特許第6806743号(P6806743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806743リールホルダ、テープ供給装置、ロボットハンド、ロボットおよび部品実装システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806743
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】リールホルダ、テープ供給装置、ロボットハンド、ロボットおよび部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20201221BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20201221BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
   H05K13/04 A
   B25J15/06 A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-157687(P2018-157687)
(22)【出願日】2018年8月24日
(65)【公開番号】特開2020-31193(P2020-31193A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2020年1月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】本脇 淑雄
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/109891(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/208287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープが巻き付けられた複数のテープリールを保持するリールホルダであって、
板状の回転板と、
該回転板の中心回りの周方向に均等に配置され、前記テープリールを該テープリールの中心回りに回転可能に支持する複数のリール支持部と、
前記回転板を該回転板の中心回りに回転可能に支持する回転板支持部とを備えるリールホルダ。
【請求項2】
前記リール支持部は、前記回転板から該回転板の板厚方向に突出し、前記テープリールの中心部に形成された取付穴内に挿入されるピン状の部材である、請求項1に記載のリールホルダ。
【請求項3】
前記回転板を、前記周方向に等間隔をおいた複数の所定の回転位置に位置決めした状態に保持する位置決め機構を備える請求項1または請求項2に記載のリールホルダ。
【請求項4】
前記リール支持部の数が3以上であり、前記回転位置の数が前記リール支持部の数と等しく、
前記複数の所定の回転位置は、前記回転板が鉛直方向に配置された状態において、少なくとも2つの前記リール支持部が前記回転板の中心よりも上方に配置され、かつ、少なくとも1つの前記リール支持部が前記回転板の中心よりも下方に配置される位置である請求項3に記載のリールホルダ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のリールホルダを備えるテープ供給装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のリールホルダ用のロボットハンドであって、
前記テープリールおよび前記回転板を把持する第1の把持部と、
前記テープを把持する第2の把持部とを備え、
前記第1の把持部が、相互に開閉可能である細長い一対の指部材を有し、
前記第2の把持部が、先端に吸着口が設けられた細長い吸引ノズルを有するロボットハンド。
【請求項7】
前記テープリール、前記回転板および前記テープの位置を検出する視覚センサを備える請求項6に記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記一対の指部材および前記吸引ノズルが、相互に交差する方向に延びる請求項6または請求項7に記載のロボットハンド。
【請求項9】
ロボットアームを有するロボット本体と、
前記ロボットアームの先端に取り付けられる請求項6から請求項8のいずれかに記載のロボットハンドと、
前記ロボット本体および前記ロボットハンドを制御する制御装置とを備えるロボット。
【請求項10】
請求項5に記載のテープ供給装置と、
該テープ供給装置から前記テープが供給され、該テープに保持された部品を基板に実装する部品実装装置とを備える部品実装システム。
【請求項11】
請求項に記載のロボットを備える請求項10に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールホルダ、テープ供給装置、ロボットハンド、ロボットおよび部品実装システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テープリールから部品実装装置へテープを搬送するテープ供給装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照。)。テープには、半導体チップのような電子部品が一定間隔で保持されている。テープ供給装置は、上下または前後に配列された2つのテープリールを保持している。テープ供給装置は、テープを途切れなく部品実装装置に供給するために、下または前の第1のテープリールのテープが切れた後に続けて上または後の第2のテープリールからテープの供給を開始するようになっている。
