特許第6806917号(P6806917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806917
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】フレキシャル・ピボット
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20201221BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20201221BHJP
   G02B 26/08 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   F16C11/04 V
   !G02B26/10 104Z
   !G02B26/08 D
【請求項の数】27
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-546201(P2019-546201)
(86)(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公表番号】特表2020-510166(P2020-510166A)
(43)【公表日】2020年4月2日
(86)【国際出願番号】US2017065856
(87)【国際公開番号】WO2018160250
(87)【国際公開日】20180907
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】15/448,524
(32)【優先日】2017年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】バラッド,アンドリュー エル.
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02931092(US,A)
【文献】 特開昭49−132433(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0129407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/10
F16C 11/00− 11/12
G02B 26/08
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシャル・ピボットであって、当該フレキシャル・ピボットは、
3つのフレキシャ支持部材であって、各フレキシャ支持部材は、カンチレバー状の延長部分によって少なくとも部分的に規定される複数のフレキシャ開口部を有する、3つのフレキシャ支持部材と、
数の前記フレキシャ支持部材を互いに回転可能に結合するように動作可能な少なくとも1つのフレキシャであって、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを含む少なくとも1つのフレキシャと、を有しており、
前記第1及び第2の可撓性ブレードは、前記フレキシャ支持部材の前記フレキシャ開口部に配置され、前記カンチレバー状の延長部分は、少なくとも部分的に、前記第1及び第2の可撓性ブレードを前記フレキシャ支持部材に結合
前記可撓性ブレードの端部が、前記フレキシャ支持部材の外側面において前記カンチレバー状の延長部材に溶接され、該溶接部は、前記フレキシャ支持部材によって抑制され、前記外側面とは反対側の前記フレキシャ支持部材の内側面に延びておらず、
第1のフレキシャ支持部材及び第2のフレキシャ支持部材が、第1の軸線の周りに互いに回転可能に構成され、前記第2のフレキシャ支持部材及び第3のフレキシャ支持部材が、第2の軸線の周りに互いに回転可能に構成され、
前記第1及び第2の軸線は互いに直交する、
フレキシャル・ピボット。
【請求項2】
前記可撓性ブレードは、前記カンチレバー状の延長部分によって前記フレキシャ支持部材にクランプされる、請求項1に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項3】
前記可撓性ブレードをクランプするために、前記カンチレバー状の延長部分を貫通して延びる留め具をさらに有する、請求項に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項4】
2つのフレキシャ支持部材が、2つのフレキシャを介して互いに回転可能に結合されるように構成される、請求項1に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項5】
前記第1のフレキシャ支持部材及び前記第2のフレキシャ支持部材は、2つのフレキシャを介して互いに回転可能に結合するように構成され、前記第2のフレキシャ支持部材及び前記第3のフレキシャ支持部材は、2つのフレキシャを介して互いに回転可能に結合するように構成される、請求項に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項6】
前記フレキシャ開口部はスロットとして構成される、請求項1に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項7】
前記フレキシャ支持部材は、回転運動の範囲を制限するための移動ストップを含む、請求項1に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項8】
前記移動ストップはカンチレバー状の延長部分に関連付けられる、請求項に記載のフレキシャル・ピボット。
【請求項9】
フレキシャル・ピボット製造システムであって、当該システムは、
下部支持体と該下部支持体に結合される上部支持体とを有する冶具と、
該冶具に結合される複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースと、を有しており、
該複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、前記下部支持体によって支持され且つ該下部支持体に結合される第1のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースと、前記上部支持体によって支持され且つ該上部支持体に結合される第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースとを含んでおり、
前記上部支持体及び前記下部支持体は、
フレキシャ支持部材を形成するために、前記フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの外側面を貫通して延びるフレキシャ開口部の形成を促進し、
