特許第6806966号(P6806966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806966
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】バリア適用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20201221BHJP
   A61B 46/13 20160101ALI20201221BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20201221BHJP
【FI】
   A61B17/94
   A61B46/13
   A61B90/00
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-554314(P2016-554314)
(86)(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公表番号】特表2016-540616(P2016-540616A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】US2014064964
(87)【国際公開番号】WO2015073410
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年10月30日
【審判番号】不服2019-3583(P2019-3583/J1)
【審判請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】14/077,893
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・カペック
(72)【発明者】
【氏名】カズナ・タナカ
(72)【発明者】
【氏名】ユキコ・ナオイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・カブリク
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 林 茂樹
【審判官】 倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−66671(JP,A)
【文献】 特開2013−106938(JP,A)
【文献】 米国特許第6478803(US,B1)
【文献】 米国特許第5957939(US,A)
【文献】 特表2004−514470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B34/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって:
把持部分および軸部分を含むハンドルと;
該ハンドルに摺動可能かつ回転可能に連結され、導入器管および導入器止め具を含む導入器アセンブリと;
ハンドルの遠位端に連結されたビームアセンブリと;
該ビームアセンブリに連結されたフラッグと
を含み、
ここで、把持部分は、向きインジケータを含み、導入器管は、導入器管の長さの少なくとも一部に沿って形成されたスロットと接する遠位開口部を備えた遠位端を含み、
該ビームアセンブリは、第1のビームと第2のビームを含み、
該第1のビームと該第2のビームの間には、軸方向の空間が形成され、
該フラッグは、少なくとも1つの内側タブと少なくとも1つの外側タブとを含み、該内側タブを該外側タブに向かって折り重ねることにより、バリアを受けるためのポケットが形成され、
該ポケットは、該第1のビームと該第2のビームの間に形成された該軸方向の空間を、該ポケットが貫通するように配置され、
該ポケットは、該バリアが該ポケットに適切に挿入されたという視覚的なフィードバックを提供する1つまたはそれ以上のスリットを含む、前記デバイス。
【請求項2】
把持部分は摩擦面を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
向きインジケータは、突起、凹部、記号および色の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
導入器管の遠位端に斜角がつけられた、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
導入器止め具は、導入器管の外径より大きい外径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
ハンドルの遠位端に連結されたスリーブ
をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
