【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、充填領域と排出領域とを有するアイスクリーム機械が提供される。アイスクリーム機械は、径方向延在部を有する回転可能ユニットと、アイスクリームを受け入れるための、前記回転可能ユニットと共に回転するように構成される成形型と、アイスクリームを前記成形型へと押し出すための、前記充填領域において構成される押出ノズルと、アイスクリームを前記排出領域において前記成形型から径方向に放出するための放出機構と、を備える。
【0008】
前記アイスクリームまたはアイスクリーム製品を、放出機構によって前記成形型から径方向に放出することで、前記アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、前記成形型から容易に分離でき、その後、例えばコンベヤベルトに置くことができる。このような構成によって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、不適切な配置のより少ないアイスクリーム製品を伴う繰り返しの手法で、コンベヤトレイに置くことができる。さらに、アイスクリーム製品は、径方向に放出されるとき、コンベヤベルトに直接的または基本的に直接的に置くことができる。したがって、コンベヤトレイに到達する前のアイスクリーム製品の望ましくない制御不能な落下または脱落が低減され得るか、または回避さえされ得る。さらに、回転可能ユニットを使用することで、アイスクリーム機械はよりコンパクトに作ることができる。
【0009】
回転可能ユニットが湾曲した断面を好ましくは有し得ることは留意されるべきである。少なくとも1つの例の実施形態によれば、断面は円形であり、回転可能ユニットは、回転可能な輪として、または、例えば開放した円筒など、回転可能な円筒として形成される。少なくとも1つの例の実施形態によれば、断面は楕円状に成形される。
【0010】
回転可能ユニットが回転可能な輪または円筒として形成されている実施形態では、成形型は、輪または円筒の外壁における凹部として好ましくは構成される。ここで、回転可能ユニットの径方向延在部は、輪または円筒の径方向における延在と比較可能である。この実施形態では、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、好ましくは外向きの径方向で、つまり前記輪または円筒のハブから輪または円筒の外壁に向かう方向に、前記成形型から放出される。
【0011】
放出機構は、前記成形型に連結されるピストンを備えてもよい。ピストンは、径方向において移動可能であってもよい。これによって、ピストンは、前記成形型または前記成形型の少なくとも一部を、径方向において押すことができる。少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記成形型の底が移動可能である。例えば、前記成形型の底は、前記ピストンと一体に径方向に移動可能とできる。この実施形態では、成形型の側壁が、例えば回転可能ユニットの本体に含まれてもよく、一方で成形型の底は、回転可能ユニットの本体内で移動可能となるように構成される。底は、例えば回転可能ユニットの本体の内側から、少なくとも回転可能ユニットの周囲または周辺まで移動され得るような方法で、径方向に移動可能となるように構成されてもよい。別の言い方をすれば、成形型は、第1の状態において、成形型の底が回転可能ユニットの内側に位置付けられ(例えば、成形型が充填領域においてアイスクリームで充填されるとき)、第2の状態において、凹部がより小さく、またはもはや存在しないように(例えば、アイスクリームを排出領域において成形型から放出するとき)、成形型の底が回転可能ユニットの周囲または周辺のより近くに(つまり回転可能ユニットの外壁のより近くに)移動されている、回転可能ユニットにおける凹部として成形される。
【0012】
これによって、ピストンは前記成形型の底を径方向において押すことができ、それによって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は前記成形型から放出される。
【0013】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記成形型の底は移動可能ではなく、前記ピストンは、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を前記成形型から放出するために、アイスクリームまたはアイスクリーム製品を押すように前記成形型内で径方向に移動するように構成される。
【0014】
アイスクリーム機械は、前記充填領域と前記排出領域との間に運搬領域を備えてもよく、前記運搬領域において、前記放出機構は、前記成形型または前記成形型の少なくとも底を前記回転可能ユニットの径方向内向きに移動するように構成される。
【0015】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型内へのアイスクリームのさらなる展開は、前記充填領域の後の段階において、前記成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動するように前記放出機構を構成することによって、防止される。別の言い方をすれば、成形型がアイスクリームで充填されたとき、成形型の内側の圧力の増加が、すでに充填領域において、前記成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動するように構成することで防止される。
【0016】
これによって、成形型の内側の圧力は調節され得る。例えば、押出ノズルを通じて成形型をアイスクリームで充填する過程において、圧力増加(または過剰な圧力)がしばしば使用される。この過剰な圧力は、成形型が排出領域に到達するまで、つまりアイスクリームまたはアイスクリーム製品が成形型から放出されるまで、成形型が典型的には周囲環境から覆われるため、成形型に留まることができる。ここで、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、成形型における圧力の急激な解放のため、望ましくない変形がされる可能性がある。したがって、成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動することで、過剰な圧力が、例えば、充填領域と充填領域との間の成形型の運搬の間、制御可能な手法で低減でき、アイスクリーム製品の望ましくない変形が低減できる。
