(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806804
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】電子データをワイヤレスで伝送するための方法、および、システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/00 20180101AFI20201221BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20201221BHJP
H04W 4/02 20180101ALI20201221BHJP
【FI】
H04W76/00
B25F5/00 C
H04W4/02
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-564951(P2018-564951)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公表番号】特表2019-524027(P2019-524027A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(86)【国際出願番号】EP2017063812
(87)【国際公開番号】WO2017215999
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2019年2月8日
(31)【優先権主張番号】102016210765.8
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シャドウ,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュトック,ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】エーゼンヴァイン,フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘツラー,アンナ
【審査官】
吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/106157(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0105923(US,A1)
【文献】
特開2004−230548(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0136829(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0188323(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0024678(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0240125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式工作機械(10)と、該手持ち式工作機械(10)の使用者によって携帯される外部ユニット(12)と、の間で、電子データをワイヤレスで伝送するための方法において、
少なくとも1つの方法ステップ(14)で、前記電子データを伝送するための前記手持ち式工作機械(10)の通信ユニット(18)が、該通信ユニット(18)の加速値および/または位置特性値の変化に依存して自動的に作動し、
少なくとも1つの方法ステップ(16)で、前記電子データを伝送するための前記外部ユニット(12)の通信ユニット(20)が、該通信ユニット(20)の加速値および/または位置特性値の変化に依存して自動的に作動し、
少なくとも1つの方法ステップ(30)で、前記手持ち式工作機械(10)の前記通信ユニット(18)および前記外部ユニット(12)の前記通信ユニット(20)が、該通信ユニット(18,20)間の距離特性値に依存して、互いの通信接続を形成し、
少なくとも1つの方法ステップ(32、34)で、前記手持ち式工作機械(10)の前記通信ユニット(18)および前記外部ユニット(12)の前記通信ユニット(20)が、該手持ち式工作機械(10)の該通信ユニット(18)の運動特性値の時間経過に対する分布と、該外部ユニット(12)の該通信ユニット(20)の運動特性値の時間経過に対する分布と、の整合の評価に依存して、前記通信接続を維持または分離する
ことを特徴とする、電子データをワイヤレスに伝送するための方法。
【請求項2】
少なくとも1つの方法ステップ(22,24)で、前記手持ち式工作機械(10)および/または前記外部ユニット(12)が、前記加速値および/または位置特性値の変化の記録を行う
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの方法ステップ(28)で、前記外部ユニット(12)の前記通信ユニット(20)が、前記手持ち式工作機械(10)の前記通信ユニット(18)に接続問い合わせを送信する
ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの方法ステップ(36,38)で、前記手持ち式工作機械(10)および/または前記外部ユニット(12)が、時間特性値を記憶する
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの方法ステップで、前記手持ち式工作機械(10)の前記通信ユニット(18)および/または前記外部ユニット(12)の前記通信ユニット(20)が、前記通信接続のステータスに依存して、追加的な電子データを少なくとも1つの追加的な接続相手に伝送する
ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの方法ステップ(40,42)で、前記手持ち式工作機械(10)の前記通信ユニット(18)および/または前記外部ユニット(12)の前記通信ユニット(20)が、前記加速値および/または位置特性値の変化に少なくとも依存して作動停止する
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
システムであって、
前記手持ち式工作機械(10)および前記外部ユニット(12)が、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法に従って自動的に運転される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特に手持ち式工作機械と外部ユニットとの間で電子データを特にワイヤレスに伝送するための、例えばブルートゥース
(登録商標)法等の方法は既に公知である。公知の方法では、2つの接続相手間での通信接続を可能にするために、通信ユニットが作業員によってアクティブに作動可能である。また、ブルートゥース
(登録商標)法では、2つの接続相手間で電子データを伝送するための接続が正しいことを証明するために、第1の接続形成の途中で作業員によってコードをアクティブにインプットすることができる。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、特に手持ち式工作機械と外部ユニットとの間で電子データを特にワイヤレスに伝送するための方法、特に手持ち式工作機械法に関する。
【0003】
少なくとも1つの方法ステップで、通信ユニットの運動特性値に依存して電子データを伝送するための通信ユニットを自動的に作動させることが提案される。「通信ユニットの運動特性値に依存して電子データを伝送するための通信ユニットを自動的に作動させる」とは、特に、通信ユニットがこの通信ユニットの運動特性値に依存して、特に例えば操作部材等の操作によって作業員によって惹起された手動の作動とは別に、少なくともスタンバイ運転から作動運転へ自動的に移行せしめられる、特に切り替えられると解釈されてよい。好適には、通信ユニットはこの通信ユニットの加速値に依存して、および/または通信ユニットの局所的および/または大域的な位置特性値の変化に依存して自動的に作動せしめられる、特にスタンバイ運転から作動運転へ移行、特に切り替えられる。好適な形式で、通信ユニットは、特に作業員による操作部材の操作による手動の作動とは無関係に、通信ユニットの運動によって特に空間内の運動によって、スタンバイ運転からアクティブな通信運転に自動的に切り替えられる。好適には、この方法は、最初の接続開始時に、特に最初のペアリング時に、少なくとも2つの接続相手によって実行される。しかしながらこの方法は、特に、既に過去において少なくとも2つの接続相手間の接続が存在したかどうかとは無関係に、選択的または追加的に、少なくとも2つの接続相手の接続開始時に常に実行されることも考えられる。好適には、少なくとも1つの方法ステップで、少なくとも2つの接続相手間の接続の実現によって電子リストが作成され、この電子リスト内で、例えばIPアドレス、MACアドレス等の記憶によって、各接続相手に専用の識別が割り当てられる。
【0004】
好適な形式で、手持ち式工作機械と外部ユニットとの間で電子データをワイヤレスに伝送するための方法が設けられている。「ワイヤレスに伝送する」の表現は特に、電子データが、特に接続相手間の物理的な接続から解除された、好適には非物質的な情報担体、例えば音波、光波および/または好適には無線波を介して伝送されることであると解釈されてよい。好適には、通信ユニットは、WLAN通信ユニットとして、ブルートゥース
(登録商標)通信ユニットとして、無線通信ユニットとして、RFID通信ユニットとして、NFCユニットとして、赤外線通信ユニットとして、移動無線網通信ユニットとして、Zigbee(ジグビー)通信ユニット等として構成されている。選択的に、電子データを外部ユニットに有線式におよび/またはワイヤレスで伝送するための通信ユニットが設けられていることも考えられる。特に好適には、電子データを外部ユニットにワイヤレスに伝送するための、および電子データを単数または複数の機械内部の電子回路ユニットに有線式に伝送するための通信ユニットが設けられている。当業者にとって有意義であるとみなされる、通信ユニットのその他の形態も同様に考えられる。
