特許第6806877号(P6806877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806877
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20201221BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20201221BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H05K13/04 B
   H01L21/52 F
   H01L21/60 311T
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-500988(P2019-500988)
(86)(22)【出願日】2017年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2017007383
(87)【国際公開番号】WO2018154760
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 和広
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−104636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
H01L 21/52
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給部と、
前記部品を実装部材に実装する部品実装部と、
前記部品供給部において前記部品を保持し、前記部品実装部に前記部品を供給する部品移載部と、を備えた部品実装装置であって、
前記部品移載部は、前記部品供給部における前記部品の載置面に対して平行となる第1軸に回転可能に支持されたアームと、
前記アームにおいて前記第1軸と平行に設けられ、前記部品を保持した状態で第2軸に回転可能に支持された保持ノズルと、を含み、
前記部品を表裏反転させる場合と表裏反転させないと場合とで、前記保持ノズルを回転禁止状態と回転許容状態のいずれかに切り換えて、前記部品供給部から前記部品を受け取る上流から前記部品実装部に前記部品を供給する下流に向けて前記部品を搬送する部品実装装置。
【請求項2】
前記部品移載部は、前記アームに対して前記保持ノズルを回転禁止状態と回転許容状態とに切り換える切替部を有する第1ユニットを具備し、
前記アームは、前記保持ノズルが前記部品を保持した後、前記部品を下流に向けて搬送する過程において回転するようになっており、
前記部品を表裏反転させる場合には、前記アームを回転させる際に、前記切替部を切り換えて前記保持ノズルを回転禁止状態にし、
前記部品を表裏反転させない場合には、前記アームを回転させる際に、前記切替部を切り換えて前記保持ノズルを回転許容状態にする請求項に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記部品移載部は、前記第1ユニットを含む複数のユニットによって前記部品を上流から下流に向けて受け渡して搬送するようになっており、
前記第1ユニットは、上流から下流のいずれかの位置に配置されている請求項に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記複数のユニットのうちの一のユニットは、前記部品を載置した状態で前記部品を上流から下流に向けて上下方向に昇降させて搬送する第2ユニットであって、
前記第2ユニットは、前記回転許容状態に切り換えられた前記保持ノズルが前記部品を保持した部分とは、反対側である裏側を保持するように前記保持ノズルから前記部品を受け取る請求項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記複数のユニットのうちの一のユニットは、前記部品を上方から受け取る第3ユニットであって、
前記第3ユニットは、前記第1ユニットにおいて回転禁止状態に切り換えられた前記保持ノズルが前記部品を受け渡す第1ユニット受渡位置と、
前記第2ユニットが昇降させた前記部品を受け渡す第2ユニット受渡位置とにおいて前記部品を受け取るようになっており、
前記第1ユニット受渡位置と、前記第2ユニット受渡位置とは、少なくとも上下方向と直行する水平方向に一致している請求項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記切替部は、
前記第1軸に回転可能に設けられたロックアームと、
前記第1軸に対する前記ロックアームの回転と前記第2軸に対する前記保持ノズルの回転とを連動させる連結部と、
前記ロックアームと前記アームとに係止して前記アームと連動して前記ロックアームを回転させるアームロック位置と、前記ロックアームと固定部とに係止して前記ロックアームが回転することを禁止する固定部ロック位置との間を移動可能なロック部とを有する請求項から請求項のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記ロック部には、前記アームロック位置と前記固定部ロック位置との間で前記ロック部を移動させる操作部が設けられている請求項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記切替部は、前記ロック部を、前記アームロック位置と前記固定部ロック位置との間で自動的に移動させる自動変更手段を有している請求項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記切替部は、前記アームロック位置と前記固定部ロック位置のいずれか一方の位置から他方の位置に向けて前記ロック部を移動させる移動力を付与する付与部材と、
前記ロック部に係止して前記付与部材の移動力に抗して前記一方の位置に前記ロック部を保持する保持部とを有している請求項または請求項に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記切替部は、
前記ロック部に設けられたハート状のカム溝と、
一端が固定され他端が前記カム溝内を摺動するラッチピンとを備え、
前記カム溝に設けられた窪み溝において前記ラッチピンの前記他端を係止、もしくは、前記ラッチピンの前記他端との係止を解除することにより、前記ロック部を前記アームロック位置における保持と前記固定部ロック位置における保持とのいずれかにに切り換える請求項または請求項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ベアチップなどの部品を吸着保持して基板やリードフレームなどの実装部材に実装する部品実装装置として、特開2004−363607号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この部品実装装置は、部品供給部のウェハーから実装ヘッドによって部品をピックアップし、実装部材に部品を実装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−363607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような部品実装装置において、部品の表裏を反転して実装部材に実装する場合には、一般に、部品の表裏を反転する部品反転機構を、部品実装装置に別途設けることで、部品を表裏反転して実装部材に実装する。
しかしながら、このような場合、部品実装装置の部品点数が増加すると共に、部品反転機構を設置するスペースを設けるために部品実装装置が大型化してしまう。
【0005】
本明細書では、部品点数の増加や部品実装装置の大型化を抑制しつつ、必要に応じて部品を表裏反転して実装する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、部品を供給する部品供給部と、前記部品を実装部材に実装する部品実装部と、前記部品供給部において前記部品を保持し、前記部品実装部に前記部品を供給する部品移載部とを備えた部品実装装置であって、前記部品移載部は、前記部品を表裏反転させて前記部品実装部に供給するか、もしくは、前記部品を表裏反転させずに前記部品実装部に供給するか切り替え可能となっている構成とした。
【0007】
このような構成の部品実装装置によると、実装する部品に応じて。部品移載部において部品を表裏反転させるか否か切り換えて、部品実装部に部品を供給することができる。これにより、部品点数の増加や部品実装装置の大型化を抑制しつつ、必要に応じて部品を表裏反転して実装することができる。
【0008】
本明細書によって開示される部品実装装置は、以下の構成としてもよい。
前記部品移載部は、前記部品を保持した状態で回転可能な保持ノズルを有し、
前記部品を表裏反転させる場合と表裏反転させないと場合とで前記保持ノズルを回転禁止状態と回転許容状態とのいずれかに切り換えて、前記部品供給部から前記部品を受け取る上流から前記部品実装部に前記部品を供給する下流に向けて前記部品を搬送する構成としてもよい。
このような構成によると、保持ノズルを回転禁止状態に切り換えることで、部品を表裏反転させた状態で部品実装部に供給することができる。一方、保持ノズルを回転許容状態に切り換えることで、部品を表裏反転させない状態で部品実装部に供給することができる。
【0009】
