(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定手段は、1品種の基板の生産が開始されてから完了するまでの時間をマシン稼働時間とし、連続して生産される2品種の基板について前記マシン稼働時間が一定とした場合に、前記外段取り時間が長い品種の基板と短い品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定する請求項1に記載の生産管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の製造支援システムによると、製造順番が隣り合うグループ間の部品搭載時間の合計時間を平準化することはできたとしても、稼働中のグループの搭載完了時から、次に稼働するグループの開始時までの稼働停止時間を短くすることにはならない。何故ならば、部品搭載時間と、その外段取りにかかる外段取り時間とは、必ずしも比例しないからである。
【0005】
例えば、部品搭載時間が同じグループが2つあったとして、一方のグループで使用される台車数が他方のグループで使用される台車数よりも少なければ、一方のグループの外段取り時間は他方のグループの外段取り時間よりも短くなるから、他方のグループでは、一方のグループよりも稼働停止が発生しやすくなる。
【0006】
このようにグループ間の稼働停止時間を短くするには、各グループの外段取り時間を考慮する必要があり、製造順番が隣り合うグループ間の部品搭載時間の合計時間を平準化するだけでは十分とは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される生産管理装置は、複数の部品供給装置を備えた部品実装機を使用して、複数種の基板を品種毎に連続して生産するにあたって、当該基板の生産順序を決定する生産管理装置であって、1品種の基板に使用される全ての前記部品供給装置の外段取りが開始されてから完了するまでの時間を外段取り時間とし、連続して生産される2品種の基板について前記外段取り時間の和が、連続して生産される期間の全体に亘って平準化されるように基板の生産順序を決定する決定手段を備える構成とした。
【0008】
仮に連続して生産される基板の品種をA、B、C、Dとし、Bの外段取り時間を50分、Cの外段取り時間を10分、Dの外段取り時間を10分とし、A、B、C、Dの順に生産するとした場合、Aの外段取りについては前日に行うのが一般的であるから、Aの生産開始と同時に、Bの外段取りが開始されることになる。この場合、BからDの中ではBの外段取り時間が最も長いから、Aの生産が完了するまでにBの外段取りが完了しないと、Bの外段取り作業待ちで、マシン稼働停止が発生することになる。
【0009】
そこで、例えばBとCの生産順序を入れ替えると、全体の生産順序がA、C、B、Dとなる結果、CとBの外段取り時間の和が60分、BとDの外段取り時間の和も60分となり、連続して生産される期間の全体に亘って外段取り時間の和が平準化される。このようにすれば、Aの生産開始と同時に、Cの外段取りを開始すると、Cの外段取り時間がBの外段取り時間よりも短いから、Aの生産が完了するまでにBの外段取りを完了させやすくなり、マシン稼働停止を防ぐことができる。さらに、Cの外段取りが完了した後、Cの生産が完了するまでの間に、Bの外段取りを行うこともできる。
【0010】
このように上記構成によれば、連続して生産される2品種の基板について外段取り時間の和が、連続して生産される期間の全体に亘って平準化されるようにしたから、外段取り作業待ちによるマシン稼働停止を抑制することができる。
【0011】
本明細書によって開示される生産管理装置は、以下の構成としてもよい。
前記決定手段は、1品種の基板の生産が開始されてから完了するまでの時間をマシン稼働時間とし、連続して生産される2品種の基板について前記マシン稼働時間が一定とした場合に、前記外段取り時間が長い品種の基板と短い品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定する構成としてもよい。
このような構成によると、連続して生産される2品種の基板についてマシン稼働時間が一定で外段取り時間が異なる場合には、これらの基板を交互に配列することで外段取り時間の和を平準化することができる。
【0012】
