【実施例1】
【0010】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0011】
図1は、扁平捲回形二次電池の外観斜視図である。
扁平捲回形二次電池100は、電池缶1および蓋(電池蓋)6を備える。電池缶1は、相対的に面積の大きい一対の対向する幅広側面1bと相対的に面積の小さい一対の対向する幅狭側面1cとを有する側面と底面1dを有し、その上方に開口部1aを有する。
電池缶1内には、捲回群3が収納され、電池缶1の開口部1aが電池蓋6によって封止されている。電池蓋6は略矩形平板状であって、電池缶1の上方開口部1aを塞ぐように溶接されて電池缶1が封止されている。電池蓋6には、正極外部端子14と、負極外部端子12が設けられている。正極外部端子14と負極外部端子12を介して捲回群3に充電され、また外部負荷に電力が供給される。電池蓋6には、ガス排出弁10が一体的に設けられ、電池容器内の圧力が上昇すると、ガス排出弁10が開いて内部からガスが排出され、電池容器内の圧力が低減される。これによって、扁平捲回形二次電池100の安全性が確保される。
【0012】
図2は、角形二次電池の分解斜視図である。
扁平捲回形二次電池100の電池缶1は、矩形の底面1dと、底面1dから立ち上がる角筒状の側面1b、1cと、側面1b、1cの上端で上方に向かって開放された開口部1aとを有している。電池缶1内には、絶縁保護フィルム2を介して捲回群3が収容されている。
【0013】
捲回群3は、扁平形状に捲回されているため、断面半円形状の互いに対向する一対の湾曲部と、これら一対の湾曲部の間に連続して形成される平面部とを有している。捲回群3は、捲回軸方向が電池缶1の横幅方向に沿うように、一方の湾曲部側から電池缶1内に挿入され、他方の湾曲部側が上部開口側に配置される。
【0014】
捲回群3の正極電極箔露出部34cは、正極集電板(集電端子)44を介して電池蓋6に設けられた正極外部端子14と電気的に接続されている。また、捲回群3の負極電極箔露出部32cは、負極集電板(集電端子)24を介して電池蓋6に設けられた負極外部端子12と電気的に接続されている。これにより、正極集電板44および負極集電板24を介して捲回群3から外部負荷へ電力が供給され、正極集電板44および負極集電板24を介して捲回群3へ外部発電電力が供給され充電される。
【0015】
正極集電板44と負極集電板24、及び、正極外部端子14と負極外部端子12を、それぞれ電池蓋6から電気的に絶縁するために、ガスケット5および絶縁板7が電池蓋6に設けられている。また、注液口9から電池缶1内に電解液を注入した後、電池蓋6に注液栓11をレーザ溶接により接合して注液口9を封止し、扁平捲回形二次電池100を密閉する。
【0016】
ここで、正極外部端子14および正極集電板44の形成素材としては、例えばアルミニウム合金が挙げられ、負極外部端子12および負極集電板24の形成素材としては、例えば銅合金が挙げられる。また、絶縁板7およびガスケット5の形成素材としては、例えばポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂材が挙げられる。
【0017】
電池蓋6には、電池容器内に電解液を注入するための注液孔9が穿設されており、この注液孔9は、電解液を電池容器内に注入した後に注液栓11によって封止される。ここで、電池容器内に注入される電解液としては、例えばエチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を適用することができる。
【0018】
正極外部端子14、負極外部端子12は、バスバー等に溶接接合される溶接接合部を有している。溶接接合部は、電池蓋6から上方に突出する直方体のブロック形状を有しており、下面が電池蓋6の表面に対向し、上面が所定高さ位置で電池蓋6と平行になる構成を有している。
【0019】
正極接続部14a、負極接続部12aは、正極外部端子14、負極外部端子12の下面からそれぞれ突出して先端が電池蓋6の正極側貫通孔46、負極側貫通孔26に挿入可能な円柱形状を有している。正極接続部14a、負極接続部12aは、電池蓋6を貫通して正極集電板44、負極集電板24の正極集電板基部41、負極集電板基部21よりも電池缶1の内部側に突出しており、先端がかしめられて、正極外部端子14、負極外部端子12と、正極集電板44、負極集電板24を電池蓋6に一体に固定している。正極外部端子14、負極外部端子12と電池蓋6との間には、ガスケット5が介在されており、正極集電板44、負極集電板24と電池蓋6との間には、絶縁板7が介在されている。
【0020】
正極集電板44、負極集電板24は、電池蓋6の下面に対向して配置される矩形板状の正極集電板基部41、負極集電板基部21と、正極集電板基部41、負極集電板基部21の側端で折曲されて、電池缶1の幅広面に沿って底面側に向かって延出し、捲回群3の正極箔露出部34c、負極箔露出部32cに対向して重ね合わされた状態で接続される正極側接続端部42、負極側接続端部22を有している。正極集電板基部41、負極集電板基部21には、正極接続部14a、負極接続部12aが挿通される正極側開口穴43、負極側開口穴23がそれぞれ形成されている。
【0021】