前記部品移載部は、前記部品供給部における前記部品の載置面に対して平行となる第1軸に回転可能に支持されたアームと、前記アームにおいて前記第1軸と平行に設けられた第2軸に回転可能に支持され、前記部品を保持する保持ノズルと、前記アームに対して前記保持ノズルを回転禁止状態と回転許容状態とに切り換える切替部とを有する第1ユニットを具備し、前記アームは、前記保持ノズルが前記部品を保持した後、前記部品を下流に向けて搬送する過程において回転するようになっており、前記部品を表裏反転させる場合には、前記アームを回転させる際に、前記切替部を切り換えて前記保持ノズルを回転禁止状態にし、前記部品を表裏反転させない場合には、前記アームを回転させる際に、前記切替部を切り換えて前記保持ノズルを回転許容状態にする構成としてもよい。
【0010】
このような構成によると、切替部を切り換えて、保持ノズルを回転禁止状態にすることで、アームを回転させた際に、部品が表裏反転し、部品を表裏反転した状態で部品実装部に供給することができる。一方、切替部を切り換えて、保持ノズルを回転許容状態に切り換えることで、アームを回転させた際に、部品が表裏反転せず、部品を表裏反転させない状態で部品実装部に供給することができる。
【0011】
前記部品移載部は、前記第1ユニットを含む複数のユニットによって前記部品を上流から下流に向けて受け渡して搬送するようになっており、前記第1ユニットは、上流から下流のいずれかの位置に配置されている構成としてもよい。
このような構成によると、部品移載部において部品を上流から下流に搬送する複数のユニットのうちのいずれかの位置に第1ユニットが配置されているから、部品を表裏反転させるか否ないかを選択して部品実装部に供給することができる。
【0012】
前記複数のユニットのうちの一のユニットは、前記部品を載置した状態で前記部品を上流から下流に向けて上下方向に昇降させて搬送する第2ユニットであって、前記第2ユニットは、前記回転許容状態に切り換えられた前記保持ノズルが前記部品を保持した部分とは、反対側である裏側を保持するように前記保持ノズルから前記部品を受け取る構成としてもよい。
このような構成によると、第2ユニットが保持ノズルから部品を受け取ることで、保持ノズルが保持していた部分が開放されるから、他のユニットにおいて保持ノズルが保持していた部分を保持して搬送することができる。つまり、部品を表裏反転させないで搬送する際に、第2ユニットを設けることは非常に有効である。
【0013】
前記複数のユニットのうちの一のユニットは、前記部品を上方から受け取る第3ユニットであって、前記第3ユニットは、前記第1ユニットにおいて回転禁止状態に切り換えられた前記保持ノズルが前記部品を受け渡す第1ユニット受渡位置と、前記第2ユニットが昇降させた前記部品を受け渡す第2ユニット受渡位置とにおいて前記部品を受け取るようになっており、前記第1ユニット受渡位置と、前記第2ユニット受渡位置とは、少なくとも上下方向と直行する水平方向に一致している構成としてもよい。
このような構成によると、部品の表裏に関係なく、第3ユニットの位置を変更させないで、第3ユニットによって部品を受け取ることができる。これにより、部品の表裏によって第3ユニットの位置を変更して部品を受け取る場合に比べて、
実装作業の効率化を図ることができる。
【0014】
前記切替部は、前記第1軸に回転可能に設けられたロックアームと、前記第1軸に対する前記ロックアームの回転と前記第2軸に対する前記保持ノズルの回転とを連動させる連結部と、前記ロックアームと前記アームとに係止して前記アームと連動して前記ロックアームを回転させるアームロック位置と、前記ロックアームと固定部とに係止して前記ロックアームが回転することを禁止する固定部ロック位置との間を移動可能なロック部とを有する構成としてもよい。
【0015】
このような構成によると、ロック部を、アームロック位置と固定部ロック位置との間で移動させることで、ロックアームと連結部とを介して保持ノズルを回転禁止状態と回転許容状態とに切り換えることができるから、部品の種類に合わせて部品を表裏反転させるか否ないかを選択して部品実装部に供給することができる。
【0016】
前記ロック部には、前記アームロック位置と前記固定部ロック位置との間で前記ロック部を移動させる操作部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、操作部を操作するだけでロック部をアームロック位置と固定部ロック位置との間で移動させて、保持ノズルを回転禁止状態と回転許容状態とに切り換えることができるから、例えば、複雑な切換機構を設ける場合に比べて、表面実装機を簡素化すると共に、表面実装機が大型化することを抑制することができる。
【0017】
前記切替部は、前記ロック部を、前記アームロック位置と前記固定部ロック位置との間で自動的に移動させる自動変更手段を有している構成としてもよい。
このような構成によると、ロック部を移動させる作業のために、部品実装装置の実装作業を停止する必要がないから、実装作業が遅延することを抑制することができる。
【0018】
前記切替部は、前記アームロック位置と前記固定部ロック位置とのいずれか一方の位置から他方の位置に向けて前記ロック部を移動させる移動力を付与する付与部材と、前記ロック部に係止して前記付与部材の移動力に抗して前記一方の位置に前記ロック部を保持する保持部とを有している構成としてもよい。
【0019】
このような構成によると、例えば、アームロック位置(一方の位置)から固定部ロック位置(他方の位置)に移動させる付与部材の移動力によってロック部をアームロック位置に保持し、必要に応じて保持部によりロック部を固定部ロック位置において保持することができる。
【0020】
前記切替部は、前記係止部内に設けられたハート状のカム溝と、一端が固定され他端が前記カム溝内を摺動するラッチピンとを備え、前記カム溝に設けられた窪み溝において前記ラッチピンの前記他端を係止、もしくは、前記ラッチピンの前記他端との係止を解除することにより、前記ロック部を前記アームロック位置における保持と前記固定部ロック位置における保持とのいずれかにに切り換える請求項3または請求項5に記載の部品実装装置。
【0021】
このような構成によると、例えば、ラッチピンの他端をカム溝の窪み溝に係止することでロック部をアームロック位置に保持し、必要に応じてラッチピンの他端と窪み溝との係止を解除することでロック部を固定部ロック位置に保持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本明細書によって開示される技術によれば、部品点数の増加や部品実装装置の大型化を抑制しつつ、必要に応じて部品を表裏反転して実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係る表面実装機の平面図
図2】表面実装機の正面図
図3】部品取出ユニットから昇降ユニットに電子部品を受け渡している状態を示す図
図4】トラバーサユニットからシャトルユニットに電子部品を受け渡している状態を示す図
図5】部品取出ユニットからトラバーサユニットに電子部品を受け渡している状態を示す図
図6】部品取出ユニットのアーム部の正面図
図7】ロックピンがフレームロック位置に配された状態の図6の側面に相当する側面図
図8】ロックピンがフレームロック位置に配された状態でアーム部が非連結位置に配された状態を示す正面図
図9図8の側面図
図10】ロックピンがフレームロック位置に配された状態のアーム部の要部を示す断面図
図11】アーム本体が初期位置に配された状態を示す正面図
図12】ロックアームがユニットフレームに固定された状態でアーム本体が初期位置から最終位置に移動する過程を示す正面図
図13】ロックアームがユニットフレームに固定された状態でアーム本体が最終位置に配された状態を示す正面図
図14】ロックピンがアームロック位置に配された状態の図6の側面に相当する側面図
図15】ロックピンがアームロック位置に配された状態でアーム部が非連結位置に配された状態を示す正面図
図16図15の側面図
図17】ロックアームがアーム本体に固定された状態でアーム本体が初期位置から最終位置に移動する過程を示す正面図
図18】ロックアームがアーム本体に固定された状態でアーム本体が最終位置に配された状態を示す正面図
図19】実施形態2における図10の断面に相当する断面図
図20】実施形態3における図10の断面に相当する断面図
図21】ロックピンがアームロック位置に配された状態の断面図
図22】実施形態4における図10の断面に相当する断面図
図23】ロックピンがアームロック位置に配された状態の断面図
図24】実施形態5における図10の断面に相当する断面図
図25】ロックピンがアーム本体側に押圧されてラッチピンの摺動部がカム溝内を摺動する過程を示す断面図
図26】ラッチピンが窪み部に配されてロックピンがアームロック位置に保持された状態を示す断面図
図27】ロックピンがアーム本体側に押し込まれてラッチピンが窪み部から外れた状態を示す断面図
図28】ラッチピンが窪み部から外れてカム溝内を摺動する過程を示す断面図
図29】ロックピンがコイルばねによってアームロック位置に保持された状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術における実施形態1について図1から図18を参照して説明する。
本実施形態は、ウェハーのチップなどの電子部品(「部品」の一例)Eをプリント基板(「実装部材」の一例)Pに実装する表面実装機(「部品実装装置」の一例)10を例示している。なお、本実施形態において、「プリント基板Pに電子部品Eを実装する」とは「プリント基板Pに電子部品Eを搭載する」ことを意味している。
【0025】
