(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806737
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】同期装置、同期方法及び同期プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20201221BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20201221BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20201221BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B19/18 W
B23Q17/00 A
B23Q17/09 A
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-114498(P2018-114498)
(22)【出願日】2018年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-219725(P2019-219725A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年11月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】手塚 淳一
【審査官】
中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/136406(WO,A1)
【文献】
特開2006−260443(JP,A)
【文献】
特開2012−138044(JP,A)
【文献】
特開2017−033229(JP,A)
【文献】
特開平08−190412(JP,A)
【文献】
特開2017−111571(JP,A)
【文献】
特開2011−022688(JP,A)
【文献】
特開2006−277549(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/061524(WO,A1)
【文献】
特開2007−328545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18−19/46,23/00−23/02,
B23Q17/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する機械データ取得部と、
第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する測定データ取得部と、
前記機械データのいずれかの系列から、所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすデータが現れた時点を抽出する第1の抽出部と、
前記測定データのいずれかの系列から、前記第1の抽出部とは独立して、前記所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすデータが現れた時点を抽出する第2の抽出部と、
前記第1の抽出部により抽出された時点と前記第2の抽出部により抽出された時点とを同期させて、前記機械データ及び前記測定データを出力する出力部と、を備える同期装置。
【請求項2】
前記機械データ又は前記測定データのいずれかの系列に対して、前記所定の事象の発生を示す予め設定された条件は、対象のデータの値が所定の閾値を超えることを含む請求項1に記載の同期装置。
【請求項3】
前記第1の抽出部及び前記第2の抽出部は、処理対象である前記機械データ又は前記測定データのいずれかの系列に動画データが含まれている場合に、当該動画データのフレーム画像のうち、前記所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすフレームが現れた時点を抽出する請求項2に記載の同期装置。
【請求項4】
前記第1の抽出部により動画データから抽出された時点を含む前記第1の時刻情報における期間の当該動画データ以外の前記機械データ、又は前記第2の抽出部により動画データから抽出された時点を含む前記第2の時刻情報における期間の当該動画データ以外の前記測定データに基づいて、前記閾値を設定する閾値設定部を備える請求項3に記載の同期装置。
【請求項5】
前記機械データは、トルク指令値を含む請求項1から請求項4のいずれかに記載の同期装置。
【請求項6】
前記測定データは、音の大きさを示す音響データを含む請求項1から請求項5のいずれかに記載の同期装置。
【請求項7】
前記測定データは、加速度データを含む請求項1から請求項6のいずれかに記載の同期装置。
【請求項8】
第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する機械データ取得ステップと、
第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する測定データ取得ステップと、
前記機械データのいずれかの系列から、所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすデータが現れた時点を抽出する第1の抽出ステップと、
前記測定データのいずれかの系列から、前記第1の抽出ステップとは独立して、前記所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすデータが現れた時点を抽出する第2の抽出ステップと、
前記第1の抽出ステップにおいて抽出された時点と前記第2の抽出ステップにおいて抽出された時点とを同期させて、前記機械データ及び前記測定データを出力する出力ステップと、をコンピュータが実行する同期方法。
【請求項9】
第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する機械データ取得ステップと、