【0003】
このようなテープの連続供給を可能にするために、第2のテープリールのテープの供給開始後、テープリールの交換および位置の入れ替えが行われる。すなわち、空になった第1のテープリールがテープ供給装置から取り外され、第2のテープリールが前または下の空いた位置へ移動させられ、未使用の第3のテープリールが第2のテープリールの後または上の空いた位置に取り付けられる。その後、第3のテープリールのテープの始端部が、現在搬送されている第2のテープ上の所定位置にセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−165696号公報
【特許文献2】特開平01−104552号公報
【特許文献3】特開2015−053309号公報
【特許文献4】特開平10−084198号公報
【特許文献5】特開平05−299887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のテープリールの交換および位置の入れ替えの作業は煩雑であるため、作業者によって手作業で行われる。これらの作業は、テープリールが空になる度に頻繁に発生し、作業者にとって負担となっている。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、テープリールの交換および位置の入れ替えを簡単に行うことができるリールホルダ、テープ供給装置、ロボットハンド、ロボットおよび部品実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様は、テープが巻き付けられた複数のテープリールを保持するリールホルダであって、板状の回転板と、該回転板の中心回りの周方向に均等に配置され、前記テープリールを該テープリールの中心回りに回転可能に支持する複数のリール支持部と、前記回転板を該回転板の中心回りに回転可能に支持する回転板支持部とを備えるリールホルダである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、回転板が回転板支持部を介してテープ供給装置のホルダ取付位置に取り付けられ、回転板の複数のリール支持部に複数のテープリールが回転可能に支持される。そして、一のテープリールから引き出されたテープがテープ供給装置によって連続的に搬送される。
この場合に、回転板は、回転板支持部によって回転可能に支持されている。したがって、一のテープリールが空になった後、回転板を回転させるだけで、空のテープリールを交換作業をしやすい位置へ移動させることができる。また、回転板を回転させるだけで、複数のテープリールの位置の入れ替えを同時に行うことができる。このように、テープリールの交換および位置の入れ替えを簡単に行うことができる。
【0009】
上記第1の態様において、前記リール支持部は、前記回転板から該回転板の板厚方向に突出し、前記テープリールの中心部に形成された取付穴内に挿入されるピン状の部材であってもよい。
この構成によれば、テープリールの取付穴をリール支持部に位置合わせし、テープリールを回転板に向かって一方向に移動させるだけで、テープリールをリール支持部に支持させることができる。また、テープリールを回転板から離間する方向に一方向に移動させるだけで、テープリールをリール支持部から取り外すことができる。
【0010】
上記第1の態様において、前記回転板を、前記周方向に等間隔をおいた複数の所定の回転位置に位置決めした状態に保持する位置決め機構を備えていてもよい。
この構成によれば、テープリールの位置の入れ替え時以外には、位置決め機構によって回転板の回転を防止しテープリールを一定位置に保持することができる。
【0011】
上記第1の態様において、前記リール支持部の数が3以上であり、前記回転位置の数が前記リール支持部の数と等しく、前記複数の所定の回転位置は、前記回転板が鉛直方向に配置された状態において、少なくとも2つの前記リール支持部が前記回転板の中心よりも上方に配置され、かつ、少なくとも1つの前記リール支持部が前記回転板の中心よりも下方に配置される位置であってよい。
上側の2つのリール支持部は、テープが現在搬送されている第1のテープリールと、次にテープが搬送される第2のテープリール用である。下側の1つのリール支持部は、空のテープリールまたは第2のテープリールの後にテープが搬送される第3のテープリール用である。このような配置によって、次に搬送されるテープの始端部のセットと、空のテープリールの交換とを簡単に行うことができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記いずれかに記載のリールホルダを備えるテープ供給装置である。