少なくとも1つのフレキシャを前記フレキシャ開口部に配置し、且つ
前記フレキシャ支持部材の互いに対する回転運動を与えるために、前記少なくとも1つのフレキシャを前記フレキシャ支持部材に結合し、
前記少なくとも1つのフレキシャは、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを含んでおり、該可撓性ブレードの端部は、前記フレキシャ支持部材の前記外側面を介して露出される、
システム。
【請求項10】
前記フレキシャ開口部は、スロットとして構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1及び第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、留め具によってそれぞれ前記下部支持体及び前記上部支持体に結合される、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、前記第1及び第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの間に配置され、且つ前記上部支持体及び前記下部支持体の少なくとも一方に結合することよって支持される第3のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
フレキシャル・ピボットを作製する方法であって、当該方法は、
複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースを冶具に結合するステップであって、第1のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースが前記冶具の下部支持体に結合され、第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースが前記冶具の上部支持体に結合される、結合するステップと、
前記上部支持体及び前記下部支持体を互いに結合するステップと、
複数のフレキシャ支持部材を形成するために、前記フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの外側面を貫通して延びるフレキシャ開口部を前記複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースに形成するステップと、
前記複数のフレキシャ支持部材を互いに回転可能に結合するために、前記複数のフレキシャ支持部材の前記フレキシャ開口部に少なくとも1つのフレキシャを配置するステップであって、該少なくとも1つのフレキシャは、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを含んでおり、該可撓性ブレードの端部が前記フレキシャ支持部材の前記外側面を介して露出される、配置するステップと、
前記少なくとも1つのフレキシャを前記フレキシャ支持部材に結合するステップと、を含む、
方法。
【請求項14】
前記フレキシャ開口部はスロットとして構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フレキシャ開口部を形成するステップは、前記フレキシャ支持部材から材料を除去するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記フレキシャ支持部材から材料を除去するステップは、放電加工(EDM)動作を行うステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フレキシャ支持部材の前記フレキシャ開口部の少なくともいくつかは、同じ材料除去作業で形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記フレキシャ開口部を形成するステップは、前記フレキシャ支持部材のカンチレバー状の延長部分を形成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのフレキシャを前記フレキシャ支持部材に結合するステップは、溶接及び締付けのうちの少なくとも一方を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記可撓性ブレードの前記端部は、前記フレキシャ支持部材の前記外側面で前記カンチレバー状の延長部分に溶接される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記可撓性ブレードをクランプするために、留め具が前記カンチレバー状の延長部分を貫通して延びる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、留め具によってそれぞれ前記下部支持体及び前記上部支持体に結合される、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、前記第1及び第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの間に配置された第3のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースを含み、該第3のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、前記上部支持体及び前記下部支持体の少なくとも一方への結合によって支持される、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記冶具の前記上部支持体及び前記下部支持体は、前記フレキシャ開口部の形成を容易にするために、前記フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの前記外側面を露出させる交差構成を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記冶具の前記上部支持体及び前記下部支持体は、前記可撓性ブレードの端部の前記カンチレバー状の延長部分への溶接を容易にするために、前記フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの前記外側面を露出させる交差構成を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記冶具は、前記上部支持体及び前記下部支持体を互いに位置付けするために、前記フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの端部に配置されたスタンドオフスペーサを含み、それにより前記フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースを互いに位置付けする、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
