特許第6806833号(P6806833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806833二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806833
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20201221BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20201221BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20201221BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20201221BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20201221BHJP
【FI】
   B01D53/62ZAB
   B01D53/78
   B01D53/14 220
   B01D53/18
   C01B32/50
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-83286(P2019-83286)
(22)【出願日】2019年4月24日
(62)【分割の表示】特願2015-106408(P2015-106408)の分割
【原出願日】2015年5月26日
(65)【公開番号】特開2019-130531(P2019-130531A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】宇田津 満
(72)【発明者】
【氏名】程塚 正敏
(72)【発明者】
【氏名】北村 英夫
(72)【発明者】
【氏名】岩浅 清彦
(72)【発明者】
【氏名】長野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】千葉 典子
(72)【発明者】
【氏名】半田 優介
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 聡
【審査官】 青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−202054(JP,A)
【文献】 特開2013−059726(JP,A)
【文献】 特開2012−223681(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/008914(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14−53/18
B01D 53/34−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
C01B 21/00−32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を、水分を含有する吸収液に吸収させる吸収部を有する吸収塔と、
前記吸収塔から供給される前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる再生部を有する再生塔と、
前記吸収塔の前記吸収部から排出された吸収部排ガスまたは前記再生塔の前記再生部から排出された再生部排ガスを洗浄水で洗浄する洗浄部と、
前記洗浄部で前記再生部排ガスを洗浄した前記洗浄水を貯留する洗浄水貯留部と、
前記洗浄部から排出された洗浄部排ガスを冷却して凝縮水を生成し、生成された前記凝縮水を前記洗浄部排ガスから分離する気液分離装置と、
前記凝縮水を前記洗浄水に混入させる凝縮水ラインと、
前記洗浄水貯留部に貯留された前記洗浄水の水量を計測する洗浄水量計と、
前記洗浄水の水量が所定量よりも多くなった場合に前記洗浄水を前記吸収液に混入させる洗浄水ラインと、
前記吸収塔内または前記再生塔内の前記吸収液の液面レベルを計測する吸収液レベル計と、
制御装置と、を備え、
前記凝縮水ラインは、前記凝縮水の混入量を調節する凝縮水弁を含み、
前記制御装置は、前記吸収液レベル計により計測された前記吸収液の液面レベルが所定の下限値以下である場合、前記凝縮水弁の開度を大きくし、前記吸収液の液面レベルが所定の上限値以上である場合、前記凝縮水弁の開度を小さくする、ように前記凝縮水弁を制御することを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記洗浄水ラインは、前記洗浄水の混入量を調節する洗浄水弁を含み、
前記制御装置は、前記洗浄水量計により計測された前記洗浄水の水量が所定量よりも多い場合、前記洗浄水弁を開き、前記洗浄水の水量が所定量よりも少ない場合、前記洗浄水弁を閉じる、ように前記洗浄水弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記洗浄水に純水を混入させる純水ラインを更に備え、
前記純水ラインは、前記純水の混入量を調節する純水弁を含み、
前記制御装置は、前記吸収液レベル計により計測された前記吸収液の液面レベルが所定の下限値以下である場合、前記純水弁を開く、ように前記純水弁を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記気液分離装置から前記凝縮水を廃棄する廃棄ラインを更に備え、
前記廃棄ラインは、前記凝縮水の廃棄量を調節する廃棄弁を含み、
前記制御装置は、前記吸収液レベル計により計測された前記吸収液の液面レベルが所定の下限値以下である場合、前記廃棄弁の開度を小さくする、ように前記廃棄弁を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記洗浄部は、前記再生塔とは別体の洗浄塔内に設けられて、前記再生部排ガスを前記洗浄水で洗浄するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記洗浄部は、前記再生塔内において前記再生部の上方に設けられて、前記再生部排ガスを前記洗浄水で洗浄するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記洗浄部と前記気液分離装置との間に設けられ、前記洗浄部排ガスを第2の洗浄水で洗浄する第2の洗浄部を更に備え、
前記第2の洗浄水は、酸性溶液であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記気液分離装置は、前記洗浄部排ガスを冷却して凝縮水を生成する凝縮用冷却器と、前記凝縮用冷却器へ供給されて前記洗浄部排ガスを冷却する冷却液の供給量を調節する冷却液弁と、生成された前記凝縮水を前記洗浄部排ガスから分離する気液分離器と、前記気液分離器内の前記凝縮水の水量を計測する凝縮水量計と、を有し、
前記制御装置は、前記凝縮水量計により計測された前記凝縮水の水量が所定量よりも多い場合に前記冷却液弁の開度を小さくし、前記凝縮水の水量が所定量よりも少ない場合に前記冷却液弁の開度を大きくする、ように前記冷却液弁を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記気液分離装置は、前記洗浄部排ガスを冷却して凝縮水を生成し、生成された前記凝縮水を前記洗浄部排ガスから分離させて流下させる気液接触部と、前記気液接触部において流下した前記凝縮水を前記気液接触部に供給して前記凝縮水を循環させる循環ラインと、前記循環ラインに設けられ、前記凝縮水を冷却する凝縮用冷却器と、を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記気液分離装置は、前記洗浄部排ガスを冷却して凝縮水を生成し、生成された前記凝縮水を前記洗浄部排ガスから分離させて流下させる気液接触部と、前記気液接触部において流下した前記凝縮水を前記気液接触部に供給して前記凝縮水を循環させる循環ラインと、前記循環ラインに設けられ、前記凝縮水を冷却する凝縮用冷却器と、を有し
前記洗浄部は、前記再生塔内において前記再生部の上方に設けられて、前記再生部排ガスを前記洗浄水で洗浄するように構成されており、