表面実装機10は、平面視略矩形状の基台11と、基台11上にプリント基板Pを搬送する搬送コンベア12と、プリント基板P上に電子部品Eを実装する一対の部品実装部20と、電子部品Eを供給するための部品供給部13と、部品供給部13から電子部品Eを受け取る上流から部品実装部20に電子部品Eを供給する下流に向けて電子部品Eを移載する一対の部品移載部30とを備えて構成されている。
【0026】
なお、以下の説明において、左右方向もしくはX軸方向とは、図1における左右方向(搬送コンベア12の搬送方向)および図6における左右方向を基準とし、上下方向もしくはZ軸方向とは、図2および図6における上下方向を基準とする。また、前後方向もしくはY軸方向とは、図1における上下方向および図7の左右方向を基準とし、図7においては図示左側を前側、図示右側を後側として説明する。
【0027】
基台11は、図1に示すように、搬送コンベア12、一対の部品実装部20、部品供給部13、一対の部品移載部30などが配置される基台であって、基台11における搬送コンベア12の下方には、プリント基板P上に電子部品Eを実装する際に、そのプリント基板Pをバックアップするための図示しないバックアッププレート等が設けられている。
【0028】
搬送コンベア12は、図1に示すように、基台11の前後方向の略中央部に配されており、プリント基板Pを左右方向に搬送する。また、搬送コンベア12は、左右方向に循環駆動する一対のコンベアベルト14を備えており、一対のコンベアベルト14には、プリント基板Pが架設する形でセットされる。そして、プリント基板Pは、コンベアベルト14によって左側(上流側)から基台11の左右方向略中央部よりも左側の実装領域PTに搬入され、左側の実装領域PTにおいて電子部品Eの実装作業がされた後、コンベアベルト14によって基台11の左右方向略中央部よりも右側(下流側)の実装領域PTに搬送される。そして、右側の実装領域PTにおいて電子部品Eの実装作業がされた後、コンベアベルト14によって基台11の右側(下流側)に搬出されるようになっている。
【0029】
部品供給部13は、図1に示すように、基台11の左右方向略中央部における前後方向略中央部よりもやや前側の位置に配置されている。
部品供給部13には、半導体ウェハーを格子状にダイシングして分離した複数の電子部品Eが取り出し可能な状態で配置されており、部品供給部13の下方には、電子部品Eを供給する際に、部品供給部13を前後左右に移動させるための図示しない移動機構が設けられている。
【0030】
一対の部品実装部20は、図1に示すように、基台11の前後方向略中央部から基台11の後端部の間に配置されており、各部品実装部20は、基台11の左右方向略中央部を境に左右両側にそれぞれ配置されている。
【0031】
各部品実装部20は、前後に延びる一対のY軸フレーム21と、一対のY軸フレーム21に架設された箱形状の実装部本体22と、実装部本体22の前面22Aに設けられたX軸フレーム23と、X軸フレーム23に移動可能に取り付けられたヘッドユニット25とを備えて構成されている。
【0032】
一対のY軸フレーム21には、Y軸フレーム21に沿って配された図示しないY軸ガイドレールと、図示しないY軸サーボモータとが設けられており、Y軸サーボモータが通電制御されると、実装部本体22と実装部本体22にX軸フレーム23を介して取り付けられたヘッドユニット25とがY軸ガイドレールに沿って前後方向に移動するようになっている。
【0033】
X軸フレーム23は、実装部本体22の前面22Aにおいて左右方向に延びた状態で取り付けられている。X軸フレーム23には、X軸フレーム23に沿って配された図示しないX軸ガイドレールと、図示しないX軸サーボモータとが設けられており、X軸サーボモータが通電制御されると、ヘッドユニット25がX軸ガイドレールに沿って左右方向に移動するようになっている。
【0034】
したがって、各部品実装部20のヘッドユニット25は、搬送コンベア12によって搬送されたプリント基板P上や各部品実装部20の前端部に配された部品移載部30上を前後左右方向にそれぞれ独立して移動することが可能となっている。
【0035】
ヘッドユニット25は、図1および図2に示すように、箱形状をなし、ヘッドユニット25の下面には、電子部品Eの実装を行う実装ヘッド26が左右方向に複数並んで搭載されている。各実装ヘッド26は、ヘッドユニット25内に設置された図示しないR軸モータにより軸回りに回転可能とされると共に、図示しないZ軸モータによってヘッドユニット25に対して上下方向に昇降可能な構成とされている。
【0036】
各実装ヘッド26には、実装部本体22内に設置された図示しないエア供給源から負圧もしくは正圧が供給されるようになっており、各実装ヘッド26は、部品移載部30から供給される電子部品Eを負圧によって吸着保持し、正圧によって電子部品Eを開放してプリント基板Pに実装する。
【0037】
一対の部品移載部30は、部品供給部13の左右方向両側にそれぞれ配されており、各部品移載部30は、部品供給部13から電子部品Eを取り出す部品取出ユニット(「第1ユニット」の一例)70と、部品取出ユニット70から電子部品Eを受け取る昇降ユニット(「第2ユニット」の一例)40と、部品取出ユニット70もしくは昇降ユニット40から電子部品Eを受け取るトラバーサユニット(「第3ユニット」の一例)50と、トラバーサユニット50から受け取った電子部品Eを部品実装部20に供給する複数のシャトルユニット60とを備えて構成されている。
【0038】
昇降ユニット40は、電子部品Eを上下方向(Z軸方向)に移動させるものであって、図1および図2に示すように、電子部品Eを載置可能なリフタヘッド41と、リフタヘッド41を上下方向に移動可能に支持するガイド部42と、ガイド部42の側方において基台11に固定された昇降サーボモータ43とを備えて構成されている。なお、図2から図5では、昇降サーボモータ43が基台11に固定されている部分については、図示省略している。
【0039】
また、一対の部品移載部30における各昇降ユニット40は、部品供給部13の左右方向両側にそれぞれ配置されており、各昇降ユニット40のリフタヘッド41が部品供給部13側となるように互いに左右方向に対向した状態で配置されている。
【0040】
リフタヘッド41は平板状をなしており、リフタヘッド41の上面41Aは、1つの電子部品Eを載置可能な大きさに設けられている。また、リフタヘッド41は、図2および図3に示すように、昇降サーボモータ43の下端部よりもやや上方に位置する第1受渡位置P1と昇降サーボモータ43の上端部である第2受渡位置P2(「第2ユニット受渡位置」に相当する)との間を上下方向に往復移動可能とされている。
【0041】
リフタヘッド41は、昇降サーボモータ43が通電制御されると、ガイド部42に沿ってそれぞれが独立して上下方向に移動し、第1受渡位置P1で受け取った電子部品Eを第2受渡位置P2まで上方に移動させるようになっている。また、リフタヘッド41の上面41Aには、図示しないエア供給装置から負圧および正圧が供給されるようになっており、第1受渡位置P1において負圧を供給することで、部品取出ユニット70から受け渡される電子部品Eを吸着保持し、第2受渡位置P2において正圧を供給することで電子部品Eを開放して受け渡すことができるようになっている。
【0042】
トラバーサユニット50は、電子部品Eを基台11に沿うようにして前後方向(Y軸方向)に移動させるものであって、トラバーサユニット50は、トラバーサ本体51と、トラバーサ本体51に対して前後方向に移動可能に支持されるトラバーサヘッド52とを備えて構成されている。
【0043】
トラバーサ本体51は、前後方向に長い箱形状をなしており、各昇降ユニット40の前方において基台11に固定されている。なお、昇降ユニット40と同様に、図2から図5では、トラバーサ本体51が基台11に固定されている部分については、図示省略している。
【0044】
トラバーサ本体51の内部には、図示しないトラバーサ駆動モータが設けられている。トラバーサ本体51における部品供給部13側の上縁部には、トラバーサヘッド52が保持されている。トラバーサヘッド52は、図4に示すように、第2受渡位置P2と後述するシャトルユニット60が配される第3受渡位置P3との間を前後方向に往復移動可能な状態で保持されており、トラバーサ駆動モータが通電制御されることで、トラバーサヘッド52が第2受渡位置P2と第3受渡位置P3との間を移動するようになっている。
【0045】
トラバーサヘッド52は、前後方向に長い形態をなしており、トラバーサヘッド52の後端部には、下方に突出するトラバーサノズル53が設けられている。
トラバーサノズル53は、ヘッドユニット25内に設置された図示しないZ軸モータによってトラバーサヘッド52に対して上下方向に昇降可能な構成とされおり、トラバーサノズル53には、図示しないエア供給装置から負圧および正圧が供給されるようになっている。
【0046】
したがって、トラバーサヘッド52を第2受渡位置P2に配置し、トラバーサノズル53を降下させてトラバーサノズル53を電子部品Eに接触させた後、トラバーサノズル53に負圧を供給することで、第2受渡位置P2において受け渡される電子部品Eをトラバーサノズル53によって吸着保持する。そして、トラバーサヘッド52が第3受渡位置P3に配置され、トラバーサノズル53に正圧が供給されることで電子部品Eを開放して受け渡すことができるようになっている。
【0047】