【0005】
外部ユニットは、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ネットブック、タブレット、会社中央コンピュータ、時計、電子アームバンド、出力ユニット、例えばスピーカ、作業着、保護メガネ、安全ヘルメットまたはその他の、当業者にとって有意義であるとみなされる外部ユニットとして構成されていてよい。スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ネットブックまたはタブレットとしての形態では、好適な形式で、通信ユニットと通信するためのApp(アプリケーションソフトウエア)が設けられている。しかしながら、外部ユニットは、持ち運び可能な外部の操作ユニットとして、作業員の作業場に定置に設置された操作ユニットとして、例えば会社規定/安全規定に基づいて中央からコントロールされ得る、室内に定置に設置された、配備場所の同期化ユニットとして、身体特性値監視ユニットとしてまたは、当業者にとって有意義であるとみなされる、その他の中央のまたは分散した操作ユニット、入力ステーションおよび/または中央のまたは分散した端末として構成されていることも考えられる。
【0006】
本発明の実施形態によって、好適な形式で少なくとも2つの接続相手間で電子データを伝送するための快適な方法が実現され得る。しかも、好適な形式で、本発明の実施形態によって、より高い操作快適性が実現され得る。何故ならば、通信ユニットを作動させるための操作部材の手動操作を省くことができるからである。好適には、特にデータ整合のために、作業員監視のために、作業時間把握等のために、2つの接続相手間、特に手持ち式工作機械と外部ユニットとの間の接続が確実に形成されることが保証され得る。
【0007】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、運動特性値、特に通信ユニットの運動特性値の記録が行われることが、提案される。好適な形式で、運動特性値は、運動距離、加速値、大域的および/または定置の位置特性値等として記憶装置に記憶される。好適には、記憶された運動特性値は、評価、整合、妥当性整合等のために使用可能であり、電子回路ユニット、特に手持ち式工作機械の電子回路ユニットおよび/または外部ユニットによって処理可能である。特に、記録された運動特性値は、耐用期間、作業時間またはその他の、当業者にとって有意義であるとみなされる評価特性値を考慮して評価するために、電子回路ユニットによって処理可能である。好適には、記憶された運動特性値は、通信ユニットによって、外部ユニット、例えばクラウド、会社中央、スマートフォン等に伝送可能である。本発明の実施形態によって、好適な形式で、例えば現在地検出のために、運動特性値分布を生ぜしめるため等に利用可能な運動特性値、特に通信ユニットの運動特性値の記録が実現され得る。
【0008】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、特に通信ユニットの作動後に、時間間隔、特に運動特性値が検出される時間間隔に依存して、接続問い合わせが通信ユニットにより特にワイヤレスに送信されることが提案される。例えば1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で通信ユニットの運動特性値が検出されると、特に通信ユニットの近傍に存在する少なくとも1つの接続相手との接続を形成するために、通信ユニットによって接続問い合わせが送信される。本発明の実施形態によって、好適な形式で、通信ユニットの小さい振動による接続問い合わせの送信は十分に避けることができる。好適な形式で、エネルギ効率的に自動的に実行される方法が実現され得る。
【0009】
また、少なくとも1つの方法ステップで、少なくとも1つの距離特性値に少なくとも依存して、接続相手の選択が行われることが提案される。距離特性値は、信号減衰として、間隔またはその他の当業者にとって有意義であるとみなされる特性値として形成されてよい。好適な形式で、接続相手の選択は、その他の可能な接続相手のその他の距離特性値の値と比較して最小の値を有する距離特性値に依存して行われる。例えば、接続問い合わせが、通信ユニットに対して相対的な、別の可能な接続相手と比較して最小の間隔および/または最小の信号減衰を有する、複数の可能な接続相手のうちの1つの接続相手に送信されることが考えられる。本発明の実施形態によって、好適な形式で、接続問い合わせを隣の接続相手に確実に送信することができる。
【0010】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、特に少なくとも2つの接続相手間の接続形成後に運動特性値分布の整合を行うことが提案される。「運動特性値分布」とは、検出された運動特性値の、特に時間の経過に伴う分布であると解釈されてよい。好適な形式で、運動特性値分布の整合によって、特に少なくとも2つの接続相手の接続後に、少なくとも2つの接続相手の概ね同期的な運動が行われているかどうか、接続相手の現在地と十分に合致しているかどうか等が確認され得る。本発明の実施形態によって、接続相手間の正確な割り当ての検査が単純に可能である。好適には、接続相手の確実な割り当てが得られる。
