特許第6806876号(P6806876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806876印刷配線の生産方法、タッチパネル及びタッチパネルの生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806876
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】印刷配線の生産方法、タッチパネル及びタッチパネルの生産方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/10 20060101AFI20201221BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20201221BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20201221BHJP
   B41M 1/34 20060101ALI20201221BHJP
   B41N 1/06 20060101ALI20201221BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20201221BHJP
   G06F 3/044 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   B41M1/10
   H05K3/10 E
   H05K3/12 630Z
   B41M1/34
   B41N1/06
   G06F3/041 495
   G06F3/041 660
   G06F3/041 420
   !G06F3/044 129
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-229411(P2019-229411)
(22)【出願日】2019年12月19日
(62)【分割の表示】特願2015-234435(P2015-234435)の分割
【原出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2020-59285(P2020-59285A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】古川 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光範
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】坂上 彰利
(72)【発明者】
【氏名】内藤 充俊
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−317886(JP,A)
【文献】 特開2015−45890(JP,A)
【文献】 特開2008−159798(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0092036(US,A1)
【文献】 特開2015−152946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00 −3/18
B41N 1/00 −3/08
H05K 3/10 −3/26
G06F 3/041−3/047
H01L 31/04 −31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンが形成されてなる印刷配線を生産する方法であって、
前記印刷配線の、前記基材の面上の特定方向に延長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンは、波線で構成されており、
前記波線で構成された配線パターンに含まれる少なくとも1つの波線の隣には、該波線とは絶縁された隣接する配線パターンが形成されており、かつ該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのそれぞれに突出する該波線の折返し部のうちの前記隣接する配線パターンが形成されている側に向く一方の向きに突出する折返し部のみにおいてその頂点に切欠きが設けられており、
前記硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを画定する凹部を有するグラビア版に、前記延長方向に対して平行となるように設置されたドクターブレードにより、導電インキを、前記ドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記一方の向きと一致する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって前記印刷配線を印刷することを特徴とする印刷配線の生産方法。
【請求項2】
請求項1記載の印刷配線の生産方法において、
