特許第6806770号(P6806770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806770殺線虫活性を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物、その農学組成物、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806770
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】殺線虫活性を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物、その農学組成物、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 285/125 20060101AFI20201221BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20201221BHJP
   A01N 43/824 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   C07D285/125CSP
   A01P5/00
   A01N43/824 B
【請求項の数】15
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2018-515616(P2018-515616)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公表番号】特表2018-535193(P2018-535193A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】IB2016055685
(87)【国際公開番号】WO2017002100
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】UB2015A003829
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516135472
【氏名又は名称】イサグロ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ベランディ、 パオロ
(72)【発明者】
【氏名】グスメロリ、 マリレーナ
(72)【発明者】
【氏名】サルジョット、 キアラ
(72)【発明者】
【氏名】ビアンキ、 ダニエレ
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−140063(JP,A)
【文献】 国際公開第99/052882(WO,A1)
【文献】 特表2003−503485(JP,A)
【文献】 特表平05−507726(JP,A)
【文献】 特表平05−507727(JP,A)
【文献】 特表平09−510197(JP,A)
【文献】 特表2004−504309(JP,A)
【文献】 特開平03−128369(JP,A)
【文献】 米国特許第03780050(US,A)
【文献】 特表2006−527709(JP,A)
【文献】 特表昭63−500037(JP,A)
【文献】 特開平02−085267(JP,A)
【文献】 米国特許第05013745(US,A)
【文献】 特開平02−134372(JP,A)
【文献】 特開平02−286678(JP,A)
【文献】 特開昭63−091389(JP,A)
【文献】 特開昭63−258878(JP,A)
【文献】 特開昭63−250377(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00371925(EP,A1)
【文献】 特表2005−507431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 285/125
A01N 43/824
A01P 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物。
【化1】

[式中、Hetは、1又は複数の置換基を有する以下の芳香族複素環基表し
【化2】

Xは、硫黄原子表し、
は、1又は2を表し、
mは、1又は2を表し、
複素環Hetの1又は複数存在する置換基が、ハロゲン;C1〜C6アルキル;C1〜C6ハロアルキル;C3〜C6シクロアルキル;ホルミル;所望により置換されていてもよいアリール;ベンジル;芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基から選択され、前記芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基は、所望によりベンゾ縮合又は複素二環であってもよく、酸素、硫黄、窒素、又は所望により置換されていてもよいN−オキシドから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む複素環基である。]
【請求項2】
前記複素環Hetの1又は複数存在する置換基がC1〜C6アルキル基であり、
mが2である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Het、n、及びmが、以下の意味を有する、請求項1に記載の化合物。
【表1】
【請求項4】
Het、n、及びmが、以下の意味を有する、請求項1に記載の化合物。
【表2】
【請求項5】
nが1であり、ラセミ体、異性体的に純粋、又はそれらの混合物である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
線虫の防御のための、式(I)を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物の使用。
【化3】

[式中、Hetは、1又は複数の置換基を有する以下の芳香族複素環基を表し、
【化4】

Xは、硫黄原子表し、
は、1又は2を示し、
mは、1又は2を示し、
複素環Hetの1又は複数存在する置換基が、ハロゲン;C1〜C6アルキル;C1〜C6ハロアルキル;C3〜C6シクロアルキル;ホルミル;所望により置換されていてもよいアリール;ベンジル;芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基から選択され、前記芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基は、所望によりベンゾ縮合又は複素二環であってもよく、酸素、硫黄、窒素、又は所望により置換されていてもよいN−オキシドから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む複素環基である。]
【請求項7】
治療的な及び/又は予防的な、グサレセンチュウ属種(Pratylenchus spp)、シストセンチュウ属種(Globodera spp)、ヘテロデラ属種(Heterodera spp)、ネコブセンチュウ属種(Meloidogyne spp)、ハガレセンチュウ属種(Aphelenchoides spp)、バナナネモグリセンチュウ(Radopholus Similis)、ナミクキセンチュウ(Ditylenchus Dipsaci)、ミカンネセンチュウ(Tylenchulus Semipenetrans)、ナガハリセンチュウ属種(Longidorus spp)、オオハリセンチュウ属種(Xiphinema spp)、ユミハリセンチュウ属種(Trichodorus spp)、マツノザイセンチュウ属種(Bursaphelenchus spp)からなる群から選択される線虫の防御のための、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の式(I)を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物の使用。
【請求項8】
請求項1〜請求項5いずれか1項に記載の式(I)を有する1又は複数の化合物を、溶媒、及び/又は固体、液体、若しくは液化された希釈剤、所望により1又は複数の界面活性剤及びその他の農学的に許容し得る共成分と組み合わせて含む、農学組成物。
【請求項9】
請求項に記載の農学組成物であって、式(I)を有する活性化合物の濃度が、前記組成物の総重量に対して、0.1〜90重量%範囲内である、請求項に記載の農学組成物。
【請求項10】
式(I)を有する少なくとも1つの化合物と、殺虫剤、殺ダニ剤、式(I)を有するもの以外の殺線虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺菌剤、肥料、及び生物刺激剤から選択される少なくとも1つの第2の活性成分とを含む、請求項8又は請求項9に記載の農学組成物。
【請求項11】
式(I)を有する前記化合物とその他の前記活性成分との重量比が、1:100〜100:1の範囲内ある、請求項10に記載の農学組成物。
【請求項12】
活性成分の濃度が、農学組成物の総重量に対して、0.5〜90重量%範囲内である、請求項10に記載の農学組成物。
【請求項13】
線虫の防御のための、請求項8〜請求項12のいずれか1項に記載の農学組成物の使用。
【請求項14】
前記組成物を、葉を介して作物に適用するか、又は滴下施肥法、地中への取り込み、若しくは種子の手入れによって土壌に適用することによる、請求項13に記載の農学組成物の使用。
【請求項15】
式(I)を有する少なくとも1つの化合物、及び所望により、それと相溶性のある1又は複数の他の既知の活性成分を含む、有効且つ植物への毒性がない用量の請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の農学組成物を保護すべき植物の任意の部分に適用することを含む、栽培領域内における線虫の防御のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)を有する新規な複素環トリフルオロアルケニル化合物に関する。
【0002】
【化1】
【0003】
また、本発明は、式(I)を有する前記化合物を含む農学組成物、及び農作物における線虫の防御のためのそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
フルオロアルケニル鎖を有する複素環化合物は、殺虫剤として、特に殺線虫剤としての用について文献に記載されてきた。
【0005】
これらの化合物は、3つの特徴的な残基、すなわち、芳香族複素環又は非芳香族複素環、S(O)残基(ここで、nは、0〜2の範囲内の整数である)、及び一般式−(CH−CX=CFを有するフルオロアルケニル鎖(ここで、mは、1〜10の範囲内であってよく、Xは、水素原子又はフッ素原子である)から構成される。
【0006】
特許出願EP410551には、チアジアゾール残基及びトリフルオロブテニル鎖を有する一般式(A)を有するチオエーテルが記載されている。
【0007】
【化2】
【0008】
特許出願国際公開第95/24403号には、一般式(B)を有する複素環ジフルオロブテニル化合物が記載されている。
【0009】
【化3】
【0010】
特許出願国際公開第01/02378号には、トリフルオロブテニル鎖を有する一般式(C)を有するチアゾール誘導体が開示されている。
【0011】
【化4】
【0012】
特許出願国際公開第02/06256号には、フルオロアルケニル鎖を有する一般式(D)を有する複素環化合物が記載されており、ここで、mは、3〜10の範囲内の整数であり、Xは、水素原子、ハロゲン基、又はアルキル基を表す。
【0013】
【化5】
【0014】
しかし、これらの化合物の全ては、寄生生物の攻撃を効果的に制限することができず、植物の根系における虫こぶ(gall)の形成を低減することができないため、殺線虫活性に関して不十分である。
【0015】
さらに、種々の場合において、これらの製品は、重要な農作物に対して植物毒性があることが判明しており、良好な殺線虫活性が得られる用量で著しい葉及び茎の壊死を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
ここで、本出願者は、驚くべきことに、低用量でも高い殺線虫活性を有し、同時に農作物により耐容性が良好である、新規な複素環トリフルオロアルケニル化合物を見出した。
【0017】
したがって、本発明の第1の目的は、式(I)を有する新規な複素環トリフルオロアルケニル化合物に関する。
【0018】
【化6】
【0019】
式中、Hetは、以下から選択される芳香族複素環基又は非芳香族複素環基を表し、所望により置換されていてもよい。
【0020】
【化7】