本発明の第3の態様は、上記いずれかに記載のリールホルダ用のロボットハンドであって、前記テープリールおよび前記回転板を把持する第1の把持部と、前記テープを把持する第2の把持部とを備え、前記第1の把持部が、相互に開閉可能である細長い一対の指部材を有し、前記第2の把持部が、先端に吸着口が設けられた細長い吸引ノズルを有するロボットハンドである。
【0013】
テープリールは相互に対向する一対の側板を有し、該一対の側板間の巻芯にテープが巻かれている。本発明の第3の態様によれば、細長い一対の指部材の一方を一対の側板間に挿入し、一対の指部材によって一方の側板の周縁部をつまむことができる。また、複数のリールホルダが密に配列されている状況においても、細長い一対の指部材によって一の回転板の周縁部をつまむことができる。また、細長い吸引ノズルを一対の側板間に挿入し、先端の吸着口によってテープの始端部を吸着することができる。
【0014】
上記第3の態様において、前記テープリール、前記回転板および前記テープの位置を検出する視覚センサを備えていてもよい。
この構成によれば、視覚センサによって検出されたテープリールおよび回転板の位置に基づいて、テープリールおよび回転板を第1の把持部によって正確に把持することができる。視覚センサによって検出されたテープの位置に基づいて、テープの始端部を第2の把持部によって正確に把持することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、ロボットアームを有するロボット本体と、前記ロボットアームの先端に取り付けられる上記いずれかに記載のロボットハンドと、前記ロボット本体および前記ロボットハンドを制御する制御装置とを備えるロボットである。
【0016】
本発明の第5の態様は、上記のテープ供給装置と、該テープ供給装置から前記テープが供給され、該テープに保持された部品を基板に実装する部品実装装置とを備える部品実装システムである。
上記第5の態様において、上記のロボットを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テープリールの交換および位置の入れ替えを簡単に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る部品実装システムの全体構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るリールホルダの表側を示す斜視図である。
図3図2のリールホルダの裏側を示す斜視図である。
図4】3つのテープリールが取り付けられた状態の図2のリールホルダを示す斜視図である。
図5】テープ供給装置の部分拡大図である。
図6】本発明の一実施形態に係るロボットハンドの全体構成を示す斜視図である。
図7図6のロボットハンドによるテープリールのつまみ動作を説明する図である。
図8図6のロボットハンドによるテープの吸着動作を説明する図である。
図9図6のロボットハンドによるテープの始端部のALFの導入口へのセット動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係る部品実装システム100について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る部品実装システム100は、図1に示されるように、部品を基板に実装する部品実装装置10と、部品を保持するテープTを部品実装装置10に供給するテープ供給装置20と、テープ供給装置20のテープリールRを交換するロボット30とを備えている。
【0020】
部品は、例えば、半導体チップのような電子部品である。部品は、長いテープT上に一定間隔で配置されている。テープリールRは、間隔をおいて相互に対向する一対の側板Sを有し、テープTは、一対の側板S間の中心部に設けられた巻芯に巻き付けられている。
【0021】
部品実装装置10は、基板を複数の実装位置に順に搬送する。各実装位置には、テープTに保持された部品がテープ供給装置20から供給される。部品実装装置10は、各実装位置において、テープTから部品を取り出し、部品を基板の所定位置に実装する。これにより、1つの基板に複数の部品が実装される。
【0022】
テープ供給装置20は、複数個のテープリールRを保持するリールホルダ1と、複数個のリールホルダ1が取り付けられる置台11と、置台11上に配置されたテープオートローディングフィーダ(以下、ALFという。)12とを備えている。
【0023】
リールホルダ1は、図2および図3に示されるように、薄い円板状の回転板2と、回転板2に固定された複数のリール支持部3と、回転板2を回転可能に支持する回転板支持部4と、回転板2を位置決めする位置決め機構5とを備えている。
リールホルダ1は、上下方向および前後方向を有している。上下方向および前後方向は、相互に直交する回転板2の径方向である。
【0024】
参照する図面では、1つの回転板2に3つのリール支持部3が固定され、1つのリールホルダ1が3つのテープリールRを保持する例が示されている。したがって、以下の説明において、各リールホルダ1が3つのテープリールRを保持する場合について説明する。ただし、リール支持部3の数は、2つのみ、または4つ以上であってもよい。
【0025】