前記隣接する配線パターンは、前記該波線と平行に延長して前記該波線と共に配列された、前記波線で構成された配線パターンに含まれるもう1つの波線であることを特徴とする印刷配線の生産方法。
【請求項3】
基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンが形成されてなる印刷配線を生産する方法であって、
前記印刷配線の、前記基材の面上の特定方向に延長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンは、波線で構成されており、
前記波線で構成された配線パターンに含まれる少なくとも1つの波線には、該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのうちの少なくともいずれか一方の向きに突出する折返し部の頂点に、折返し部が前記延長方向に平行な直線で切り欠かれてなる切欠きが設けられており、
前記硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを画定する凹部を有するグラビア版に、該波線の延長方向に対して平行となるように設置されたドクターブレードにより、導電インキを、前記ドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記切欠きが設けられている折返し部の頂点の突出する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって前記印刷配線を印刷することを特徴とする印刷配線の生産方法。
【請求項4】
基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンが形成されてなる印刷配線を生産する方法であって、
前記印刷配線の、前記基材の面上の特定方向に延長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンは、波線で構成されており、
前記波線で構成された配線パターンに含まれる少なくとも1つの波線には、該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのうちの少なくともいずれか一方の向きに突出する折返し部の頂点に、W字状の切欠きが設けられており、
前記硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを画定する凹部を有するグラビア版に、該波線の延長方向に対して平行となるように設置されたドクターブレードにより、導電インキを、前記ドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記切欠きが設けられている折返し部の頂点の突出する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって前記印刷配線を印刷することを特徴とする印刷配線の生産方法。
【請求項5】
硬化した導電インキの膜よりなり、矩形のセンサ領域に配列されたセンサ電極列と、前記センサ電極列から引き出された引出し配線とを有する導体層を含んで構成されるタッチパネルであって、
前記センサ電極列は前記矩形の短辺及び長辺の双方に斜交する線分で構成された細線のメッシュで形成され、
前記引出し配線のうち、前記短辺に平行に延長されている短辺平行部分と前記長辺に平行に延長されている長辺平行部分の少なくともいずれか一方の、細線のメッシュで形成されていない配線が波線で構成されており、
前記波線で構成された配線に含まれる少なくとも1つの波線の隣には、該波線とは絶縁された隣接する配線パターンが形成されており、かつ該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのそれぞれに突出する該波線の折返し部のうちの前記隣接する配線パターンが形成されている側に向く一方の向きに突出する折返し部のみにおいてその頂点に切欠きが設けられていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項6】
請求項5記載のタッチパネルにおいて、
前記隣接する配線パターンは、前記該波線と平行に延長して前記該波線と共に配列された、前記波線で構成された配線に含まれるもう1つの波線であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
硬化した導電インキの膜よりなり、矩形のセンサ領域に配列されたセンサ電極列と、前記センサ電極列から引き出された引出し配線とを有する導体層を含んで構成されるタッチパネルであって、
前記センサ電極列は前記矩形の短辺及び長辺の双方に斜交する線分で構成された細線のメッシュで形成され、
前記引出し配線のうち、前記短辺に平行に延長されている短辺平行部分と前記長辺に平行に延長されている長辺平行部分の少なくともいずれか一方の、細線のメッシュで形成されていない配線が波線で構成されており、
