【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る表示装置10の構成を模式的に示す図である。本実施例においては、表示装置10は、車両のダッシュボードDB内に設置されることができる。表示装置10は、例えば、車両のフロントガラスFGに虚像VIを表示するヘッドアップディスプレイである。なお、
図1には、表示装置10が表示する虚像VIを破線で示している。また、
図1には、虚像VIを観察する観察者、例えば車両の運転者の目の位置を視点EYとして示している。
【0012】
なお、本明細書においては、虚像VIを観察する観察者の観察方向に沿った方向をz軸方向とし、このz方向に垂直でかつ互いに垂直な方向をそれぞれx軸方向及びy軸方向とする。また、x軸方向を幅方向(左右方向)、y軸方向を高さ方向(上下方向)、z軸方向を奥行方向(前後方向)と称する場合がある。また、視点EYから虚像VIに向かう方向を前方とする。すなわち、虚像VIは、観察者の前方に表示される。
【0013】
表示装置10は、出射光L1(本実施例においては虚像VIを投影するための光)を生成及び出射する光源11を有する。例えば、光源11は、画像(映像)を投影するプロジェクタである。光源11は、画像の色表現及び階調表現を行う光を出射光L1として生成する。
【0014】
本実施例においては、光源11は、出射光L1としてレーザ光を生成するレーザ光源である。また、光源11は、当該レーザ光を走査して所定領域に画像表示を行うレーザ光を出射する走査型のレーザプロジェクタである。例えば、光源11は、出射光L1としてレーザ光を生成するレーザ素子(図示せず)と、当該レーザ光を走査する走査素子(図示せず)とを有する。例えば、光源11としてのレーザ光源は、所定領域を走査領域とし、レーザ光をラスタースキャンによって走査する。
【0015】
表示装置10は、光源11からの出射光L1を散乱させて散乱光L2を生成し、散乱光L2を出力する光学素子12を有する。光学素子12には、光源11からの出射光L1が入射される。また、本実施例においては、光学素子12は、散乱光L2を表示光(投影光)として出力する表示スクリーン(投影スクリーン)として機能する。
【0016】
また、表示装置10は、光学素子12からの散乱光L2をフロントガラスFGに向けて反射させる凹面鏡13を有する。凹面鏡13によって反射された光は、投影光L3としてフロントガラスFGに投影される。
【0017】
観察者は、視点EYからフロントガラスFGを観察すると、フロントガラスFGの奥側(z軸方向における前方)に虚像VIを視認することができる。具体的には、観察者は、スクリーン(光学素子12)とフロントガラスFGとの間の距離や凹面鏡13の曲率に応じた位置に結像された虚像VIを、フロントガラスFG越しに視認することとなる。
【0018】
なお、表示装置10は、虚像VIを表示するために光学素子12に入射させる画像データを生成する画像データ生成部(図示せず)を有する。当該画像データ生成部は、例えば、外部から、車両の状態などを示す車両情報、車両周辺の情報を示す周辺情報、及び車両の走行を案内するナビゲーション情報などを取得し、これらの情報を表示させる画像データを生成する。
【0019】
また、表示装置10は、光源11を駆動する駆動回路(図示せず)を有する。当該駆動回路は、当該画像データ生成部によって生成された画像データに基づいて光源11を駆動する光源駆動信号を生成する。また駆動回路は、当該光源駆動信号を光源11に供給する。光源11は、当該光源駆動信号に基づいて出射光L1を生成して出射する。
【0020】
図2Aは、光学素子12の模式的な平面図である。
図2Aは、光学素子12における光源11からの出射光L1の入射面S1を模式的に示す図である。また、
図2Bは、光学素子12の模式的な断面図である。
図2Bは、
図2AのV−V線に沿った断面図であるが、その一部のみを示している。
図2A及び
図2Bを用いて、光学素子12の構成について説明する。なお、以下においては、光源11による出射光L1を光学素子12の入射光と称する場合がある。
【0021】
まず、光学素子12は、光源11からの入射光L1が入射する入射面S1と、光学素子12によって生成された散乱光L2が出射する出射面S2とを有する。また、光学素子12は、入射面S1における入射光L1の入射領域R1と、出射面S2における散乱光L2の出射領域R2とを有する。例えば、光源11がレーザ光源からなる場合、入射面S1はレーザ光の被照射面であり、入射領域R1はレーザ光の走査領域に対応する。
【0022】