各シャトルユニット60は、電子部品Eを基台11に沿うようにして左右方向(X軸方向)に移動させるものである。シャトルユニット60は、昇降ユニット40の後方において部品実装部20のY軸フレーム21と交差するように前後方向に2つ平行に並んで配置されている。
【0048】
各シャトルユニット60は、左右方向に延びるガイドレール61と、ガイドレール61に沿って左右方向に移動する左右方向に長い箱形状のシャトル本体62とを備えて構成されている。
ガイドレール61は、部品供給部13の後部側方から基台11の側縁まで延びた状態で基台11に固定されている。なお、昇降ユニット40やトラバーサユニット50と同様に、図2から図5では、ガイドレール61が基台11に固定されている部分については、図示省略している。
【0049】
シャトル本体62は、図1図2および図3に示すように、第3受渡位置P3と、ガイドレール61において部品実装部20のヘッドユニット25が移動可能な第4受渡位置(例えば、図1においてガイドレール61と部品実装部20における外側のY軸フレーム21とが交差する位置)P4との間を往復移動可能とされている。シャトル本体62は、ガイドレール61に設けられた図示しないシャトル用サーボモータが通電制御されることにより、第3受渡位置P3と第4受渡位置P4との間を移動するようになっている。
【0050】
また、シャトル本体62上には、電子部品Eを左右方向に複数並べて保持する供給ノズル65が左右方向に横並びに設けられている。供給ノズル65には、図示しないエア供給装置から負圧および正圧が供給されるようになっている。供給ノズル65は、シャトル本体62が第3受渡位置P3に配置された状態において供給ノズル65に負圧が供給されることで、第3受渡位置P3において受け渡される電子部品Eを吸着保持する。そして、複数回に亘って第3受渡位置P3において電子部品Eを受け取ることで、シャトル本体62上の供給ノズル65上に複数の電子部品Eを左右方向に並べて保持する。
【0051】
複数の電子部品Eをシャトル本体62の供給ノズル65上に保持したところで、シャトル本体62を第4受渡位置P4に移動させ、第4受渡位置P4において供給ノズル65に正圧を供給することで複数の電子部品Eを開放して受け渡す。これにより、部品実装部20のヘッドユニット25における複数の実装ヘッド26よって複数の電子部品Eを一括して受け取ることができる。
【0052】
さて、部品取出ユニット70は、図2および図3に示すように、部品供給部13から供給される電子部品Eを表裏反転させずに第1受渡位置P1において昇降ユニット40に受け渡す、もしくは、図5に示すように、電子部品Eを表裏反転させて第2受渡位置P2においてトラバーサユニット50に受け渡す構成とされている。
【0053】
詳細には、一対の部品移載部30における部品取出ユニット70は、図1から図5に示すように、部品供給部13の後端部において左右方向に一対並んで配置されており、各部品取出ユニット70は、図6および図7に示すように、基台11に固定された回転モータ71と、回転モータ71に対して回転可能に支持されたアーム部80とを備えて構成されている。なお、部品取出ユニット70は、図2から図5では、回転モータ71が基台11に固定されている部分については、図示省略している。
【0054】
また、以下の説明においては、一対の部品移載部30における部品取出ユニット70は、左右対称に配置されているものの、その構成はほぼ同一であるため、図1における図示右側の部品取出ユニット70を代表して説明する。
【0055】
回転モータ71は、図1および図4に示すように、部品供給部13の後端部から部品供給部13上に延出された形態をなしており、回転モータ71には、図7に示すように、通電制御により、軸周りに回転する回転軸72が設けられている。
【0056】
アーム部80は、図7に示すように、回転モータ71の回転軸72に固定されたブラケット81と、ブラケット81に支持されたアーム本体(「アーム」の一例)82と、アーム本体82に設けられた保持ノズル83とを備えて構成されている。
【0057】
ブラケット81は、回転モータ71の回転軸72に一体に固定されている。ブラケット81は、回転モータ71における回転軸72の回転に伴って約180度回転するようになっている。
【0058】
ブラケット81の前面81Aには、ガイド機構85が設けられている。ガイド機構85は、ブラケット81の前面81Aおいて上下方向に延びた形態で設けられたアームガイドレール86と、アームガイドレール86に対して上下方向に移動可能に支持された支持部87とを備えている。
【0059】
支持部87は、図7および図14に示すように、アームガイドレール86の上端部に配されることで回転モータ71の回転軸72に連結して回転可能となる連結位置P5と、図9および図16に示すように、アームガイドレール86の上下方向略中央部に配されて回転モータ71の回転軸72と非連結となる非連結位置P6との間をアームガイドレール86に沿って移動可能とされており、支持部87は、自然状態では、例えば、図示しないばねなどの付勢部材によって付勢されて連結位置P5に位置決めされている。
【0060】
支持部87には、図7および図9に示すように、アームガイドレール86とは反対側の前面87Aにアーム本体82が固定されている。
【0061】
アーム本体82は平板状をなしており、アーム本体82は支持部87から部品供給部13における電子部品Eの載置面13Aに向けて斜め下方に延出された初期位置P7(図6および図11参照)と、支持部87から斜め上方に向けて延出された最終位置P8(図13および図18参照)との間を回転モータ71の回転に伴ってブラケット81と共に半円状の軌跡を描くように約180度回転移動するようになっている。
【0062】
アーム本体82の支持部87側とは反対側の前面82Aには、図7および図9に示すように、回転モータ71の回転軸72と同一方向である前後方向に延びる円柱状のアーム軸(「第1軸」の一例)88が設けられている。このアーム軸88は、部品供給部13において電子部品Eが載置される載置面13Aに対して平行となるように設定されており、アーム軸88には、カムフォロア90と第1プーリ91とが設けられている。
【0063】
カムフォロア90は、図6から図9に示すように、円形平板状をなし、アーム軸88に回転可能に支持されている。
【0064】
一方、基台11に設けられたユニットフレーム74には、図6および図8に示すように、左右方向に移動することでカムフォロア90に対して進退可能なカムピン75が設けられている。カムピン75は、図8に示すように、進出するに伴ってカムピン75に設けられたテーパ面76をカムフォロア90に対して斜め上方から押し付けるようになっている。カムフォロア90は、カムピン75のテーパ面76が斜め上方から押し付けられると、図9に示すように、支持部87が連結位置P5から非連結位置P6に移動することに伴ってアーム軸88やアーム本体82が下方に移動し、アーム本体82の先端に設けられた後述する保持ノズル83が、図8および図9に示すように、部品供給部13の電子部品Eに接触するようになっている。
【0065】
第1プーリ91は、図6から図9に示すように、円形平板状をなしており、アーム軸88においてカムフォロア90よりもアーム本体82側に支持されている。第1プーリ91の前面91Aには、アーム本体82の先端部に設けられた第2プーリ93と連結されるリンクバー(「連結部」の一例)95が装着されている。
【0066】
第2プーリ93は、第1プーリ91と同径の円形平板状をなしており、図7および図9に示すように、アーム本体82の先端部に設けられたノズル軸(「第2軸」の一例)94に固定されている。
ノズル軸94は、アーム軸88と平行となるようにアーム本体82に回転可能に設けられており、ノズル軸94に回転によって第2プーリ93が回転するようになっている。
【0067】
ノズル軸94において第2プーリ93が設けられた側の端部とは反対側の端部には、図7および図9に示すように、ノズル軸94から径方向外側である下方に向かって延びる保持ノズル83が設けられており、保持ノズル83もノズル軸94に回転によって第2プーリ93と共に回転するようになっている。
【0068】
保持ノズル83には、ブラケット81およびアーム本体82に設けられた図示しないエア供給路を通してエア供給装置から負圧および正圧が供給されるようになっており、保持ノズル83は、負圧が供給されることで部品供給部13において供給される電子部品Eを吸着保持し、正圧が供給されることで電子部品Eを開放する。
【0069】
リンクバー95は平板状をなし、図6および図8に示すように、リンクバー95の長さ寸法は、アーム軸88とノズル軸94との間の距離と一致する長さ寸法に設定されている。リンクバー95は、一端(図6のリンクバー95における上端)95Aが第1プーリ91の前面91Aに設けられた第1支持ピン91Bに回転可能に装着されており、他端(図6のリンクバー95における下端)95Bが第2プーリ93の前面93Aに設けられた第2支持ピン93Bに回転可能に装着されている。
【0070】
また、第1プーリ91と第2プーリ93との外周には、図6から図9に示すように、両プーリ91,93に亘って外嵌された環状のリンクベルト(「連結部」の一例)96が、テンションがかかった状態で装着されている。
【0071】
そして、第1プーリ91をアーム本体82に固定せずに位置決めした状態でアーム本体82を回転させると、図12および図13に示すように、第1プーリ91がアーム軸88に対して相対的に回転する回転許容状態となり、リンクバー95とリンクベルト96によって、第2プーリ93がアーム本体82の回転方向と反対方向にアーム本体82の回転角度と同一角度だけ回転する。つまり、保持ノズル83がアーム本体82に対して回転許容状態となり、保持ノズル83によって保持された電子部品Eを表裏反転させずに第1受渡位置P1に搬送することができるようになっている。