前記スタンドオフスペーサは、前記上部支持体及び前記下部支持体のうちの少なくとも一方に関連付けられる、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、フレキシャル・ピボットに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシャル・ピボット(flexural pivots:撓みピボット)は、機械部材が、限られた角度範囲で互いに共通軸線の周りを旋回(pivot)できるようにする装置である。角運動は、接触面の変位ではなく、弾性撓み要素の撓みによって達成されるため、フレキシャル・ピボットは摩擦なしで動作し、こうして潤滑の必要がない。従って、フレキシャル・ピボットは、摩擦及び/又は潤滑の必要性が懸念される用途で軸受の代替品となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明の特徴及び利点は、例として本発明の特徴を一緒に示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなるだろう。
図1A】本開示の一例によるフレキシャル・ピボットの図である。
図1B図1Aのフレキシャル・ピボットの分解図である。
図2図1A及び図1Bのフレキシャル・ピボットの可撓性ブレードユニットを示す図である。
図3図1A及び図1Bのフレキシャル・ピボットの第1のフレキシャ支持部材を示す図である。
図4図1A及び図1Bのフレキシャル・ピボットの第2のフレキシャ支持部材を示す図である。
図5図1A及び図1Bのフレキシャル・ピボットの第3のフレキシャ支持部材を示す図である。
図6A】本開示の一例によるフレキシャル・ピボット製造システムの図である。
図6B図6Aのフレキシャル・ピボット製造システムの分解図である。
図7】本開示の別の例によるフレキシャル・ピボットの図である。
図8図7のフレキシャル・ピボットの第1のフレキシャ支持部材を示す図である。
図9図7のフレキシャル・ピボットの第2のフレキシャ支持部材を示す図である。
図10図7のフレキシャル・ピボットの第3のフレキシャ支持部材を示す図である。 ここで、示される例示的な実施形態を参照し、本明細書では特定の用語を使用してその実施形態を説明するが、それによって本発明の範囲の限定が意図されないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書で使用される場合に、「実質的に」という用語は、動作、特徴、特性、状態、構造、アイテム、又は結果の完全な又は略完全な範囲又は程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれている物体は、この物体が完全に囲まれているか、又は略完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性からの厳密に許容される逸脱の程度は、特定の文脈に依存する場合があり得る。ただし、一般的に言えば、完了間際は、絶対且つ完全な完了が得られた場合と同じ全体的な結果が得られるようになる。「実質的に」の使用は、動作、特徴、特性、状態、構造、アイテム、又は結果の完全な又は略完全な欠如を指す否定的な意味合いで使用される場合に等しく適用できる。
【0005】
本明細書で使用される場合に、「隣接する」とは、2つの構造体又は要素の近接を指す。特に、「隣接」していると特定された要素は、当接している又は接続されている可能性がある。そのような要素はまた、必ずしも互いに接触することなく、互いに近いか又は互いに近接してもよい。厳密な近接の程度は、特定の文脈に依存する場合があり得る。
【0006】
本発明の概念の最初の概要を以下に提供し、次に、特定の例を後でさらに詳細に説明する。この最初の要約は、読者が実施例をより速く理解するのを助けることを目的としているが、例の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することも、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を制限することも意図していない。
【0007】
様々な用途のために、様々なフレキシャル・ピボットが市販されている。典型的な商用オフザシェルフ(COTS)のフレキシャル・ピボットの一般的な問題は、特にその用途に高い性能及び耐久性が必要とされる場合に、再現可能な性能及び信頼性である。これは、商業的に実行可能な方法でフレキシャル・ピボットを製造することが困難なためである。さらに、比較的広い角度の動作範囲を必要とする用途では、COTSフレキシャル・ピボットの強度を超える応力が発生する可能性がある。こうして、生産するのに比較的簡素で費用対効果を高くしながら、高性能、大きな角移動量、及び信頼性を与えるフレキシャル・ピボット設計を開発することが望ましい。
【0008】
従って、高性能、広い動作範囲、及び信頼性を与えることができ、且つ容易に製造することができるフレキシャル・ピボットが開示される。フレキシャル・ピボットは、複数のフレキシャ支持部材を含むことができ、各フレキシャ支持部材は、カンチレバー状の延長部分によって少なくとも部分的に規定される複数のフレキシャ開口部を有する。フレキシャル・ピボットは、複数のフレキシャ支持部材を互いに回転可能に結合するための少なくとも1つのフレキシャも含むことができる。少なくとも1つのフレキシャは、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを有することができる。第1及び第2の可撓性ブレードは、フレキシャ支持部材のフレキシャ開口部に配置することができ、カンチレバー状の延長部分は、少なくとも部分的に、第1及び第2の可撓性ブレードをフレキシャ支持部材に結合することができる。
【0009】
一態様では、フレキシャル・ピボット半製品(precursor)が開示される。フレキシャル・ピボット半製品は、複数のフレキシャ支持部材を含むことができ、各フレキシャ支持部材は、フレキシャ支持部材の外側面を貫通して延びる複数のフレキシャ開口部を有する。フレキシャル・ピボット半製品は、複数のフレキシャ支持部材を互いに回転可能に結合するための少なくとも1つのフレキシャも含むことができる。少なくとも1つのフレキシャは、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを有することができる。第1及び第2の可撓性ブレードは、可撓性ブレードの端部がフレキシャ支持部材の外側面を介して露出されるように、フレキシャ支持部材のフレキシャ開口部に配置することができる。