前記気液分離装置の前記気液接触部は、前記再生塔内において前記洗浄部の上方に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を、水分を含有する吸収液に吸収させる吸収部を有する吸収塔と、前記吸収塔から供給される前記二酸化炭素を吸収した前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる再生部を有する再生塔と、を備えた二酸化炭素回収システムにおいて二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムの運転方法であって、
前記吸収塔の前記吸収部から排出された吸収部排ガスまたは前記再生塔の前記再生部から排出された再生部排ガスを、洗浄部において洗浄水で洗浄する工程と、
前記洗浄部から排出された洗浄部排ガスを冷却して凝縮水を生成し、生成された前記凝縮水を前記洗浄部排ガスから分離する工程と、
前記吸収塔内のまたは前記再生塔内の前記吸収液の液面レベルを計測する工程と、
前記洗浄部排ガスから分離された前記凝縮水を前記洗浄水に混入させる工程と、
前記洗浄部で前記再生部排ガスを洗浄して洗浄水貯留部に貯留された前記洗浄水の水量を計測する工程と、
前記洗浄水の水量が所定量よりも多くなった場合に前記洗浄水を前記吸収液に混入させる工程と、を備え、
前記凝縮水を前記洗浄水に混入させる工程において、計測された前記吸収液の液面レベルが所定の下限値以下である場合、前記凝縮水の混入量を増大させ、前記吸収液の液面レベルが所定の上限値以上である場合、前記凝縮水の混入量を低減させることを特徴とする二酸化炭素回収システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題に対する有効な対策として、二酸化炭素(CO)を回収して貯留する二酸化炭素回収貯留技術(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)が注目されている。具体的には、火力発電所や製鉄所、清掃工場等で排出されるプロセス排ガス(処理対象ガス)中の二酸化炭素を、吸収液により回収する二酸化炭素回収システムが検討されている。
【0003】
このような二酸化炭素回収システムでは、プロセス排ガスが吸収塔に供給されて、吸収塔の吸収部においてプロセス排ガスに含有されている二酸化炭素が、アミンおよび水分を含有する吸収液に吸収される。この際、吸収塔からは、二酸化炭素を放出したプロセス排ガスが吸収部排ガスとして排出される。二酸化炭素を吸収した吸収液は再生塔に供給されて、再生塔の再生部において吸収液から二酸化炭素が放出される。この際、再生塔からは、放出された二酸化炭素が蒸気とともに再生部排ガスとして排出されて、二酸化炭素が分離回収される。再生塔において二酸化炭素を放出した吸収液は、吸収塔に戻される。
【0004】
ところで、吸収部排ガスや再生部排ガスには、吸収液の成分であるアミンが含有され得る。そこで、吸収部排ガスや再生部排ガスに含有されるアミンを低減させるための対策として、これらのガスを冷却したり水洗浄したりすることが考えられている。
【0005】
吸収部排ガスや再生部排ガスを冷却すると、当該排ガスに含有されている水分が凝縮されて凝縮水が生成される。当該排ガスに含有していたアミンは凝縮水に吸収される。また、吸収部排ガスや再生部排ガスを水洗浄すると、当該排ガスに含有していたアミンが洗浄水に吸収される。このように、何れの対策においても、吸収部排ガスや再生部排ガスに含有されるアミンの含有量を低減することが可能となる。
【0006】
一方、アミンを吸収した凝縮水や洗浄水は、吸収塔と再生塔とを循環する吸収液に混入される。このことにより、吸収部排ガスや再生部排ガスに含有されていたアミンが回収され、二酸化炭素回収システムから外部(系統外)にアミンが排出されて喪失されること(アミンロス)が低減可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−223681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に、二酸化炭素回収システムの運転時においては、吸収塔と再生塔を循環する吸収液の水分量は、所定の範囲内に収められている。吸収液の水分量を所定の上限値よりも低くすることにより、吸収液成分の濃度を高めて二酸化炭素の回収率の向上を図っている。一方、吸収液成分の濃度が高くなると、吸収部排ガスや再生部排ガスに含有されるアミンが増大し得る。このため、吸収液の水分量を所定の下限値よりも高くすることにより、アミンロスの低減を図っている。
【0009】
このため、水分量が多い吸収液に、上述したアミンを吸収した凝縮水や洗浄水を吸収液に混入させる場合、吸収液の水分量が増大し得る。この場合、吸収液の水分量を上述した所定の範囲内に収めることが困難になるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、吸収液成分のロスを低減するとともに吸収液の水分量を適切に管理することができる二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施の形態による二酸化炭素回収システムは、処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を、水分を含有する吸収液に吸収させる吸収部を有する吸収塔と、吸収塔から供給される二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出させる再生部を有する再生塔と、を備えている。また、この二酸化炭素回収システムは、吸収塔の吸収部から排出された吸収部排ガスまたは再生塔の再生部から排出された再生部排ガスを洗浄水で洗浄する洗浄部と、洗浄部から排出された洗浄部排ガスを冷却して凝縮水を生成し、生成された凝縮水を洗浄部排ガスから分離する気液分離装置と、を備えている。凝縮水は、凝縮水ラインによって洗浄水に混入される。洗浄水の水量が所定量よりも多くなった場合、洗浄水は、洗浄水ラインによって吸収液に混入される。吸収液の水分量が、吸収液水分量計によって計測されている。凝縮水ラインは、凝縮水の混入量を調節する凝縮水弁を含んでいる。制御装置は、吸収液水分量計により計測された吸収液の水分量が所定の下限値以下である場合、凝縮水弁の開度を大きくし、吸収液の水分量が所定の上限値以上である場合、凝縮水弁の開度を小さくする、ように凝縮水弁を制御する。
【0012】
また、実施の形態による二酸化炭素回収システムの運転方法は、処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を、水分を含有する吸収液に吸収させる吸収部を有する吸収塔と、吸収塔から供給される二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出させる再生部を有する再生塔と、を備えた二酸化炭素回収システムにおいて二酸化炭素を回収する方法である。この二酸化炭素回収システムの運転方法において、吸収塔の吸収部から排出された吸収部排ガスまたは再生塔の再生部から排出された再生部排ガスが、洗浄部において洗浄水で洗浄される。洗浄部から排出された洗浄部排ガスが冷却されて凝縮水が生成され、生成された凝縮水が洗浄部排ガスから分離される。また、吸収液の水分量が計測される。洗浄部排ガスから分離された凝縮水は、洗浄水に混入される。洗浄水の水量が所定量よりも多くなった場合、洗浄水は、吸収液に混入される。凝縮水を洗浄水に混入させる際、計測された吸収液の水分量が所定の下限値以下である場合、凝縮水の混入量を増大させ、吸収液の水分量が所定の上限値以上である場合、凝縮水の混入量を低減させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸収液成分のロスを低減するとともに吸収液の水分量を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、図1の変形例を示す図である。
図3図3は、第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
図4図4は、第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
図5図5は、第4の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