ビームアセンブリおよびハンドルに連結されたフレックスジョイントをさらに含み、該フレックスジョイントは、ハンドルと同軸である偏向していない状態で付勢され、ハンドルに対してある角度で偏向した状態に動かすことができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
ビームアセンブリは、導入器管上の遠位開口部と係合するように適用された遠位先端を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
遠位先端は丸みのある遠位面を含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの内側タブおよび/または少なくとも1つの外側タブは、折り重ねられる位置に向かって付勢されるフラップである、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
フラッグは疎水性のメッシュである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
方法であって:
把持部分および軸部分を含むハンドルと;
該ハンドルに摺動可能かつ回転可能に連結され、導入器管および導入器止め具を含む導入器アセンブリと;
ハンドルの遠位端に連結されたビームアセンブリと;
該ビームアセンブリに連結されたフラッグと
を含み、
ここで、把持部分は、向きインジケータを含み、導入器管は、導入器管の長さの少なくとも一部に沿って形成されたスロットと接する遠位開口部を備えた遠位端を含み、
該ビームアセンブリは、第1のビームと第2のビームを含み、
該第1のビームと該第2のビームの間には、軸方向の空間が形成され、
該フラッグは、少なくとも1つの内側タブと少なくとも1つの外側タブとを含み、該内側タブを該外側タブに向かって折り重ねることにより、バリアを受けるためのポケットが形成され、
該ポケットは、該第1のビームと該第2のビームの間に形成された該軸方向の空間を、該ポケットが貫通するように配置され、
該ポケットは、該バリアが該ポケットに適切に挿入されたという視覚的なフィードバックを提供する1つまたはそれ以上のスリットを含む、デバイスを提供する工程と;
フラッグ上にバリアを配置する工程と;
導入器アセンブリを、ハンドルに沿って、引き込み位置から、少なくとも部分的にビームアセンブリを覆う伸長位置まで摺動させる工程と;
フラッグおよびバリアがビームアセンブリのまわりに巻き付けられるまで、ハンドルを導入器アセンブリに対して回転させる工程と
を含む前記方法。
【請求項13】
バリアは癒着バリアである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
癒着バリアはSeprafilmである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
外科的処置(surgical procedure)の後、手術部位に隣接する器官および/または組織が、組織の線維帯(fibrous band)によって手術部位に付着することがあり、これは癒着(adhesion)として知られている。癒着によって、治癒が遅れ、手術後の痛みおよび/または感染症が起こり、場合によってはさらなる外科的な介入(surgical intervention)が必要になることがある。したがって、手術部位への癒着を防止するためのバリアが求められている。
【0002】
傷つけられた手術部位と隣接する器官および/または組織との間に物理的なバリアを提供することによって、癒着の形成を防止または制限することが可能である。物理的なバリアは、癒着を生じさせる(adhesiogenic)可能性がある組織および器官構造の各部位に適用され、対向する組織/器官の表面を分離する一時的なバリアとして役立つことができる。こうしたバリアは、外科的処置の終わりに適用されるフィルムとして提供されることがしばしばである。
【0003】
そのようなフィルム状のバリアは有用であるが、外科的処置の間にそうしたバリアを適用することが難しい場合がある。たとえば腹腔鏡下の処置の間、手術は、トロカールと呼ばれる小さい手術用の出入口を通して挿入される腹腔鏡に取り付けられたカメラを用いることによって行われる。手術部位はモニタ上で観察され、手術用の器具は別のトロカールを通してその部位に到達する。従来型のトロカールの直径は、5mm〜12mmの範囲にわたる。外傷および瘢痕を最小限に抑えるために、外科医も患者も、できるだけ小さいトロカールを使用することを選択する。結果として、モニタ上で観察しながらトロカールを通してフィルム状のバリアを挿入し、それを手術部位に送達できるようにすることが難しくなる。たとえば、フィルム状のバリアは、折り畳まれた状態で体内に導入し、次いで、広げてその元の形に戻すことが必要になる。(たとえば、その材料特性、サイズおよび/もしくは形状に応じて)バリアを折り畳むこと、ならびに/または(たとえば、バリアが液体と接触する場合などに、その折り畳まれた向き/構成に応じて)広げることが難しい場合がある。