【0010】
フレキシャル・ピボット製造システムも開示される。システムは、下部支持体とこの下部支持体に結合される上部支持体とを有する冶具を含むことができる。システムは、冶具に結合された複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースも含むことができる。複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは、下部支持体によって支持され且つ下部支持体に結合される第1のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースと、上部支持体によって支持され且つ上部支持体に結合される第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースとを含むことができる。上部支持体及び下部支持体は、フレキシャ支持部材を形成するために、フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの外側面を貫通して延びるフレキシャ開口部の形成を容易にすることができる。上部支持体及び下部支持体は、少なくとも1つのフレキシャをフレキシャ開口部に配置するのも容易にすることができる。加えて、上部支持体及び下部支持体は、フレキシャ支持部材の互いに対する回転運動を与えるために、少なくとも1つのフレキシャをフレキシャ支持部材に結合するのを容易にすることができる。少なくとも1つのフレキシャは、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを有することができ、可撓性ブレードの端部を、フレキシャ支持部材の外側面を介して露出させることができる。
【0011】
さらに、フレキシャル・ピボットを作製する方法が開示される。この方法は、複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースを冶具に結合するステップを含むことができ、第1のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは冶具の下部支持体に結合され、第2のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースは冶具の上部支持体に結合される。この方法は、上部支持体及び下部支持体を互いに結合するステップも含むことができる。この方法は、複数のフレキシャ支持部材を形成するために、フレキシャル・ピボット支持部材ワークピースの外側面を貫通して延びるフレキシャ開口部を複数のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピースに形成するステップをさらに含むことができる。この方法は、複数のフレキシャ支持部材を互いに回転可能に結合するために、複数のフレキシャ支持部材のフレキシャ開口部に少なくとも1つのフレキシャを配置するステップをさらに含むことができ、少なくとも1つのフレキシャは、交差構成で配置される第1及び第2の可撓性ブレードを有しており、可撓性ブレードの端部は、フレキシャ支持部材の外側面を介して露出される。さらに、この方法は、少なくとも1つのフレキシャをフレキシャ支持部材に結合するステップを含むことができる。
【0012】
フレキシャル・ピボット100の一実施形態が図1A及び図1Bに示されている。フレキシャル・ピボット100は、互いに回転可能に結合されたフレキシャ支持部材を含むことができる。例えば、フレキシャル・ピボット100は、第1のフレキシャ支持部材110と、第1の軸線101の周りに相対回転するために第1のフレキシャ支持部材110に回転可能に結合された第2のフレキシャ支持部材120と、第2の軸線102の周りに相対回転するために第2のフレキシャ支持部材120に回転可能に結合された第3のフレキシャ支持部材130とを含むことができる。軸線101,102は直交してもよい。3つのフレキシャ支持部材が示されているが、フレキシャル・ピボットは、単一軸線のみの周りに相対回転するために互いに結合された2つのみのフレキシャ支持部材を含んでもよいことを認識されたい。
【0013】
フレキシャル・ピボット100を外部構造体に結合して、構造体の軸線101,102の周りの相対回転を容易にすることができる。例えば、フレキシャル・ピボット100は、電気光学センサ、指向性エネルギーシステム、長距離レーザ通信システム、送受信モジュール、望遠鏡、又は他の高精度光学用途に一般に使用される(従って、実験室ベースのシステム、空中視線安定化システム、衛星、カメラ等に含まれ得る)高速操縦ミラーに結合され、このミラーと一緒に利用され得る。こうして、一方の構造体は電気光学センサの光学ベンチであり、他方の構造体はミラーであり得る。外部構造体は、開口部又は孔103(ねじ込み可能)、スロット104、ピン、スタッド、及び他の結合インターフェース等の結合インターフェースを利用して、第1及び第3のフレキシャ支持部材110,130に結合することができる。
【0014】
フレキシャル・ピボット100は、フレキシャ支持部材(flexure support members)110,120,130を互いに回転可能に結合するフレキシャ(flexures:撓み部材)140a〜d(すなわち、交差ブレード・フレキシャ)を含むことができる。例えば、フレキシャ140a〜bは、第1及び第2のフレキシャ支持部材110,120を互いに回転可能に結合することができ、フレキシャ140c〜dは、第2及び第3のフレキシャ支持部材120,130を互いに回転可能に結合することができる。こうして、第1及び第2のフレキシャ支持部材110,120は、第1の軸線101の周りで互いに対して移動することができ、第2及び第3のフレキシャ支持部材120,130は、第2の軸線102の周りで互いに対して移動することができ、これらの移動は、第1及び第3のフレキシャ支持部材110,130の2つの軸線の周りの又は2自由度の相対回転を与えることができる。2つ以上のフレキシャを所与の軸線に使用して、フレキシャ支持部材に安定性を与えることができる。第2のフレキシャ支持部材120は、第1及び第3のフレキシャ支持部材110,130のそれぞれに対して単一の自由度でのみ移動する。第2のフレキシャ支持部材120は、第1及び第3のフレキシャ支持部材110,130に対する中間的関係及びフレキシャル・ピボット100の2軸の回転運動を結合する機能によりカプラと呼ばれることがある。一態様では、フレキシャル・ピボット100は、高加速中に大きな負荷を支持し、且つ大きな角移動量を可能にする2つの本体(すなわち、外部構造体)の間に摩擦の無いピボット結合を与えることができる。加えて、フレキシャル・ピボット100は、全ての可動部の質量が同じ重心で釣り合うように設計することができる。例えば、第2のフレキシャ支持部材120、つまりカプラは、その重心が両方の旋回軸線101,102の交差点にあるように構成することができ、それにより、その重量が両方の軸線の支持又は移動質量のバランスに影響を与えないようにすることができる。