【0072】
具体的には、第1プーリ91が回転しないように固定した状態で、回転モータ71を回転させてアーム本体82を時計回りに約180度回転させると、図13に示すように、第2プーリ93が反時計回りに約180度回転する。したがって、保持ノズル83は、アーム本体82が初期位置P7から最終位置P8まで移動する間、常に下方に向いた状態に保持される。これにより、保持ノズル83によって保持された電子部品Eを表裏反転させずに第1受渡位置P1に搬送することができるようになっている。
【0073】
一方、第1プーリ91をアーム本体82に固定した状態で、アーム本体82を回転させると、第1プーリ91がアーム本体82に固定されたことで、第1プーリ91がアーム軸88に対して相対的に回転しない回転禁止状態となり、第2プーリ93は、アーム本体82に対して回転しない状態で、図17および図18に示すように、アーム本体82の先端と共に半円状の軌跡を描くように約180度回転する。
【0074】
つまり、保持ノズル83が、アーム本体82に対して相対的に回転しない回転禁止状態となって、第2受渡位置P2において上方に向いた状態となり、保持ノズル83によって保持された電子部品Eを表裏反転した状態で第2受渡位置P2に搬送することができるようになっている。したがって、本実施形態によると、アーム本体82に対して相対的に回転しない回転禁止状態の保持ノズル83が電子部品Eをトラバーサユニット50のトラバーサノズル53に受け渡す位置と、昇降ユニット40におけるリフタヘッド41が電子部品Eをトラバーサユニット50のトラバーサノズル53に受け渡す位置とは、上下方向に一致する共に、上下方向と直行する水平方向にも一致する第2受渡位置P2(「第1ユニット受渡位置」に相当する)となっている。
【0075】
具体的には、第1プーリ91をアーム本体82に固定した状態で回転モータ71を回転させてアーム本体82を時計回りに約180度回転させると、図17および図18に示すように、第2プーリ93がノズル軸94に対して回転しない状態で時計回りに約180度回転し、下方に向いていた保持ノズル83が、上方に向いた状態となる。これにより、保持ノズル83によって保持された電子部品Eを表裏反転した状態で第2受渡位置P2に搬送することができるようになっている。
【0076】
つまり、第1プーリ91と、第1プーリ91にリンクバー95を介して連結された第2プーリ93とをアーム本体82に対して回転禁止状態と回転許容状態とに切り換えることで、電子部品Eを表裏反転、もしくは表裏反転させずに搬送することができるようになっている。
【0077】
第1プーリ91の前面91Aには、図6から図9に示すように、ロックアーム97が一体に固定されている。
ロックアーム97は、下端部が前後方向に厚肉となる形態に設けられており、ロックアーム97は、アーム本体82が初期位置P7に配置されている状態において第1プーリ91およびアーム本体82から下方に突出するようにして第1プーリ91の下方に配されている。
【0078】
ロックアーム97の下端部には、ロックアーム97を貫通する貫通孔98が設けられている。貫通孔98は、アーム軸88の軸線方向である前後方向と同一方向にロックアーム97を貫通して設けられている。
【0079】
一方、ユニットフレーム74には、アーム本体82が初期位置P7に配されている状態において、ロックアーム97と前後方向に対向するフレームロック部(「固定部」の一例)77がロックアーム97の前方に設けられている。
【0080】
フレームロック部77はブロック状をなしており、フレームロック部77には、ロックアーム97の貫通孔98と前後方向に一致するフレーム貫通孔78が設けられている。このフレーム貫通孔78とロックアーム97の貫通孔98とには、ロックピン(「ロック部」の一例)100が挿通可能とされている。
【0081】
ロックピン100は、ロックアーム97の貫通孔98の長さ寸法よりも長い略円柱状に形成されている。ロックピン100は、フレーム貫通孔78と貫通孔98とに亘って挿通されたフレームロック位置(「固定部ロック位置」の一例)P9に配置されると、アーム軸88の軸線方向と交差する周方向にロックアーム97と係止可能となると共に、フレームロック部77と周方向に係止可能となる。
【0082】
つまり、ロックアーム97とフレームロック部77とは、アーム本体82が回転する際に、ロックピン100を介して互いに係止された状態となり、ロックアーム97がフレームロック部77と前後方向に対向した状態に保持される。この結果、第1プーリ91が移動しないようにユニットフレーム74にロックされ、第1プーリ91がアーム本体(アーム軸88)82に対して回転許容状態に保持されるようになっている。
【0083】
一方、アーム本体82には、アーム本体82が初期位置P7に配されている状態において、ロックアーム97と前後方向に対向するアームロック部(「アーム」の一例)89がロックアーム97の後方に設けられている。
【0084】
アームロック部89には、ロックアーム97の貫通孔98と前後方向に一致するアーム貫通孔89Aが設けられている。このアーム貫通孔89Aには、フレーム貫通孔78と同様に、ロックピン100が挿通可能とされている。ロックピン100は、アーム貫通孔89Aと貫通孔98とに亘って挿通されたアームロック位置P10に配されると、アーム軸88の軸線方向と交差する周方向にロックアーム97と係止可能となると共に、アームロック部89と周方向に係止可能となる。
【0085】
つまり、ロックアーム97とアームロック部89とは、アーム本体82が回転する際に、ロックピン100を介して互いに係止された状態となり、ロックアーム97がアームロック部89と前後方向に対向した状態に保持される。この結果、第1プーリ91がアーム本体82と移動するようにアーム部80にロックされ、第1プーリ91がアーム本体(アーム軸88)82に対して回転禁止状態に保持される。なお、ロックアーム97とフレームロック部77とアームロック部89とロックピン100とが切替部に相当する。
【0086】
また、ロックピン100の前後方向略中央部における外側面には、図10に示すように、径方向外側である下方に向かって延びる操作部101が設けられている。尚、図6から図9図11から図13においては、操作部101は図示省略している。
【0087】
操作部101は、ロックアーム97の下方に設けられた開口99から下方に露出しており、操作部101を手動によって前後方向に操作することで、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させることができるようになっている。
【0088】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、表面実装機10の動作について説明する。
最初に、 部品供給部13において供給される電子部品Eがベアチップなどであり、電子部品Eを表裏反転させずにプリント基板Pに実装する場合の動作について説明する。
【0089】
電子部品Eを表裏反転させない場合、実装作業の開始前に、部品移載部30の部品取出ユニット70におけるロックピン100の操作部101を操作して、図7および図10に示すように、ロックピン100をフレーム貫通孔78と貫通孔98とに亘って挿通させたフレームロック位置P9に移動させておく。
【0090】
そして、実装作業では、まず、部品供給部13から電子部品Eを取り出すために、部品供給部13を前後左右に移動させ、図3および図6に示すように、部品移載部30の下方に電子部品Eを配置する。
【0091】
次に、部品移載部30における部品取出ユニット70は、図8に示すように、ユニットフレーム74のカムピン75を進出させてカムフォロア90を押圧することで、支持部87を非連結位置P6に向かって押し下げ、アーム部80を下方に移動させて保持ノズル83を電子部品Eに接触させる。そして、保持ノズル83に負圧を供給する事で保持ノズル83によって電子部品Eを保持する。
【0092】
そして、図11に示すように、カムピン75を後退させて支持部87を連結位置P5に戻し、図12および図13に示すように、回転モータ71を回転させることで、アーム本体82を約180度回転させる。
【0093】
ここで、アーム本体82が回転しようとすると、ロックピン100とロックアーム97とが周方向に係止すると共に、ロックピン100とフレームロック部77とが周方向に係止する。これにより、ロックアーム97がフレームロック部77と前後方向に対向した状態に保持され、第1プーリ91がアーム本体(アーム軸88)82に対して回転許容状態となる。
【0094】
すると、図12および図13に示すように、アーム本体82が初期位置P7から最終位置P8に回転して移動する際に、ロックアーム97および第1プーリ91がアーム軸88に対して相対的に回転し、リンクバー95とリンクベルト96とによって、第2プーリ93がアーム本体82の回転方向と反対方向にアーム本体82の回転角度と同一角度である約180度だけ回転する。
言い換えると、電子部品Eを下流に向けて搬送する過程において、アーム本体82を回転させると、第2プーリ93とノズル軸94を介して固定された保持ノズル83がアーム本体82に対して相対的に回転する回転許容状態となって、アーム本体82の回転角度と同一角度である約180度だけ回転する。これにより、保持ノズル83が常に下方に向いた状態で第1受渡位置P1に移動し、図2および図13に示すように、電子部品Eが表裏反転しない状態で第1受渡位置P1に搬送される。
