸発生剤を含有する接着剤を使用する場合は、剥離工程において加熱処理を施す前に光照射を行うことが好ましい。
【0115】
固定工程、剥離工程は上記被着体の仮固定方法と同様の方法により行うことができる。また、被着体表面に糊残りが存在する場合は剥離工程の後に溶剤による洗浄処理を施すことが好ましい。前記洗浄処理も上記被着体の仮固定方法と同様の方法により行うことができる。
【0116】
前記加工工程は被着体に加工を施す工程であり、例えば被着体がシリコンウェハである場合は、研削(薄化)、エッチング等を施す工程である。本発明においては上記接着剤を使用して支持体に固定した状態で被着体を加工するため、被着体を極めて薄く研削しても加工工程やその後の運搬工程において被着体が破損することを防止することができる。また、本発明の接着剤は加熱処理を施すことにより高軟化点を有する重合体を形成することができるため、前記重合体の軟化点未満の温度であれば、高温環境下や急激に温度が変化する環境下においても被着体を支持体に保持し続けることができ、被着体の破損を防止することができる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、接着剤の粘度は、レオメータ(商品名「レオメータMCR301」、AntonPaar社製)を用いて、25℃、せん断速度50/sにおけるせん断粘度を算出した。
接着剤の塗布にはスピンコーター(商品名「ACT−400AII」、(株)アクティブ製)を使用した。
加熱にはホットプレート(ND−1、アズワン製)を使用した。
【0118】
実施例1〜12、比較例1
下記表に記載の処方(単位:重量部)に従って各成分を配合、混合して接着剤を調製した。得られた接着剤を使用して、下記評価を行った。
【0119】
<評価方法>
1.柔軟性
1−1:冷却による自然剥離の有無
シリコンウェハ(φ4インチ)に接着剤0.1gを塗布して10μmの厚さに塗布した。その後、シリコンウェハを1.5cm×1.5cmのサイズに切り出して、同じサイズのガラス板と重ね合わせ、140℃で2分加熱した後、200℃で2分加熱し、更に230℃で4分加熱処理を施すことにより積層体[シリコンウェハ/接着剤/ガラス板]を得た。得られた積層体について、25℃の条件下で0.5時間静置した後、シリコンウェハとガラス板の間に自然剥離の発生の有無を目視で観察し、下記基準により評価した。
評価基準
○:自然剥離無し
×:自然剥離有り
【0120】
1−2:冷却によるクラック発生の有無
シリコンウェハ表面に、接着剤を800rpmで10秒、1500prmで30秒の条件で塗布し、それを140℃で2分加熱した後、200℃で2分加熱し、さらに230℃で4分加熱してサンプルを得た。得られたサンプルを、25℃の条件下で0.5時間静置した後にクラック発生の有無を目視で観察し、下記基準により評価した。
評価基準
○:クラックなし
×:クラック有り
【0121】
1−3:クロスカット法による密着性の評価
上記1−2と同様の方法で得られたサンプルについて、カッターナイフで碁盤の目状(25マス)に切れ込みを入れて、セロハンテープによる剥離試験を行い(JIS5600準拠)、塗布膜の剥がれの状態を目視で観察し、下記基準により評価した。
評価基準
分類0:カットの線の縁が滑らかで、はがれがない。
分類1:カットの線の交差点において小さなはがれあり。明確に5%を上回らない。
分類2:カットの線に沿って、交差点においてはがれている。5%以上、15%未満。
分類3:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている。15%以上、35%未満。
【0122】
2.軟化点
接着剤0.1gをガラス板(1)に10μmの厚さで塗布し、ガラス板(2)を重ね合わせ、140℃で2分加熱した後、200℃で2分加熱し、更に230℃で4分加熱して積層体[ガラス板(1)/接着剤/ガラス板(2)]を得た。
得られた積層体について、ガラス板(2)を固定した状態で、加熱しつつガラス板(1)を水平方向に2kgの応力を掛けて引っ張り、ガラス板(1)が動き始める時の温度を求め、それを軟化点とした。
【0123】
3.スライド剥離性
上記2と同様の方法で得られた積層体[ガラス板(1)/接着剤/ガラス板(2)]を220℃で15分間加熱し、一方のガラス板を固定した状態で、もう一方のガラス板を2kgの荷重でスライドさせて剥離する試験を行い、下記基準により評価した。
評価基準
○:剥離できた
×:剥離できなかった
【0124】
4.洗浄性
上記3で剥離したガラス板に酢酸エチルの掛け流しを行い、糊残りの有無を目視で観察し、下記基準により評価した。
評価基準
◎:溶剤の掛け流し開始から30秒以内に糊残り無く洗浄できた
○:溶剤の掛け流し開始から30秒超で糊残り無く洗浄できた
△:80%以上は洗浄できたが、一部糊残りあり
【0125】
【表1】
【0126】
表中の略語は下記の化合物を示す。
<化合物(A)>
TEG−DVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
<化合物(B)>
CST−50:p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体(モル比:50/50、重量比:46/54)、重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算):4400、軟化点:150℃、商品名「マルカリンカーCST−50」、丸善石油化学(株)製
<熱可塑性樹脂(C)>
KS−1:ポリビニルブチラール樹脂、分子量:2.7×104、軟化点:200℃、商品名「エスレック KS−1」、積水化学工業(株)製
KS−10:ポリビニルブチラール樹脂、分子量:1.7×104、軟化点:200℃、商品名「エスレック KS−10」、積水化学工業(株)製
PCL H−1P:ポリカプロラクトン、重量平均分子量(GPC法による、ポリスチレン換算):10000、軟化点:100℃、商品名「プラクセルH1P」、(株)ダイセル製
<その他>
t−CA:トランス桂皮酸、重合促進剤、pKa:4.44、和光純薬工業(株)製
F−554:フッ素系オリゴマー、界面活性剤、商品名「F−554」、DIC社製
In1010:ペンタエリスリトール テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、フェノール系酸化防止剤、商品名「Irganox 1010」、BASF社製
CHO:シクロヘキサノン、溶剤
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の接着剤は、脆弱な被着体を仮固定するための接着剤として好適に使用することができ、特に薄化された半導体チップの製造工程において仮固定用接着剤として使用することが好ましい。