また、光学素子12は、入射光L1の光軸AXに沿って積層された3つの光学層(それぞれ、第1、第2及び第3の光学層)20、30及び40を有する。本実施例においては、光学素子12は、主面の一方を入射光L1の入射面S1として有する透光板12Aと、主面の一方を散乱光L2の出射面S2として有する透光板12Bとを有する。光学層20〜40の各々は、透光板12A及び12Bにおける他方の主面間に挟まれるように形成されている。
【0023】
また、本実施例においては、光学層20及び30間に形成された透光板12Cと、光学層30及び40間に形成された透光板12Dとを有する。なお、本実施例においては、光学層20は透光板12A上に形成され、光学層40は透光板12D上に形成されている。すなわち、本実施例においては、光学素子12は、光学層20〜40が一体的に形成された構造を有する。透光板12A〜12Dの各々は、入射光L1に対して透光性を有する材料、例えばガラス材料や樹脂材料からなる。
【0024】
また、本実施例においては、光学層20〜40の各々は、それぞれ複数のレンズ20L、30L及び40Lを有する。すなわち、光学層20〜40の各々は、マイクロレンズアレイを構成する。光学層20〜40の各々における複数のレンズ20L〜30Lの各々は、入射光L1の入射領域R1上に形成されている。
【0025】
本実施例においては、光学層20は、複数のレンズ20Lが正三角格子状(六角格子状)に配列された構造を有する。また、光学層30及び40は、それぞれ複数のレンズ30L及び40Lが正三角格子状に配列された構造を有する。また、光学素子12は、入射光L1の光軸AXに沿った方向において、光学層20の複数のレンズ20Lの隣接するレンズ間の領域に光学層30のレンズ30L又は光学層40のレンズ40Lが配置されるように構成されている。
【0026】
より具体的には、
図2Bに示すように、光学層20は、液晶分子を含む液晶層21と、液晶層21を挟む一対の配向膜22及び23と、配向膜22及び23上にそれぞれ形成された透光電極層(以下、単に電極層と称する)24及び25と、を有する。また、本実施例においては、電極層25は、各々が円形状を有しかつ正三角格子状に配列された複数の開口部25Aを有する。
【0027】
例えば、液晶層21は、ネマティック液晶を構成する液晶分子を含む。配向膜22及び23は、例えば液晶層21内の液晶分子を所定方向に整列して配向させる溝を含む。電極層24及び25は、電圧の印加により液晶層21の液晶分子の配向を調節する(変化させる)。また、電極層24及び25は、入射光L1に対して透光性を有する導電材料、例えばITOやIZOなどからなる。
【0028】
同様に、光学層30は、液晶分子を含む液晶層31と、液晶層31を挟む一対の配向膜32及び33と、配向膜32及び33上にそれぞれ形成された透光電極層(以下、単に電極層と称する)34及び35と、を有する。また、本実施例においては、電極層35は、各々が円形状を有しかつ正三角格子状に配列された複数の開口部35Aを有する。
【0029】
また、光学層40は、液晶分子を含む液晶層41と、液晶層41を挟む一対の配向膜42及び43と、配向膜42及び43上にそれぞれ形成された透光電極層(以下、単に電極層と称する)44及び45と、を有する。また、本実施例においては、電極層45は、各々が円形状を有しかつ正三角格子状に配列された複数の開口部45Aを有する。
【0030】
なお、本実施例においては、電極層24、34及び44の各々は、液晶層21、31及び41の全面を覆うように形成されている。すなわち、本実施例においては、光学層20は、液晶層21を挟む一対の電極層24及び25のうち、一方の電極層24が全面電極であり、他方の電極層25がパターン電極である。同様に、光学層30及び40においても、電極層34及び44が全面電極であり、電極層35及び45がパターン電極である。
【0031】
なお、光学素子12は、光学層20〜40の各々における電極層24及び25間、電極層34及び35間並びに電極層44及び45間に駆動電圧(駆動信号)を印加(供給)して光学層20〜40の各々を駆動する駆動回路(図示せず)を有する。
【0032】
まず、光学層20の電極層24及び25間に駆動電圧が印加されると、液晶層21における液晶分子の配向が変化する。また、電極層25の開口部25Aと電極層24とに挟まれた液晶層21の領域においては液晶分子の配向が一様ではなくなる。
【0033】
従って、この電極層25の開口部25Aと電極層24とに挟まれた液晶層21内の領域では屈折率が一様ではなくなる。これによって、液晶層21における電極層25の開口部25Aに対応する領域は、レンズ20Lとして機能する。なお、電極層24及び25間に印加する電圧値を調節することで、液晶層21内の屈折率分布、すなわちレンズ20Lのレンズ形状を調節することができる。これによって、レンズ20Lに入射した入射光L1の散乱角度分布を調節することができる。
