特許第6806963号(P6806963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806963外科的インプラントの送達および配置のためのシステムならびに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806963
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】外科的インプラントの送達および配置のためのシステムならびに方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20201221BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20201221BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A61F2/46
   A61F2/08
   A61B17/56
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-542587(P2019-542587)
(86)(22)【出願日】2018年2月2日
(65)【公表番号】特表2020-505183(P2020-505183A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】US2018016673
(87)【国際公開番号】WO2018144887
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年12月16日
(31)【優先権主張番号】62/453,853
(32)【優先日】2017年2月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320014042
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Smith & Nephew,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】セオドア アール カックリック
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−527840(JP,A)
【文献】 特表2017−513655(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/046893(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0188874(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0116363(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0209401(US,A1)
【文献】 米国特許第05405360(US,A)
【文献】 米国特許第05957939(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
A61B 17/56
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状インプラントを外科的部位に送達するための送達システムであって、
遠位端部、近位端部、および前記近位端部から前記遠位端部まで延在する内腔を特徴とする送達チューブ、
遠位端部および近位端部を有する第1の展開アーム、
遠位端部および近位端部を有する第2の展開アーム、ならびに
遠位端部および近位端部を有する押し棒シャフトであって、前記押し棒シャフトの遠位端部が、前記第1の展開アームの近位端部および前記第2の展開アームの近位端部に取り付けられた、押し棒シャフト
を備える送達チューブ組立体と、
駆動ハンドルとを備え、
前記送達チューブ組立体が前記駆動ハンドルに動作可能に連結され、それにより、前記駆動ハンドルを操作することによって、前記送達チューブの前記内腔の中で前記押し棒シャフトが並進し、
前記第1の展開アームおよび第2の展開アームが、前記送達チューブの前記内腔よりも幅広い開構成に向かって弾性的に付勢され、前記送達チューブの前記内腔の中に前記展開アームを配設することができる閉構成になるよう圧縮可能であり、
それぞれの展開アームが、実質的に前記展開アームの長さにわたって通る長手方向スロットを備え、それぞれの前記スロットが、前記展開アームのスロットと前記シート状インプラントとの摩擦嵌めによって前記シート状インプラントの一部分を保持するようにサイズ設定され、
前記押し棒シャフトの一部分が、前記送達チューブの前記近位端部から近位方向に延在し、前記送達チューブ組立体がさらに、前記送達チューブの前記近位端部の近くに配設されたフランジを備え、前記押し棒シャフトがさらに、前記送達チューブの前記近位端部から近位方向に延在する前記押し棒シャフトの前記一部分に配設されたピンを備え、