【0004】
さらに、腹腔鏡下の処置におけるフィルム状のバリアの送達を複雑にする可能性がある他の要因も存在する。たとえば、腹腔鏡下の手術では空間が限られるため、フィルム状のバリアが意図しない器官および/または組織に付着する恐れがある。さらに、フィルム状のバリアは、血液または洗浄のために用いられる生理的食塩水などの液体と接触すると粘着性をもつようになり、それによってフィルム状のバリアが、トロカール、意図しない組織/器官またはバリア自体に誤って付着する恐れがある。手術部位を適切に覆うために、複数のバリアが必要になる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、バリアを手術部位に効果的に配置するための改善されたバリア適用デバイス(barrier application device)が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な一実施形態において、本発明によるデバイスは、ハンドルと、ハンドルに摺動可能かつ回転可能に連結された導入器アセンブリ(introducer assembly)と、ハンドルの遠位端に連結されたビームアセンブリと、ビームアセンブリに連結されたフラッグ(flag)とを含む。このデバイスを利用して、バリアを手術部位に配置することができる。
【0007】
例示的な一実施形態において、ハンドルは、把持部分および軸部分を含む。把持部分は、摩擦面を含むことができる。把持部分は、向きインジケータ(orientation indicator)を含むことができる。向きインジケータは、突起、凹部、記号および色の少なくとも1つを含むことができる。
【0008】
例示的な一実施形態において、導入器アセンブリは、導入器管および導入器止め具を含む。導入器管は、導入器管の長さの少なくとも一部に沿って形成されたスロットと接する遠位開口部を備えた遠位端を含むことができる。遠位端には斜角をつける(bevel)ことができる。導入器止め具は、導入器管の外径より大きい外径を有することができる。
【0009】
例示的な一実施形態において、デバイスは、ハンドルの遠位端に連結されたスリーブをさらに含む。
【0010】
例示的な一実施形態において、デバイスは、ビームアセンブリおよびハンドルに連結されたフレックスジョイント(flex joint)をさらに含む。フレックスジョイントは、ハンドルと同軸である偏向していない状態で付勢し、ハンドルに対してある角度で偏向した状態に動かすことができる。角度は、X軸に対して0°から360°の間、Y軸に対して0°から180°の間、またはZ軸に対して0°から180°とすることができる。
【0011】
例示的な一実施形態において、ビームアセンブリは、フラッグを受けるように適用されたフラッグ凹部を含む。ビームアセンブリは、導入器管上の遠位開口部と係合するように適用された遠位先端を含むことができる。遠位先端は、丸みのある遠位面を含むことができる。
【0012】
例示的な一実施形態において、フラッグは少なくとも1つのタブを含む。少なくとも1つのタブは、少なくとも1つの内側タブおよび少なくとも1つの外側タブを含むことができる。少なくとも1つのタブは、折り重ねられる位置に向かって付勢されるフラップとすることができる。
【0013】
例示的な一実施形態において、フラッグは、少なくとも部分的にフラッグ凹部に配置されたポケットを含む。ポケットは、少なくも1つのスリットを含むことができる。
【0014】
例示的な一実施形態において、フラッグは疎水性のメッシュである。
【0015】
例示的な一実施形態において、本発明による方法は、ハンドルと;ハンドルに摺動可能かつ回転可能に連結された導入器アセンブリと;ハンドルの遠位端に連結されたビームアセンブリと;ビームアセンブリに連結されたフラッグとを含むデバイスを提供する工程と、フラッグ上にバリアを配置する工程と、導入器アセンブリを、ハンドルに沿って、引き込み位置(retracted position)から、少なくとも部分的にビームアセンブリを覆う伸長位置まで摺動させる工程と、フラッグおよびバリアがビームアセンブリのまわりに巻き付けられるまで、ハンドルを導入器アセンブリに対して回転させる工程とを含む。
【0016】
例示的な一実施形態において、バリアは癒着バリア(adhesion barrier)である。例示的な一実施形態において、癒着バリアはSeprafilmである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1Aおよび1Bは、本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
