特許第6806714号(P6806714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806714アイスクリーム機械およびアイスクリーム機械を使用してアイスクリーム製品を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806714
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】アイスクリーム機械およびアイスクリーム機械を使用してアイスクリーム製品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/24 20060101AFI20201221BHJP
   A23G 9/26 20060101ALI20201221BHJP
   A23G 9/22 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A23G9/24
   A23G9/26
   A23G9/22
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-565274(P2017-565274)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公表番号】特表2018-517420(P2018-517420A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2016063881
(87)【国際公開番号】WO2016202920
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年6月11日
(31)【優先権主張番号】1550849-2
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トマス・スコグルンド
(72)【発明者】
【氏名】オレ・ベンディクセン
(72)【発明者】
【氏名】トミ・ボンデ
(72)【発明者】
【氏名】ピア・ヘンレク・ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】クアト・クリステンスン
(72)【発明者】
【氏名】アイヴィン・ヴァルストレム
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−087056(JP,A)
【文献】 特開昭62−091148(JP,A)
【文献】 特表2002−517986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/
A23P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填領域(5)と排出領域(9)とを有するアイスクリーム機械であって、
径方向延在部を有する回転可能ユニット(10)と、
アイスクリームを受け入れるための成形型(20)であって、前記回転可能ユニット(10)と共に回転するように構成された成形型(20)と、
アイスクリームを前記成形型(20)内へと押し出すための押出ノズル(40)であって、前記充填領域(5)に配置された押出ノズル(40)と、
アイスクリームを前記排出領域(9)において前記成形型(20)から径方向に放出するための放出機構(30)と、
スティック(52)を前記成形型(20)に提供するように構成されたスティック提供機構(50)と、を備え、
前記スティック提供機構(50)は、前記充填領域(5)の前のスティック提供領域(3)に配置されており、前記成形型(20)が前記スティック提供機構(50)を通過するように回転させられるとき、前記成形型(20)に前記スティック(52)を提供するように構成されており、前記スティック(52)が前記成形型(20)をアイスクリームで充填する前に、前記成形型(20)に提供され、
前記放出機構(30)は、前記成形型(20)に連結されたピストン(32)を備え、前記成形型(20)の底(22)が、前記ピストン(32)と一体に径方向に移動可能である、
アイスクリーム機械。
【請求項2】
前記充填領域と前記排出領域との間に運搬領域を備え、前記運搬領域において、前記放出機構は、前記成形型を前記回転可能ユニットの径方向内向きに移動するように構成される、請求項1に記載のアイスクリーム機械。
【請求項3】
前記ピストンは往復式ピストンである、請求項1または2に記載のアイスクリーム機械。
【請求項4】
前記ピストンは、前記回転可能ユニットのハブに配置されたカムシャフトに連結されることによって往復式である、請求項に記載のアイスクリーム機械。
【請求項5】
前記ピストンは、空気圧、油圧、または電気的に作動可能であることにより往復式である、請求項に記載のアイスクリーム機械。
【請求項6】
少なくとも2つの成形型を備え、前記押出ノズルは、前記充填領域において2つ以上の成形型を覆うように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載のアイスクリーム機械。
【請求項7】