第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する測定データ取得ステップと、
前記機械データのいずれかの系列から、所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすデータが現れた時点を抽出する第1の抽出ステップと、
前記測定データのいずれかの系列から、前記第1の抽出ステップとは独立して、前記所定の事象の発生を示す予め設定された条件を満たすデータが現れた時点を抽出する第2の抽出ステップと、
前記第1の抽出ステップにおいて抽出された時点と前記第2の抽出ステップにおいて抽出された時点とを同期させて、前記機械データ及び前記測定データを出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させるための同期プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の時系列データを同期して出力するための装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の制御装置では、制御対象である工作機械の動作に関する機械データ、例えば、トルク、位置、電流等のデータが時系列で収集されている(例えば、特許文献1参照)。また、これらの機械データとは別に、工作機械の状態を検出するため、振動センサ又はマイク等のセンサが設けられ、各種の測定データを取得することが多い(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−222028号公報
【特許文献2】特開2016−223906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、取得される様々なデータのうち、上述の機械データと測定データとは、異なるシステムにより取得される。これらのシステムは、それぞれが独立して時刻情報を管理しているため、現実の時刻とずれがあれば、各データのタイムスタンプは一致しない。したがって、これらの複数のデータの時刻を同期させて分析することは難しかった。
【0005】
本発明は、時系列の複数種類のデータを同期させることができる同期装置、同期方法及び同期プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る同期装置(例えば、後述の同期装置1)は、第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する機械データ取得部(例えば、後述の機械データ取得部11)と、第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する測定データ取得部(例えば、後述の測定データ取得部12)と、前記機械データのいずれかから、所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する第1の抽出部(例えば、後述の第1の抽出部13)と、前記測定データのいずれかから、前記所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する第2の抽出部(例えば、後述の第2の抽出部14)と、前記第1の抽出部により抽出された時点と前記第2の抽出部により抽出された時点とを同期させて、前記機械データ及び前記測定データを出力する出力部(例えば、後述の出力部15)と、を備える。
【0007】
(2) (1)に記載の同期装置において、前記所定の事象を示す予め設定された特徴は、対象のデータの値が所定の閾値を超えることを含んでもよい。
【0008】
(3) (2)に記載の同期装置において、前記第1の抽出部及び前記第2の抽出部は、処理対象である前記機械データ又は前記測定データに動画データが含まれている場合に、当該動画データのフレーム画像のうち、前記所定の事象を示す予め設定された特徴が表れているフレームの時点を抽出してもよい。
【0009】
(4) (3)に記載の同期装置は、前記第1の抽出部により動画データから抽出された時点を含む前記第1の時刻情報における期間の前記機械データ、又は前記第2の抽出部により動画データから抽出された時点を含む前記第2の時刻情報における期間の前記測定データに基づいて、前記閾値を設定する閾値設定部(例えば、後述の閾値設定部16)を備えてもよい。
【0010】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の同期装置において、前記機械データは、トルク指令値を含んでもよい。
【0011】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の同期装置において、前記測定データは、音の大きさを示す音響データを含んでもよい。
【0012】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の同期装置において、前記測定データは、加速度データを含んでもよい。
【0013】
(8) 本発明に係る同期方法は、第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する機械データ取得ステップと、第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する測定データ取得ステップと、前記機械データのいずれかから、所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する第1の抽出ステップと、前記測定データのいずれかから、前記所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する第2の抽出ステップと、前記第1の抽出ステップにおいて抽出された時点と前記第2の抽出ステップにおいて抽出された時点とを同期させて、前記機械データ及び前記測定データを出力する出力ステップと、をコンピュータ(例えば、後述の同期装置1)が実行する。