図2】本発明によるバリア適用デバイス用の導入器アセンブリの例示的な一実施形態を示す図である。
図3】本発明によるバリア適用デバイス用のビームアセンブリおよびフラッグの例示的な一実施形態を示す図である。
図4】使用前の本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
図5】使用前の本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
図6】使用前の本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
図7】使用中の本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
図8】使用中の本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
図9】使用中の本発明によるバリア適用デバイスの例示的な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるバリア適用デバイスの例示的な実施形態を用いて、バリアを保持し、そのバリアを手術部位に配置することができる。例示的な一実施形態において、バリアを手術部位に付着するように適用し、器官および/または組織が手術部位に癒着するのを防止することができる。例示的な一実施形態において、バリアは、Genzyme Corporationによって製造されたSeprafilm(登録商標)Adhesion Barrierとすることができる。他の例示的な実施形態において、バリアは、Ethicon Inc.によって製造されたGynecare Interceed(登録商標)とすることができる。
【0019】
図1Aおよび1Bは、本発明によるバリア適用デバイス10の例示的な一実施形態を示している。適用デバイス10は、把持部分12.1および把持部分12.1から延びる軸12.2を有するハンドル12を含む。例示的な一実施形態において、把持部分12.1は、使用者が把持して取り扱うために人間工学的に成形される(たとえば、円筒形、円錐形、円錐台形、またはそれらの任意の組み合わせ)。例示的な一実施形態では、把持部分の上に摩擦材または突起のアレイなどの把持面(図示せず)を配置し、使用中に使用者のグリップを高め、滑りを防止することができる。把持部分12.1の上に、向きインジケータ12.1.1を配置することができる。例示的な一実施形態において、向きインジケータ12.1.1は、突起、凹部、記号または任意の他の機能とすることができ、また使用者に視覚的なフィードバックを提供するために、把持部分12.1の色と異なる色を有することができる。軸12.2は、把持部分12.1の遠位端から遠位に延びる。例示的な一実施形態において、軸12.2は把持部分12.1と同軸に位置合わせされる。例示的な一実施形態において、ハンドル12は、アクリロニトリルブタジエンスチレンから作られる。
【0020】
ハンドル12に、導入器アセンブリ14が摺動可能かつ回転可能に連結される。図2は、本発明による導入器アセンブリ14の例示的な一実施形態を示している。例示的な一実施形態において、導入器アセンブリ14は、軸12.2に摺動可能に連結され、導入器管14.1および導入器止め具14.2を含む。例示的な一実施形態において、導入器管14.1は、斜角をつけた遠位端14.1.1を含む中空の円筒である。遠位端14.1.1は、導入器管14.1の長さの少なくとも一部に沿って形成されたスロット14.1.2と接する遠位開口部14.1.1.1を含む。例示的な一実施形態において、導入器管14.1はステンレス鋼から作られる。
【0021】
例示的な一実施形態において、導入器止め具14.2は、導入器管14.1の外径より大きい外径を有する。以下にさらに詳しく説明するように、導入器止め具14.2は、手術部位への接近を可能にする挿入デバイス(たとえばトロカール)に当接するように適用される。さらに、導入器止め具14.2は、隆起部14.2.1などの1つまたはそれ以上の機能を提供し、使用者が導入器止め具14.2を保持しているときに、グリップを高め、滑りを防止することができる。例示的な一実施形態において、導入器止め具14.2は、導入器管14.1の上にオーバーモールドされ(overmold)、アクリロニトリルブタジエンスチレンから作られる。
【0022】
以下にさらに詳しく説明するように、導入器アセンブリ14は、(図1A〜Bに示す)引き込み位置と伸長位置の間で軸12.2に対して摺動可能であり、導入器アセンブリ14は、軸12.2に対して自由に回転することができる。
【0023】