【0015】
各フレキシャ140a〜dは、交差構成で配置される2つ以上の可撓性ブレード141を有することができる。例えば、可撓性ブレード141は、C字形状又はC字構成を有することができる。(複数の)可撓性ブレード141は、C字形の開いた側が向き合って互いに約90度方向付けられ、交差ブレード構成を達成することができる。可撓性ブレード141は、図2に分離して示されている。本明細書に開示される原理は、広範囲のサイズ及び用途に適応するように拡張可能なフレキシャル・ピボット要素を提供するため、可撓性ブレード141は、任意の適切な寸法を有することができる。一実施形態では、フレキシャル・ピボット100は、1.86インチ(4.7244cm)の全体サイズ寸法(例えば、長さ及び/又は幅)を有することができ、可撓性ブレード141は、0.012インチ(0.3048mm)の厚さを有することができる。可撓性ブレード141は、任意の適切な材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、可撓性ブレード141は、鋼(例えば、高炭素ばねステンレス鋼)、又はチタン(例えば、6AI−4V)等の比較的高降伏強度及び高疲労強度を有する材料から作製することができる。
【0016】
第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130のそれぞれは、カンチレバー状の延長部分152〜154によって少なくとも部分的に規定されたフレキシャ開口部(flexure openings)150,151を有することができる。フレキシャ開口部150,151は、フレキシャ支持部材110,120,130の外側面155,156を貫通して延びることができ、これにより、カンチレバー状の延長部分152〜154を互いに分離することができる。明確にするために、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130のフレキシャ開口部150,151、カンチレバー状の延長部分152〜154、及び外側面155,156が、図1A及び図1Bの第2及び第3のフレキシャ支持部材120,130の部分でのみ特定される。これらの特徴は、図3図5に示されており、個々に示された各フレキシャ支持部材に関連付けられた同じ参照符号で識別される。
【0017】
フレキシャ開口部150,151によって分離されたカンチレバー状の延長部分152〜154を使用して、可撓性ブレード141を第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130に結合することができる。スロットとして構成し得るフレキシャ開口部150,151に可撓性ブレード141を配置することができ、それによってカンチレバー状の延長部分152〜154が可撓性ブレード141の結合部142a,142bの反対側に配置される。例えば、図1Bに示されるように、可撓性ブレード141を、第3のフレキシャ支持部材130のカンチレバー状の延長部分152,153の間のフレキシャ開口部150に配置することができ、それによってカンチレバー状の延長部分152,153がブレードの結合部142aの反対側に配置される。さらに、同じ可撓性ブレード141を、第2のフレキシャ支持部材120のカンチレバー状の延長部分152,153の間のフレキシャ開口部150に配置することができ、それによってカンチレバー状の延長部分152,153がブレードの結合部142bの反対側に配置される。各可撓性ブレード141は、第1及び第2のフレキシャ支持部材110,120の他のフレキシャ開口部に同様に配置することができる。
【0018】
一態様では、図1Aに示されるように、可撓性ブレード141の端部143a,143bは、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130の外側面155,156を介して露出させることができる。この構成では、可撓性ブレード141の露出端143a,143bは、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130の外側面155、158でカンチレバー状の延長部分152〜154に溶接することができる。第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130のカンチレバー状の延長部分152〜154は、可撓性ブレード141の反対端部で結合部142a,142bの非溶接部分を拘束又は支持する可撓性ブレードインターフェース又は支持体として機能することができる。フレキシャ開口部150,151を規定するインターフェースは、ブレード141と係合するように精密に形成することができる。
【0019】
可撓性ブレード141の外側端部143a,143b又はエッジ部を溶接又は捕捉することにより、可撓性ブレード141の結合部142a,142bの間の自由長又は屈曲部144を精密に制御することができ、これは、フレキシャル・ピボット100に再現性があり且つ予測可能な性能を与えることができる。さらに、溶接部が屈曲部144から離れた位置にあり(すなわち、屈曲部144とフレキシャ支持部材110,120,130との接合部が溶接されていない)、熱の影響を受ける領域は、(疲労を受けやすい)屈曲部144から遠ざけられ、屈曲部144における応力集中を低減又は最小化することができる。こうして、ブレードが破損することなく、同じ屈曲部の長さで角移動量を増やすことができる。従って、ブレード141の撓み性能は、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130との溶接結合によって制限されない。本開示の特定の態様を明確に示すために溶接部が図1Aには示されていないが、溶接は、参照符号157,158によって特定される領域で行うことができる。示されるように(すなわち、溶接がない)、図1Aは、本開示の一例によるフレキシャル・ピボット半製品を示す。
【0020】