前記駆動ハンドルが、前記フランジを受けるようにサイズ設定および寸法設定されたリテーナ・スロットであって、前記送達チューブを前記駆動ハンドルに長手方向に固定するリテーナ・スロットを備え、
前記駆動ハンドルがさらに、前記駆動ハンドルに対して長手方向にヨークを並進させるために前記ヨークに動作可能に連結されたトリガを備え、前記ヨークが、前記送達チューブの前記近位端部から近位方向に延在する前記押し棒シャフトの前記一部分を受けるよう
にサイズ設定および寸法設定された、長手方向に配向されたスロットと、前記押し棒シャフトの前記ピンを受けるようにサイズ設定および寸法設定された横方向スロットであって、前記押し棒シャフトを前記ヨークに固定する横方向スロットとを備え、それにより、前記送達チューブ組立体が前記駆動ハンドルに取り付けられたときに、前記トリガを操作することによって、前記送達チューブ内で前記押し棒シャフトが長手方向に並進する、送達システム。
【請求項2】
シート状インプラントをさらに備え、前記シート状インプラントの第1の部分が、前記第1の展開アームの前記長手方向スロット内に配設され、前記シート状インプラントの第2の部分が、前記第2の展開アームの前記長手方向スロット内に配設される、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記送達チューブ組立体が、前記駆動ハンドルに解放可能に取り付けられる、請求項1に記載の送達システム。
【請求項4】
前記送達チューブの前記内腔の中に配設されたホルダをさらに備え、前記ホルダは、遠位端部および近位端部を有し、前記ホルダの遠位端部が、前記送達チューブの前記遠位端部から遠位方向に延在し、前記ホルダの遠位端部が、前記シート状インプラントの上面に動作可能に連結されることを特徴とする、請求項2に記載の送達システム。
【請求項5】
前記送達チューブが、前記押し棒シャフトの周りに回転可能である、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
前記シート状インプラントの送達チューブ組立体と流体連通する流体マニホールドをさらに備え、前記送達チューブが、前記送達チューブの遠位端部の近くの前記送達チューブの側壁に孔をさらに備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項7】
前記押し棒シャフトの一部分が前記送達チューブの前記近位端部から近位方向に延在し、前記送達チューブ組立体が、前記送達チューブの前記近位端部の近くに配設されたフランジをさらに備え、
前記駆動ハンドルが、前記フランジを受けるようにサイズ設定および寸法設定されたリテーナ・スロットであって、前記送達チューブを前記駆動ハンドルに長手方向に固定するリテーナ・スロットを備え、
前記駆動ハンドルがさらに、前記押し棒シャフトに動作可能に連結されるスライド・アクチュエータをさらに備え、前記スライド・アクチュエータを操作することによって、前記送達チューブ内で前記押し棒シャフトが長手方向に並進する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
前記押し棒シャフトが、前記押し棒シャフトの前記遠位端部の近くで屈曲可能である、請求項1に記載の送達システム。
【請求項9】
前記押し棒シャフトが、前記押し棒シャフトの前記遠位端部の近くでヒンジ連結された、請求項1に記載の送達システム。
【請求項10】
流体源と流体連通する送達針をさらに備え、前記送達針が、前記送達チューブの前記内腔の中に配設され、前記送達針は、遠位端部および近位端部を有し、前記送達針の遠位端部が、前記送達チューブの前記遠位端部から遠位方向に延在し、前記送達針の近位端部が
、前記流体源に動作可能に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の送達システム。
【請求項11】
前記流体源が組織接着剤である、請求項10に記載の送達システム。
【請求項12】
前記第1の展開アームの遠位端部が、前記第2の展開アームの遠位端部に平行である、請求項1に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2017年2月2日出願の米国特許出願第62/453,853号の優先権を主張する。
【0002】
以下に説明する本発明は、シート状外科的インプラントの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的構造物および他のシート状外科的インプラント(嵌め込み物)が、関節病変を修復するために急速に普及している。「生物学的構造物」は、組織成長を促進し、または組織の欠陥および断裂を補強および修復するための生物由来インプラントの類である。これらは、関節炎軟骨の修復、骨への腱の接合、および肩の変性した回旋腱板のブリッジングに使用することができる。「再生組織マトリックス」、「無細胞性組織マトリックス」、または「コラーゲン足場」、および他のこうした物質を含む生物学的構造物は、コラーゲンまたはフィブリンなど可撓性のある工学的に作成された生体材料、脱細胞化皮膚マトリックスの架橋された無菌異種移植片の組織、および、完全に生細胞材料のない場合があり生物学的成長因子などの有効な付加物が入れられる場合がある「多血小板血漿」パッチの小さいシートまたはディスクである。また、生物学的構造物は、間葉系幹細胞から組織工学的に作成されてもよい。この明細書では、生物学的構造物という用語は、身体内に留置して治癒を促進するのに適した、再生組織マトリックス、無細胞性組織マトリックス、またはコラーゲン足場、または同様の材料の任意のシート状もしくはディスク状の構成を指す。