図6図6は、第5の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず、図1を用いて、第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0017】
図1に示すように、二酸化炭素回収システム1は、プロセス排ガス2(処理対象ガス)に含有される二酸化炭素を、水分を含有する吸収液に吸収させる吸収塔20と、吸収塔20から供給される二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出させて、吸収液を再生する再生塔30と、を備えている。このうち吸収塔20において二酸化炭素を吸収液に吸収させたプロセス排ガス2は、吸収部排ガス3として吸収塔20から排出される。また、再生塔30から二酸化炭素が蒸気と共に再生部排ガス8として排出される。なお、吸収塔20に供給されるプロセス排ガス2は、特に限定されるものではないが、例えば火力発電所や、製鉄所、清掃工場等で排出される排ガスとすることができる。このような排ガスは、図示しない送風機によって吸収塔20に供給され、その際、必要に応じて冷却処理後に吸収塔20に供給されるようにしてもよい。
【0018】
吸収液は、吸収塔20と再生塔30とを循環し、吸収塔20において二酸化炭素を吸収してリッチ液4となり、再生塔30において二酸化炭素を放出してリーン液5となる。なお、吸収液には、例えば、モノエタノールアミン(monoethanolamin)、ジエタノールアミン(diethanolamin)などのアミン系水溶液を好適に用いることができるが、このようなアミンの種類に限定されるものではない。また、1種類以上のアミンを含有する水溶液で構成されていてもよい。
【0019】
吸収塔20は、吸収塔20内に収容され、プロセス排ガス2とリーン液5とを接触させて、プロセス排ガス2に含有される二酸化炭素をリーン液5に吸収させる吸収部20a(充填層またはトレイ)を有している。吸収塔20は、下部からプロセス排ガス2を受け入れ、塔頂から吸収部排ガス3が排出されるようになっている。吸収部20aは、向流型気液接触装置として構成されている。
【0020】
吸収塔20の下部には、貯留されるリッチ液4の水分量を計測する吸収液レベル計21(吸収液水分量取得部)が設けられている。より具体的には、吸収液レベル計21は、吸収塔20に貯留されるリッチ液4の液面レベルを計測する。この計測されたリッチ液4の液面レベルが高いとリッチ液4の水分量が多く、液面レベルが低いとリッチ液4の水分量が少ないとみなすことができる。
【0021】
吸収塔20の下部に供給されたプロセス排ガス2は、吸収塔20内を吸収部20aに向かって上昇する。一方、再生塔30からのリーン液5が、分散落下して吸収部20aに供給される。吸収部20aにおいて、プロセス排ガス2とリーン液5とが気液接触して、プロセス排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収されてリッチ液4が生成される。
【0022】
生成されたリッチ液4は、吸収塔20の下部に一端貯留され、吸収塔20の底部から排出される。リーン液5と気液接触したプロセス排ガス2は、二酸化炭素が除去されて、吸収部20aから排出されて吸収塔20内を上昇し、吸収部排ガス3として吸収塔20の塔頂から排出される。
【0023】
吸収塔20と再生塔30との間には熱交換器31が設けられている。吸収塔20と熱交換器31との間にはリッチ液用ポンプ32が設けられており、吸収塔20から排出されたリッチ液4は、リッチ液用ポンプ32によって熱交換器31を介して再生塔30に供給される。熱交換器31は、吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4を、再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5と熱交換させる。このことにより、リーン液5が熱源となって、リッチ液4が所望の温度まで加熱される。言い換えると、リッチ液4が冷熱源となって、リーン液5が所望の温度まで冷却される。
【0024】
再生塔30は、再生塔30内に収容され、リッチ液4から二酸化炭素を放出させる再生部30a(充填層またはトレイ)を有している。この再生部30aは、向流型気液接触装置として構成されている。
【0025】
再生塔30には、リボイラー33が連結されている。このリボイラー33は、加熱媒体によって、再生塔30から供給されるリーン液5を加熱して蒸気7を発生させ、発生した蒸気7が再生塔30に供給される。より具体的には、リボイラー33には、再生塔30の底部から排出されるリーン液5の一部が供給されるとともに、例えばボイラー(図示せず)などの外部から加熱媒体としての高温の蒸気が供給される。リボイラー33に供給されたリーン液5は、加熱媒体と熱交換することによって加熱されて、リーン液5から蒸気7が生成される。この際、リーン液5から二酸化炭素も放出され得る。生成された蒸気7は二酸化炭素とともに再生塔30の下部に供給され、再生塔30内のリッチ液4を加熱し、リッチ液4の温度を高めている。なお、加熱媒体は、高温の蒸気に限られることはない。
【0026】
再生塔30の下部に供給された蒸気7は、再生塔30内を再生部30aに向って上昇する。一方、吸収塔20からのリッチ液4は、分散落下して再生部30aに供給される。再生部30aにおいて、リッチ液4と蒸気7とが気液接触して、リッチ液4から二酸化炭素が放出されてリーン液5が生成される。このようにして再生塔30において吸収液が再生されている。
【0027】
生成されたリーン液5は、再生塔30の底部から排出され、リッチ液4と気液接触した蒸気7は、更に二酸化炭素を含有した再生部排ガス8として再生塔30の塔頂から排出される。
【0028】
再生塔30と熱交換器31との間には、リーン液用ポンプ34が設けられている。再生塔30から排出されたリーン液5は、リーン液用ポンプ34によって上述した熱交換器31を介して吸収塔20に供給される。熱交換器31は、上述したように、再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5を、吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4と熱交換させて冷却する。また、熱交換器31と吸収塔20との間には、再生塔30(より具体的には熱交換器31)から吸収塔20に供給されるリーン液5を冷却するリーン液用冷却器35が設けられている。リーン液用冷却器35には、外部から冷却水等の冷却媒体が供給され、リーン液用冷却器35は、熱交換器31において冷却されたリーン液5を所望の温度まで更に冷却する。
【0029】
リーン液用冷却器35において冷却されたリーン液5は、吸収塔20の吸収部20aに供給される。吸収部20aにおいて、リーン液5はプロセス排ガス2と気液接触してプロセス排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収されてリッチ液4となる。このようにして、二酸化炭素回収システム1では、吸収液がリーン液5となる状態とリッチ液4となる状態とを繰り返しながら循環するようになっている。
【0030】
図1に示す二酸化炭素回収システム1は、再生塔30の塔頂から排出された再生部排ガス8を洗浄水11で洗浄する洗浄塔40と、洗浄塔40から排出された洗浄部排ガス9を冷却して凝縮水12を生成する気液分離装置50と、を更に備えている。
【0031】
本実施の形態においては、洗浄塔40は、再生塔30とは別体に設けられている。この洗浄塔40は、洗浄塔40内に収容され、再生部排ガス8と洗浄水11とを気液接触させて、再生部排ガス8を洗浄水11で洗浄する洗浄部40a(充填層またはトレイ)を有している。このように、本実施の形態における洗浄部40aは、再生塔30とは別体の洗浄塔40内に設けられている。洗浄塔40は、下部から再生部排ガス8を受け入れ、塔頂から、洗浄された再生部排ガス8が洗浄部排ガス9として排出されるようになっている。洗浄部40aは、向流型気液接触装置として構成されている。洗浄水11には、特に限られるものではないが、例えば、水を用いることができる。
【0032】