前記波線で構成された配線に含まれる少なくとも1つの波線には、該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのうちの少なくともいずれか一方の向きに突出する折返し部の頂点に、折返し部が前記延長方向に平行な直線で切り欠かれてなる切欠きが設けられていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項8】
請求項5から7までのいずれかに記載のタッチパネルを生産する方法であって、
前記導体層のパターンを画定する凹部を有するグラビア版に、前記該波線の延長方向に対して平行となるように設置したドクターブレードにより、導電インキを、前記ドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記切欠きが設けられている折返し部の頂点の突出する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって前記導体層を印刷することを特徴とするタッチパネルの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は印刷配線の生産方法に関し、さらに印刷によって導体層が形成されるタッチ
パネル及びタッチパネルの生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルやメンブレンスイッチ、液晶ディスプレイなどの各種電子デバイスの電極パターン、配線パターンの形成に、近年、生産性に優れ、製造コストの面で有利な印刷法が用いられるようになってきている。なかでもグラビアオフセット印刷は微細パターンの形成に適しているものとして注目されている。
【0003】
グラビアオフセット印刷では所望の印刷パターンに対応する凹部が形成されたグラビア版と、グラビア版の凹部にインキを充填するドクターブレードと、グラビア版に接触しながら回転し、インキを受理するブランケットとが用いられる。ブランケットに転移したインキは印刷対象に転写され、これにより所望の印刷パターンが印刷対象に印刷される。
【0004】
ドクターブレードは刃先が所要圧力でグラビア版に押し付けられ、グラビア版と相対的に摺動することにより、グラビア版の凹部へのインキの充填及びグラビア版の表面の余分なインキの掻き取り(スキージング)を行うものであるが、例えばグラビア版に形成されている印刷パターンの凹部の延びている方向と、ドクターブレードの方向(配置方向)が一致すると、ドクターブレードの先端が凹部内に落ち込むといった現象が生じうる。
【0005】
このようなドクターブレードの落ち込みが生じると、掻きむらや凹部内のインキの一部が掻き取られてしまうといったことが発生し、これにより未転写、形状不良といった印刷不良が発生する。
【0006】
特許文献1にはこのようなドクターブレードの落ち込みに基因する印刷不良を回避するための方法(インキング方法)が記載されている。図8及び図9は特許文献1に記載されているインキングを行う状態及びインキングの実施に用いる装置構成を示したものである。
【0007】
図9中、11はベース、12はリニアガイド、13はリニアガイド12に沿って走行(往復動)可能な移動テーブルを示し、移動テーブル13の上には水平面内で角度変更(旋回)可能なアライメント機構14が設けられ、その上に版固定ステージ15が設けられている。版固定ステージ15は平板状の版(グラビア版)16を保持できるようにされている。版16が移動テーブル13のリニアガイド12に沿う走行に伴って移動するときには、リニアガイド12の長手方向と直交する水平方向に延びるブレード(ドクターブレード)17を上方より接触させることで版16の版面に対し、ブレード17を相対的に摺動させてインキングを行うものとなっている。
【0008】
特許文献1ではインキングに際し、まず、版16の印刷パターン18に対し、移動テーブル13のインキング時移動方向(X方向)に複数に分割して分割領域を設定する。図8では2分割した分割領域18a,18bが設定されており、各分割領域18a,18b内に設けられている版溝について主たる溝パターン方向(版溝の角度が最も多く一致する方向)19a,19bを溝角度(版溝の延びる方向)、溝本数、溝幅等のデータを基にして各分割領域18a,18bごとに算出する。
【0009】
そして、ブレード17を摺動させ、インキングを行う際、図8Aに示したように分割領域18aにブレード17が接する時には主たる溝パターン方向19aがブレード17の長手方向と0度よりも大きな角度で配置されるようにアライメント機構14により版固定ステージ15ごと版16を回転させるようにする。これにより、ブレード17の長手方向が主たる溝パターン方向19aからずれた角度姿勢でブレード17が摺動するようになるため、ブレード17の先端の版溝への引っ掛かりを回避することができる。
【0010】
移動テーブル13の走行に伴ってブレード17が分割領域18bに接するようになる時には、上記と同様、主たる溝パターン方向19bがブレード17の長手方向と0度よりも大きな角度で配置されるようにアライメント機構14により版16を回転させる。これにより、上記と同様、ブレード17の先端の版溝への引っ掛かりを回避することができる。