【0004】
今や生物学的構造物は、整形外科医の医療装備においてますます重要な位置を占めている。生物学的構造物の重要な課題の1つは、送達器具が、こうしたインプラントの進化に追い付いていないことである。配置および位置合わせが、特に問題である。たとえば、生物学的構造物は片側だけに細胞を接種されることが多く、細胞側を下にした状態でこれらのインプラントを付着させることが非常に重要であり、そうでなければインプラントが機能しない。しかし、両側とも見た目はほぼ同じであり、したがって間違った側を下にしてそれらを留置するというミスが起こりやすい。
【発明の概要】
【0005】
以下に説明するシステムおよび方法は、シート状外科的インプラントを、身体組織に隣接して送達および配置することを可能にする。送達システムは、送達チューブ組立体と駆動ハンドルとを有する。送達チューブ組立体は押し棒シャフトを含み、弾性的に拡張可能な展開アームが、押し棒シャフトの遠位端部に配置されている。シート状インプラントは、展開アームに解放可能に固定される。シート状インプラントがアームに固定され、組み付けられたアームとインプラントが送達チューブの中に嵌まるように圧縮され、送達チューブが身体内に挿入される。
【0006】
システムは、分離可能な駆動ハンドルと送達チューブ組立体を有するモジュール式である。送達システムには、送達チューブ組立体を通して流体または気体の管理部を装着することができる。送達チューブ組立体は、可撓性のある、またはヒンジ連結された展開を介して関節接合を提供し、これは特にヘルニアの修復に有用である。
【0007】
このシステムは、関節鏡検査法における生物学的構造物の送達のみならず、他のシートおよび足場の修復手順においても使用することができる。システムは、関節修復またはヘルニア修復など、合成のまたは生物学的なパッチが使用される任意の軟組織の修復手順に使用することができる。シート状外科的インプラントを身体組織に隣接して配置するための方法も記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1a】シート状インプラント送達システムを示す図である。
図1b】シート状インプラント送達システムを示す図である。
図2a】展開アームにおいて折りたたまれたシート状インプラントの詳細図である。
図2b】展開アームにおいて折りたたまれたシート状インプラントの詳細図である。
図2c】展開アームにおいて折りたたまれたシート状インプラントの詳細図である。
図2d】展開アームにおいて折りたたまれたシート状インプラントの詳細図である。
図2e】展開アームにおいて折りたたまれたシート状インプラントの詳細図である。
図2f】展開アームにおいて折りたたまれたシート状インプラントの詳細図である。
図3a】流体管理部が一体化されたシート状インプラント送達システムを示す図である。
図3b】流体管理部が一体化されたシート状インプラント送達システムを示す図である。
図4a】真っ直ぐなハンドルおよびスライダ・アクチュエータを有するシート状インプラント送達システムを示す図である。
図4b】真っ直ぐなハンドルおよびスライダ・アクチュエータを有するシート状インプラント送達システムを示す図である。
図4c】真っ直ぐなハンドルおよびスライダ・アクチュエータを有するシート状インプラント送達システムを示す図である。
図5a】関節のあるシート状インプラント送達システムを示す図である。
図5b】関節のあるシート状インプラント送達システムを示す図である。
図5c】関節のあるシート状インプラント送達システムを示す図である。
図5d】関節のあるシート状インプラント送達システムを示す図である。
図6】流体送達部が一体化されたシート状インプラント送達システムを示す図である。
図7a】親指と指のループハンドルを有するシート状インプラント送達システムを示す図である。
図7b】親指と指のループハンドルを有するシート状インプラント送達システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1aおよび図1bは、送達チューブ組立体2と駆動ハンドル3を備えるシート状インプラント送達システム1を示す。送達チューブ組立体2は、押し棒シャフト5の遠位端部に取り付けられた1対の展開アーム4を備える。押し棒シャフト5は、送達チューブ6内にスライド可能に配設される。送達チューブ6は、駆動ハンドル3と係合するためのリテーナ特徴部(フランジ7)を有する。展開アーム4は後退可能であり、送達チューブ6内で近位方向に後退することができ、図1aに示す開構成(開放構成)に向かって弾性的に付勢されており、送達チューブ6内に引き込まれるときに、圧縮され引き下げられて送達チューブの内腔よりも小さい閉構成(閉鎖構成)になることができる。