【0011】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、運動特性値分布の整合の評価に依存して、通信接続の維持または通信接続の分離が行われることが提案される。例えば、運動特性値分布の整合によって運動特性値が互いに著しく異なっていることが検知されると、例えば新たな接続問い合わせを、特にその運動特性値分布の少なくとも大部分が通信ユニットの運動特性値分布と一致している接続相手に送信するために、接続相手間の接続が自動的に分離され得る。本発明の実施形態によって、好適には、2つの接続相手間の接続の自動的な分離または維持が、接続相手の共通の運動に依存して得られる。
【0012】
また、少なくとも1つの方法ステップで、少なくとも1つの時間特性値の整合が行われることが提案される。時間特性値は、作業時間、時刻、耐用時間、運転時間等として構成されていてよく、これらの特性値は、自動的に検出され、特に運動特性値と共に記憶される。例えば、通信ユニットの運転時間は通信ユニットの作動を前提として検出され、接続相手の運転時間と整合させられる、等が考えられる。本発明の実施形態によって、好適には、接続相手を、時間特性値に依存して、特に共通の運転時間または耐用時間に依存して割り当てることが可能である。好適には、作業時間検出のために用いることができる冗長的な時間検出が可能である。
【0013】
さらに、少なくとも1つの接続相手と少なくとも1つの別の接続相手との間の通信接続のステータスに依存して、電子データを少なくとも1つの追加的な接続相手に伝送することが提案される。例えば、手持ち式工作機械と外部ユニットとの間の接続時に、追加的なデータが会社中央からまたは会社中央に伝送され得る。指令、作業時間、エミッション限度等に関する情報が、手持ち式工作機械および/または外部ユニットに伝送され、および/または会社中央により評価され得る。本発明の実施形態によって、好適には、確実なデータ更新および/またはデータ保全が可能である。好適には、接続相手と別の接続相手との間の接続中に伝送される電子データの評価が可能である。
【0014】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、運動特性値の検出が行われない時間間隔に少なくとも依存して、通信ユニットの作動停止を行うことが提案される。例えば1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で運動特性値が検出されないと、通信ユニットは作動停止され、特にスタンバイ運転に切り替えられる。本発明の実施形態によって、好適にはエネルギの節約された実施形態が実現され得る。
【0015】
さらに、装置、特に手持ち式工作機械装置であって、少なくとも1つの通信ユニットと少なくとも1つの作動ユニットとを有しており、この作動ユニットは、通信ユニットの少なくとも1つの運動特性値に依存して、通信ユニットを、特に本発明の方法に従って自動的に作動させるために設けられている、手持ち式工作機械装置が提案される。「設けられた」とは、特に特別にプログラミングされた、設計されたおよび/または搭載されたと解釈されてよい。対象物に所定の機能が設けられているとは、特に、対象物がその所定の機能を少なくとも1つの使用状態および/または運転状態において満たすおよび/または実行すると解釈されてよい。この装置は、手持ち式工作機械に組み込まれているか、または例えば使用者が身体に携帯可能である外部ユニットとして構成されていてよい。本発明の実施形態によって、好適には、少なくとも2つの接続相手間の、特に手持ち式工作機械と外部ユニットとの間の自動的な通信が得られる。
【0016】
この場合、本発明による方法および/または本発明による装置は、上記使用および実施例に限定されるものではない。特に、本発明による方法および/または本発明による装置は、ここに記載された機能形式を満たすために、個別の要素、構成部分およびユニット並びに方法ステップの、ここに挙げられた数とは異なる数を有していてよい。また、この開示に記載された値域において、前記限界内にある値も、開示されたものおよび任意に使用可能なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】電子データを伝送するための本発明による装置の概略図である。
【
図2】手持ち式工作機械における本発明による方法の方法プロセスを示す概略図である。
【
図3】電子データを交換するために手持ち式工作機械と通信する外部ユニットにおける、本発明による方法の方法プロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
その他の利点は以下の図面の説明に記載されている。図面には本発明の一実施例が示されている。図面、明細書および請求項は、多くの特徴の組み合わせを含んでいる。当業者は、これらの特徴を、好適な形式で個別のものとみなすことも、また有意義な別の組み合わせにまとめることもできる。