【0021】
Xは、硫黄原子又は酸素原子を表し、
Rは、水素原子、C〜Cアルキル基、又はフェニル基を表し、
nは、1又は2を表し、
mは、1又は2を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前記複素環基は、所望により、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cハロアルコキシル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cシクロアルコキシカルボニル、アミノ、N−C〜Cアルキルアミノ、N,N−C〜C12ジアルキルアミノ、N−C〜Cアルコキシカルボニル−アミノ、N−C〜Cシクロアルキルアミノ、N,N−C〜C12ジシクロアルキルアミノ、N−C〜Cシクロアルコキシカルボニル−アミノ、C〜Cアルキルアミノカルボニル、C〜Cシクロアルキルアミノカルボニル、RNCONR基、ホルミル、カルボキシル、シアノ、所望により置換されていてもよいアリール、ベンジル、酸素、硫黄、置換されていてもよいN−オキシドに所望により酸化され得る窒素から選択される、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基であって、所望によりベンゾ縮合又は複素二環であってもよい複素環基から選択される、1又は複数の基で置換されていてもよく、
、R、Rは、同一又は互いに異なっており、水素原子、C〜Cアルキル基、又はC〜Cシクロアルキル基を表す。
【0023】
ハロゲンの例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0024】
直鎖状は分枝鎖状のC〜Cアルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル3−メチルブチル、n−ヘキシル、3,3−ジメチルブチルが挙げられる。
【0025】
〜Cハロアルキルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、4,4,4−トリクロロブチル、4,4−ジフルオロペンチル、5,5−ジフルオロヘキシルが挙げられる。
【0026】
直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルコキシルの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、3−メチルブトキシ、ヘキシルオキシ、3,3−ジメチルブトキシが挙げられる。
【0027】
〜Cハロアルコキシルの例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラ−フルオロエトキシ、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ、4,4,4−トリクロロブトキシ、4,4−ジフルオロペントキシ、5,5−ジフルオロ−ヘキシルオキシが挙げられる。
【0028】
〜Cアルキルチオの例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、3−メチルブチルチオ、n−ヘキシルチオ、3,3−ジメチルブチルチオが挙げられる。
【0029】
〜Cハロアルキルチオの例としては、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、1,1,2,2−テトラフルオロ−エチルチオが挙げられる。
【0030】
〜Cシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
【0031】
〜Cハロシクロアルキルの例としては、2,2−ジクロロ−シクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,2,3、3−テトラフルオロシクロブチル、3,3−ジフルオロシクロペンチル、2−フルオロシクロヘキシルが挙げられる。
【0032】
〜Cシクロアルキルアルキルの例としては、メチルシクロプロピル、メチルシクロペンチル、エチルシクロプロピル、メチルシクロヘキシルが挙げられる。
【0033】
所望により置換されていてもよいアリールとは、同一又は互いに異なっている、好ましくは、ハロゲン原子、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cハロアルコキシル、C〜Cシクロアルコキシル、C〜Cシクロアルキルアルコキシル、フェノキシル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cアルキルアミノ、C〜C12ジアルキルアミノ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニルから選択される、1又は複数の置換基を有し得るアリール基を指す。
【0034】
アリール基とは、フェニル基又はナフチル基を指す。
【0035】
所望により置換されていてもよい芳香族複素環基とは、同一又は互いに異なる、好ましくは、ハロゲン原子、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシル、C〜Cハロアルコキシル、C〜Cシクロアルコキシル、C〜Cシクロアルキルアルコキシル、フェノキシル、C〜Cチオアルコキシル、C〜Cチオハロアルコキシル、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、1つ又は2つのC〜Cアルキル基で置換され得るアミノ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C〜Cアルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニルから選択される1又は複数の置換基を有し得る、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む五原子複素環又は六原子複素環であって、所望によりベンゾ縮合又は複素二環であってもよい複素環を指す。
【0036】
芳香族複素環基の例としては、ピリジル、ピリジルN−オキシド、ピリミジル、ピリダジル、ピラジル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、トリアゾロピリジニル、トリアゾロピリミジニル、チアゾロトリアゾリルが挙げられる。
【0037】
殺線虫活性の点で興味深い一般式(I)を有する化合物の具体例としては、Het、n及びmが表1に示される意味を有する化合物が挙げられる。
【0038】
【化8】
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
一般式(I)を有する化合物が好ましい。
【0043】
【化9】
【0044】
式中、所望により置換されていてもよいHetは、以下の基のうちの1つを表す。
【0045】
【化10】
【0046】
前記複素環の1又は複数の所望により存在する置換基は、ハロゲン;C〜Cアルキル;C〜Cハロアルキル;C〜Cシクロアルキル;ホルミル;所望により置換されていてもよいアリール;ベンジル;酸素、硫黄、窒素、又は所望により置換されていてもよいN−オキシドから選択され、好ましくは酸素、硫黄、又は窒素から選択される、少なくとも1つのヘテロ原子を含む、芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基であって、所望によりベンゾ縮合又は複素二環であってもよい複素環基から選択され、
Xは、硫黄原子を表し、
nは、1又は2を表す。
【0047】
一般式(I)を有する好ましい化合物は、Het、n、及びmが、以下の意味を有するものである。
【0048】
【表4】
【0049】
一般式(I)を有する化合物が特に好ましい。
【0050】
【化11】
【0051】
式中、所望により置換されていてもよいHetは、以下の基のうちの1つを表す。
【0052】
【化12】
【0053】
前記複素環の所望により存在する置換基は、C〜Cアルキル基を表し、
mは、2である。
【0054】
当業者に明らかであるように、一般式(I)を有する前記化合物は、nが1の値である場合、2種の光学異性体の形態で得られ得る。
【0055】
したがって、本発明の目的は、ラセミ体である一般式(I)を有する化合物、異性体的に純粋な一般式(I)を有する化合物、又は一般式(I)を有する化合物の調製の間に得られ得るか、若しくは同一の異性体の不完全分離に由来する、任意の比率のそれらの混合物に関する。
【0056】
スキーム1に示されるように、酸化反応によって式(II)を有する対応するチオエーテルから開始して、一般式(I)を有する前記化合物を調製することができる。
【0057】
【化13】
【0058】
前記反応条件は、国際公開第02/062770号に記載されているように、適切な溶媒中における酸化剤の使用を想定しているが、用いることができる酸化剤は、4−クロロ−過安息香酸、過酢酸などの有機過酸化物、又は、例えば、水素過酸化物、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウムなどの無機過酸化物である。
【0059】