【0014】
(9) 本発明に係る同期プログラムは、第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する機械データ取得ステップと、第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する測定データ取得ステップと、前記機械データのいずれかから、所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する第1の抽出ステップと、前記測定データのいずれかから、前記所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する第2の抽出ステップと、前記第1の抽出ステップにおいて抽出された時点と前記第2の抽出ステップにおいて抽出された時点とを同期させて、前記機械データ及び前記測定データを出力する出力ステップと、をコンピュータ(例えば、後述の同期装置1)に実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、時系列の複数種類のデータが同期して出力される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る同期装置の機能構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る同期方法の第1の例として、同期前の機械データ及び測定データの表示例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る同期方法の第1の例として、同期後の機械データ及び測定データの表示例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る同期方法の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る同期装置1の機能構成を示す図である。
同期装置1は、パーソナルコンピュータ又はサーバ装置等の情報処理装置である。また、同期装置1は、工作機械を制御するための数値制御装置等の制御装置として実装されてもよい。
同期装置1は、制御部10及び記憶部20を備え、これらの他、さらに入出力及び通信等の各種のインタフェースを備えてよい。
【0018】
制御部10は、同期装置1の全体を制御する部分であり、記憶部20に記憶されたソフトウェア(同期プログラム)を適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。制御部10は、CPUであってよい。
【0019】
記憶部20は、ハードウェア群を同期装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブ(HDD)等であってよい。
【0020】
制御部10は、機械データ取得部11と、測定データ取得部12と、第1の抽出部13と、第2の抽出部14と、出力部15と、閾値設定部16とを備える。
【0021】
機械データ取得部11は、第1の時刻情報に基づいて、機械の動作に関する1種類以上の機械データを時系列に取得する。第1の時刻情報は、工作機械の制御装置により管理されており、複数種類の機械データは、この時刻情報により互いに対応付けられ、所定のサンプリング周期で取得される。
機械データは、例えば、トルク、位置、電流等の指令値及び実測値を含む。取得した機械データは、第1の時刻情報と共に、記憶部20に記憶される。
【0022】
測定データ取得部12は、第2の時刻情報に基づいて、機械の状態を測定した1種類以上の測定データを時系列に取得する。第2の時刻情報は、工作機械に別途設けられた測定システムにより管理されており、複数種類の測定データは、この時刻情報により互いに対応付けられ、所定のサンプリング周期で取得される。
測定データは、例えば、音の大きさを示す音響データ、振動状態を示す加速度データ、動画データ等を含む。取得した測定データは、第2の時刻情報と共に、記憶部20に記憶される。なお、音及び振動等を測定するためのセンサの設置場所は限定されないが、例えば、主軸ヘッド部等、実際に加工が行われる位置の近傍であることが好ましい。
【0023】
第1の抽出部13は、1種類以上の機械データのいずれかから、所定の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する。特徴データは、記憶部20に予め記憶される。
所定の事象とは、例えば、工具がワークに接触する加工開始のタイミング、又は工具がワークから離れる加工終了のタイミング等を含む。このような事象の発生時には、トルク指令値が急上昇する等の特徴が見られるため、第1の抽出部13は、所定以上の上昇率若しくは下降率、又は所定の閾値を超えたこと若しくは下回ったこと等の特徴を条件として、事象の発生時点を抽出する。
【0024】
また、第1の抽出部13は、処理対象である機械データに動画データが含まれている場合に、この動画データのフレーム画像のうち、所定の事象を示す予め設定された特徴が表れているフレームの時点を抽出してもよい。例えば、第1の抽出部13は、画像解析により、工具がワークに接触したタイミング、又は離れたタイミング等を検出できる。
【0025】
なお、複数の機械データが取得されている場合、いずれかの機械データにおいて事象の発生時点が抽出されると、他の機械データについても、第1の時刻情報に基づいて同一の時点が抽出される。
【0026】
第2の抽出部14は、1種類以上の測定データのいずれかから、第1の抽出部13と同一の事象を示す予め設定された特徴が表れている時点を抽出する。特徴データは、記憶部20に予め記憶される。
例えば、工具がワークに接触する加工開始のタイミングから工具がワークから離れる加工終了のタイミングまでは、測定される音が大きくなり、工具が振動して加速度も大きくなる。そこで、第2の抽出部14は、例えば、音の大きさ又は加速度が所定の閾値を超えたことを条件として加工開始の時点を抽出し、一定期間に渡って閾値以内に収まっていることを条件として加工終了の時点を抽出する。