洗浄塔40には、洗浄水11を循環させる循環ライン41が連結されている。すなわち、循環ライン41には、循環ポンプ42が設けられており、洗浄塔40の下部(洗浄水貯留部)に貯留された洗浄水11を抜き出して洗浄塔40の上部に供給する。なお、この循環ライン41には、洗浄水11を冷却するための冷却器は設けられていない。このため、再生部排ガス8は、その高い温度を維持して、洗浄部排ガス9として排出される。一方、高温の再生部排ガス8と洗浄水11との熱交換により、洗浄水11は加熱され、再生部排ガス8と同等の温度か、それよりも若干低い温度となる。
【0033】
また、洗浄塔40の底部は、洗浄水ライン43を介して再生塔30の上部に連結されている。この洗浄水ライン43によって、洗浄塔40内の洗浄水11が、再生塔30内のリッチ液4に混入されるようになっている。図1に示す形態では、洗浄水ライン43の洗浄塔40の側の部分は、循環ライン41と一体的に形成されている。
【0034】
また、洗浄水ライン43は、洗浄水11の混入量を調節する洗浄水弁43Vを含んでいる。一方、洗浄塔40には、洗浄水11の水量を計測する洗浄水レベル計44(洗浄水量計)が設けられている。この洗浄水レベル計44は、洗浄塔40(の洗浄水貯留部)に貯留される洗浄水11の水面レベルを計測する。この計測された洗浄水11の水面レベルが高いと洗浄水11の水量が多く、水面レベルが低いと洗浄水11の水量が少ないとみなすことができる。上述した洗浄水弁43Vを後述する制御装置60によって開閉することにより、洗浄水ライン43は、洗浄塔40内の洗浄水11の水量が所定量よりも多くなった場合に洗浄水11をリッチ液4に混入させることが可能になっている。なお、洗浄水ライン43は、洗浄水11の水量が所定量よりも多くなった場合に洗浄水11をリッチ液4に混入させることが可能であれば、洗浄水弁43Vを含む構成に限られることはない。
【0035】
このような構成により、洗浄塔40の下部に供給された再生部排ガス8は、洗浄塔40内を洗浄部40aに向って上昇する。一方、循環ライン41からの洗浄水11が、洗浄塔40の上部に供給されて、洗浄部40aに向って分散落下する。洗浄部40aにおいて、再生部排ガス8と洗浄水11とが気液接触して、再生部排ガス8が洗浄され、再生部排ガス8に含有されるアミンが洗浄水11に溶解されて吸収される。アミンを吸収した洗浄水11は、洗浄部40aから流下して、洗浄塔40の下部に貯留される。洗浄塔40の下部に貯留された洗浄水11は、循環ライン41によって再び洗浄部40aに供給される。このようにして、洗浄水11が循環する。また、洗浄塔40の下部に貯留された洗浄水11は、洗浄水弁43Vが開いている場合には再生塔30にも供給されて、再生塔30内のリッチ液4に混入される。
【0036】
一方、洗浄部40aにおいて洗浄水11で洗浄された再生部排ガス8は、洗浄部排ガス9として洗浄部40aから排出されて上昇し、洗浄塔40の塔頂から排出される。洗浄部排ガス9は、上述したように洗浄水11で洗浄されているため、洗浄部排ガス9のアミン濃度は低減され得る。
【0037】
図1に示すように、循環ライン41に、純水ライン45が連結されている。これにより、純水ライン45から循環ライン41に純水13が供給されて、洗浄水11に純水13が混入されるようになっている。この純水ライン45は、純水13の混入量を調節する純水弁45Vを含んでいる。また、循環ライン41に、循環ライン41を通る洗浄水11のアミン濃度を計測する洗浄水濃度計46が設けられている。洗浄水濃度計46は、洗浄水11の比重や、洗浄水11の水素イオン濃度(pH)等の、洗浄水11中のアミン濃度と相関関係がある物性値を測定することが好適である。
【0038】
本実施の形態による気液分離装置50は、洗浄塔40から排出された洗浄部排ガス9を冷却して洗浄部排ガス9に含有される水分を凝縮し、凝縮水12を生成する凝縮用冷却器51と、生成された凝縮水12を洗浄部排ガス9から分離する気液分離器52と、を有している。凝縮用冷却器51には、洗浄部排ガス9を冷却するための冷却液14が外部から供給されるようになっている。気液分離器52において凝縮水12が分離された洗浄部排ガス9は、二酸化炭素ガス10として排出されて、図示しない設備に供給されて貯蔵等される。一方、気液分離器52において分離された凝縮水12は、廃棄される、および/または洗浄塔40に供給されるようになっている。
【0039】
すなわち、気液分離器52には、凝縮水ライン53および廃棄ライン54が連結されている。このうち凝縮水ライン53は、洗浄塔40の上部に連結されており、気液分離器52から凝縮水12を洗浄部40aに供給して、洗浄水11に混入させる。また、凝縮水ライン53は、凝縮水12の混入量を調節する凝縮水弁53Vを含んでいる。廃棄ライン54は、気液分離器52から凝縮水12を廃棄(外部に排出)する。また、廃棄ライン54は、凝縮水12の廃棄量を調節する廃棄弁54Vを含んでいる。図1に示す形態では、凝縮水ライン53の気液分離器52の側の部分と廃棄ライン54の気液分離器52の側の部分とは一体的に形成されている。
【0040】
また、気液分離装置50は、凝縮用冷却器51へ供給されて洗浄部排ガス9を冷却する冷却液14の供給量を調節する冷却液弁55Vと、気液分離器52内の凝縮水12の水量を計測する凝縮水レベル計56(凝縮水量計)と、を更に有している。凝縮水レベル計56は、気液分離器52に貯留される凝縮水12の水面レベルを計測する。この計測された凝縮水12の水面レベルが高いと凝縮水12の水量が多く、水面レベルが低いと凝縮水12の水量が少ないとみなすことができる。
【0041】
上述した、各調節弁43V、45V、53V、54V、55Vは、制御装置60によって制御される。
【0042】
まず、制御装置60は、吸収液レベル計21により計測されたリッチ液4の水分量に基づいて、凝縮水弁53Vおよび廃棄弁54Vの開度を制御する。より具体的には、制御装置60は、リッチ液4の水分量が所定の下限値以下である場合、凝縮水弁53Vの開度を大きくするとともに、廃棄弁54Vの開度を小さくする。一方、制御装置60は、リッチ液4の水分量が所定の上限値以上である場合、凝縮水弁53Vの開度を小さくする。本実施の形態においては、制御装置60には、吸収液レベル計21により計測されたリッチ液4の液面レベルが信号として送信される。そして、制御装置60は、リッチ液4の液面レベルが所定の下限値以下である場合に、リッチ液4の水分量が所定の下限値以上であると判断し、リッチ液4の液面レベルが所定の上限値以上である場合に、リッチ液4の水分量が所定の上限値以上であると判断する。
【0043】
また、制御装置60は、洗浄水レベル計44により計測された洗浄水11の水量に基づいて、洗浄水弁43Vの開閉を制御する。より具体的には、制御装置60は、洗浄水11の水量が所定量よりも多い場合、洗浄水弁43Vを開き、洗浄水11の水量が所定量よりも少ない場合、洗浄水弁43Vを閉じる。本実施の形態においては、制御装置60には、洗浄水レベル計44により計測された洗浄水11の水面レベルが信号として送信される。
そして、制御装置60は、洗浄水11の水面レベルが所定値よりも高い場合に、洗浄水11の水量が所定量よりも多いと判断し、洗浄水11の水面レベルが所定値よりも低い場合に、洗浄水11の水量が所定量よりも少ないと判断する。
【0044】
また、制御装置60は、吸収液レベル計21により計測されたリッチ液4の水分量に基づいて、純水弁45Vの開閉を制御する。より具体的には、制御装置60は、リッチ液4の水分量が所定の下限値以下である場合、純水弁45Vを開く。また、この純水弁45Vの開閉は、洗浄水濃度計46により計測された洗浄水11のアミン濃度に基づいて制御されるようにもなっていてもよい。より具体的には、制御装置60には、洗浄水濃度計46により計測された洗浄水11のアミン濃度が信号として送信される。そして、制御装置60は、洗浄水11のアミン濃度が所定濃度よりも高い場合、純水弁45Vを開き、洗浄水11のアミン濃度が所定濃度よりも低い場合、純水弁45Vを閉じる。
【0045】
さらに、上述した制御装置60は、凝縮水レベル計56により計測された凝縮水12の水量に基づいて、冷却液弁55Vの開度を制御する。より具体的には、制御装置60は、凝縮水12の水量が所定量よりも多い場合、凝縮水弁53Vの開度を小さくし、凝縮水12の水量が所定量よりも少ない場合、凝縮水弁53Vの開度を大きくする。本実施の形態においては、制御装置60には、計測された凝縮水12の水面レベルが信号として送信される。そして、制御装置60は、凝縮水12の水面レベルが所定値よりも高い場合に、凝縮水12の水量が所定量よりも多いと判断し、凝縮水12の水面レベルが所定値よりも低い場合に、凝縮水12の水量が所定量よりも少ないと判断する。