3つのリール支持部3は、回転板2の一方の面に固定されたピン状の部材であり、回転板2の一方の面から回転板2の板厚方向に突出している。テープリールRの中心部には、幅方向(一対の側板Sの対向方向)に貫通する取付穴Hが形成されている。リール支持部3の外径は、取付穴Hの内径よりも小さい。取付穴H内に挿入されたリール支持部3によって、テープリールRは該テープリールRの中心回りに周方向に回転可能に支持される。
【0026】
3つのリール支持部3は、回転板2の中心回りの周方向に均等に配置されている。図4は、3つのテープリールRが取り付けられた状態のリールホルダ1を示している。3つのリール支持部3は回転板2の周縁部に固定されており、これにより、3つのテープリールRは、相互に干渉することなく3つのリール支持部3に支持される。
【0027】
各リール支持部3は、全長にわたって一定の直径を有していてもよい。図2および図4のリール支持部3は、回転板2とは反対側の端部に頭部3aを有している。頭部3aは、リール支持部3の他の部分よりも大きな直径を有し、他の部分よりも径方向外方に突出している。リール支持部3にテープリールRが支持された状態において、テープリールRの取付穴Hの上側の縁部が頭部3aに水平方向に引っ掛かる。これにより、振動等によるテープリールRのリール支持部3からの脱落が防止されるようになっている。
【0028】
回転板支持部4は、回転板2の中心部に取り付けられた取付部6と、取付部6から回転板2と平行に延びる一対のバー7a,7bとを有する。
取付部6は、回転板2を該回転板2の中心回りに周方向に回転可能に支持している。
【0029】
一対のバー7a,7bは、相互に平行である。一対のバー7a,7bは、取付部6から前方に向かって延び、回転板2よりも径方向外方に突出している。各バー7a,7bの先端には、各バー7a,7bを置台11に取り付けるためのフック8a,8bが設けられている。各フック8a,8bは、例えば、鉤状に曲げられた各バー7a,7bの先端部から形成されている。一対のフック8a,8bを、置台11の一対の水平なバー15a,15bまたは16a,16b(後述)に上から引っ掛けることによって、回転板2の上下方向が鉛直上下方向に一致し回転板2の前側が置台11に対向する姿勢で回転板2を置台11に取り付けることができる。
【0030】
位置決め機構5は、例えば、取付部6に設けられたクリック機構である。位置決め機構5は、回転板2の中心回りの周方向に等間隔をおいた3つの所定の回転位置にリールホルダ1を位置決めし、リールホルダ1を3つの所定の回転位置に保持する。したがって、リールホルダ1は、120°単位で回転する。
【0031】
図4に示されるように、リールホルダ1の回転によって、3つのテープリールRは、供給位置P1、待機位置P2、および交換位置P3の間で順に移動する。供給位置P1および待機位置P2は、回転板2の中心よりも上側に配置され、交換位置P3は、回転板2の中心よりも下側に配置される。また、待機位置P2は、供給位置P1の後側に配置される。供給位置P1には、テープ供給装置20によってテープTが搬送されているリールホルダ1が配置される。待機位置P2には、次に搬送される未使用のリールホルダ1が配置される。交換位置P3には、空のリールホルダ1または次の次に搬送される未使用のリールホルダ1が配置される。
【0032】
置台11は、ALF12を支持する水平な上枠13と、上枠13を支持する一対の脚14と、一対の脚14に固定された2対のバー(ホルダ取付位置)15a,15b;16a,16bとを有している。
一対の脚14は、上枠13の幅方向の両端部に固定されている。
【0033】
2対のバー15a,15b;16a,16bは、置台11の正面側に設けられている。各バー15a,15b,16a,16bは、一対の脚14の間において水平に延び、各バー15a,15b,16a,16bの両端は脚14に固定されている。バー15a,15は相互に平行であり、バー15,15b間の鉛直方向の間隔は、バー7a,7bの間隔と略等しい。同様に、バー16a,16bは相互に平行であり、バー16a,16b間の鉛直方向の間隔はバー7a,7bの間隔と略等しい。図5は、2対のバー15a,15b;16a,16bに取り付けられた複数のリールホルダ1の配置を示している。上のバー15a,15bのリールホルダ1と下のバー16a,16bのリールホルダ1は、水平方向に交互に配列する。
【0034】
ALF12は、相互に並列する複数のテープ搬送路を内部に有し、各テープ搬送路に沿ってテープTを部品実装装置10の各実装位置まで搬送する。テープ搬送路は、ALF12の正面側に開口する導入口12aから実装位置まで延びている。
【0035】
ALF12は、スプライシングレス方式によって、現在搬送されている第1のテープT1が切れた後に自動的に第2のテープT2の搬送を開始する。具体的には、各テープ搬送路の上流部の停止位置には、現在搬送されている第1のテープT1が終端が通過するまで、次に搬送される第2のテープT2の始端部を停止させるストッパが設けられている。第2のテープT2の始端部は、導入口12aから停止位置まで差し込まれ、第1のテープT1の上にセットされている。第2のテープT2の始端部を停止位置へセットする作業は、後述するように、ロボット30によって行われる。ストッパは、第1のテープT1の上方に固定され、第1のテープT1の搬送を許容しつつ、第2のテープT2の始端部の搬送方向の移動を係止する。第1のテープT1の終端が停止位置を通過すると、第2のテープT2の始端部が重力によって下方に移動することによってストッパによる係止が解除され、テープ搬送路に沿って第2のテープT2の搬送が開始される。