前記押出ノズルを前記回転可能ユニットに対して封止するように構成された封止部を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のアイスクリーム機械。
【請求項8】
前記排出領域において前記アイスクリームを前記成形型から分離するように構成された分離機構を備え、前記分離機構は、スクレーパ、ワイヤ、空気圧駆動システム、超音波切断器具のうちの少なくとも1つである、請求項1からのいずれか一項に記載のアイスクリーム機械。
【請求項9】
前記アイスクリームを前記排出領域において前記成形型から受け入れるように構成されたコンベヤトレイを備え、前記回転可能ユニットの回転速度がコンベヤベルトの速度に適合される、請求項1からのいずれか一項に記載のアイスクリーム機械。
【請求項10】
押出ノズルと、回転可能ユニットと、前記回転可能ユニットと共に回転するように構成された少なくとも1つの成形型と、スティックを前記成形型に提供するように構成されたスティック提供機構と、ピストンを備える放出機構と、を有するアイスクリーム機械を使用してアイスクリーム製品を製造するための方法であって、
含有物を伴うまたは伴わないアイスクリームを提供するステップと、
前記アイスクリームを前記押出ノズルに通して前記成形型内へと押し出すステップと、
前記アイスクリームを、前記放出機構を使用して前記成形型から放出するステップと、
を含み、
前記成形型が前記スティック提供機構を通過するように回転させられるとき、前記成形型に前記スティックを提供するように構成されており、前記スティックが前記成形型をアイスクリームで充填する前に、前記成形型に提供され、
前記アイスクリームを放出する前記ステップは、前記アイスクリームを前記成形型から前記回転可能ユニットの径方向に押し出すために、ピストンを使用することを含む、方法。
【請求項11】
前記アイスクリーム機械は少なくとも2つの成形型を備え、前記アイスクリームを押し出す前記ステップは、アイスクリームを2つ以上の成形型へと押し出すことを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填領域と排出領域とを有するアイスクリーム機械、およびアイスクリーム機械を使用してアイスクリーム製品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アイスクリーム製造業界では、アイスクリームまたはアイスクリーム混合物が、アイスクリーム製品を製造するために使用される。その過程では、アイスクリームは、押出ノズルを通って押し出され、続いて切断器具を用いてアイスクリーム製品へと切断される。切断器具は、例えば、ナイフまたはスクレーパであり得る。また、いわゆるアイスクリームキャンディを製造するために、アイスクリームスティックがアイスクリームに挿入されることが多い。その後、アイスクリーム製品は、例えば包装および保管へと、さらなる運搬のためにコンベヤトレイまたはコンベヤベルトに置かれ得る。
【0003】
一部のアイスクリームは含有物または小片を含む。これらの含有物は、スティックが挿入されるアイスクリームの部分に含有物が位置付けられることで、アイスクリームにおけるスティックの位置決めについて問題を引き起こす可能性がある。したがって、含有物は、アイスクリームにおけるスティックの不適切な配置を引き起こす可能性がある。含有物がアイスクリーム混合物に存在しない場合であっても、アイスクリームにスティックを挿入するように構成されているスティック挿入機は、アイスクリーム製品におけるスティックの意図した位置と比較して、スティックをずらしてしまう可能性がある。これはさらに、アイスクリーム製品をコンベヤトレイ上に不適切に配置させてしまう可能性がある。
【0004】
さらに、スティックがアイスクリームに含まれていない場合であっても、アイスクリーム製品は、例えば、鈍いまたは切れ味の悪い切断器具が含有物に当たり、アイスクリーム製品に意図していない回転をさせることに起因して、コンベヤトレイ上に不適切に配置される可能性がある。
【0005】
したがって、これらの問題を少なくとも部分的に解決するアイスクリーム機械を提供するために、従来技術を改善する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現況技術を改善し、上記の問題を解決し、改善されたアイスクリーム機械を提供することが、本発明の目的である。これらの目的および他の目的は、充填領域と排出領域とを有するアイスクリーム機械、およびアイスクリーム機械を使用してアイスクリーム製品を製造するための方法によって成し遂げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、充填領域と排出領域とを有するアイスクリーム機械が提供される。アイスクリーム機械は、径方向延在部を有する回転可能ユニットと、アイスクリームを受け入れるための、前記回転可能ユニットと共に回転するように構成される成形型と、アイスクリームを前記成形型へと押し出すための、前記充填領域において構成される押出ノズルと、アイスクリームを前記排出領域において前記成形型から径方向に放出するための放出機構と、を備える。
【0008】