【0046】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち、二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。以下に示す運転方法は、上述した制御装置60が各調節弁43V、45V、53V、54V、55Vの動作を制御することにより行われる。
【0047】
二酸化炭素回収システム1を運転している間、図1に示すように、再生塔30から排出された再生部排ガス8は、洗浄塔40の洗浄部40aにおいて洗浄水11で洗浄され、洗浄部排ガス9として洗浄塔40から排出される。洗浄部排ガス9は、洗浄水11で洗浄されているため、再生部排ガス8よりもアミン濃度は低減され得る。
【0048】
排出された洗浄部排ガス9は、気液分離装置50の凝縮用冷却器51によって冷却されて、洗浄部排ガス9に含有される水分が凝縮されて凝縮水12が生成される。ここで、洗浄塔40では、洗浄水11が冷却されていない。このことから、洗浄部排ガス9は、ほとんど冷却されることなく、高い温度を維持して凝縮用冷却器51に供給されて冷却される。このため、凝縮用冷却器51において生成される凝縮水12の生成量を増大させることができる。
【0049】
冷却された洗浄部排ガス9は、気液分離器52に供給され、気液分離器52において、洗浄部排ガス9から凝縮水12が分離される。凝縮水12が分離された洗浄部排ガス9は、気液分離器52から二酸化炭素ガス10として排出される。また、分離された凝縮水12は気液分離器52に貯留される。貯留された凝縮水12は、アミン濃度が低減された洗浄部排ガス9を凝縮することにより生成されているため、凝縮水12のアミン濃度は低減され得る。なお、生成される凝縮水12には、洗浄部排ガス9に含有され得るアミンが吸収され得るため、洗浄部排ガス9のアミン濃度は更に低減され得る。
【0050】
運転中、吸収塔20に設けられた吸収液レベル計21により、吸収塔20に貯留されたリッチ液4の液面レベルが計測されている。通常、リッチ液4の液面レベルは、所定の範囲内(所定の下限値よりも高く、かつ所定の上限値よりも低い)に収められる。この場合、凝縮水弁53Vおよび廃棄弁54Vは、それぞれ所定の開度に設定されている。このことにより、気液分離器52から、所定量の凝縮水12が、凝縮水ライン53を介して洗浄塔40に供給されて洗浄水11に混入されるとともに、所定量の凝縮水12が、廃棄ライン54を介して廃棄されている。なお、上述したように凝縮水12のアミン濃度は低減され得るため、凝縮水12を介して廃棄されるアミンロスは抑制され、廃棄コストは低減され得る。
【0051】
ここではまず、吸収液の水分量が所定の下限値以下である場合、すなわち、リッチ液4の液面レベルが所定の下限値以下である場合について説明する。
【0052】
この場合、凝縮水弁53Vの開度が(上述した通常時の所定の開度よりも)大きくされる。このことにより、洗浄塔40に供給される凝縮水12の供給量が増大し、洗浄塔40において洗浄水11に混入される凝縮水12の混入量が増大する。この凝縮水12の混入量が増大すると、洗浄塔40に貯留される洗浄水11の水面レベルが上昇して所定値よりも高くなる。なお、洗浄水11には、アミン濃度が低減された凝縮水12が混入されるため、洗浄水11のアミン濃度は低減され得る。このことにより、洗浄水11の洗浄能力を増大させることができ、アミン回収率を向上させることができる。
【0053】
運転中、洗浄塔40に設けられた洗浄水レベル計44により、洗浄塔40に貯留された洗浄水11の水面レベルが計測されている。この水面レベルが所定値よりも高くなると、洗浄水弁43Vが開く。このことにより、洗浄塔40の底部から洗浄水ライン43を介して再生塔30の上部に洗浄水11が供給される。このため、再生塔30内のリッチ液4に洗浄水11が混入され、リッチ液4の水分量は増大され得る。
【0054】
ところで、上述したようにしてリッチ液4の水分量を増大させているにも関わらず、リッチ液4の液面レベルが依然として所定の下限値以下である場合には、純水弁45Vが開くようにしてもよい。このことにより、純水ライン45から循環ライン41に純水13が供給されて、洗浄水11に純水13が混入される。このため、洗浄塔40に貯留される洗浄水11の水面レベルを上昇させて、洗浄水11を再生塔30内のリッチ液4に混入させることができる。なお、この場合においても、洗浄水11には、純水が混入されるため、洗浄水の11のアミン濃度を低減することができる。
【0055】
リッチ液4の水分量が増大すると、吸収塔20に貯留されるリッチ液4の液面レベルが上昇し、当該液面レベルを所定の下限値よりも高くすることができる。このことにより、リッチ液4の水分量を所定の範囲内に収めることができる。
【0056】
運転中、気液分離器52に設けられた凝縮水レベル計56により、気液分離器52に貯留された凝縮水12の水面レベルが計測されている。この水面レベルが所定値よりも低くなった場合には、冷却液弁55Vの開度が(通常時の開度よりも)大きくされる。このことにより、凝縮用冷却器51に供給される冷却液14の供給量が増大し、凝縮用冷却器51の冷却能力が増大する。このため、凝縮用冷却器51において生成される凝縮水12の生成量が増大し、気液分離器52内に貯留される凝縮水12の水面レベルを上昇させることができる。
【0057】
また、気液分離器52内の凝縮水12の水面レベルが所定値よりも低くなった場合には、廃棄弁54Vの開度を(上述した通常時の所定の開度よりも)小さくしてもよい。このことにより、凝縮水12の廃棄量を低減させることができ、気液分離器52内の凝縮水12の水面レベルを上昇させることができる。
【0058】
次に、吸収液の水分量が所定の上限値以上である場合、すなわち、リッチ液4の液面レベルが所定の上限値以上である場合について説明する。
【0059】
この場合、凝縮水弁53Vの開度が(上述した通常時の所定の開度よりも)小さくされる。このことにより、洗浄水11に混入される凝縮水12の混入量が低減する。この凝縮水12の混入量が低減すると、洗浄塔40に貯留される洗浄水11の水面レベルが下降して所定値よりも低くなる。
【0060】
洗浄水11の水面レベルが所定値よりも低くなると、洗浄水弁43Vが閉じる。このことにより、リッチ液4の水分量の増大を防止し、吸収塔20に貯留されるリッチ液4の液面レベルを下降させることができる。このため、当該液面レベルを所定の上限値よりも低くすることができ、リッチ液4の水分量を所定の範囲内に収めることができる。また、洗浄水弁43Vが閉じられることにより、洗浄水11の水量の低減による洗浄水11の循環不能を回避することができるとともに、再生部排ガス8を洗浄するために要する洗浄水11の水量を確保することができる。
【0061】
気液分離器52内の凝縮水12の水面レベルが所定値よりも高くなった場合には、廃棄弁54Vの開度を(上述した通常時の所定の開度よりも)大きくしてもよい。このことにより、凝縮水12の廃棄量を増大させて、気液分離器52内の凝縮水12の水面レベルを下降させることができる。
【0062】
また、気液分離器52内の凝縮水12の水面レベルが所定値よりも高くなった場合には、冷却液弁55Vの開度を(通常時の開度よりも)小さくするようにしてもよい。このことにより、凝縮用冷却器51に供給される冷却液14の供給量が低減され、凝縮用冷却器51において生成される凝縮水12の生成量が低減され得る。このため、気液分離器52内に貯留される凝縮水12の水面レベルを下降させることができる。この場合、洗浄部排ガス9に含有される蒸気は、二酸化炭素ガス10に含有して外部に排出される。
【0063】
また、凝縮水弁53Vの開度を小さくしている間、洗浄水11への凝縮水12の混入量が低減されるため、洗浄水11のアミン濃度が増大され得る。この場合、洗浄水11の洗浄能力が低下するおそれが生じる。
【0064】