複数の前記部品供給装置は、一つの取付プレート上に横並びに配され、複数の前記取付プレートが前記表面実装機に取付可能とされており、前記決定手段は、前記取付プレートが同時に必要とされる必要数が多い品種の基板と少ない品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定する構成としてもよい。
外段取りを行うためには、少なくとも連続して生産される2品種の基板で使用される取付プレートの数を合算した数の取付プレートが必要となる。そこで、上記の構成によると、取付プレートの必要数が多い品種の基板と少ない品種の基板とを交互に配列したから、同時に使用される取付プレートの数を抑制することができる。
また、各基板の外段取り時間が取付プレートの使用数にほぼ比例するとした場合には連続して生産される2品種の基板について外段取り時間の和を平準化することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される技術によれば、外段取り作業待ちによるマシン稼働停止を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
実施形態を
図1から
図8の図面を参照しながら説明する。
1.基板製造ラインLの全体構成
図1は、本実施形態に適用された基板製造ラインLの一部構成を示す図である。本基板製造ラインLは半田印刷装(不図示)、表面実装機U1、U2、リフロー装置Rをコンベアによって直列的に連結しており、各装置U1、U2、Rにて印刷処理(基板の表面に半田ペーストをスクリーン印刷する処理)、部品実装処理(印刷処理後の基板に対してIC等のチップ部品を実装する処理)、リフロー処理(半田ペーストを高温下で溶解させ、部品と基板上のパターンを電気的に接続する処理)などの決められた処理を基板に行うことで基板を製造するものである。
【0016】
また、
図1における符号300は基板製造ラインLを管理する生産管理コンピュータである。本実施形態では、基板製造ラインLを構成する各装置U1、U2、Rと生産管理コンピュータ300との間がLAN(ローカルエリアネットワーク)を通じて電気的に接続されており、生産管理コンピュータ300にて各装置U1、U2、Rの稼動状況を管理できる構成となっている。
2.表面実装機U1、U2の構成
図1に示すように、表面実装機U1、U2は基板を搬送するコンベア20と、部品供給部30と、ヘッドユニット60とを備えて構成されている。尚、以下の説明において基板の搬送方向(
図1、
図2の左右方向)をX軸方向と定め、Y軸方向、Z軸方向を
図1、
図2のように定める。
【0017】
図2に示すように、搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、ベルト21上面に載置された基板をベルト21との摩擦によりX軸方向に送ることが可能となっている。
【0018】
そして、実装機U1の上流側には搬送コンベア25が設置され、また、実装機U2の下流側には搬送コンベア27が設置され、更に両実装機U1、U2の間には搬送コンベア26が設置されている。
【0019】
これら各搬送コンベア25〜27は実装機U1、U2に設けられる搬送コンベア20と段差なく連続しており、隣接する装置との間にて基板を中継させる機能を担っている。
【0020】
このような構成とすることで、上流側に位置する半田印刷装置より基板を順々(半田印刷装置→実装機U1→実装機U2→リフロー装置R)に送ることが出来る。
【0021】
そして、搬送コンベア25を通じて実装機U1の基台11上に運ばれた基板及び、搬送コンベア26を通じて実装機U2の基台11上に運ばれた基板は、いずれも基台11の中央の作業位置(
図2中の一点鎖線で示す位置)にて、不図示の基板ストッパにより停止される構成となっている。
【0022】
また、各実装機U1、U2の基台11上の4隅には、複数の部品供給部30が設けられている。これらの部品供給部30は実装する部品の供給場所となるものであり、そこには、一括交換台車が脱着可能に取り付けられている。すなわち、本実施形態では、表面実装機U1にD1〜D4の合計4台の一括交換台車が取り付けられ、また、表面実装機U2にD5〜D8の合計4台の一括交換台車が取り付けられる構成となっており、両表面実施機U1、U2を合計すると、最大で8台の一括交換台車が使用できる構成となっている。
【0023】
各一括交換台車D1〜D8(以下、単に台車)は、
