【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の側面は、対象物の洗浄方法であって、
対象物に粒子線を透過させて前記対象物の構造をスキャンし、
得られた前記対象物の構造のスキャンデータと前記対象物の3Dモデルを比較して異物を抽出し、
前記異物が含まれる対象部位である洗浄箇所を特定し、
全ての対象部位を洗浄するための全体プログラムの中から、前記洗浄箇所を洗浄するための部分プログラムを実行して、前記対象物を洗浄する
方法である。
本発明の第2の側面は、洗浄装置であって、
異物が付着した対象物に粒子線を透過させて、前記対象物の構造のスキャンデータを得るスキャナと、
洗浄室と、
前記洗浄室内に配置され、前記対象物に対して相対的に移動するノズルと、
制御装置であって、
対象部位および前記対象部位に関連付けられたラベルを有する3Dモデル、及び
前記ラベルが付された部分プログラムを含む全体プログラム、
を記憶する記憶装置と、
前記スキャンデータと前記3Dモデルとを比較し、前記異物を抽出する比較部と、
前記異物が含まれる対象部位である洗浄箇所に関連付けられた前記ラベルを決定する洗浄箇所決定部と、
前記ラベルに関連付けられた前記部分プログラムを前記全体プログラムから読み出し、前記全体プログラムに規定された順に並べて洗浄プログラムを作成するプログラム作成部と、
を含む演算装置と、
前記洗浄プログラムに基づいて、前記対象物に対して前記ノズルを数値制御する数値制御部と、
を有する制御装置と、
を有する。
【0005】
洗浄は、清掃及びバリ取りを含む。粒子線は、電磁波、中性子線を含む。電磁波は、例えばX線、γ線である。スキャナは、例えば、X線CTスキャナ、γ線CTスキャナ、中性子線CTスキャナである。異物は、例えば、切りくず、切削バリ、繊維くず、研磨材である。
【0006】
対象物は、機械加工後又は組み立て前の機械部品である。対象物は、例えば、シリンダヘッド、シリンダブロック、クランクシャフト、トランスアクスルケース、トランスアクスルハウジング、バルブボディ、ポンプボディ、ABSボディである。対象物は、水穴、油穴、雌ねじ、貫通穴、ピン穴、油路、クランク室、カム室、ボス等の構造を含む。これらの構造のうち、洗浄液の噴流を衝突させて洗浄される部位を対象部位という。
【0007】
洗浄装置は、洗浄機とスキャナを有してよい。洗浄機は、高圧洗浄機と低圧洗浄機を含んで良い。例えば、高圧洗浄機は、対象物の異物が発見された対象部位のみに噴流を当て、低圧洗浄機は、対象物の表面や異物が発見されなかった対象部位に噴流を当てる。
【0008】
洗浄装置は、ポンプやタンクを有しても良い。タンクは、洗浄液を貯留する。ポンプは、洗浄液を加圧し、吐出する。ポンプは、例えば、ピストンポンプ、ギヤポンプ、渦巻きポンプである。ポンプの吐出圧は、好ましくは、5〜200MPaである。
洗浄装置は移動装置と固定ノズルを含んでも良い。移動装置は対象物を固定ノズルに対して移動しても良い。
【0009】
3Dモデルは、基準寸法の対象物の立体モデルであり、対象部位およびラベルを含む。一つ又は複数のラベルが、各対象部位に付される。3Dモデルは、複数の部品を含んで良く、材質情報を含んでも良い。
【0010】
全体プログラム、部分プログラム及び洗浄プログラムは、数値制御プログラムである。全体プログラムは、対象物の全ての対象部位を洗浄するプログラムである。全体プログラムは、部分プログラムを含み、階層構造を有する。下位の部分プログラムは、中位の部分プログラムに関連付けられる。中位の部分プログラムは、上位の部分プログラムと関連付けられる。各部分プログラムにラベルが付される。
部分プログラムは、対象部位に関するノズル選択部、退避部又は部位洗浄部を含む。各部位洗浄部は、関連するノズル選択部や退避部を有する。部分プログラムは、ヘッダ部やフッタ部を含んでも良い。
全体プログラムは、サブプログラムの集合でも良い。
全体プログラムは、必ず洗浄すべき対象部位(必須洗浄部位)に関連する部分プログラムと、選択的に洗浄される対象部位(選択洗浄部位)に関連する部分プログラムを含んでも良い。
【0011】
ラベルは、部分プログラムの部位洗浄部を対象部位に関連付ける。ラベルは、部位洗浄部に関連付けられる。一つの対象部位に、一つ又は複数のラベルが関連付けられる。ラベルは、結合順や部分プログラム同士の関連付けを含んでも良い。ラベルは、プログラム番号でも良い。
【0012】
比較部は、スキャンデータから対象物毎に洗浄される対象部位を抽出する。スキャンデータは、対象物の加工の履歴に応じて、例えば、鋳物欠陥、加工誤差、異物、バリの構造を含む。加工誤差は、例えば、位置誤差、円筒度、全振れ、寸法誤差である。バリ及び異物は、特異な突起としてデータに表れる。更に異物は、素材との材質の相違としても検出されるときがある。加工誤差は、穴や面全体の平行移動や傾斜、面の揺れとして現れる。したがって、比較部は、全体の比較と個別の評価を行う。
例えば、円筒穴についての比較について述べる。円筒穴位置について、スキャンモデルの重心と3Dモデルの重心を比較する。重心は、穴の深さに対して複数位置を抽出しても良い。重心位置の変位を位置誤差として検出する。更に、スキャンモデルの円筒穴の重心に、3Dモデルの円筒穴を重ねて部分的な差分を取る。その差分が、3Dモデルとの変位量が連続的に変化しており、変位量の3Dモデルの表面に沿った長さに対する変位量の傾きが閾値を超えない場合に、その変位部分を円筒誤差と判断する。それ以外の構造の差異を異物と判断する。
比較部は、評価値が閾値以上の異物のみを抽出しても良い。評価値は、異物の計測値であり、例えば、長径寸法や体積である。長径寸法とは、異物の表面に決めた2点間の距離が最も長くなる寸法である。閾値は、洗浄後に残留が認められない異物の評価値である。
【0013】
プログラム作成部は、洗浄すべき対象部位(洗浄箇所)に付されたラベルに関連する部分プログラムを全体プログラムから読み出す。プログラム作成部は、読み出した部分プログラムを構成して洗浄プログラムを作成する。部分プログラムを組み合わせる順番は、ラベルや順位データとして与えられる。このとき、ヘッダ部やフッタ部を加えてよい。
プログラム作成部は、必須洗浄部を洗浄プログラムに加えてよい。
なお、全体プログラムの中から、不要な部分プログラムを読み飛ばす場合には、洗浄プログラムを作成しなくてもよい。
【0014】
洗浄装置に投入される全ての対象物は、スキャナにより検査される。検査の結果、発見された異物が含まれる対象部位と、必須洗浄箇所のみを含む洗浄プログラムが個々の対象物に対して作成される。洗浄装置は、作成された個別の洗浄プログラムに基づいて、対象物を洗浄する。