前記アイスクリームまたはアイスクリーム製品を、放出機構によって前記成形型から径方向に放出することで、前記アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、前記成形型から容易に分離でき、その後、例えばコンベヤベルトに置くことができる。このような構成によって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、不適切な配置のより少ないアイスクリーム製品を伴う繰り返しの手法で、コンベヤトレイに置くことができる。さらに、アイスクリーム製品は、径方向に放出されるとき、コンベヤベルトに直接的または基本的に直接的に置くことができる。したがって、コンベヤトレイに到達する前のアイスクリーム製品の望ましくない制御不能な落下または脱落が低減され得るか、または回避さえされ得る。さらに、回転可能ユニットを使用することで、アイスクリーム機械はよりコンパクトに作ることができる。
【0009】
回転可能ユニットが湾曲した断面を好ましくは有し得ることは留意されるべきである。少なくとも1つの例の実施形態によれば、断面は円形であり、回転可能ユニットは、回転可能な輪として、または、例えば開放した円筒など、回転可能な円筒として形成される。少なくとも1つの例の実施形態によれば、断面は楕円状に成形される。
【0010】
回転可能ユニットが回転可能な輪または円筒として形成されている実施形態では、成形型は、輪または円筒の外壁における凹部として好ましくは構成される。ここで、回転可能ユニットの径方向延在部は、輪または円筒の径方向における延在と比較可能である。この実施形態では、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、好ましくは外向きの径方向で、つまり前記輪または円筒のハブから輪または円筒の外壁に向かう方向に、前記成形型から放出される。
【0011】
放出機構は、前記成形型に連結されるピストンを備えてもよい。ピストンは、径方向において移動可能であってもよい。これによって、ピストンは、前記成形型または前記成形型の少なくとも一部を、径方向において押すことができる。少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記成形型の底が移動可能である。例えば、前記成形型の底は、前記ピストンと一体に径方向に移動可能とできる。この実施形態では、成形型の側壁が、例えば回転可能ユニットの本体に含まれてもよく、一方で成形型の底は、回転可能ユニットの本体内で移動可能となるように構成される。底は、例えば回転可能ユニットの本体の内側から、少なくとも回転可能ユニットの周囲または周辺まで移動され得るような方法で、径方向に移動可能となるように構成されてもよい。別の言い方をすれば、成形型は、第1の状態において、成形型の底が回転可能ユニットの内側に位置付けられ(例えば、成形型が充填領域においてアイスクリームで充填されるとき)、第2の状態において、凹部がより小さく、またはもはや存在しないように(例えば、アイスクリームを排出領域において成形型から放出するとき)、成形型の底が回転可能ユニットの周囲または周辺のより近くに(つまり回転可能ユニットの外壁のより近くに)移動されている、回転可能ユニットにおける凹部として成形される。
【0012】
これによって、ピストンは前記成形型の底を径方向において押すことができ、それによって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は前記成形型から放出される。
【0013】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記成形型の底は移動可能ではなく、前記ピストンは、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を前記成形型から放出するために、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を押すように前記成形型内で径方向に移動するように構成される。
【0014】
アイスクリーム機械は、前記充填領域と前記排出領域との間に運搬領域を備えてもよく、前記運搬領域において、前記放出機構は、前記成形型または前記成形型の少なくとも底を前記回転可能ユニットの径方向内向きに移動するように構成される。
【0015】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型内へのアイスクリームのさらなる展開は、前記充填領域の後の段階において、前記成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動するように前記放出機構を構成することによって、防止される。別の言い方をすれば、成形型がアイスクリームで充填されたとき、成形型の内側の圧力の増加が、すでに充填領域において、前記成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動するように構成することで防止される。
【0016】