用いられる溶媒は、好ましくは、ジクロロメタン、ジクロロエタン、若しくはクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジオキサン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド若しくはN−メチル−ピロリドンなどのアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール、又はアセトン若しくは2−ブタノンなどのケトン、酢酸、水、又はそれらの混合物である。
【0060】
前記反応は、1〜72時間の範囲内の時間、0〜60℃の範囲内の温度で行われる。
【0061】
mが1及び2である場合、国際公開第03/037878号に記載されている方法に従って、スキーム2に示されるように、式(II)を有する前記化合物を調製することができる。
【0062】
【化14】
【0063】
前記反応は、式(IV)を有する化合物を用いて、式(III)を有する化合物(Zは、例えば、Cl、Br、Iから選択されるハロゲン又はp−トルエンスルホナート基若しくはトリフルオロメタンスルホナート基などの脱離基を示す)を、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸ナトリウム、重炭酸カリウム若しくは重炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの有機塩基又は無機塩基の存在下で、ジクロロエタン、クロロホルム、又は塩化メチレンなどの適切な溶媒中で、室温から選択された前記溶媒の還流温度までの範囲内の温度で処理することを想定するものである。
【0064】
式(III)を有する前記化合物が市販されていない場合、Chemistry of Heterocyclic Compoundsに記載されているように、有機化学において公知の方法に従って、前記化合物を容易に得ることができる。
【0065】
Zがハロゲン原子を表す場合、式(IV)を有する化合物は、市販の製品である。あるいは、Zがp−トルエンスルホナート基又はトリフルオロメタンスルホナート基を表す場合、以下に反応スキーム3において示されるように、Theodora W: Greene “Protective Groups in Organic Synthesis” Third Edition pages 198-199に記載されている反応に従って、対応するアルコール(V)から式(IV)を有する化合物を得ることができる。
【0066】
【化15】
【0067】
あるいは、反応スキーム4に示されるように、適切にチオールに加水分解される式(VII)を有する塩を用いて、式(IV)を有する化合物(Zはハロゲン原子を表す)を処理することによって、式(II)を有する化合物を調製することができる。
【0068】
【化16】
【0069】
前記反応は、米国特許第2005/215797号に記載されている反応に従って、対応する前記チオールを提供するために、式(VII)を有する化合物を、室温で、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの無機塩基の存在下又は非存在下で、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエンなどの溶媒中で、又はそれらと水との混合物中でin situで加水分解すること、及び続いて式(VI)を有する化合物を処理することを想定するものである。(VII)の加水分解によって得られた前記チオールを単離することが可能であり、後続の工程で(VI)で処理することができる。
【0070】
式(VI)を有する前記化合物が市販の製品でない場合、Chemistry of Heterocyclic Compoundsに記載されているように、有機化学において公知の方法に従って、前記化合物を容易に得ることができる。
【0071】
すでに示されたように、一般式(I)を有する前記化合物は、高い殺線虫活性を有するが、施用される作物に対していかなる植物毒性も示さない。これらの特徴によって、前記化合物は、線虫に対する防御において農業分野における使用に適切なものとなる。
【0072】
したがって、本発明のさらなる目的は、線虫の防御のための式(I)を有する化合物の使用に関する。
【0073】
式(I)を有する前記化合物によって効果的に制限することができる線虫の例としては、ネグサレセンチュウ属種(Pratylenchus spp)、シストセンチュウ属種(Globodera spp)、ヘテロデラ属種(Heterodera spp)、ネコブセンチュウ属種(Meloidogyne spp)、ハガレセンチュウ属種(Aphelenchoides spp)、バナナネモグリセンチュウ(Radopholus Similis)、ナミクキセンチュウ(Ditylenchus Dipsaci)、ミカンネセンチュウ(Tylenchulus Semipenetrans)、ナガハリセンチュウ属種(Longidorus spp)、オオハリセンチュウ属種(Xiphinema spp)、ユミハリセンチュウ属種(Trichodorus spp)、マツノザイセンチュウ属種(Bursaphelenchus spp)などが挙げられる。
【0074】
式(I)を有する前記化合物は、治療的及び予防的ないずれの殺線虫活性も発揮することが可能であり、処理される作物に対して植物毒性が極めて低いか、又は植物毒性がない。
【0075】
農業における実用のために、式(I)を有する1又は複数の化合物及び農学的に許容し得る共成分を含む農学組成物に適切に調製された本発明の化合物を使用することが、多くの場合好ましい。
【0076】
したがって、本発明の他の目的は、式(I)を有する1若しくは複数の化合物、溶媒、及び/又は固体、液体、若しくは液化された希釈剤を含み、場合により1又は複数の界面活性剤及びその他の農学的に許容し得る共成分を含む、殺線虫農学組成物に関する。
【0077】
乾燥粉末、水和剤、乳剤、マイクロエマルジョン、ペースト、顆粒剤、溶液、懸濁液、燻蒸剤などの形態で組成物を用いることが可能であり、組成物の種類の選択は、具体的用途によって決まる。
【0078】
前記組成物は、公知の方法に従って、例えば、溶媒媒体及び/又は固体希釈剤を用いて、場合により界面活性剤の存在下で、活性物質を希釈するか又は溶解することによって調製される。
【0079】
不活性固体希釈剤又は担体としては、カオリン、アルミナ、シリカ、タルク、ベントナイト、石膏、石英、ドロマイト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、珪藻土、セルロース、デンプンなどを用いることができる。
【0080】
使用することができる不活性液体希釈剤は、水、或いは芳香族炭化水素(キシレン、アルキルベンゼンの混合物など)、脂肪族炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサンなど)、ハロゲン化芳香族炭化水素(クロロベンゼンなど)、アルコール(メタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノールなど)、エステル(酢酸イソブチルなど)、ケトン(アセトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン、エチルアミルケトンなど)、又は植物油若しくは鉱油、又はそれらの混合物などの有機溶媒である。
【0081】
室温及び大気圧で気化する液化希釈剤又は液化物質として、ブタン、プロパン、ハロゲン化炭化水素、二酸化窒素又は二酸化炭素などの高圧ガスを用いることができる。
【0082】
使用することができる界面活性剤は、非イオン型(ポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化脂肪族アルコールなど)、アニオン型(アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネートなど)、カチオン型(アルキルアンモニウム第四級塩など)の湿潤剤及び乳化剤である。
【0083】
分散剤(例えば、リグニン及びその塩、セルロース誘導体、アルギナートなど)、安定剤(例えば、抗酸化剤、UV吸収剤など)を添加することもできる。
【0084】
上記組成物中における式(I)を有する活性化合物の濃度は、広範囲内で変化させてもよく、各種要因によって決まる。それは、式(I)を有する前記活性化合物、前記組成物の定められた用途、環境条件、及び採用される調製物の型に関して変化する。式(I)を有する活性化合物の濃度は、前記組成物の総重量に対して、通常は、0.1〜90重量%、好ましくは、0.5〜90重量%の範囲内である。
【0085】
それ自体の又は調製された本発明の化合物は、それらの薬効範囲を広げるための又は抵抗性を阻止するための、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、式(I)を有するもの以外の殺線虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺菌剤、肥料、及び生物刺激剤などの他の活性成分との混合物中において使用され得る。
【0086】
場合によって、このようにして得られた前記混合物は、前記成分の間の相乗効果を有し、それによって、前記混合物は、例えば、混合物を構成する単一要素の活性よりも高い活性を発揮する。
【0087】