【0095】
また、アーム本体82を回転させている最中であって、アーム本体82及び保持ノズル83が、昇降ユニット40の昇降経路の範囲内に移動してくる前に、昇降ユニット40のリフタヘッド41を昇降サーボモータ43によって降下させ、第1受渡位置P1に配置する。なお、昇降ユニット40のリフタヘッド41を降下させて第1受渡位置P1に配置した後に、アーム本体82を回転させて保持ノズル83を第1受渡位置P1に配置もよい。
【0096】
そして、保持ノズル83に供給される負圧を正圧に切り換えるタイミングに合わせて、リフタヘッド41に負圧を供給する。これにより、第1受渡位置P1において、保持ノズル83が保持していた電子部品Eが開放され、リフタヘッド41上に電子部品Eが保持される。
【0097】
次に、アーム本体82が、図13の半時計方向に回転して昇降ユニット40の昇降経路から退避した後、昇降ユニット40のリフタヘッド41を昇降サーボモータ43によって上昇させ、図3に示すように、電子部品Eを第2受渡位置P2に移動させる。つまり、部品供給部13において保持ノズル83が電子部品Eを取り出している間など、アーム本体82が昇降経路に配されていない間に、リフタヘッド41の昇降が行なわれるから、リフタヘッド41がアーム本体82の回転移動に妨げとなることがなく、電子部品Eの移載動作に時間的なロスが発生しないようになっている。
【0098】
また、リフタヘッド41を第2受渡位置P2に移動させる最中に、トラバーサユニット50のトラバーサヘッド52をトラバーサ駆動モータにより前方に移動させ、トラバーサノズル53を第2受渡位置P2に配置する。
【0099】
そして、リフタヘッド41に供給される負圧を正圧に切り換えるタイミングに合わせて、トラバーサノズル53に負圧を供給する。これにより、第2受渡位置P2において、リフタヘッド41が保持していた電子部品Eが開放され、トラバーサノズル53に電子部品Eが保持される。
すなわち、電子部品Eにおいて、保持ノズル83が保持していた面(表面)と同じ面をトラバーサノズル53が吸着して保持することとなり、電子部品Eは表裏反転しない状態で移載されることになる。
【0100】
次に、トラバーサユニット50のトラバーサヘッド52をトラバーサ駆動モータにより後方に移動させ、図4に示すように、トラバーサノズル53を第3受渡位置P3に配置する。
【0101】
また、トラバーサヘッド52を後方に移動させる最中に、シャトルユニット60のシャトル本体62をシャトル用サーボモータによって第3受渡位置P3に向けて移動させ、シャトル本体62を第3受渡位置P3に配置する。
【0102】
そして、トラバーサノズル53に供給される負圧を正圧に切り換えるタイミングに合わせて、シャトルユニット60の供給ノズル65に負圧を供給する。これにより、第3受渡位置P3において、トラバーサノズル53が保持していた電子部品Eが開放され、シャトル本体62の供給ノズル65上に電子部品Eが保持される。つまり、電子部品Eにおいて、トラバーサノズル53が保持していた面(表面)とは反対側の面(裏面)を供給ノズル65が吸着して保持することになる。
【0103】
以後、同様に、部品供給部13において電子部品Eを部品取出ユニット70下に配置すると共に、部品取出ユニット70、昇降ユニット40、トラバーサユニット50を動作させ、シャトル本体62の供給ノズル65上に順次、電子部品Eを供給する。
【0104】
そして、シャトル本体62の供給ノズル65上に複数の電子部品Eが保持されたところで、シャトルユニット60をシャトル用サーボモータによって第4受渡位置P4に向けて移動させ、シャトル本体62を第4受渡位置P4に配置する。
また、シャトル本体62を第4受渡位置P4に移動させる最中に、部品実装部20のヘッドユニット25を、シャトル本体62上の第4受渡位置P4に配置する。
【0105】
そして、ヘッドユニット25における複数の実装ヘッド26を降下させ、実装ヘッド26に負圧を供給するに合わせて、供給ノズル65に供給される負圧を正圧に切り換え、複数の実装ヘッド26に複数の電子部品Eを一括して供給する。
【0106】
そして、ヘッドユニット25を実装領域PTに移動させ、電子部品Eをプリント基板Pに実装する。ここで、実装ヘッド26は、電子部品Eにおいて、供給ノズル65が保持していた面(裏面)とは反対側の面(表面)を保持することになる。つまり、実装ヘッド26は、部品取出ユニット70における保持ノズル83が吸着していた電子部品Eの同じ面(表面)を吸着することになり、表裏反転することなく電子部品Eをプリント基板Pに搭載する。
【0107】
なお、部品取出ユニット70は、電子部品Eを昇降ユニット40に受け渡した後、昇降ユニット40が電子部品Eを第1受渡位置P1から第2受渡位置P2に移動させている最中に、アーム本体82を最終位置P8から初期位置P7に戻し、上述した作業を繰り返す。また、昇降ユニット40も、第2受渡位置P2において電子部品Eを受け渡した後、リフタヘッド41を第2受渡位置P2から第1受渡位置P1に移動させ、トラバーサユニット50のトラバーサノズル53も第3受渡位置P3において電子部品Eを受け渡した後、トラバーサヘッド52を第3受渡位置P3から第2受渡位置P2に移動させる。
【0108】
そして、一対のシャトルユニット60においては、一方のシャトルユニット60のシャトル本体62が第3受渡位置P3から第4受渡位置P4に移動する際に、他方のシャトルユニット60のシャトル本体62が第4受渡位置P4から第3受渡位置P3に移動させることで、トラバーサユニット50からの電子部品Eを適切な頻度で受け取ることができるようになっている。
【0109】
つまり、部品取出ユニット70、昇降ユニット40、トラバーサユニット50および一対のシャトルユニット60が、互いの経路に配されていない間に、平行して動作しているから、部品供給部13からシャトルユニット60まで電子部品Eを搬送する間に各ユニット40,50,60,70において時間的ロスを発生させないように電子部品Eを搬送することができるようになっている。
【0110】
これにより、例えば、部品取出ユニットからシャトルユニットまで電子部品が搬送された後に、次の電子部品を取り出したり、電子部品を受け渡す際に長い待ち時間が生じたりする場合に比べて、部品移載部30における電子部品Eの搬送を高速化することができる。
【0111】
次に、部品供給部13において供給される電子部品Eがフリップチップなどであり、電子部品Eを表裏反転させてプリント基板Pに実装する場合の動作について説明する。
電子部品Eを表裏反転させて実装する場合、実装作業の開始前に、操作部101を操作して、ロックピン100をアーム貫通孔89Aと貫通孔98とに亘って挿通するアームロック位置P10に移動させておく。
【0112】
すると、部品取出ユニット70においてアーム本体82を回転させる際に、ロックピン100とロックアーム97とが周方向に係止すると共に、ロックピン100とアームロック部89とが周方向に係止することで、ロックアーム97がアームロック部89と前後方向に対向した状態に保持され、第1プーリ91がアーム本体(アーム軸88)82に対して回転禁止状態となる。
【0113】
したがって、アーム本体82に対してリンクバー95と第2プーリ93とが変位しなくなり、第2プーリ93は、図17および図18に示すように、アーム本体82に対して回転しない状態で、アーム本体82の先端と共に半円状の軌跡を描きつつ約180度回転する。
言い換えると、電子部品Eを下流に向けて搬送する過程において、アーム本体82を回転させると、第2プーリ93にノズル軸94を介して固定された保持ノズル83がアーム本体82に対して相対的に回転しない回転禁止状態で、アーム本体82の先端と共に半円状の軌跡を描きつつ約180度回転する。これにより、保持ノズル83が上方に向いた状態となり、図18に示すように、保持ノズル83によって保持された電子部品Eを表裏反転した状態で第2受渡位置P2に搬送することができる。
【0114】
また、アーム本体82を初期位置P7から最終位置P8まで回転させて移動させる最中であって、アーム本体82及び保持ノズル83が、トラバーサヘッド52の経路の範囲内に移動してくる前に、トラバーサユニット50のトラバーサヘッド52をトラバーサ駆動モータにより前方に移動させ、トラバーサノズル53を第2受渡位置P2に配置する。
【0115】
そして、保持ノズル83に供給される負圧を正圧に切り換えるタイミングに合わせて、トラバーサノズル53に負圧を供給することで、第2受渡位置P2に表裏反転して搬送された電子部品Eが保持ノズル83からトラバーサノズル53に受け渡される。
【0116】
すなわち、電子部品Eにおいて、保持ノズル83が保持していた面(表面)とは反対側の面(裏面)をトラバーサノズル53が吸着して保持することとなり、電子部品Eは表裏反転した状態で移載されることになる。
そして、トラバーサノズル53が電子部品Eを保持した後は、電子部品Eを表裏反転させない場合と同様の操作が行われる。
つまり、トラバーサユニット50よりも下流での受け渡しでは、表裏反転させない場合と同様に搬送されるから、実装ヘッド26は、保持ノズル83が吸着していた面(表面)とは反対側の面(裏面)を吸着した状態(表裏反転した状態)で電子部品Eを搭載することができる。
なお、電子部品Eを表裏反転させてプリント基板Pに実装する場合には、昇降ユニット40を駆動させずに、部品取出ユニット70によって電子部品Eを第2受渡位置P2に搬送することができ、トラバーサユニット50よりも下流のユニットについては、電子部品Eを表裏反転させるか否かに関係なく、動作などを変更させずに共通して使用できる。