しかしながら、運転中、循環ライン41に設けられた洗浄水濃度計46により、循環ライン41を通る洗浄水11のアミン濃度が計測されている。このアミン濃度が所定濃度よりも高くなると、凝縮水弁53Vの開度が、大きくされ、例えば、通常時の所定の開度に戻される。このことにより、洗浄水11への凝縮水12の混入量を増大させ、洗浄水11のアミン濃度上昇による洗浄能力の低下を抑制できる。なお、洗浄水11のアミン濃度が所定濃度よりも高くなった場合には、純水弁45Vを開いて洗浄水11に純水13を混入させるようにしてもよい。この場合においても、洗浄能力の低下を抑制できる。
【0065】
このように本実施の形態によれば、吸収塔20内のリッチ液4の液面レベルが所定の下限値以下である場合、気液分離器52から洗浄水11に混入される凝縮水12の混入量が増大される。このことにより、洗浄塔40内の洗浄水11の水量が増大し、所定量よりも多くなると、洗浄塔40内の洗浄水11が、再生塔30内のリッチ液4に混入される。このため、リッチ液4の水分量を増大させることができ、リッチ液4の液面レベルを所定の下限値よりも高くすることができる。この結果、吸収液の水分量を適切に管理することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、再生塔30から排出された再生部排ガス8は、洗浄部40aにおいて洗浄水11で洗浄される。このことにより、再生部排ガス8に含有されている吸収液成分であるアミンを回収することができ、アミンが洗浄部排ガス9に含有されて外部に排出されるアミンを抑制できる。とりわけ、本実施の形態によれば、洗浄部40aから排出された洗浄部排ガス9は、気液分離装置50の凝縮用冷却器51において冷却されて、気液分離器52において凝縮水12が分離される。この凝縮水12に、洗浄部排ガス9に含有され得るアミンが吸収され得るため、アミンを更に回収することができ、アミンロスをより一層低減できる。
【0067】
なお、上述した本実施の形態においては、洗浄水ライン43が、再生塔30の上部に連結されている例について説明した。しかしながら、洗浄水11をリッチ液4またはリーン液5に混入させることができれば、洗浄水ライン43は、吸収塔20や、吸収塔20と再生塔30との間に設けられているリッチ液4若しくはリーン液5のラインに連結されていてもよく、任意である。
【0068】
また、上述した本実施の形態においては、純水ライン45が循環ライン41に連結されている例について説明した。しかしながら、純水13を洗浄水11に混入させることができれば、これに限られることはなく、例えば、純水ライン45は、洗浄塔40に連結されるようにしてもよい。
【0069】
また、上述した本実施の形態においては、吸収液水分量取得部が、吸収塔20に貯留されているリッチ液4の液面レベルを計測する吸収液レベル計21である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、吸収液レベル計21は、再生塔30に貯留されているリーン液5の液面レベルを計測するようにしてもよい。また、吸収液水分量取得部としては、吸収液(リッチ液4またはリーン液5)の比重や、水素イオン濃度(pH)等の吸収液中のアミン濃度と相関関係がある物性値を測定して、測定された物性値から算出することにより水分量を得るようにしてもよい。
【0070】
さらに、上述した本実施の形態においては、再生塔30から排出される再生部排出ガス8が洗浄塔40に供給されて、洗浄水11で洗浄される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図2に示すように、吸収塔20から排出される吸収部排出ガス3が洗浄塔40に供給されて、洗浄水11で洗浄されるようにしてもよい。この場合においても、吸収液の水分量を適切に管理することができるとともに、吸収部排ガス3に含有されているアミンを回収して、アミンロスを抑制することができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
次に、図3を用いて、本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0072】
図3に示す第2の実施の形態においては、洗浄部が、再生塔内において再生部の上方に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図3において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図3に示すように、本実施の形態においては、洗浄部40aは、再生塔30とは別体の洗浄塔40(図1参照)内には設けられておらず、再生塔30内に設けられている。そして、洗浄部40aは、再生塔30内において再生部30aの上方に配置されている。
【0074】
再生部30aと洗浄部40aとの間には、洗浄部40aから流下する洗浄水11を貯留するコレクタ70(洗浄水貯留部)が設けられている。洗浄水11を循環させる循環ライン41は、コレクタ70に貯留された洗浄水11を抜き出して洗浄部40aの上方に供給する。洗浄部40aの上方に供給された洗浄水11は、分散落下して洗浄部40aに供給される。洗浄水レベル計44は、コレクタ70に貯留した洗浄水11の水面レベルを計測するようになっている。なお、本実施の形態においても、循環ライン41には、洗浄水11を冷却するための冷却器は設けられていない。
【0075】
純水ライン45は、再生塔30の上部に連結されている。純水13は、純水ライン45から再生塔30の上部に供給されて、再生塔30内において、洗浄水11に純水13が混入されるようになっている。
【0076】
凝縮水ライン53は、循環ライン41に連結されている。これにより、気液分離器52からの凝縮水12は、循環ライン41に供給されて、洗浄水11に混入される。
【0077】
このように本実施の形態によれば、再生部排ガス8を洗浄する洗浄部40aが、再生塔30内に設けられている。このことにより、再生塔30とは別体の洗浄塔40を設けることを不要とすることができる。このため、二酸化炭素回収システム1の構成を簡素化することができ、製造コストを低減することができる。
【0078】
なお、上述した本実施の形態においては、再生塔30内に、1段の洗浄部40aが設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、再生塔30内に、2段以上の洗浄部40aが設けられるようにしてもよい。この場合、洗浄部排ガス9のアミン濃度をより一層低減することができる。
【0079】
(第3の実施の形態)
次に、図4を用いて、本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0080】
図4に示す第3の実施の形態においては、洗浄部と気液分離装置との間に第2の洗浄部が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0081】
図4に示すように、本実施の形態においては、洗浄部40aと気液分離装置50との間に、第2の洗浄部80aが設けられている。第2の洗浄部80aは、洗浄部40aから排出された洗浄部排ガス9を第2の洗浄水15で洗浄する。
【0082】
具体的には、洗浄塔40と気液分離装置50の冷却器51との間に、第2の洗浄塔80が設けられている。第2の洗浄塔80は、洗浄塔40とは別体に設けられている。この第2の洗浄塔80は、第2の洗浄塔80内に収容された第2の洗浄部80a(充填層またはトレイ)を有している。この第2の洗浄部80aは、洗浄部40aから排出された洗浄部排ガス9を第2の洗浄水15と気液接触させて、洗浄部排ガス9を第2の洗浄水15で洗浄するように構成されている。また、第2の洗浄塔80は、下部から洗浄部排ガス9を受け入れ、塔頂から、洗浄された洗浄部排ガス9が排出されるようになっている。第2の洗浄部80aは、洗浄部40aと同様に、向流型気液接触装置として構成されている。
【0083】
第2の洗浄水15は、酸性溶液となっている。一方、洗浄部排ガス9に含有されるアミンは、アルカリ性を有している。このことにより、第2の洗浄水15は、水などの非酸性溶液よりもアミンの吸収能力を高めることができる。
【0084】
第2の洗浄塔80には、第2の洗浄水15を循環させる第2の循環ライン81が連結されている。すなわち、第2の循環ライン81には、第2の循環ポンプ82が設けられており、第2の洗浄塔80の下部に貯留された第2の洗浄水15を抜き出して第2の洗浄塔80の上部に供給する。第2の洗浄塔80の上部に供給された第2の洗浄水15は、分散落下して第2の洗浄部80aに供給される。なお、この第2の循環ライン81には、第2の洗浄水15を冷却するための冷却器は設けられていない。このため、洗浄部排ガス9は、その高い温度を維持して、第2の洗浄塔80から排出される。一方、高温の洗浄部排ガス9と第2の洗浄水15との熱交換により、第2の洗浄水15は加熱され、再生部排ガス9と同等の温度か、それよりも若干低い温度となる。