【0036】
ロボット30は、ロボット本体31と、ロボット本体31に取り付けられるロボットハンド32と、ロボット本体31を制御する制御装置33とを備えている。
図1に示されるように、ロボット本体31および2つのコンテナC1,C2が、自動搬送車(AGV)40に載置されている。一方のコンテナC1には、未使用のテープリールRが収容されている。他方のコンテナC2は、リールホルダ1から回収された空のテープリールRを収容するためのものである。
【0037】
ロボット本体31は、例えば、6軸の垂直多関節ロボットである。ロボット本体31は、複数の関節を有するロボットアームを有し、ロボットアームの先端の手首フランジ31aにロボットハンド32が取り付けられる。ロボット本体31は、関節の動作によって手首フランジ31aおよびロボットハンド32の位置および姿勢を3次元的に変更することができる。
【0038】
ロボットハンド32は、図6に示されるように、手首フランジ31aに着脱可能な着脱部35と、テープリールRおよび回転板2を把持するための第1の把持部36と、テープTを把持するための第2の把持部37と、視覚センサ38とを備えている。着脱部35、把持部36,37および視覚センサ38は、固定部材39にそれぞれ固定されている。
【0039】
着脱部35は、例えば、相互に着脱可能であるロボット側プレートおよびツール側プレートからなるオートツールチェンジャである。ロボット側プレートは、手首フランジ31aに取り付けられ、ツール側プレートは、固定部材39に固定されている。図6には、ツール側プレートのみが示されている。
【0040】
第1の把持部36は、相互に開閉可能な一対の指部材36aを有するチャックハンドである。一対の指部材36aは、細く長い真っ直ぐな棒状であり、開閉方向に並列している。各指部材36aの直径は、テープリールRの一対の側板S間の間隔以下である。したがって、一対の側板S間に一方の指部材36aの先端部を挿入し、一方の側板Sの周縁部を一対の指部材36aによってつまむことができる。また、図5に示されるようにリールホルダ1が密に配列されている状態で、回転板2の周縁部を一対の指部材36aによってつまむことができる。
【0041】
第2の把持部37は、先端に吸着口37aが設けられた吸引ノズルであり、吸着口37aにテープTを吸着する。吸引ノズル37は、細く長い形状を有する。吸引ノズル37の直径は、テープリールRの一対の側板S間の間隔以下である。したがって、一対の側板S間に吸引ノズル37の先端部を挿入し、巻き付けられているテープTの始端部を吸着口37aによって吸着することができる。
【0042】
着脱部35が手首フランジ31aに取り付けられた状態において、着脱部35の中心軸Aは、手首フランジ31aの中心軸に一致する。
第1の把持部36は、中心軸Aに交差する方向に延び、図6の例では中心軸Aに垂直な方向に延びている。したがって、図7に示されるように、手首フランジ31aを下方に向けた状態で、第1の把持部36を側板Sおよび回転板2に対して水平方向または略水平方向に接近させ、側板Sおよび回転板2の正面側の周縁部を第1の把持部36によってつまむことができる。
【0043】
第2の把持部37は、中心軸Aに平行な方向に、着脱部35とは反対側に向かって延びている。したがって、図8に示されるように、手首フランジ31aを下方に向けた状態で、第2の把持部37をテープTに対して上側から鉛直方向または略鉛直方向に近接させ、テープTを第2の把持部37によって上側から容易に吸着することができる。
【0044】
視覚センサ38は、制御装置33による制御に従って、把持部36,37の把持対象であるテープリールR、リールホルダ1、またはテープTの始端部を撮像する。視覚センサ38によって取得された画像は、制御装置33に送信される。
【0045】
制御装置33は、ロボット本体31、ロボットハンド32およびAGV40を制御し、ロボット本体31、ロボットハンド32およびAGV40にテープリールRの交換作業を実行させる。
また、制御装置33は、把持部36,37による把持対象の画像を視覚センサ38に取得させ、画像内の把持対象の位置を検出し、検出された把持対象の位置に基づいて把持対象に対する把持部36,37の位置を補正する。
【0046】
制御装置33は、CPUのようなプロセッサと、RAM、ROMおよび不揮発性メモリ等を有する記憶部とを備えている。記憶部には、リール交換プログラムが格納されている。プロセッサは、リール交換プログラムに従ってロボット本体31、ロボットハンド32およびAGV40を動作させるための制御信号を生成し、制御信号をロボット本体31、ロボットハンド32およびAGV40に送信する。これにより、ロボット本体31、ロボットハンド32およびAGV40によるテープリールRの交換作業ならびに把持部36,37の位置の補正が実現される。
【0047】
次に、部品実装システム100の作用について説明する。