【0117】
また、一対の部品移載部30の部品取出ユニット70において、部品供給部13から電子部品Eを取り出す場合、一方(例えば、右側)の部品取出ユニット70が部品供給部13から電子部品Eを取り出す最中に、他方(例えば、左側)の部品取出ユニット70が部品供給部13から取り出した電子部品Eを昇降ユニット40に受け渡す、もしくは、一方の部品取出ユニット70による電子部品Eの取り出しが終わるまで待機し、一対の部品取出ユニット70が互いに衝突しないように交互に電子部品Eを取り出す。そして、各ユニット40,50,60,70を経由して電子部品Eを部品実装部20に供給し、電子部品Eをプリント基板Pに実装するようになっている。
【0118】
以上のように、本実施形態によると、部品移載部30の部品取出ユニット70において、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させて第1プーリ91および第1プーリ91に連動する第2プーリ93を回転禁止状態と回転許容状態とに切り換えることで、保持ノズル83に保持された電子部品Eを表裏反転させるか否か選択して搬送することができる。
【0119】
つまり、例えば、部品反転装置などを別途設けて、部品を表裏反転させる場合には、搬送経路を変更する必要があったり、部品反転装置を配置するスペースを確保したりする必要があるところ、本実施形態によれば、部品点数の増加や表面実装機10の大型化を抑制しつつ、電子部品Eの種類に応じて、電子部品Eを表裏反転させるか否か選択して搬送することができる。
【0120】
また、本実施形態によると、実装作業を開始する前に、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させるだけで、保持ノズル83を回転禁止状態と回転許容状態とに切り換えて電子部品Eを表裏反転させるか否か選択することができるから、複雑な切換機構を設ける場合に比べて、表面実装機10を簡素化すると共に、表面実装機10が大型化することを抑制することができる。
【0121】
また、本実施形態によると、部品取出ユニット70、昇降ユニット40、トラバーサユニット50および一対のシャトルユニット60を平行して動作させることで、部品移載部30において電子部品Eを搬送する搬送時間に空白時間が生じないようにしているから、例えば、部品取出ユニットからシャトルユニットまで電子部品が搬送された後に次の電子部品の取り出しを開始したり、電子部品の受け渡しに長い待ち時間が生じたりする場合に比べて、部品移載部30における電子部品Eの搬送時間を短縮し、電子部品Eを高速搬送することができるようになっている。
【0122】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図19を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1におけるロックピン100における操作部101の操作方法を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0123】
実施形態2のロックピン100における操作部111には、アクチュエータ部(「自動変更手段」の一例)120が取り付けられている。
【0124】
アクチュエータ部120は、操作部111が先端に固定されたプランジャ121を前後方向に駆動させる直動式のソレノイドであって、アクチュエータ部120のスイッチをオン状態にして通電すると、プランジャ121が前後に移動することで、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させることができるようになっている。
【0125】
すなわち、このような構成によると、ロックピン100を移動させたい場合に、アクチュエータ部120を通電制御することで、ロックピン100の移動作業をいつでも自動的に行うことができる。これにより、例えば、ロックピンを移動させる移動作業のために、作業者が表面実装機の実装作業を停止して操作部を操作する場合に比べて、実装作業が移動作業に起因して遅延することを抑制することができる。
【0126】
<実施形態3>
次に、実施形態3について図20および図21を参照して説明する。
実施形態3は、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させる方法を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0127】
実施形態3のロックピン200は、例えば、磁性体であるステンレス材などからなり、アームロック部89のアーム貫通孔89Aの後端部には、ロックピン200を磁気吸引力によってフレームロック位置P9からアームロック位置P10に向けて移動させる永久磁石(「付与部材」の一例)Mが固定されている。なお、永久磁石Mは、例えば、フェライト磁石、アルニコ磁石、ネオジム磁石などである。
【0128】
一方、ロックピン200のフレームロック部77側の前面200Aには、ねじ孔201が設けられており、フレームロック部77のフレーム貫通孔78には、ロックピン200のねじ孔201に締め込み可能な保持ボルト(「保持部」の一例)Bが取り付けられている。
【0129】
保持ボルトBは、ロックピン200のねじ孔201に締め込まれる軸部B1と、軸部B1の前端部に設けられた頭部B2とを備えて構成されており、保持ボルトBの頭部B2の後面B2Aには、軸部B1を挿通させたコイルばねSが装着されている。
【0130】
コイルばねSは、フレーム貫通孔78の内周面に周設された止部78Aと、保持ボルトBの頭部B2との間に保持されており、コイルばねSが自然状態の場合(図21を参照)には、保持ボルトBの頭部B2がフレームロック部77から離れるようにして前方に配されている。
【0131】
そして、頭部B2をコイルばねSの弾発力に抗してフレームロック部77に押し付けつつ、保持ボルトBの軸部B1をロックピン200のねじ孔201に締め込むと、図20に示すように、ロックピン200が保持ボルトBに保持されると共に、保持ボルトBがコイルばねSによって前方に付勢された状態となり、ロックピン200がアームロック部89の永久磁石Mの磁気吸引力に抗してフレームロック位置P9に保持されるようになっている。
【0132】
すなわち、本実施形態によると、通常は、フレームロック位置P9からアームロック位置P10に向けてロックピン200を引きつける永久磁石Mの磁気吸引力(移動力)によってロックピン200をアームロック位置P10に保持しており、必要に応じて、保持ボルトBの軸部B1をロックピン200のねじ孔201に締め込むことで、ロックピン200をフレームロック位置P9に保持することができる。
【0133】
つまり、ロックピン200を、フレームロック位置P9とアームロック位置P10とのいずれかの位置に確実に保持することができるから、例えば、振動などによってロックピン200がフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間を不用意に移動することを抑制することができ、実装作業に不具合が生じることを抑制することができる。また、表面実装機の前側から保持ボルトBを回転操作することで切り替え操作が可能なため、操作しやすい。
【0134】
<実施形態4>
次に、実施形態4について図22および図23を参照して説明する。
実施形態4は、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させる方法を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0135】
実施形態3のロックピン210は、例えば、磁性体であるステンレス材などからなり、アームロック部89のアーム貫通孔89Aの後端部には、ロックピン210を磁気吸引力によってフレームロック位置P9からアームロック位置P10に向けて移動させる永久磁石(「付与部材」の一例)Mが固定されている。なお、永久磁石Mは、フェライト磁石、アルニコ磁石、ネオジム磁石などである。
【0136】
一方、フレームロック部77のフレーム貫通孔78の前端部には、電磁石(「保持部」の一例)M1が設けられている。電磁石M1は、鉄心のまわりにコイルを巻いた公知の電磁石であって、通電することによってアームロック部89の永久磁石Mよりも強い磁力を発生させる磁石とされている。なお、永久磁石Mと電磁石M1とが「自動変更手段」に相当する。
【0137】
したがって、電磁石M1が通電されていない場合には、フレームロック位置P9からアームロック位置P10に向けてロックピン210を引きつける永久磁石Mの磁気吸引力(移動力)によってロックピン210をアームロック位置P10に保持し、電磁石M1に対して通電することで、永久磁石Mよりも強い磁力によりロックピン210をアームロック位置P10からフレームロック位置P9に引き戻して、ロックピン210をフレームロック位置P9に保持することができる。
【0138】
すなわち、本実施形態によると、通常は、永久磁石Mの磁気吸引力(移動力)によってロックピン210をアームロック位置P10に保持しており、必要に応じて、電磁石M1に対して通電するだけでロックピン210をフレームロック位置P9に保持することができる。
これにより、例えば、作業者の作業負担を軽減しつつ、ロックピン210を確実にいずれかの位置に保持することができる。
【0139】
<実施形態5>
次に、実施形態5について図24から図29を参照して説明する。