一般式(I)を有する1又は複数の化合物を含む前記組成物に添加することができる殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤の例としては、以下のものが挙げられる:アバメクチン、アセタミプリド、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、アルファメトリン、アザジラクチン、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ビューベリア・バシアナ(Beauveria bassiana)、β−シフルトリン、ビフェナゼート、ビフェントリン、ブプロフェジン、クロルピリホス、クロルピリホスM、クロフェンテジン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シロマジン、クロロピクリン、クロラントラニリピド(clorantranilipide)、クロチアニジン(clotianidin)、デルタメトリン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ダゾメット(dazonet)、スルフリルジフルオリド、ジメチルジスルフィド、エマメクチン、エスフェンバレレート、エトプロホス、エトフェンプロクス、エトキサゾール、フェナミホス、フェナザキン、フェノキシカルブ、フェンピロキシメート、フィプロニル、フルアジナム、フルフェノクスロン、フルバリネート、ホスチアゼート、ホルメタナート(formentanate)、フロニカミド、ホルメット(formet)、ウイルス、ヘキシチアゾクス、イミダクロプリド(imidaclopridi)、インドキサカルブ、λ−シハロトリン、ルフェヌロンマラチオン、メタアルデヒド、メタミドホス、メタリジウム属種(Metharhizium spp)、メチオカルブ、メトミル、メトキシフェノジド、ミルベメクチン、メタフルミゾン、メタムナトリウム、メタムカリウム、オキサミル、ペシロマイセス・フモソロセウス(Paecilomyces fumosoroseus)、ホスメト、ピリミカルブ、ピリミホスメチルM、ジョチュウギク、ピリダベン、ピリプロキシフェン、ピペロニルブトキシド、スピノサド、スピロメシフェン(spironesifen)、スピロテトラマト、スピネトラム(spinetoran)、スピロジクロフェン、タウ−フルバリネート、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルベンズロン、テフルトリン、チアクロプリド、トリフルムロン、ゼータ−シペルメトリン、(1R−シス)−[5−(フェニルメチル)−3−フラニル]−メチル−3−[(ジヒドロ−2−オキソ−3(2H)−フラニリデン)メチル]−2,2−ジメチル−シクロ−プロパンカルボキシラート、(3−フェノキシフェニル)−メチル−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカルボキシラート、1−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]−5−トリアジン2−(1H)−イミン、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール、2−(アセチルオキシ)−3−ドデシル−1,4−ナフタレンジオン、2−クロロ−N−[[[4−(1−フェニルエトキシ)−フェニル]−アミノ]−カルボニル]−ベンズアミド、2−クロロ−N−[[[4−(2,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエトキシ)−フェニル]−アミノ]−カルボニル]−ベンズアミド、3−メチルフェニル−プロピルカルバメート、4−[4−(4−エトキシフェニル)−4−メチルペンチル]−1−フルオロ−2−フェノキシ−ベンゼン、4−クロロ−2−(1,1−ジメチルエチル)−5−[[2−(2,6−ジメチル−4−フェノキシフェノキシ)エチル]チオ]−3−(2H)−ピリダジノン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−[(6−ヨード−3−ピリジニル)(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−[(6−ヨード−3−ピリジニル)−メトキシ]−3−(2H)ピリダジノン、4−クロロ−5−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メトキシ]−2−(3,4−ジ−クロロフェニル)−3(2H)ピリダジノン、バチルス・チューリンゲンシスEG−2348株、[2−ベンゾイル−1−(1,1−ジメチルエチル)−ヒドラジン]安息香酸、2,2−ジメチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−オキソ−l−オキサスピロ[4.5]−デカ−3−エン−4−イル ブタノエート、[3−[(6−クロロ−3−ピリジニル)−メチル]−2−チアゾリジニリデン]−シアナミド、ジヒドロ−2−(ニトロ−メチレン)−2H−1,3−チアジン−3(4H)−カルボキサルデヒド、エチル[2−[[1,6−ジヒドロ−6−オキソ−1−(フェニルメチル)−4−ピリダジニル]オキシ]エチル]−カルバメート、N−(3,4,4−トリフルオロ−1−オキソ−3−ブテニル)−グリシン、N−(4−クロロフェニル)−3−[4−(ジフルオロ−メトキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド、N−[(2−クロロ−5−チアゾリル)−メチル]−N’−メチル−N”−ニトロ−グアニジン、N−メチル−N’−(1−メチル−2−プロペニル)−1,2−ヒドラジンジカルボ−チオアミド、N−メチル−N’−2−プロペニル−1,2−ヒドラジンジカルボ−チオアミド、O,O−ジエチル[2−(ジプロピルアミノ)−2−オキソエチル]−エチル−ホスホロアミドチオエート。
【0088】
一般式(I)を有する1又は複数の化合物を含む前記組成物に添加することができる除草剤の例としては、以下のものが挙げられる:アセトクロル、アシフルオルフェン、アクロニフェン、AKH−7088({メチル(E,Z)−[[[1−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ニトロフェニル]−2−メトキシエチリデン]アミノ]アセテート})、アラクロール、アロキシジム、アメトリン、アミカルバゾン、アミドスルフロン、アミトロール、アニロホス、アスラム、アトラジン、アザフェニジン、アジムスルフロン、アジプロトリン、BAY MKH 6561(メチル2−({[(4−メチル−5−オキソ−3−プロポキシ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)カルボニル]アミノ}スルホニル)ベンゾエート ナトリウム塩)、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン、ベンスリド、ベンタゾン、ベンズフェンジゾン、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ベンズチアズロン、ビフェノックス、ビラナホス、ビスピリバック−ナトリウム、ブロマシル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブタクロル、ブタフェナシル、ブタミホス、ブテナクロール、ブトラリン、ブトロキシジム、ブチレート、カフェンストロール、カルベタミド、カルフェントラゾン−エチル、クロメトキシフェン、クロランベン、クロルブロムロン、クロルブファム、クロルフルレノール、クロリダゾン、クロリムロン、クロロニトロフェン、クロロトルロン、クロロクスロン、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタール、クロルチアミド、シニドンエチル、シンメチリン、シノスルフロン、クレトジム、クロジナホップ、クロマゾン、クロメプロップ、クロピラリド、クロランスラム−メチル、クミルロン(JC−940)、シアナジン、シクロアート、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シハロホップブチル、2,4−D、2,4−DB、ダイムロン、ダラポン、デスメジファム、デスメトリン、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロルプロプ、ジクロルプロプ−P、ジクロホップ、ジクロスラム、ジエタチル、ジフェノクスロン、ジフェンゾクワット、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロル、ジメタメトリン、ジメテナミド、ジニトラミン、ジノセブ、ジノセブアセテート、ジノテルブ、ジフェナミド、ジプロペトリン、ジクワット、ジチオピル、1−ジウロン、エグリナジン、エンドタール、EPTC、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エタメトスルフロン−メチル、エチジムロン、エチオジン(SMY1500)、エトフメサート、エトキシフェン−エチル(HC−252)、エトキシスルフロン、エトベンザニド(HW52)、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェントラザミド、フェヌロン、フラムプロップ、フラムプロップ−M、フラザスルフロン、フロラスラム、フルアジホップ、フルアジホップ−P、フルアゾレート(JV485)、フルカルバゾン−ナトリウム、フルクロラリン、フルフェナセット、フルフェンピルエチル、フルメツラム、フルミクロラック−ペンチル、