図3に示すように台車前部に平板状をなすフィーダプレート110(本発明の「取付プレート」の一例)を備えている。フィーダプレート110は同図において上下(表面実装機U1、U2との関係においては、コンベア20の搬送方向に沿うX軸方向)に延びる形状をなしており、フィーダFを横並び状に複数機搭載できる構成となっている。
【0024】
フィーダFは送出装置83、引張装置87、及びこれら装置が固定されるフィーダ本体81などを主体に構成され、
図4にて示すように全体としてはY軸方向に長い形状をなしている。
【0025】
また、フィーダ本体81の後部には、上面に部品を一定間隔で保持したシート状をなす部品供給テープBPが不図示のリールに巻回保持されている。そして、フィーダ本体81にはテープ通路90が設けられており、リールから繰り出された部品供給テープBPがテープ通路90に通されつつ、フィーダFの前方に引き出される構成となっている。
【0026】
以上のことから、上記送出装置83を作動させると、送出装置83を構成するスプロケット84が回転してテープ通路90内の部品供給テープBPを前方に引き込む結果、フィーダFの前端部に設定される部品供給位置Oに一定間隔で部品が供給される構成となっている。尚、一のフィーダFでは一種の部品しか供給できないから、基板の生産を行う際には、少なくとも、実装する部品の種類分はフィーダFが必要となる。
【0027】
次に、
図2、
図3に戻って、上記フィーダFを通じて供給される部品を、作業位置にて停止した基板上に実装するヘッドユニット60、及びヘッドユニット60を駆動させるサーボ機構について説明を行う。尚、これら機構は実装機U1、U2とも共通構造のものを使用しているので、ここでは、実装機U1側を例にとって説明を行うものとする。
【0028】
基台11上には一対の支持脚41が設置されている。両支持脚41は作業位置の両側に位置しており、共にY方向(
図2の図示上下方向)にまっすぐに延びている。
【0029】
両支持脚41にはY方向に延びるガイドレール42が支持脚41の上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール42に長手方向の両端部を嵌合させつつヘット支持体51が取り付けられている。
【0030】
また、右側の支持脚41にはY方向に延びるY軸ボールねじ45が装着され、更にY軸ボールねじ45にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。
【0031】
Y軸モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51、ひいては次述するヘッドユニット60がガイドレール42に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0032】
ヘッドユニット60は、ヘッド支持体51に対して、不図示のガイド部材を介してX軸方向に移動自在に取り付けられている。
【0033】
そして、ヘッド支持体51にはX方向に延びるX軸ボールねじ55が装着されており、更にX軸ボールねじ55にはボールナットが螺合されている。
【0034】
これにより、X軸モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0035】
従って、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を水平方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0036】
ヘッドユニット60には、実装動作を行う不図示の吸着ヘッドが列状をなして複数個搭載されている。吸着ヘッドはヘッドユニット60の下面から下向きに突出しており、Z軸モータの駆動によりヘッドユニット60のフレームに対して昇降可能な構成となっている(Z軸サーボ機構)。そして、各吸着ヘッドの先端には吸着ノズル63が設けられ、図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されている。
【0037】
このような構成とすることで、各サーボ機構を所定のタイミングで作動させることで、フィーダFを通じて部品供給位置Oに供給される部品を吸着ノズル63により取り出すことが出来、また、取り出した部品を基板上の部品搭載位置まで移動させた後、部品搭載位置に実装(部品実装処理)することが可能となる。
【0038】
尚、
図2に示す符号17は部品認識カメラである。部品認識カメラ17は吸着ノズル63により取り出された部品の画像を撮像して、部品の吸着姿勢を検出するものである。