再び図1A〜Bに示す例示的な実施形態を参照すると、ハンドル12の遠位端にスリーブ16が連結されている。たとえば、スリーブ16を軸12.2の遠位端に配置し、導入器14が遠位に摺動して軸12.2の遠位端から外れるのを防止することができる。例示的な一実施形態において、スリーブ16はポリプロピレンから作ることができる。
【0024】
例示的な一実施形態において、軸12.2の遠位端にフレックスジョイント18を連結することができる。例示的な一実施形態において、フレックスジョイント18は、軸12.2の遠位端と係合するように適用された近位の雌型端部、およびビームアセンブリ20の近位端と係合するように適用された遠位の雌型端部を有する円筒形の要素とすることができる。例示的な一実施形態において、軸12.2の遠位端および/またはビームアセンブリ20の近位端は、それぞれフレックスジョイント18の近位端および遠位端と係合するように適用された1つまたはそれ以上のバーブ(barb)を含むことができる。軸12.2の遠位端および/またはビームアセンブリ20の近位端は、(たとえば、フレックスジョイント18が成形されるときに)フレックスジョイント18上の対応する(1つもしくはそれ以上の)突起を受ける、(半径方向または軸方向に形成された)1つもしくはそれ以上の孔または凹部を含むことができる。他の例示的な実施形態において、フレックスジョイント18は、スリーブ16の開いた遠位端に挿入することができる。フレックスジョイント18は、フレックスジョイント18が軸12.2と同軸に心合わせされた、(図1A〜Bに示す)偏向していない状態で付勢することができる。力が加えられたとき、フレックスジョイント18は、X軸のまわりで360°、Y軸のまわりで約180°、およびZ軸のまわりで約180°曲がることが可能である。力が除かれると、フレックスジョイント18は、偏向していない状態に戻ることができる。例示的な一実施形態において、フレックスジョイント18は、熱可塑性エラストマーから作られる。例示的な一実施形態において、フレックスジョイント18の引張り強さは、約9.1Nより大きい。
【0025】
例示的な一実施形態において、フレックスジョイント18にビームアセンブリ20が連結され、ビームアセンブリ20にフラッグ22が連結される。図3は、本発明によるビームアセンブリ20の例示的な一実施形態を示している。例示的な一実施形態において、ビームアセンブリ20は、第1のビーム20.1および第2のビーム20.2を含む。例示的な一実施形態において、第1のビーム20.1は半円形の断面を有し、第2のビーム20.2は相補的な半円形の断面を有する。第1のビーム20.1が第2のビーム20.2に連結されると、ビーム20.1、20.2の間に軸方向の空間が形成され、その空間は、フラッグ22が内部に配置されるフラッグ凹部20.3として働く。
【0026】
例示的な一実施形態において、第1のビーム20.1は、第1の遠位先端20.1.2を含み、第2のビーム20.2は第2の遠位先端20.2.2を含む。例示的な一実施形態において、第1および第2の遠位先端20.1.2、20.2.2のそれぞれは、実質的に半球形であるか、または半分にした涙滴形のもの(tear−drop)である。第1のビーム20.1が第2のビーム20.2に連結されると、第1の遠位先端20.1.2および第2の遠位先端20.2.2は、軸方向に位置合わせされ、遠位先端20.4を形成する。例示的な一実施形態では、導入器アセンブリ14が伸長位置にあるとき、遠位先端20.4の少なくとも一部を、遠位開口部14.1.1.1によって受けることができる。例示的な一実施形態において、第1および第2のビーム20.1、20.2は、アクリロニトリルブタジエンスチレンから作られる。例示的な一実施形態において、向きインジケータ12.1.1は、第1のビーム20.1および/または第2のビーム20.2の上に配置することができる。たとえば、ビームの1つが異なる色であること、または記号を含むことが可能である。
【0027】
図3は、本発明によるフラッグ22の例示的な一実施形態を示している。例示的な一実施形態において、フラッグ22は実質的に長方形であり、内側タブ22.1、および内側タブ22.1から半径方向に間隔をおいて配置された少なくとも1つの外側タブ22.2を含む。以下にさらに詳しく説明するように、フラッグ22はバリアを受けるように適用され、タブ22.1、22.2は、バリアが配置されるまでバリアをフラッグ22に当てておくように適用される。例示的な一実施形態において、内側タブ22.1は、X軸のまわりで折り重なるように適用され、少なくとも1つの外側タブ22.2は、Z軸のまわりで折り重なるように適用される。例示的な一実施形態において、タブ22.1、22.2は、フラッグ22の面上に配置されたとき、折り重ねられる位置に向かって付勢され、バリアと係合するフラップである。