【0011】
このように、特許文献1では版の印刷パターンを、インキング時におけるブレードとの相対移動方向に複数の分割領域に分割し、各分割領域ごとに主たる溝パターン方向を求めておき、インキングを行う時に印刷パターンの各分割領域に順次接するブレードと、ブレードが接している分割領域について求めてある主たる溝パターン方向が0度より大きな角度を取るように版とブレードを相対的に回転させることにより、ブレードの先端が版溝に落ち込んで引っ掛かるのを回避できるようにし、これにより印刷不良の発生を防止することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第5347990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述した特許文献1に記載されているようなインキング方法では、グラビア版の印刷パターンを分割し、各分割領域ごとに主たる溝パターン方向を求めるといった面倒な作業が必要であり、また従来の印刷装置をそのまま用いることはできず、アライメント機構を備えた新たな印刷装置を用意する必要がある。加えて、ロール式のグラビアオフセット印刷には適用することができないといった問題もある。
【0014】
さらに、グラビア版の主たる溝パターン方向に対してブレードが平行とならないようにするものであるため、ブレードと溝パターンの平行関係が完全に排除されるものではなく、よってブレードの落ち込み、引っ掛かりを完全には回避することはできないものとなっている。
【0015】
この発明の目的はこのような状況に鑑み、グラビア印刷によって印刷不良が生じること
なく、良好に配線パターンを印刷することができるようにした印刷配線の生産方法を提供
することにあり、さらにグラビア印刷によって印刷不良が生じることなく、良好に導体層
を形成することができるようにしたタッチパネル及びタッチパネルの生産方法を提供する
ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明によれば、基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンが形
成されてなる印刷配線を生産する方法において、印刷配線の、基材の面上の特定方向に延
長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンは波線で構成され、波線
で構成された配線パターンに含まれる少なくとも1つの波線の隣には該波線とは絶縁され
た隣接する配線パターンが形成され、かつ該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのそれぞれに突出する該波線の折返し部のうちの前記隣接する配線パターンが形成されている側に向く一方の向きに突出する折返し部のみにおいてその頂点に切欠きが設けられ、硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを画定する凹部を有するグラビア版に、前記延長方向に対して平行となるように設置されたドクターブレードにより、導電インキを、ドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記一方の向きと一致する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって
印刷配線を印刷する。
【0017】
請求項2の発明では請求項1の発明において、前記隣接する配線パターンは、前記該波
線と平行に延長して前記該波線と共に配列された、波線で構成された配線パターンに含ま
れるもう1つの波線とされる。
【0018】
請求項3の発明によれば、基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンが形
成されてなる印刷配線を生産する方法において、印刷配線の、基材の面上の特定方向に延
長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンは波線で構成され、波線
で構成された配線パターンに含まれる少なくとも1つの波線には該波線の延長方向に対す
る直交方向における2つの向きのうちの少なくともいずれか一方の向きに突出する折返し
部の頂点に、折返し部が前記延長方向に平行な直線で切り欠かれてなる切欠きが設けられ、硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを画定する凹部を有するグラビア版に、該波線の延長方向に対して平行となるように設置されたドクターブレードにより、導電インキを、ドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記切欠きが設けられている折返し部の頂点の突出する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって印刷配線を印刷する。
【0019】