【0039】
3.各装置の電気的構成
(a)表面実装機の電気的構成
図5に示すように、実装機U1、U2はコントローラ210により装置全体が制御統括されている。コントローラ210はCPU等により構成される主制御部211を備える他、記憶部212、軸制御部215、画像処理部216、通信部217を備えている。
【0040】
軸制御部215には各軸モータ47、57及び、各軸モータ47、57の回転状況を検出する各軸エンコーダが電気的に連なっており、軸制御部215を通じて各軸モータ47、57を制御できる構成となっている。
【0041】
また、画像処理部216には部品認識カメラ17、照明が電気的に連なっており、部品認識カメラ17から出力される画像が画像処理部216に取り込まれるようになっている。
【0042】
以上のことから、主制御部211により各軸モータ47、57等を適宜作動させることで、フィーダFを通じた部品供給処理、及びヘッドユニット60を用いた部品実装処理が実行可能となる。
【0043】
(b)生産管理コンピュータの電気的構成
生産管理コンピュータ300は主制御部310、プログラム格納部320、記憶部330、表示部350、入力部360などを主体に構成され、通信部340を介してLANに接続されている。
【0044】
入力部360は生産情報(生産対象となる品種の基板の生産に関する情報)の入力を受け付ける機能を担うものであり、本例ではタッチパネルにより構成されている。
【0045】
記憶部330には装置を制御するのに必要とされる各種データの他、
図6にて示すように、部品B1〜B15とそれらに対応するフィーダF1〜F15のデータが予め対応付けされて記憶されている。
【0046】
このような構成としておくことで、基板上に実装する部品B1〜B15のタイプ(種類)が特定できれば、それを供給するのに必要なフィーダF1〜F15の種別及び、当該フィーダF1〜F15の幅寸法W1〜W15のデータを得ることが出来るようになっている。
【0047】
そして、入力部360を通じて生産情報が入力されると、必要なデータが記憶部330から読み出され、主制御部310が必要なプログラムをプログラム格納部320より読み出してプログラムを順に実行することで、基板の生産順序などの生産計画が自動的に生成されるようになっている。
【0048】
以下、生産管理コンピュータ300により実行される具体的な処理の流れを、
図7に示すフローチャートを参照して説明を行う。
【0049】
尚、ここでは、生産情報として入力部360を通じて以下の入力があったものとして説明を続ける。
【0050】
(1)連続して生産する基板の品種(品種A〜品種Dの4品種)
(2)各品種の基板に実装される部品の情報
生産情報の入力があると、生産管理コンピュータ300においては、記憶部330にアクセスして生産に使用するフィーダFのデータを読み出す処理が、主制御部310により行なわれる(S10)。
【0051】
そして、フィーダFのデータが読み出されると、次に、フィーダFの配置スペース、ひいてはフィーダFの配置に必要となる必要台車数Nを算出する処理が、各品種A〜Dについてそれぞれ行われる(S20)。
【0052】
S20の処理について具体例を挙げて説明すると、品種Aの基板に部品B1〜部品B12の12種の部品が実装される場合、品種AについてのフィーダFの配置スペースは部品B1〜B12に対応する12種のフィーダF1〜F12の幅W1〜W12を合算した数値となる。
【0053】
WF=W1+W2+・・・・・・・・・+W11+W12+α
尚、上記「α」は実際に配置するに当たりフィーダ間にはある程度の隙間が必要なので、その隙間分を見込んだものである。
【0054】
そして、
図3にて示すように、台車D1〜D8に設けられるフィーダプレート110の横幅Woは予め決まっているから、フィーダFの配置スペースWFをフィーダプレート110の横幅Woで割ってやれば、品種Aの基板に対する必要台車数Nを算出できる。
【0055】
ここでは、算出の結果、
図8の(A)にて示すように、品種Aの基板に必要とされる必要台車数Nが「8台」、品種Bの基板の必要台車数Nが「7台」、品種Cの基板の必要台車数Nが「3台」、品種Dの基板の必要台車数Nが「4台」であったものとして、以下説明を続ける。
【0056】
図7に示すように、上記要領にて、必要台車数Nが算出されると、その後、主制御部310により必要台車数Nの多い順に基板の順番を並び換える処理が実行される(S30)。