一態様では、可撓性ブレード141の屈曲部144は、動作中の可撓性ブレード141のスムーズで制限のない動きを容易にするために、隣接する構成要素(例えば、別の可撓性ブレード141及び/又は可撓性ブレードが結合されるフレキシャ支持部材110,120,130)との接触を防止され得る。例えば、可撓性ブレード141の屈曲部144は、屈曲部144が隣接する構成要素に接触するのを防ぐために、可撓性ブレード141の外側に凹部145,146を含むことができる。換言すると、屈曲部144の外縁又は外面は、結合部142a,142bの外縁又は外面と同一平面又は面一でなくてもよい。加えて、可撓性ブレード141は、互いにオフセットされた屈曲部144を提供しながら、2つの可撓性ブレード141を交差構成に容易に配置するために、C字形状又はC字構成を有することができる。例えば、凹部146は、凹部145よりもはるかに大きくすることができ、こうして、結合部142a,142bに対して屈曲部を横方向にオフセットして効果的に位置付けすることができる。この構成により、結合部142a,142bの横方向のサイズを最大化して、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130との結合の完全性を高めることができる。図1A及び図1Bに示されるように、可撓性ブレード141は、実質的に同一であり得る。
【0021】
一態様では、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130は、カンチレバー状の延長部分152、154に関連付けられ、可撓性ブレード141の回転動作範囲を機械的に制限することができる移動ストップ159a,159bを含むことができる。第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材の対向する移動ストップ159a,159bは、回転移動制限で互いに接触するように構成され得る。移動ストップ159a,159bは、動作範囲を適切な程度に制限することができる。典型的には、移動ストップ159a,159bは、可撓性ブレードの破損(例えば、降伏)を生じさせ得る可撓性ブレード141の過度の屈曲を防止するように構成される。移動ストップ159a,159bは、対向する移動ストップと接触するための任意の適切な構成又はインターフェース面を有することができる。移動ストップ159a,159bは、フレキシャ支持部材の外側面155,156によって少なくとも部分的に規定することができる。
【0022】
図6A及び図6Bは、本開示の一例によるフレキシャル・ピボット製造システム160を示している。製造システム160は、下部支持体170及び上部支持体180を有する冶具161を含むことができる。上部支持体180及び下部支持体170は、上述したフレキシャル・ピボット100等のフレキシャル・ピボットの製造及び組立てを容易にするように構成され得る。こうして、製造システム160は、冶具161に結合されたフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’を含むことができる。完全なフレキシャル・ピボット100(溶接部を除く)が図6A及び図6Bに示されており、これらの図は、冶具161を使用して、フレキシャル・ピボット100を作製する方法における特定の製造及び組立てステップを容易にする方法を示す。こうして、フレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’は、冶具161が利用されるときに、製造の任意の適切な段階にあることを認識されたい。
【0023】
3つのフレキシャ支持部材110,120,130を製造するためのワークピース110’,120’,130’は、冶具161に結合され且つ冶具161によって支持され得る。例えば、第1のフレキシャ支持部材110を形成するフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’は、下部支持体170によって支持され且つ下部支持体170に結合され得る。第3のフレキシャ支持部材130を形成するフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース130’は、上部支持体180によって支持され且つ上部支持体180に結合され得る。第2のフレキシャ支持部材120を形成するフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース120’は、他のフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,130’の間に配置され得る。ワークピース120’は、上部支持体180及び/又は下部支持体170によって支持され、且つそれら支持体に結合され得る。図示の例では、第2のフレキシャ支持部材120を形成するフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース120’は、上部支持体180に結合される。フレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’は、孔又は開口部103及び/又はスロット104等の任意の適切な結合インターフェースを利用できる留め具190,191及び/又はピン193,194によって下部支持体170及び上部支持体180に結合され得る。さらに、下部支持体170及び上部支持体180は、留め具192及び/又はピン195等によって互いに結合され得る。ピン193〜195を使用して、上部支持体180、下部支持体170、及び/又は様々なフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’を互いに対して精密に位置付けすることができる。冶具161の下部支持体170のインターフェース面171等のフレキシャル・ピボットインターフェース面は、製造及び組立中にワークピース110’,120’,130’を取り付けて支持するために、フレキシャル・ピボット100の外面(例えば、上部及び下部)とインターフェースするように構成され得る。
【0024】
冶具161は、上部支持体180及び下部支持体170を互いに対して位置付けするために、フレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’の端部に配置されたスタンドオフスペーサ162を含み、それによりフレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’を互いに対して位置付けすることができる。スタンドオフスペーサ162は、上部支持体180及び/又は下部支持体170に関連付けることができる。図示の実施形態では、スタンドオフスペーサ162は、下部支持体170に関連付けられる。冶具161の上部支持体180及び下部支持体170は、フレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’の外側面155,156を露出させるために、フレキシャル・ピボット100と略同じ形状である交差構成を有することができ、以下で説明するフレキシャ開口部の形成を容易にすることができる。