請求項4の発明によれば、基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンが形
成されてなる印刷配線を生産する方法において、印刷配線の、基材の面上の特定方向に延
長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンは波線で構成され、波線
で構成された配線パターンに含まれる少なくとも1つの波線には該波線の延長方向に対す
る直交方向における2つの向きのうちの少なくともいずれか一方の向きに突出する折返し
部の頂点にW字状の切欠きが設けられ、硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを
画定する凹部を有するグラビア版に、該波線の延長方向に対して平行となるように設置さ
れたドクターブレードにより、導電インキを、ドクターブレードと直交する方向における
2つの向きのうちの前記切欠きが設けられている折返し部の頂点の突出する向きにスキー
ジングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって印刷配線を印刷する。
【0020】
請求項5の発明によれば、硬化した導電インキの膜よりなり、矩形のセンサ領域に配列
されたセンサ電極列と、センサ電極列から引き出された引出し配線とを有する導体層を含
んで構成されるタッチパネルは、センサ電極列が前記矩形の短辺及び長辺の双方に斜交す
る線分で構成された細線のメッシュで形成され、引出し配線のうち、前記短辺に平行に延
長されている短辺平行部分と前記長辺に平行に延長されている長辺平行部分の少なくとも
いずれか一方の、細線のメッシュで形成されていない配線が波線で構成され、波線で構成
された配線に含まれる少なくとも1つの波線の隣には該波線とは絶縁された隣接する配線
パターンが形成され、かつ該波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのそれぞれに突出する該波線の折返し部のうちの前記隣接する配線パターンが形成されている側に向く一方の向きに突出する折返し部のみにおいてその頂点に切欠きが設けられているものとされる。
【0021】
請求項6の発明では請求項5の発明において、前記隣接する配線パターンは、前記該波
線と平行に延長して前記該波線と共に配列された、波線で構成された配線に含まれるもう
1つの波線とされる。
【0022】
請求項7の発明によれば、硬化した導電インキの膜よりなり、矩形のセンサ領域に配列
されたセンサ電極列と、センサ電極列から引き出された引出し配線とを有する導体層を含
んで構成されるタッチパネルは、センサ電極列が前記矩形の短辺及び長辺の双方に斜交す
る線分で構成された細線のメッシュで形成され、引出し配線のうち、前記短辺に平行に延
長されている短辺平行部分と前記長辺に平行に延長されている長辺平行部分の少なくとも
いずれか一方の、細線のメッシュで形成されていない配線が波線で構成され、波線で構成
された配線に含まれる少なくとも1つの波線には該波線の延長方向に対する直交方向にお
ける2つの向きのうちの少なくともいずれか一方の向きに突出する折返し部の頂点に、折
返し部が前記延長方向に平行な直線で切り欠かれてなる切欠きが設けられているものとされる。
【0023】
請求項8の発明は請求項5から7までのいずれかに記載のタッチパネルを生産する方法であって、導体層のパターンを画定する凹部を有するグラビア版に、前記該波線の延長方向に対して平行となるように設置したドクターブレードにより、導電インキをドクターブレードと直交する方向における2つの向きのうちの前記切欠きが設けられている折返し部の頂点の突出する向きにスキージングすることで充填する工程を有するグラビア印刷によって導体層を印刷する。
【発明の効果】
【0024】
この発明による印刷配線の生産方法によれば、グラビア版の凹部へのドクターブレード
の落ち込みに基因する印刷不良が生じることなく、良好に配線パターンをグラビア印刷す
ることができる。
【0025】
また、この発明によるタッチパネル及びタッチパネルの生産方法によれば、グラビア版の凹部へのドクターブレードの落ち込みに基因する印刷不良が生じることなく、グラビア印刷によって良好に導体層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ロール式のグラビアオフセット印刷装置の概要を説明するための模式図。
図2】この発明の対象であるタッチパネルの構成概要を説明するための図。
図3】Aは図2に示したタッチパネルの第1のセンサ電極列の詳細を示す部分拡大図、Bは図2に示したタッチパネルの第2のセンサ電極列の詳細を示す部分拡大図。
図4】この発明によるタッチパネルの一実施例における第1のセンサ電極列及び第1のセンサ電極列から引き出された引出し配線を示す部分拡大図。
図5】この発明によるタッチパネルの一実施例における第1のセンサ電極列から引き出された引出し配線を示す部分拡大図。
図6】Aは配線パターンの波線形状の第1の例を示す図、Bはインキのテーリング、滲みを説明するための図。