これによって、成形型の内側の圧力は調節され得る。例えば、押出ノズルを通じて成形型をアイスクリームで充填する過程において、圧力増加(または過剰な圧力)がしばしば使用される。この過剰な圧力は、成形型が排出領域に到達するまで、つまりアイスクリームまたはアイスクリーム製品が成形型から放出されるまで、成形型が典型的には周囲環境から覆われるため、成形型に留まることができる。ここで、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、成形型における圧力の急激な解放のため、望ましくない変形がされる可能性がある。したがって、成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動することで、過剰な圧力が、例えば、充填領域と充填領域との間の成形型の運搬の間、制御可能な手法で低減でき、アイスクリーム製品の望ましくない変形が低減できる。
【0017】
したがって、成形型をアイスクリームで充填した後に前記成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動することで、成形型内側の圧力は、成形型が周囲環境に露出される前に一様にされ、アイスクリーム製品は成形型から放出される。そうでない場合、圧力は、成形型がその中のアイスクリーム混合物を周囲環境に露出する瞬間に一様にされることになる。その場合、望ましくない気泡がアイスクリーム製品に形成される可能性がある。成形型または前記成形型の少なくとも一部が径方向内向きに移動される量は、例えば、成形型の充填の間に使用される圧力、およびアイスクリームにおける空気含有量(いわゆる「オーバーラン」)に依存する。さらに、成形型へのアイスクリームの供給流れにいくらかの変動があり、そのため成形型が充填される圧力にいくらかの変動があってもよい。例えば、アイスクリームが100%のオーバーランを有し、充填barが0.5barである場合、成形型または成形型の少なくとも底は、成形型の最終的な深さの約1/8でおおよそ内向きに移動されるべきである。例えば、成形型の最終的な深さが24mmである場合、成形型または成形型の少なくとも底は、径方向内向きにおおよそ3mm移動されるべきである。したがってこの例では、成形型は、成形型をアイスクリームで充填する間、21mmの深さを有する。より大きな充填圧力については、成形型または成形型の少なくとも底は、なおもさらに径方向内向きに移動される必要があり得る。
【0018】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型または成形型の少なくとも底は、成形型の最終的な深さと比較して、0%から20%までの間を径方向内向きに移動されるように構成される。少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型または成形型の少なくとも底は、例えば1mmから5mmまでの間など、1mmから10mmまでの間で径方向内向きに移動されるように構成される。
【0019】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記放出機構は、前記成形型の前記底を前記回転可能ユニットの径方向内向きに移動するように構成される。
【0020】
前記運搬領域では、成形型およびその中のアイスクリームは、前記回転ユニットと共に回転されることで運搬されることは、留意されるべきである。したがって、運搬領域は回転運搬領域と称されてもよい。
【0021】
ピストンは往復式ピストンであり得る。例えばピストンは、回転可能ユニットのハブまたは中心に配置されるカムシャフトに連結されることによって、往復式であり得る。少なくとも1つの例の実施形態によれば、ピストンは、空気圧、油圧、または電気的に作動可能であることで往復式である。
【0022】
往復式ピストンを有することで、ピストンは、例えば径方向内向きおよび外向きの両方において、径方向に移動できる。往復動ピストンは往復動ピストンと称されてもよい。したがって、往復式または往復動であることによって、ピストンは前進後退で移動でき、つまり例えばそれぞれ収縮および拡張によって、径方向内向きおよび外向きに移動できることが理解されよう。
【0023】
アイスクリーム機械は少なくとも2つの成形型を備え、押出ノズルは、前記充填領域において2つ以上の成形型を覆うように構成される。これによって、少なくとも2つの成形型が同時に、押出ノズルによってアイスクリームで充填され得る。押出ノズルが前記2つの成形型の全体を覆う必要はなく、2つの成形型を同時に充填するために、押出ノズルが前記2つの成形型の各々の少なくとも一部を覆っていることで十分であることは、留意されるべきである。
【0024】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械は、少なくとも3つの成形型を備えてもよく、押出ノズルは、前記充填領域において3つ以上の成形型を覆うように構成される。
【0025】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、複数の成形型が回転可能ユニットの周囲または周辺に沿って均等に配置される。
【0026】