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルオメツロン、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、フルポキサム、フルプロパネート、フルピルスルフロン、フルレノール、フルリドン、フルオロクロリドン、フルロキシピル、フルルタモン、フルチアセト−メチル、ホメサフェン、ホラムスルフロン、ホサミン、フリロオキシフェン、グルフォシネート、グリフォセート、ハロスルフロン−メチル、ハロキシホップ、ハロキシホップ−P−メチル、ヘキサジノン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、ヨードスルフロン、イオキシニル、イソプロパリン、イソプロチュロン、イソウロン、イソキサベン、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、イソキサピリホップ、KPP−421、ラクトフェン、レナシル、リニュロン、LS830556[[[2−メチル(メチルスルホニル)アミノ]−2−オキソエチル]アミノ]メチルホスホン酸、MCPA2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、MCPA−チオエチル、MCPB(4−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)ブタン酸)、メコプロプ、メコプロプ−P、メフェナセット、メソスルフロン、メソトリオン、メタミトロン、メタザクロル、メタベンズチアズロン、メタゾール、メトプロトリン、メチルダイムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトラクロル、S−メトラクロル、メトスラム、メトキスロン、メトリブジン、メトスルフロン、モリナート、モナリド、モノリヌロン、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、NC−330(メチル5−[(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)カルバモイルスルファモイル]1−ピリジン−2−イル ピラゾール−4−カルボキシレート)、ネブロン、ニコスルフロン、ニピラクロフェン、ノルフルラゾン、オルベンカルブ、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサスルフロン、オキサジクロメホン、オキシフルオルフェン、パラコート、ペブレート、ペンジメタリン、ペノキススラム、ペンタノクロール、ペントキサゾン、ペトキサミド、フェンメジファム、ピクロラム、ピコリナフェン、ピペロホス、プレチラクロール、プリミスルフロン、プロジアミン、プロフルアゾール、プログリナジン、プロメトン、プロメトリン、プロパクロル、プロパニル、プロパキザホップ、プロパジン、プロファム、プロピソクロール、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラクロニル、ピラフルフェン−エチル、ピラゾジル(HSA−961)、ピラゾリネート、ピラゾスルフロン、ピラゾキシフェン、ピリベンゾキシム、ピリブチカルブ、ピリダホル、ピリデート、ピリフタリド、ピリミノバック−メチル、ピリチオバック−ナトリウム、ピロキサスルホンキン クロラック、キンメラック、キザロホップ、キザロホップ−P、リムスルフロン、セトキシジム、シズロン、シマジン、シメトリン、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホメツロン−メチル、スルホスルフロン、2,3,6−TBA、TCA−ナトリウム、テブタム、テブチウロン、テプラロキシジム、テルバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、テニルクロール、チアザフルロン、チアゾピル、チジアジミン、チフェンスルフロン−メチル、チオベンカルブ、チオカルバジル、チオクロリム、トラルコキシジム、トリ−アレート、トリアスルフロン、トリアジフラム、トリベヌロン、トリクロピル、トリエタジン、トリフロキシスルフロン、トリフルラリン、トリフルスルフロン−メチル、トリトスルフロン、UBI−C4874(キザロホップ−P)、バーノレート。
【0089】
一般式(I)を有する1又は複数の化合物を含む前記組成物に添加することができる殺真菌剤の例としては、以下のものが挙げられる:アシベンゾラール、アメトクトラジン、アミスルブロム、アムプロピルホス、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ビテルタノール、ビキサフェン、ブラスチシジン−S、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブピリマート、ブチオバート、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、キノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリナート、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロン、ジクロブトラゾール、ジクロメジン、ジクロラン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジピリチオン、ジタリムホス、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトキシキン、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナミノスルフ、フェナパニル、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンピラザミン、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルインダピル((RS)−3−(ジフルオロメチル)−N−(7−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、フルメトバール、フルモルフ、フルオピコリド、フルオピラム、フルオロイミド、フルオトリマゾール、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルチアニル、フルトラニル、フルトリアホル、フルキサピロキサド、ホルペト、ホセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、硫酸ヒドロキシキノリン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、イプロバリカルブ、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンカッパー、マンコゼブ、マンジプロパミド、マネブ、メベニル、メパニピリム、メプロニル、メプチルジノカップ、メタラキシル、メタラキシル−M、メトコナゾール、メトフロキサム、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、メトスルホバックス、ミクロブタニル、ナタマイシン、ニコビフェン、ニトロタールイソプロピル、ヌアリモル、オフラセ、オリサストロビン、オキサジキシル、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンタクロロフェノール及びその塩、ペンチオピラド、フタリド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ボルドー液、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラカルボリド、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピラゾホス、ピリベンカルブ、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリオフェノン、ピロキロン、ピロキシフル、キナセトール、キナザミド、キンコナゾール、キノキシフェン、キントゼン、ラベンザゾール、水酸化銅、塩基性塩化銅、酸化銅(I)、硫酸銅、セダキサン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、テブコナゾール、テブフロキン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チアジフルオール、チシオフェン、チフルザミド、チオファナート、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、チオキシミド、トルクロホス−メチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモール、トリアズブチル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ウニコナゾール−P、バリダマイシン、バリフェナレート、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、硫黄、ゾキサミド。
【0090】