図7】Aは配線パターンの波線形状の第2の例を示す図、Bは配線パターンの波線形状の第3の例を示す図、Cは配線パターンの波線形状の第4の例を示す図。
図8】Aはグラビアオフセット印刷における従来のインキング方法においてブレードが印刷パターンの第1の分割領域に接している状態を示す平面図、BはAの状態の後、ブレードが印刷パターンの第2の分割領域に接している状態を示す平面図。
図9】グラビアオフセット印刷における従来のインキング方法の実施に用いる装置構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、初めに、この発明に適用するロール式のグラビアオフセット印刷の概要について説明する。
【0028】
図1はグラビアオフセット印刷装置の構成を示したものであり、グラビア胴21に取り付けられたシリンダー状のグラビア版22に、ディスペンサ23によってインキ24が供給される。インキ24はドクターブレード25によってグラビア版22に形成されている印刷パターンを画定する凹部22aに充填され、余分なインキ24はドクターブレード25によって掻き取られて凹部22a内にインキ24が収まるように均一にならされる。グラビア版22の凹部22aに充填されたインキ24は、ブランケット胴26に取り付けられ、グラビア版22に押し付けられながら回転するブランケット27が引き出し、ブランケット27上に転移する、ブランケット27上に転移したインキ24は流されてきた基材(印刷基材)28に再転移し(転写され)、印刷される。
【0029】
この発明はこのようなグラビアオフセット印刷において、グラビア版22の凹部22aへのドクターブレード25の落ち込みに基因する印刷不良を従来のグラビアオフセット印刷装置をそのまま用いて解消することができるようにしたものであり、以下、具体的に例を挙げて説明する。
【0030】
図2は静電容量式のタッチパネルの構成概要を示したものである。図2中、30は透明基板を示す。静電容量式のタッチパネルは透明基板30上に、例えば第1の導体層、絶縁層、第2の導体層及び保護膜が順次、積層形成された構成を有する。
【0031】
センサ電極列は図2では詳細図示を省略しているが、複数の第1のセンサ電極列と複数の第2のセンサ電極列とよりなり、複数の第1のセンサ電極列は第1の導体層によって形
成され、複数の第2のセンサ電極列は絶縁層により第1の導体層と絶縁された第2の導体層によって形成されている。図2中、矩形枠で囲んだ部分はセンサ電極列が位置するセンサ領域40を示す。
【0032】
図3Aは第1の導体層によって形成されている第1のセンサ電極列51の詳細を示したものであり、図3Bは第2の導体層によって形成されている第2のセンサ電極列61の詳細を示したものである。
【0033】
第1のセンサ電極列51は矩形をなすセンサ領域40の長辺41と平行なX方向に配列された複数の島状電極52と、隣接する島状電極52を連結する連結部53とよりなる。第1のセンサ電極列51は矩形をなすセンサ領域40の短辺42と平行なY方向に複数、並列配置されて設けられている。第2のセンサ電極列61はY方向に配列された複数の島状電極62と、隣接する島状電極62を連結する連結部63とよりなる。第2のセンサ電極列61はX方向に複数、並列配置されて設けられている。第1のセンサ電極列51と第2のセンサ電極列61は互いに絶縁された状態で交差され、連結部53と63は互いに重なる位置に位置されている。第1のセンサ電極列51と第2のセンサ電極列61は図3A,Bに示したようにセンサ領域40の長辺41及び短辺42の双方に斜交する線分で構成され、内部に多数個のセル状の空隙を形成する細線のメッシュで形成されており、島状電極52,62は外形が菱型形状をなす。
【0034】
図2に示した引出し配線71,72及び端子部73は第1の導体層によって形成されており、グランド配線74は第1及び第2の導体層の双方に形成されている。引出し配線71は各第1のセンサ電極列51のX方向両端からそれぞれ引き出されており、引出し配線72は各第2のセンサ電極列61のY方向一端からそれぞれ引き出されている。なお、図2では複数配列されてセンサ領域40から引き出されている引出し配線71及び72は、配列の両端に位置するもののみ示し、両端に位置する以外のものは図示を省略している。
【0035】
端子部73は矩形状をなす透明基板30の一方の長辺の中央部分に配列されて形成されており、引出し配線71,72は端子部73まで延びて端子部73に接続されている。グランド配線74はセンサ領域40及び引出し配線71,72を囲むように透明基板30の周縁部に形成されている。グランド配線74も端子部73に接続されている。
【0036】
太い端子部73及びグランド配線74は詳細図示を省略しているが、第1及び第2のセンサ電極列51,61と同様、センサ領域40の長辺41及び短辺42の双方に斜交する線分で構成され、延長方向及び幅方向にわたって多数個のセル状の空隙を含む細線のメッシュで形成されている。細い引出し配線71,72はライン状(線状)の配線とされる。
【0037】