アイスクリーム機械は、前記押出ノズルを前記回転可能ユニットに対して封止するように構成される封止部を備えてもよい。これは、成形型が過剰な圧力を用いる押出ノズルによってアイスクリームで充填されるとき、アイスクリームが回転可能ユニットの側部においてアイスクリーム機械から抜け出すことが、まったくまたはほとんど許容されないため、特に有利である。少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記押出ノズルは、前記回転可能ユニットの少なくとも一部を向く境界縁を備え、前記封止部は、少なくとも前記境界縁に沿って、前記押出ノズルを前記回転可能ユニットに対して封止するように構成される。封止部は、回転可能ユニット、押出ノズル、またはそれら両方に取り付けられ得る。封止部は、例えば、ゴム封止部またはシリコン封止部であり得る。
【0027】
アイスクリーム機械は、前記排出領域において前記アイスクリームを前記成形型から分離するように構成される分離機構を備えてもよく、前記分離機構は、スクレーパ、ワイヤ、空気圧駆動システム、超音波切断器具のうちの少なくとも1つである。
【0028】
したがって、放出機構がアイスクリームまたはアイスクリーム製品を排出領域において成形型から押し出したとき、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、典型的には成形型の底(ここでは、例えば、回転可能ユニットの周囲または周辺の一部、つまり回転可能ユニットの外壁の一部である)に付着させられる。したがって、分離機構は、前記成形型の底から分離されるような方法で、アイスクリームまたはアイスクリーム製品の一部において、切断または押圧できる。
【0029】
空気圧駆動システムは、例えば、成形型の底における孔または開口を通じて送風する送風システムであり得る。したがって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、空気によって供給される力または圧力によって成形型の底から分離できる。空気は、例えば、ピストンを通じて成形型に提供され得る。この実施形態では、前記成形型の底は、移動可能である必要はない。
【0030】
アイスクリーム機械は、前記アイスクリームまたはアイスクリーム製品前記排出領域において前記成形型から受け入れるように構成されるコンベヤトレイを備え、回転可能ユニットの回転速度がコンベヤベルトの速度に適合される。
【0031】
コンベヤベルトの速度は、例えばコンベヤベルトの回転速度と同じであり得る。これによって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、繰り返しの手法でコンベヤベルトに置くことができる。
【0032】
アイスクリーム機械は、スティックを前記成形型に提供するように構成されるスティック提供機構を備えてもよい。アイスクリーム機械が2つ以上の成形型を備える実施形態では、スティック提供機構は、スティックを各々の成形型に提供するように構成されてもよい。
【0033】
したがって、アイスクリームは成形型においてスティックの周りに充填でき、そのため可及的な含有物は、不適切な配置のスティックを備える危険性が低減されるような方法で、その場所を成形型内で適合させることができる。
【0034】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型はスティック受入部を備えて構成される。これによって、スティックは例えば、アイスクリーム機械の排出領域と充填領域との間に配置されるスティック提供領域において、成形型をアイスクリームで充填する前にスティック受入部において成形型で位置決めできる。これによって、スティックは、位置決めされるように意図されている成形型内の所定の場所を有し、含有物がアイスクリームに存在するかどうかに拘わらず、不適切な配置のスティックを有する危険性が低減される。
【0035】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、回転可能ユニットは、回転可能ユニットを回転させるためのモータに連結さえる。モータは、例えば回転可能ユニットのハブにおいて回転可能ユニットに連結され得る。
【0036】
本発明の少なくとも第2の態様によれば、押出ノズルと、回転可能ユニットと、前記回転可能ユニットと共に回転するように構成される少なくとも1つの成形型と、放出機構と、を有するアイスクリーム機械を使用して、アイスクリーム製品を製造するための方法が提供される。方法は、
含有物を伴うまたは伴わないアイスクリームを提供するステップと、
前記アイスクリームを前記押出ノズルに通して前記成形型へと押し出すステップと、
前記アイスクリームを、前記放出機構を使用して前記成形型から放出するステップと、
を含む。
【0037】
本発明のこの第2の態様の効果および特徴は、本発明の概念の第1の態様との関連で前述した効果および特徴とおおまかには類似している。本発明の第1の態様との関連で言及した実施形態は、本発明の第2の態様とおおまかには両立できる。
【0038】
例えば、少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記アイスクリームを放出する前記ステップは、前記アイスクリームを前記成形型から前記回転可能ユニットの径方向に押し出すために、ピストンを使用することを含む。
【0039】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械は少なくとも2つの成形型を備え、前記アイスクリームを押し出すステップは、アイスクリームを2つ以上の成形型へと同時に押し出すことを含む。