部品実装装置10が基板への部品の実装作業を行っている間、テープ供給装置20は、複数のリールホルダ1の供給位置P1のテープリールRから引き出されたテープTを搬送し、部品実装装置10の複数の実装位置へテープTを連続的に供給する。
制御装置33は、現在搬送されているテープTのいずれかの終了が近付いたときに、そのテープTのテープリールRの交換作業をロボット本体31、ロボットハンド32およびAGV40に実行させる。
【0048】
例えば、制御装置33は、部品実装装置10から送信されるテープ切れ予告信号に基づいて、いずれの位置のテープTの終了が近付いているかを認識する。部品実装装置10は、各テープリールRが保持する部品の数の情報を保持している。部品実装装置10は、各テープリールRからの部品の供給数をカウントし、供給数が所定の数に達したときにテープ切れ予告信号を制御装置33へ送信する。
【0049】
制御装置33は、AGV40を移動させ、交換対象のテープリールRが取り付けられているリールホルダ1の前にロボット本体31を配置する。供給位置P1の交換対象のテープリールRのテープTが切れると、待機位置P2のテープリールRのテープTのテープ供給装置20による搬送が自動的に開始される。待機位置P2のテープTの搬送開始後、制御装置33は、テープリールRの位置の入れ替え、次に供給されるテープTの始端部のセット、および空のテープリールRの交換をロボット本体31およびロボットハンド32に実行させる。
【0050】
まず、第1の把持部36によって回転板2をつまみ、ロボット本体31の動作によってロボットハンド32および回転板2を、回転板2の中心回りに120°だけ回転させる。これにより、テープTの搬送が開始されたテープリールRが待機位置P2から供給位置P1に移動し、空になったテープリールRが供給位置P1から交換位置P3に移動し、未使用のテープリールRが交換位置P3から待機位置P2に移動する。
次に、図8に示されるように、第2の把持部37によって待機位置P2のテープTの始端部を吸着する。次に、図9に示されるように、ロボット本体31の動作によって、第2の把持部37によって吸着されているテープTの始端部をテープ供給装置20の導入口12a内に停止位置まで差し込み、第2の把持部37からテープTの始端部を解放する。
【0051】
次に、第1の把持部36によって交換位置P3の空のテープリールRの一方の側板Sをつまみ、ロボット本体31の動作によって、ロボットハンド32を回転板2から離間する方向に向かって水平方向に所定量だけ移動させる。これにより、空のテープリールRがリールホルダ1から取り外される。次に、ロボット本体31および第1の把持部36の動作によって、空のテープリールRをコンテナC2内に収容し、未使用のテープリールRをコンテナC1から取り出す。次に、ロボット本体31の動作によって、第1の把持部36につままれている未使用のテープリールRの取付穴Hを交換位置P3のリール支持部3に位置合わせし、ロボットハンド32を回転板2に向かって水平方向に所定量だけ移動させる。これにより、未使用のテープリールRがリール支持部3に取り付けられる。
空のテープリールRの交換は、テープTの始端部の停止位置へのセットの前に行われてもよい。
【0052】
この場合に、本実施形態によれば、回転板2に保持されている3つのテープリールRは、回転板2の回転によって3つの位置P1,P2,P3に順に繰り返し移動する。したがって、3つのテープリールRの位置の入れ替えが、回転板2を120°回転させるだけの簡単な操作によって達成される。また、回転板2からの空のテープリールRの取り外しおよび回転板2への未使用のテープリールRの取り付けは、テープリールRを水平方向に移動させるだけの簡単な操作によって達成される。さらに、外側からアクセスし易い交換位置P3に空のテープリールRを配置することによって、テープリールRの取り外しおよび取り付けの作業がより容易になる。
【0053】
このように、従来作業者の手作業に頼らざるを得なかったテープリールRの位置の入れ替えおよび交換の煩雑な作業を簡素化することによって、テープリールRの位置の入れ替えおよび交換をロボット30にも容易に実行させることができる。これにより、テープリールRの位置の入れ替えおよび交換の作業を自動化し、作業者の負担を軽減することができるという利点がある。
【0054】
本実施形態においては、テープリールRの交換作業をロボット30が行うこととしたが、これに代えて、作業者が行ってもよい。
前述したように、本実施形態のリールホルダ1によれば、テープリールRの位置の入れ替えおよび交換の作業が従来と比べて簡素化されている。したがって、作業者は、テープリールRの位置の入れ替えおよび交換を簡単に行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 リールホルダ
2 回転板
3 リール支持部
4 回転板支持部
5 位置決め機構
10 部品実装装置
20 テープ供給装置
30 ロボット
31 ロボット本体
32 ロボットハンド
33 制御装置
36 第1の把持部
36a 指部材
37 第2の把持部、吸引ノズル
37a 吸着口
38 視覚センサ
100 部品実装システム
R テープリール
T,T1,T2 テープ
H 取付穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9