捲回群3の扁平面に沿う方向でかつ捲回群3の捲回軸方向に直交する方向を中心軸方向として前記捲回群3の周囲には絶縁保護フィルム2が巻き付けられている。絶縁保護フィルム2は、例えばPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂製の一枚のシートまたは複数のフィルム部材からなり、捲回群3の扁平面と平行な方向でかつ捲回軸方向に直交する方向を巻き付け中心として巻き付けることができる長さを有している。
【0022】
図3は、電極捲回群の一部を展開した状態を示す分解斜視図である。
捲回群3は、負極電極32と正極電極34を間にセパレータ33、35を介して扁平状に捲回することによって構成されている。捲回群3は、最外周の電極が負極電極32であり、さらにその外側にセパレータ33、35が捲回される。
【0023】
セパレータ33、35は、正極電極34、及び負極電極32の短絡を防止する絶縁機能を有し、かつ非水電解液の保持機能を有している。好ましい例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、及びポリアミド等の樹脂製の多孔質シートが挙げられる。樹脂製の多孔質シートは、単層構成でもよく、また複数層(例えば、PP/PE/PPの三層構成等)であっても良い。
【0024】
更に好ましくはセパレータ33、35の片側もしくは両側に無機材料(例えばアルミナ粒子等)とバインダとで構成される層を有する。これにより、リチウム二次電池が異常な状態で使用された場合(例えば、過充電や圧壊等で二次電池の温度が160℃以上まで上昇した場合)であっても溶融せず絶縁機能を保持することができ、安全性を確保することができる。
【0025】
負極電極32の負極合剤層32bが塗布された部分は、正極電極34の正極合剤層34bが塗布された部分よりも幅方向に大きく、これにより正極合剤層34bが塗布された部分は、必ず負極合剤層32bが塗布された部分に挟まれるように構成されている。正極箔露出部34c、負極箔露出部32cは、平面部分で束ねられて溶接等により接続される。尚、セパレータ33、35は幅方向で負極合剤層32bが塗布された部分よりも広いが、正極箔露出部34c、負極箔露出部32cで端部の金属箔面が露出する位置に捲回されるため、束ねて溶接する場合の支障にはならない。
【0026】
負極電極32に塗布されている負極合剤層32bは、負極活物質と結着剤であるバインダを適切な溶媒(例として水、もしくはN−メチル−2−ピロリドン)に分散、混練して、スラリー状にしたものを塗布している。スラリーを塗布された負極電極32は乾燥することで溶媒を除去した後、プレス機で適切な厚みにして作製することができる。
【0027】
負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、等の炭素材料が挙げられる。黒鉛に関しては、黒鉛表面に非晶質炭素を被覆することで、必要以上に電解液との反応を防ぐ。
【0028】
また、二次電池の放電容量に対する正極放電曲線の末端電位から当該二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差を14%〜26%の範囲にするために、例えば、黒鉛材料に、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックを導電助剤として混合させた材料、及びそれらの導電助剤を黒鉛材料と混合した後に非晶質炭素で被覆し、複合化させた材料、黒鉛に難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、及び金属酸化物(酸化鉄、酸化銅、など)を混合する方法が考えられる。
【0029】
正極電極34は、正極集電体である正極電極箔の両面に正極活物質合剤を有し、正極電極箔の幅方向一方側の端部には、正極活物質合剤を塗布しない正極箔露出部34cが設けられている。
【0030】
正極活物質としては、特に限定されず、リチウム二次電池の正極材料として適用できることが知られている材料を、1種もしくは複数混合した材料を用いることができる。好ましい例として、スピネル系(例えば、LiMn
2O
4など)、層状系(例えば、LiCoO
2、LiNiO
2)、オリビン系(例えば、LiFePO
4など)が挙げられる。また、構成元素として、Li、Ni、Co、及びMnを含む層状系のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi
0.33Co
0.33Mn
0.33O
2)はリチウムイオン脱離量が2/3までは充放電に伴う格子体積の変化がほとんどないことから、耐久性にも優れており、より好ましい例として挙げられる。
【0031】
負極電極32は、負極集電体である負極電極箔の両面に負極活物質合剤を有し、正極電極箔の幅方向他方側の端部には、負極活物質合剤を塗布しない負極箔露出部32cが設けられている。正極箔露出部34cと負極箔露出部32cは、電極箔の金属面が露出した領域であり、捲回軸方向の一方側と他方側の位置に配置されるように捲回される。
また、軸芯としては例えば、正極箔31a、負極箔32a、セパレータ33のいずれよりも曲げ剛性の高い樹脂シートを捲回して構成したものを用いることができる。
【0032】
続いて本発明の特徴となる点の原理について説明する。
図4は、電池電圧、及び正/負極電位と、それぞれの容量との関係を示す説明図である。
【0033】
電池電圧の放電曲線は、一般的に正極電位(vs. Li/Li