【0027】
また、第2の抽出部14は、処理対象である測定データに動画データが含まれている場合に、第1の抽出部13と同様に、この動画データのフレーム画像のうち、所定の事象を示す予め設定された特徴が表れているフレームの時点を抽出してもよい。
【0028】
なお、複数の測定データが取得されている場合、いずれかの測定データにおいて事象の発生時点が抽出されると、他の測定データについても、第2の時刻情報に基づいて同一の時点が抽出される。
【0029】
出力部15は、第1の抽出部13により抽出された時点と、第2の抽出部14により抽出された時点とを同期させて、機械データ及び測定データを出力する。
出力部15によるデータ出力の形態は限定されない。出力部15は、例えば、時間軸を揃えた複数の波形データをディスプレイに表示してもよいし、このような表示データ又は数値データを外部機器へ送信してもよい。
【0030】
閾値設定部16は、第1の抽出部13により動画データから抽出された時点を含む第1の時刻情報における前後の期間の機械データに基づいて、この機械データから所定の事象の発生時点を抽出するための閾値を設定する。
また、同様に、閾値設定部16は、第2の抽出部14により動画データから抽出された時点を含む第2の時刻情報における前後の期間の測定データに基づいて、この測定データから所定の事象の発生時点を抽出するための閾値を設定する。
【0031】
なお、閾値は、同一条件で繰り返し加工した際の機械データ及び測定データに基づいて、統計的に予め設定されてもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る同期方法の第1の例として、同期前の機械データ及び測定データの表示例を示す図である。
第1の例では、機械データに含まれるトルク指令値と、測定データに含まれる音響データとの同期が行われる。
【0033】
トルク指令値の波形Aに対して、加工開始の事象を検出するために、予め閾値S1が設定されているとすると、この閾値S1を超える時点t11、t12、t13等が順に抽出される。
また、音響データの波形Bに対して、同様に加工開始の事象を検出するために、予め閾値S2が設定されていると、こちらからも閾値S2を超える時点t21、t22、t23等が順に抽出される。
【0034】
ここで、t11、t12、t13は、第1時刻情報に基づく時刻であり、t21、t22、t23は、第2時刻情報に基づく時刻である。したがって、時点t11とt21とは一致しないため、機械データの波形Aと測定データの波形Bとは時刻の同期が取れていない。
【0035】
図3は、本実施形態に係る同期方法の第1の例として、同期後の機械データ及び測定データの表示例を示す図である。
図2の機械データ及び測定データのそれぞれから、同一の事象が発生した時点が抽出されている。
【0036】
機械データから抽出された時点t11、t12、t13に対して、測定データから抽出された時点t21、t22、t23がそれぞれ対応づけられ、波形Aと波形Bとが同期して表示される。
【0037】
なお、第1の例では、同期装置1は、観測された音響データにより音の大きさを閾値と比較したが、音響データは、特定の周波数成分が選択的に用いられてもよい。
【0038】
図4は、本実施形態に係る同期方法の第2の例を示す図である。
第2の例は、測定データとして加速度データが用いられる場合である。加速度の大きさにより、主軸ヘッド等における振動の大きさが観測される。ここでは、穴あけ加工時の加速度値が観測されている。
【0039】
この加速度データについて、予め所定の閾値が設定されると、加速度値が閾値を超えている時間帯T1〜T5が順に抽出される。
なお、閾値を下回る短時間の加速度値は無視されてよい。あるいは、例えば、加速度値を時間平均した値が閾値と比較されてもよい。
【0040】
本実施形態によれば、同期装置1は、互いに独立した時刻情報に基づいて取得される機械データ及び測定データについて、所定の事象を示す特徴が表れている時点をそれぞれから抽出することにより、これらの時点を同期させる。これにより、同期装置1は、時系列の複数種類のデータを同期して出力できる。
【0041】
具体的には、同期装置1は、機械データであるトルク指令値、及び測定データである音響データ又は加速度データを用いて、加工の開始及び終了を容易に抽出でき、機械データと測定データとを同期できる。
この結果、複数種類のデータ間の相関を調査する等の解析の際に、同期装置1は、時間的に整形されたデータを自動的に提供できる。
【0042】
同期装置1は、機械データ及び測定データを、所定の閾値と比較することで、容易に事象が発生した時点を抽出できる。なお、加工面の状態の相違等が通常の誤差の範囲内であれば、波形の立ち上がり等の特徴部分に大きな変化はないため、同期装置1は、閾値を変更することなく、定常的に事象が発生した時点を抽出できる。
【0043】
同期装置1は、動画データを解析することにより、所定の事象が発生した時点を抽出できる。この結果、例えば機械データのグループ、又は測定データのグループにおいて、特定の事象を閾値により検出できない場合にも、この事象が発生した時点を抽出でき、同一の時刻情報で対応付けられているグループ内で共有できる。
【0044】
同期装置1は、動画データにより所定の事象が発生した時点を抽出することで、閾値が設定されていない機械データ又は測定データに対して、前後の期間のデータを用いて自動的に閾値を設定できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0046】
同期装置1による同期方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ(同期装置1)にインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 同期装置
10 制御部
11 機械データ取得部
12 測定データ取得部
13 第1の抽出部
14 第2の抽出部
15 出力部
16 閾値設定部
20 記憶部