【0025】
冶具161の上部支持体180及び下部支持体170は、図1A図5に関して上述した、フレキシャル・ピボット支持部材ワークピース110’,120’,130’の外側面を貫通して延びるフレキシャ開口部150,151の形成を容易にし、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130を形成するように構成することができる。フレキシャ開口部150,151は、任意の適切なプロセス又はプロセスの組合せを利用して、任意の適切な方法でワークピース110’,120’,130’に形成され得る。例えば、フレキシャ開口部150,151は、機械加工等の材料除去加工によってワークピース110’,120’,130’に形成してもよい。機械加工プロセスの例には、放電加工(EDM)、ウォータージェット切断、ミーリング加工等が含まれる。製造プロセスは、設計目標、公差要件、コスト等に基づいて選択され得る。ワイヤ放電加工プロセスは、厳しい公差を満たし且つフレキシャ開口部150,151を正確に制御することができる精密な機械加工を提供し得る。一態様では、共通の冶具161を利用して第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130を支持することにより、フレキシャ開口部150,151を形成する機械加工又は材料除去作業中に精密な取り付け関係を確立し且つ維持することができる。こうして、所与の可撓性ブレードのためのフレキシャ開口部を同じ冶具設定で同時に形成し、可撓性ブレードのためのフレキシャ開口部の適切な位置合せを保証することができる。これにより、組立中に位置ずれによりブレードに生じる応力を最小限に抑えることができ、フレキシャル・ピボットの予測可能な性能を与えることができる。切断の方向は、端から中心に向かって、つまり換言すれば、回転軸線101,102に平行であり得る。一例として、図1Bに示される第2及び第3のフレキシャ支持部材120,130のフレキシャ開口部150は、ワイヤ放電加工等の同じ製造プロセスで同時に作製することができる。フレキシャ開口部150(すなわち、スロット)を同時に切断又は形成することにより、(同じ可撓性ブレード141の両端部を受け取る)フレキシャ開口部150の良好な位置合せが可能になる。これにより、フレキシャ開口部150の位置ずれによるブレードにおける駆動変位応力を低減又は最小化することができる。一態様では、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130及び冶具161は、フレキシャ開口部150,151の組立レベルの配列(formation)を可能にして、可撓性ブレード141との組立てのためにフレキシャ開口部150,151の位置合せを確保するように設計することができる。フレキシャ開口部150,151が形成されると、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130は、冶具161から取り外され、図1A図5に関して上述したように、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130が再び冶具161に固定され、且つフレキシャ開口部150,151に可撓性ブレード141を受け入れる最終アセンブリの前に洗浄することができる。
【0026】
可撓性ブレード141は、ミーリング加工、EDM、ウォータージェット加工、鋳造、鍛造、打抜き、光化学加工(PCM)、レーザ切断等の任意の適切なプロセス又は技術を利用して製造することができる。ワイヤEDM、PCM、及び/又はレーザ切断加工を利用して、部品の形状を正確に制御することができる。最終的な表面は、研削、ホーニング、研磨等により、所望の形状及び/又は寸法公差、及び/又は表面仕上げにすることができる。
【0027】
上部支持体180及び下部支持体170は、可撓性ブレード141をフレキシャ開口部150,151に容易に配置して、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130を互いに回転可能に結合するように構成することができる。例えば、上部支持体180及び下部支持体170(スタンドオフスペーサ162を含む)は、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130の側面及び/又は端部へのアクセスを提供し、可撓性ブレード141を第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130のフレキシャ開口部150,151に容易に配置することができる。第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130の側面及び/又は端部の周りに十分な空間を設けることにより、可撓性ブレード141をフレキシャ開口部150,151内に挿入することができる。さらに、冶具161で第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130を支持することにより、フレキシャ開口部150,151を整列させて、ブレード141の応力のかからない組立を容易にすることができる。
【0028】
図1A及び図1Bに示されるように、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130が固定され、可撓性ブレード141がフレキシャ開口部150,151に配置されると、露出端143a,143bを、溶接位置157,158等で、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130(すなわち、カンチレバー状の延長部分152〜154)に溶接することができる。こうして、上部支持体180及び下部支持体170は、溶接器具による第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130の側面へのアクセスを提供すること等により、可撓性ブレード141を第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130に容易に結合するように構成することができる。電子ビーム溶接等、任意の適切なタイプの溶接加工を利用してもよい。同じ冶具161での第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130への可撓性ブレード141の溶接は、それらが溶接される際のブレードの精密な溶接及び適切な整列を確実にすることができる。一態様では、フレキシャル・ピボット100は、溶接後に焼きなましされ得る。第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130は、チタン又は鋼等の任意の適切な材料で作製することができる。第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材110,120,130及び可撓性ブレード141は、溶接を容易にするために同様の材料で作製することができる。