+)の放電曲線と負極電位(vs. Li/Li
+)の放電曲線との電位差を示し、
図4はその関係性を示した図である。
【0034】
逆説的に説明すると、電池電圧の放電曲線から正極電位の放電曲線と負極電位の放電曲線を推定することが可能である。
【0035】
正極電位はLi基準電位に対して、4.3V(vs. Li/Li
+)から2.9V(vs. Li/Li
+)まで放電した際の放電曲線を示す。放電電流は電池容量基準で0.02CAである。
【0036】
負極電位はLi基準電位に対して0.01V(vs. Li/Li
+)から1.5V(vs. Li/Li
+)まで放電した際の放電曲線を示す。放電電流は電池容量基準で0.02CAである。
【0037】
正極電位と負極電位の放電曲線を取得した後、電池電圧の4.2Vから2.9Vの0.02CA放電曲線を取得し、電池電圧の放電曲線を正極電位と負極電位の放電曲線でフィッティングすることで
図4のような関係性を得ることができる。
【0038】
図4より、電池電圧が4.2Vから3.0Vまでの電池容量をCap.
a、そして正極電位3.0V(vs. Li/Li
+)と電池電圧3.0Vの容量差をCap.
bとした場合、Cap.
b/Cap.
aの比率を適切な値に制御することで、リチウム二次電池の低SOC領域の抵抗を下げることができる。
【0039】
図5は電池電圧、及びSOC変化率に対する電池電圧変化率(Δ電池電圧/ΔSOC)と、SOCとの関係を示したものである。電池電圧の末端電圧として、3.0VとなるSOCと、そのときのΔ電池電圧/ΔSOCが0.13となった。すなわち、末端電圧はΔ電池電圧/ΔSOCが0.13以上であり、同様に正極電位の末端電位はΔ正極電位/ΔSOCが0.13以上と領域であると定義することができる。
(リチウム二次電池の構成)
まず、正極活物質として、LiNi
0.33Co
0.33Mn
0.33粉末と、導電助剤としてアセチレンブラック、及びグラファイト、バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを90:4:3:3となる重量比率で混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)でスラリー状となるように粘度調整した。正極スラリーを暑さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布して、乾燥、プレスして、正極電極を作製した。
【0040】
続いて、負極活物質として、表1の比較例は球径化、及び非晶質炭素被覆を施した天然黒鉛と、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)と、分散材としてカルボキシメチルセルロース(CMC)とを98:1:1となる比率で混合し、イオン交換水でスラリー状となるように粘度調整した。負極スラリーは厚さ10μmの銅箔の両面に塗布して、乾燥、プレスして負極電極を作製した。
【0041】
また、表1の実施例1〜6の負極活物質は球径化天然黒鉛と、カーボンブラックとを98重量%:2重量%で混合、複合化処理した後、非晶質炭素被覆を施した、カーボンブラック複合化処理天然黒鉛とSBRとCMCとを98:1:1となる重量比率で混合し、イオン交換水でスラリー状となるよう粘度調整した。負極スラリーは厚さ10μmの銅箔の両面に塗布して、乾燥、プレスして負極電極を作製した。
【0042】
続いて、上記作製した正極電極34と、負極電極32との間にセパレータ33,35を挟み、
図1から
図3のような構成で電極捲回郡3を作製し、電池蓋6の集電板と電極捲回郡3の未塗工部を溶接し、絶縁保護フィルム2で電極捲回郡3を覆い、電池缶1に封入し、電池蓋6と電池缶1とを溶接した。
【0043】
続いて非水電解液として、エチレンカーボネー(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)ジメチルカーボネート(DMC)とを30:30:40の体積比率で混合した溶媒に、支持塩としてLiPF
6を1.1mol/Lの濃度で溶解させた電解液を調整した。調整した電解液を注液口9から注液後、注液栓11で封止して、リチウム二次電池を作製した。
【0044】
作製したリチウム二次電池を充放電することで初期化成した後、電池容量と、各SOCにおける直流抵抗(DCR)を測定した。
【0045】
電池容量は、電池電圧が4.2Vとなるまで定電圧−定電流充電(CC−CV充電)を充電電流1CAにて合計2.5時間実施した。そして30分間休止した後、電池電圧2.9Vまで放電電流0.02CAにて定電流放電(CC放電)し、初期容量を得た。
【0046】
SOC−開回路電圧(OCV)の関係は、電池容量を4.2Vから電池容量5%刻みで放電し、2時間休止した後の電圧をOCVとして、SOCとの関係を得た。
【0047】
低SOC領域であるSOC20%のDCRは、SOC−OCVの関係からSOC0%からSOC20%まで充電電流1CにてCC−CV(CC:Constant Current、CV:Constant Voltage)充電した後、CC放電で5CA、10CA、及び15CAで10秒放電し、OCVから10秒間で降下した電圧との差と、電流値とのプロットし、その傾きからDCRを算出した。
【0048】
図6は本発明の実施例1から6及び比較例のCap.