【0019】
図1は、電子データを交換するために互いに通信する、特に互いにワイヤレスで通信する、手持ち式工作機械10と外部ユニット12を示す。手持ち式工作機械10は、
図1に示された実施例ではアングルグラインダーとして構成されている。しかしながら、手持ち式工作機械10は、当業者にとって有意義であるとみなされる別の形態、例えば穿孔機、コードレススクリュードライバ、丸鋸、ハンマドリル、引き回し鋸、電動かんな等の形態を有していることも考えられる。手持ち式工作機械10は、当業者にとって少なくとも概ね公知の形態を有している。手持ち式工作機械10は少なくとも1つの装置50を有していて、この装置50は、電子データを伝送するために設けられた少なくとも1つの通信ユニット18を有している。手持ち式工作機械10の通信ユニット18は、ワイヤレスの通信ユニットとして構成されている。しかしながら、手持ち式工作機械10の通信ユニット18は選択的にまたは追加的に有線式の通信ユニットとして構成されていることも考えられる。手持ち式工作機械10の装置50は、手持ち式工作機械装置として構成されている。好適な形式で、手持ち式工作機械10の装置50は、手持ち式工作機械10内に組み込まれている。しかしながら、手持ち式工作機械10の装置50は、手持ち式工作機械10に取り外し可能に配置可能であることも考えられる。手持ち式工作機械10の装置50は、手持ち式工作機械10の少なくとも通信ユニット18および少なくとも作動ユニット46を有しており、この作動ユニット46は、手持ち式工作機械10の通信ユニット18を、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の少なくとも1つの運動特性値に依存して自動的に作動させるために設けられている。
【0020】
外部ユニット12は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ネットブック、タブレット、会社中央コンピュータ、時計、電子アームバンド、出力ユニット、例えばスピーカ、作業着、保護メガネ、安全ヘルメットまたはその他の、当業者にとって有意義であるとみなされる外部ユニットとして構成されていてよい。
図1に示された実施例では、外部ユニット12は電子アームバンドとして構成されている。外部ユニット12は少なくとも1つの装置52を有しており、この装置52は、電子データを伝送するために設けられた少なくとも1つの通信ユニット20を有している。外部ユニット12の通信ユニット20はワイヤレスの通信ユニットとして構成されている。しかしながら、外部ユニット12の通信ユニット20が選択的にまたは追加的に有線式の通信ユニットとして構成されていることも考えられる。外部ユニット12の装置52は、外部ユニット12の少なくとも通信ユニット20および少なくとも1つの作動ユニット48を有しており、この作動ユニット48は、外部ユニット12の通信ユニット20を、この外部ユニット12の通信ユニット20の少なくとも1つの運動特性値に依存して自動的に作動させるように設けられている。
【0021】
手持ち式工作機械10および外部ユニット12は、手持ち式工作機械10の通信ユニット18および外部ユニット12の通信ユニット20によって、電子データを伝送するためにデータ技術的に互いに接続されている。手持ち式工作機械10と外部ユニット12とは接続相手である。電子データを交換するために、手持ち式工作機械10は、手持ち式工作機械10の通信ユニット18によって、追加的な接続相手54、例えばクラウド、会社中央等にデータ技術的に接続されていてよい。電子データを交換するために、外部ユニット12は、外部ユニット12の通信ユニット20によってデータ技術的に追加的な接続相手54に接続されていてよい。
【0022】
図2は、手持ち式工作機械10と、手持ち式工作機械10の外部ユニット12との間で電子データを伝送するための方法の方法プロセスを示す。手持ち式工作機械10と外部ユニット12との間で電子データを特にワイヤレスで伝送するための方法は、少なくとも1つの方法ステップ14を有しており、この方法ステップ14で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18は、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運動特性値に依存して電子データを伝送するために自動的に作動される。手持ち式工作機械10は、特に運動センサユニット56を有しており、この運動センサユニット56は、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の少なくとも運動特性値を検出するために設けられている(