タブ22.1、22.2は、開位置まで開かれ、バリアを受けることができる。例示的な一実施形態では、内側タブ22.1とフラッグ22の間に、1つまたはそれ以上のスリット22.3を形成する(たとえば切り取る)ことができる。以下にさらに詳しく説明するように、組み立ての間、内側タブ22.1を、少なくとも1つのスリット22.3に沿って、少なくとも1つの外側タブ22.2に向かって折り重ね、バリアを受けるためのポケットを作成することができる。例示的な一実施形態において、フラッグ22は疎水性ポリエステルのメッシュから作られる。メッシュおよび疎水性材料は、表面がバリアBに付着するのを防止することができ、疎水性材料はさらに、外科的処置の間に遭遇する可能性がある水および血液をフラッグ22から取り除くのを助けることができる。例示的な一実施形態において、向きインジケータ12.1.1は、たとえばテキストまたは記号としてフラッグ22の上に配置することができる。
【0028】
適用デバイス10を製造し、組み立てる例示的な一実施形態において、ハンドル12は射出成形される。導入器管14.1が作られ、導入器止め具14.2が導入器管14.1の上にオーバーモールドされ、導入器アセンブリ14を形成する。次いで、導入器アセンブリ14は、導入器アセンブリ14を軸12.2上へ摺動させることによってハンドル12に連結される。次いで、スリーブ16が軸12.2の遠位端に連結される。
【0029】
フラッグ22は、レーザカットして(たとえば、タブおよびスリットを含む)所定の形状にしたポリエステルのメッシュから作られる。図3に示すように、第1および第2のビーム20.1、20.2は、フラッグ22の各部分にオーバーモールドされる。たとえば、第1のビーム20.1をスリット22.3の第1の側に成形し、第2のビーム20.2をスリット22.3の第2の側に成形することができる。内側タブ22.1を外側タブ22.2に向かって折り重ね、(図4に示す)ポケット22.3を作成することができ、第1および第2のビーム20.1、20.2は、(たとえば、スナップ嵌め、摩擦嵌め、ラッチ、フックなどによって)互いに連結される。
【0030】
フラッグ22を備えたビームアセンブリ20は、ハンドル/導入器/スリーブアセンブリと共に、フレックスジョイント18用の型に入れられる。次いで、フレックスジョイント18が、スリーブ16の遠位部分およびビームアセンブリ20の近位部分の上にオーバーモールドされる。
【0031】
次いで、完全に組み立てられた適用デバイス10を、滅菌した囲いの中に入れることができる。
【0032】
図4〜9は、本発明によるバリア適用デバイス10の使用に関する例示的な一実施形態を示している。図4に示すように、導入器アセンブリ14は、ビームアセンブリ20を露出させるように、ビームアセンブリ20に対して引き込み位置にある。導入器管14.1の近位端は、近位の止め具としてのハンドル12の把持部分12.1の遠位端に当接することができる。バリアBの第1の側方縁部が内側タブ22.1の下でポケット22.3に挿入されるように、バリアBをフラッグ22の上に配置することができる。1つまたはそれ以上のスリット22.4は、バリアBの第1の側方縁部が、第1および第2のビーム20.1、20.2を通してポケット22.3に適切に挿入されたという視覚的なフィードバックを提供することができる。
【0033】
図5に示すように、導入器アセンブリ14は、引き込み位置から伸長位置へ動かされる。スロット14.1.2がビームアセンブリ20内のフラッグ凹部20.3と位置合わせされるように、導入器アセンブリ14を回転させることができる。導入器アセンブリ14が引き込み位置から伸長位置へ動くと、スロット14.1.2が、フラッグ22およびその上のバリアBを受けることが可能になる。例示的な一実施形態において、導入器管14.1の斜角をつけた遠位端14.1.1によって、スロット14.1.2とフラッグ凹部20.3の位置合わせを容易にすることができ、したがって、導入器管14.1とフラッグ22が当たることによって、フラッグ22(およびその上のバリアB)がしわになること、または折れることがなくなる。すなわち、フラッグ22が斜角をつけた遠位端14.1.1に当たることによって導入器アセンブリ14の回転が生じ、スロット14.1.2とフラッグ凹部20.3を位置合わせすることができる。例示的な一実施形態において、導入器止め具14.2の遠位端は、スリーブ16の近位端に当接して導入器アセンブリ14の伸長位置を決めることができる。他の例示的な実施形態において、遠位先端20.4は、導入器管14の遠位端14.1.1より大きい断面を有することができ、導入器管14の遠位端14.1.1は、ビームアセンブリ20の遠位先端20.4に当接して伸長位置を決めることができる。この例示的な実施形態において、遠位先端20.4は、導入器管14の回転に対する支承面を提供することができる。伸長位置では、遠位端14.1.1の斜角をつけた部分の遠位面は、ビームアセンブリ20の遠位先端20.4の遠位面の近位に位置することができる。これによって、手術部位に挿入されるときに、斜角をつけた縁部が組織/器官を損傷するのを防止することができる。