上記のような構成を有する第1及び第2の導体層を銀などの導電粒子を含む導電インキを用いて図1に示したグラビアオフセット印刷装置よって印刷形成する場合、導体層のパターンを画定する凹部を有するグラビア版に対するドクターブレードのスキージング方向は、センサ領域40の長辺41と平行な、即ち透明基板30の長辺と平行なX方向もしくはセンサ領域40の短辺42と平行な、即ち透明基板30の短辺と平行なY方向のいずれかとなる。
【0038】
第1及び第2のセンサ電極列51,61、端子部73及びグランド配線74はX方向、Y方向の双方に斜交するメッシュで形成されているため、これら第1及び第2のセンサ電極列51,61、端子部73及びグランド配線74のパターンを画定するグラビア版の凹部にドクターブレードが落ち込むといったことは発生しない。一方、引出し配線71及び72はそれぞれX方向とY方向に延長する線分で構成されているため、これら引出し配線71,72のパターンを画定するグラビア版の凹部にドクターブレードが落ち込むといっ
たことが発生し得る。
【0039】
このようなグラビア版の凹部へのドクターブレードの落ち込みを解消すべく、この発明では引出し配線71,72のうち、センサ領域40の長辺41と平行なX方向に延長されている長辺平行部分と、センサ領域40の短辺42と平行なY方向に延長されている短辺平行部分のいずれか一方を波線で構成する。
【0040】
引出し配線71は図2に示したように、第1のセンサ電極列51との接続部から端子部73との接続部に向かって、長辺平行部分71a、短辺平行部分71b、長辺平行部分71c及び短辺平行部分71dを有しており、引出し配線72は第2のセンサ電極列61との接続部から端子部73との接続部に向かって、短辺平行部分72a、長辺平行部分72b及び短辺平行部分72cを有している。これらの部分に対し、この例では引出し配線71の長い短辺平行部分71bを波線で構成する。
【0041】
図4は多数配列されている引出し配線71の短辺平行部分71bが波線で構成されている状態を詳細に示したものであり、図5は引出し配線71の短辺平行部分71bから長辺平行部分71cへの移行部分をさらに詳細に示したものである。なお、この例では引出し配線71の、第1のセンサ電極列51との接続部である短い長辺平行部分71aは図4に示したように、X方向、Y方向の双方に斜交するメッシュで形成されている。
【0042】
上述したように、この例では引出し配線71の長い短辺平行部分71bを波線で構成する。そして引出し配線72の長辺平行部分72bは通常の直線で構成する。なお、他の引出し配線71の短辺平行部分71d及び引出し配線72の短い短辺平行部分72a,72cは詳細には示していないが、この例では引出し配線71の長辺平行部分71aと同様、メッシュで形成している。
【0043】
このように引出し配線71の短辺平行部分71bを波線で構成し、グラビアオフセット印刷によって第1の導体層を印刷形成する。印刷の際には第1の導体層のパターンを画定する凹部を有するグラビア版に、波線の延長方向に対して平行となるように、即ちY方向に設置したドクターブレードにより導電インキを波線の延長方向に対する直交方向(X方向)にスキージングすることで充填する。これにより、グラビア版の凹部にドクターブレードが落ち込むといったことを回避することができ、ドクターブレードの落ち込み、引っ掛かりに基因する印刷不良の発生を解消することができる。
【0044】
図6A及び図7A〜Cは配線パターンに適用する波線形状の各種例を示したものである。
【0045】
図6Aに示した波線をなす配線パターン100は波線が三角波とされたものである。図6Bは波線を三角波とし、グラビアオフセット印刷した時に、印刷された配線パターン100に生じうる形状不具合を示したものであり、図6B中、矢印Sはドクターブレードのスキージング方向を示す。スキージング方向に対して前方側に位置する三角波の折返し部(角)からaを付したインキのテーリングが生じることがあり、またbを付したインキの滲みが三角波の折返し部に生じることがある。
【0046】
このようなインキのテーリングや滲みは大きくなると、隣接する配線パターンに接触し、回路不良の原因となるため、配線パターンの配列ピッチの狭小化を妨げる要因となる。
【0047】
図7A〜Cに示した配線パターン110,120,130の波線は、上述したようなテーリングや滲みが隣接する配線パターンに接触する危険度を小さくすべく、スキージング方向に対して前方側に位置する三角波の折返し部の頂点に切欠きが形成されたものである
【0048】
図7Aに示した配線パターン110は折返し部にV字状の切欠き111が形成されたものであり、図7Bに示した配線パターン120は折返し部が直線で切り欠かれて切欠き121が形成されたものである。また、図7Cに示した配線パターン130は折返し部にW字状の切欠き131が形成されたものである。このように切欠きを設ければ、インキのテーリングや滲みが生じてもそれらの寸法が小さなものとなることから隣接する配線パターンに接触する危険度を小さくすることができ、よって配線パターンの配列ピッチの狭小化が可能となる。なお、図7A〜Cに示した配線パターン110,120,130はいずれも切欠き111,121,131が形成された折返し部と逆向きに突出する折返し部にも直線で切り欠かれて切欠き112,122,132がそれぞれ形成されたものとなっている。