図1)。手持ち式工作機械10の運動センサユニット56は、特に手持ち式工作機械10の通信ユニット18の加速値および/または手持ち式工作機械10の通信ユニット18の局所的および/または大域的な位置特性値を検出するために設けられている。手持ち式工作機械10の運動センサユニット56は、特に手持ち式工作機械10の装置50の作動ユニット46とデータ技術的に接続されている。手持ち式工作機械10の通信ユニット18は、少なくとも1つの方法ステップ14で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の加速値に依存しておよび/または手持ち式工作機械10の通信ユニット18の局所的および/または大域的な位置特性値の変化に依存して自動的に作動せしめられ、特にスタンバイ運転から作動運転に移行、特に切り替えられる。
【0023】
少なくとも1つの方法ステップ22で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運動特性値の記録が行われる。手持ち式工作機械10の装置50は記憶装置(ここに詳しく図示されていない)を有しており、この記憶装置に、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の少なくとも運動特性値が記憶可能である。特に手持ち式工作機械10の通信ユニット18の作動後に、少なくとも1つの方法ステップ26で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運動特性値の存在が、時間間隔に依存して検査される。例えば1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運動特性値が検出されると、手持ち式工作機械10の通信ユニット18は作動運転のまま維持される。例えば、1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運動特性値が検出されないと、手持ち式工作機械10の通信ユニット18はスタンバイ運転に移行される。少なくとも1つの方法ステップ58で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の検出された運転特性値に、時間特性値が割り当てられかつ記憶される。好適には、手持ち式工作機械10の通信ユニット18が、いつどのくらい遠くにおよび/またはどこに向かって移動せしめられたかが記録され得る。手持ち式工作機械10の通信ユニット18の検出された運動特性値は、少なくとも1つの方法ステップ60で、特に運動の存在を監視するための監視パラメータとして利用され得る。
【0024】
少なくとも1つの方法ステップ62で、特に外部ユニット12の通信ユニット20の接続の問い合わせの存在が検査される。接続の問い合わせが存在せず、特に1秒より長い時間間隔内で運動が検出されないと、手持ち式工作機械10の通信ユニット18は少なくとも1つの方法ステップ64で、作動運転からスタンバイ運転に移行される。
【0025】
図3は、手持ち式工作機械10と
手持ち式工作機械10における外部ユニット12との間で電子データを伝送するための方法の方法プロセスを示す。手持ち式工作機械10と外部ユニット12との間で電子データを特にワイヤレスで伝送するための方法は、少なくとも1つの方法ステップ16を有しており、この方法ステップ16で、外部ユニット12の通信ユニット20は、外部ユニット12の通信ユニット20の運動特性値に依存して電子データを伝送するために自動的に作動せしめられる。外部ユニット12は特に運動センサユニット66を有しており、この運動センサユニット66は、外部ユニット12の通信ユニット20の少なくとも運動特性値を検出するために設けられている(
図1)。外部ユニット12の運動センサユニット66は、特に、外部ユニット12の通信ユニット20の加速値および/または外部ユニット12の通信ユニット20の局所的および/または大域的な位置特性値を検出するために設けられている。外部ユニット12の運動センサユニット66は、外部ユニット12の装置52の作動ユニット48に特にデータ技術的に接続されている。外部ユニット12の通信ユニット20は、少なくとも1つの方法ステップ14で、外部ユニット12の通信ユニット20の加速値に依存して、および/または外部ユニット12の通信ユニット20の局所的および/または大域的な位置特性値の変化に依存して自動的に作動され、特にスタンバイ運転から作動運転に移行せしめられ、特に切り替えられる。
【0026】
少なくとも1つの方法ステップ24で、外部ユニット12の通信ユニット20の運動特性値の記録が行われる。外部ユニット12の装置52は記憶装置(ここに詳しく図示されていない)を有しており、この記憶装置に、外部ユニット12の通信ユニット20の少なくとも運動特性値が記憶可能である。
【0027】