【0017】
したがって、成形型をアイスクリームで充填した後に前記成形型または前記成形型の少なくとも底を径方向内向きに移動することで、成形型内側の圧力は、成形型が周囲環境に露出される前に一様にされ、アイスクリーム製品は成形型から放出される。そうでない場合、圧力は、成形型がその中のアイスクリーム混合物を周囲環境に露出する瞬間に一様にされることになる。その場合、望ましくない気泡がアイスクリーム製品に形成される可能性がある。成形型または前記成形型の少なくとも一部が径方向内向きに移動される量は、例えば、成形型の充填の間に使用される圧力、およびアイスクリームにおける空気含有量(いわゆる「オーバーラン」)に依存する。さらに、成形型へのアイスクリームの供給流れにいくらかの変動があり、そのため成形型が充填される圧力にいくらかの変動があってもよい。例えば、アイスクリームが100%のオーバーランを有し、充填barが0.5barである場合、成形型または成形型の少なくとも底は、成形型の最終的な深さの約1/8でおおよそ内向きに移動されるべきである。例えば、成形型の最終的な深さが24mmである場合、成形型または成形型の少なくとも底は、径方向内向きにおおよそ3mm移動されるべきである。したがってこの例では、成形型は、成形型をアイスクリームで充填する間、21mmの深さを有する。より大きな充填圧力については、成形型または成形型の少なくとも底は、なおもさらに径方向内向きに移動される必要があり得る。
【0018】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型または成形型の少なくとも底は、成形型の最終的な深さと比較して、0%から20%までの間を径方向内向きに移動されるように構成される。少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型または成形型の少なくとも底は、例えば1mmから5mmまでの間など、1mmから10mmまでの間で径方向内向きに移動されるように構成される。
【0019】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記放出機構は、前記成形型の前記底を前記回転可能ユニットの径方向内向きに移動するように構成される。
【0020】
前記運搬領域では、成形型およびその中のアイスクリームは、前記回転ユニットと共に回転されることで運搬されることは、留意されるべきである。したがって、運搬領域は回転運搬領域と称されてもよい。
【0021】
ピストンは往復式ピストンであり得る。例えばピストンは、回転可能ユニットのハブまたは中心に配置されるカムシャフトに連結されることによって、往復式であり得る。少なくとも1つの例の実施形態によれば、ピストンは、空気圧、油圧、または電気的に作動可能であることで往復式である。
【0022】
往復式ピストンを有することで、ピストンは、例えば径方向内向きおよび外向きの両方において、径方向に移動できる。往復動ピストンは往復動ピストンと称されてもよい。したがって、往復式または往復動であることによって、ピストンは前進後退で移動でき、つまり例えばそれぞれ収縮および拡張によって、径方向内向きおよび外向きに移動できることが理解されよう。
【0023】
アイスクリーム機械は少なくとも2つの成形型を備え、押出ノズルは、前記充填領域において2つ以上の成形型を覆うように構成される。これによって、少なくとも2つの成形型が同時に、押出ノズルによってアイスクリームで充填され得る。押出ノズルが前記2つの成形型の全体を覆う必要はなく、2つの成形型を同時に充填するために、押出ノズルが前記2つの成形型の各々の少なくとも一部を覆っていることで十分であることは、留意されるべきである。
【0024】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械は、少なくとも3つの成形型を備えてもよく、押出ノズルは、前記充填領域において3つ以上の成形型を覆うように構成される。
【0025】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、複数の成形型が回転可能ユニットの周囲または周辺に沿って均等に配置される。
【0026】
アイスクリーム機械は、前記押出ノズルを前記回転可能ユニットに対して封止するように構成される封止部を備えてもよい。これは、成形型が過剰な圧力を用いる押出ノズルによってアイスクリームで充填されるとき、アイスクリームが回転可能ユニットの側部においてアイスクリーム機械から抜け出すことが、まったくまたはほとんど許容されないため、特に有利である。少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記押出ノズルは、前記回転可能ユニットの少なくとも一部を向く境界縁を備え、前記封止部は、少なくとも前記境界縁に沿って、前記押出ノズルを前記回転可能ユニットに対して封止するように構成される。封止部は、回転可能ユニット、押出ノズル、またはそれら両方に取り付けられ得る。封止部は、例えば、ゴム封止部またはシリコン封止部であり得る。
【0027】
アイスクリーム機械は、前記排出領域において前記アイスクリームを前記成形型から分離するように構成される分離機構を備えてもよく、前記分離機構は、スクレーパ、ワイヤ、空気圧駆動システム、超音波切断器具のうちの少なくとも1つである。
【0028】
したがって、放出機構がアイスクリームまたはアイスクリーム製品を排出領域において成形型から押し出したとき、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、典型的には成形型の底(ここでは、例えば、回転可能ユニットの周囲または周辺の一部、つまり回転可能ユニットの外壁の一部である)に付着させられる。したがって、分離機構は、前記成形型の底から分離されるような方法で、アイスクリームまたはアイスクリーム製品の一部において、切断または押圧できる。