【0010】
駆動ハンドル3(またはピストル・グリップ)は、展開トリガ8、ばね9、リテーナ・スロット10、駆動ヨーク11、および案内スロット12を備える。送達チューブ組立体と駆動ハンドルの係合は、長手方向に配向された押し棒案内スロット11Lに押し棒シャフトを滑り込ませ、ヨークの横方向スロット11T内にピン5Pを押し込み、駆動ハンドルのリテーナ・スロット10に送達チューブのリテーナ特徴部(フランジ7)を滑り込ませることによって、作り出される。示すように、送達チューブ組立体は、解放可能に駆動ハンドルに取り付けられる(すなわち、送達チューブ組立体は、ねじ回しやレンチなどの工具を使用することなく、迅速に駆動ハンドルに取り付け、それから取り外すことができる)。
【0011】
送達チューブ組立体2は、1つのシステムにおいて共通の駆動ハンドル3で使用可能な様々なインプラントの大きさを考慮している。たとえば、展開アーム4は、インプラントの大きさに応じて小さくする、または大きくすることができる。装置は、単一のハンドルと、異なる大きさの展開アームおよび/または生物学的パッチを有するいくつかの送達チューブ組立体とを有するキットで提供されてもよく、それらは、特定の患者の実際の元のまたは外科的に変化した解剖学的形態に合わせて、手術中に外科医によって選択されて使用されてもよい。送達チューブの直径は、展開アームの大きさを収容するように、大きくまたは小さくすることができる。送達チューブ組立体2および駆動ハンドル3は、使い捨てであっても、再使用可能であってもよい。
【0012】
図2a〜図2cは、シート状インプラント13が取り付けられた展開アーム4の拡大図を示す。シート状インプラント13は、各展開アーム4内のスロット14に挿入され、スライド可能にスロットに係合し、こうして取り外し可能に展開アーム4に固定される。長手方向スロット14は、実質的に展開アームの長さにわたって通っており、各スロットは、展開アームのスロットとシート状インプラントとの摩擦嵌めによって、シート状インプラントの一部分を保持するようにサイズ設定される。インプラントをアームに取り付けるために、クランプを使用することもできる。シート状インプラント13は、図2a〜図2dに示すように折りたたまれ、または丸められ、送達システム1の送達チューブ6内に圧縮され入れられる。展開アーム4および押し棒シャフト5は、送達チューブ6内に配置される。部品が組み付けられた押し棒シャフト5は、外科的空間内に送達される前に、送達チューブ6を通って近位方向に引かれる。ユーザが展開アームを後退させたときに、シート状インプラントが折りたたまれる。あるいは、送達チューブ内に後退させる前に、ユーザが手動でインプラントを展開アームの周りに折りたたみ、丸めてもよい。
【0013】
図2d〜図2fに示すように、インプラントの展開は、駆動ハンドル3のトリガ8を操作して、送達チューブ6から遠位方向に押し棒5を伸ばす(または、ハンドルの構造に応じて、送達チューブを近位方向に引っ張る)ことによって実施される。送達チューブから遠位方向に完全に展開されると、インプラントは、展開アーム4の弾性的な拡張によって引っ張られて平坦になる。シート状インプラントは、所望の位置で平坦に配置され、(必要に応じて他の器具を用いて)定位置に縫合もしくは留め付けされ、または定位置に接着される。インプラントが配置され解放されると、アームは送達チューブを通って近位方向に後退し、送達システムが外科的部位から引き抜かれる。
【0014】
展開アームは、弾性材料(ばね性のある金属、ニチノール、またはプラスチック)から作られ、それにより、送達チューブの遠位端部から遠位方向に展開されたときに、展開アームが勢いよく開く。第1の展開アームおよび第2の展開アームは、それぞれ近位端部および遠位端部を有し、各アームの近位端部は、押し棒シャフトの遠位端部に結合される。第1および第2の展開アームは、閉位置と開位置の間で可動であり、閉位置では、アームが全体的に長手方向に伸び、枢動して開位置になるときに、各アームの遠位端部が全体的に横方向に動いて、シート状インプラントを広げる。アームの遠位区分同士は、概ね平行に配置され、各アームの近位区分は、チューブの中央に向かって曲がり、アームの近位端部で押し棒シャフトに接合される。展開アームが後退する間にインプラントを定位置に保持しやすくするために、図2Eおよび図2Fに示す任意選択のホルダ25が提供されてもよい。ホルダ・シャフトは、押し棒シャフトまたは送達チューブの内腔に配設されてもよく、内腔の中で長手方向に並進可能であってもよく、シート状インプラントに向かって遠位方向に伸長可能であってもよく、インプラントを定位置に保持するように動作可能であってもよい。
【0015】