【0040】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械が処理に適した温度を維持するために、アイスクリーム機械はある種の加熱手段および/または冷却手段によって加熱または冷却される。少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械の温度はおおよそ摂氏0度で保持される。
【0041】
本出願を通じて、径方向とは、回転可能ユニットの径方向延在部に実質的に追従する方向に言及しているか、または回転可能ユニットの径方向延在部と実質的に平行である方向にあることに留意されたい。内向きの径方向(または、径方向内向きの方向)は、前記成形型から回転可能ユニットのハブまたは中心に向かう方向を指し示しており、一方で外向きの径方向(または、径方向外向きの方向)は、回転可能ユニットの前記ハブまたは中心から前記成形型に向かう方向を指し示している。アイスクリームまたはアイスクリーム製品が成形型から放出される方向は、完全な径方向である必要はなく、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、軸方向成分も有する方向において前記成形型から放出されてもよい。しかしながら、少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリームまたはアイスクリーム製品が成形型から放出される方向は、完全な径方向である。
【0042】
概して、特許請求の範囲で使用されているすべての用語は、本明細書で明白に定義されていない場合、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるものである。「1つ、その(a/an/the)[要素、装置、成分、手段、ステップなど]」に対するすべての言及は、明白に述べられていない場合、前記要素、装置、成分、手段、ステップなどの少なくとも一例に言及しているとして、公然と解釈されるものである。
【0043】
前述の目的に加えて、本発明の追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面との組み合わされるとき、本発明の好ましい実施形態の以下の例示の非限定的な詳細な記述を参照して、より完全に理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の少なくとも1つの実施形態によるアイスクリーム機械の斜視図である。
図2】本発明の少なくとも1つの実施形態によるアイスクリーム機械の断面図である。
図3】本発明の少なくとも1つの例の実施形態を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明の一実施形態によるアイスクリーム機械1を示している。アイスクリーム機械1は、回転可能ユニット10と、放出機構30が各々に設けられている複数の成形型20(そのうちの一部だけが指示されている)と、を備えている。アイスクリーム機械1はさらに、押出ノズル40とスティック提供機構50とを備えている。
【0046】
図1の回転可能ユニット10は、ハブ12と回転可能ユニット本体14とを有する回転可能輪10として構成されている。回転可能ユニット10は、ハブ12から回転可能ユニット本体14に向かって延びる径方向において(図1において符号Rを伴う破線の矢印として指示されている)、延在部を有する。回転可能ユニット本体14は、径方向Rにおいて延在部を有する開放した円筒14として形成されている。回転可能ユニット本体14の外壁16は、ハブ12から離れる方を向いている。
【0047】
図1では、各々の成形型20が、回転可能ユニット本体14内に配置されていることで回転可能ユニット10内に含まれているため、成形型20は、回転方向Dにおいて、回転可能ユニット10と共に回転するように構成されている。各々の成形型20は、底22と、側壁24と、スティック提供機構50からスティック52を受け入れるように構成されたスティック受入部26と、を備えている。別の言い方をすれば、各々の成形型20は、回転可能ユニット本体14の外壁16における凹部20として構成されている。
【0048】
放出機構30の各々は、成形型20と関連付けられ、ピストン32を備えている。図1では、ピストン32(図1ではそのうちの一部だけが指示されている)は、回転可能ユニット10に関連する車輪の腕として構成されている。したがって、放出機構30およびピストン32は回転可能ユニット10と共に回転可能である。ピストン32は、好ましくは往復式ピストンであることによって、径方向内向きおよび径方向外向きに移動するように構成されている。したがって、各々のピストン32を成形型20の底22に配置することで、および移動可能である成形型20の底22を提供することで、各々の成形型20の底22は、回転可能ユニット本体14の内部で各々の関連付けされたピストン32と一体に移動できる。代替として、ピストン32は、成形型20の底22を通じて移動するように構成されてもよい。
【0049】