特に手持ち式工作機械10の通信ユニット18の作動後に、少なくとも1つの方法ステップ68で、外部ユニット12の通信ユニット20の運動特性値の存在が時間間隔に依存して検査される。例えば1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で、外部ユニット12の通信ユニット20の運動特性値が検出されると、外部ユニット12の通信ユニット20は作動運転のまま維持される。例えば1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で、外部ユニット12の通信ユニット20の運動特性値が検出されないと、外部ユニット12の通信ユニット20はスタンバイ運転に移行される。少なくとも1つの方法ステップ70で、外部ユニット12の通信ユニット20の検出された運動特性値に時間特性値が割り当てられ、かつ記憶される。好適には、外部ユニット12の通信ユニット20が、いつ、どのくらい遠くにおよび/またはどこへ移動せしめられたかが、記録され得る。特に外部ユニット12の通信ユニット20の作動後に、少なくとも1つの方法ステップ28で特に自動的に、時間間隔、特に運動特性値が検出される時間間隔に依存して、外部ユニット12の通信ユニット20により特にワイヤレスで、接続問い合わせが、特に手持ち式工作機械10の通信ユニット18に送信される。
【0028】
少なくとも1つの方法ステップ30で、少なくとも1つの距離特性値に少なくとも依存して、特に手持ち式工作機械10の接続相手の選択が行われる。好適な形式で、外部ユニット12の通信ユニット20に対して相対的に最短の間隔および/または最小の信号減衰を有する接続相手が選択される。少なくとも1つの方法ステップ72で、接続相手に、特に外部ユニット12の装置52の記憶装置に記憶される識別値、例えばn+1が割り当てられる。好適には、新たな接続形成時に専用の割当てが行われる。
【0029】
少なくとも1つの方法ステップ32で、運動特性値分布、特に手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運動特性値分布と、外部ユニット12の通信ユニット20の運動特性値分布との整合が行われる。少なくとも1つの方法ステップ34で、運動特性値分布の整合の評価に依存して、通信接続の維持または通信接続の分離が行われる。例えば運動特性値分布の整合を用いて、運動特性値分布が互いに著しく異なっていることが検知されると、例えば別の可能な接続相手に新たな接続問い合わせを送信するために、接続相手間の接続が自動的に分離されてよい。運動特性値分布の整合を用いて、運動特性値分布のオーバーラップが大きいことが検知されると、少なくとも1つの方法ステップ74で、接続問い合わせ、特にペアリング問い合わせが、接続相手、特に手持ち式工作機械10の通信ユニット18に送信され、特に接続相手間の接続、特に手持ち式工作機械10と外部ユニット12との間の接続が形成される。
【0030】
少なくとも1つの方法ステップ36,38で、少なくとも1つの時間特性値の整合が行われる。時間特性値は、作業時間、時刻、耐用時間、運転時間等として構成されていてよく、これらの時間特性値は、自動的に検出され、特に運動特性値と共に記憶される。例えば、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の運転時間は、手持ち式工作機械10の通信ユニット18の作動を前提として検出され、外部ユニット12の通信ユニット20の運転時間に合わせられる、等が考えられる。時間特性値、特に耐用時間、運転時間等が超過されると、作業員または会社中央へのアウトプットが行われる。時間特性値の限界値、作業員固有の特性値の限界値、環境特性値等の限界値の超過に依存して、外部ユニット12によって、運転を中断し、出力を低下させ、補助機能(保護機能および/または快適性機能)を作動させる等の操作命令が手持ち式工作機械10に送信可能であることも考えられる。特に、少なくとも1つの接続相手、特に手持ち式工作機械10と少なくとも1つの別の接続相手、特に外部ユニット12との間の通信接続のステータスに依存して、少なくとも1つの追加的な接続相手、特に会社中央への電子データ伝送が行われる。
【0031】
少なくとも1つの方法ステップ40,42で、手持ち式工作機械10の通信ユニット18および/または外部ユニット12の通信ユニット20の作動停止が、少なくとも、運動特性値の検出が行われない時間間隔に依存して行われる。例えば1秒より長い、好適には2秒より長い、特に好適には10秒より長い時間間隔内で運動特性値が検出されないと、手持ち式工作機械10の通信ユニット18および/または外部ユニット12の通信ユニット20が作動停止され、特にスタンバイ運転に切り替えられる。
【0032】
この方法は、当業者にとって方法を実行するために有意義であるとみなされる、例えば異なる運動特性値分布を有する接続相手がデジタル式のマーキングを受信する少なくとも1つの方法ステップ、および/または例えば運動特性値分布が合致しない、複数回実行された整合に依存して、自動的な作動停止または接続の分離を行う等の少なくとも1つの方法ステップの、選択的または追加的な方法ステップを有することが考えられる。
【符号の説明】
【0033】
10 手持ち式工作機械
12 外部ユニット
14,16 方法ステップ
18,20 通信ユニット
22,24,26,28,30,32,34,36,38,40,42 方法ステップ
46,48 作動ユニット
50,52 装置
54 接続相手
56,66 運動センサユニット
70,72 方法ステップ