【0085】
このような構成により、第2の洗浄塔80の下部に供給された洗浄部排ガス9は、第2の洗浄塔80内を第2の洗浄部80aに向って上昇する。一方、第2の循環ライン81からの第2の洗浄水15が、第2の洗浄塔80の上部に供給されて、第2の洗浄部80aに向って分散落下する。第2の洗浄部80aにおいて、洗浄部排ガス9と第2の洗浄水15とが気液接触して、洗浄部排ガス9が洗浄され、洗浄部排ガス9に含有され得るアミンが第2の洗浄水15に溶解されて吸収される。アミンを吸収した第2の洗浄水15は、第2の洗浄部80aから流下して、第2の洗浄塔80の下部に貯留される。第2の洗浄塔80の下部に貯留された第2の洗浄水15は、第2の循環ライン81によって再び第2の洗浄部80aに供給される。このようにして、第2の洗浄水15が循環する。
【0086】
一方、第2の洗浄部80aにおいて第2の洗浄水15で洗浄された洗浄部排ガス9は、第2の洗浄部80aから排出されて上昇し、第2の洗浄塔80の塔頂から排出される。洗浄部排ガス9は、上述したように第2の洗浄水15で洗浄されているため、洗浄部排ガス9のアミン濃度はより一層低減され得る。
【0087】
第2の循環ライン81に、原液ライン83が連結されている。これにより、原液ライン83から第2の循環ライン81に、酸性溶液である原液16が供給されて、第2の洗浄水15に混入されるようになっている。この原液ライン83は、原液16の混入量を調節する原液弁83Vを含んでいる。また、第2の循環ライン81に、第2の循環ライン81を通る第2の洗浄水15の酸性成分濃度を計測する第2の洗浄水濃度計86が設けられている。第2の洗浄水濃度計86は、第2の洗浄水15の比重や、第2の洗浄水15の水素イオン濃度(pH)等の、第2の洗浄水15中の酸性成分濃度と相関関係がある物性値を測定することが好適である。
【0088】
また、第2の循環ライン81には、第2の廃棄ライン84が連結されている。第2の廃棄ライン84は、第2の循環ライン81から第2の洗浄水15を廃棄する。また、第2の廃棄ライン84は、第2の洗浄水15の廃棄量を調節する第2の廃棄弁84Vを含んでいる。
【0089】
第2の洗浄塔80には、第2の洗浄水15の水量を計測する第2の洗浄水レベル計85が設けられている。この第2の洗浄水レベル計85は、第2の洗浄塔80に貯留される第2の洗浄水15の水面レベルを計測する。この計測された第2の洗浄水15の水面レベルが高いと第2の洗浄水15の水量が多く、水面レベルが低いと第2の洗浄水15の水量が少ないとみなすことができる。
【0090】
制御装置60は、第2の洗浄水濃度計86により計測された第2の洗浄水15の酸性成分濃度に基づいて、原液弁83Vの開閉を制御する。より具体的には、制御装置60には、第2の洗浄水濃度計86により計測された第2の洗浄水15の酸性成分濃度が信号として送信される。そして、制御装置60は、第2の洗浄水15の酸性成分濃度が所定濃度よりも低い場合、原液弁83Vを開き、第2の洗浄水15の酸性成分濃度が所定濃度以上である場合、原液弁83Vを閉じる。
【0091】
また、制御装置60は、第2の洗浄水レベル計85により計測された第2の洗浄水15の水量に基づいて、第2の廃棄弁84Vの開閉を制御する。より具体的には、制御装置は、第2の洗浄水15の水量が所定量よりも多い場合、第2の廃棄弁84Vを開き、第2の洗浄水15の水量が所定量よりも少ない場合、第2の廃棄弁84Vを閉じる。本実施の形態においては、制御装置60には、第2の洗浄水レベル計85により計測された第2の洗浄水15の水面レベルが信号として送信される。そして、制御装置60は、第2の洗浄水15の水面レベルが所定値よりも高い場合に、第2の洗浄水15の水量が所定量よりも多いと判断し、第2の洗浄水15の水面レベルが所定値よりも低い場合に、第2の洗浄水15の水量が所定量よりも少ないと判断する。
【0092】
このような構成により、第2の洗浄水15の酸性成分濃度が所定濃度より低くなった場合には、原液弁83Vが開き、原液ライン83から第2の循環ライン81に酸性溶液である原液16が供給されて、第2の洗浄水15に混入される。このことにより、第2の洗浄水15に、アミンとの中和反応で減少した酸性成分が補給され、第2の洗浄水15の洗浄能力を増大させることができ、アミン回収率を向上させることができる。一方、原液16の補給により第2の洗浄水15の液量が増大し、水面レベルが所定値よりも高くなった場合には、第2の廃棄弁84Vが開く。このことにより、第2の循環ライン81内の第2の洗浄水15が、第2の廃棄ライン84を介して廃棄され、第2の洗浄塔80内の第2の洗浄水15の水量を低減させることができる。
【0093】
なお、図4に示すように、本実施の形態による凝縮水ライン53は、循環ライン41に連結されている。これにより、気液分離器52からの凝縮水12は、循環ライン41に供給されて、洗浄水11に混入される。
【0094】
このように本実施の形態によれば、洗浄部排ガス9が、酸性溶液である第2の洗浄水15で洗浄される。このことにより、洗浄部40aによって洗浄されてアミン濃度が低下した洗浄部排ガス9であっても、この洗浄部排ガス9に含有され得るアミンを第2の洗浄水15に吸収させて、洗浄部排ガス9をより一層洗浄することができる。このため、再生部排ガス8に含有されているアミンをより一層回収することができ、アミンが洗浄部排ガス9に含有されて外部に排出されるアミンをより一層抑制できる。
【0095】
(第4の実施の形態)
次に、図5を用いて、本発明の第4の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0096】
図5に示す第4の実施の形態においては、洗浄部排ガスから生成されて分離された凝縮水を冷却して、冷却された凝縮水を用いて洗浄部排ガスを洗浄する点が主に異なり、他の構成は、図1に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0097】
図5に示すように、本実施の形態による気液分離装置90は、気液分離器91と、気液分離器91内の凝縮水12を循環させる第2の循環ライン92と、第2の循環ライン92に設けられ、凝縮水12を冷却する凝縮用冷却器93と、を有している。このうち、気液分離器91は、洗浄部排ガス9と凝縮水12とを気液接触させて洗浄部排ガス9を洗浄する気液分離部91a(充填層またはトレイ)を含んでいる。そして、気液分離器91は、下部から洗浄部排ガス9を受け入れ、塔頂から、洗浄された洗浄部排ガス9が二酸化炭素ガス10として排出されるようになっている。気液分離部91aは、向流型気液接触装置として構成されている。
【0098】
第2の循環ライン92は、気液分離器91に連結されており、第2の循環ライン92には第2の循環ポンプ94が設けられている。このような構成により、第2の循環ライン92は、気液分離器91の下部に貯留された凝縮水12を抜き出して気液分離器91の上部に供給する。気液分離器91の上部に供給された凝縮水12は、分散落下して気液分離部91aに供給される。
【0099】
このような構成により、気液分離器91の下部に供給された洗浄部排ガス9は、気液分離器91内を気液分離部91aに向って上昇する。一方、第2の循環ライン92からの凝縮水12が、気液分離装置90の気液分離器91の上部に供給されて、気液分離部91aに向って分散落下する。気液分離部91aにおいて、洗浄部排ガス9と凝縮水12とが気液接触して、洗浄部排ガス9が洗浄され、洗浄部排ガス9に含有されるアミンが凝縮水12に溶解されて吸収される。
【0100】
凝縮水12が凝縮用冷却器93により冷却されているため、気液分離部91aにおいて、洗浄部排ガス9は凝縮水12によって冷却される。このことにより、洗浄部排ガス9に含有されている水分が凝縮して凝縮水12が生成される。生成された凝縮水12は、洗浄部排ガス9から分離されて洗浄部排ガス9を洗浄した凝縮水12と混合される。混合された凝縮水12は、気液分離部91aから流下して、気液分離器91の下部に貯留される。