【0034】
換言すれば、光学層20のレンズ20Lは、電極層25の開口部25Aと電極層24に挟まれた液晶層21の領域内に形成される。同様に、光学層30のレンズ30Lは、電極層35の開口部35Aと電極層34とに挟まれた液晶層31の領域内に設けられる。また、光学層40のレンズ40Lは、電極層45の開口部45Aと電極層44とに挟まれた液晶層41の領域内に設けられる。
【0035】
また、
図2Bに示すように、本実施例においては、光学層20の電極層25には、開口部25Aが設けられた領域である開口部領域A1と、隣接する開口部25A間の領域である開口部間領域A2とが設けられる。なお、この電極層25の開口部領域A1は、光学層20におけるレンズ20Lが設けられた領域、すなわちレンズ領域に対応する。また、電極層25の開口部間領域A2は、隣接するレンズ20L間の領域であるレンズ間領域に対応する。
【0036】
また、本実施例においては、入射光L1の光軸AXに沿った方向から見たとき、光学層20の電極層25の開口部間領域A2上には、光学層30の電極層35の開口部35A又は光学層40の電極層45の開口部45Aが設けられている。従って、入射光L1の光軸AXに沿った方向から見たとき、光学層20におけるレンズ間領域A2上には、他の光学層30又は40のレンズ30L又は40Lが形成されている。
【0037】
従って、
図2Aに示すように、入射光L1の光軸AXに沿った方向、すなわち光学素子12における入射光L1の入射面S1に垂直な方向から見たとき、入射光L1の入射領域R1内には、少なくとも1つのレンズ20L、30L又は40Lが設けられている。従って、入射光L1は、必ずレンズ20L〜40Lのいずれかに入射することとなる。
【0038】
従って、入射光L1は、その全てが光学素子12によって散乱L2となる。すなわち、入射光L1が光学層20〜40の各々をそのまま透過する(素通りする)ことが抑制される。従って、入射光L1を、高効率で、散乱光L2(本実施例においては表示光)として利用することができる。
【0039】
図3A及び
図3Bを用いて、光学層20、30及び40の各々における電極層25、35及び45の構成について詳細に説明する。まず、
図3Aに示すように、光学層20における電極層25の開口部25Aの各々は、直径Dの円形状を有し、ピッチPで正三角格子状に配列されている。光学層30における電極層35の開口部35Aの各々、及び光学層40における電極層45の開口部45Aの各々は、電極層25の開口部25Aと同様に、直径Dの円形状を有しかつピッチPで正三角格子状に配列されている。
【0040】
また、
図3Bに示すように、光学層30の電極層35の開口部35Aの各々は、光学層20の電極層25の開口部25Aの各々から、当該正三角格子の一辺に垂直な方向に距離Lだけオフセットされた位置に配置されている。また、光学層40の電極層45の開口部45Aの各々は、光学層30の電極層35の開口部35Aの各々から、距離Lだけオフセットされた位置に配置されている。また、光学層20の電極層25の開口部25Aの各々は、光学層40の電極層45の開口部45Aの各々から、距離Lだけオフセットされた位置に配置されている。
【0041】
ここで、各開口部25A、35A及び45Aの各々において、その直径D及び配列ピッチPは、D≧(2/3)Pの関係を満たす。また、光学層20及び30の開口部25A及び35A間の距離L並びに光学層30及び40の開口部35A及び45A間の距離Lは、L=(1/3
1/2)Pの関係を満たす。例えば、直径Dは約75μm、ピッチPは約150μmである。
【0042】
これによって、
図3Bに示すように、入射光L1の光軸AXに沿った方向から見たとき、1つの開口部(例えば開口部25A)のみが設けられた領域すなわち1つのレンズのみが設けられた単一レンズ領域AAと、当該単一レンズ領域AAの周囲に設けられかつ複数のレンズが重なる複数レンズ領域ABとが形成される。また、単一レンズ領域AAは、全レンズ20L〜40Lの個数だけ設けられる。
【0043】
換言すれば、光学素子12においては、光学層20〜40の各々における電極層25〜45は、互いに離間してマトリクス状に配列された複数の開口部25A〜45Aを有する。また、光学層20に垂直な方向から見たとき、光学層20〜40のうちのいずれか1つの光学層における電極層の開口部のみが配置された領域AAと、光学層20〜40のうちの少なくとも2つの光学層における電極層の開口部が重なる領域ABとが設けられている。
【0044】
従って、光学素子12から出力される散乱光L2は、単一レンズ領域AAを通過した光と、複数レンズ領域ABを通過した光とを含む。これによって、光学素子12によって散乱された散乱光L2における解像度の低下が抑制され、かつノイズが抑制される。