押出ノズル40は、受入部42を通じてアイスクリームを受け入れ、成形型20へと押し出すように構成されている。封止部44が、押出ノズル40を回転可能ユニット10に対して封止するように構成されている。
【0050】
回転可能ユニット10は、単一のユニットによって構成される必要はなく、例えば、ハブ12と、回転可能ユニット10のスポークとして構成されているような放出機構30およびピストン32と、回転可能ユニット10の本体14および外壁16と、など異なる部品および部分を含んでもよいことは、留意されるべきである。
【0051】
ここでアイスクリーム機械1の機能が、図1および図2に関連してさらに詳細に記述される。図2における図示の目的のために、スティック提供機構50は省略されている。さらに、同じ利用のために、2つだけのピストン32が図2に示されており、成形型20の一部だけが示されている。
【0052】
アイスクリーム機械1は、スティック提供領域3と、充填領域5と、運搬領域7と、排出領域9と、を備えている。回転可能ユニット10および成形型20は、これらの領域3、5、7、9の間で回転するように構成されている。図1および図2では、成形型20は反時計回り方向で回転する(回転の方向は、回転可能ユニット10の径方向Rに対して垂直であり、湾曲した矢印Dによって示されている)。
【0053】
スティック提供機構50(図1のみに示されている)は、充填領域5の前のスティック提供領域3に配置されており、成形型20がスティック提供機構50を通過するように回転させられるとき、各々の成形型20にスティック52を提供するように構成されている。別の言い方をすれば、スティック52は、成形型20をアイスクリームで充填する前に、成形型20に提供され得る。少なくとも1つの代替の例の実施形態によれば、スティック提供機構50(図1のみに示されている)は、充填領域5の後に配置される。図1では、成形型20Aはスティック受入部26を有し、スティック提供機構50によって提供されるように意図されたスティックが、破線によって指し示されている。図示の目的のために、成形型20Bのスティック52が示されている。
【0054】
充填領域5では、押出ノズル40は、アイスクリームを、押出ノズル40と流体連結で位置決めされた1つまたは複数の成形型20へと押し出す。好ましくは押出ノズル40は、2つ以上の成形型20と同時に流体連結するように構成され、つまり好ましくは、押出ノズル40は、2つ以上の成形型20を同時にアイスクリームで充填するように構成される。これによって、成形型20の充填は、過程の間の回転可能ユニット10の回転を遮ることなく、可及的により効率的に実行され得る。さらに、回転可能ユニット10および成形型20の回転速度をより高く設定できる。
【0055】
押出ノズル40による成形型20へのアイスクリームの充填は、好ましくは周囲環境と比較して高められた圧力(つまり、過剰な圧力)で実行される。これによって、アイスクリームの充填は効率的な手法で実行でき、含有物を伴うまたは伴わないアイスクリームは、成形型20においてスティック52の周りに効率的に配置できる。
【0056】
図1では、充填領域5だけが例示の目的のためにカバー46によって覆われているとして示されていることが、留意されるべきである。しかしながら、1つの例の実施形態によれば、成形型20は、充填領域5と運搬領域7とにおいて(つまり、充填領域5から排出領域9まで)、カバー46によって覆われており、そのため、図2に示しているように、カバー46によって周囲環境から独立されている。
【0057】
続いて、成形型20は、排出領域9に向かって回転可能ユニット10と共に回転し続けるために、運搬領域7に入る。運搬領域7では、各々の成形型20と関連付けられた放出機構30が、ハブ12に向かって径方向内向きに移動するように構成されている。これは、破線で表された図2における成形型20Bの底22が、例えば成形型20Aの底22と比較して、ハブ12に向かってさらに引き込まれていることによって、図示されている。これによって、運搬領域7における各々の成形型20の底22は、ハブ12に向かって、つまり径方向内向きに移動でき、それによって(成形型20をアイスクリームで充填することに起因する)成形型20における過剰な圧力が低減され得るか、またはさらには除去され得る。これによって、成形型20からのアイスクリーム製品の放出の間のアイスクリーム製品の変形の危険性、および/またはアイスクリーム製品におけるスティック52の誤った位置決めが、低減できる。
【0058】
運搬領域7の後、成形型は排出領域9に入り、排出領域9では、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、その成形型20から分離され、例えばコンベヤトレイ70またはコンベヤベルト70(図2のみに示されている)に置かれるように意図されている。排出領域9では、放出機構30は、アイスクリームまたはアイスクリーム製品をそれぞれの成形型20から押し出す。図1および図2に示しているように、各々のピストン32は、径方向外向きに移動可能であり、各々の成形型20の底22を径方向外向きに押すことができ、それによってアイスクリームまたはアイスクリーム製品はその成形型20から放出される。破線で表された、図2における成形型20Cの底22が、例えば成形型20Aの底22と比較して、ハブ12からさらに離されて配置されていることによって、このことが図示されている。この段階において、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、典型的には、成形型20の底22に付着されており、成形型20の底22が回転可能ユニット10の回転可能ユニット本体14から押し出されるため、もはや成形型20の側面24はまったくなく、成形型20の底22が、実質的に回転可能ユニット本体14の外壁16の一部となる。