b/Cap.
aの比率、DCR、電池容量の結果を示したものである。
図6の比較例1と実施例1は初期化成後に測定した結果であり、実施例2〜6はSOC80%、65℃環境下で、それぞれ7日、15日、40日、70日、100日間放置した後に電池容量とSOC20%DCRを測定した結果を示す。
【0049】
表1より、Cap.
b/Cap.
aの比率が比較例の12%から実施例1の14%となることでSOC20%DCRが26%低減していることがわかり、更に実施例2の17%まで増加させることで、SOC20%DCRが53%低減(vs.比較例)している。このことからCap.
b/Cap.
aの比率を増加させることで低SOC領域であるSOC20%DCRを低減させることが可能である。
【0050】
さらにCap.
b/Cap.
aの比率を実施例3、及び実施例4と増加させることで、SOC20%DCRを55%(vs.比較例)、及び57%(vs.比較例)と低減させることが可能である。
【0051】
しかしながら実施例5、及び実施例6では、SOC20%DCRは58%(vs.比較例)と低減幅がほぼ飽和傾向であるが、電池容量は低下傾向にあるため、これ以上Cap.
b/Cap.
aの比率を増加させる必要は無い。
【0052】
以上のようなリチウム二次電池の構成とすることで、二次電池容量を損なわずに、二次電池の低SOC領域の内部抵抗を低減することができる。従って、二次電池の使用SOC範囲を広げることができるので、二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0053】
本発明について簡単にまとめる。本発明の二次電池では、二次電池の放電容量に対する正極放電曲線の末端電位から当該二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差が14%〜26%とした。このような構成にすることによって、SOC20%におけるDCRを大きく低減することが出来る。なお、上述したように、二次電池の放電容量に対する正極放電曲線の末端電位から当該二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差が26%よりも大きくなるとDCRの減少は飽和し、電池容量が減少してしまうので好ましくない。
【0054】
また、本発明の二次電池では、二次電池の放電容量に対する正極放電曲線の末端電位から当該二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差が14%〜17%である。このような構成にすることによって、DCRを十分に低減しつつも、電池容量を比較例と比較しても95%以上に保つことができ、Cap.
b/Cap.
aの比率を大きくすることによる容量の減少を最大限に抑制しつつ、出力特性を向上させることが出来る。
【0055】
また、本発明の二次電池では、二次電池の放電容量に対する正極放電曲線の末端電位から当該二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差が17%〜26%である。このような構成にすることによって、比較例と比してDCRを50%以上も低減することができ、電池の出力特性を大幅に向上させることが出来る。
【0056】
また、本発明の二次電池の電池放電曲線と前記正極放電曲線は、放電電流0.02CA以下である。誤差の少ない、十分信頼性に足る電池特性であるため、上記容量差は当該放電電流で測定したものであることが好ましい。
【0057】
また、本発明では上記容量差になるように制御するための一方式として、負極は活物質として導電助剤が担持された黒鉛を用いたり、活物質として黒鉛と非晶質炭素の混合物を用いたり、助剤の担持量を黒鉛に対して2重量%以下としたり、助剤をカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックの少なくともいずれか1種類としたり、様々な方法を取ることが出来る。つまり、
図4で説明した本発明の原理を逸脱しなければ、どのような方法であったとしても、二次電池の放電容量に対する正極放電曲線の末端電位から当該二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差が14%〜26%となれば良い。
【0058】
また、本発明ではCap.
b/Cap.
aの比率に着目したが、電池放電曲線の末端電圧、及び前記正極放電曲線の末端電位に着目しても良い。この場合には、二次電池の充電状態(SOC)の変化率に対して前記電池放電曲線の電圧変化率、及び前記放電曲線の電位変化率が0.13以上であることが好ましい。
【0059】
また、当然のことながら、単純な容量差で見ても良い。その場合には正極放電曲線の末端電位から二次電池の電池放電曲線の末端電圧までの容量差が0.82〜1.28Ahであることが好ましい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。