気液分離器91の下部に貯留された凝縮水12は、第2の循環ライン92によって再び気液分離部91aに供給される。このようにして、凝縮水12が循環する。
【0101】
一方、気液分離部91aにおいて凝縮水12で洗浄された洗浄部排ガス9は、気液分離部91aから排出されて上昇し、気液分離装置90の気液分離器91の塔頂から排出される。洗浄部排ガス9は、凝縮水12で洗浄されているため、洗浄部排ガス9のアミン濃度はより一層低減され得る。
【0102】
気液分離器91の底部に、凝縮水ライン53および廃棄ライン54が連結されている。
このうち凝縮水ライン53は、洗浄水11の循環ライン41に連結されている。気液分離装置90の気液分離器91からの凝縮水12は、循環ライン41に供給されて、洗浄水11に混入される。図5に示す形態では、凝縮水ライン53の気液分離器91の側の部分と廃棄ライン54の気液分離器91の側の部分は、第2の循環ライン92に一体的に形成されている。
【0103】
本実施の形態における純水ライン45は、洗浄塔40の上部に連結されている。純水13は、純水ライン45から洗浄塔40の上部に供給されて、洗浄塔40内において、洗浄水11に純水13が混入されるようになっている。
【0104】
第2の循環ライン92に、第2の循環ライン92を通る凝縮水12のアミン濃度を計測する凝縮水濃度計97が設けられている。凝縮水濃度計97は、凝縮水12の比重や、凝縮水12の水素イオン濃度(pH)等の、凝縮水12中のアミン濃度と相関関係がある物性値を測定することが好適である。
【0105】
また、気液分離装置90は、凝縮用冷却器93へ供給されて凝縮水12を冷却する冷却液14の供給量を調節する冷却液弁95と、気液分離器91内の凝縮水12の水量を計測する凝縮水レベル計96と、を有している。凝縮水レベル計96は、気液分離器91に貯留される凝縮水12の水面レベルを計測する。この計測された凝縮水12の水面レベルが高いと凝縮水12の水量が多く、水面レベルが低いと凝縮水の水量が少ないとみなすことができる。
【0106】
制御装置60は、凝縮水レベル計96により計測された凝縮水12の水量に基づいて、冷却液弁95の開度を制御する。より具体的には、制御装置60は、凝縮水12の水量が所定量よりも多い場合、冷却液弁95の開度を小さくし、凝縮水12の水量が所定量よりも少ない場合、冷却液弁95の開度を大きくする。本実施の形態においては、制御装置60には、計測された凝縮水12の水面レベルが信号として送信される。そして、制御装置60は、凝縮水12の水面レベルが所定値よりも高い場合に、凝縮水12の水量が所定量よりも多いと判断し、凝縮水12の水面レベルが所定値よりも低い場合に、凝縮水12の水量が所定量よりも少ないと判断する。
【0107】
また、制御装置60は、凝縮水濃度計97により計測された凝縮水12のアミン濃度に基づいて、冷却液弁95の開度を制御するようにしてもよい。この場合、制御装置60には、凝縮水濃度計97により計測された凝縮水12のアミン濃度が信号として送信される。そして、制御装置60は、凝縮水12のアミン濃度が所定濃度よりも低い場合、冷却液弁95の開度を大きくする。このことにより、凝縮用冷却器93に供給される冷却液14の供給量が増大し、凝縮水12がより一層冷却される。このため、気液分離部91aにおいて洗浄部排ガス9がより一層冷却され、凝縮水12の生成量を増大させて凝縮水12のアミン濃度を低くすることができる。
【0108】
このように本実施の形態によれば、洗浄部排ガス9から生成されて分離された凝縮水12を冷却して、冷却された凝縮水12を用いて洗浄部排ガス9が洗浄される。このことにより、洗浄部40aによって洗浄されてアミン濃度が低下した洗浄部排ガス9であっても、この洗浄部排ガス9に含有され得るアミンを凝縮水12に吸収させて、洗浄部排ガス9をより一層洗浄することができる。このため、再生部排ガス8に含有されているアミンをより一層回収することができ、アミンが洗浄部排ガス9に含有されて外部に排出されるアミンをより一層抑制できる。
【0109】
(第5の実施の形態)
次に、図6を用いて、本発明の第5の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0110】
図6に示す第5の実施の形態においては、洗浄部が再生塔内において再生部の上方に設けられ、気液接触部が再生塔内において洗浄部の上方に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図5に示す第4の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図5に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0111】
図6に示すように、本実施の形態においては、洗浄部40aは、再生塔30とは別体の洗浄塔40(図1参照)内には設けられておらず、再生塔30内に設けられている。そして、洗浄部40aは、再生塔30内において再生部30aの上方に配置されている。
【0112】
再生部30aと洗浄部40aとの間には、洗浄部40aから流下する洗浄水11を貯留するコレクタ70(洗浄水貯留部)が設けられている。洗浄水11を循環させる循環ライン41は、コレクタ70に貯留された洗浄水11を抜き出して洗浄部40の上方に供給する。洗浄部40aの上方に供給された洗浄水11は、分散落下して洗浄部40aに供給される。洗浄水レベル計44は、コレクタ70に貯留した洗浄水11の水面レベルを計測するようになっている。なお、本実施の形態においても、循環ライン41には、洗浄水11を冷却するための冷却器は設けられていない。
【0113】
また、本実施の形態においては、再生塔30とは別体の気液分離器91(図5参照)内には設けられておらず、気液分離部91aは、再生塔30内に設けられている。そして、気液分離部91aは、再生塔30内において洗浄部40aの上方に配置されている。
【0114】
洗浄部40aと気液分離部91aとの間には、気液分離部91aから流下する凝縮水12を貯留する第2のコレクタ100が設けられている。凝縮水12を循環させる第2の循環ライン92は、第2のコレクタ100に貯留された凝縮水12を抜き出して気液分離部91aの上方に供給する。気液分離部91aの上方に供給された凝縮水12は、分散落下して気液分離部91aに供給される。
【0115】
純水ライン45は、再生塔30のうち、洗浄部40aと第2のコレクタ100との間の部分に連結されている。純水13は、純水ライン45から再生塔30の当該部分に供給されて、再生塔30内において、洗浄水11に純水13が混入されるようになっている。
【0116】
このように本実施の形態によれば、再生部排ガス8を洗浄する洗浄部40aが、再生塔30内に設けられている。このことにより、再生塔30とは別体の洗浄塔40を設けることを不要とすることができる。また、洗浄部排ガス9を冷却して生成された凝縮水を洗浄部排ガス9から分離させる気液分離部91aが、再生塔30内に設けられている。このことにより、再生塔30とは別体の気液分離器91を設けることを不要とすることができる。このため、アミンロスをより一層抑制可能な二酸化炭素回収システム1の構成を簡素化することができ、製造コストを低減することができる。
【0117】
以上述べた実施の形態によれば、吸収液成分のロスを低減するとともに吸収液の水分量を適切に管理することができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0119】
1:二酸化炭素回収システム、2:プロセス排ガス、4:リッチ液、5:リーン液、8:再生部排ガス、9:洗浄部排ガス、11:洗浄水、12:凝縮水、13:純水、14:冷却液、15:第2の洗浄水、20:吸収塔、20a:吸収部、21:吸収液レベル計、30:再生塔、30a:再生部、40:洗浄塔、40a:洗浄部、43:洗浄水ライン、43V:洗浄水弁、44:洗浄水レベル計、45:純水ライン、45V:純水弁、50:気液分離装置、51:冷却器、52:気液分離器、53:凝縮水ライン、53V:凝縮水弁、54:廃棄ライン、54V:廃棄弁、55V:冷却液弁、56:凝縮水レベル計、60:制御装置、80:第2の洗浄塔、80a:第2の洗浄部、90:気液分離装置、91:気液分離器、91a:気液分離部、92:第2の循環ライン、93:凝縮用冷却器
図1
図2
図3
図4
図5
図6