【0029】
本明細書に開示される方法において特定の順序は必要とされないが、一般的にいくつかの実施形態では、方法のステップは連続的に実施され得ることに留意されたい。
【0030】
図7は、本開示の別の例によるフレキシャル・ピボット200を示す。フレキシャル・ピボット200は、多くの点で、図1A図5に関して上述したフレキシャル・ピボット100と同様である。例えば、フレキシャル・ピボット200は、それぞれが交差構成で配置される2つ以上の可撓性ブレード241を含むフレキシャ(すなわち、交差ブレード・フレキシャ)によって互いに回転可能に結合された第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230を含むことができる。第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230はそれぞれ、図8図10に個別に示されている。各第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230は、カンチレバー状の延長部分252〜254によって少なくとも部分的に規定されたフレキシャ開口部250,251を有することができる。フレキシャ開口部250,251は、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230の外側面255,256を貫通して延びることができる。フレキシャ開口部250,251は、図7では見えないが、個々のフレキシャ支持部材を示している図では見え、個々に示された各フレキシャ支持部材に関連付けられた同じ参照符号で識別される。明確にするために、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230のカンチレバー状の延長部分252〜254及び外側面255,256は、図7の第2及び第3のフレキシャ支持部材220,230の部分のみで識別される。これらの特徴は、図8図10に示されており、個々に示された各フレキシャ支持部材に関連付けられた同じ参照符号で識別される。フレキシャル・ピボット100と同様に、フレキシャル・ピボット200のカンチレバー状の延長部分252〜254を使用して、可撓性ブレード241を第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230に結合することができる。
【0031】
この場合に、可撓性ブレード241は、カンチレバー状の延長部分252〜254によって第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230にクランプされる。例えば、留め具206(例えば、ねじ、ボルト等)が、可撓性ブレード241をクランプするために、カンチレバー状の延長部分252〜254を少なくとも部分的に貫通して延びることができる。こうして、カンチレバー状の延長部分252〜254は、開口部207を有することができ、それに応じて、留め具206を受け入れるためにねじ切りされ得る。開口部又は孔207は、留め具ヘッドを収容するために、必要に応じて皿穴を開けることができる。可撓性ブレード241は、可撓性ブレードを貫通する留め具206の通過を容易にするための孔又は開口部も含むことができる。従って、カンチレバー状の延長部分252〜254は、可撓性ブレード241をフレキシャ支持部材210,220,230に結合する片持ち式クランプとして機能することができる。
【0032】
一態様では、可撓性ブレード241の露出端243a,243bを、第1、第2、及び第3のフレキシャ支持部材210,220,230の外側面255,256でカンチレバー状の延長部分252〜254に溶接することができる。溶接部は本開示の特定の態様を明確に示すために図7には示されていないが、溶接を参照符号257,258によって識別される領域で行うことができる。溶接を行ってクランプされた結合部に強度を加えてもよい。例えば、留め具206は、可撓性ブレード241をクランプすることができ、溶接は、面内強度を高めることができる。こうして、留め具206及び溶接部を利用して高負荷条件に対処することができる。一態様では、図6A及び図6Bに関して上述したように、冶具161を使用してフレキシャル・ピボット200を作製することができる。さらに、ブレード241の屈曲部は溶接で終了しないため、溶接部は曲げ応力を受けない。
【0033】
本明細書に記載される実施例は、開示される特定の構造、プロセスステップ、又は材料に限定されず、当業者によって認識されるようにそれらの均等物に拡張されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の例を説明する目的のためだけに使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0034】
さらに、説明した特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。説明では、長さ、幅、形状等の例等の多くの特定の詳細が提供され、説明している技術の完全な理解を与える。しかしながら、当業者は、1つ又は複数の特定の詳細なしで、又は他の方法、構成要素、材料等を用いて本発明を実施できることを認識するであろう。他の場合に、周知の構造、材料、又は動作は、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細に示し且つ説明していない。
【0035】
前述した例は、1つ又は複数の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、当業者には、本明細書に記載の原理及び概念から逸脱することなく、形態、使用法、及び実装の詳細における多くの修正が、独創的な能力なしに行われ得ることは明らかであろう。従って、以下に記載される特許請求の範囲による場合を除き、本発明を限定することを意図していない。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10