一般式(I)を有する1又は複数の化合物を含む前記組成物に添加することができる殺菌剤の例としては、以下のものが挙げられる:ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン(nitrapyrina)、ジメチルジチオカルバミド酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、水酸化銅、塩基性塩化銅、酸化銅(I)、硫酸銅、サリチル酸銅。
【0091】
一般式(I)を有する1又は複数の化合物を含む前記組成物に添加することができる肥料及び生物刺激剤の例としては、以下のものが挙げられる:動物由来及び/又は植物由来のアミノ酸及び/又はオリゴペプチドの混合物、4−チアゾリジンカルボキシル酸、4−アセチルチアゾリジン−カルボン酸、エクトイン、フィトステロール。
【0092】
したがって、本発明のさらなる目的は、式(I)を有する少なくとも1つの化合物と、殺虫剤、殺ダニ剤、式(I)を有するもの以外の殺線虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺菌剤、肥料、及び生物刺激剤から選択される少なくとも1つの第2の活性成分とを含む農学組成物に関する。
【0093】
本発明の組成物目的は、治療的及び/又は予防的であり得る殺線虫活性を発揮することが可能であり、通常、処理される作物に対して植物毒性が極めて低いか、又は植物毒性がない。
【0094】
したがって、本発明のさらなる目的は、線虫の防御のための、式(I)を有する少なくとも1つの化合物を含む組成物の使用に関する。
【0095】
前記組成物が、式(I)を有する化合物と少なくとも1種の他の既知の活性成分とを含む場合、式(I)を有する前記化合物と前記他の既知の活性成分との前期組成物中における重量比は、選択された化合物によって変動し、通常は1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の範囲内であり得る。
【0096】
上記組成物中における活性成分の総濃度は、広い範囲内で変動し得るが、通常、前記組成物の総重量に対して1重量%〜99重量%の範囲内であり、好ましくは、前記組成物の総重量に対して5〜90重量%の範囲内である。
【0097】
式(I)を有する前記化合物又はそれらを含む前記組成物は、葉を介して作物に適用され得るか、又は滴下施肥法、地中への取り込み、若しくは種子の手入れによって土壌に適用され得る。
【0098】
本発明の他の目的は、式(I)を有する化合物、及び所望により、それと相溶性のある1又は複数の既知の活性成分を含む、有効で且つ植物への毒性がない用量の組成物を保護すべき植物の任意の部分に適用することを含む、栽培領域内における線虫の防御のための方法にも関する。
【0099】
植物毒性の症状を示すことなく、保護すべき植物を移植する1〜7日前に、又はすでに栽培している作物に直接、本発明に係る前記化合物を適用することができる。この後者の態様は、植物を損なうことなく植物の成長のいずれの時点においても前記化合物を用いることができるので、前記化合物を農学的観点から特に興味深いものとする。
【0100】
所望の効果を得るために適用すべき化合物の量は、例えば、使用される化合物、保護すべき作物、侵襲の程度、気候条件、土壌の特徴、適用方法などの異なる要因に関して変化し得る。
【0101】
通常、1ヘクタールの農作物につき100g〜10,000gの範囲内の式(I)を有する化合物の用量、他の既知の活性成分を含む組成物の場合は、1ヘクタールの農作物につき100g〜20,000gの範囲内の活性成分の全体的用量により、十分な防御が提供される。
【0102】
好ましくは、1ヘクタールの農作物につき500g〜800gの範囲内の式(I)を有する化合物の用量が用いられる。
【0103】
本発明をよりよく理解するために、以下の例示的且つ非限定的な実施例が提供される。
【実施例】
【0104】
実施例1
(2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルスルホニル)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール[化合物N°2]の調製
(a)2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール[一般式(II)を有するチオエーテル]の調製
15mLのクロロホルム中の0.7g(5.3mmol)の5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの懸濁液に、窒素下で1.1mL(7.9mmol)のトリエチルアミンを室温で添加した。30分後、次いで、1g(5.3mmol)の4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテンを添加し、反応混合物を50℃に2時間加熱した。
【0105】
GC−MS及びLC−MSにおける制御の後、前記混合物を水及びジクロロメタンで希釈し、次いで相を分離し、再び水相をジクロロエタンで2回抽出した。有機相を合わせて、水及び塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄した。
【0106】
硫酸ナトリウムで無水化し(anhydrification)、濾過し、減圧化で溶媒を蒸発させて、1.03g(4.3mmol)の所望の生成物を白色の固体として得た。収率82% LCMS[M+H]=239。
【0107】
(b)2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル−スルホニル)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール[化合物N°2]の調製
氷浴で約4〜5℃の温度を維持した30mLのクロロホルムに溶解した1.03g(4.3mmol)の2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾールに、77%の2.8g(12.9mmol)の4−クロロ過安息香酸を添加した。次いで、混合物を、室温で一晩磁気撹拌下に置いた。
【0108】
LC−MSにおける制御の後、前記混合物を水で希釈し、次いで相を分離し、再び水相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせて、5%のNaHSO水溶液、NaHCO飽和溶液、水、及びNaCl飽和溶液で洗浄した。
【0109】
硫酸ナトリウムで無水化し、濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させて、5.1g(15.8mmol)の黄色の油を得た。このようにして得られた粗生成物をエチルエーテルで処理し、濾過し、空気中で乾燥して、0.9g(33mmol)の所望の生成物を白色の固体として得た。収率77% LC−MS[M+H]=272。
【0110】
実施例2
2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルスルフィニル)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール[化合物N°1]の調製
氷浴で約4〜5℃の温度を維持した60mLのクロロホルムに溶解した2g(8.33mmol)の2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾールに、77%の2.95g(9.17mmol)の4−クロロ過安息香酸を添加した。次いで、混合物を、室温で一晩磁気撹拌下に置いた。
【0111】
LC−MSにおける制御の後、前記混合物を水で希釈し、次いで相を分離し、再び水相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせて、5%のNaHSO水溶液、NaHCO飽和溶液、水、及びNaCl飽和溶液で洗浄した。
【0112】
硫酸ナトリウムで無水化し、濾過し、減圧化で溶媒を蒸発させて、1.9g(15.9mmol)の所望の生成物を黄色の油として得た。このようにして得られた粗生成物をエチルエーテルで処理し、濾過し、空気中で乾燥して、4.2g(13.7mmol)の所望の生成物を黄色の油として得た。収率89.1% LC−MS[M+H]=256。
【0113】
実施例3
2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルスルホニル)−5−クロロ−1,3,4−チアジアゾール[化合物N°22]の調製
(a)2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール[一般式(II)を有するチオエーテル]の調製
27mLのエタノール中の5g(37.5mmol)の5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの懸濁液に、窒素下で20.65mL(41.3mmol)の2Mの水酸化ナトリウムの水溶液を室温で添加した。次いで、30分後、4.32mL(37.54mmol)の4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテンを添加し、反応混合物を還流温度に4時間加熱した。
【0114】
GC−MS及びLC−MSにおける制御の後、前記混合物を濃縮し、水及びエチルアセテートで希釈し、次いで相を分離し、再び水相をエチルアセテートで2回抽出した。有機相を合わせ、2%の水酸化ナトリウムの溶液で洗浄し、次いで水で洗浄し、最後に塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄した。