実施形態5は、ロックピン100をフレームロック位置P9とアームロック位置P10との間で移動させる方法を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0140】
実施形態5のロックアーム97における貫通孔98は、前後方向略中央部において拡径された拡径部199を有しており、この拡径部199内には、ロックピン300が挿通されたコイルばねSが装着されている。
【0141】
また、ロックピン300の前方には、ロックピン300の前面301を押圧可能なプランジャ221を有する直動式のソレノイド220がフレームロック部77のフレーム貫通孔78内に固定されており、ソレノイド220に通電することにより、プランジャ221が後方に移動して、ロックピン300をフレームロック位置P9からアームロック位置P10に向かって押圧するようになっている。
【0142】
一方、ロックピン300の前後方向略中央部には、フランジ部302が設けられている。このフランジ部302は、ロックアーム97の拡径部199内に配されており、フランジ部302の後面302Aと拡径部199の後側内面199Aとの間にコイルばねSが装着されている。コイルばねSは、自然状態では、図24に示すように、フランジ部110を前方に向かって付勢し、ロックピン100はフレームロック位置P9に保持されるようになっている。
【0143】
また、ロックピン300の後端内部には、略ハート状のカム溝310が設けられており、このカム溝310内には、ロックアーム97に設けられたラッチピン400が進入可能とされている。
【0144】
カム溝310は、ロックピン300がフレームロック位置P9に配されている状態において、ラッチピン400が配される導入溝320の前端部に設けられており、導入溝320から斜め前下方に傾斜する急斜溝311と、急斜溝311よりも緩やかに斜め前上方に向かって長く傾斜する緩斜進入溝312と、急斜溝311の前端部から緩斜進入溝312と平行に長く設けられた緩斜後退溝313と、緩斜進入溝312の前端部312Aと緩斜後退溝313の前端部313Aとに連通された凹状に凹んだ窪み溝314とを備えて構成されている。
【0145】
ラッチピン400は、前後方向に長いピン形状をなしており、ロックアーム97の前端部に固定された固定片410に揺動可能に設けられている。ラッチピン400の前端部は、カム溝310内を摺動する摺動部401とされており、ロックピン300がソレノイド220のプランジャ221によって後方に向けて押圧されると、図25に示すように、摺動部401が導入溝320からカム溝310の緩斜進入溝312内に進入すると共に、ロックピン300がアームロック部89のアーム貫通孔89Aに進入するようになっている。
【0146】
そして、さらにロックピン300が後方に向けて押圧されると、図26に示すように、ロックピン300が、フレームロック位置P9からアームロック位置P10に移動すると共に、摺動部401が緩斜進入溝312の前端部312Aを経由して窪み溝314内に進入する。そして、摺動部401が窪み溝314の内面に係止し、ロックピン300がアームロック位置P10に保持されるようになっている。
【0147】
また、ロックピン300がアームロック位置P10に保持された状態において、図27に示すように、ソレノイド220のプランジャ221によってロックピン300を僅かに後方に向けて押圧すると、摺動部401が窪み溝314から外れて、緩斜後退溝313の前端部313Aに至り、摺動部401と窪み溝314との係止が解除される。そして、ソレノイド220のプランジャ221を前方に引き戻すことで、摺動部401が緩斜後退溝313の前端部313Aを経由して緩斜後退溝313内に進入する。
【0148】
そして、摺動部401が緩斜後退溝313から急斜溝311を経由して導入溝320内に進入することで、ロックピン300がアームロック位置P10からフレームロック位置P9に移動するようになっている。
【0149】
すなわち、本実施形態によると、通常、ロックピン300は、コイルばねSによってフレームロック位置P9に保持されており、ロックピン300をアームロック位置P10に移動させたい場合に、ソレノイド220を通電制御して、ロックピン300をアームロック位置P10に保持することができる。
【0150】
また、本実施形態によると、ロックピン300をアームロック位置P10まで移動させると、ラッチピン400の摺動部401がロックピン300のカム溝310における窪み溝314の内面と係止することで、ロックピン300をアームロック位置P10に保持することができる。
つまり、本実施形態によると、ロックピン300をアームロック位置P10に保持するために、ソレノイド220を通電状態に維持しないから、例えば、通電制御によってロックピンをいずれかの位置に保持する場合に比べて、省エネルギー化を図ることができる。
【0151】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、電子部品Eをプリント基板Pに実装する構成にした。しかしながら、これに限らず、電子部品をリードフレームに実装する構成にしてもよい。
【0152】
(2)上記実施形態では、第1プーリ91と第2プーリ93との動きを連動させるために、リンクバー95とリンクベルト96との双方を用いる構成にした。しかしながら、これに限らず、リンクバーとリンクベルトのいずれか一方を用いて第1プーリと第2プーリとの動きを連動させてもよく、歯車などにより第1プーリと第2プーリとの動きを連動させる構成にしてもよい。
【0153】
(3)上記実施形態では、部品供給部13の左右方向両側に一対の部品移載部30を配置した構成とした。しかしながら、これに限らず、部品供給部に対して部品移載部を1つもしくは3つ以上配置する構成にしてもよい。
【0154】
(4)上記実施形態では、実装ヘッド26、保持ノズル83、トラバーサノズル53において、電子部品Eを負圧によって吸着保持する構成とした。しかしながら、これに限らず、各ヘッドや各ノズルにおいて電子部品をチャックして保持する構成にしてもよい。
【0155】
(5)上記実施形態では、ロックアーム97と、フレームロック部77もしくはアームロック部89とをロックピン100を介して係止してロックすることで、保持ノズル83の回転を、回転禁止状態と回転許容状態とで切り換える構成とした。しかしながら、これに限らず、ロックアーム97と、フレームロック部77もしくはアームロック部89とを、例えばクリップ状の係止部材などによって係止してロックすることで保持ノズルの回転を、回転禁止状態と回転許容状態とで切り換える構成にしてもよい。
【0156】
(6)上記実施形態では、部品移載部30において、部品供給部13から電子部品Eを取り出すはじめの段階の位置に、電子部品Eを表裏反転させるか否かを切り換える部品取出ユニット70を配置する構成とした。しかしながら、これに限らず、昇降ユニットとシャトルユニットの間に、電子部品を表裏反転させるか否かを切り換えるユニットを配置するなど、部品供給部から部品実装部に電子部品を移載する部品移載部内のいずれかの箇所に、電子部品を表裏反転させるか否かを切り換えるユニットを配置してもよい。
【0157】
(7)上記実施形態では、アーム本体82に対して相対的に回転しない回転禁止状態の保持ノズル83が電子部品Eをトラバーサノズル53に受け渡す位置と、リフタヘッド41が電子部品Eをトラバーサノズル53に受け渡す位置とは、上下方向に一致する共に、上下方向と直行する水平方向にも一致する第2受渡位置P2となる構成とした。しかしながら、これに限らず、保持ノズルが電子部品をトラバーサノズルに受け渡す位置と、リフタヘッドが電子部品をトラバーサノズル53に受け渡す位置とは、少なくとも水平方向にも一致する構成となっていればよい。このような場合には、トラバーサノズルを上下に移動させることでいずれの位置でも電子部品をトラバーサノズルに受け渡すことができる。
【符号の説明】
【0158】
10:表面実装機(「部品実装装置」の一例)
13:部品供給部
13A:載置面
20:部品実装部
30:部品移載部
40:昇降ユニット(「第2ユニット」の一例)
50:トラバーサユニット(「第3ユニット」の一例)
70:部品取出ユニット(「第1ユニット」の一例)
82:アーム本体(「アーム」の一例)
88:アーム軸(「第1軸」の一例)
89:アームロック部(「アーム」、「切替部」の一例)
93:保持ノズル
94:ノズル軸(「第2軸」の一例)
95:リンクバー(「連結部」の一例)
96:リンクベルト(「連結部」の一例)
97:ロックアーム(「切替部」の一例)
77:フレームロック部(「固定部」、「切替部」の一例)
100,200,210,300:ロックピン(「ロック部」、「切替部」の一例)
101:操作部
120:アクチュエータ部(「自動変更手段」の一例)
310:カム溝
400:ラッチピン
B:保持ボルト(「保持部」の一例)
E:電子部品(「部品」の一例)
M:永久磁石(「自動変更手段」、「付与部材」の一例)
M1:電磁石(「自動変更手段」、「保持部」の一例)
P:プリント基板(「実装部材」の一例)
P2:第2受渡位置(「第1ユニット受渡位置」、「第2ユニット受渡位置」の一例)
P9:フレームロック位置(「固定部ロック位置」の一例)
P10:アームロック位置
図1
図2
図3
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図5
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