送達チューブは、押し棒シャフトの周りに回転可能である。これにより、ユーザは展開アームを操作し、したがって、シート状インプラントを所望の位置に留置することができるようになる。たとえば、ユーザは、(たとえば細胞が接種された)正しい側が、治療すべき組織に正しく留置されるように、生物学的構造物を配向させることができる。
【0016】
図3aおよび図3bは、流体管理部が一体化されたインプラント送達システムを示す。流体マニホールド15は、インプラント送達チューブ組立体に流体連通して取り付けられる。流体マニホールドは、流体の流入および流体の流出を可能にする。流体の流入は、展開アーム同士間の装置の遠位端部16を通って入り、流体の流出は、送達チューブの側壁の孔17から出る。流入および流出に別個の流路が提供されてもよい。流体は、(標準的な関節鏡技法のように)生理食塩水であってもよく、または(フィブリン接着剤などの組織接着剤に適合するように)気体であってもよい。
【0017】
インプラント送達システムは、図4a〜図4cに示すように、スライド・アクチュエータ19を有する真っ直ぐなハンドル18を有してもよい。ユーザがスライダ・アクチュエータを近位および遠位の方向に対応して操作することにより、押し棒シャフトが近位方向に引かれ、遠位方向に伸ばされる。
【0018】
図5a〜図5dは、関節のあるインプラント送達システムを示す。図5aおよび図5bは、押し棒シャフトが可撓性のある屈曲可能シャフト20である送達システムを示す。駆動ハンドルによって制御される回転ホイール21を介して、曲げ制御が実行される。図5cおよび図5dは、回転ホイール22によって制御されるヒンジ連結された押し棒22を示す。
【0019】
図6は、外科的部位に流動性の薬物(たとえば、組織接着剤、幹細胞、多血小板血漿(PRP)、または薬物)を送達するためのシステムを有するインプラント送達システムを示す。流動性の薬物は、送達針またはカテーテル24に動作可能に連結されたポンプまたはシリンジ23を使用して、送達チューブ組立体と流体連通した流体源から注入され、送達針またはカテーテル24は、送達チューブ組立体を通って挿入される。流動体の送達を使用して、たとえば生物学的構造物の下に組織接着剤を留置して固定することができる。流動体の送達によって、治療すべき組織(腱、軟骨)に接触する生物学的構造物の側に、幹細胞またはPRPを付着させることができる。
【0020】
図7aおよび図7bは、代替的な駆動ハンドル25および送達チューブ組立体26を示す。駆動ハンドルは親指ループ27および指ループ28を有し、これらのループによって、ユーザは、駆動ハンドルに逆方向の力を加えて、送達アームを送達チューブ内に後退させることができるようになる。
【0021】
使用に際し、外科医は、関節周りに関節鏡の作業空間を作り出し、関節鏡作業空間の近位にある患者の皮膚を通ってカニューレを挿入することによって、患者の身体内の関節にインプラントを送達する。外科医は、インプラント13を展開アーム4に取り付け、展開アームにシートが取り付けられた状態で押し棒シャフト5を後退させ、それにより、展開アームとシートがカニューレ内で送達チューブに通って嵌まる。外科医は、カニューレを通して送達チューブ組立体を関節鏡作業空間に挿入する。外科医は、駆動ハンドルの展開トリガを引き、こうして押し棒シャフト5を遠位方向に押して展開アームおよびシートを作業空間内で伸ばし、目的とする埋入部位の近位にシートを配置する。
【0022】
次いで外科医は、作業空間内で身体組織にシートを固定する。インプラントは、別個の器具を用いて、ステープル、縫糸、クリップ、または他の手段によって固定される。また、インプラントは、(図6に示す)送達チューブ組立体または別個の器具によって送達可能な組織接着剤によって固定されてもよい。インプラントが定位置に本質的に留め付けされると、外科医は、アームを近位方向にスライドすることによって展開アームからインプラントを解放し、ここでインプラントは、アームからスライド可能に解放され、アームは近位方向に送達チューブ内に引き込まれる。外科医は、送達チューブ内の押し棒シャフトを後退させ、インプラント送達システムを作業空間から取り除く。
【0023】
装置および方法が開発された環境を参照しながら、それらの好ましい実施形態を説明したが、これらの装置および方法は、単に本発明の原理を示すに過ぎない。システムは、分離可能な駆動ハンドルと送達チューブ組立体を有するモジュール式である。あるいは、システムは、単一のユニットとして組み立てることができる。様々な実施形態の要素は、他の種類のそれぞれに組み込まれて、こうした他の種類と組み合わされたこれらの要素の利益が得られてもよく、様々な有利な特徴は、実施形態において単独で利用されてもよく、または互いに組み合わされて利用されてもよい。本発明の趣旨、および添付の特許請求の範囲に記載の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および構成が考案されてもよい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b