【0059】
排出領域9において、分離機構60(図1のみに示されている)が、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を成形型から分離するために構成されている。図1では、分離機構は、成形型20Cの底22に沿った指示矢印の方向に移動するように構成されたスクレーパ60として形成されており、それによってアイスクリームまたはアイスクリーム製品は成形型20Cから分離されることになる。分離機構は、回転可能ユニット10の下で固定位置に配置されたワイヤ(加熱されているか、または加熱されていない)であってもよい。図1では、成形型20Cの押し出された底22が示されておらず、成形型20のスティック受入部26だけが示されていることに留意されたい。例えばスクレーパ、ワイヤ、空気圧駆動システム、超音波切断器具など、他の分離機構が使用されてもよい。
【0060】
アイスクリームまたはアイスクリーム製品を成形型20から分離した後、コンベヤトレイ70またはコンベヤベルト70は、好ましくはアイスクリームまたはアイスクリーム製品のさらなる運搬のために使用される。
【0061】
図2に示しているように、回転可能ユニット10はモータ80によって駆動され得る。モータ80は、例えば電気で駆動され、回転可能ユニット10のハブ12に連結され得る。
【0062】
図3の流れ図は、図1および図2を参照して記述したようなアイスクリーム機械1を使用してアイスクリーム製品を生産するための方法を概略的に示している(したがって、図1および図2の符号は、図3における流れ図における方法のステップを記述する場合、以下のように使用されている)。
【0063】
第1のステップ1では、スティック52が、スティック提供機構50によって、スティック提供領域3における成形型20のスティック受入部26に提供される。
【0064】
続くステップ2では、含有物を伴うまたは伴わないアイスクリームが押出ノズル40に提供される。
【0065】
続くステップ3では、アイスクリームは、充填領域5において、押出ノズル40を通じて成形型20へと押し出される。好ましくは、2つ以上の成形型20を備える本発明の実施形態では、2つ以上の成形型20が同時に充填される。
【0066】
続くステップ4では、成形型20と関連付けられた放出機構30が、成形型20の内部の圧力を低減するために径方向内向きに移動される。
【0067】
続くステップ5では、成形型20と関連付けられた放出機構30が、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を成形型20から放出するために径方向外向きに移動される。
【0068】
続くステップ6では、分離機構60は、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を、成形型20の底22から分離する。
【0069】
続くステップ7では、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、さらなる運搬のために、コンベヤトレイ70またはコンベヤベルト70に置かれる。
【0070】
当業者は、本明細書に記述した実施形態のいくつかの変形が、添付の特許請求の範囲に定められている本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを理解する。
【0071】
例えば本発明は、成形型の数に制限されず、単一の成形型だけを有するアイスクリーム機械は、本発明の概念の範囲内である。さらに、成形型は回転可能ユニットに組み込まれる必要はなく、回転可能ユニットの外部に配置されてもよい。回転可能ユニットの設計は、例えばユニットの幾何学的形状を変えることで、変形されてもよい。さらに、本出願に記述されている充填領域、運搬領域、排出領域、およびスティック提供領域以外に、アイスクリーム機械のさらなる領域および/または他の領域があってもよい。さらなる領域および/または他の領域は、本出願で言及したものと同じ機能または他の機能に関連してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 アイスクリーム機械
3 スティック提供領域
5 充填領域
7 運搬領域
9 排出領域
10 回転可能ユニット、回転可能輪
12 ハブ
14 回転可能ユニット本体、開放した円筒
16 外壁
20、20A、20B、20C 成形型、凹部
22 底
24 側壁
26 スティック受入部
30 放出機構
32 ピストン
40 押出ノズル
42 受入部
44 封止部
50 スティック提供機構
52 スティック
60 分離機構、スクレーパ
70 コンベヤトレイ、コンベヤベルト
80 モータ
D 回転方向
R 径方向
図1
図2
図3