【0057】
これにより、
図8の(B)にて示すように、品種A、品種B、品種C、品種Dの順に基板の順番が並び換えられる。
【0058】
ここで、次の基板の生産に使用されるフィーダFをフィーダプレート110に取り付け、稼働中の基板の生産が完了する前にフィーダプレート110を実装機U1、U2に取り付けておく外段取り作業について説明する。まず、外段取り時間とマシン稼働時間について定義しておく。外段取り時間とは、1品種の基板に使用される全てのフィーダFの外段取りが開始されてから完了するまでの時間のことである。また、マシン稼働時間とは、1品種の基板の生産が開始されてから完了するまでの時間のことである。
【0059】
外段取り時間については、作業者の経験や能力等によって変動することがあるため、各作業者に関連付けて記憶部330に記憶させておき、作業者毎に記憶部330から読み出すようにしてもよいし、後述するように必要台車数Nに基づいて主制御部310により算出してもよい。一方、マシン稼働時間については、使用する部品の種類や総数、および生産予定の基板の枚数等によって予測できるため、主制御部310により算出してもよい。
【0060】
図8(A)に示すように、最初に生産開始予定のAの外段取りについては前日に実施するのが一般的とされているため、Aの生産開始と同時にBの外段取りが開始されることになる。しかしながら、Aのマシン稼働時間は30分であるのに対してBの外段取り時間は50分であるため、Aの生産が完了してからBの生産が開始されるまでの20分間、マシン稼働停止が発生することになる。このようなマシン稼働停止を防ぐため、Aよりも外段取り時間が短いCかDを選択することになる。Aの次に生産される基板としては外段取り時間が30分以下であるCかDを選択する必要がある。
【0061】
ここで、Dを選択した場合、Aの必要台車数の8台とDの必要台車数の4台とが同時に必要となるため、同時に必要となる必要台車数は12台となる。一方、Cを選択した場合、Aの必要台車数の8台とCの必要台車数の3台とが同時に必要となるため、同時に必要となる必要台車数は11となる。したがって、外段取り時間が同じの場合には、必要台車数が少ないCを選択するほうが得策といえる。
【0062】
この結果、Aの次に生産される基板としてCが選択され、BとCを入れ替えたものが、
図8(B)に示す生産順序である。このようにすると、外段取り時間がAから順に、A:30分、C:10分、B:50分、D:10分となり、外段取り時間が長い品種の基板と短い品種の基板とが交互に配列されることになる。
【0063】
この結果、AとCの外段取り時間の和が40分、CとBの外段取り時間の和が60分、BとDの外段取り時間の和が60分となり、連続して生産される2品種の基板について外段取り時間の和が、連続して生産される期間の全体に亘って平準化される。さらに、Cの外段取り時間は10分であるから、Aの生産完了前にCの外段取りが完了し、マシン稼働停止を防ぐことができる上、Aの生産中にBの外段取りを開始することもできる。
【0064】
図8(B)に示す基板の品種では、基板の品種にかかわらずマシン稼働時間が全て30分とされ、一定である。このような場合、連続して生産される2品種の基板についてマシン稼働時間の和が一定となるため、外段取り時間が長い品種の基板と短い品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定することで、外段取り時間の和を平準化しやすくなる。
【0065】
一般に外段取り時間は、必要台車数Nに比例する傾向があるため、本実施形態では必要台車数Nが多い品種の基板と少ない品種の基板とを交互に配列することで基板の生産順序を決定している。上述したように、主制御部310によって必要台車数Nを算出できるため、基板の生産順序も主制御部310によって決定できる。かくして、主制御部310によって必要台車数Nがより多い品種の基板とより少ない品種の基板が交互に配列されるように基板の生産順序を決定する(S40)。
【0066】
そして、基板の生産順序が決定されると、次に主制御部310は、生産順に従って一基板を選択し(S50)、部品の実装処理を最も効率よく実行できるように、どの台車D1〜D8のどの位置にどのフィーダFを配置するかフィーダFの割り振りを決定し、更に部品の実装順を決定する(最適化処理、S60)。
【0067】