【0045】
具体的には、単一レンズ領域AAの個数は、表示光として出力される散乱光L2の解像度に対応する。従って、光学層20〜40の全体で単一レンズ領域AAが各レンズ20L〜40Lの個数と同一個数だけ形成されることで、散乱光L2の解像度が保たれる。
【0046】
また、単一レンズ領域AAの周囲に複数レンズ領域ABが設けられることで、散乱光L2のノイズが大幅に低減される。具体的には、複数レンズ領域ABを透過する光は、レンズ20L、30L及び40Lのうちの少なくとも2つのレンズを通過した光であり、単一レンズ領域AAを通過した光に比べて複雑な光路を進む。従って、複数レンズ領域ABを通過した光は、単一レンズ領域AAを通過した光に比べて大きく散乱する。従って、散乱光L2のノイズが大幅に低減される。例えばレーザ光を入射光L1として用いる場合、スペックルノイズが大幅に低減される。
【0047】
また、上記したように、光学層20〜40及び透光板12A〜12Dは、その入射領域R1及び出射領域R2の各々間では全て透光性を有する部材からなる。従って、光学素子12を透過型スクリーンとして用いた場合、スクリーンの表示領域の全域で明るい画像を視認することができる。
【0048】
また、本実施例においては、表示装置10が光源11としてレーザ光を走査して出射するレーザ光源を有する。すなわち、光学素子12に入射される入射光L1は、レーザ光である。
【0049】
仮に、光学素子12の入射領域R1に、レンズが設けられない領域、すなわち入射光L1の透過領域(非散乱領域)が設けられている場合、レーザ光がそのまま透過して観察者に向けて出射される場合がある。これによって、観察者の目が早期に疲労する場合がある。
【0050】
これに対し、本実施例においては、光学素子12は、入射領域R1の全域にいずれかのレンズが配置される。従って、確実に散乱光L2のみを観察者に出射させることができ、観察者の目に疲労を与えにくい画像を表示させることができる。
【0051】
なお、本実施例においては、光学素子12が3つの光学層20〜40が積層された構造を有する場合について説明した。しかし、光学素子12の構成はこれに限定されない。例えば、光学素子12は複数(少なくとも2つ)の光学層、例えば光学層20及び30のみから構成されていてもよい。
【0052】
この場合、例えば光学層20の電極層25がマトリクス状に配列された複数の開口部25Aを有し、光学層30の電極層35は入射光L1の光軸AXに沿った方向において光学層20における電極層25の開口部間領域A2に重なるように配置されていればよい。この場合、電極層35の開口部35Aの形状は円形状に限定されない。
【0053】
また、本実施例においては、電極層25、35及び45の各々が同一直径Dかつ同一ピッチPの円形状の開口部25A、35A及び45Aを有する場合について説明した。しかし、電極層35及び45における開口部35A及び45Aの各々は、全体として、電極層25の開口部間領域A2を埋めるように、また電極層25の開口部領域A1に部分的に重なるように配置されていればよい。従って、開口部25A、35A及び45Aは互いに異なるサイズ及び配置構成を有していてもよい。
【0054】
また、本実施例においては、開口部25Aの各々が正三角格子状に配列される場合について説明した。しかし、開口部25Aの配置構成はこれに限定されない。例えば、開口部25Aの各々は、正方格子状に配列されていてもよい。すなわち、光学層20は、電極層25(一対の電極層24及び25の一方)がマトリクス状に配列された複数の開口部25Aを有していればよい。
【0055】
なお、本実施例においては、光学層20〜40の各々においては、全面電極(電極層24、34及び44)と、パターン電極(電極層25、35及び45)とが交互に積層された構造を有する。具体的には、例えば、光学層20及び30間においては、入射光L1の入射面S1側から、電極層24(全面電極)、電極層25(パターン電極)、電極層34(全面電極)及び電極層35(パターン電極)が交互に形成されている。
【0056】
すなわち、本実施例においては、パターン電極間の各々に全面電極が介在している。これによって、光学層20における液晶層21が、他の光学層のパターン電極(例えば光学層30の電極層35)によって印加された電位の影響を受けることが抑制される。従って、正確に液晶層21の液晶分子の配向制御を行うことができ、所望のレンズを構成することができる。
【0057】