【0115】
硫酸ナトリウムで無水化し、濾過し、減圧化で溶媒を蒸発させて、7.88g(4.3mmol)の所望の生成物を白色の固体として得た。収率88% LC−MS[M+H]=242。
【0116】
(b)2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−クロロ−1,3,4−チアジアゾール[一般式(II)を有するチオエーテル]の調製
窒素下、0℃で、60mLの塩酸中の0.6gの銅粉末の溶液に、6g(24.9mmol)の2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを添加した。
【0117】
このようにして得られた懸濁液に、17mLの水中の1.89gの亜硝酸ナトリウムの溶液を徐々に滴下した。
【0118】
混合物を、室温で4時間磁気撹拌下に置いた。
【0119】
GC−MS及びLC−MSにおける制御の後、前記混合物を水及びクロロホルムで希釈し、次いで相を分離し、再び水相をクロロホルムで2回抽出した。有機相を合わせ、水及び塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄した。
【0120】
硫酸ナトリウムで無水化し、濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させて、4.08g(15.6mmol)の所望の生成物を黄色の油として得た。収率62.7% LC−MS[M+H]=260。
【0121】
(c)2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル−スルホニル)−5−クロロ−1,3,4−チアジアゾール[化合物N°22]の調製
3.08g(11.8mmol)の2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−クロロ−1,3,4−チアジアゾールから開始して実施例1(b)と同様の操作を行い、反応の処理の後、3.02g(10.4mmol)の所望の生成を得た。収率87.3% LC−MS[M+H]=292
【0122】
実施例4
ネコブセンチュウ属種に対する殺線虫活性の決定(移植の7日前に適用)
温室内成長させたポット中のトマト及びタバコの植物上で維持されたネコブセンチュウ属種の繁殖から得られた接種菌液を用いて、検討中の前記生成物の殺線虫活性を試験することを目的とした試験を行った。
【0123】
実験を行うために、侵襲されたポットから、多数の虫こぶを有する根の部分、及び第二期齢から開始する幼虫が存在する土と回収した。
【0124】
直径15cmの新しいポットに殺菌した土を半分充填した。侵襲の程度を正確に評価し、且つ各ポットが同じ殺線虫チャージ(nematic charge)を含むことを確実にするために、予め洗浄した侵襲された根の部分を、同じ場所に配置した。次いで、200〜300gの侵襲された土を加え、続いて、殺菌した土の薄い層で覆った。
【0125】
試験対象の生成物が溶解された100mLの溶液を前記土の表面上へ注ぐことによって処理を実施した。
【0126】
このようにして準備されたポット内に、2〜3の本葉の段階のトマト苗を移植した。寄生生物に対する感受性が異なり、成長速度が異なる、異なるトマト栽培種を採用した。具体的には、最終的な生成を評価するために、苗の寸法が小さく、ポット内において温室条件下において約2ヵ月間で果物の成熟に達することができる観賞植物の品種(マイクロトム)を用いた。
【0127】
移植の7日前に(市販の基準製品NIMITZ(登録商標)(フルエンスルホン)のラベルに示されるものに従って)ポットを処理することによって、検討中の前記生成物の評価を行った。
【0128】
植物の発育を脅かし得る植物毒性効果の可能性(0〜10のスケールを用いた:0=症状なし、10=植物が枯れる)、及び線虫に対する有効性を考慮して、前記生成物を評価した。
【0129】
根系の発育(100%は、比較的健常な根が到達する発育である)と、根上の虫こぶの存在とを考慮して、距離が30且つ移植の60日後に、寄生生物を制限する能力を検出した。値0が罹患した根が0%であることに相当し、値10が侵襲された根が100%であることに相当する、Bridge及びPageによって提案された侵襲スケールを用いて、根の中の虫こぶの存在を推定した。
【0130】
移植の60日後に評価を行った、4,000g/ヘクタールの用量での化合物1、2、及び22並びに化合物CR1、CR2、CR3のトマトに対する有効性に関する結果を表2に示す。
【0131】
【表5】
【0132】
CR1=市販製品NIMITZ(登録商標)(フルエンスルホン)として知られている、5−クロロ−2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルスルホニル)−チアゾール(国際公開第01/02378号、17頁、実施例3に示される)。
CR2=2−(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオ)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(化合物N°14、EP410551、5頁に示される)。
CR3=2−(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルスルホニル)−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(化合物N°XIII.42、国際公開第95/24403号、52頁に示される)。
【0133】
表2に認めることができるように、本発明の化合物Nr1、Nr2、及びNr22は、線虫の防御時において、以前に文献に記載されている生成物よりも活性がある(前記基準化合物よりも根こぶ指数が低いか又は同等である)ことが判明した。上記化合物の適用によって、以前に知られている化合物により観察されるものよりも、植物の成長が高くなり、及び/又は根の発育が大きくなり、このことは、本発明の生成物の著しい効果を表していることも示すことができる。
【0134】
実施例5
ネコブセンチュウ属種に対する殺線虫活性の決定(移植の時点における適用)
移植の時点に生成物を適用することによって評価を行ったこと以外は実施例4と同じ実験手順で、検討対象の生成物の殺線虫活性を評価した。
【0135】
表3及び4に、移植の60日後に調査を行った、4,000g/ヘクタールの用量でのトマトに対する化合物9、10、71、75、76及び基準化合物CR1の有効性に関する結果を示す。
【0136】
【表6】
【0137】
【表7】
【0138】
移植の時点における単一の処理によるこれらの2つの試験において、化合物Nr75は、根こぶ指数が1であり、且つ化合物CR1で処理された根よりも根の発育が非常に高く、侵襲されたブランクと同じ結果であり、有効であることが分かった。化合物Nr9、Nr10、Nr71、及びNr76により、前記基準生成物よりもわずかに低い有効性がもたらされたにもかかわらず、これらの生成物で処理された植物の重量及び/又は植物の根の発育は、前記基準化合物と同様のパラメータよりも非常に高いことが観察された。特に、化合物Nr9については、処理後の植物の重量がほぼ120g、すなわち、化合物CR1で処理した植物の重量の2倍に達することが観察された。
【0139】
実施例6
ネコブセンチュウ属種に対する殺線虫活性の決定(すでに栽培している作物への適用)
(市販の基準生成物VYDATE(登録商標)(オキサミル(Oxamil))のラベルで示されるものに従って)苗の発育中に生成物を適用することによって評価を行ったこと以外は実施例4と同じ実験手順で、検討対象の生成物の殺線虫活性を評価した。
【0140】
表5に、移植の60日後に調査を行った、4,000g/ヘクタールの用量でのトマトに対する化合物1、2、6、及び化合物CR1の有効性に関する結果を示す。
【0141】
【表8】
【0142】
化合物Nr1及びNr2は、線虫の非常に強い攻撃の制限に特に有効である(ゴール指数8.5)ことが分かった。
【0143】
さらに、化合物Nr6が、基準化合物CR1(ΝIΜΙΤΖ(登録商標)としても知られている)よりもわずかに低い殺線虫活性を示したが、いずれの場合においても市販の生成物VYDATE(登録商標)と同等の殺線虫活性を示したので、この化合物で処理された植物の根は、CR1で処理されたものよりもさらに発育しており、このことは、線虫の攻撃にもかかわらず、植物自体は良好な健康状態にあることを示すことが容易に認められる。
【0144】
表6に、すでに栽培している作物に化合物1、2、6、9、71、75、76及びCR1を適用する、トマトに対する植物毒性に関する結果を示す。
【0145】
【表9】
【0146】
これらの結果によって、参照化合物CR1(NIMITZ(登録商標))のラベルにおいて示されるもの、すなわち、すでに栽培している作物にこの生成物を用いることができないことが確認される。
【0147】
逆に、上述の実験データから分かるように、本発明に係る化合物は、処理された植物を損なうことなく、移植の7日前、移植の時点、及びすでに栽培している作物においてなど、栽培のいずれの時点においても使用可能である。
<付記>
<項1>
式(I)を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物。
【化1】