【0029】
空気圧駆動システムは、例えば、成形型の底における孔または開口を通じて送風する送風システムであり得る。したがって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、空気によって供給される力または圧力によって成形型の底から分離できる。空気は、例えば、ピストンを通じて成形型に提供され得る。この実施形態では、前記成形型の底は、移動可能である必要はない。
【0030】
アイスクリーム機械は、前記アイスクリームまたはアイスクリーム製品前記排出領域において前記成形型から受け入れるように構成されるコンベヤトレイを備え、回転可能ユニットの回転速度がコンベヤベルトの速度に適合される。
【0031】
コンベヤベルトの速度は、例えばコンベヤベルトの回転速度と同じであり得る。これによって、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、繰り返しの手法でコンベヤベルトに置くことができる。
【0032】
アイスクリーム機械は、スティックを前記成形型に提供するように構成されるスティック提供機構を備えてもよい。アイスクリーム機械が2つ以上の成形型を備える実施形態では、スティック提供機構は、スティックを各々の成形型に提供するように構成されてもよい。
【0033】
したがって、アイスクリームは成形型においてスティックの周りに充填でき、そのため可及的な含有物は、不適切な配置のスティックを備える危険性が低減されるような方法で、その場所を成形型内で適合させることができる。
【0034】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、成形型はスティック受入部を備えて構成される。これによって、スティックは例えば、アイスクリーム機械の排出領域と充填領域との間に配置されるスティック提供領域において、成形型をアイスクリームで充填する前にスティック受入部において成形型で位置決めできる。これによって、スティックは、位置決めされるように意図されている成形型内の所定の場所を有し、含有物がアイスクリームに存在するかどうかに拘わらず、不適切な配置のスティックを有する危険性が低減される。
【0035】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、回転可能ユニットは、回転可能ユニットを回転させるためのモータに連結さえる。モータは、例えば回転可能ユニットのハブにおいて回転可能ユニットに連結され得る。
【0036】
本発明の少なくとも第2の態様によれば、押出ノズルと、回転可能ユニットと、前記回転可能ユニットと共に回転するように構成される少なくとも1つの成形型と、放出機構と、を有するアイスクリーム機械を使用して、アイスクリーム製品を製造するための方法が提供される。方法は、
含有物を伴うまたは伴わないアイスクリームを提供するステップと、
前記アイスクリームを前記押出ノズルに通して前記成形型へと押し出すステップと、
前記アイスクリームを、前記放出機構を使用して前記成形型から放出するステップと、
を含む。
【0037】
本発明のこの第2の態様の効果および特徴は、本発明の概念の第1の態様との関連で前述した効果および特徴とおおまかには類似している。本発明の第1の態様との関連で言及した実施形態は、本発明の第2の態様とおおまかには両立できる。
【0038】
例えば、少なくとも1つの例の実施形態によれば、前記アイスクリームを放出する前記ステップは、前記アイスクリームを前記成形型から前記回転可能ユニットの径方向に押し出すために、ピストンを使用することを含む。
【0039】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械は少なくとも2つの成形型を備え、前記アイスクリームを押し出すステップは、アイスクリームを2つ以上の成形型へと同時に押し出すことを含む。
【0040】
少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械が処理に適した温度を維持するために、アイスクリーム機械はある種の加熱手段および/または冷却手段によって加熱または冷却される。少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリーム機械の温度はおおよそ摂氏0度で保持される。
【0041】
本出願を通じて、径方向とは、回転可能ユニットの径方向延在部に実質的に追従する方向に言及しているか、または回転可能ユニットの径方向延在部と実質的に平行である方向にあることに留意されたい。内向きの径方向(または、径方向内向きの方向)は、前記成形型から回転可能ユニットのハブまたは中心に向かう方向を指し示しており、一方で外向きの径方向(または、径方向外向きの方向)は、回転可能ユニットの前記ハブまたは中心から前記成形型に向かう方向を指し示している。アイスクリームまたはアイスクリーム製品が成形型から放出される方向は、完全な径方向である必要はなく、アイスクリームまたはアイスクリーム製品は、軸方向成分も有する方向において前記成形型から放出されてもよい。しかしながら、少なくとも1つの例の実施形態によれば、アイスクリームまたはアイスクリーム製品が成形型から放出される方向は、完全な径方向である。
【0042】
概して、特許請求の範囲で使用されているすべての用語は、本明細書で明白に定義されていない場合、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるものである。「1つ、その(a/an/the)[要素、装置、成分、手段、ステップなど]」に対するすべての言及は、明白に述べられていない場合、前記要素、装置、成分、手段、ステップなどの少なくとも一例に言及しているとして、公然と解釈されるものである。
【0043】
前述の目的に加えて、本発明の追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面との組み合わされるとき、本発明の好ましい実施形態の以下の例示の非限定的な詳細な記述を参照して、より完全に理解されるものである。