そして、品種Aの基板について最適化処理が完了すると、次に、S70、S80の処理が主制御部310により実行される。S70の処理ではYES判定され、S80の処理ではNO判定される結果、処理はS90に移行される。
【0068】
S90では、S60にて最適化処理を終えた基板用として割り当てられた台車を、最適化処理の対象から除外する処理が行われる。その後、処理はS100に移行する。S100では生産順序に従い、次の基板を選択する処理が主制御部310により行われる。この処理により、本例では、品種Cの基板が選択されることとなる。全品種A、C、B、Dの基板について最適化する処理が完了すると、S80にてYES判定され、一連の処理が終了する。
【0069】
この後、生産管理コンピュータ300の制御下のもと、基板製造ラインLを構成する各装置、すなわち半田印刷装置、表面実装機U1、U2、リフロー装置Rが稼動され、品種Aの基板について生産が進められることとなる。
【0070】
品種Aの基板を生産中は、次に生産予定の品種Cに使用するフィーダFを台車にセットする作業を品種Aの基板生産と同時並行的に進めることが出来る。セットが完了した台車をそれぞれ表面実装機U1、U2の部品供給部30に取り付けてやれば、品種Aの生産完了後、品種Cの基板を時間を空けずに、連続して生産できる。言い換えれば、台車交換のための取り替え作業を、基板製造ラインLを一時停止して行う必要がない。
【0071】
さらに、その次に生産予定の品種Bに使用するフィーダFを台車にセットする作業を品種Aの基板生産と同時並行的に進めることが出来る。
【0072】
以上のように本実施形態によれば、連続して生産される2品種の基板について外段取り時間の和が、連続して生産される期間の全体に亘って平準化されるようにしたから、外段取り作業待ちによるマシン稼働停止を抑制することができる。
【0073】
決定手段は、1品種の基板の生産が開始されてから完了するまでの時間をマシン稼働時間とし、連続して生産される2品種の基板についてマシン稼働時間が一定とした場合に、外段取り時間が長い品種の基板と短い品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定する構成としてもよい。
【0074】
このような構成によると、連続して生産される2品種の基板についてマシン稼働時間が一定で外段取り時間が異なる場合には、これらの基板を交互に配列することで外段取り時間の和を平準化することができる。
【0075】
複数の部品供給装置は、一つの取付プレート(フィーダプレート110)上に横並びに配され、複数の取付プレートが表面実装機に取付可能とされており、決定手段は、取付プレートが同時に必要とされる必要数が多い品種の基板と少ない品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定する構成としてもよい。
【0076】
外段取りを行うためには、少なくとも連続して生産される2品種の基板で使用される取付プレートの数を合算した数の取付プレートが必要となる。そこで、上記の構成によると、取付プレートの必要数が多い品種の基板と少ない品種の基板とを交互に配列したから、同時に使用される取付プレートの数を抑制することができる。
【0077】
また、各基板の外段取り時間が取付プレートの使用数にほぼ比例するとした場合には連続して生産される2品種の基板について外段取り時間の和を平準化することもできる。
【0078】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、2つの表面実装機U1、U2を直列的に連結した2連結タイプのライン構成を例示したが、表面実装機の連結数は2連結に限定されるものではなく3連結、あるいはそれ以上の連結数でもよい。そして更に、表面実装機を単数使用するライン構成のものへの適用も可能である。
【0079】
(2)上記実施形態では生産管理コンピュータ300を専用に設ける例を示したが、例えば、表面実装機を単数のみ使用するケースであれば、上記実施形態の生産管理コンピュータ300の処理機能を表面実装機に全て取り込むことで、生産管理コンピュータ300そのものを廃止することも実施可能である。
【0080】
(3)上記実施形態では必要台車数Nが多い品種の基板と少ない品種の基板とが交互に配列されるように基板の生産順序を決定することで、結果的には、外段取り時間が長い品種の基板と短い品種の基板とが交互に配列されているものの、必要台車数Nにかかわらず、記憶部330から読み出された外段取り時間のみによって基板の生産順序を決定してもよい。