【0049】
配線パターンの波線形状は上述したような三角波に限らず、例えば正弦波のような曲線よりなる波線形状でもよく、またドクターブレードの落ち込みが起きない程度に十分短いものであれば、波線の延長方向に平行な線分要素を含む例えば台形波のような波線形状でもよい。
【0050】
図4,5に詳細に示したタッチパネルの引出し配線71の短辺平行部分71bには図7Aに示した波線形状が適用されている。
【0051】
なお、図2に示したタッチパネルにおいては、センサ領域40の短辺42と平行な引出し配線71の長い短辺平行部分71bを波線で構成するものとしているが、例えばセンサ領域40の長辺41と平行な引出し配線71の長い長辺平行部分71c及び引出し配線72の長い長辺平行部分72bを波線で構成してもよく、短辺平行部分と長辺平行部分のいずれか一方が波線で構成される。そして、グラビアオフセット印刷の際には波線の延長方向に対して平行となるように設置したドクターブレードにより導電インキを波線の延長方向に対する直交方向にスキージングする。また、波線の延長方向に対する直交方向における2つの向きのうちの特定の一方の向きに突出する折返し部の頂点に図7A〜Cに示したように切欠きを設ける場合にはその特定の一方の向きにドクターブレードにより導電インキをスキージングする。
【0052】
なお、さらに別の形態として、センサ領域40の短辺42と平行な引出し配線71の長い短辺平行部分71b並びに長辺41と平行な引出し配線71の長い長辺平行部分71c及び引出し配線72の長い長辺平行部分72bのすべてを波線で構成し、センサ領域40の短辺42に平行な方向及び長辺41に平行な方向のいずれにおいても良好にスキージングできるようにしてもよい。
【0053】
なお、さらにもう一つの別の形態として、図7A〜Cに示した波線の折返し部の頂点の切欠きを、波線の両側の頂点に形成し、相互に反対となる2つの向きのいずれにおいても良好にスキージングできるようにしてもよい。これは例えば、一方向に係る往復の計2回スキージングを行うことでインキの充填の徹底をはかる場合などに有用である。
【0054】
以上、タッチパネルを例に説明したが、基材上に硬化した導電インキの膜よりなる配線パターンを有する印刷配線において、基材の面上の1つまたは複数の特定方向に延長されている配線パターンのすべてを波線で構成し、あるいは少なくとも、その1つまたは複数の特定方向に延長されている、細線のメッシュで形成されていない配線パターンのすべてを波線で構成するようにして、グラビアオフセット印刷で配線パターンを印刷する際、その1つまたは複数のうちの1つの特定方向に対して平行となるように設置したドクターブレードにより導電インキをそのドクターブレードの方向に対する直交方向にスキージング
することで充填すれば、グラビア版の凹部にドクターブレードが落ち込むといったことを回避することができ、よってドクターブレードの落ち込み、引っ掛かりに基因する印刷不良の発生を解消することができる。また、例えば配線を印刷するデバイスの外形が正方形である場合、その各辺に平行な直交2方向を特定方向としておき、さらに波線の折返し部に切欠きを設ける場合はその両側の頂点に設けておき、各辺沿いのいずれの向きで印刷機に設置しても良好なスキージングができるようにしたり、複数の特定方向から印刷実行の際に状況に応じて1つを選んで利用することなども可能である。この発明はこのように印刷不良の発生を解消することができる印刷配線、印刷配線を含んで構成されるタッチパネル等の電子デバイスを対象とする。
【0055】
なお、用いる印刷はロール式のグラビアオフセット印刷に限らず、平板式のグラビアオフセット印刷でもよく、またグラビア印刷であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
11 ベース 12 リニアガイド
13 移動テーブル 14 アライメント機構
15 版固定ステージ 16 版
17 ブレード 18 印刷パターン
18a,18b 分割領域 19a,19b 主たる溝パターン方向
21 グラビア胴 22 グラビア版
22a 凹部 23 ディスペンサ
24 インキ 25 ドクターブレード
26 ブランケット胴 27 ブランケット
28 基材 30 透明基板
40 センサ領域 41 長辺
42 短辺 51 第1のセンサ電極列
52 島状電極 53 連結部
61 第2のセンサ電極列 62 島状電極
63 連結部 71 引出し配線
71a,71c 長辺平行部分 71b,71d 短辺平行部分
72 引出し配線 72a,72c 短辺平行部分
72b 長辺平行部分 73 端子部
74 グランド配線
100,110,120,130 配線パターン
111,112,121,122,131,132 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9