上記したように、光学素子12は、各々が、液晶層(液晶層21〜41)、当該液晶層を挟む一対の配向膜(配向膜22及び23、32及び33並びに42及び43)及び当該一対の配向膜上に形成された一対の透光電極層(電極層24及び25、34及び35並びに44及び45)を含む複数の光学層20〜40を有する。
【0058】
また、光学層20〜40のうち、1の光学層20における一対の透光電極層の一方(電極層25)は、マトリクス状に配列された複数の開口部25Aを有し、光学層20〜40のうちの他の光学層30又は40における一対の透光電極層の一方(電極層35又は45)は、当該1の光学層20に垂直な方向から見たとき、当該1の光学層20における一方の透光電極層25の開口部間領域A2に重なるように配置された複数の開口部35A又は45Aを有する。
【0059】
従って、高い利用効率でかつノイズの発生を抑制しつつ入射光L1の光学処理を行うことが可能な光学素子12を提供することができる。
【実施例2】
【0060】
図4Aは、実施例2に係る光学素子14の平面図である。
図4Aは、光学素子14における入射光L1の入射面S1を模式的に示す平面図である。また、
図4Bは、光学素子14の模式的な断面図である。
図4Bは、
図4AのW−W線に沿った断面図である。
図4A及び
図4Bを用いて、光学素子14の構成について説明する。
【0061】
光学素子14は、2つの光学層(第1及び第2の光学層)20及び30を有する。本実施例においては、光学層20及び30の各々は、光学素子12と同様に、それぞれ、マトリクス状に配列された複数のレンズ部20L及び30Lを有する。
【0062】
具体的には、
図4Bに示すように、光学層20は、電圧の印加によりレンズ部20Lを形成する電極層25を有し、当該電極層25はマトリクス状に配列された複数の開口部25Aを有する。また、光学層30は、マトリクス状に配列された複数の開口部35Aを有する電極層35を有する。また、本実施例においては、光学層30における電極層35の開口部35Aは、光学層20に垂直な方向から見たとき、光学層20における電極層25の開口部25Aの開口部間領域A21に配置されている。
【0063】
本実施例においては、光学素子14は、光学層20の開口部間領域A21と、光学層30における電極層35の開口部35間に設けられた開口部間領域A22とが重なる領域(重複開口部間領域)A3に設けられた遮光層50を有する。例えば、遮光層50は、入射光L1を吸収する材料、例えば樹脂材料からなる。
【0064】
すなわち、
図4Aに示すように、光学素子14は、2つの光学層20及び30におけるレンズ20L及び30Lのどちらにも重ならない領域に遮光層50が設けられている。従って、2つの光学層20及び30、すなわち2つのマイクロレンズアレイのレンズ間領域が重複する部分は遮光されている。
【0065】
本実施例のように、例えば円形状のレンズ20L及び30Lをマトリクス状に配置して積層した場合、光学層20及び30のレンズ間領域が重なる部分(開口部間重複領域A3)が生じ得る。従って、このレンズ間領域においては、入射光L1が素通りする。従って、純粋な散乱光L2を得られない場合がある。
【0066】
これに対し、本実施例においては、この光学層20及び30における開口部間領域A22及びA23が重複した重複開口部間領域A3に遮光層50が設けられている。従って、入射光L1がそのまま光学素子14から出射されることが抑制される。従って、光学層20及び30が入射光L1を散乱させて所望の散乱光L2を得られる場合には、遮光層50によって入射光L1の透過を抑制することで、高い利用効率でかつノイズの発生を抑制しつつ入射光L1の光学処理を行うことが可能となる。
【0067】
上記したように、本実施例においては、光学素子14は、各々が、液晶層(液晶層21及び31)、当該液晶層を挟む一対の配向膜(配向膜22及び23並びに32及び33)及び当該一対の配向膜上に形成された一対の透光電極層(電極層24及び25並びに34及び35)を含む第1及び第2の光学層20及び30と、遮光層50とを有する。
【0068】
また、第1の光学層20における一対の透光電極層の一方(電極層25)は、マトリクス状に配列された複数の開口部25Aを有し、第2の光学層30における一対の透光電極層の一方(電極層35)は、第1の光学層20に垂直な方向から見たとき、第1の光学層20における一方の透光電極層25の開口部間領域A21に重なるように配置された複数の開口部35Aを有する。
【0069】
また、遮光層50は、第1の光学層20に垂直な方向から見たとき、第1及び第2の光学層20及び30における電極層25及び35の開口部間領域A21及びA22が重なる領域A3に配置されている。従って、高い利用効率でかつノイズの発生を抑制しつつ入射光L1の光学処理を行うことが可能な光学素子14を提供することができる。