[式中、Hetは、以下から選択される芳香族複素環基又は非芳香族複素環基を表し、所望により置換されていてもよく、
【化2】

Xは、硫黄原子又は酸素原子を表し、
Rは、水素原子、C1〜C4アルキル基、又はフェニルを表し、
nは、1又は2を表し、
mは、1又は2を表す。]
<項2>
所望により置換されていてもよいHetが、以下の基から選択され、
【化3】

複素環Hetの1又は複数の所望により存在する置換基が、ハロゲン;C1〜C6アルキル;C1〜C6ハロアルキル;C3〜C6シクロアルキル;ホルミル;所望により置換されていてもよいアリール;ベンジル;酸素、硫黄、窒素、又は所望により置換されていてもよいN−オキシドから選択され、好ましくは酸素、硫黄若しくは窒素から選択される、少なくとも1つのヘテロ原子を含む、芳香族五原子複素環基又は芳香族六原子複素環基であって、所望によりベンゾ縮合又は複素二環であってもよい複素環基から選択され、
Xが、硫黄原子を表す、
<項1>に記載の化合物。
<項3>
所望により置換されていてもよいHetが、以下の基のうちの1つを表し、
【化4】

前記複素環基の所望により存在する前記置換基がC1〜C6アルキル基であり、
mが2である、
<項1>に記載の化合物。
<項4>
Het、n、及びmが、以下の意味を有する、<項1>に記載の化合物。
【表1】

【表2】

【表3】

<項5>
Het、n、及びmが、以下の意味を有する、<項1>に記載の化合物。
【表4】

<項6>
nが1であり、ラセミ体、異性体的に純粋、又はそれらの混合物である、<項1>〜<項5>のいずれか一項に記載の化合物。
<項7>
線虫の防御のための、式(I)を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物の使用。
【化5】

[式中、Hetは、以下から選択される、芳香族複素環基又は非芳香族複素環基を表し、所望により置換されていてもよく、
【化6】

Xは、硫黄原子又は酸素原子を表し、
Rは、水素原子、C1〜C4アルキル基、又はフェニルを表し、
nは、1又は2を示し、
mは、1又は2を示す。]
<項8>
治療的な及び/又は予防的な、線虫の防御のための、好ましくは、ネグサレセンチュウ属種(Pratylenchus spp)、シストセンチュウ属種(Globodera spp)、ヘテロデラ属種(Heterodera spp)、ネコブセンチュウ属種(Meloidogyne spp)、ハガレセンチュウ属種(Aphelenchoides spp)、バナナネモグリセンチュウ(Radopholus Similis)、ナミクキセンチュウ(Ditylenchus Dipsaci)、ミカンネセンチュウ(Tylenchulus Semipenetrans)、ナガハリセンチュウ属種(Longidorus spp)、オオハリセンチュウ属種(Xiphinema spp)、ユミハリセンチュウ属種(Trichodorus spp)、マツノザイセンチュウ属種(Bursaphelenchus spp)の防御のための、<項2>〜<項6>のいずれか一項に記載の式(I)を有する複素環トリフルオロアルケニル化合物の使用。
<項9>
<項1>〜<項6>の1又は複数の項に記載の式(I)を有する1又は複数の化合物を、溶媒、及び/又は固体、液体、若しくは液化された希釈剤、所望により1又は複数の界面活性剤及びその他の農学的に許容し得る共成分と組み合わせて含む、農学組成物。
<項10>
<項9>に記載の農学組成物であって、式(I)を有する活性化合物の濃度が、前記組成物の総重量に対して、0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲内である、<項9>に記載の農学組成物。
<項11>
式(I)を有する少なくとも1つの化合物と、殺虫剤、殺ダニ剤、式(I)を有するもの以外の殺線虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺菌剤、肥料、及び生物刺激剤から選択される少なくとも1つの第2の活性成分とを含む、<項9>〜<項10>の1又は複数の項に記載の農学組成物。
<項12>
式(I)を有する前記化合物とその他の前記活性成分との重量比が、1:100〜100:1の範囲内、好ましくは1:10〜10:1の範囲内である、<項11>に記載の農学組成物。
<項13>
活性成分の濃度が、農学組成物の総重量に対して、0.5〜90重量%、好ましくは5〜90重量%の範囲内である、<項11>に記載の農学組成物。
<項14>
線虫の防御のための、<項9>〜<項13>の1又は複数の項に記載の農学組成物の使用。
<項15>
前記組成物を、葉を介して作物に適用するか、又は滴下施肥法、地中への取り込み、若しくは種子の手入れによって土壌に適用することによる、<項14>に記載の農学組成物の使用。
<項16>
式(I)を有する少なくとも1つの化合物、及び所望により、それと相溶性のある1又は複数の他の既知の活性成分を含む、有効且つ植物への毒性がない用量の<項9>〜<項13>のいずれか一項に記載の農学組成物を保護すべき植物の任意の部分に適用することを含む、栽培領域内における線虫の防御のための方法。