【0034】
図6に示すように、導入器アセンブリ14が伸長位置にあるとき、ハンドル12を導入器アセンブリ14に対して回転させると、導入器アセンブリ14は、フラッグ22およびバリアBをビームアセンブリ20のまわりで回す。例示的な一実施形態では、バリアBの第2の側方縁部を少なくとも1つの外側タブ22.2の下に挿入し、フラッグ22およびバリアBを、それらがスロット14.1.2から見えなくなるまで回すことができる。ハンドル12を導入器アセンブリ14に対して回転させると、ビーム20.1、20.2の少なくとも1つがバリアBと係合し、それによって、バリアBがフラッグ22を係合解除することが防止される。他の例示的な実施形態では、フラッグ22、および/またはビーム20.1、20.2の少なくとも1つに接着剤を配置して、バリアBと係合することが可能である。さらに他の例示的な実施形態では、ビーム20.1、20.2の少なくとも1つが、バリアBと係合するように適用されたバーブを含むことができる。
【0035】
フラッグ22およびバリアBが導入器アセンブリ14で実質的に保持されているとき、適用デバイス10を手術部位へ配置し、導入器アセンブリ14を伸長位置から引き込み位置へ動かすことができる。例示的な一実施形態において、適用デバイス10は、手術部位へ配置されるとき、トロカールに挿入され、ハンドル12が遠位に手術部位に向かって挿入されると、導入器止め具14.2がトロカールの一部に当接し、トロカールが導入器アセンブリ14を引っ込める。
【0036】
図7に示すように、導入器アセンブリ14は引き込み位置にあり、フラッグ22およびバリアBは、少なくとも部分的にほどけることができる。向きインジケータ12.1.1は、フラッグ22およびバリアBの向きに関する視覚的なフィードバックを提供する。たとえば、把持部分12.1上の向きインジケータ12.1.1の位置が、バリアBの露出した面が方向付けられた位置を示すようにすることができる。
【0037】
図8に示すように、ハンドル12を回転させ、バリアBを手術部位と位置合わせすることができる。フラッグ22は、ハンドル12を回転させるとき、バリアBの露出していない面が器官または組織に付着するのを防止する。さらに、バリアBを適切な向きおよび位置に定めるために、ビームアセンブリ20をフレックスジョイント18によって偏向することができる。遠位先端20.4の丸みのある遠位面によって、適用デバイス10の使用中、器官および/または組織の外傷を防止することができる。
【0038】
図9に示すように、バリアBを手術部位に適応するとき、バリアBを操作するために、たとえば、バリアBが手術部位に確実に付着するようにするために、他の外科ツールを用いることができる。
【0039】
バリアBを配置した後、ハンドル12を導入器アセンブリ14に対して近位に引き、フラッグ22が実質的に導入器アセンブリ14の中に位置し、手術部位から取り除くことが可能になるまで、ハンドル12を回転させる。
【0040】
例示的な一実施形態では、未使用のバリアをフラッグ22に適用し、適用デバイス10を再使用することができる。
【0041】
他の例示的な実施形態において、軸12.1は、導入器管14.1と係合するように適用された1つまたはそれ以上の突起を含むことができる。突起は、導入器アセンブリ14が軸12.1に対して自由に摺動するのを防止すること、および/または適用デバイス10をトロカールに挿入するとき、触覚によるフィードバック(たとえば抵抗)を提供することができる。
【0042】
適用デバイスの例示的な実施形態をバリアに関連して記載してきたが、本発明による適用デバイスによって、他の材料を保持および配置することが可能であることが当業者には理解されるであろう。たとえば、本発明による適用デバイスによって、ガーゼ、スポンジ、または任意の他の薄く可撓性のある材料を、バリアに関連してこれまでに記載したものと同様の方法で保持および配置することができる。
【0043】
本明細書に記載される装置、方法および/またはシステム、ならびに実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または削除)は、そうした変更およびそのすべての等価物を包含する、本発明の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく行うことが可能であることが当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9